政府職員共済組合令
法令番号: 勅令第八百二十七號
公布年月日: 昭和15年12月2日
法令の形式: 勅令
朕政府職員共濟組合令ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十五年十一月三十日
內閣總理大臣 公爵 近衞文麿
厚生大臣 金光庸夫
拓務大臣 秋田淸
大藏大臣 河田烈
內務大臣 安井英二
勅令第八百二十七號
政府職員共濟組合令
第一章 總則
第一條 判任文官、同待遇者竝ニ國庫ヨリ給料又ハ手當ヲ受クル囑託員、雇員、傭人及職工ハ本令ノ定ムル所ニ依リ相互救濟ヲ目的トスル組合ヲ組織ス但シ左ニ揭グル者ハ此ノ限ニ在ラズ
一 他ノ勅令ニ依リ組織セラレタル共濟組合ノ組合員
二 健康保險又ハ船員保險ノ被保險者
三 判任文官及同待遇者ニシテ俸給ノ支給ヲ受ケザルモノ
四 在外指定學校職員及在滿學校組合待遇職員
五 前各號ニ揭グル者ノ外命令ヲ以テ定ムル者
第二條 組合ハ組合員タルベキ者ノ俸給、給料又ハ手當ニ關スル豫算ヲ所管スル各省每ニ之ヲ設クルモノトス但シ內務部內、廳府縣及內地ノ職業紹介所ノ組合員タルベキ者竝ニ內地ニ於ケル國庫以外ノ經濟ヨリ俸給ヲ受クル組合員タルベキ者ニ付テハ內務省ニ、朝鮮總督府部內ノ組合員タルベキ者及朝鮮ニ於ケル國庫以外ノ經濟ヨリ俸給ヲ受クル組合員タルベキ者ニ付テハ朝鮮總督府ニ、臺灣總督府部內ノ組合員タルベキ者及臺灣ニ於ケル國庫以外ノ經濟ヨリ俸給ヲ受クル組合員タルベキ者ニ付テハ臺灣總督府ニ、關東局部內ノ組合員タルベキ者及關東州ニ於ケル國庫以外ノ經濟ヨリ俸給ヲ受クル組合員タルベキ者ニ付テハ關東局ニ、樺太廳部內ノ組合員タルベキ者及樺太ニ於ケル國庫以外ノ經濟ヨリ俸給ヲ受クル組合員タルベキ者ニ付テハ樺太廳ニ、南洋廳部內ノ組合員タルベキ者及南洋群島ニ於ケル國庫以外ノ經濟ヨリ俸給ヲ受クル組合員タルベキ者ニ付テハ南洋廳ニ各一組合ヲ設クルモノトス
組合ハ前項ノ規定ニ拘ラズ同項ノ規定ニ依ル各省其ノ他各廳ノ範圍內ニ於テ二以上ヲ設クルコトヲ得
第三條 北海道地方費、府縣其ノ他之ニ準ズベキ地方經濟(以下地方費ト稱ス)、神宮又ハ神社ヨリ給料又ハ手當ヲ受クル職員(判任文官及同待遇者ヲ除ク)ハ命令ノ定ムル所ニ依リ同一經濟所屬每(內地ノ神社ノ職員ニ在リテハ道府縣ノ區域每トス)ニ包括シテ組合ニ加入スルコトヲ得
第四條 第二條第一項ノ組合ハ各省大臣、朝鮮總督、臺灣總督、滿洲國駐箚特命全權大使、樺太廳長官又ハ南洋廳長官(以下組合所管者ト稱ス)之ヲ管理ス
同條第二項ノ組合ハ組合所管者又ハ其ノ指定スル者之ヲ管理ス
第五條 組合員ノ所屬スル官公署ノ長ハ當該官公署ノ職員ヲシテ組合ノ事務ニ從事セシムルコトヲ得
第二章 組合員
第六條 組合員ハ甲種組合員及乙種組合員トス
甲種組合員ハ囑託員、雇員、傭人、職工及之ニ準ズベキ職員トシ乙種組合員ハ判任文官、同待遇者及之ニ準ズベキ職員トス
第七條 組合員ノ加入及脫退ニ關シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第三章 給付
