(会社の証券保有制限等に関する勅令)
法令番号: 勅令第五百六十七號
公布年月日: 昭和21年11月25日
法令の形式: 勅令
朕は、昭和二十年勅令第五百四十二號ポツダム宣言の受諾に伴ひ發する命令に關する件に基き會社の證券保有制限等に關する勅令を裁可し、ここにこれを公布せしめる。
御名御璽
昭和二十一年十一月二十二日
內閣總理大臣 吉田茂
司法大臣 木村篤太郞
商工大臣 星島二郞
大藏大臣 石橋湛山
勅令第五百六十七號
第一條 この勅令で指定會社とは、昭和二十年勅令第六百五十七號第一條ノ二に規定する指定會社をいう。
この勅令で從屬會社とは、一の指定會社が資本金額(出資總額、株金總額又は出資總額及び株金總額の合計額をいう。以下同じ。)の十分の一以上の金額に當る株式(社員の持分を含む。以下本條、第二條乃至第五條、第八條、第九條、第十八條及び第十九條において同じ。)を有する會社で指定會社以外のものをいう。
この勅令で關係會社とは、左の各號の一に該當する會社で指定會社及び從屬會社以外のものをいう。
一 一の從屬會社が資本金額の十分の一以上の金額に當る株式を有する會社
二 同一資本系統に屬する會社の二以上の有する株式の金額の合計額が、資本金額の十分の一以上の金額となる會社
前項の同一資本系統に屬する會社とは、左に揭げる會社をいう。
イ 一の指定會社
ロ 前記イに揭げる指定會社が資本金額の十分の一以上の金額に當る株式を有する會社
ハ 前記ロの會社が指定會社である場合においては、ロの會社が資本金額の十分の一以上の金額に當る株式を有する會社
三 一の指定會社又は從屬會社が拂込資本金額(拂込出資金額、拂込株金額又は拂込出資金額及び拂込株金額の合計額をいう。以下同じ。)の十分の一以上の金額に當る社債又は貸付金の債權(以下社債等をいう。)を有する會社
前二項の場合における株式又は社債等の所有額の計算については、左の各號の一に該當する會社がこの勅令施行の日以後において取得する株式又は社債等の金額は、これを算入しない。
一 銀行
二 信託會社
三 保險會社
四 無盡會社
五 有價證券の引受又は募集の取扱をなすことを營業とする會社
六 證券取引所によらない有價證券の賣買又はその媒介をなすことを營業とする會社
第二項及び第三項の株式又は社債等の所有額の計算については左の各號の一に該當する株式又は社債等の金額は、これを算入しない。
一 銀行がこの勅令施行の日において現に有する貸付金の債權
二 前項第五號に該當する者がこの勅令施行の日前に引き受けた株式又は社債で、この勅令施行の日から九十日以內に處分されたもの
三 前項第六號に該當する者がこの勅令施行の日において現に有する株式又は社債で、この勅令施行の日から六十日以內に處分されたもの
委託者を受益者とする有價證券信託の引受に因り信託會社(信託業を營む銀行を含む。)が有し又は取得する株式又は社債は、委託者が當該株式又は社債を有し又は取得するものとみなしてこの勅令を適用する。
持株會社(持株會社整理委員會令第一條の規定により指定を受けた會社をいう。以下同じ。)が持株會社整理委員會に對し讓渡した株式又は社債等は、持株會社整理委員會がこれを處分するまでの間は、舊所有者たる持株會社がこれを有するものとみなして、この勅令を適用する。
第二項乃至前項において株式又は社債を有し又は取得するとは、株式又は社債の發行會社の株主名簿又は社債原簿に、當該株式の株主又は當該社債の社債權者として記載された場合に限る。
第二條 指定會社、從屬會社又は關係會社は、左の各號の一に該當する場合を除く外、他の會社の株式又は社債等を取得することができない。
一 前條第四項各號の一に該當する會社が、株式又は社債等を取得するとき但し、當該會社が當該會社と前條第三項第二號に規定する同一資本系統に屬する會社の株式を取得する場合を除く。
二 臨時物資需給調整法に基く命令により指定された會社その他別に勅令で定める會社の株式又は社債等を取得するとき
三 企業再建整備法に規定する決定整備計畫の定めるところにより株式又は社債等を取得するとき
四 前條第六項に規定する有價證券信託の委託者たる會社が、この勅令の規定に從い、その信託に係る株式を處分するため、當該信託契約を解約して株式を取得するとき
