持株会社整理委員会令
法令番号: 勅令第二百三十三號
公布年月日: 昭和21年4月20日
法令の形式: 勅令
朕昭和二十年勅令第五百四十二號「ポツダム」宣言ノ受諾ニ伴ヒ發スル命令ニ關スル件ニ基ク持株會社整理委員會令ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和二十一年四月十九日
內閣總理大臣 男爵 幣原喜重郞
內務大臣 三土忠造
司法大臣 岩田宙造
大藏大臣 子爵 澁澤敬三
商工大臣 小笠原三九郞
農林大臣 副島千八
運輸大臣 村上義一
勅令第二百三十三號
持株會社整理委員會令
第一條 持株會社整理委員會(以下整理委員會ト稱ス)ハ企業ノ所有及經營ノ民主化ヲ圖ル爲本令ノ定ムル所ニ依リ指定セラルル會社(以下持株會社ト稱ス)ノ所有スル證券(有價證券其ノ他財產權ヲ證スル證書ヲ謂フ以下同ジ)其ノ他ノ財產ヲ讓受ケ之ヲ管理及處分シ以テ持株會社ノ整理ヲ促進スルコトヲ目的トス
整理委員會ハ法人トス
第二條 整理委員會ハ主タル事務所ヲ東京都ニ置ク
第三條 整理委員會ハ定款ヲ以テ左ノ事項ヲ規定スベシ
一 目的
二 名稱
三 事務所ノ所在地
四 委員ニ關スル事項
五 委員長、常務委員及監查委員ニ關スル事項
六 業務及其ノ執行ニ關スル事項
七 會計ニ關スル事項
八 公吿ノ方法
第四條 整理委員會ハ命令ノ定ムル所ニ依リ登記ヲ爲スコトヲ要ス
前項ノ規定ニ依リ登記スベキ事項ハ登記ノ後ニ非ザレバ之ヲ以テ第三者ニ對抗スルコトヲ得ズ
第五條 整理委員會ハ委員若干人ヲ以テ之ヲ組織ス
委員ハ學識經驗アル者ノ中ヨリ內閣總理大臣之ヲ命ズ
委員ノ任期ハ一年六月トス但シ委員長、常務委員又ハ監查委員タル委員ニ付テハ第六條第三項ニ規定スル各期間ノ滿了スルニ至ル迄各其ノ任期ヲ伸長ス
整理委員會ノ成立後ニ於テ委員ノ任期滿了、死亡其ノ他ノ事由ニ因リ新ニ委員ヲ命ズル場合ニ於テハ內閣總理大臣ハ持株會社整理監查委員會(以下監查委員會ト稱ス)ノ承認ヲ經ルコトヲ要ス
監查委員會ニ關スル規程ハ別ニ之ヲ定ム
第六條 整理委員會ニ委員長、常務委員及監查委員ヲ置ク
委員長、常務委員及監查委員ハ委員ノ中ヨリ內閣總理大臣之ヲ命ズ
委員長ノ任期ハ三年、常務委員ノ任期ハ一年六月、監查委員ノ任期ハ二年トス
整理委員會ノ成立後ニ於テ委員長、常務委員又ハ監查委員ノ任期滿了、死亡其ノ他ノ事由ニ因リ新ニ委員長、常務委員又ハ監查委員ヲ命ズル場合ニ於テハ內閣總理大臣ハ監查委員會ノ承認ヲ經ルコトヲ要ス
委員長ハ整理委員會ヲ代表シ其ノ業務ヲ總理ス
常務委員ハ定款ノ定ムル所ニ依リ整理委員會ヲ代表シ其ノ業務ヲ執行ス
監查委員ハ整理委員會ノ業務ノ執行ヲ監查ス
第七條 委員長ハ定款ノ定ムル所ニ依リ從タル事務所ノ業務ニ關シ一切ノ裁判上又ハ裁判外ノ行爲ヲ爲ス權限ヲ有スル代理人ヲ選任スルコトヲ得
