朕樞密顧問ノ諮詢ヲ經テ奏任文官特別任用令改正ノ件ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十六年一月四日
內閣總理大臣 公爵 近衞文麿
勅令第五號
奏任文官特別任用令
第一條 高等官四等以下ヲ最高官等トスル奏任文官ハ五年以上判任以上ノ官ニ在職シテ行政事務ニ從事シ判任官五級俸以上ノ俸給ヲ受ケタル者ノ中ヨリ高等試驗委員ノ銓衡ヲ經テ特ニ之ヲ任用スルコトヲ得
前項ノ規定ハ左ニ揭グル奏任文官ノ任用ニ付テハ之ヲ適用セズ
一 文官任用令第七條ノ規定ノ適用ヲ受クル奏任文官
二 外交官及領事官
三 稅關港務官及臺灣總督府州港務官
四 帝國大學事務官、官立大學事務官、京城帝國大學事務官、臺北帝國大學事務官及旅順工科大學事務官
五 帝國大學司書官、帝國圖書館司書官、京城帝國大學司書官及臺北帝國大學司書官
六 農林省物價事務官及物價局物價事務官
七 朝鮮總督府圖書館長及臺灣總督府圖書館長
八 朝鮮總督府道視學官、臺灣總督府地方視學官、樺太廳視學官、北海道廳視學官及地方視學官
九 樺太廳社會敎育官
第二條 左ニ揭グル奏任文官ノ任用ニ付テハ前條第一項ノ例ニ依ルコトヲ得
一 典獄(東京拘置所ノ長タルモノ及小菅、豐多摩、府中、大阪、名古屋、廣島、長崎、宮城又ハ札幌ノ刑務所ノ長タルモノ)及朝鮮總督府典獄(京城、西大門、平壤又ハ大邱ノ監獄ノ長タルモノ)
二 朝鮮總督府府尹(京城、仁川、大邱、釜山、平壤又ハ羅津ノ府尹タルモノ)
三 臺灣總督府地方理事官(臺北市長タルモノ)
四 臺灣總督府廳長
第三條 第一條第一項又ハ前條ノ規定ニ依リ任用セラレタル奏任文官ニシテ四年以上其ノ官ニ在職シタルモノハ高等試驗委員ノ銓衡ヲ經テ之ヲ他ノ奏任文官ニ特ニ任用スルコトヲ得
前項ノ規定ノ適用ニ付テハ第一條第一項又ハ前條ノ規定ノ適用ヲ受クル各官ノ在職年數ハ之ヲ通算ス
前二項ノ規定ハ文官任用令第七條ノ規定ノ適用ヲ受クル奏任文官竝ニ外交官、領事官及貿易事務官ノ任用ニ付テハ之ヲ適用セズ
第四條 三年以上地方待遇職員令又ハ同令ヲ準用スル規定ニ依リ任用セラルル奏任官待遇ノ事務職員ノ職ニ在リタル者ハ高等試驗委員ノ銓衡ヲ經テ之ヲ其ノ從事シタル事務ト同種ノ事務ヲ掌ル奏任文官ニシテ第一條第一項ノ規定ノ適用ヲ受クルモノニ特ニ任用スルコトヲ得
第五條 三年以上地方待遇職員令又ハ同令ヲ準用スル規定ニ依リ任用セラルル奏任官待遇ノ技術職員ノ職ニ在リタル者ハ高等試驗委員ノ銓衡ヲ經テ之ヲ其ノ從事シタル技術ニ關スル事務ヲ掌ル奏任文官ニシテ第一條第一項ノ規定ノ適用ヲ受クルモノニ特ニ任用スルコトヲ得
第六條 三年以上奏任官待遇ノ學校長又ハ敎員ノ職ニ在リタル者ハ高等試驗委員ノ銓衡ヲ經テ之ヲ敎育、學藝又ハ宗敎ニ關スル事務ヲ掌ル奏任文官ニシテ第一條第一項ノ規定ノ適用ヲ受クルモノニ特ニ任用スルコトヲ得
三年以上私立ノ大學ノ專任敎員若ハ私立ノ高等學校、專門學校、實業專門學校其ノ他文部大臣ニ於テ之ト同等ト認ムル學校ノ校長ノ職ニ在リタル者又ハ三年以上高等學校敎員免許狀ヲ有シ若ハ專門學校令ニ依ル敎員ノ資格ヲ有シ私立ノ高等學校高等科、專門學校、實業專門學校、高等女學校高等科其ノ他文部大臣ニ於テ之ト同等ト認ムル學校ノ專任敎員ノ職ニ在リタル者ニ付亦前項ニ同ジ