第三條 指定會社、從屬會社又は關係會社は、自己の計算において、當該會社の役員(取締役、監查役その他これに準ずべき者をいう。以下同じ。)若しくは從業員(役員を除く外、繼續して會社の業務に從事する者をいう。以下同じ。)又はその他の者をして、他の會社の株式又は社債等を取得させてはならない。但し、當該會社の役員若しくは從業員又はその他の者が第一條第六項に規定する有價證券信託の委託者に該當する場合において、當該會社がこの勅令の規定に從い株式を處分するため、委託者をして信託契約を解約し當該株式を取得させるときはこの限りでない。
第四條 この勅令施行の際、現に存する指定會社又はその際その從屬會社若しくは關係會社となつた會社は、この勅令施行の際、他の會社の株式を有するときは、閣令の定めるとこにより、當該株式の處分に關する計畫書(以下株式處分計畫書という。)を作成し、閣令で定める期限內に、これを持株會社整理委員會に提出し、その承認を受けなければならない。
前項の規定は左の各號の一に該當する株式については、これを適用しない。
一 前項に規定する會社(指定會社を除く。)が昭和二十年十二月八日前に取得した株式
二 前項に規定する會社で、第一條第四項各號に揭げる者が取得した株式(第一條第三項第二號に規定する當該會社と同一資本系統に屬する會社の株式を除く。)
三 持株會社が有する株式
四 第二條第二號に規定する會社の發行した株式
五 內地以外の地に本店を有する會社の株式
第一項に規定する會社(指定會社を除く。)は、株式處分計畫書について同項の規定による承認があるまでは、同項に規定する株式を處分することができない。但し、他の法令に基く命令、許可、認可、承認等があつた場合はこの限りでない。
第一項に規定する會社は、株式處分計畫書について同項の規定による承認があつたときは、當該株式處分計畫書の定めるところに從い、當該株式を處分しなければならない。
第一項に規定する會社は、同項の規定により處分すべき株式について、この勅令施行の日から一箇月以內にその議決權の行使を持株會社整理委員會に委任しなければならない。
持株會社整理委員會は前項の委任の申込があつたときは、これを承諾しなければならない。
第四項に規定する株式の處分及び第五項に規定する議決權の行使の委任は、他の法令、定款又は契約にかかわらず、これをなすことができる。
前三項に定めるものを除く外、第五項の規定による議決權の行使の委任に關し必要な事項は、閣令でこれを定める。
第一條第六項に規定する有價證券信託の委託者で第一項の規定により株式の處分をなすべき會社が、當該株式の處分又は議決權の行使の委任をなすため信託契約の解約の申入をなした場合においては、受託者はこれに應じなければならない。
第五條 前條第一項に規定する會社の役員若しくは從業員又はその他の者は、この勅令施行の際、當該會社の計算において他の會社の株式を有するときは、閣令の定めるところにより、株式處分計畫書を作成し、閣令で定める期限內に、これを持株會社整理委員會に提出して、その承認を受けなければならない。
前項の規定は、左の各號の一に該當する株式については、これを適用しない。
一 昭和二十年十二月八日前に取得した株式
二 前條第二項第三號又は第五號に該當する株式
前條第三項乃至第九項の規定は、第一項の場合に、これを準用する。
第六條 前二條の規定により處分すべき株式については、第七條第一項第一號又は第二號に揭げるものを除く外、閣令の定めるところにより、先ず、左の各號に揭げる者に對し、左に揭げる順序に從い、その讓渡の豫約の申込をしなければならない。
一 當該株式の發行會社の從業員
二 當該株式の發行會社の本店、支店その他の事務所、工場等の所在地に住所を有する個人
前項の規定は、第四條第一項又は前條第一項に規定する者の有する株式で前二條の規定による處分すべき株式の金額が、當該株式の發行會社の資本金額の十分の一に相當する金額(當該株式の發行會社の資本金が五百萬圓を超えるときは五十萬圓、當該株式の發行會社の資本金が二百萬圓未滿のときは二十萬圓とする。)に滿たない場合においては、當該株式について、これを適用しない。
第七條 株式處分計畫書には、第四條又は第五條の規定により處分すべき株式について、左に揭げる事項を記載しなければならない。
一 當該株式の發行會社が、買入れて消却することの確定している株式で閣令で定めるものについては、その數及び當該發行會社
二 當該株式を所有する會社と當該株式の發行會社とが、合併することの確定している場合で閣令の定める場合においては、當該株式の數及び當該發行會社
