(臨時租税措置法中改正法律)
法令番号: 法律第五十六號
公布年月日: 昭和17年2月23日
法令の形式: 法律
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル臨時租稅措置法中改正法律ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十七年二月二十一日
內閣總理大臣 東條英機
大藏大臣 賀屋興宣
法律第五十六號
臨時租稅措置法中左ノ通改正ス
第一條中「營業稅、」ノ下ニ「酒稅、」ヲ加ヘ「又ハ免除ス」ヲ「若ハ免除シ又ハ其ノ課稅標準ノ計算ニ關スル特例ヲ設ク」ニ改ム
第一條ノ二中「十分ノ三」ヲ「十分ノ一」ニ、「百分ノ三・六」ヲ「百分ノ七・五」ニ改ム
第一條ノ四ニ左ノ一號ヲ加フ
四 命令ヲ以テ指定スル價格平衡資金ヘノ繰入金
第一條ノ八中「百分ノ十」ヲ「百分ノ十五」ニ、「百分ノ六」ヲ「百分ノ十」ニ改ム
第一條ノ九 命令ヲ以テ定ムル預金、貯金、公債若ハ社債又ハ合同運用信託ノ利子又ハ利益ニシテ個人ノ受クルモノニ付テハ命令ノ定ムル所ニ依リ利子又ハ利益金額ノ百分ノ一乃至百分ノ五ニ相當スル甲種ノ配當利子所得ニ對スル分類所得稅ヲ輕減ス
第一條ノ十 元本ノ償還及利息ノ支拂ニ付政府ノ保證アル社債ノ利子ニ付テハ所得稅法第二十一條ニ規定スル稅率百分ノ十五ヲ百分ノ十四、同法第二十二條ニ規定スル稅率百分ノ二十二ヲ百分ノ二十一トシタル場合ノ差減額ニ相當スル甲種ノ配當利子所得ニ對スル分類所得稅ヲ輕減ス
第一條ノ十一 金融機關ニ對スル金融機關ノ預金ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノノ利子ニ付テハ命令ノ定ムル所ニ依リ甲種ノ配當利子所得ニ對スル分類所得稅ヲ免除ス
第一條ノ十二 貯蓄銀行法第九條第一項ノ規定ニ依リ貯蓄銀行ノ供託シタル公債及社債ノ利子ニ付テハ命令ノ定ムル所ニ依リ第一條ノ十及所得稅法第二十一條第一項ノ規定ニ拘ラズ左ノ稅率ニ依リ分類所得稅ヲ賦課ス
一 國債ノ利子ニ付テハ百分ノ三
二 國債以外ノ公債ノ利子ニ付テハ百分ノ十一
三 社債ノ利子ニ付テハ百分ノ十二但シ第一條ノ十ニ規定スル社債ノ利子ニ付テハ百分ノ十一
第一條ノ十三 明治三十九年法律第三十四號又ハ社債等登錄法ニ依リ銀行(日本銀行ヲ除ク)其ノ他命令ヲ以テ定ムル金融機關ノ登錄シタル公債及社債ノ利子ニ付テハ命令ノ定ムル所ニ依リ第一條ノ十及所得稅法第二十一條第一項ノ規定ニ拘ラズ左ノ稅率ニ依リ分類所得稅ヲ賦課ス
一 國債ノ利子ニ付テハ百分ノ五但シ命令ヲ以テ定ムル銀行ノ登錄シタル國債ノ利子ニ付テハ百分ノ四
二 國債以外ノ公債ノ利子ニ付テハ百分ノ十二
三 社債ノ利子ニ付テハ百分ノ十三但シ第一條ノ十ニ規定スル社債ノ利子ニ付テハ百分ノ十二
第一條ノ十四 所得稅法施行地ニ本店又ハ主タル事務所ヲ有スル法人ヨリ受クル利益若ハ利息ノ配當又ハ剩餘金ノ分配ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノニ付テハ命令ノ定ムル所ニ依リ所得稅法第二十一條ニ規定スル稅率百分ノ十五ヲ百分ノ十三、同法第二十二條ニ規定スル稅率百分ノ二十二ヲ百分ノ二十トシタル場合ノ差減額ニ相當スル甲種ノ配當利子所得ニ對スル分類所得稅ヲ輕減ス
