朕樞密顧問ノ諮詢ヲ經テ軍需省官制ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十八年十一月一日
內閣總理大臣兼陸軍大臣 商工大臣 東條英機
海軍大臣 嶋田繁太郞
勅令第八百二十四號
軍需省官制
第一條 軍需大臣ハ左ノ事務ヲ管理ス
一 國家總動員ノ基本ニ關スル事項
二 鑛工業一般ニ關スル事項
三 鑛產物及工業品(鐵道車輛、鐵道信號保安裝置、船舶、船舶用品、纖維工業品及主トシテ國民生活ノ用ニ供スル其ノ他ノ工業品ヲ除ク以下所管物資ト總稱ス)ノ生產、配給及消費竝ニ價格ニ關スル事項
四 主要軍需品ノ原料及材料竝ニ特定軍需品ノ生產管理、發注及調辨ニ關スル事項
五 民間工場ノ利用及設備經營ノ指導ノ軍需上必要ナル統制ニ關スル事項
六 所管物資又ハ電力ノ生產又ハ配給ヲ目的トスル企業(他ノ目的ノ企業ヲ兼營スル場合ニ於テハ當該部分ニ限ル以下所管企業ト稱ス)ニ於ケル勤勞管理、賃金、資金調整(資金ノ調達ニ關スルモノヲ除ク)及經理統制(增配ニ關スルモノヲ除ク)ニ關スル事項
七 電氣及發電水力ニ關スル事項
八 アルコール及石油ノ專賣ニ關スル事項
軍需大臣ハ前項第一號ニ揭グル事務ヲ行フニ付必要アルトキハ關係各廳ニ對シ資料ノ提出又ハ說明ヲ求ムルコトヲ得
第二條 軍需省ニ左ノ一總局及八局ヲ置ク
總動員局
航空兵器總局
機械局
鐵鋼局
輕金屬局
非鐵金屬局
化學局
燃料局
電力局
局中局務ヲ分掌スル爲軍需大臣ノ定ムル所ニ依リ部又ハ部及課ヲ置クコトヲ得
航空兵器總局ニ長官官房竝ニ總務局、第一局、第二局、第三局及第四局ヲ置ク
第三條 總動員局ニ於テハ左ノ事務ヲ掌ル
一 物資動員計畫、生產擴充計畫及電力動員計畫ノ總括其ノ他國家總動員ノ基本ニ關スル事項
二 所管行政ノ考査一般ニ關スル事項
三 鑛工業一般ニ關スル事項
四 所管物資ノ價格一般ニ關スル事項
五 統計一般ニ關スル事項
六 主要軍需品ノ原料及材料竝ニ特定軍需品ノ生產管理、發注及調辨ノ綜合調整ニ關スル事項
七 民間工場ノ利用及設備經營ノ指導ノ軍需上必要ナル統制ノ綜合調整ニ關スル事項
八 所管企業ニ於ケル勤勞管理、賃金、資金調整及經理統制ニ關スル事項
九 所管防衞業務ノ總括ニ關スル事項
十 他ノ主管ニ屬セザル事項
第四條 航空兵器總局ニ於テハ航空機及其ノ關聯兵器器材等ニ關スル事務(此等ノ物資ノ調辨及之ニ伴フ事務ヲ含ム)ヲ掌ル
第五條 機械局ニ於テハ機械器具(航空兵器總局ノ主管ニ屬スルモノヲ除ク)ニ關スル事務ヲ掌ル
第六條 鐵鋼局ニ於テハ鐵鋼ニ關スル事務ヲ掌ル
第七條 輕金屬局ニ於テハ輕金屬ニ關スル事務ヲ掌ル
第八條 非鐵金屬局ニ於テハ非鐵金屬及鑛山一般ニ關スル事務ヲ掌ル
第九條 化學局ニ於テハ化學工業品ニ關スル事務(工業鹽及粗製樟腦ノ配給及消費ニ關スル事務ヲ含ミ化學肥料ノ生產數量、配給及消費ニ關スル事務ヲ除ク)ヲ掌ル
第十條 燃料局ニ於テハ左ノ事務ヲ掌ル
一 燃料ニ關スル事項
二 ガス及コークスニ關スル事項
三 アルコール及石油ノ專賣ニ關スル事項
第十一條 電力局ニ於テハ電氣及發電水力ニ關スル事務ヲ掌ル
第十二條 軍需省ニ軍需官ヲ置ク勅任又ハ奏任トス上官ノ命ヲ承ケ軍需省ノ事務ヲ掌ル