三 前條第一項第一號の規定により當該株式の發行會社の從業員との間に讓渡の豫約の成立した株式については、その數及びその從業員の氏名
四 前條第一項第二號の規定により當該株式の發行會社の本店、支店その他の事務所、工場等の所在地に住所を有する個人との間に讓渡の豫約の成立した株式については、その數及びその讓受人たるべき者の氏名
五 前各號に揭げる株式以外の株式については、讓渡の豫定計畫その他必要なる事項
株式處分計畫書には、閣令の定めるところに從い、株式の讓渡價額を定め、これを記載しなければならない。
第八條 持株會社整理委員會は、第四條又は第五條の規定により提出された株式處分計畫書については、その記載事項が虛僞であると認められるとき又は株式處分計畫書に記載された計畫が、この勅令若しくはこの勅令に基いて發せられる命令の規定に違反してゐると認められるときは、これを承認してはならない。この場合においては、持株會社整理委員會は、當該計畫書を變更すべきことを指示しなければならない。
持株會社整理委員會が株式處分計畫書に記載された讓受人たるべき者が、他人の計畫において株式を讓り受けようとする者であることを認めたときも、また、前項と同樣とする。
前二項に規定する場合を除く外、持株會社整理委員會は、株式處分計畫書の提出があつた場合には、これを承認しなければならない。
前三項に規定するものの外、株式處分計畫書の承認に關して必要な事項は、閣令でこれを定める。
第九條 第七條第一項第一號又は第二號に揭げるものを除く外、第四條又は第五條に規定する株式は、法人に對して、これを讓渡してはならない。但し、第二條第一號の規定に該當する場合は、この限りでない。
第四條又は第五條の規定により株式の處分をなすに當つては、一人の者に讓渡する株式の金額は、當該株式の發行會社の資本金額の百分の一に相當する金額又は五萬圓のいずれか高い額を超えることができない。但し、第一條第四項各號の一に該當する會社に讓渡する株式及び第七條第一項第一號又は第二號に規定する株式については、この限りでない。
第十條 持株會社整理委員會が承認した株式處分計畫書の定めるところに從い、第七條第一項第三號に揭げる者が、閣令の定める金融機關に對し當該株式を取得するに必要な資金の借入の申込をなしたときは、當該金融機關は閣令の定めるところにより、その申込に應じなければならない。
第十一條 指定會社、從屬會社又は關係會社の役員又は從業員の地位と他の會社の役員又は從業員の地位とは、左の各號の一に該當する場合を除く外、これを兼ねることができない。
一 第二條第二號に規定する會社の役員を兼ねるとき
二 企業再建整備法に規定する決定整備計畫の定めるところに從い他の會社の役員を兼ねるとき
三 株主又は債權者としての指定會社、從屬會社又は關係會社のために、支拂不能又は債務超過に陷る虞のある他の會社の役員を兼ねるとき
第十二條 この勅令施行の際現に左の各號の一以上に該當する者は、前條第一號又は第三號に該當するときを除く外、この勅令施行の日から一箇月以內に左に揭げる地位のうちいずれか一の地位を除いて他の地位を辭さなければならない。
一 指定會社と當該指定會社以外の會社の役員とを兼ねる者
二 指定會社の從業員と當該指定會社以外の會社の役員とを兼ねる者
三 從屬會社又は關係會社の役員と他の非指定會社の役員とを兼ねる者
四 從屬會社又は關係會社の從業員と他の非指定會社の役員とを兼ねる者
前項第三號及び第四號の規定は當該各號に揭げる地位のうち、昭和二十年十二月八日以後兼ねたものに限つて、これを適用する。
第一項第三號又は第四號の規定の適用により二以上の會社の役員又は從業員の地位を兼ねることができる場合においても、第十四條の規定の適用を妨げないものとする。
第十三條 指定會社は、その事業に關し、生產又は販賣、配分その他の取引の自由競爭の制限を內容とする契約を當該指定會社以外の會社との間になし、その他生產又は取引の自由競爭を制限する行爲をなしてはならない。但し、當該行爲について他の法令の規定に基く命令、許可、認可、承認等があつた場合はこの限りでない。
第十四條 指定會社、從屬會社又は關係會社は、非指定會社の決算又は業務の執行について豫め指定會社、從屬會社又は關係會社の承認を受くべき旨の契約その他非指定會社の事業の支配を內容とする契約を當該非指定會社との間になし、その他非指定會社の事業を支配する行爲をなしてはならない。指定會社、從屬會社又は關係會社の役員若しくは從業員又はその他の者が指定會社、從屬會社又は關係會社のために、非指定會社の事業の支配を內容とする契約を當該非指定會社との間になし、その他非指定會社の事業を支配する行爲をなすことについても、また、同樣とする。