第一條ノ十五 甲法人ガ國家總動員法其ノ他ノ法令ニ依リ當該法令ニ基キテ設立セラレタル乙法人ト爲リ又ハ之ニ吸收セラレタルトキハ所得稅法、法人稅法、營業稅法及臨時利得稅法ノ適用ニ關シテハ甲法人ハ合併ニ因リテ消滅シタル法人ト看做シ乙法人ハ合併ニ因リテ設立シタル法人ト看做ス
第一條ノ十六 法人ノ爲シタル寄附金(命令ヲ以テ定ムルモノヲ除ク)中命令ノ定ムル所ニ依リ計算シタル金額ヲ超過スル部分ノ金額ニ付テハ法人稅法ニ依ル所得、營業稅法ニ依ル純益及臨時利得稅法ニ依ル利益ノ計算上之ヲ損金ニ算入セズ
政府ニ於テ必要アリト認ムルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ寄附金審査委員會ノ諮問ヲ經テ前項ノ超過金額ニ對シテ課セラルベキ所得ニ對スル法人稅ヲ免除スルコトヲ得
寄附金審査委員會ニ關スル規程ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第一條ノ十七 法令、法令ニ基ク命令又ハ行政官廳ノ指導若ハ斡旋ニ依リ昭和十六年十一月一日以後昭和十八年三月三十一日迄ニ事業ノ統制ノ必要上合併又ハ解散シタル拂込資本金額百萬圓以下ノ法人ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノノ淸算所得ニ付テハ命令ノ定ムル所ニ依リ改正前ノ法人稅法第十六條ニ規定スル稅率百分ノ十八又ハ改正後ノ同條ニ規定スル稅率百分ノ二十五ヲ百分ノ十五トシタル場合ノ差減額ニ相當スル法人稅ヲ輕減ス
法令、法令ニ基ク命令又ハ行政官廳ノ指導若ハ斡旋ニ依リ昭和十七年一月一日以後昭和十八年三月三十一日迄ニ事業ノ統制ノ必要上合併又ハ解散シタル拂込資本金額百萬圓ヲ超ユル法人ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノノ淸算所得ニ付テハ命令ノ定ムル所ニ依リ法人稅法第十六條ニ規定スル稅率百分ノ二十五ヲ百分ノ二十トシタル場合ノ差減額ニ相當スル法人稅ヲ輕減ス
第一條ノ十八 命令ヲ以テ定ムル法人ガ法令、法令ニ基ク命令又ハ行政官廳ノ指導若ハ斡旋ニ依リ昭和十六年十一月一日以後昭和十八年三月三十一日迄ニ其ノ事業ニ屬スル設備又ハ權利其ノ他ヲ事業ノ統制ノ必要上設立セラルル法人ニ出資又ハ讓渡ヲ爲シタルトキハ其ノ出資又ハ讓渡ニ對シ與ヘラレタル有價證券ノ價額ニ關シ出資又ハ讓渡ヲ爲シタル事業年度ニ於ケル法人稅法ニ依ル所得、營業稅法ニ依ル純益及臨時利得稅法ニ依ル利益ノ計算ニ付命令ヲ以テ特例ヲ設クルコトヲ得
第一條ノ十九 命令ヲ以テ定ムル法人ガ法令、法令ニ基ク命令又ハ行政官廳ノ指導若ハ斡旋ニ依リ昭和十七年四月一日以後昭和十八年三月三十一日迄ニ事業ノ統制ノ必要上合併又ハ解散シタル場合ニ於テ其ノ株主又ハ社員ノ受クル所得稅法第八條ニ規定スル利益ノ配當ニ付テハ命令ノ定ムル所ニ依リ同法第二十一條ニ規定スル稅率百分ノ十五ヲ百分ノ十、同法第二十二條ニ規定スル稅率百分ノ二十二ヲ百分ノ十七トシタル場合ノ差減額ニ相當スル甲種ノ配當利子所得ニ對スル分類所得稅ヲ輕減ス