前二項ニ規定シタル各職ノ在職年數ハ之ヲ通算ス
第七條 五年以上北海道、府縣、市町村若ハ之ニ準ズルモノノ有給吏員ノ職ニ在リテテ行政事務ニ從事シ月額八十五圓以上ノ給料ヲ受ケタル者又ハ五年以上名譽職ノ市町村長若ハ之ニ準ズルモノノ職ニ在リタル者ハ高等試驗委員ノ銓衡ヲ經テ之ヲ左ニ揭グル奏任文官ニ特ニ任用スルコトヲ得
一 都市計畫地方委員會事務官
二 朝鮮總督府府尹(京城、仁川、大邱、釜山、平壤又ハ羅津ノ府尹タルモノヲ除ク)、朝鮮總督府郡守、朝鮮總督府島司、朝鮮總督府道理事官及朝鮮總督府府理事官
三 臺灣總督府地方理事官(臺北市長タルモノヲ除ク)
四 關東局理事官
五 樺太廳事務官及樺太廳支廳長
六 南洋廳事務官
七 警視廳事務官、北海道廳事務官及地方事務官
前項ニ規定シタル各職ノ在職年數ハ之ヲ通算ス
附 則
本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
大正十四年勅令第百八十二號及昭和十四年勅令第三百九十三號ハ之ヲ廢止ス
第三條ノ規定ノ適用ニ付テハ本令施行前奏任文官特別任用令ニ揭ゲラレタルコトアル奏任文官ニ任用セラレタル者(陸海軍監獄官特別任用令、大正十年勅令第二十六號、大正十四年勅令第百八十二號、昭和四年勅令第百六十六號、昭和十二年勅令第五號、昭和十三年勅令第五百四十八號、昭和十四年勅令第三百九十三號又ハ同年勅令第七百號ニ依リ任用セラレタル者ヲ除ク)ハ之ヲ第一條第一項ノ規定ニ依リ任用セラレタル者ト看做シ其ノ官ノ在職ハ之ヲ同條同項ノ規定ノ適用ヲ受クル奏任文官ノ在職ト看做ス
朕枢密顧問ノ諮詢ヲ経テ奏任文官特別任用令改正ノ件ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十六年一月四日
内閣総理大臣 公爵 近衛文麿
勅令第五号
奏任文官特別任用令
第一条 高等官四等以下ヲ最高官等トスル奏任文官ハ五年以上判任以上ノ官ニ在職シテ行政事務ニ従事シ判任官五級俸以上ノ俸給ヲ受ケタル者ノ中ヨリ高等試験委員ノ銓衡ヲ経テ特ニ之ヲ任用スルコトヲ得
前項ノ規定ハ左ニ掲グル奏任文官ノ任用ニ付テハ之ヲ適用セズ
一 文官任用令第七条ノ規定ノ適用ヲ受クル奏任文官
二 外交官及領事官
三 税関港務官及台湾総督府州港務官
四 帝国大学事務官、官立大学事務官、京城帝国大学事務官、台北帝国大学事務官及旅順工科大学事務官
五 帝国大学司書官、帝国図書館司書官、京城帝国大学司書官及台北帝国大学司書官
六 農林省物価事務官及物価局物価事務官
七 朝鮮総督府図書館長及台湾総督府図書館長
八 朝鮮総督府道視学官、台湾総督府地方視学官、樺太庁視学官、北海道庁視学官及地方視学官
九 樺太庁社会教育官
第二条 左ニ掲グル奏任文官ノ任用ニ付テハ前条第一項ノ例ニ依ルコトヲ得
一 典獄(東京拘置所ノ長タルモノ及小菅、豊多摩、府中、大阪、名古屋、広島、長崎、宮城又ハ札幌ノ刑務所ノ長タルモノ)及朝鮮総督府典獄(京城、西大門、平壌又ハ大邱ノ監獄ノ長タルモノ)
二 朝鮮総督府府尹(京城、仁川、大邱、釜山、平壌又ハ羅津ノ府尹タルモノ)
三 台湾総督府地方理事官(台北市長タルモノ)
四 台湾総督府庁長