第八條 整理委員會ノ職員ハ之ヲ法令ニ依リ公務ニ從事スル職員ト看做ス
第九條 整理委員會ハ左ノ業務ヲ行フ
一 持株會社ヨリ其ノ所有スル證券及其ノ他ノ財產ニシテ整理委員會ノ必要ト認ムルモノヲ讓受クルコト
二 持株會社ヨリ讓受ケタル證券其ノ他ノ財產(以下讓受財產ト稱ス)ヲ管理及處分スルコト
三 持株會社ノ解散ニ至ル迄ノ常務ノ執行及淸算ノ遂行ヲ指導監督スルコト
四 前各號ノ業務ニ附帶スル業務ヲ行フコト
整理委員會前項ノ業務ヲ行フニ付テハ持株會社整理ノ目的ニ反セザル限度ニ於テ小株主ノ利益ノ保護ニ留意スルヲ要スルモノトス
整理委員會ノ業務ニ關スル重要事項ハ定款ノ定ムル所ニ依リ委員ノ會議ニ於テ之ヲ決ス
第十條 整理委員會ハ持株會社ノ整理ヲ促進スル爲必要アリト認ムルトキハ持株會社ニ對シ其ノ所有スル證券其ノ他ノ財產ヲ整理委員會ニ讓渡スベキコトヲ指示スルコトヲ得
第十一條 整理委員會持株會社ヨリ證券其ノ他ノ財產ヲ讓受ケタルトキハ持株會社ニ對シ讓受財產ノ受領證書ヲ交付スルコトヲ要ス
整理委員會ノ爲ス讓受財產ノ對價ノ辨濟ハ受領證書ト引換ニ之ヲ爲スニ非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ
第十二條 受領證書ハ整理委員會ノ承認ヲ受クルニ非ザレバ之ヲ讓渡シ又ハ債務ノ擔保ニ供スルコトヲ得ズ
受領證書ノ所有者ガ前項ノ承認ヲ受ケテ之ヲ讓渡シ又ハ債務ノ擔保ニ供シタルトキハ整理委員會ニ對シ讓渡セラレタル證券其ノ他ノ財產ノ對價ノ請求權ニ付當該處分ヲ爲シタルモノト看做ス
第一項ノ規定ニ違反シテ爲サレタル行爲ハ之ヲ無效トス
第十三條 整理委員會ノ讓受財產ノ對價ハ當該證券其ノ他ノ財產ノ處分結了後其ノ處分價格ヲ基準トシ之ヲ超エザル限度ニ於テ整理委員會內閣總理大臣ノ認可ヲ受ケテ之ヲ定ム
前項ニ規定スル限度ヲ超エテ爲サレタル對價ノ決定ハ之ヲ無效トス
第十四條 讓受財產ヨリ生ズル收益ハ命令ノ定ムル所ニ依リ整理委員會ヨリ持株會社ニ之ヲ無償ニテ讓渡スルモノトス
第十五條 讓受財產ノ對價ノ辨濟ハ命令ヲ以テ定ムル場合ヲ除クノ外讓受財產ノ處分結了後整理委員會受領證書ノ所有者ニ對シ登錄國債ヲ交付シテ之ヲ爲ス
前項ノ國債ハ交付ノ日ヨリ十年以上ノ償還期限ヲ有スルコトヲ要ス
第一項ノ國債ノ交付價格ハ命令ノ定ムル所ニ依ル
第十六條 前條ノ規定ニ依リ登錄國債ノ交付ヲ受ケタル者、持株會社ノ株主又ハ出資者ニシテ前條ノ規定ニ依リ登錄國債ノ交付ヲ受ケタル者ヨリ當該登錄國債ヲ讓受ケタルモノ及此等ノ者ノ一般承繼人其ノ他整理委員會ノ指定スル者ハ整理委員會ノ承認ヲ受クルニ非ザレバ之ヲ讓渡シ又ハ債務ノ擔保ニ供スルコトヲ得ズ
前項ノ規定ニ違反シテ爲サレタル行爲ハ之ヲ無效トス
第一項ニ規定スル者國債ノ登錄除却ヲ請求セントスルトキハ整理委員會ノ承認ヲ受クベシ