第一條ノ二十 法令、法令ニ基ク命令又ハ行政官廳ノ指導若ハ斡旋ニ依リ昭和十六年一月一日以後昭和十七年十二月三十一日迄ニ事業ノ統制ノ必要上營業ノ全部又ハ大部分ヲ廢止シタル個人ノ當該營業ヨリ生ズル所得又ハ純益ニ付テハ命令ノ定ムル所ニ依リ昭和十七年分又ハ昭和十八年分ノ所得稅及營業稅ニ限リ左ノ區分ニ依リ之ヲ輕減又ハ免除ス
一 所得稅
總所得金額五千圓以下ナルトキ 當該所得稅額ノ全部
同一萬圓以下ナルトキ 當該所得稅額ノ十分ノ五
同一萬圓ヲ超ユルトキ 當該所得稅額ノ十分ノ二
二 營業稅
純益金額三千圓以下ナルトキ 當該營業稅額ノ全部
同八千圓以下ナルトキ 當該營業稅額ノ十分ノ五
同八千圓ヲ超ユルトキ 當該營業稅額ノ十分ノ二
第一條ノ二十一 法令、法令ニ基ク命令又ハ行政官廳ノ指導若ハ斡旋ニ依リ昭和十六年一月一日以後昭和十七年十二月三十一日迄ニ事業ノ統制ノ必要上合併若ハ解散シタル法人又ハ營業ノ全部若ハ大部分ヲ廢止シタル個人ノ使用人ニシテ退職シタル者ノ當該法人又ハ個人ヨリ受クル俸給、給料、賞與又ハ此等ノ性質ヲ有スル給與ニ付テハ命令ノ定ムル所ニ依リ昭和十七年分又ハ昭和十八年分ノ乙種ノ勤勞所得ニ對スル分類所得稅及綜合所得稅ニ限リ左ノ區分ニ依リ之ヲ輕減又ハ免除ス
總所得金額五千圓以下ナルトキ 當該所得稅額ノ全部
同一萬圓以下ナルトキ 當該所得稅額ノ十分ノ五
同一萬圓ヲ超ユルトキ 當該所得稅額ノ十分ノ二
第十三條ノ二 政府ノ承認ヲ受ケアルコール專賣法第二十條第二號ノ規定ニ依リ賣渡ヲ受ケタルアルコールヲ原料トシテ製造シタル酒類ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノニ付テハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ酒類造石稅ヲ免除ス
第二十一條ノ二 命令ヲ以テ定ムル織物ニ付テハ織物消費稅法第二條ノ規定ニ拘ラズ消費稅ノ稅率ハ其ノ價格ノ百分ノ十トス
第二十二條ノ三 左ニ揭グル事項ガ法令、法令ニ基ク命令又ハ行政官廳ノ指導若ハ斡旋ニ依リ昭和十七年四月一日以後昭和十八年三月三十一日迄ニ事業ノ統制ノ必要上爲サルル場合ニ於テハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ登記ノ登錄稅ノ額ハ他ノ法令ニ別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外登錄稅法ニ拘ラズ左ノ額ニ依ル但シ登錄稅法ニ依リ算出シタル登錄稅ノ額ガ左ノ額ヨリ少キトキハ其ノ額ニ依ル
一 會社ノ設立 金錢出資ニ依ル拂込株金額及金錢ヲ目的トスル株金以外ノ出資ノ價格ノ千分ノ五ト金錢以外ノ財產ノ出資ニ依ル拂込株金額及金錢以外ノ財產ヲ目的トスル株金以外ノ出資ノ價格ノ千分ノ一トノ合計額