第十三條 軍需省ニ軍需事務官及軍需理事官ヲ置ク奏任トス上官ノ命ヲ承ケ軍需省ノ事務ヲ掌ル
第十四條 部長、軍需官、軍需書記官及軍需事務官ハ通ジテ專任九十七人ヲ以テ定員トス但シ勅任タル部長及軍需官ハ通ジテ專任五人以內トス
軍需理事官ハ專任十四人ヲ以テ定員トス
第十五條 軍需省ニ統計官專任二人ヲ置ク奏任トス上官ノ命ヲ承ケ鑛工統計ヲ掌ル
第十六條 軍需省ニ軍需技監專任一人ヲ置ク勅任トス上官ノ命ヲ承ケ技術ヲ掌理ス
第十七條 軍需省ニ軍需技師專任百七人ヲ置ク奏任トス但シ內三人ヲ勅任ト爲スコトヲ得上官ノ命ヲ承ケ技術ヲ掌ル
第十八條 軍需省ニ軍需官補ヲ置ク判任トス上官ノ指揮ヲ承ケ軍需官ノ事務ヲ助ク
第十九條 軍需官補及軍需屬ハ通ジテ專任五百十八人ヲ以テ定員トス
第二十條 軍需省ニ統計官補專任八人ヲ置ク判任トス上官ノ指揮ヲ承ケ鑛工統計ニ從事ス
第二十一條 軍需省ニ軍需技手專任三百十九人ヲ置ク判任トス上官ノ指揮ヲ承ケ技術ニ從事ス
第二十二條 第十二條乃至前條ノ職員ノ外軍需大臣ノ奏請ニ依リ關係各廳高等官ノ中ヨリ內閣ニ於テ事務官ヲ命ズルコトヲ得
第二十三條 軍需省ニ參與ヲ置キ省務ニ參與セシム
參與ハ軍需大臣ノ奏請ニ依リ關係各廳勅任官及學識經驗アル者ノ中ヨリ內閣ニ於テ之ヲ命ズ
參與ハ其ノ職務ニ關シ知得シタル祕密ヲ嚴守スベシ
第二十四條 軍需省ニ專門委員ヲ置キ專門ノ事項ヲ調査セシム
專門委員ハ軍需大臣ノ奏請ニ依リ學識經驗アル者ノ中ヨリ內閣ニ於テ之ヲ命ズ
專門委員ハ其ノ職務ニ關シ知得シタル祕密ヲ嚴守スベシ
第二十五條 特定軍需品ニ關スル軍事上必要ナル事項ニ付テハ航空兵器總局長官及燃料局長ハ陸軍大臣及海軍大臣ノ指揮監督ヲモ承クルモノトス
第二十六條 軍需省ニ鑛務監督官及鑛務監督官補ヲ置ク
鑛務監督官ハ軍需官、軍需書記官、軍需事務官又ハ軍需技師ヲ以テ、鑛務監督官補ハ軍需官補、軍需屬又ハ軍需技手ヲ以テ之ニ充ツ
鑛務監督官ハ上官ノ命ヲ承ケ鑛業警察(鑛山ニ於ケル勤勞衞生ヲ除ク)ニ關スル事務ヲ掌ル
鑛務監督官補ハ上官ノ指揮ヲ承ケ鑛業警察(鑛山ニ於ケル勤勞衞生ヲ除ク)ニ關スル事務ニ從事ス
附 則
本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
企畫院官制、商工省官制、燃料局官制及物價局官制ハ之ヲ廢止ス
本令施行ノ際現ニ企畫院、商工省又ハ燃料局ノ職員ノ職ニ在ル者別ニ辭令ヲ發セラレザルトキハ企畫院書記官、商工書記官及燃料局書記官ハ軍需書記官ニ、企畫院事務官、商工事務官及燃料局事務官ハ軍需事務官ニ、企畫院調査官ハ軍需省軍需官ニ、商工省統計官及燃料局統計官ハ軍需省統計官ニ、企畫院理事官、商工理事官及燃料局理事官ハ軍需理事官ニ、企畫院技師、商工技師及燃料局技師ハ軍需技師ニ、企畫院屬、商工屬及燃料局屬ハ軍需屬ニ、商工省統計官補及燃料局統計官補ハ軍需省統計官補ニ、企畫院技手、商工技手及燃料局技手ハ軍需技手ニ同官等俸給ヲ以テ任ゼラレタルモノトス
本令施行ノ際現ニ企畫院、商工省又ハ燃料局ノ職員ニシテ休職中ノモノ別ニ辭令ヲ發セラレザルトキハ休職ノ儘前項ノ例ニ依リ軍需省職員ニ同官等俸給ヲ以テ任ゼラレタルモノトス
昭和十三年勅令第五百四十八號中「農林省物價事務官及物價局物價事務官ハ各」ヲ「農商省物價事務官ハ」ニ改ム