第十七條 整理委員會ハ其ノ讓受ケタル證券ニ付有スル議決權ヲ適正ナル企業經理ノ確保、企業ノ管理及運營方式ノ變更竝ニ第一條第一項ニ揭グル目的ヲ實現スル樣之ヲ行使スルコトヲ要ス
第十八條 整理委員會ハ持株會社ニ對シ其ノ解散ニ至ル迄ノ常務ノ執行又ハ淸算ノ遂行ニ關シ監督上必要ナル指示ヲ爲スコトヲ得
第十九條 整理委員會ハ持株會社ニ對シ業務及財產ノ狀況ニ關シ報吿ヲ爲サシメ又ハ委員ヲシテ帳簿書類其ノ他ノ物件ヲ檢查セシムルコトヲ得
第二十條 整理委員會ノ事業年度ハ四月ヨリ翌年三月迄トス
第二十一條 整理委員會ハ每事業年度ノ整理委員會經費收支計算書竝ニ讓受財產ニ關スル財產目錄及收支計算書ヲ作成シテ每事業年度經過後二月以內ニ之ヲ內閣總理大臣及監查委員會ニ提出スベシ
第二十二條 內閣總理大臣ハ整理委員會檢查人(以下檢查人ト稱ス)ヲシテ何時ニテモ整理委員會ノ業務及財產ノ狀況ヲ檢查セシムルコトヲ得
檢查人ハ學識經驗アル者ノ中ヨリ內閣總理大臣之ヲ命ズ
檢查人ノ任期ハ二年トス但シ特別ノ事由アル場合ニ於テハ任期中之ヲ解任スルコトヲ妨ゲズ
第二十三條 檢查人ハ整理委員會ノ業務及財產ノ狀況ヲ檢查シタルトキハ內閣總理大臣及委員長ニ檢查報吿書ヲ提出スベシ
檢查人ハ何時ニテモ整理委員會ニ命ジ業務及財產ノ狀況ヲ報吿セシムルコトヲ得
第二十四條 整理委員會ノ委員長ハ利害關係人ノ閱覽ニ供スル爲前條第一項ノ規定ニ依ル檢查報吿書ヲ整理委員會ノ主タル事務所ニ備置クコトヲ要ス
第二十五條 內閣總理大臣ハ委員、委員長、常務委員又ハ監查委員ノ行爲ガ法令又ハ定款ニ違反シタルトキ、公益ヲ害シタルトキ其ノ他整理委員會ノ業務ノ運營上不適當ナリト認ムルトキハ監查委員會ノ承認ヲ經テ委員、委員長、常務委員又ハ監查委員ヲ免ズルコトヲ得
第二十六條 整理委員會ハ目的ノ達成ニ因リテ解散ス
整理委員會ノ解散ノ場合ニ於ケル必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第二十七條 民法第四十四條、第五十條及第五十七條竝ニ非訟事件手續法第三十五條第一項ノ規定ハ整理委員會ニ之ヲ準用ス
第二十八條 整理委員會ニハ所得稅、法人稅、營業稅及有價證券移轉稅ヲ課セズ
第二十九條 整理委員會ノ讓受財產ニ付生ズル所得ニ關シテハ持株會社ガ當該財產ヲ有スルモノト看做シ所得稅及配當利子特別稅ヲ賦課ス
持株會社ハ解散シタル後ト雖モ整理委員會ニ於テ讓受財產ノ處分ヲ結了スルニ至ル迄ハ所得稅法、法人稅法、營業稅法及臨時利得稅法ノ適用ニ關シテハ解散セザルモノト看做ス
前項ノ期間中ニ於テ爲シタル殘餘財產ノ分配ハ所得稅法、法人稅法及營業稅法ノ適用ニ關シテハ命令ヲ以テ定ムル場合ヲ除クノ外之ヲ法人ノ利益ノ配當ト看做ス