二 會社資本ノ增加 金錢出資ニ依ル增資拂込株金額及金錢ヲ目的トスル株金以外ノ出資ノ價格ノ千分ノ五ト金錢以外ノ財產ノ出資ニ依ル增資拂込株金額及金錢以外ノ財產ヲ目的トスル株金以外ノ出資ノ價格ノ千分ノ一トノ合計額
三 第二囘以後ノ株金拂込 每囘ノ金錢ニ依ル拂込株金額ノ千分ノ五ト金錢以外ノ財產ノ出資ニ依ル拂込株金額ノ千分ノ一トノ合計額
四 會社ノ設立、資本增加若ハ第二囘以後ノ株金拂込又ハ事業ノ設備若ハ事業ノ讓受ノ場合ニ於ケル不動產又ハ船舶ニ關スル權利ノ取得 不動產又ハ船舶ノ價格ノ千分ノ三
附 則
本法ハ昭和十七年四月一日ヨリ之ヲ施行ス但シ第一條ノ十五ノ規定ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行シ第二十一條ノ二ノ規定施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
各事業年度ノ所得ニ對スル法人稅、法人ノ各事業年度ノ純益ニ對スル營業稅及法人ノ臨時利得稅ニ付テハ昭和十七年一月一日以後ニ終了スル事業年度分ヨリ、淸算所得ニ對スル法人稅及法人ノ淸算純益ニ對スル營業稅ニ付テハ第一條ノ十七ニ規定スル場合ヲ除クノ外同日以後ニ於ケル解散又ハ合併ニ因ル分ヨリ本法ヲ適用ス
昭和十七年一月一日前ニ支出シタル寄附金及同日以後ニ支出スル寄附金ニシテ同日前ノ約束ニ係ルモノニ付テハ第一條ノ十六第一項ノ規定ニ拘ラズ寄附金審査委員會ノ諮問ヲ經テ法人稅法ニ依ル所得、營業稅法ニ依ル純益及臨時利得稅法ニ依ル利益ノ計算上其ノ全部又ハ一部ヲ損金ニ算入スルコトヲ得
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル臨時租税措置法中改正法律ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十七年二月二十一日
内閣総理大臣 東条英機
大蔵大臣 賀屋興宣
法律第五十六号
臨時租税措置法中左ノ通改正ス
第一条中「営業税、」ノ下ニ「酒税、」ヲ加ヘ「又ハ免除ス」ヲ「若ハ免除シ又ハ其ノ課税標準ノ計算ニ関スル特例ヲ設ク」ニ改ム
第一条ノ二中「十分ノ三」ヲ「十分ノ一」ニ、「百分ノ三・六」ヲ「百分ノ七・五」ニ改ム
第一条ノ四ニ左ノ一号ヲ加フ
四 命令ヲ以テ指定スル価格平衡資金ヘノ繰入金
第一条ノ八中「百分ノ十」ヲ「百分ノ十五」ニ、「百分ノ六」ヲ「百分ノ十」ニ改ム
第一条ノ九 命令ヲ以テ定ムル預金、貯金、公債若ハ社債又ハ合同運用信託ノ利子又ハ利益ニシテ個人ノ受クルモノニ付テハ命令ノ定ムル所ニ依リ利子又ハ利益金額ノ百分ノ一乃至百分ノ五ニ相当スル甲種ノ配当利子所得ニ対スル分類所得税ヲ軽減ス
第一条ノ十 元本ノ償還及利息ノ支払ニ付政府ノ保証アル社債ノ利子ニ付テハ所得税法第二十一条ニ規定スル税率百分ノ十五ヲ百分ノ十四、同法第二十二条ニ規定スル税率百分ノ二十二ヲ百分ノ二十一トシタル場合ノ差減額ニ相当スル甲種ノ配当利子所得ニ対スル分類所得税ヲ軽減ス
