母子保護法施行令
法令番号: 勅令第七百七號
公布年月日: 昭和12年12月4日
法令の形式: 勅令
朕母子保護法施行令ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十二年十二月三日
內閣總理大臣 公爵 近衞文麿
內務大臣 馬場鍈一
大藏大臣 賀屋興宣
勅令第七百七號
母子保護法施行令
第一條 母子保護法第二條ノ規定ニ依リ十三歲以下ノ子ヲ擁スル母ト看做スベキ祖母ハ十三歲以下ノ孫ノ父、母、母ノ配偶者(屆出ヲ爲サザルモ事實上婚姻關係ト同樣ノ事情ニ在ル者ヲ含ム以下之ニ同ジ)及母ノ配偶者タリシ者在ラザル場合、同法第一條第二項第一號乃至第三號ノ一ニ該當スル場合、離婚其ノ他已ムヲ得ザル事由ニ因リ其ノ孫ト世帶ヲ異ニスル場合又ハ其ノ孫ヲ遺棄シタル場合ニ於ケル祖母トス
十三歲以下ノ孫ノ母ガ性行其ノ他ノ事由ニ因リ子ヲ養育スルニ適セザルトキハ前項ノ規定ノ適用ニ付テハ母在ラザルモノト看做ス
第二條 方面委員ハ扶助ニ關シ必要ナル調査ヲ爲スベシ
方面委員ハ扶助ヲ受クル者ニ付市町村長ニ其ノ狀況ヲ通知シ且必要ナル扶助ノ種類、程度若ハ方法、扶助ノ廢止、停止若ハ變更又ハ子ノ養育上必要ナル注意ニ關シ意見ヲ具申スベシ
第三條 生活扶助及養育扶助ハ金錢又ハ物品ノ給與ニ依リ之ヲ行フ
第四條 生活扶助又ハ養育扶助ノ爲給與スル金錢又ハ物品ハ一月分以內ヲ限リ之ヲ前渡スルコトヲ得
扶助ノ廢止、停止又ハ變更ノ場合ニ於テ扶助ヲ受クル母已ムヲ得ザル事由ニ因リ前渡シタル金錢又ハ物品ヲ費消シ又ハ喪失シ且返還ノ資力ナキトキハ之ヲ返還セシメザルコトヲ得
扶助ノ廢止、停止又ハ變更ノ場合ニ於テ前渡シタル金錢又ハ物品中返還セシムベキモノニ付テハ之ニ相當スル額ヲ後ニ給與スベキモノヨリ減ズルコトヲ得
第五條 生業扶助ハ母ノ生業ニ必要ナル資金、器具、資料ノ給與若ハ貸與ヲ爲シ又ハ生業ニ必要ナル技能ヲ授クルコトニ依リ之ヲ行フ
第六條 醫療ハ市町村長ノ指定シタル醫師又ハ齒科醫師ニ就キ之ヲ受ケシム醫師又ハ齒科醫師處方箋ヲ交付シタルトキハ市町村長ノ指定シタル藥劑師ニ就キ藥劑ヲ受ケシム
急迫ノ事情アルトキハ前項ノ規定ニ拘ラズ市町村長ノ指定セザル醫師又ハ齒科醫師ニ就キ醫療ヲ受クルコトヲ得
第七條 生活扶助ノ爲支出スル費用ノ限度ハ一日二十五錢以內ニ於テ、養育扶助ノ爲支出スル費用ノ限度ハ子一人ニ付一日二十五錢以內ニ於テ地方長官之ヲ定ム但シ生活扶助及養育扶助ヲ合シテ一世帶ニ付一日一圓ヲ超ユルコトヲ得ズ
第八條 生業扶助ノ爲支出スル費用ノ限度ハ一人ニ付三十圓以內ニ於テ地方長官之ヲ定ム
第九條 醫療ノ爲支出スル費用ノ限度ハ內務大臣ノ認可ヲ受ケ地方長官之ヲ定ム
第六條第二項ノ場合ニ於テハ前項ノ規定ニ拘ラズ其ノ實費ヲ支出スルコトヲ得
第十條 扶助ノ爲母又ハ其ノ子ノ移送ヲ爲シタル場合ニ於テハ其ノ實費ヲ支出スルコトヲ得
第十一條 埋葬ノ爲支出スル費用ノ限度ハ十圓以內ニ於テ地方長官之ヲ定ム
第十二條 特別ノ必要アル場合ニ於テハ地方長官ハ內務大臣ノ認可ヲ受ケ第七條、第八條又ハ前條ニ規定スル制限ヲ超過シ生活扶助、養育扶助、生業扶助又ハ埋葬ノ爲支出スル費用ノ限度ヲ定ムルコトヲ得
第十三條 救護法施行令第二十四條乃至第二十九條ノ規定ハ扶助及埋葬ニ要スル費用、母子保護法第五條ノ規定ニ依リ方面委員ガ職務ヲ行フ爲必要ナル費用竝ニ同法第九條ノ施設ノ費用ニ之ヲ準用ス
第十四條 町村制ヲ施行セザル地ニ於テハ本令中町村ニ關スル規定ハ町村ニ準ズベキモノニ、町村長ニ關スル規定ハ町村長ニ準ズベキモノニ之ヲ適用ス