第三十條 本令ニ規定スルモノノ外持株會社ノ淸算ニ關シ第一條第一項ニ揭グル目的ヲ實現スル爲必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第三十一條 持株會社ガ第十八條ノ規定ニ依ル指示ニ違反シタルトキ又ハ第十九條ノ規定ニ依ル報吿ヲ爲サズ若ハ虛僞ノ報吿ヲ爲シ若ハ委員ノ檢查ヲ拒ミ、妨ゲ若ハ忌避シタルトキハ整理委員會ハ持株會社ノ取締役、淸算人其ノ他此等ニ準ズル者ヲ解任スルコトヲ得
第三十二條 第十條ノ規定ニ依ル指示ノ違反アリタル場合ニ於テハ當該持株會社ノ取締役又ハ之ニ準ズル者ヲ三年以下ノ懲役又ハ五萬圓以下ノ罰金ニ處ス
第三十三條 持株會社ガ第十九條ノ規定ニ依ル報吿ヲ爲サズ又ハ虛僞ノ報吿ヲ爲シタルトキハ取締役、淸算人又ハ此等ニ準ズル者ヲ三年以下ノ懲役又ハ五萬圓以下ノ罰金ニ處ス同條ノ規定ニ依ル委員ノ檢查ヲ拒ミ、妨ゲ又ハ忌避シタル者亦同ジ
第三十四條 第十八條ノ規定ニ依ル指示ノ違反アリタル場合ニ於テハ當該持株會社ノ取締役、淸算人又ハ此等ニ準ズル者ヲ一年以下ノ懲役又ハ一萬圓以下ノ罰金ニ處ス
第三十五條 整理委員會ガ第二十一條ノ規定ニ違反シ當該書類ヲ提出セズ若ハ虛僞ノ記載ヲ爲シタル書類ヲ提出シタルトキ又ハ第二十三條第二項ノ規定ニ依ル報吿ヲ爲サズ若ハ虛僞ノ報吿ヲ爲シタルトキハ委員長又ハ常務委員ヲ一年以下ノ懲役又ハ一萬圓以下ノ罰金ニ處ス檢查人ガ同條第一項ノ規定ニ違反シ檢查報吿書ヲ提出セズ又ハ虛僞ノ記載ヲ爲シタル檢查報吿書ヲ提出シタルトキ其ノ者ノ罰亦同ジ
第二十二條第一項ノ規定ニ依ル檢查人ノ檢查ヲ拒ミ、妨ゲ又ハ忌避シタル者ノ罰亦前項ニ同ジ
第三十六條 前四條ノ罪ヲ犯シタル者ニハ情狀ニ因リ懲役及罰金ヲ併科スルコトヲ得
第三十七條 本令若ハ本令ニ基キテ發スル命令ニ違反シ登記ヲ爲スコトヲ怠リ若ハ不正ノ登記ヲ爲シタルトキ又ハ第二十四條ノ規定ニ依ル書類ヲ備置カザルトキハ整理委員會ノ委員長又ハ常務委員ヲ千圓以下ノ過料ニ處ス
第三十八條 本令ニ依リ內閣總理大臣ノ權限ニ屬スル事項ニ關スル事務ハ內閣官房ニ於テ之ヲ掌ル
附 則
第三十九條 本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
第四十條 內閣總理大臣ハ設立委員ヲ命ジ整理委員會ノ設立ニ關スル事務ヲ處理セシム
第四十一條 設立委員ハ定款ヲ作成シ內閣總理大臣ノ認可ヲ受クベシ
第四十二條 前條ノ認可アリタルトキハ設立委員ハ遲滯ナク其ノ事務ヲ整理委員會委員長ニ引渡スベシ
委員長前項ノ事務ノ引渡ヲ受ケタルトキハ主タル事務所ノ所在地ニ於テ設立ノ登記ヲ爲スベシ
整理委員會ハ前項ノ登記ヲ爲スニ因リテ成立ス
第四十三條 第一條第一項ノ規定ニ依ル指定ハ整理委員會ノ成立後一年六月以內ニ整理委員會ノ意見ニ基キ內閣總理大臣之ヲ爲スモノトス
第四十四條 登錄稅法中左ノ通改正ス