第三条 第一条第一項又ハ前条ノ規定ニ依リ任用セラレタル奏任文官ニシテ四年以上其ノ官ニ在職シタルモノハ高等試験委員ノ銓衡ヲ経テ之ヲ他ノ奏任文官ニ特ニ任用スルコトヲ得
前項ノ規定ノ適用ニ付テハ第一条第一項又ハ前条ノ規定ノ適用ヲ受クル各官ノ在職年数ハ之ヲ通算ス
前二項ノ規定ハ文官任用令第七条ノ規定ノ適用ヲ受クル奏任文官並ニ外交官、領事官及貿易事務官ノ任用ニ付テハ之ヲ適用セズ
第四条 三年以上地方待遇職員令又ハ同令ヲ準用スル規定ニ依リ任用セラルル奏任官待遇ノ事務職員ノ職ニ在リタル者ハ高等試験委員ノ銓衡ヲ経テ之ヲ其ノ従事シタル事務ト同種ノ事務ヲ掌ル奏任文官ニシテ第一条第一項ノ規定ノ適用ヲ受クルモノニ特ニ任用スルコトヲ得
第五条 三年以上地方待遇職員令又ハ同令ヲ準用スル規定ニ依リ任用セラルル奏任官待遇ノ技術職員ノ職ニ在リタル者ハ高等試験委員ノ銓衡ヲ経テ之ヲ其ノ従事シタル技術ニ関スル事務ヲ掌ル奏任文官ニシテ第一条第一項ノ規定ノ適用ヲ受クルモノニ特ニ任用スルコトヲ得
第六条 三年以上奏任官待遇ノ学校長又ハ教員ノ職ニ在リタル者ハ高等試験委員ノ銓衡ヲ経テ之ヲ教育、学芸又ハ宗教ニ関スル事務ヲ掌ル奏任文官ニシテ第一条第一項ノ規定ノ適用ヲ受クルモノニ特ニ任用スルコトヲ得
三年以上私立ノ大学ノ専任教員若ハ私立ノ高等学校、専門学校、実業専門学校其ノ他文部大臣ニ於テ之ト同等ト認ムル学校ノ校長ノ職ニ在リタル者又ハ三年以上高等学校教員免許状ヲ有シ若ハ専門学校令ニ依ル教員ノ資格ヲ有シ私立ノ高等学校高等科、専門学校、実業専門学校、高等女学校高等科其ノ他文部大臣ニ於テ之ト同等ト認ムル学校ノ専任教員ノ職ニ在リタル者ニ付亦前項ニ同ジ
前二項ニ規定シタル各職ノ在職年数ハ之ヲ通算ス
第七条 五年以上北海道、府県、市町村若ハ之ニ準ズルモノノ有給吏員ノ職ニ在リテテ行政事務ニ従事シ月額八十五円以上ノ給料ヲ受ケタル者又ハ五年以上名誉職ノ市町村長若ハ之ニ準ズルモノノ職ニ在リタル者ハ高等試験委員ノ銓衡ヲ経テ之ヲ左ニ掲グル奏任文官ニ特ニ任用スルコトヲ得
一 都市計画地方委員会事務官
二 朝鮮総督府府尹(京城、仁川、大邱、釜山、平壌又ハ羅津ノ府尹タルモノヲ除ク)、朝鮮総督府郡守、朝鮮総督府島司、朝鮮総督府道理事官及朝鮮総督府府理事官
三 台湾総督府地方理事官(台北市長タルモノヲ除ク)
四 関東局理事官
五 樺太庁事務官及樺太庁支庁長
六 南洋庁事務官
七 警視庁事務官、北海道庁事務官及地方事務官
前項ニ規定シタル各職ノ在職年数ハ之ヲ通算ス
附 則
本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
大正十四年勅令第百八十二号及昭和十四年勅令第三百九十三号ハ之ヲ廃止ス
第三条ノ規定ノ適用ニ付テハ本令施行前奏任文官特別任用令ニ掲ゲラレタルコトアル奏任文官ニ任用セラレタル者(陸海軍監獄官特別任用令、大正十年勅令第二十六号、大正十四年勅令第百八十二号、昭和四年勅令第百六十六号、昭和十二年勅令第五号、昭和十三年勅令第五百四十八号、昭和十四年勅令第三百九十三号又ハ同年勅令第七百号ニ依リ任用セラレタル者ヲ除ク)ハ之ヲ第一条第一項ノ規定ニ依リ任用セラレタル者ト看做シ其ノ官ノ在職ハ之ヲ同条同項ノ規定ノ適用ヲ受クル奏任文官ノ在職ト看做ス