第一節 通則
第八條 給付ハ左ノ五種トス
一 療養費
二 傷病手當金
三 埋葬料
四 分娩費
五 出產手當金
前項第二號乃至第五號ノ給付ハ乙種組合員ニ對シテハ之ヲ爲サズ
第九條 組合ヲ脫退シタル際疾病、負傷又ハ分娩ニ關シ給付ヲ受クル組合員ハ組合員トシテ給付ヲ受クルコトヲ得ベカリシ期間繼續シテ同一組合ヨリ其ノ給付ヲ受クルコトヲ得但シ組合脫退ノ日前六月以上引續キ組合員タリシ場合ニ非ザレバ之ヲ受クルコトヲ得ズ
第十條 給付ヲ受クベキ者ガ他ノ法令ノ規定ニ依リ本令ニ依ル給付ト同種ノ給付又ハ給與ヲ受クルトキハ其ノ限度ニ於テ本令ニ依ル給付ハ之ヲ爲サズ
第十一條 組合員又ハ組合員タリシ者ガ命令ヲ以テ定ムル一定期間以上帝國(關東州及南洋群島ヲ含ム以下同ジ)外ニ在ル場合ニ於テハ其ノ期間ニ係ル給付ハ之ヲ爲サズ
組合員又ハ組合員タリシ者ガ陸海軍ニ徵集又ハ召集セラレタル場合ニ於テハ疾病又ハ負傷ニ關シ其ノ期間ニ係ル給付ハ之ヲ爲サズ
第十二條 給付ヲ受クベキ者ガ給付ヲ受クベキ事由終了ノ日ヨリ起算シ一年以內ニ給付ノ請求ヲ爲サザルトキハ當該給付ハ之ヲ爲サズ
第二節 療養費
第十三條 組合員ガ其ノ疾病又ハ負傷ニ關シ療養ヲ受ケタルトキハ療養費トシテ其ノ療養ニ要スル費用ノ十分ノ八ニ相當スル金額ヲ支給ス
第十四條 組合員ト同一ノ家ニ在ル者(屆出ヲ爲サザルモ事實上婚姻關係ト同樣ノ事情ニ在ル者ヲ含ム)ニシテ主トシテ其ノ組合員ニ依リ生計ヲ維持スルモノ(以下被扶養者ト稱ス)ガ其ノ疾病又ハ負傷ニ關シ療養ヲ受ケタルトキ組合員ガ引續キ一年以上組合員タル場合ニ於テハ療養費トシテ入院ニ要スル費用又ハ一囘十圓以上ノ處置料若ハ手術料ノ十分ノ五ニ相當スル金額ヲ組合員ニ支給スルコトヲ得
前項ノ療養費ハ組合員又ハ組合員タリシ者ガ第十一條ノ規定ニ該當スル場合ト雖モ之ヲ支給スルコトヲ得但シ同條第一項ノ規定ニ該當スル場合ニ於テハ組合員又ハ組合員タリシ者ガ帝國外ニ向ケ出發シタル際療養費ノ支給ヲ受クル場合ニ限ル
第一項ノ規定ノ適用ニ付第九條本文ノ規定ハ同項ノ規定ニ依ル給付ニ、第十條及第十一條ノ規定ハ被扶養者ニ之ヲ準用ス
第十五條 療費ヲ支給スベキ療養養ノ範圍及療養ニ要スル費用ノ算定ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第十六條 組合ニ於テ必要アリト認ムルトキハ組合ハ療養費ノ支給ニ代ヘテ療養ノ給付ヲ爲スコトヲ得
前項ノ場合ニ於テハ組合ハ組合員ノ療養ニ付テハ其ノ療養ノ給付ニ要スル費用ノ十分ノ二ニ相當スル金額ヲ、被扶養者ノ療養ニ付テハ其ノ療養ノ給付ニ要スル費用ノ十分ノ五ニ相當スル金額ヲ組合員ヨリ徵收ス
第十七條 療養費ハ同一ノ疾病又ハ負傷及之ニ因リ發シタル疾病ニ關シ其ノ支給ヲ始メタル日ヨリ起算シ六月ヲ經過シタル後ノ療養ニ付テハ之ヲ支給セズ
結核性疾病ニ關シテハ前項ノ期間ヲ超エ尙六月以內ノ療養ニ付繼續シテ療養費ヲ支給スルコトヲ得但シ組合員又ハ組合員タリシ者ノ結核性疾病ニ關シテハ其ノ支給ヲ始メタル日前六月以上引續キ組合員タリシ者ニ限ル