朕枢密顧問ノ諮詢ヲ経テ軍需省官制ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十八年十一月一日
内閣総理大臣兼陸軍大臣 商工大臣 東条英機
海軍大臣 嶋田繁太郎
勅令第八百二十四号
軍需省官制
第一条 軍需大臣ハ左ノ事務ヲ管理ス
一 国家総動員ノ基本ニ関スル事項
二 鉱工業一般ニ関スル事項
三 鉱産物及工業品(鉄道車輛、鉄道信号保安装置、船舶、船舶用品、繊維工業品及主トシテ国民生活ノ用ニ供スル其ノ他ノ工業品ヲ除ク以下所管物資ト総称ス)ノ生産、配給及消費並ニ価格ニ関スル事項
四 主要軍需品ノ原料及材料並ニ特定軍需品ノ生産管理、発注及調弁ニ関スル事項
五 民間工場ノ利用及設備経営ノ指導ノ軍需上必要ナル統制ニ関スル事項
六 所管物資又ハ電力ノ生産又ハ配給ヲ目的トスル企業(他ノ目的ノ企業ヲ兼営スル場合ニ於テハ当該部分ニ限ル以下所管企業ト称ス)ニ於ケル勤労管理、賃金、資金調整(資金ノ調達ニ関スルモノヲ除ク)及経理統制(増配ニ関スルモノヲ除ク)ニ関スル事項
七 電気及発電水力ニ関スル事項
八 アルコール及石油ノ専売ニ関スル事項
軍需大臣ハ前項第一号ニ掲グル事務ヲ行フニ付必要アルトキハ関係各庁ニ対シ資料ノ提出又ハ説明ヲ求ムルコトヲ得
第二条 軍需省ニ左ノ一総局及八局ヲ置ク
総動員局
航空兵器総局
機械局
鉄鋼局
軽金属局
非鉄金属局
化学局
燃料局
電力局
局中局務ヲ分掌スル為軍需大臣ノ定ムル所ニ依リ部又ハ部及課ヲ置クコトヲ得
航空兵器総局ニ長官官房並ニ総務局、第一局、第二局、第三局及第四局ヲ置ク
第三条 総動員局ニ於テハ左ノ事務ヲ掌ル
一 物資動員計画、生産拡充計画及電力動員計画ノ総括其ノ他国家総動員ノ基本ニ関スル事項
二 所管行政ノ考査一般ニ関スル事項
三 鉱工業一般ニ関スル事項
四 所管物資ノ価格一般ニ関スル事項
五 統計一般ニ関スル事項
六 主要軍需品ノ原料及材料並ニ特定軍需品ノ生産管理、発注及調弁ノ綜合調整ニ関スル事項
七 民間工場ノ利用及設備経営ノ指導ノ軍需上必要ナル統制ノ綜合調整ニ関スル事項
八 所管企業ニ於ケル勤労管理、賃金、資金調整及経理統制ニ関スル事項
九 所管防衛業務ノ総括ニ関スル事項
十 他ノ主管ニ属セザル事項
第四条 航空兵器総局ニ於テハ航空機及其ノ関連兵器器材等ニ関スル事務(此等ノ物資ノ調弁及之ニ伴フ事務ヲ含ム)ヲ掌ル
第五条 機械局ニ於テハ機械器具(航空兵器総局ノ主管ニ属スルモノヲ除ク)ニ関スル事務ヲ掌ル
第六条 鉄鋼局ニ於テハ鉄鋼ニ関スル事務ヲ掌ル
第七条 軽金属局ニ於テハ軽金属ニ関スル事務ヲ掌ル
第八条 非鉄金属局ニ於テハ非鉄金属及鉱山一般ニ関スル事務ヲ掌ル
第九条 化学局ニ於テハ化学工業品ニ関スル事務(工業塩及粗製樟脳ノ配給及消費ニ関スル事務ヲ含ミ化学肥料ノ生産数量、配給及消費ニ関スル事務ヲ除ク)ヲ掌ル
第十条 燃料局ニ於テハ左ノ事務ヲ掌ル
一 燃料ニ関スル事項
二 ガス及コークスニ関スル事項
三 アルコール及石油ノ専売ニ関スル事項
第十一条 電力局ニ於テハ電気及発電水力ニ関スル事務ヲ掌ル
第十二条 軍需省ニ軍需官ヲ置ク勅任又ハ奏任トス上官ノ命ヲ承ケ軍需省ノ事務ヲ掌ル