第一条ノ十一 金融機関ニ対スル金融機関ノ預金ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノノ利子ニ付テハ命令ノ定ムル所ニ依リ甲種ノ配当利子所得ニ対スル分類所得税ヲ免除ス
第一条ノ十二 貯蓄銀行法第九条第一項ノ規定ニ依リ貯蓄銀行ノ供託シタル公債及社債ノ利子ニ付テハ命令ノ定ムル所ニ依リ第一条ノ十及所得税法第二十一条第一項ノ規定ニ拘ラズ左ノ税率ニ依リ分類所得税ヲ賦課ス
一 国債ノ利子ニ付テハ百分ノ三
二 国債以外ノ公債ノ利子ニ付テハ百分ノ十一
三 社債ノ利子ニ付テハ百分ノ十二但シ第一条ノ十ニ規定スル社債ノ利子ニ付テハ百分ノ十一
第一条ノ十三 明治三十九年法律第三十四号又ハ社債等登録法ニ依リ銀行(日本銀行ヲ除ク)其ノ他命令ヲ以テ定ムル金融機関ノ登録シタル公債及社債ノ利子ニ付テハ命令ノ定ムル所ニ依リ第一条ノ十及所得税法第二十一条第一項ノ規定ニ拘ラズ左ノ税率ニ依リ分類所得税ヲ賦課ス
一 国債ノ利子ニ付テハ百分ノ五但シ命令ヲ以テ定ムル銀行ノ登録シタル国債ノ利子ニ付テハ百分ノ四
二 国債以外ノ公債ノ利子ニ付テハ百分ノ十二
三 社債ノ利子ニ付テハ百分ノ十三但シ第一条ノ十ニ規定スル社債ノ利子ニ付テハ百分ノ十二
第一条ノ十四 所得税法施行地ニ本店又ハ主タル事務所ヲ有スル法人ヨリ受クル利益若ハ利息ノ配当又ハ剰余金ノ分配ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノニ付テハ命令ノ定ムル所ニ依リ所得税法第二十一条ニ規定スル税率百分ノ十五ヲ百分ノ十三、同法第二十二条ニ規定スル税率百分ノ二十二ヲ百分ノ二十トシタル場合ノ差減額ニ相当スル甲種ノ配当利子所得ニ対スル分類所得税ヲ軽減ス
第一条ノ十五 甲法人ガ国家総動員法其ノ他ノ法令ニ依リ当該法令ニ基キテ設立セラレタル乙法人ト為リ又ハ之ニ吸収セラレタルトキハ所得税法、法人税法、営業税法及臨時利得税法ノ適用ニ関シテハ甲法人ハ合併ニ因リテ消滅シタル法人ト看做シ乙法人ハ合併ニ因リテ設立シタル法人ト看做ス
第一条ノ十六 法人ノ為シタル寄附金(命令ヲ以テ定ムルモノヲ除ク)中命令ノ定ムル所ニ依リ計算シタル金額ヲ超過スル部分ノ金額ニ付テハ法人税法ニ依ル所得、営業税法ニ依ル純益及臨時利得税法ニ依ル利益ノ計算上之ヲ損金ニ算入セズ
政府ニ於テ必要アリト認ムルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ寄附金審査委員会ノ諮問ヲ経テ前項ノ超過金額ニ対シテ課セラルベキ所得ニ対スル法人税ヲ免除スルコトヲ得
寄附金審査委員会ニ関スル規程ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第一条ノ十七 法令、法令ニ基ク命令又ハ行政官庁ノ指導若ハ斡旋ニ依リ昭和十六年十一月一日以後昭和十八年三月三十一日迄ニ事業ノ統制ノ必要上合併又ハ解散シタル払込資本金額百万円以下ノ法人ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノノ清算所得ニ付テハ命令ノ定ムル所ニ依リ改正前ノ法人税法第十六条ニ規定スル税率百分ノ十八又ハ改正後ノ同条ニ規定スル税率百分ノ二十五ヲ百分ノ十五トシタル場合ノ差減額ニ相当スル法人税ヲ軽減ス
