企業整備資金措置法
法令番号: 法律第九十五號
公布年月日: 昭和18年6月26日
法令の形式: 法律
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル企業整備資金措置法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十八年六月二十五日
內閣總理大臣兼陸軍大臣 東條英機
厚生大臣 小泉親彥
司法大臣 岩村通世
海軍大臣 嶋田繁太郞
遞信大臣 寺島健
大藏大臣 賀屋興宣
商工大臣 岸信介
鐵道大臣 八田嘉明
內務大臣 安藤紀三郞
農林大臣 山崎達之輔
法律第九十五號
企業整備資金措置法
第一條 本法ハ大東亞戰爭ニ際シ企業整備ニ關シ之ガ促進ヲ圖リ浮動購買力ノ發生ヲ防止シ國家經濟ノ秩序ヲ維持スルヲ以テ目的トス
第二條 政府ハ前條ノ目的達成ノ爲必要アリト認ムルトキハ廢止又ハ休止シタル事業ニ屬スル設備、權利其ノ他ノ資產ノ保有ヲ爲シ又ハ保有若ハ處分ノ目的ヲ以テスル買取ヲ爲ス者ニ對シ其ノ保有若ハ買取ニ因リ蒙リタル損失ヲ補償シ又ハ補助金ヲ交付スルノ契約ヲ爲スコトヲ得
前項ノ損失ヲ決定スル基準ハ主務大臣大藏大臣ニ協議シテ之ヲ定ム
第一項ノ補償金及補助金ノ額ニ付テハ豫メ帝國議會ノ協贊ヲ求ムベシ
第三條 政府ハ第一條ノ目的達成ノ爲必要アリト認ムルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ補償金又ハ土地、建物、船舶、設備若ハ權利ノ買收代金ノ債務ニ付其ノ全部又ハ一部ノ支拂ニ代ヘ之ヲ債主ヨリノ政府特殊借入金ト爲シ又ハ債主ニ對シ當該買收代金ノ全部若ハ一部ヲ第六條若ハ第七條ノ規定ニ準ジ債主ノ特殊預金若ハ債主ヲ信託者及受益者トスル特殊金錢信託ト爲スベキコトヲ命ズルコトヲ得
第四條 左ノ各號ノ場合ニ於ケル金錢債務ノ決濟ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ第五條ニ規定スル決濟方法ニシテ債權者又ハ債務者ガ命令ノ定ムル所ニ依リ選擇シタルモノニ依リ之ヲ爲スコトヲ要ス
一 事業ノ全部又ハ一部ノ讓渡アリタルトキ
二 事業ニ屬スル設備又ハ權利ノ全部又ハ一部ノ讓渡又ハ收用アリタルトキ
三 株式又ハ出資ノ持分ノ讓渡アリタルトキ
四 其ノ他勅令ヲ以テ定ムルトキ
前項ノ規定ハ國民更生金庫ガ國民更生金庫法第十七條ノ規定ニ依リ資金ノ融通ヲ爲ス場合ニ之ヲ準用ス此ノ場合ニ於テハ國民更生金庫ヲ債務者、資金ノ融通ヲ受クル者ヲ債權者ト看做ス
第五條 前條ノ金錢債務ノ決濟方法ハ左ノ五種トス
一 特殊預金ト爲スコト
二 特殊金錢信託ト爲スコト
三 債務者特殊借入金ト爲スコト
四 戰時金融金庫特殊借入金ト爲スコト
五 政府特殊借入金ト爲スコト
第六條 特殊預金ノ方法ニ依ル決濟ハ債務者ガ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ支拂フベキ金額ノ全部又ハ一部ヲ政府ノ指定スル金融機關ヘノ債權者ノ預金ト爲スコトニ依リテ之ヲ爲ス
前項ノ場合ニ於テ當該金融機關ハ命令ノ定ムル所ニ依リ特殊預金ノ取扱ヲ爲スコトヲ要ス
第一項ノ場合ニ於テ政府必要アリト認ムルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ當該金融機關ニ對シ債務者ニ當該特殊預金ヲ爲スニ必要ナル資金ノ融通ヲ爲スベキコトヲ命ズルコトヲ得
第七條 特殊金錢信託ノ方法ニ依ル決濟ハ債務者ガ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ支拂フベキ金額ノ全部又ハ一部ヲ政府ノ指定スル金融機關ヘノ債權者ヲ信託者及受益者トスル金錢信託ト爲スコトニ依リテ之ヲ爲ス
前條第二項及第三項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第八條 債務者特殊借入金ノ方法ニ依ル決濟ハ債務者ガ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ支拂フベキ金額ノ全部又ハ一部ヲ債權者ヨリノ債務者ノ借入金ト爲スコトニ依リテ之ヲ爲ス