第十三条 軍需省ニ軍需事務官及軍需理事官ヲ置ク奏任トス上官ノ命ヲ承ケ軍需省ノ事務ヲ掌ル
第十四条 部長、軍需官、軍需書記官及軍需事務官ハ通ジテ専任九十七人ヲ以テ定員トス但シ勅任タル部長及軍需官ハ通ジテ専任五人以内トス
軍需理事官ハ専任十四人ヲ以テ定員トス
第十五条 軍需省ニ統計官専任二人ヲ置ク奏任トス上官ノ命ヲ承ケ鉱工統計ヲ掌ル
第十六条 軍需省ニ軍需技監専任一人ヲ置ク勅任トス上官ノ命ヲ承ケ技術ヲ掌理ス
第十七条 軍需省ニ軍需技師専任百七人ヲ置ク奏任トス但シ内三人ヲ勅任ト為スコトヲ得上官ノ命ヲ承ケ技術ヲ掌ル
第十八条 軍需省ニ軍需官補ヲ置ク判任トス上官ノ指揮ヲ承ケ軍需官ノ事務ヲ助ク
第十九条 軍需官補及軍需属ハ通ジテ専任五百十八人ヲ以テ定員トス
第二十条 軍需省ニ統計官補専任八人ヲ置ク判任トス上官ノ指揮ヲ承ケ鉱工統計ニ従事ス
第二十一条 軍需省ニ軍需技手専任三百十九人ヲ置ク判任トス上官ノ指揮ヲ承ケ技術ニ従事ス
第二十二条 第十二条乃至前条ノ職員ノ外軍需大臣ノ奏請ニ依リ関係各庁高等官ノ中ヨリ内閣ニ於テ事務官ヲ命ズルコトヲ得
第二十三条 軍需省ニ参与ヲ置キ省務ニ参与セシム
参与ハ軍需大臣ノ奏請ニ依リ関係各庁勅任官及学識経験アル者ノ中ヨリ内閣ニ於テ之ヲ命ズ
参与ハ其ノ職務ニ関シ知得シタル秘密ヲ厳守スベシ
第二十四条 軍需省ニ専門委員ヲ置キ専門ノ事項ヲ調査セシム
専門委員ハ軍需大臣ノ奏請ニ依リ学識経験アル者ノ中ヨリ内閣ニ於テ之ヲ命ズ
専門委員ハ其ノ職務ニ関シ知得シタル秘密ヲ厳守スベシ
第二十五条 特定軍需品ニ関スル軍事上必要ナル事項ニ付テハ航空兵器総局長官及燃料局長ハ陸軍大臣及海軍大臣ノ指揮監督ヲモ承クルモノトス
第二十六条 軍需省ニ鉱務監督官及鉱務監督官補ヲ置ク
鉱務監督官ハ軍需官、軍需書記官、軍需事務官又ハ軍需技師ヲ以テ、鉱務監督官補ハ軍需官補、軍需属又ハ軍需技手ヲ以テ之ニ充ツ
鉱務監督官ハ上官ノ命ヲ承ケ鉱業警察(鉱山ニ於ケル勤労衛生ヲ除ク)ニ関スル事務ヲ掌ル
鉱務監督官補ハ上官ノ指揮ヲ承ケ鉱業警察(鉱山ニ於ケル勤労衛生ヲ除ク)ニ関スル事務ニ従事ス
附 則
本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
企画院官制、商工省官制、燃料局官制及物価局官制ハ之ヲ廃止ス
本令施行ノ際現ニ企画院、商工省又ハ燃料局ノ職員ノ職ニ在ル者別ニ辞令ヲ発セラレザルトキハ企画院書記官、商工書記官及燃料局書記官ハ軍需書記官ニ、企画院事務官、商工事務官及燃料局事務官ハ軍需事務官ニ、企画院調査官ハ軍需省軍需官ニ、商工省統計官及燃料局統計官ハ軍需省統計官ニ、企画院理事官、商工理事官及燃料局理事官ハ軍需理事官ニ、企画院技師、商工技師及燃料局技師ハ軍需技師ニ、企画院属、商工属及燃料局属ハ軍需属ニ、商工省統計官補及燃料局統計官補ハ軍需省統計官補ニ、企画院技手、商工技手及燃料局技手ハ軍需技手ニ同官等俸給ヲ以テ任ゼラレタルモノトス
本令施行ノ際現ニ企画院、商工省又ハ燃料局ノ職員ニシテ休職中ノモノ別ニ辞令ヲ発セラレザルトキハ休職ノ儘前項ノ例ニ依リ軍需省職員ニ同官等俸給ヲ以テ任ゼラレタルモノトス
昭和十三年勅令第五百四十八号中「農林省物価事務官及物価局物価事務官ハ各」ヲ「農商省物価事務官ハ」ニ改ム