官立大学官制
法令番号: 勅令第二百六號
公布年月日: 昭和21年4月1日
法令の形式: 勅令
朕官立大學官制ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和二十一年四月一日
內閣總理大臣 男爵 幣原喜重郞
文部大臣 安倍能成
勅令第二百六號
官立大學官制
第一條 官立大學ハ左ノ如シ
東京產業大學
神戶經濟大學
新潟醫科大學
岡山醫科大學
千葉醫科大學
金澤醫科大學
長崎醫科大學
熊本醫科大學
東京工業大學
東京文理科大學
廣島文理科大學
第二條 官立大學ニ左ノ職員ヲ置ク
大學長
敎授
助敎授
文部敎官
文部事務官
文部技官
第三條 大學長ハ一級ノ文部敎官又ハ文部事務官ヲ以テ之ニ充ツ文部大臣ノ監督ヲ承ケ官立大學一般ノ事ヲ掌リ所屬職員ヲ統督ス
大學長ハ一級官吏及二級官吏ノ進退ニ關シテハ文部大臣ニ具狀シ三級官吏ニ關シテハ之ヲ專行ス
第四條 敎授ハ一級又ハ二級ノ文部敎官ヲ以テ之ニ充ツ學生ヲ敎授シ其ノ研究ヲ指導ス
第五條 助敎授ハ二級ノ文部敎官ヲ以テ之ニ充ツ敎授ヲ助ケテ授業及實驗ニ從事ス
第六條 官立大學長ハ必要アル場合ニ於テハ講師ヲ囑託スルコトヲ得
第七條 官立大學ニ敎授會ヲ置キ敎授ヲ以テ之ヲ組織ス
大學長ハ敎授會ヲ召集シ其ノ議長トナル
第八條 敎授會ハ左ノ事項ヲ審議ス
一 學科課程ニ關スル事項
二 學生ノ試驗ニ關スル事項
三 學位ニ關スル事項
四 文部大臣又ハ大學長ノ諮詢シタル事項
第九條 大學長ハ必要アリト認ムルトキハ助敎授、事務官又ハ講師ヲ敎授會ニ列席セシムルコトヲ得
第十條 新潟醫科大學、岡山醫科大學、千葉醫科大學、金澤醫科大學、長崎醫科大學及熊本醫科大學ニ附屬醫院ヲ置ク
醫院ニ醫院長及文部技官ヲ置ク
醫院長ハ敎授タル文部敎官ヲ以テ之ニ充ツ大學長ノ監督ヲ承ケ醫院ノ事ヲ掌ル
第十一條 前條第一項ノ大學ニ看護婦養成施設ヲ置ク
看護婦養成施設ニ主事ヲ置キ敎授又ハ助敎授タル文部敎官ヲ以テ之ニ充ツ上官ノ命ヲ承ケ看護婦養成施設ノ事ヲ掌ル
第十二條 東京工業大學ニ同大學ノ學生ニシテ工業ニ關スル專門學校ノ敎員タラントスルモノニ必要ナル敎育ヲ爲ス爲附屬高等工業敎員養成所ヲ置ク
高等工業敎員養成所ニ所長ヲ置キ敎授タル文部敎官ヲ以テ之ニ充ツ大學長ノ命ヲ承ケ高等工業敎員養成所ノ事ヲ掌ル
第十三條 東京產業大學及神戶經濟大學ニ豫科ヲ置ク
豫科ニ豫科長、豫科敎授及文部敎官ヲ置ク
豫科長ハ豫科敎授タル一級又ハ二級ノ文部敎官ヲ以テ之ニ充ツ大學長ノ命ヲ承ケ豫科ノ事ヲ掌リ職員ヲ監督ス
豫科敎授ハ一級又ハ二級ノ文部敎官ヲ以テ之ニ充ツ生徒ノ敎育ヲ掌ル
第十四條 東京工業大學ニ同大學ニ入學セントスル外國人留學生ノ豫備敎育ヲ爲ス爲附屬豫備部ヲ置ク
豫備部ニ部長、豫備部敎授及文部敎官ヲ置ク
部長ハ豫備部敎授タル一級又ハ二級ノ文部敎官ヲ以テ之ニ充ツ大學長ノ命ヲ承ケ豫備部ノ事ヲ掌リ職員ヲ監督ス