法令、法令ニ基ク命令又ハ行政官庁ノ指導若ハ斡旋ニ依リ昭和十七年一月一日以後昭和十八年三月三十一日迄ニ事業ノ統制ノ必要上合併又ハ解散シタル払込資本金額百万円ヲ超ユル法人ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノノ清算所得ニ付テハ命令ノ定ムル所ニ依リ法人税法第十六条ニ規定スル税率百分ノ二十五ヲ百分ノ二十トシタル場合ノ差減額ニ相当スル法人税ヲ軽減ス
第一条ノ十八 命令ヲ以テ定ムル法人ガ法令、法令ニ基ク命令又ハ行政官庁ノ指導若ハ斡旋ニ依リ昭和十六年十一月一日以後昭和十八年三月三十一日迄ニ其ノ事業ニ属スル設備又ハ権利其ノ他ヲ事業ノ統制ノ必要上設立セラルル法人ニ出資又ハ譲渡ヲ為シタルトキハ其ノ出資又ハ譲渡ニ対シ与ヘラレタル有価証券ノ価額ニ関シ出資又ハ譲渡ヲ為シタル事業年度ニ於ケル法人税法ニ依ル所得、営業税法ニ依ル純益及臨時利得税法ニ依ル利益ノ計算ニ付命令ヲ以テ特例ヲ設クルコトヲ得
第一条ノ十九 命令ヲ以テ定ムル法人ガ法令、法令ニ基ク命令又ハ行政官庁ノ指導若ハ斡旋ニ依リ昭和十七年四月一日以後昭和十八年三月三十一日迄ニ事業ノ統制ノ必要上合併又ハ解散シタル場合ニ於テ其ノ株主又ハ社員ノ受クル所得税法第八条ニ規定スル利益ノ配当ニ付テハ命令ノ定ムル所ニ依リ同法第二十一条ニ規定スル税率百分ノ十五ヲ百分ノ十、同法第二十二条ニ規定スル税率百分ノ二十二ヲ百分ノ十七トシタル場合ノ差減額ニ相当スル甲種ノ配当利子所得ニ対スル分類所得税ヲ軽減ス
第一条ノ二十 法令、法令ニ基ク命令又ハ行政官庁ノ指導若ハ斡旋ニ依リ昭和十六年一月一日以後昭和十七年十二月三十一日迄ニ事業ノ統制ノ必要上営業ノ全部又ハ大部分ヲ廃止シタル個人ノ当該営業ヨリ生ズル所得又ハ純益ニ付テハ命令ノ定ムル所ニ依リ昭和十七年分又ハ昭和十八年分ノ所得税及営業税ニ限リ左ノ区分ニ依リ之ヲ軽減又ハ免除ス
一 所得税
総所得金額五千円以下ナルトキ 当該所得税額ノ全部
同一万円以下ナルトキ 当該所得税額ノ十分ノ五
同一万円ヲ超ユルトキ 当該所得税額ノ十分ノ二
二 営業税
純益金額三千円以下ナルトキ 当該営業税額ノ全部
同八千円以下ナルトキ 当該営業税額ノ十分ノ五
同八千円ヲ超ユルトキ 当該営業税額ノ十分ノ二
第一条ノ二十一 法令、法令ニ基ク命令又ハ行政官庁ノ指導若ハ斡旋ニ依リ昭和十六年一月一日以後昭和十七年十二月三十一日迄ニ事業ノ統制ノ必要上合併若ハ解散シタル法人又ハ営業ノ全部若ハ大部分ヲ廃止シタル個人ノ使用人ニシテ退職シタル者ノ当該法人又ハ個人ヨリ受クル俸給、給料、賞与又ハ此等ノ性質ヲ有スル給与ニ付テハ命令ノ定ムル所ニ依リ昭和十七年分又ハ昭和十八年分ノ乙種ノ勤労所得ニ対スル分類所得税及綜合所得税ニ限リ左ノ区分ニ依リ之ヲ軽減又ハ免除ス
総所得金額五千円以下ナルトキ 当該所得税額ノ全部
同一万円以下ナルトキ 当該所得税額ノ十分ノ五