第三節 傷病手當金
第十八條 組合員ガ療養ノ爲引續キ勤務ニ服スルコト能ハザルトキハ勤務ニ服スルコト能ハザルニ至リタル日以後三日ヲ經過シタル日ヨリ其ノ後ニ於ケル勤務ニ服スルコト能ハザル期間傷病手當金トシテ一日ニ付給料又ハ手當ノ日額ノ十分ノ五ニ相當スル金額ヲ支給ス
入院シタル組合員ニ對シ支給スベキ傷病手當金ハ被扶養者ナキ場合ニ於テハ前項ノ規定ニ拘ラズ給料又ハ手當ノ日額ノ十分ノ二ニ相當スル金額トス
第十九條 傷病手當金ノ支給期間ハ同一ノ疾病又ハ負傷及之ニ因リ發シタル疾病ニ關シテハ療養ノ爲勤務ニ服スルコト能ハザルニ至リタル日以後三日ヲ經過シタル日ヨリ起算シ六月ヲ以テ限度トス
傷病手當金ハ其ノ支給期間ヲ經過セザルトキト雖モ療養費ノ支給ヲ爲シ得ル期間ヲ經過スルニ至リタルトキハ之ヲ支給セズ
第二十條 疾病ニ罹リ又ハ負傷シタル場合ニ於テ繼續シテ給料又ハ手當ノ全部又ハ一部ヲ受クルコトヲ得ベキ者ニ對シテハ之ヲ受クルコトヲ得ベキ限度ニ於テ傷病手當金ノ全部又ハ一部ヲ支給セズ
第四節 埋葬料
第二十一條 組合員ガ死亡シタルトキハ其ノ當時之ト同一ノ家ニ在リタル者(屆出ヲ爲サザルモ事實上婚姻關係ト同樣ノ事情ニ在リタル者ヲ含ム)ニシテ埋葬ヲ行フモノニ對シ埋葬料トシテ給料又ハ手當ノ日額ノ三十日分ニ相當スル金額ヲ支給ス但シ其ノ金額ガ三十圓ニ滿タザルトキハ之ヲ三十圓トス
組合員ガ死亡シタル場合ニ於テ前項ノ規定ニ依リ埋葬料ノ支給ヲ受クベキ者ナキトキハ埋葬ヲ行ヒタル者ニ對シ前項ノ金額ノ範圍內ニ於テ其ノ埋葬ニ要シタル費用ニ相當スル金額ヲ支給ス
第二十二條 第九條ノ規定ニ依リ給付ヲ受クル者ガ死亡シタルトキ、第九條ノ規定ニ依リ給付ヲ受ケタル者ガ其ノ給付ヲ受ケザルニ至リタル日後三月以內ニ死亡シタルトキ又ハ其ノ他ノ組合員タリシ者ガ組合脫退ノ日後三月以內ニ死亡シタルトキハ其ノ當時之ト同一ノ家ニ在リタル者(屆出ヲ爲サザルモ事實上婚姻關係ト同一ノ事情ニ在リタル者ヲ含ム)ニシテ埋葬ヲ行フモノハ最後ノ組合ヨリ埋葬料ノ支給ヲ受クルコトヲ得
前條ノ規定ハ前項ノ規定ニ依リ埋葬料ノ支給ヲ受クル者ナキ場合及前項ノ埋葬料ノ金額ニ之ヲ準用ス
第五節 分娩費及出產手當金
第二十三條 組合員ガ分娩シタルトキハ分娩費トシテ二十圓ヲ、出產手當金トシテ分娩ノ日前二十八日、分娩ノ日以後四十二日以內ニ於テ勤務ニ服セザリシ期間一日ニ付給料又ハ手當ノ日額ノ十分ノ五ニ相當スル金額ヲ支給ス
分娩ノ日ガ其ノ豫定日ヨリ後レタルトキハ組合ハ前項ノ分娩ノ日前ノ期間ヲ七日以內延長スルコトヲ得
第二十條ノ規定ハ出產手當金ノ支給ニ之ヲ準用ス
第二十四條 組合ハ組合員ヲ產院ニ收容シ又ハ助產ノ手當ヲ爲スコトヲ得
產院ニ收容シ又ハ助產ノ手當ヲ爲シタル組合員ニ對シテ支給スベキ分娩費ノ額ハ前條第一項ノ規定ニ拘ラズ十圓トス
第十八條 第二項ノ規定ハ產院ニ收容シタル組合員ニ對シ支給スル出產手當金ニ之ヲ準用ス
第二十五條 分娩ニ關スル給付ハ分娩ノ日前六月以上引續キ組合員タリシ者ニ非ザレバ之ヲ爲サズ