第十九條第七號中「又ハ鹽業組合中央會」ヲ「、鹽業組合中央會又ハ持株會社整理委員會」ニ、「又ハ鹽專賣法」ヲ「、鹽專賣法又ハ持株會社整理委員會令」ニ改ム
朕昭和二十年勅令第五百四十二号「ポツダム」宣言ノ受諾ニ伴ヒ発スル命令ニ関スル件ニ基ク持株会社整理委員会令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和二十一年四月十九日
内閣総理大臣 男爵 幣原喜重郎
内務大臣 三土忠造
司法大臣 岩田宙造
大蔵大臣 子爵 渋沢敬三
商工大臣 小笠原三九郎
農林大臣 副島千八
運輸大臣 村上義一
勅令第二百三十三号
持株会社整理委員会令
第一条 持株会社整理委員会(以下整理委員会ト称ス)ハ企業ノ所有及経営ノ民主化ヲ図ル為本令ノ定ムル所ニ依リ指定セラルル会社(以下持株会社ト称ス)ノ所有スル証券(有価証券其ノ他財産権ヲ証スル証書ヲ謂フ以下同ジ)其ノ他ノ財産ヲ譲受ケ之ヲ管理及処分シ以テ持株会社ノ整理ヲ促進スルコトヲ目的トス
整理委員会ハ法人トス
第二条 整理委員会ハ主タル事務所ヲ東京都ニ置ク
第三条 整理委員会ハ定款ヲ以テ左ノ事項ヲ規定スベシ
一 目的
二 名称
三 事務所ノ所在地
四 委員ニ関スル事項
五 委員長、常務委員及監査委員ニ関スル事項
六 業務及其ノ執行ニ関スル事項
七 会計ニ関スル事項
八 公告ノ方法
第四条 整理委員会ハ命令ノ定ムル所ニ依リ登記ヲ為スコトヲ要ス
前項ノ規定ニ依リ登記スベキ事項ハ登記ノ後ニ非ザレバ之ヲ以テ第三者ニ対抗スルコトヲ得ズ
第五条 整理委員会ハ委員若干人ヲ以テ之ヲ組織ス
委員ハ学識経験アル者ノ中ヨリ内閣総理大臣之ヲ命ズ
委員ノ任期ハ一年六月トス但シ委員長、常務委員又ハ監査委員タル委員ニ付テハ第六条第三項ニ規定スル各期間ノ満了スルニ至ル迄各其ノ任期ヲ伸長ス
整理委員会ノ成立後ニ於テ委員ノ任期満了、死亡其ノ他ノ事由ニ因リ新ニ委員ヲ命ズル場合ニ於テハ内閣総理大臣ハ持株会社整理監査委員会(以下監査委員会ト称ス)ノ承認ヲ経ルコトヲ要ス
監査委員会ニ関スル規程ハ別ニ之ヲ定ム
第六条 整理委員会ニ委員長、常務委員及監査委員ヲ置ク
委員長、常務委員及監査委員ハ委員ノ中ヨリ内閣総理大臣之ヲ命ズ
委員長ノ任期ハ三年、常務委員ノ任期ハ一年六月、監査委員ノ任期ハ二年トス
整理委員会ノ成立後ニ於テ委員長、常務委員又ハ監査委員ノ任期満了、死亡其ノ他ノ事由ニ因リ新ニ委員長、常務委員又ハ監査委員ヲ命ズル場合ニ於テハ内閣総理大臣ハ監査委員会ノ承認ヲ経ルコトヲ要ス
委員長ハ整理委員会ヲ代表シ其ノ業務ヲ総理ス
常務委員ハ定款ノ定ムル所ニ依リ整理委員会ヲ代表シ其ノ業務ヲ執行ス
監査委員ハ整理委員会ノ業務ノ執行ヲ監査ス
第七条 委員長ハ定款ノ定ムル所ニ依リ従タル事務所ノ業務ニ関シ一切ノ裁判上又ハ裁判外ノ行為ヲ為ス権限ヲ有スル代理人ヲ選任スルコトヲ得