第九條 戰時金融金庫特殊借入金ノ方法ニ依ル決濟ハ債務者ガ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ支拂フベキ金額ノ全部又ハ一部ヲ戰時金融金庫ニ納付シ債權者ヨリノ戰時金融金庫ノ借入金ト爲スコトニ依リテ之ヲ爲ス
第六條第三項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第十條 政府特殊借入金ノ方法ニ依ル決濟ハ債務者ガ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ支拂フベキ金額ノ全部又ハ一部ヲ政府ニ納付シ債權者ヨリノ政府ノ借入金ト爲スコトニ依リテ之ヲ爲ス
前項ノ場合ニ於テ政府必要アリト認ムルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ債務者ノ納付スベキ金額ノ全部又ハ一部ヲ納付セシメズシテ之ヲ債務者ニ對スル政府特殊債權ト爲スコトヲ得
第十一條 政府特殊借入金、特殊預金、特殊金錢信託、債務者特殊借入金、戰時金融金庫特殊借入金、政府特殊債權及第六條第三項(第七條第二項及第九條第二項ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ノ規定ニ依リ融通スル資金ノ利率、期限其ノ他ノ條件ハ大藏大臣之ヲ定ム
第十二條 特殊預金又ハ特殊金錢信託ノ期限前ノ拂戾又ハ解除及債務者特殊借入金又ハ戰時金融金庫特殊借入金ノ期限前ノ償還ニ付テハ命令ノ定ムル所ニ依リ政府ノ許可ヲ受クルコトヲ要ス
政府ハ命令ノ定ムル所ニ依リ政府特殊借入金ノ全部又ハ一部ニ付期限前ノ償還ヲ爲スコトヲ得
第十三條 政府ハ特殊預金又ハ特殊金錢信託ノ取扱ヲ爲ス金融機關ニ對シ補助金ヲ交付シ又ハ第六條第三項(第七條第二項ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ノ規定ニ依リ資金ノ融通ヲ爲シタルニ因リ蒙リタル損失ヲ補償スルノ契約ヲ爲スコトヲ得
前項ノ損失ヲ決定スル基準ハ大藏大臣之ヲ定ム
第一項ノ補助金及補償金ノ額ニ付テハ豫メ帝國議會ノ協贊ヲ求ムベシ
政府ハ債務者特殊借入金又ハ戰時金融金庫特殊借入金ノ元利支拂ヲ保證スルノ契約ヲ爲スコトヲ得
第十條第一項ノ政府特殊借入金及前項ノ規定ニ依リ保證スベキ元本ノ額ニ付テハ之ヲ通ジ豫メ帝國議會ノ協贊ヲ求ムベシ
第十四條 政府特殊借入金、特殊預金、特殊金錢信託、債務者特殊借入金及戰時金融金庫特殊借入金ノ債權ハ之ヲ讓渡シ又ハ擔保ニ供スルコトヲ得ズ但シ左ノ各號ノ場合ニ於テ命令ノ定ムル所ニ依リ政府ノ認可ヲ受ケタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
一 政府ノ指定スル金融機關ニ讓渡セントスルトキ
二 政府ノ指定スル金融機關ニ擔保ニ供シテ貸付ヲ受ケントスルトキ
三 其ノ他勅令ヲ以テ定ムルトキ
前項各號ノ場合ニ於テ前項ノ認可アリタルトキハ當該金融機關ハ命令ノ定ムル所ニ依リ前項ノ債權ヲ讓受ケ又ハ之ヲ擔保トシテ貸付ヲ爲スコトヲ要ス此ノ場合ニ於テハ當該金融機關ハ他ノ法令ノ規定ニ拘ラズ前項ノ債權ノ讓受又ハ之ヲ擔保トスル貸付ノ業務ヲ行フコトヲ得
前項ノ規定ハ元利支拂ニ付政府ノ保證ナキ債務者特殊借入金ノ債權ニ關シテハ之ヲ適用セズ
第一項ノ規定ハ第一項ノ債權ニ對シ强制執行又ハ國稅徵收法ノ規定若ハ國稅徵收ノ例ニ依ル滯納處分ヲ爲スコトヲ妨ゲズ
第十五條 政府特殊借入金及政府特殊債權ニ關スル事務ハ命令ノ定ムル所ニ依リ之ヲ日本銀行ヲシテ取扱ハシムルコトヲ得
前項ノ事務ノ取扱ニ要スル經費ハ日本銀行ノ負擔トス
政府ハ日本銀行ニ命ジ政府特殊借入金ノ元利支拂ヲ爲サシムル爲之ガ資金ヲ日本銀行ニ交付スルコトヲ得
