朕軍事救護法施行令改正ノ件ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和六年十二月七日
內閣總理大臣兼拓務大臣 男爵 若槻禮次郞
內務大臣 安達謙藏
勅令第二百八十四號
軍事救護法施行令
第一條 救護ハ救護ヲ受ケントスル者ノ住所地地方長官之ヲ行フ
救護ヲ受ケントスル者ハ地方長官ニ出願スベシ但シ地方長官必要アリト認ムルトキハ其ノ出願ナキ場合ト雖モ救護ヲ行フコトヲ得
救護ノ程度及方法ハ地方長官之ヲ決定ス
第二條 生活扶助ハ金錢又ハ物品ノ給與ニ依リ之ヲ行フ
生活扶助ノ爲支出スル費用ハ一人一日三十錢以內トス
一家ニ於テ救護ヲ受クル者二人以上アルトキハ前項ノ規定ニ依ル費用ハ之ヲ減額スルコトヲ得
第三條 醫療及生業扶助ノ爲支出スル費用ノ限度ハ地方長官內務大臣ノ認可ヲ受ケ之ヲ定ム
第四條 助產ノ爲支出スル費用ハ十二圓以內トス
第五條 埋葬ノ爲支出スル費用ハ十二圓以內トス
救護ヲ受クル者死亡シタル場合ニ於テ埋葬ヲ行フ者ナキトキハ救護ヲ行ヒタル地方長官ニ於テ埋葬ヲ行フベシ
第六條 災害ニ因リ必要アル場合ニ於テハ地方長官ハ一家總額三十圓ヲ限リ生活扶助ノ爲金錢若ハ物品ヲ臨時給與シ又ハ之ヲ併セ給與スルコトヲ得
第七條 生活扶助ノ爲給與スル金錢又ハ物品ハ三月分以內ヲ限リ之ヲ前渡スルコトヲ得
救護ノ廢止、停止又ハ變更ノ場合ニ於テ被救護者已ムヲ得ザル事由ニ因リ前渡シタル金錢又ハ物品ヲ費消シ又ハ喪失シ且返還ノ資力ナキトキハ之ヲ返還セシメザルコトヲ得
救護ノ廢止、停止又ハ變更ノ場合ニ於テ前渡シタル金錢又ハ物品中返還セシムベキモノニ付テハ之ニ相當スル額ヲ後ニ給與スベキモノヨリ減ズルコトヲ得
第八條 特別ノ必要アル場合ニ於テハ地方長官ハ公共團體、公益法人其ノ他適當ト認ムル者ニ委囑シテ救護ヲ行ハシムルコトヲ得
第九條 救護ノ廢止若ハ停止又ハ救護ノ程度若ハ方法ノ變更ハ地方長官之ヲ行フ
第十條 特別ノ必要アル場合ニ於テハ地方長官ハ內務大臣ノ認可ヲ受ケ第二條第二項、第四條、第五條第一項及第六條ノ規定ニ依ル金額ヲ增加スルコトヲ得
第十一條 救護ヲ拒マレタル者又ハ救護ヲ廢止若ハ停止セラレタル者ハ六十日以內ニ內務大臣ニ對シ更ニ審查ヲ出願スルコトヲ得
內務大臣ハ審查ノ上必要ト認ムルトキハ地方長官ヲシテ救護ヲ爲サシメ又ハ救護ノ廢止若ハ停止ノ處分ヲ取消サシムルコトヲ得
第十二條 朝鮮、臺灣、樺太又ハ關東州ニ在リテハ本令中內務大臣ノ職務ハ朝鮮總督、臺灣總督、樺太廳長官又ハ關東長官、地方長官ノ職務ハ朝鮮總督府道知事、臺灣總督府州知事若ハ廳長、樺太廳支廳長又ハ關東廳民政署長之ヲ行フ
附 則
本令ハ昭和六年法律第二十七號施行ノ日ヨリ之ヲ施行ス
從前ノ規定ニ依リ爲シタル救護又ハ救護若ハ審查ノ出願ハ本令ニ依リ之ヲ爲シタルモノト看做ス