同一万円ヲ超ユルトキ 当該所得税額ノ十分ノ二
第十三条ノ二 政府ノ承認ヲ受ケアルコール専売法第二十条第二号ノ規定ニ依リ売渡ヲ受ケタルアルコールヲ原料トシテ製造シタル酒類ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノニ付テハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ酒類造石税ヲ免除ス
第二十一条ノ二 命令ヲ以テ定ムル織物ニ付テハ織物消費税法第二条ノ規定ニ拘ラズ消費税ノ税率ハ其ノ価格ノ百分ノ十トス
第二十二条ノ三 左ニ掲グル事項ガ法令、法令ニ基ク命令又ハ行政官庁ノ指導若ハ斡旋ニ依リ昭和十七年四月一日以後昭和十八年三月三十一日迄ニ事業ノ統制ノ必要上為サルル場合ニ於テハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ登記ノ登録税ノ額ハ他ノ法令ニ別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外登録税法ニ拘ラズ左ノ額ニ依ル但シ登録税法ニ依リ算出シタル登録税ノ額ガ左ノ額ヨリ少キトキハ其ノ額ニ依ル
一 会社ノ設立 金銭出資ニ依ル払込株金額及金銭ヲ目的トスル株金以外ノ出資ノ価格ノ千分ノ五ト金銭以外ノ財産ノ出資ニ依ル払込株金額及金銭以外ノ財産ヲ目的トスル株金以外ノ出資ノ価格ノ千分ノ一トノ合計額
二 会社資本ノ増加 金銭出資ニ依ル増資払込株金額及金銭ヲ目的トスル株金以外ノ出資ノ価格ノ千分ノ五ト金銭以外ノ財産ノ出資ニ依ル増資払込株金額及金銭以外ノ財産ヲ目的トスル株金以外ノ出資ノ価格ノ千分ノ一トノ合計額
三 第二回以後ノ株金払込 毎回ノ金銭ニ依ル払込株金額ノ千分ノ五ト金銭以外ノ財産ノ出資ニ依ル払込株金額ノ千分ノ一トノ合計額
四 会社ノ設立、資本増加若ハ第二回以後ノ株金払込又ハ事業ノ設備若ハ事業ノ譲受ノ場合ニ於ケル不動産又ハ船舶ニ関スル権利ノ取得 不動産又ハ船舶ノ価格ノ千分ノ三
附 則
本法ハ昭和十七年四月一日ヨリ之ヲ施行ス但シ第一条ノ十五ノ規定ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行シ第二十一条ノ二ノ規定施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
各事業年度ノ所得ニ対スル法人税、法人ノ各事業年度ノ純益ニ対スル営業税及法人ノ臨時利得税ニ付テハ昭和十七年一月一日以後ニ終了スル事業年度分ヨリ、清算所得ニ対スル法人税及法人ノ清算純益ニ対スル営業税ニ付テハ第一条ノ十七ニ規定スル場合ヲ除クノ外同日以後ニ於ケル解散又ハ合併ニ因ル分ヨリ本法ヲ適用ス
昭和十七年一月一日前ニ支出シタル寄附金及同日以後ニ支出スル寄附金ニシテ同日前ノ約束ニ係ルモノニ付テハ第一条ノ十六第一項ノ規定ニ拘ラズ寄附金審査委員会ノ諮問ヲ経テ法人税法ニ依ル所得、営業税法ニ依ル純益及臨時利得税法ニ依ル利益ノ計算上其ノ全部又ハ一部ヲ損金ニ算入スルコトヲ得