第二十六條 出產手當金ノ支給ヲ爲ス場合ニ於テハ其ノ期間傷病手當金ハ之ヲ支給セズ
第二十七條 組合員タリシ者ガ組合ヲ脫退シタル日後六月以內ニ分娩シタルトキハ分娩ニ關シ組合員トシテ受クルコトヲ得ベカリシ給付ヲ最後ノ組合ヨリ受クルコトヲ得但シ脫退ノ日前六月以上引續キ組合員タリシ者ニ限ル
第四章 附帶施設
第二十八條 組合ハ組合員及被扶養者ノ保護救濟ノ爲命令ノ定ムル所ニ依リ必要ナル施設ヲ爲スコトヲ得
第五章 費用
第二十九條 國庫ハ組合ノ事業ノ事務ノ執行ニ要スル費用ニ充ツル爲組合所管者大藏大臣ト協議シテ定ムル金額ヲ組合ニ給與スルコトヲ得
第三十條 組合ハ組合ノ事業ニ要スル費用ニ充ツル爲命令ノ定ムル所ニ依リ組合員ヨリ掛金ヲ徵收ス
組合員ガ第十一條ノ規定ニ該當スル場合ニ於テハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ期間掛金ヲ徵收セズ
第三十一條 國庫ハ第二十九條ノ規定ニ依ル給與金ノ外組合ノ事業ニ要スル費用ニ充ツル爲國庫、神宮又ハ官國幣社ヨリ俸給、給料又ハ手當ヲ受クル組合員ノ俸給、給料及手當ノ總額ニ組合所管者大藏大臣ト協議シテ定ムル割合ヲ乘ジテ得タル金額ヲ每年度組合ニ給與ス
組合員ニシテ前項以外ノ經濟ヨリ俸給、給料又ハ手當ヲ受クルモノニ付テハ其ノ俸給、給料及手當ノ總額ニ各組合ニ付前項ニ定ムル割合ト同一割合ヲ乘ジテ得タル金額ヲ每年度當該經濟ヨリ組合ニ給與スベシ
前二項ノ規定ニ依リ組合ニ給與スル金額ハ組合員ヨリ徵收スル掛金ノ總額ヲ超ユルコトヲ得ズ
第六章 雜則
第三十二條 俸給、給料若ハ手當ノ範圍又ハ給料若ハ手當ノ日額ノ算定ニ關シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第三十三條 特別ノ事情ニ依リ本令ニ依リ難キ場合ニ於テハ組合所管者大藏大臣ト協議シテ特例ヲ設クルコトヲ得
第三十四條 本令施行ニ關スル事項中醫療契約其ノ他醫療ニ關スル事項、組合ノ事業ニ要スル費用ノ計算ニ關スル事項等ニシテ重要ナルモノニ付テハ組合所管者ハ隨時大藏大臣及厚生大臣ニ連絡ヲ爲スモノトス
第三十五條 第二十九條、第三十一條又ハ第三十三條ノ規定ニ依リ組合所管者大藏大臣ト協議セントスルトキハ組合所管者ガ朝鮮總督、臺灣總督、滿洲國駐箚特命全權大使、樺太廳長官又ハ南洋廳長官ナル場合ニ在リテハ其ノ組合ニ對スル給與ニ關スル豫算ヲ所管スル大臣ヲ經由スベシ
第三十六條 本令ニ定ムルモノノ外本令施行ニ關シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
附 則
本令ハ昭和十六年一月一日ヨリ之ヲ施行ス但シ組合中已ムヲ得ザル事情アルモノニ關シテハ命令ヲ以テ定ムル日ヨリ之ヲ適用スルコトヲ得
本令施行前(前項但書ノ規定ノ適用アル組合ノ組合員ニ付テハ同項但書ノ規定ニ依リ命令ヲ以テ定ムル日前トス)ヨリ引續キ第一條又ハ第三條ノ規定ニ該當スル職員タリシ組合員ハ第十四條ノ規定ノ適用ニ付テハ其ノ期間組合員タリシ者ト看做ス