前項の規定は當該行爲について他の法令の規定に基く命令、許可、認可、承認等があつた場合には、これを適用しない。
第十五條 この勅令施行の際現に存する契約で、第十三條又は前條第一項の規定に違反するものは、その際、その效力を失ふ。
第十六條 內閣總理大臣は、この勅令の施行に關し必要があると認めるときは、閣令の定めるところにより關係者から報吿を徵し、又は、關係者をして、閣令で定める者に對し、報吿を提出せしめることができる。
第十七條 第一條第四項及び第五項、第四條、第五條、第十二條並びに第十五條の規定は、この勅令施行後あらたに指定會社、從屬會社又は關係會社となる會社に、これを準用する。この場合においては、これらの規定中「この勅令施行の際」とあるのは「指定會社、從屬會社又は關係會社となつた際」、「この勅令施行の日」とあるのは「指定會社、從屬會社又は關係會社となつた日」と讀み替え、第四條第二項第四號中「第二條第二號」とあるのは「第二條第二號又は第三號」、第十二條第一項中「前條第一號又は第三號」とあるのは「前條第一號乃至第三號」と讀み替えるものとする。
第十八條 左の各號に揭げる違反があつた場合においては、その行爲をなした法人の代表者、代理人、使用人その他の從業者は、これを三年以下の懲役又は五千圓以下の罰金に處する。
一 第二條又は第三條の規定に違反して他の會社の株式又は社債等を取得したとき
二 第四條第一項(第十七條において準用する場合を含む。)の規定に違反して株式處分計畫書の提出を怠つたとき
三 第四條第三項(第十七條において準用する場合を含む。)の規定に違反して株式を處分したとき
四 第四條第五項(第十七條において準用する場合を含む。)の規定に違反して議決權の行使の委任を怠つたとき
五 第九條の規定に違反して株式を讓渡したとき
六 第十三條又は第十四條第一項前段の規定に違反して契約その他の行爲をなしたとき
第十九條 左の各號の一に該當する者は、これを三年以下の懲役又は五千圓以下の罰金に處する。
一 第五條第一項(第十七條において準用する場合を含む。)の規定に違反して株式處分計畫書の提出を怠つた者
二 第五條第三項(第十七條において準用する場合を含む。)の規定により準用する第四條第三項の規定に違反して株式を處分した者
三 第五條第三項(第十七條において準用する場合を含む。)の規定により準用する第四條第五項の規定に違反して議決權の行使の委任を怠つた者
四 第十一條の規定に違反して役員となつた者
五 第十二條(第十七條において準用する場合を含む。)の規定に違反して兼務の辭任をしない者
六 第十四條第一項後段の規定に違反して契約その他の行爲をなした者
第二十條 第十六條の規定による報吿を怠り又は虛僞の報吿をなした者は、これを一年以下の懲役又は三千圓以下の罰金に處する。
第二十一條 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の從業者が、その法人又は人の業務又は財產に關して第十八條又は前條の違反行爲をなしたときは、行爲者を罰する外、その法人又は人に對しても、各本條の罰金刑を科する。
第二十二條 この勅令中會社に關する規定は、閣令の定めるところにより會社以外の法人に對してこれを準用することができる。この場合において第十八條乃至前條の規定中準用された當該規定に係る部分は、當然準用があるものとする。
附 則
この勅令は、公布の日から、これを施行する。
持株會社整理委員會令の一部を次のように改正する。
第九條第一項第四號の次に次の二號を加へる。
五 昭和二十一年勅令第五百六十七號第四條第六項(第五條第三項ノ規定ニ依リ準用スル場合ヲ含ム。)ノ規定ニ依リ議決權ノ行使ノ委任ヲ受ケ其ノ事務ヲ處理スルコト
六 昭和二十一年勅令第五百六十七號第八條第一項ノ規定ニ依リ株式處分計畫書ノ變更ノ指示ヲナシ又ハ同條第三項ノ規定ニ依リ株式處分計畫書ノ承認ヲ爲スコト
第九條第二項中「前項ノ」を「前項第一號乃至第四號ニ揭グル」に改める。
第十條ノ二 持株會社以外ノ者ガ整理委員會ニ其ノ所有スル株式又ハ社員ノ持分ニ付有スル議決權ノ行使ヲ委任シタル場合ニ於テハ整理委員會ハソノ定ムル所ニ依リ手數料ヲ徵收スルコトヲ得