附 則
本令ハ昭和十三年一月一日ヨリ之ヲ施行ス
朕母子保護法施行令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十二年十二月三日
内閣総理大臣 公爵 近衛文麿
内務大臣 馬場鍈一
大蔵大臣 賀屋興宣
勅令第七百七号
母子保護法施行令
第一条 母子保護法第二条ノ規定ニ依リ十三歳以下ノ子ヲ擁スル母ト看做スベキ祖母ハ十三歳以下ノ孫ノ父、母、母ノ配偶者(届出ヲ為サザルモ事実上婚姻関係ト同様ノ事情ニ在ル者ヲ含ム以下之ニ同ジ)及母ノ配偶者タリシ者在ラザル場合、同法第一条第二項第一号乃至第三号ノ一ニ該当スル場合、離婚其ノ他已ムヲ得ザル事由ニ因リ其ノ孫ト世帯ヲ異ニスル場合又ハ其ノ孫ヲ遺棄シタル場合ニ於ケル祖母トス
十三歳以下ノ孫ノ母ガ性行其ノ他ノ事由ニ因リ子ヲ養育スルニ適セザルトキハ前項ノ規定ノ適用ニ付テハ母在ラザルモノト看做ス
第二条 方面委員ハ扶助ニ関シ必要ナル調査ヲ為スベシ
方面委員ハ扶助ヲ受クル者ニ付市町村長ニ其ノ状況ヲ通知シ且必要ナル扶助ノ種類、程度若ハ方法、扶助ノ廃止、停止若ハ変更又ハ子ノ養育上必要ナル注意ニ関シ意見ヲ具申スベシ
第三条 生活扶助及養育扶助ハ金銭又ハ物品ノ給与ニ依リ之ヲ行フ
第四条 生活扶助又ハ養育扶助ノ為給与スル金銭又ハ物品ハ一月分以内ヲ限リ之ヲ前渡スルコトヲ得
扶助ノ廃止、停止又ハ変更ノ場合ニ於テ扶助ヲ受クル母已ムヲ得ザル事由ニ因リ前渡シタル金銭又ハ物品ヲ費消シ又ハ喪失シ且返還ノ資力ナキトキハ之ヲ返還セシメザルコトヲ得
扶助ノ廃止、停止又ハ変更ノ場合ニ於テ前渡シタル金銭又ハ物品中返還セシムベキモノニ付テハ之ニ相当スル額ヲ後ニ給与スベキモノヨリ減ズルコトヲ得
第五条 生業扶助ハ母ノ生業ニ必要ナル資金、器具、資料ノ給与若ハ貸与ヲ為シ又ハ生業ニ必要ナル技能ヲ授クルコトニ依リ之ヲ行フ
第六条 医療ハ市町村長ノ指定シタル医師又ハ歯科医師ニ就キ之ヲ受ケシム医師又ハ歯科医師処方箋ヲ交付シタルトキハ市町村長ノ指定シタル薬剤師ニ就キ薬剤ヲ受ケシム
急迫ノ事情アルトキハ前項ノ規定ニ拘ラズ市町村長ノ指定セザル医師又ハ歯科医師ニ就キ医療ヲ受クルコトヲ得
第七条 生活扶助ノ為支出スル費用ノ限度ハ一日二十五銭以内ニ於テ、養育扶助ノ為支出スル費用ノ限度ハ子一人ニ付一日二十五銭以内ニ於テ地方長官之ヲ定ム但シ生活扶助及養育扶助ヲ合シテ一世帯ニ付一日一円ヲ超ユルコトヲ得ズ
第八条 生業扶助ノ為支出スル費用ノ限度ハ一人ニ付三十円以内ニ於テ地方長官之ヲ定ム
第九条 医療ノ為支出スル費用ノ限度ハ内務大臣ノ認可ヲ受ケ地方長官之ヲ定ム
第六条第二項ノ場合ニ於テハ前項ノ規定ニ拘ラズ其ノ実費ヲ支出スルコトヲ得
第十条 扶助ノ為母又ハ其ノ子ノ移送ヲ為シタル場合ニ於テハ其ノ実費ヲ支出スルコトヲ得
第十一条 埋葬ノ為支出スル費用ノ限度ハ十円以内ニ於テ地方長官之ヲ定ム
第十二条 特別ノ必要アル場合ニ於テハ地方長官ハ内務大臣ノ認可ヲ受ケ第七条、第八条又ハ前条ニ規定スル制限ヲ超過シ生活扶助、養育扶助、生業扶助又ハ埋葬ノ為支出スル費用ノ限度ヲ定ムルコトヲ得
第十三条 救護法施行令第二十四条乃至第二十九条ノ規定ハ扶助及埋葬ニ要スル費用、母子保護法第五条ノ規定ニ依リ方面委員ガ職務ヲ行フ為必要ナル費用並ニ同法第九条ノ施設ノ費用ニ之ヲ準用ス
第十四条 町村制ヲ施行セザル地ニ於テハ本令中町村ニ関スル規定ハ町村ニ準ズベキモノニ、町村長ニ関スル規定ハ町村長ニ準ズベキモノニ之ヲ適用ス
附 則
本令ハ昭和十三年一月一日ヨリ之ヲ施行ス