豫備部敎授ハ一級又ハ二級ノ文部敎官ヲ以テ之ニ充ツ生徒ノ敎育ヲ掌ル
第十五條 東京產業大學ニ附屬商學專門部ヲ、千葉醫科大學、金澤醫科大學及長崎醫科大學ニ附屬藥學專門部ヲ、東京工業大學ニ附屬工業專門部ヲ置ク
各專門部ニ部長、專門部敎授及文部敎官ヲ置ク
部長ハ專門部敎授タル一級又ハ二級ノ文部敎官ヲ以テ之ニ充ツ大學長ノ命ヲ承ケ專門部ノ事ヲ掌リ職員ヲ監督ス
專門部敎授ハ一級又ハ二級ノ文部敎官ヲ以テ之ニ充ツ生徒ノ敎育ヲ掌ル
第十六條 東京產業大學ニ經濟研究所ヲ、神戶經濟大學ニ經營機械化研究所ヲ、岡山醫科大學ニ放射能泉研究所ヲ、金澤醫科大學ニ結核研究所ヲ、長崎醫科大學ニ風土病研究所ヲ、熊本醫科大學ニ體質醫學研究所ヲ、東京工業大學ニ建築材料研究所、資源化學研究所、精密機械研究所、窯業研究所、電氣科學研究所及燃料科學研究所ヲ、廣島文理科大學ニ理論物理學研究所ヲ附置ス
經濟研究所ハ世界各國ノ經濟ニ關スル綜合研究ヲ、經營機械化研究所ハ經營(經理ヲ含ム)ノ機械化ニ關スル學理及技術ノ研究ヲ、放射能泉研究所ハ放射能泉ニ關スル學理及其ノ應用ノ研究ヲ、結核研究所ハ結核ノ豫防及治療ニ關スル學理及其ノ應用ノ研究ヲ、風土病研究所ハ風土病ニ關スル學理及其ノ應用ノ研究ヲ、體質醫學研究所ハ體質醫學ノ學理及其ノ應用ノ研究ヲ、建築材料研究所ハ建築用材料ニ關スル學理及應用ノ研究ヲ、資源化學研究所ハ資源ニ關スル化學ノ學理及應用ノ研究ヲ、精密機械研究所ハ精密機械ニ關スル學理及應用ノ研究ヲ、窯業研究所ハ窯業ニ關スル學理及應用ノ研究ヲ、電氣科學研究所ハ電氣科學ニ關スル學理及應用ノ研究ヲ、燃料科學研究所ハ燃料科學ニ關スル學理及應用ノ研究ヲ、理論物理學研究所ハ物理學ノ基礎理論ニ關スル綜合研究ヲ掌ル
各研究所ニ所長、文部敎官及文部事務官ヲ置ク
所長ハ敎授タル文部敎官ヲ以テ之ニ充ツ大學長ノ監督ノ下ニ於テ研究所ノ事ヲ掌ル
敎授タル文部敎官ニシテ所長ニ補セラレタルモノ又ハ敎授若ハ助敎授タル文部敎官ニシテ研究所ノ職員タルモノハ所務ヲ掌リ又ハ研究ヲ掌ル
前項ノ敎授及助敎授ニハ授業ヲ擔任セシメザルコトヲ得
第十七條 東京文理科大學及廣島文理科大學ニ附屬臨海實驗所ヲ置ク
各臨海實驗所ニ所長ヲ置キ敎授又ハ助敎授タル文部敎官ヲ以テ之ニ充ツ大學長ノ監督ノ下ニ於テ臨海實驗所ノ事ヲ掌ル
第十八條 官立大學ニ附屬圖書館ヲ置ク
圖書館ニ圖書館長ヲ置キ敎授又ハ助敎授タル文部敎官ヲ以テ之ニ充ツ大學長ノ監督ノ下ニ於テ圖書館ノ事ヲ掌ル
第十九條 官立大學、附屬醫院、豫科、附屬豫備部及附屬專門部ノ專任職員ノ定員ハ別表第一乃至第三ニ依ル
附 則
本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
官立經濟大學官制、官立醫科大學官制、官立工業大學官制及官立文理科大學官制ハ之ヲ廢止ス
(別表第一)