第八条 整理委員会ノ職員ハ之ヲ法令ニ依リ公務ニ従事スル職員ト看做ス
第九条 整理委員会ハ左ノ業務ヲ行フ
一 持株会社ヨリ其ノ所有スル証券及其ノ他ノ財産ニシテ整理委員会ノ必要ト認ムルモノヲ譲受クルコト
二 持株会社ヨリ譲受ケタル証券其ノ他ノ財産(以下譲受財産ト称ス)ヲ管理及処分スルコト
三 持株会社ノ解散ニ至ル迄ノ常務ノ執行及清算ノ遂行ヲ指導監督スルコト
四 前各号ノ業務ニ附帯スル業務ヲ行フコト
整理委員会前項ノ業務ヲ行フニ付テハ持株会社整理ノ目的ニ反セザル限度ニ於テ小株主ノ利益ノ保護ニ留意スルヲ要スルモノトス
整理委員会ノ業務ニ関スル重要事項ハ定款ノ定ムル所ニ依リ委員ノ会議ニ於テ之ヲ決ス
第十条 整理委員会ハ持株会社ノ整理ヲ促進スル為必要アリト認ムルトキハ持株会社ニ対シ其ノ所有スル証券其ノ他ノ財産ヲ整理委員会ニ譲渡スベキコトヲ指示スルコトヲ得
第十一条 整理委員会持株会社ヨリ証券其ノ他ノ財産ヲ譲受ケタルトキハ持株会社ニ対シ譲受財産ノ受領証書ヲ交付スルコトヲ要ス
整理委員会ノ為ス譲受財産ノ対価ノ弁済ハ受領証書ト引換ニ之ヲ為スニ非ザレバ其ノ効力ヲ生ゼズ
第十二条 受領証書ハ整理委員会ノ承認ヲ受クルニ非ザレバ之ヲ譲渡シ又ハ債務ノ担保ニ供スルコトヲ得ズ
受領証書ノ所有者ガ前項ノ承認ヲ受ケテ之ヲ譲渡シ又ハ債務ノ担保ニ供シタルトキハ整理委員会ニ対シ譲渡セラレタル証券其ノ他ノ財産ノ対価ノ請求権ニ付当該処分ヲ為シタルモノト看做ス
第一項ノ規定ニ違反シテ為サレタル行為ハ之ヲ無効トス
第十三条 整理委員会ノ譲受財産ノ対価ハ当該証券其ノ他ノ財産ノ処分結了後其ノ処分価格ヲ基準トシ之ヲ超エザル限度ニ於テ整理委員会内閣総理大臣ノ認可ヲ受ケテ之ヲ定ム
前項ニ規定スル限度ヲ超エテ為サレタル対価ノ決定ハ之ヲ無効トス
第十四条 譲受財産ヨリ生ズル収益ハ命令ノ定ムル所ニ依リ整理委員会ヨリ持株会社ニ之ヲ無償ニテ譲渡スルモノトス
第十五条 譲受財産ノ対価ノ弁済ハ命令ヲ以テ定ムル場合ヲ除クノ外譲受財産ノ処分結了後整理委員会受領証書ノ所有者ニ対シ登録国債ヲ交付シテ之ヲ為ス
前項ノ国債ハ交付ノ日ヨリ十年以上ノ償還期限ヲ有スルコトヲ要ス
第一項ノ国債ノ交付価格ハ命令ノ定ムル所ニ依ル
第十六条 前条ノ規定ニ依リ登録国債ノ交付ヲ受ケタル者、持株会社ノ株主又ハ出資者ニシテ前条ノ規定ニ依リ登録国債ノ交付ヲ受ケタル者ヨリ当該登録国債ヲ譲受ケタルモノ及此等ノ者ノ一般承継人其ノ他整理委員会ノ指定スル者ハ整理委員会ノ承認ヲ受クルニ非ザレバ之ヲ譲渡シ又ハ債務ノ担保ニ供スルコトヲ得ズ
前項ノ規定ニ違反シテ為サレタル行為ハ之ヲ無効トス
第一項ニ規定スル者国債ノ登録除却ヲ請求セントスルトキハ整理委員会ノ承認ヲ受クベシ
第十七条 整理委員会ハ其ノ譲受ケタル証券ニ付有スル議決権ヲ適正ナル企業経理ノ確保、企業ノ管理及運営方式ノ変更並ニ第一条第一項ニ掲グル目的ヲ実現スル様之ヲ行使スルコトヲ要ス
