第五條 財閥関係役員は、この法律施行の際現に当該財閥について指定のあつた財閥会社若しくは制限会社又はこの法律施行の際これらの会社の從属会社若しくは関係会社となつている会社の役員の職に在る場合においては、第六條第一項若しくは第七條第一項の規定により承認の申請をしないときは、この法律施行の日から三十日以内に、又かかる承認の申請をして同項の規定により内閣総理大臣による財閥関係役員に該当する者として通知を受けたときは、その通知を受けた日から三十日以内にその職を辞さなければならない。その期間内に職を辞さない場合においては三十一日目にその職を失う。
財閥関係役員は、この法律施行の日から十年間は、前項に規定する会社の役員の職に就き、又はこれ等の会社の役員の職に属する行爲をしてはならない。
前條第二項及び第四項の規定は、第一項の場合にこれを準用する。
第六條 第三條第二項各号に掲げる者で左の各号の一に該当する事由があることの明確な証拠を提出し得る者は、証拠書類を付し内閣総理大臣に対し財閥関係役員でないことの承認を申請することができる。
一 昭和二十年九月二日以前において財閥会社の役員の職に在つた期間において、当該会社が当該財閥に属する者又は当該財閥について指定のあつた財閥会社の支配に属していなかつたこと。
二 本人の役員としての就任事情又はその職務の執行の実情より見て本人を財閥関係役員とみなすことが明かに不当であると認められること
内閣総理大臣は前項の申請を受理した場合、これを財閥関係役員審査委員会に付議し、その審査の結果に基いて申請の承認又は不承認の処分をしなければならない。
第一項に規定する者で、この法律施行の際現に当該財閥について指定のあつた財閥会社若しくは制限会社又はこの法律施行の際これらの会社の從属会社若しくは関係会社となつている会社の役員の職に在る者が、同項の申請をしようとする場合は、この法律施行の日から三十日以内にこれをしなければならない。
第七條 前條第一項の規定による外第三條第二項第一号に該当する者で財閥準直系会社の常務取締役若しくはこれと同等以上の権限若しくは支配力を有する役員以外の役員の職又は財閥傍系会社の最高代表役員以外の役員の職にあつた者、及び同項第二号に該当する者は、左の各号に掲げる事由が総て(同項第二号に規定するものについては第三号を除く。)備わることを理由として財閥関係役員に該当しないことについての内閣総理大臣の承認の申請をすることが出來る。
一 当該財閥に属する者又はその同籍者の配偶者又は親子兄弟姉妹若しくはこれらの者の配偶者でないこと
二 当該役員の職に就任するために予め当該財閥又は当該財閥の財閥直系会社の承認を必要とする旨の取極のなかつたこと又は取極のない場合においてその承認を受けていなかつたこと
三 財閥準直系会社の役員の職に在つた者については常務取締役、財閥傍系会社の役員の職に在つた者については最高代表役員と同等以上の権限又は支配力を事実上有していなかつたこと
四 当該財閥の財閥会社の役員の職を同時に四以上兼ねていなかつたこと
内閣総理大臣は、前項の申請を受理した場合これを財閥関係役員審査委員会に付議し、その審査の結果に基いて申請の承認又は不承認の処分をしなければならない。
第一項に規定する者が同項及び前條に規定する事由による申請の双方をなさうとするときは、同時にこれをしなければならない。
第八條 第四條第一項又は第五條第一項の規定により会社を代表する権限を有する役員の全員がその職を去ることとなる場合において必要があるときは、関係の会社は、当該役員の過半数の同意をもつてその職を退くこととなる役員のうち一人を選び、この法律施行の日から六箇月以内の期間を定め、一時その職に留まらせることについて、内閣総理大臣に対し、その承認を申請することができる。
前項に規定する場合の外、関係の会社が、國民経済の復興上必要な場合その運営上欠くことのできない者であり、且つ、余人を以て代えることが困難な者について、内閣総理大臣に対し、一年を超えない期間を限つて、役員の職に留まらせることについての承認を申請することができる。
前項の規定により留任を承認された者の勤務する会社の承継会社が設立された場合、当該承継会社が國民経済の復興上必要であり、又その者がその運営上欠くことのできない者であり、且つ、余人を以て代えることが困難な者であるときは、関係の会社は、内閣総理大臣に対し、その者が留任を許可された期間内に限り、当該承継会社の役員の職に就くことの承認を申請することができる。
財閥関係役員は、内閣総理大臣に対し一年を超えない期間を限り清算中の会社の清算人の職に留り、又は就くことについての承認を申請することができる。但し特に必要があるときは、期間の更新を申請することができる。
内閣総理大臣は、前四項の申請を受理した場合、これを財閥関係役員審査委員会に付議し、その結果に基いて申請の承認又は不承認の処分をしなければならない。
第一項の場合において、当該申請に係る役員について、承認の処分があつた場合においてはその者はその承認のあつた期間、なおその職に留まることができるものとし、又、不承認の処分があつた場合においてはその者はその旨の通知があるまでの間、なおその職に留まるものとする。
第九條 第四條又は第五條の規定の適用に当つては第四條第一項又は第五條第一項に規定する会社の承継会社は、これ等の規定に規定する会社と見なす但しこれ等の規定により役員の職を辞さなければならない期間は第二項の規定により指定のあつた時又は内閣総理大臣による財閥関係役員に該当する者としての通知を受けた日から三十日以内とし、その職を失う日は、同項の規定により指定のあつた日又は内閣総理大臣による財閥関係役員に該当する者としての通知を受けた日から三十一日目とする。
この法律で承継会社とは、財閥関係役員審査委員会が、前項に規定する会社の出資の状況並びに当該会社の営業、資産、取引先及び役職員の大部分、商号等の承継を考慮し、当該会社と実質的に同一なものとして決定したものについて、内閣総理大臣が指定するものをいう。
第四條第一項又は第五條第一項に規定する会社から出資を受け、又はその営業の全部若しくは一部の讓渡を受けた会社は、この法律施行の際現に存する会社についてはこの法律施行の日から三十日以内、又この法律施行の日以後あらたに出資を受け又は営業の讓渡を受けた会社についてはこれ等の行爲のあつた日から三十日以内に、前項の規定による指定についての申請をしなければならない。
顧問、相談役、参與その他役員なることを疑わしめる名称を受けた者は、第四條及び第五條の規定の適用については、これを会社の役員の職に就いたものとみなす。
第二條第二項及び第三項の規定による指定に関し指定の基礎となつた事実につき誤りがあると認めるときは利害関係人は、明確な証拠書類を附し、指定があつてから三十日以内に内閣総理大臣に対し指定の取消又は変更を申請することができる。
内閣総理大臣は、前項の申請を受理した場合は、これを財閥関係役員審査委員会に付議し、その審査の結果に基いて申請の承認又は不承認の処分をしなければならない。
第一項の申請があつた場合においては、第五條第一項及び第六條第三項の規定の適用については各々同條同項中この法律施行の日とあるのを第十條第一項の申請に対する内閣総理大臣の決定の公表のあつた日と読み替えるものとする。