第十七條中「コレヲ行使スルコトヲ要ス」の下に「委任ヲ受ケタル議決權ノ行使ニ付亦同ジ」を加へる。
朕は、昭和二十年勅令第五百四十二号ポツダム宣言の受諾に伴ひ発する命令に関する件に基き会社の証券保有制限等に関する勅令を裁可し、ここにこれを公布せしめる。
御名御璽
昭和二十一年十一月二十二日
内閣総理大臣 吉田茂
司法大臣 木村篤太郎
商工大臣 星島二郎
大蔵大臣 石橋湛山
勅令第五百六十七号
第一条 この勅令で指定会社とは、昭和二十年勅令第六百五十七号第一条ノ二に規定する指定会社をいう。
この勅令で従属会社とは、一の指定会社が資本金額(出資総額、株金総額又は出資総額及び株金総額の合計額をいう。以下同じ。)の十分の一以上の金額に当る株式(社員の持分を含む。以下本条、第二条乃至第五条、第八条、第九条、第十八条及び第十九条において同じ。)を有する会社で指定会社以外のものをいう。
この勅令で関係会社とは、左の各号の一に該当する会社で指定会社及び従属会社以外のものをいう。
一 一の従属会社が資本金額の十分の一以上の金額に当る株式を有する会社
二 同一資本系統に属する会社の二以上の有する株式の金額の合計額が、資本金額の十分の一以上の金額となる会社
前項の同一資本系統に属する会社とは、左に掲げる会社をいう。
イ 一の指定会社
ロ 前記イに掲げる指定会社が資本金額の十分の一以上の金額に当る株式を有する会社
ハ 前記ロの会社が指定会社である場合においては、ロの会社が資本金額の十分の一以上の金額に当る株式を有する会社
三 一の指定会社又は従属会社が払込資本金額(払込出資金額、払込株金額又は払込出資金額及び払込株金額の合計額をいう。以下同じ。)の十分の一以上の金額に当る社債又は貸付金の債権(以下社債等をいう。)を有する会社
前二項の場合における株式又は社債等の所有額の計算については、左の各号の一に該当する会社がこの勅令施行の日以後において取得する株式又は社債等の金額は、これを算入しない。
一 銀行
二 信託会社
三 保険会社
四 無尽会社
五 有価証券の引受又は募集の取扱をなすことを営業とする会社
六 証券取引所によらない有価証券の売買又はその媒介をなすことを営業とする会社
第二項及び第三項の株式又は社債等の所有額の計算については左の各号の一に該当する株式又は社債等の金額は、これを算入しない。
一 銀行がこの勅令施行の日において現に有する貸付金の債権
二 前項第五号に該当する者がこの勅令施行の日前に引き受けた株式又は社債で、この勅令施行の日から九十日以内に処分されたもの
三 前項第六号に該当する者がこの勅令施行の日において現に有する株式又は社債で、この勅令施行の日から六十日以内に処分されたもの
委託者を受益者とする有価証券信託の引受に因り信託会社(信託業を営む銀行を含む。)が有し又は取得する株式又は社債は、委託者が当該株式又は社債を有し又は取得するものとみなしてこの勅令を適用する。
持株会社(持株会社整理委員会令第一条の規定により指定を受けた会社をいう。以下同じ。)が持株会社整理委員会に対し譲渡した株式又は社債等は、持株会社整理委員会がこれを処分するまでの間は、旧所有者たる持株会社がこれを有するものとみなして、この勅令を適用する。
第二項乃至前項において株式又は社債を有し又は取得するとは、株式又は社債の発行会社の株主名簿又は社債原簿に、当該株式の株主又は当該社債の社債権者として記載された場合に限る。
第二条 指定会社、従属会社又は関係会社は、左の各号の一に該当する場合を除く外、他の会社の株式又は社債等を取得することができない。
一 前条第四項各号の一に該当する会社が、株式又は社債等を取得するとき但し、当該会社が当該会社と前条第三項第二号に規定する同一資本系統に属する会社の株式を取得する場合を除く。
二 臨時物資需給調整法に基く命令により指定された会社その他別に勅令で定める会社の株式又は社債等を取得するとき
三 企業再建整備法に規定する決定整備計画の定めるところにより株式又は社債等を取得するとき
四 前条第六項に規定する有価証券信託の委託者たる会社が、この勅令の規定に従い、その信託に係る株式を処分するため、当該信託契約を解約して株式を取得するとき