第十八条 整理委員会ハ持株会社ニ対シ其ノ解散ニ至ル迄ノ常務ノ執行又ハ清算ノ遂行ニ関シ監督上必要ナル指示ヲ為スコトヲ得
第十九条 整理委員会ハ持株会社ニ対シ業務及財産ノ状況ニ関シ報告ヲ為サシメ又ハ委員ヲシテ帳簿書類其ノ他ノ物件ヲ検査セシムルコトヲ得
第二十条 整理委員会ノ事業年度ハ四月ヨリ翌年三月迄トス
第二十一条 整理委員会ハ毎事業年度ノ整理委員会経費収支計算書並ニ譲受財産ニ関スル財産目録及収支計算書ヲ作成シテ毎事業年度経過後二月以内ニ之ヲ内閣総理大臣及監査委員会ニ提出スベシ
第二十二条 内閣総理大臣ハ整理委員会検査人(以下検査人ト称ス)ヲシテ何時ニテモ整理委員会ノ業務及財産ノ状況ヲ検査セシムルコトヲ得
検査人ハ学識経験アル者ノ中ヨリ内閣総理大臣之ヲ命ズ
検査人ノ任期ハ二年トス但シ特別ノ事由アル場合ニ於テハ任期中之ヲ解任スルコトヲ妨ゲズ
第二十三条 検査人ハ整理委員会ノ業務及財産ノ状況ヲ検査シタルトキハ内閣総理大臣及委員長ニ検査報告書ヲ提出スベシ
検査人ハ何時ニテモ整理委員会ニ命ジ業務及財産ノ状況ヲ報告セシムルコトヲ得
第二十四条 整理委員会ノ委員長ハ利害関係人ノ閲覧ニ供スル為前条第一項ノ規定ニ依ル検査報告書ヲ整理委員会ノ主タル事務所ニ備置クコトヲ要ス
第二十五条 内閣総理大臣ハ委員、委員長、常務委員又ハ監査委員ノ行為ガ法令又ハ定款ニ違反シタルトキ、公益ヲ害シタルトキ其ノ他整理委員会ノ業務ノ運営上不適当ナリト認ムルトキハ監査委員会ノ承認ヲ経テ委員、委員長、常務委員又ハ監査委員ヲ免ズルコトヲ得
第二十六条 整理委員会ハ目的ノ達成ニ因リテ解散ス
整理委員会ノ解散ノ場合ニ於ケル必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第二十七条 民法第四十四条、第五十条及第五十七条並ニ非訟事件手続法第三十五条第一項ノ規定ハ整理委員会ニ之ヲ準用ス
第二十八条 整理委員会ニハ所得税、法人税、営業税及有価証券移転税ヲ課セズ
第二十九条 整理委員会ノ譲受財産ニ付生ズル所得ニ関シテハ持株会社ガ当該財産ヲ有スルモノト看做シ所得税及配当利子特別税ヲ賦課ス
持株会社ハ解散シタル後ト雖モ整理委員会ニ於テ譲受財産ノ処分ヲ結了スルニ至ル迄ハ所得税法、法人税法、営業税法及臨時利得税法ノ適用ニ関シテハ解散セザルモノト看做ス
前項ノ期間中ニ於テ為シタル残余財産ノ分配ハ所得税法、法人税法及営業税法ノ適用ニ関シテハ命令ヲ以テ定ムル場合ヲ除クノ外之ヲ法人ノ利益ノ配当ト看做ス