朕政府職員共済組合令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十五年十一月三十日
内閣総理大臣 公爵 近衛文麿
厚生大臣 金光庸夫
拓務大臣 秋田清
大蔵大臣 河田烈
内務大臣 安井英二
勅令第八百二十七号
政府職員共済組合令
第一章 総則
第一条 判任文官、同待遇者並ニ国庫ヨリ給料又ハ手当ヲ受クル嘱託員、雇員、傭人及職工ハ本令ノ定ムル所ニ依リ相互救済ヲ目的トスル組合ヲ組織ス但シ左ニ掲グル者ハ此ノ限ニ在ラズ
一 他ノ勅令ニ依リ組織セラレタル共済組合ノ組合員
二 健康保険又ハ船員保険ノ被保険者
三 判任文官及同待遇者ニシテ俸給ノ支給ヲ受ケザルモノ
四 在外指定学校職員及在満学校組合待遇職員
五 前各号ニ掲グル者ノ外命令ヲ以テ定ムル者
第二条 組合ハ組合員タルベキ者ノ俸給、給料又ハ手当ニ関スル予算ヲ所管スル各省毎ニ之ヲ設クルモノトス但シ内務部内、庁府県及内地ノ職業紹介所ノ組合員タルベキ者並ニ内地ニ於ケル国庫以外ノ経済ヨリ俸給ヲ受クル組合員タルベキ者ニ付テハ内務省ニ、朝鮮総督府部内ノ組合員タルベキ者及朝鮮ニ於ケル国庫以外ノ経済ヨリ俸給ヲ受クル組合員タルベキ者ニ付テハ朝鮮総督府ニ、台湾総督府部内ノ組合員タルベキ者及台湾ニ於ケル国庫以外ノ経済ヨリ俸給ヲ受クル組合員タルベキ者ニ付テハ台湾総督府ニ、関東局部内ノ組合員タルベキ者及関東州ニ於ケル国庫以外ノ経済ヨリ俸給ヲ受クル組合員タルベキ者ニ付テハ関東局ニ、樺太庁部内ノ組合員タルベキ者及樺太ニ於ケル国庫以外ノ経済ヨリ俸給ヲ受クル組合員タルベキ者ニ付テハ樺太庁ニ、南洋庁部内ノ組合員タルベキ者及南洋群島ニ於ケル国庫以外ノ経済ヨリ俸給ヲ受クル組合員タルベキ者ニ付テハ南洋庁ニ各一組合ヲ設クルモノトス
組合ハ前項ノ規定ニ拘ラズ同項ノ規定ニ依ル各省其ノ他各庁ノ範囲内ニ於テ二以上ヲ設クルコトヲ得
第三条 北海道地方費、府県其ノ他之ニ準ズベキ地方経済(以下地方費ト称ス)、神宮又ハ神社ヨリ給料又ハ手当ヲ受クル職員(判任文官及同待遇者ヲ除ク)ハ命令ノ定ムル所ニ依リ同一経済所属毎(内地ノ神社ノ職員ニ在リテハ道府県ノ区域毎トス)ニ包括シテ組合ニ加入スルコトヲ得
第四条 第二条第一項ノ組合ハ各省大臣、朝鮮総督、台湾総督、満洲国駐箚特命全権大使、樺太庁長官又ハ南洋庁長官(以下組合所管者ト称ス)之ヲ管理ス
同条第二項ノ組合ハ組合所管者又ハ其ノ指定スル者之ヲ管理ス
第五条 組合員ノ所属スル官公署ノ長ハ当該官公署ノ職員ヲシテ組合ノ事務ニ従事セシムルコトヲ得
第二章 組合員
第六条 組合員ハ甲種組合員及乙種組合員トス
甲種組合員ハ嘱託員、雇員、傭人、職工及之ニ準ズベキ職員トシ乙種組合員ハ判任文官、同待遇者及之ニ準ズベキ職員トス
第七条 組合員ノ加入及脱退ニ関シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第三章 給付
第一節 通則