第三条 指定会社、従属会社又は関係会社は、自己の計算において、当該会社の役員(取締役、監査役その他これに準ずべき者をいう。以下同じ。)若しくは従業員(役員を除く外、継続して会社の業務に従事する者をいう。以下同じ。)又はその他の者をして、他の会社の株式又は社債等を取得させてはならない。但し、当該会社の役員若しくは従業員又はその他の者が第一条第六項に規定する有価証券信託の委託者に該当する場合において、当該会社がこの勅令の規定に従い株式を処分するため、委託者をして信託契約を解約し当該株式を取得させるときはこの限りでない。
第四条 この勅令施行の際、現に存する指定会社又はその際その従属会社若しくは関係会社となつた会社は、この勅令施行の際、他の会社の株式を有するときは、閣令の定めるとこにより、当該株式の処分に関する計画書(以下株式処分計画書という。)を作成し、閣令で定める期限内に、これを持株会社整理委員会に提出し、その承認を受けなければならない。
前項の規定は左の各号の一に該当する株式については、これを適用しない。
一 前項に規定する会社(指定会社を除く。)が昭和二十年十二月八日前に取得した株式
二 前項に規定する会社で、第一条第四項各号に掲げる者が取得した株式(第一条第三項第二号に規定する当該会社と同一資本系統に属する会社の株式を除く。)
三 持株会社が有する株式
四 第二条第二号に規定する会社の発行した株式
五 内地以外の地に本店を有する会社の株式
第一項に規定する会社(指定会社を除く。)は、株式処分計画書について同項の規定による承認があるまでは、同項に規定する株式を処分することができない。但し、他の法令に基く命令、許可、認可、承認等があつた場合はこの限りでない。
第一項に規定する会社は、株式処分計画書について同項の規定による承認があつたときは、当該株式処分計画書の定めるところに従い、当該株式を処分しなければならない。
第一項に規定する会社は、同項の規定により処分すべき株式について、この勅令施行の日から一箇月以内にその議決権の行使を持株会社整理委員会に委任しなければならない。
持株会社整理委員会は前項の委任の申込があつたときは、これを承諾しなければならない。
第四項に規定する株式の処分及び第五項に規定する議決権の行使の委任は、他の法令、定款又は契約にかかわらず、これをなすことができる。
前三項に定めるものを除く外、第五項の規定による議決権の行使の委任に関し必要な事項は、閣令でこれを定める。
第一条第六項に規定する有価証券信託の委託者で第一項の規定により株式の処分をなすべき会社が、当該株式の処分又は議決権の行使の委任をなすため信託契約の解約の申入をなした場合においては、受託者はこれに応じなければならない。
第五条 前条第一項に規定する会社の役員若しくは従業員又はその他の者は、この勅令施行の際、当該会社の計算において他の会社の株式を有するときは、閣令の定めるところにより、株式処分計画書を作成し、閣令で定める期限内に、これを持株会社整理委員会に提出して、その承認を受けなければならない。
前項の規定は、左の各号の一に該当する株式については、これを適用しない。
一 昭和二十年十二月八日前に取得した株式
二 前条第二項第三号又は第五号に該当する株式
前条第三項乃至第九項の規定は、第一項の場合に、これを準用する。
第六条 前二条の規定により処分すべき株式については、第七条第一項第一号又は第二号に掲げるものを除く外、閣令の定めるところにより、先ず、左の各号に掲げる者に対し、左に掲げる順序に従い、その譲渡の予約の申込をしなければならない。
一 当該株式の発行会社の従業員
二 当該株式の発行会社の本店、支店その他の事務所、工場等の所在地に住所を有する個人
前項の規定は、第四条第一項又は前条第一項に規定する者の有する株式で前二条の規定による処分すべき株式の金額が、当該株式の発行会社の資本金額の十分の一に相当する金額(当該株式の発行会社の資本金が五百万円を超えるときは五十万円、当該株式の発行会社の資本金が二百万円未満のときは二十万円とする。)に満たない場合においては、当該株式について、これを適用しない。
第七条 株式処分計画書には、第四条又は第五条の規定により処分すべき株式について、左に掲げる事項を記載しなければならない。
一 当該株式の発行会社が、買入れて消却することの確定している株式で閣令で定めるものについては、その数及び当該発行会社
二 当該株式を所有する会社と当該株式の発行会社とが、合併することの確定している場合で閣令の定める場合においては、当該株式の数及び当該発行会社
三 前条第一項第一号の規定により当該株式の発行会社の従業員との間に譲渡の予約の成立した株式については、その数及びその従業員の氏名