第十六條 本法ニ規定スルモノノ外政府特殊借入金、特殊預金、特殊金錢信託、債務者特殊借入金、戰時金融金庫特殊借入金、政府特殊債權及第六條第三項(第七條第二項及第九條第二項ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ノ規定ニ依リテ爲ス資金ノ融通ニ關シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第十七條 命令ヲ以テ定ムル會社ノ營業ノ全部ノ讓渡又ハ解散ニ關スル株主總會若ハ社員總會ノ決議又ハ總社員ノ同意ハ命令ノ定ムル所ニ依リ政府ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ
命令ヲ以テ定ムル會社ハ他ノ法令ノ規定ニ拘ラズ存立時期ノ滿了其ノ他定款ニ定メタル解散事由ノ發生ニ依リテハ解散セズ
第十八條 政府ハ第一條ノ目的達成ノ爲必要アリト認ムルトキハ命令ヲ以テ定ムル會社ニ對シ命令ノ定ムル所ニ依リ目的若ハ存立時期其ノ他解散事由ニ關シ定款ノ變更ヲ命ジ又ハ會社ヲ繼續スベキコトヲ命ズルコトヲ得
第十九條 政府ハ第一條ノ目的達成ノ爲必要アリト認ムルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ設備、權利其ノ他ノ資產ノ出資又ハ讓渡等ニ因リ資產ノ大部分ガ有價證券又ハ債權ト爲リタル會社ニ對シ信託會社又ハ信託業務ヲ營ム銀行(以下信託業者ト總稱ス)ニ其ノ資產ヲ信託シ又ハ其ノ資產ノ管理ヲ委託スベキコトヲ命ズルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テハ信託業者ハ資產ノ信託ノ引受ヲ爲シ又ハ資產ノ管理ヲ受託スルコトヲ要ス
前二項ノ場合ニ於テハ信託業者ハ信託業法第四條ノ規定ニ拘ラズ同條ニ揭グル財產以外ノ財產ノ信託ノ引受ヲ爲スコトヲ得
政府ハ第一項ノ規定ニ基ク命令ニ依リ信託業者ニ其ノ資產ヲ信託シ又ハ其ノ資產ノ管理ヲ委託シタル會社ニ對シ他ノ法令ノ規定ニ拘ラズ勅令ノ定ムル所ニ依リ役員ノ數ヲ減少スベキコトヲ命ズルコトヲ得
前項ノ資產ヲ信託シ又ハ資產ノ管理ヲ委託シタル會社ノ株主總會又ハ社員總會ノ招集ニ關シテハ他ノ法令ノ規定ニ拘ラズ勅令ヲ以テ別段ノ定ヲ爲スコトヲ得
第二十條 企業整備ニ關シ營業ノ全部又ハ一部ヲ廢止又ハ休止シタル會社及法令、法令ニ基ク命令又ハ行政官廳ノ指導若ハ斡旋ニ依リ繼續又ハ合併ヲ爲シタル會社ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ政府ノ許可ヲ受ケ他ノ法令ノ規定ニ拘ラズ其ノ經理ニ付必要ナル措置ヲ爲スコトヲ得
第二十一條 政府ハ第一條ノ目的達成ノ爲必要アリト認ムルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ會社ノ資本ノ增加ニ關シ必要ナル命令ヲ爲シ又ハ其ノ減少ヲ制限スルコトヲ得
第二十二條 企業整備ニ關シ法令、法令ニ基ク命令又ハ行政官廳ノ指導若ハ斡旋ニ依リテ爲ス會社ノ設立、繼續、定款ノ變更、營業ノ全部若ハ一部ノ讓渡若ハ讓受、合併又ハ資本ノ增加ニ關シテハ他ノ法令ノ規定ニ拘ラズ勅令ヲ以テ別段ノ定ヲ爲スコトヲ得
第二十三條 命令ヲ以テ定ムル法人解散シタルトキハ其ノ殘餘財產ノ分配ハ金錢以外ノモノヲ以テ之ヲ爲スコトヲ得
前項ノ法人ノ淸算人ハ命令ノ定ムル所ニ依リ法人財產ノ換價其ノ他ノ處分及殘餘財產ノ分配ニ付裁判所ノ許可ヲ受クルコトヲ要ス
裁判所ハ第一項ノ法人ノ淸算人ニ對シ法人財產ノ換價其ノ他ノ處分及殘餘財產ノ分配ニ關シ必要ナル命令ヲ爲スコトヲ得
行政官廳ハ第一項ノ法人ノ淸算ニ關シ裁判所ニ對シ必要ナル意見ヲ述ブルコトヲ得
第二十四條 政府ハ第一條ノ目的達成ノ爲必要アリト認ムルトキハ企業整備ニ關シ事業ノ全部又ハ一部ヲ廢止又ハ休止シタル者、事業ニ屬スル設備、權利其ノ他ノ資產ヲ取得又ハ處分シタル者及此等ノ者ト債務關係アル者ノ金錢債務ノ條件、擔保等ノ調整ニ關シ命令ノ定ムル所ニ依リ必要ナル指示ヲ爲スコトヲ得
政府ハ前項ノ規定ニ依ル指示ニ從ヒタル者ニ對シ其ノ指示ニ從ヒタルニ因リ蒙リタル損失ヲ補償スルノ契約ヲ爲スコトヲ得
前項ノ損失ヲ決定スル基準ハ大藏大臣之ヲ定ム
第二項ノ補償金ノ額ニ付テハ豫メ帝國議會ノ協贊ヲ求ムベシ