第八条 給付ハ左ノ五種トス
一 療養費
二 傷病手当金
三 埋葬料
四 分娩費
五 出産手当金
前項第二号乃至第五号ノ給付ハ乙種組合員ニ対シテハ之ヲ為サズ
第九条 組合ヲ脱退シタル際疾病、負傷又ハ分娩ニ関シ給付ヲ受クル組合員ハ組合員トシテ給付ヲ受クルコトヲ得ベカリシ期間継続シテ同一組合ヨリ其ノ給付ヲ受クルコトヲ得但シ組合脱退ノ日前六月以上引続キ組合員タリシ場合ニ非ザレバ之ヲ受クルコトヲ得ズ
第十条 給付ヲ受クベキ者ガ他ノ法令ノ規定ニ依リ本令ニ依ル給付ト同種ノ給付又ハ給与ヲ受クルトキハ其ノ限度ニ於テ本令ニ依ル給付ハ之ヲ為サズ
第十一条 組合員又ハ組合員タリシ者ガ命令ヲ以テ定ムル一定期間以上帝国(関東州及南洋群島ヲ含ム以下同ジ)外ニ在ル場合ニ於テハ其ノ期間ニ係ル給付ハ之ヲ為サズ
組合員又ハ組合員タリシ者ガ陸海軍ニ徴集又ハ召集セラレタル場合ニ於テハ疾病又ハ負傷ニ関シ其ノ期間ニ係ル給付ハ之ヲ為サズ
第十二条 給付ヲ受クベキ者ガ給付ヲ受クベキ事由終了ノ日ヨリ起算シ一年以内ニ給付ノ請求ヲ為サザルトキハ当該給付ハ之ヲ為サズ
第二節 療養費
第十三条 組合員ガ其ノ疾病又ハ負傷ニ関シ療養ヲ受ケタルトキハ療養費トシテ其ノ療養ニ要スル費用ノ十分ノ八ニ相当スル金額ヲ支給ス
第十四条 組合員ト同一ノ家ニ在ル者(届出ヲ為サザルモ事実上婚姻関係ト同様ノ事情ニ在ル者ヲ含ム)ニシテ主トシテ其ノ組合員ニ依リ生計ヲ維持スルモノ(以下被扶養者ト称ス)ガ其ノ疾病又ハ負傷ニ関シ療養ヲ受ケタルトキ組合員ガ引続キ一年以上組合員タル場合ニ於テハ療養費トシテ入院ニ要スル費用又ハ一回十円以上ノ処置料若ハ手術料ノ十分ノ五ニ相当スル金額ヲ組合員ニ支給スルコトヲ得
前項ノ療養費ハ組合員又ハ組合員タリシ者ガ第十一条ノ規定ニ該当スル場合ト雖モ之ヲ支給スルコトヲ得但シ同条第一項ノ規定ニ該当スル場合ニ於テハ組合員又ハ組合員タリシ者ガ帝国外ニ向ケ出発シタル際療養費ノ支給ヲ受クル場合ニ限ル
第一項ノ規定ノ適用ニ付第九条本文ノ規定ハ同項ノ規定ニ依ル給付ニ、第十条及第十一条ノ規定ハ被扶養者ニ之ヲ準用ス
第十五条 療費ヲ支給スベキ療養養ノ範囲及療養ニ要スル費用ノ算定ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第十六条 組合ニ於テ必要アリト認ムルトキハ組合ハ療養費ノ支給ニ代ヘテ療養ノ給付ヲ為スコトヲ得
前項ノ場合ニ於テハ組合ハ組合員ノ療養ニ付テハ其ノ療養ノ給付ニ要スル費用ノ十分ノ二ニ相当スル金額ヲ、被扶養者ノ療養ニ付テハ其ノ療養ノ給付ニ要スル費用ノ十分ノ五ニ相当スル金額ヲ組合員ヨリ徴収ス
第十七条 療養費ハ同一ノ疾病又ハ負傷及之ニ因リ発シタル疾病ニ関シ其ノ支給ヲ始メタル日ヨリ起算シ六月ヲ経過シタル後ノ療養ニ付テハ之ヲ支給セズ
結核性疾病ニ関シテハ前項ノ期間ヲ超エ尚六月以内ノ療養ニ付継続シテ療養費ヲ支給スルコトヲ得但シ組合員又ハ組合員タリシ者ノ結核性疾病ニ関シテハ其ノ支給ヲ始メタル日前六月以上引続キ組合員タリシ者ニ限ル