四 前条第一項第二号の規定により当該株式の発行会社の本店、支店その他の事務所、工場等の所在地に住所を有する個人との間に譲渡の予約の成立した株式については、その数及びその譲受人たるべき者の氏名
五 前各号に掲げる株式以外の株式については、譲渡の予定計画その他必要なる事項
株式処分計画書には、閣令の定めるところに従い、株式の譲渡価額を定め、これを記載しなければならない。
第八条 持株会社整理委員会は、第四条又は第五条の規定により提出された株式処分計画書については、その記載事項が虚偽であると認められるとき又は株式処分計画書に記載された計画が、この勅令若しくはこの勅令に基いて発せられる命令の規定に違反してゐると認められるときは、これを承認してはならない。この場合においては、持株会社整理委員会は、当該計画書を変更すべきことを指示しなければならない。
持株会社整理委員会が株式処分計画書に記載された譲受人たるべき者が、他人の計画において株式を譲り受けようとする者であることを認めたときも、また、前項と同様とする。
前二項に規定する場合を除く外、持株会社整理委員会は、株式処分計画書の提出があつた場合には、これを承認しなければならない。
前三項に規定するものの外、株式処分計画書の承認に関して必要な事項は、閣令でこれを定める。
第九条 第七条第一項第一号又は第二号に掲げるものを除く外、第四条又は第五条に規定する株式は、法人に対して、これを譲渡してはならない。但し、第二条第一号の規定に該当する場合は、この限りでない。
第四条又は第五条の規定により株式の処分をなすに当つては、一人の者に譲渡する株式の金額は、当該株式の発行会社の資本金額の百分の一に相当する金額又は五万円のいずれか高い額を超えることができない。但し、第一条第四項各号の一に該当する会社に譲渡する株式及び第七条第一項第一号又は第二号に規定する株式については、この限りでない。
第十条 持株会社整理委員会が承認した株式処分計画書の定めるところに従い、第七条第一項第三号に掲げる者が、閣令の定める金融機関に対し当該株式を取得するに必要な資金の借入の申込をなしたときは、当該金融機関は閣令の定めるところにより、その申込に応じなければならない。
第十一条 指定会社、従属会社又は関係会社の役員又は従業員の地位と他の会社の役員又は従業員の地位とは、左の各号の一に該当する場合を除く外、これを兼ねることができない。
一 第二条第二号に規定する会社の役員を兼ねるとき
二 企業再建整備法に規定する決定整備計画の定めるところに従い他の会社の役員を兼ねるとき
三 株主又は債権者としての指定会社、従属会社又は関係会社のために、支払不能又は債務超過に陥る虞のある他の会社の役員を兼ねるとき
第十二条 この勅令施行の際現に左の各号の一以上に該当する者は、前条第一号又は第三号に該当するときを除く外、この勅令施行の日から一箇月以内に左に掲げる地位のうちいずれか一の地位を除いて他の地位を辞さなければならない。
一 指定会社と当該指定会社以外の会社の役員とを兼ねる者
二 指定会社の従業員と当該指定会社以外の会社の役員とを兼ねる者
三 従属会社又は関係会社の役員と他の非指定会社の役員とを兼ねる者
四 従属会社又は関係会社の従業員と他の非指定会社の役員とを兼ねる者
前項第三号及び第四号の規定は当該各号に掲げる地位のうち、昭和二十年十二月八日以後兼ねたものに限つて、これを適用する。
第一項第三号又は第四号の規定の適用により二以上の会社の役員又は従業員の地位を兼ねることができる場合においても、第十四条の規定の適用を妨げないものとする。
第十三条 指定会社は、その事業に関し、生産又は販売、配分その他の取引の自由競争の制限を内容とする契約を当該指定会社以外の会社との間になし、その他生産又は取引の自由競争を制限する行為をなしてはならない。但し、当該行為について他の法令の規定に基く命令、許可、認可、承認等があつた場合はこの限りでない。
第十四条 指定会社、従属会社又は関係会社は、非指定会社の決算又は業務の執行について予め指定会社、従属会社又は関係会社の承認を受くべき旨の契約その他非指定会社の事業の支配を内容とする契約を当該非指定会社との間になし、その他非指定会社の事業を支配する行為をなしてはならない。指定会社、従属会社又は関係会社の役員若しくは従業員又はその他の者が指定会社、従属会社又は関係会社のために、非指定会社の事業の支配を内容とする契約を当該非指定会社との間になし、その他非指定会社の事業を支配する行為をなすことについても、また、同様とする。