第三十条 本令ニ規定スルモノノ外持株会社ノ清算ニ関シ第一条第一項ニ掲グル目的ヲ実現スル為必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第三十一条 持株会社ガ第十八条ノ規定ニ依ル指示ニ違反シタルトキ又ハ第十九条ノ規定ニ依ル報告ヲ為サズ若ハ虚偽ノ報告ヲ為シ若ハ委員ノ検査ヲ拒ミ、妨ゲ若ハ忌避シタルトキハ整理委員会ハ持株会社ノ取締役、清算人其ノ他此等ニ準ズル者ヲ解任スルコトヲ得
第三十二条 第十条ノ規定ニ依ル指示ノ違反アリタル場合ニ於テハ当該持株会社ノ取締役又ハ之ニ準ズル者ヲ三年以下ノ懲役又ハ五万円以下ノ罰金ニ処ス
第三十三条 持株会社ガ第十九条ノ規定ニ依ル報告ヲ為サズ又ハ虚偽ノ報告ヲ為シタルトキハ取締役、清算人又ハ此等ニ準ズル者ヲ三年以下ノ懲役又ハ五万円以下ノ罰金ニ処ス同条ノ規定ニ依ル委員ノ検査ヲ拒ミ、妨ゲ又ハ忌避シタル者亦同ジ
第三十四条 第十八条ノ規定ニ依ル指示ノ違反アリタル場合ニ於テハ当該持株会社ノ取締役、清算人又ハ此等ニ準ズル者ヲ一年以下ノ懲役又ハ一万円以下ノ罰金ニ処ス
第三十五条 整理委員会ガ第二十一条ノ規定ニ違反シ当該書類ヲ提出セズ若ハ虚偽ノ記載ヲ為シタル書類ヲ提出シタルトキ又ハ第二十三条第二項ノ規定ニ依ル報告ヲ為サズ若ハ虚偽ノ報告ヲ為シタルトキハ委員長又ハ常務委員ヲ一年以下ノ懲役又ハ一万円以下ノ罰金ニ処ス検査人ガ同条第一項ノ規定ニ違反シ検査報告書ヲ提出セズ又ハ虚偽ノ記載ヲ為シタル検査報告書ヲ提出シタルトキ其ノ者ノ罰亦同ジ
第二十二条第一項ノ規定ニ依ル検査人ノ検査ヲ拒ミ、妨ゲ又ハ忌避シタル者ノ罰亦前項ニ同ジ
第三十六条 前四条ノ罪ヲ犯シタル者ニハ情状ニ因リ懲役及罰金ヲ併科スルコトヲ得
第三十七条 本令若ハ本令ニ基キテ発スル命令ニ違反シ登記ヲ為スコトヲ怠リ若ハ不正ノ登記ヲ為シタルトキ又ハ第二十四条ノ規定ニ依ル書類ヲ備置カザルトキハ整理委員会ノ委員長又ハ常務委員ヲ千円以下ノ過料ニ処ス
第三十八条 本令ニ依リ内閣総理大臣ノ権限ニ属スル事項ニ関スル事務ハ内閣官房ニ於テ之ヲ掌ル
附 則
第三十九条 本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
第四十条 内閣総理大臣ハ設立委員ヲ命ジ整理委員会ノ設立ニ関スル事務ヲ処理セシム
第四十一条 設立委員ハ定款ヲ作成シ内閣総理大臣ノ認可ヲ受クベシ
第四十二条 前条ノ認可アリタルトキハ設立委員ハ遅滞ナク其ノ事務ヲ整理委員会委員長ニ引渡スベシ
委員長前項ノ事務ノ引渡ヲ受ケタルトキハ主タル事務所ノ所在地ニ於テ設立ノ登記ヲ為スベシ
整理委員会ハ前項ノ登記ヲ為スニ因リテ成立ス
第四十三条 第一条第一項ノ規定ニ依ル指定ハ整理委員会ノ成立後一年六月以内ニ整理委員会ノ意見ニ基キ内閣総理大臣之ヲ為スモノトス
第四十四条 登録税法中左ノ通改正ス
第十九条第七号中「又ハ塩業組合中央会」ヲ「、塩業組合中央会又ハ持株会社整理委員会」ニ、「又ハ塩専売法」ヲ「、塩専売法又ハ持株会社整理委員会令」ニ改ム