【表】
(別表第二)
【表】
(別表第三)
【表】
朕官立大学官制ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和二十一年四月一日
内閣総理大臣 男爵 幣原喜重郎
文部大臣 安倍能成
勅令第二百六号
官立大学官制
第一条 官立大学ハ左ノ如シ
東京産業大学
神戸経済大学
新潟医科大学
岡山医科大学
千葉医科大学
金沢医科大学
長崎医科大学
熊本医科大学
東京工業大学
東京文理科大学
広島文理科大学
第二条 官立大学ニ左ノ職員ヲ置ク
大学長
教授
助教授
文部教官
文部事務官
文部技官
第三条 大学長ハ一級ノ文部教官又ハ文部事務官ヲ以テ之ニ充ツ文部大臣ノ監督ヲ承ケ官立大学一般ノ事ヲ掌リ所属職員ヲ統督ス
大学長ハ一級官吏及二級官吏ノ進退ニ関シテハ文部大臣ニ具状シ三級官吏ニ関シテハ之ヲ専行ス
第四条 教授ハ一級又ハ二級ノ文部教官ヲ以テ之ニ充ツ学生ヲ教授シ其ノ研究ヲ指導ス
第五条 助教授ハ二級ノ文部教官ヲ以テ之ニ充ツ教授ヲ助ケテ授業及実験ニ従事ス
第六条 官立大学長ハ必要アル場合ニ於テハ講師ヲ嘱託スルコトヲ得
第七条 官立大学ニ教授会ヲ置キ教授ヲ以テ之ヲ組織ス
大学長ハ教授会ヲ召集シ其ノ議長トナル
第八条 教授会ハ左ノ事項ヲ審議ス
一 学科課程ニ関スル事項
二 学生ノ試験ニ関スル事項
三 学位ニ関スル事項
四 文部大臣又ハ大学長ノ諮詢シタル事項
第九条 大学長ハ必要アリト認ムルトキハ助教授、事務官又ハ講師ヲ教授会ニ列席セシムルコトヲ得
第十条 新潟医科大学、岡山医科大学、千葉医科大学、金沢医科大学、長崎医科大学及熊本医科大学ニ附属医院ヲ置ク
医院ニ医院長及文部技官ヲ置ク
医院長ハ教授タル文部教官ヲ以テ之ニ充ツ大学長ノ監督ヲ承ケ医院ノ事ヲ掌ル
第十一条 前条第一項ノ大学ニ看護婦養成施設ヲ置ク
看護婦養成施設ニ主事ヲ置キ教授又ハ助教授タル文部教官ヲ以テ之ニ充ツ上官ノ命ヲ承ケ看護婦養成施設ノ事ヲ掌ル
第十二条 東京工業大学ニ同大学ノ学生ニシテ工業ニ関スル専門学校ノ教員タラントスルモノニ必要ナル教育ヲ為ス為附属高等工業教員養成所ヲ置ク
高等工業教員養成所ニ所長ヲ置キ教授タル文部教官ヲ以テ之ニ充ツ大学長ノ命ヲ承ケ高等工業教員養成所ノ事ヲ掌ル
第十三条 東京産業大学及神戸経済大学ニ予科ヲ置ク
予科ニ予科長、予科教授及文部教官ヲ置ク
予科長ハ予科教授タル一級又ハ二級ノ文部教官ヲ以テ之ニ充ツ大学長ノ命ヲ承ケ予科ノ事ヲ掌リ職員ヲ監督ス
予科教授ハ一級又ハ二級ノ文部教官ヲ以テ之ニ充ツ生徒ノ教育ヲ掌ル
第十四条 東京工業大学ニ同大学ニ入学セントスル外国人留学生ノ予備教育ヲ為ス為附属予備部ヲ置ク
予備部ニ部長、予備部教授及文部教官ヲ置ク
部長ハ予備部教授タル一級又ハ二級ノ文部教官ヲ以テ之ニ充ツ大学長ノ命ヲ承ケ予備部ノ事ヲ掌リ職員ヲ監督ス