第三節 傷病手当金
第十八条 組合員ガ療養ノ為引続キ勤務ニ服スルコト能ハザルトキハ勤務ニ服スルコト能ハザルニ至リタル日以後三日ヲ経過シタル日ヨリ其ノ後ニ於ケル勤務ニ服スルコト能ハザル期間傷病手当金トシテ一日ニ付給料又ハ手当ノ日額ノ十分ノ五ニ相当スル金額ヲ支給ス
入院シタル組合員ニ対シ支給スベキ傷病手当金ハ被扶養者ナキ場合ニ於テハ前項ノ規定ニ拘ラズ給料又ハ手当ノ日額ノ十分ノ二ニ相当スル金額トス
第十九条 傷病手当金ノ支給期間ハ同一ノ疾病又ハ負傷及之ニ因リ発シタル疾病ニ関シテハ療養ノ為勤務ニ服スルコト能ハザルニ至リタル日以後三日ヲ経過シタル日ヨリ起算シ六月ヲ以テ限度トス
傷病手当金ハ其ノ支給期間ヲ経過セザルトキト雖モ療養費ノ支給ヲ為シ得ル期間ヲ経過スルニ至リタルトキハ之ヲ支給セズ
第二十条 疾病ニ罹リ又ハ負傷シタル場合ニ於テ継続シテ給料又ハ手当ノ全部又ハ一部ヲ受クルコトヲ得ベキ者ニ対シテハ之ヲ受クルコトヲ得ベキ限度ニ於テ傷病手当金ノ全部又ハ一部ヲ支給セズ
第四節 埋葬料
第二十一条 組合員ガ死亡シタルトキハ其ノ当時之ト同一ノ家ニ在リタル者(届出ヲ為サザルモ事実上婚姻関係ト同様ノ事情ニ在リタル者ヲ含ム)ニシテ埋葬ヲ行フモノニ対シ埋葬料トシテ給料又ハ手当ノ日額ノ三十日分ニ相当スル金額ヲ支給ス但シ其ノ金額ガ三十円ニ満タザルトキハ之ヲ三十円トス
組合員ガ死亡シタル場合ニ於テ前項ノ規定ニ依リ埋葬料ノ支給ヲ受クベキ者ナキトキハ埋葬ヲ行ヒタル者ニ対シ前項ノ金額ノ範囲内ニ於テ其ノ埋葬ニ要シタル費用ニ相当スル金額ヲ支給ス
第二十二条 第九条ノ規定ニ依リ給付ヲ受クル者ガ死亡シタルトキ、第九条ノ規定ニ依リ給付ヲ受ケタル者ガ其ノ給付ヲ受ケザルニ至リタル日後三月以内ニ死亡シタルトキ又ハ其ノ他ノ組合員タリシ者ガ組合脱退ノ日後三月以内ニ死亡シタルトキハ其ノ当時之ト同一ノ家ニ在リタル者(届出ヲ為サザルモ事実上婚姻関係ト同一ノ事情ニ在リタル者ヲ含ム)ニシテ埋葬ヲ行フモノハ最後ノ組合ヨリ埋葬料ノ支給ヲ受クルコトヲ得
前条ノ規定ハ前項ノ規定ニ依リ埋葬料ノ支給ヲ受クル者ナキ場合及前項ノ埋葬料ノ金額ニ之ヲ準用ス
第五節 分娩費及出産手当金
第二十三条 組合員ガ分娩シタルトキハ分娩費トシテ二十円ヲ、出産手当金トシテ分娩ノ日前二十八日、分娩ノ日以後四十二日以内ニ於テ勤務ニ服セザリシ期間一日ニ付給料又ハ手当ノ日額ノ十分ノ五ニ相当スル金額ヲ支給ス
分娩ノ日ガ其ノ予定日ヨリ後レタルトキハ組合ハ前項ノ分娩ノ日前ノ期間ヲ七日以内延長スルコトヲ得
第二十条ノ規定ハ出産手当金ノ支給ニ之ヲ準用ス
第二十四条 組合ハ組合員ヲ産院ニ収容シ又ハ助産ノ手当ヲ為スコトヲ得
産院ニ収容シ又ハ助産ノ手当ヲ為シタル組合員ニ対シテ支給スベキ分娩費ノ額ハ前条第一項ノ規定ニ拘ラズ十円トス
第十八条 第二項ノ規定ハ産院ニ収容シタル組合員ニ対シ支給スル出産手当金ニ之ヲ準用ス
第二十五条 分娩ニ関スル給付ハ分娩ノ日前六月以上引続キ組合員タリシ者ニ非ザレバ之ヲ為サズ