前項の規定は当該行為について他の法令の規定に基く命令、許可、認可、承認等があつた場合には、これを適用しない。
第十五条 この勅令施行の際現に存する契約で、第十三条又は前条第一項の規定に違反するものは、その際、その効力を失ふ。
第十六条 内閣総理大臣は、この勅令の施行に関し必要があると認めるときは、閣令の定めるところにより関係者から報告を徴し、又は、関係者をして、閣令で定める者に対し、報告を提出せしめることができる。
第十七条 第一条第四項及び第五項、第四条、第五条、第十二条並びに第十五条の規定は、この勅令施行後あらたに指定会社、従属会社又は関係会社となる会社に、これを準用する。この場合においては、これらの規定中「この勅令施行の際」とあるのは「指定会社、従属会社又は関係会社となつた際」、「この勅令施行の日」とあるのは「指定会社、従属会社又は関係会社となつた日」と読み替え、第四条第二項第四号中「第二条第二号」とあるのは「第二条第二号又は第三号」、第十二条第一項中「前条第一号又は第三号」とあるのは「前条第一号乃至第三号」と読み替えるものとする。
第十八条 左の各号に掲げる違反があつた場合においては、その行為をなした法人の代表者、代理人、使用人その他の従業者は、これを三年以下の懲役又は五千円以下の罰金に処する。
一 第二条又は第三条の規定に違反して他の会社の株式又は社債等を取得したとき
二 第四条第一項(第十七条において準用する場合を含む。)の規定に違反して株式処分計画書の提出を怠つたとき
三 第四条第三項(第十七条において準用する場合を含む。)の規定に違反して株式を処分したとき
四 第四条第五項(第十七条において準用する場合を含む。)の規定に違反して議決権の行使の委任を怠つたとき
五 第九条の規定に違反して株式を譲渡したとき
六 第十三条又は第十四条第一項前段の規定に違反して契約その他の行為をなしたとき
第十九条 左の各号の一に該当する者は、これを三年以下の懲役又は五千円以下の罰金に処する。
一 第五条第一項(第十七条において準用する場合を含む。)の規定に違反して株式処分計画書の提出を怠つた者
二 第五条第三項(第十七条において準用する場合を含む。)の規定により準用する第四条第三項の規定に違反して株式を処分した者
三 第五条第三項(第十七条において準用する場合を含む。)の規定により準用する第四条第五項の規定に違反して議決権の行使の委任を怠つた者
四 第十一条の規定に違反して役員となつた者
五 第十二条(第十七条において準用する場合を含む。)の規定に違反して兼務の辞任をしない者
六 第十四条第一項後段の規定に違反して契約その他の行為をなした者
第二十条 第十六条の規定による報告を怠り又は虚偽の報告をなした者は、これを一年以下の懲役又は三千円以下の罰金に処する。
第二十一条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関して第十八条又は前条の違反行為をなしたときは、行為者を罰する外、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。
第二十二条 この勅令中会社に関する規定は、閣令の定めるところにより会社以外の法人に対してこれを準用することができる。この場合において第十八条乃至前条の規定中準用された当該規定に係る部分は、当然準用があるものとする。
附 則
この勅令は、公布の日から、これを施行する。
持株会社整理委員会令の一部を次のように改正する。
第九条第一項第四号の次に次の二号を加へる。
五 昭和二十一年勅令第五百六十七号第四条第六項(第五条第三項ノ規定ニ依リ準用スル場合ヲ含ム。)ノ規定ニ依リ議決権ノ行使ノ委任ヲ受ケ其ノ事務ヲ処理スルコト
六 昭和二十一年勅令第五百六十七号第八条第一項ノ規定ニ依リ株式処分計画書ノ変更ノ指示ヲナシ又ハ同条第三項ノ規定ニ依リ株式処分計画書ノ承認ヲ為スコト
第九条第二項中「前項ノ」を「前項第一号乃至第四号ニ掲グル」に改める。
第十条ノ二 持株会社以外ノ者ガ整理委員会ニ其ノ所有スル株式又ハ社員ノ持分ニ付有スル議決権ノ行使ヲ委任シタル場合ニ於テハ整理委員会ハソノ定ムル所ニ依リ手数料ヲ徴収スルコトヲ得
第十七条中「コレヲ行使スルコトヲ要ス」の下に「委任ヲ受ケタル議決権ノ行使ニ付亦同ジ」を加へる。