予備部教授ハ一級又ハ二級ノ文部教官ヲ以テ之ニ充ツ生徒ノ教育ヲ掌ル
第十五条 東京産業大学ニ附属商学専門部ヲ、千葉医科大学、金沢医科大学及長崎医科大学ニ附属薬学専門部ヲ、東京工業大学ニ附属工業専門部ヲ置ク
各専門部ニ部長、専門部教授及文部教官ヲ置ク
部長ハ専門部教授タル一級又ハ二級ノ文部教官ヲ以テ之ニ充ツ大学長ノ命ヲ承ケ専門部ノ事ヲ掌リ職員ヲ監督ス
専門部教授ハ一級又ハ二級ノ文部教官ヲ以テ之ニ充ツ生徒ノ教育ヲ掌ル
第十六条 東京産業大学ニ経済研究所ヲ、神戸経済大学ニ経営機械化研究所ヲ、岡山医科大学ニ放射能泉研究所ヲ、金沢医科大学ニ結核研究所ヲ、長崎医科大学ニ風土病研究所ヲ、熊本医科大学ニ体質医学研究所ヲ、東京工業大学ニ建築材料研究所、資源化学研究所、精密機械研究所、窯業研究所、電気科学研究所及燃料科学研究所ヲ、広島文理科大学ニ理論物理学研究所ヲ附置ス
経済研究所ハ世界各国ノ経済ニ関スル綜合研究ヲ、経営機械化研究所ハ経営(経理ヲ含ム)ノ機械化ニ関スル学理及技術ノ研究ヲ、放射能泉研究所ハ放射能泉ニ関スル学理及其ノ応用ノ研究ヲ、結核研究所ハ結核ノ予防及治療ニ関スル学理及其ノ応用ノ研究ヲ、風土病研究所ハ風土病ニ関スル学理及其ノ応用ノ研究ヲ、体質医学研究所ハ体質医学ノ学理及其ノ応用ノ研究ヲ、建築材料研究所ハ建築用材料ニ関スル学理及応用ノ研究ヲ、資源化学研究所ハ資源ニ関スル化学ノ学理及応用ノ研究ヲ、精密機械研究所ハ精密機械ニ関スル学理及応用ノ研究ヲ、窯業研究所ハ窯業ニ関スル学理及応用ノ研究ヲ、電気科学研究所ハ電気科学ニ関スル学理及応用ノ研究ヲ、燃料科学研究所ハ燃料科学ニ関スル学理及応用ノ研究ヲ、理論物理学研究所ハ物理学ノ基礎理論ニ関スル綜合研究ヲ掌ル
各研究所ニ所長、文部教官及文部事務官ヲ置ク
所長ハ教授タル文部教官ヲ以テ之ニ充ツ大学長ノ監督ノ下ニ於テ研究所ノ事ヲ掌ル
教授タル文部教官ニシテ所長ニ補セラレタルモノ又ハ教授若ハ助教授タル文部教官ニシテ研究所ノ職員タルモノハ所務ヲ掌リ又ハ研究ヲ掌ル
前項ノ教授及助教授ニハ授業ヲ担任セシメザルコトヲ得
第十七条 東京文理科大学及広島文理科大学ニ附属臨海実験所ヲ置ク
各臨海実験所ニ所長ヲ置キ教授又ハ助教授タル文部教官ヲ以テ之ニ充ツ大学長ノ監督ノ下ニ於テ臨海実験所ノ事ヲ掌ル
第十八条 官立大学ニ附属図書館ヲ置ク
図書館ニ図書館長ヲ置キ教授又ハ助教授タル文部教官ヲ以テ之ニ充ツ大学長ノ監督ノ下ニ於テ図書館ノ事ヲ掌ル
第十九条 官立大学、附属医院、予科、附属予備部及附属専門部ノ専任職員ノ定員ハ別表第一乃至第三ニ依ル
附 則
本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
官立経済大学官制、官立医科大学官制、官立工業大学官制及官立文理科大学官制ハ之ヲ廃止ス
(別表第一)
【表】
(別表第二)
【表】
(別表第三)
【表】