第二十六条 出産手当金ノ支給ヲ為ス場合ニ於テハ其ノ期間傷病手当金ハ之ヲ支給セズ
第二十七条 組合員タリシ者ガ組合ヲ脱退シタル日後六月以内ニ分娩シタルトキハ分娩ニ関シ組合員トシテ受クルコトヲ得ベカリシ給付ヲ最後ノ組合ヨリ受クルコトヲ得但シ脱退ノ日前六月以上引続キ組合員タリシ者ニ限ル
第四章 附帯施設
第二十八条 組合ハ組合員及被扶養者ノ保護救済ノ為命令ノ定ムル所ニ依リ必要ナル施設ヲ為スコトヲ得
第五章 費用
第二十九条 国庫ハ組合ノ事業ノ事務ノ執行ニ要スル費用ニ充ツル為組合所管者大蔵大臣ト協議シテ定ムル金額ヲ組合ニ給与スルコトヲ得
第三十条 組合ハ組合ノ事業ニ要スル費用ニ充ツル為命令ノ定ムル所ニ依リ組合員ヨリ掛金ヲ徴収ス
組合員ガ第十一条ノ規定ニ該当スル場合ニ於テハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ期間掛金ヲ徴収セズ
第三十一条 国庫ハ第二十九条ノ規定ニ依ル給与金ノ外組合ノ事業ニ要スル費用ニ充ツル為国庫、神宮又ハ官国幣社ヨリ俸給、給料又ハ手当ヲ受クル組合員ノ俸給、給料及手当ノ総額ニ組合所管者大蔵大臣ト協議シテ定ムル割合ヲ乗ジテ得タル金額ヲ毎年度組合ニ給与ス
組合員ニシテ前項以外ノ経済ヨリ俸給、給料又ハ手当ヲ受クルモノニ付テハ其ノ俸給、給料及手当ノ総額ニ各組合ニ付前項ニ定ムル割合ト同一割合ヲ乗ジテ得タル金額ヲ毎年度当該経済ヨリ組合ニ給与スベシ
前二項ノ規定ニ依リ組合ニ給与スル金額ハ組合員ヨリ徴収スル掛金ノ総額ヲ超ユルコトヲ得ズ
第六章 雑則
第三十二条 俸給、給料若ハ手当ノ範囲又ハ給料若ハ手当ノ日額ノ算定ニ関シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第三十三条 特別ノ事情ニ依リ本令ニ依リ難キ場合ニ於テハ組合所管者大蔵大臣ト協議シテ特例ヲ設クルコトヲ得
第三十四条 本令施行ニ関スル事項中医療契約其ノ他医療ニ関スル事項、組合ノ事業ニ要スル費用ノ計算ニ関スル事項等ニシテ重要ナルモノニ付テハ組合所管者ハ随時大蔵大臣及厚生大臣ニ連絡ヲ為スモノトス
第三十五条 第二十九条、第三十一条又ハ第三十三条ノ規定ニ依リ組合所管者大蔵大臣ト協議セントスルトキハ組合所管者ガ朝鮮総督、台湾総督、満洲国駐箚特命全権大使、樺太庁長官又ハ南洋庁長官ナル場合ニ在リテハ其ノ組合ニ対スル給与ニ関スル予算ヲ所管スル大臣ヲ経由スベシ
第三十六条 本令ニ定ムルモノノ外本令施行ニ関シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
附 則
本令ハ昭和十六年一月一日ヨリ之ヲ施行ス但シ組合中已ムヲ得ザル事情アルモノニ関シテハ命令ヲ以テ定ムル日ヨリ之ヲ適用スルコトヲ得
本令施行前(前項但書ノ規定ノ適用アル組合ノ組合員ニ付テハ同項但書ノ規定ニ依リ命令ヲ以テ定ムル日前トス)ヨリ引続キ第一条又ハ第三条ノ規定ニ該当スル職員タリシ組合員ハ第十四条ノ規定ノ適用ニ付テハ其ノ期間組合員タリシ者ト看做ス