朕軍事救護法施行令改正ノ件ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和六年十二月七日
内閣総理大臣兼拓務大臣 男爵 若槻礼次郎
内務大臣 安達謙蔵
勅令第二百八十四号
軍事救護法施行令
第一条 救護ハ救護ヲ受ケントスル者ノ住所地地方長官之ヲ行フ
救護ヲ受ケントスル者ハ地方長官ニ出願スベシ但シ地方長官必要アリト認ムルトキハ其ノ出願ナキ場合ト雖モ救護ヲ行フコトヲ得
救護ノ程度及方法ハ地方長官之ヲ決定ス
第二条 生活扶助ハ金銭又ハ物品ノ給与ニ依リ之ヲ行フ
生活扶助ノ為支出スル費用ハ一人一日三十銭以内トス
一家ニ於テ救護ヲ受クル者二人以上アルトキハ前項ノ規定ニ依ル費用ハ之ヲ減額スルコトヲ得
第三条 医療及生業扶助ノ為支出スル費用ノ限度ハ地方長官内務大臣ノ認可ヲ受ケ之ヲ定ム
第四条 助産ノ為支出スル費用ハ十二円以内トス
第五条 埋葬ノ為支出スル費用ハ十二円以内トス
救護ヲ受クル者死亡シタル場合ニ於テ埋葬ヲ行フ者ナキトキハ救護ヲ行ヒタル地方長官ニ於テ埋葬ヲ行フベシ
第六条 災害ニ因リ必要アル場合ニ於テハ地方長官ハ一家総額三十円ヲ限リ生活扶助ノ為金銭若ハ物品ヲ臨時給与シ又ハ之ヲ併セ給与スルコトヲ得
第七条 生活扶助ノ為給与スル金銭又ハ物品ハ三月分以内ヲ限リ之ヲ前渡スルコトヲ得
救護ノ廃止、停止又ハ変更ノ場合ニ於テ被救護者已ムヲ得ザル事由ニ因リ前渡シタル金銭又ハ物品ヲ費消シ又ハ喪失シ且返還ノ資力ナキトキハ之ヲ返還セシメザルコトヲ得
救護ノ廃止、停止又ハ変更ノ場合ニ於テ前渡シタル金銭又ハ物品中返還セシムベキモノニ付テハ之ニ相当スル額ヲ後ニ給与スベキモノヨリ減ズルコトヲ得
第八条 特別ノ必要アル場合ニ於テハ地方長官ハ公共団体、公益法人其ノ他適当ト認ムル者ニ委嘱シテ救護ヲ行ハシムルコトヲ得
第九条 救護ノ廃止若ハ停止又ハ救護ノ程度若ハ方法ノ変更ハ地方長官之ヲ行フ
第十条 特別ノ必要アル場合ニ於テハ地方長官ハ内務大臣ノ認可ヲ受ケ第二条第二項、第四条、第五条第一項及第六条ノ規定ニ依ル金額ヲ増加スルコトヲ得
第十一条 救護ヲ拒マレタル者又ハ救護ヲ廃止若ハ停止セラレタル者ハ六十日以内ニ内務大臣ニ対シ更ニ審査ヲ出願スルコトヲ得
内務大臣ハ審査ノ上必要ト認ムルトキハ地方長官ヲシテ救護ヲ為サシメ又ハ救護ノ廃止若ハ停止ノ処分ヲ取消サシムルコトヲ得
第十二条 朝鮮、台湾、樺太又ハ関東州ニ在リテハ本令中内務大臣ノ職務ハ朝鮮総督、台湾総督、樺太庁長官又ハ関東長官、地方長官ノ職務ハ朝鮮総督府道知事、台湾総督府州知事若ハ庁長、樺太庁支庁長又ハ関東庁民政署長之ヲ行フ
附 則
本令ハ昭和六年法律第二十七号施行ノ日ヨリ之ヲ施行ス
従前ノ規定ニ依リ為シタル救護又ハ救護若ハ審査ノ出願ハ本令ニ依リ之ヲ為シタルモノト看做ス