第二十五條 政府ハ必要アリト認ムルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ報吿ヲ徵シ又ハ當該官吏ヲシテ必要ナル場所ニ臨檢シ帳簿書類其ノ他ノ物件ヲ檢査セシムルコトヲ得
第二十六條 本法ノ施行ニ關スル重要事項ニ付政府ノ諮問ニ應ズル爲企業整備資金委員會ヲ置ク
企業整備資金委員會ノ組織及權限ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第二十七條 企業整備ニ關シ轉業又ハ廢業ヲ爲ス商工業者等ガ國民更生金庫ニ對シ讓渡其ノ他ノ處分ヲ爲ス資產ノ評價ニ關スル事項ハ轉廢業者資產評價委員會ノ議ヲ經ルコトヲ要ス
企業整備ニ關シ產業設備營團ガ產業設備營團法第十七條第一項第一號又ハ第五號ノ規定ニ依リ買受クル設備ノ評價ニ關スル事項ハ產業設備評價委員會ノ議ヲ經ルコトヲ要ス
轉廢業者資產評價委員會及產業設備評價委員會ノ組織及權限ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第二十八條 政府ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ勅令ヲ以テ定ムル者ヲシテ本法ニ規定スル職權ノ一部ヲ行ハシムルコトヲ得
第二十九條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ二年以下ノ懲役又ハ三千圓以下ノ罰金ニ處ス
一 第三條ノ規定ニ基ク命令ニ違反シタル者
二 第四條ノ規定ニ違反シタル者
三 第二十三條第二項ノ規定ニ違反シ又ハ同條第三項ノ規定ニ基ク命令ニ違反シタル者
第三十條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ六月以下ノ懲役又ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
一 第六條第二項(第七條第二項ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ノ規定ニ違反シタル者
二 第十二條第一項ノ規定ニ違反シタル者
三 第十四條第二項ノ規定ニ違反シタル者
四 第十八條ノ規定ニ基ク命令ニ違反シタル者
五 第十九條第一項若ハ第四項ノ規定ニ基ク命令ニ違反シ又ハ同條第二項ノ規定ニ違反シタル者
六 第二十一條ノ規定ニ基ク命令又ハ制限ニ違反シタル者
七 第二十五條ノ規定ニ依ル臨檢檢査ヲ拒ミ、妨ゲ又ハ忌避シタル者
第三十一條 第二十五條ノ規定ニ依ル報吿ヲ爲サズ若ハ虛僞ノ報吿ヲ爲シ又ハ本法若ハ本法ニ基キテ發スル命令ニ依リ提出スル書類ニ虛僞ノ記載ヲ爲シタル者ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
第三十二條 法人ノ代表者又ハ法人若ハ人ノ代理人、使用人其ノ他ノ從業者ガ其ノ法人又ハ人ノ業務ニ關シ第二十九條、第三十條第一號乃至第六號又ハ前條ノ違反行爲ヲ爲シタルトキハ行爲者ヲ罰スルノ外其ノ法人又ハ人ニ對シ各本條ノ罰金刑ヲ科ス
第三十三條 當該官吏其ノ他勅令ヲ以テ定ムル者、第二十八條ノ規定ニ依リ政府ノ職權ノ一部ヲ行フ者(其ノ者ガ法人ナルトキハ當該職權ニ屬スル事務ニ從事スル職員)、政府特殊借入金若ハ政府特殊債權ニ關スル事務ニ從事スル日本銀行職員又ハ此等ノ職ニ在リタル者本法ニ依ル職務執行ニ關シ知得タル法人又ハ人ノ業務上ノ祕密ヲ漏洩シ又ハ竊用シタルトキハ二年以下ノ懲役又ハ二千圓以下ノ罰金ニ處ス
第三十四條 本法ヲ朝鮮又ハ臺灣ニ施行スル場合ニ於テ必要アルトキハ勅令ヲ以テ特別ノ定ヲ爲スコトヲ得
附 則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
臨時租稅措置法左ノ通改正ス
第一條ノ四ニ左ノ一號ヲ加フ
六 法人ノ命令ヲ以テ定ムル場合ニ於ケル資產ノ評價換ニ因ル益金
第一條ノ十八中「命令ヲ以テ定ムル者ニ」ヲ削リ「有價證券」ノ下ニ「其ノ他命令ヲ以テ定ムルモノ」ヲ加フ
第一條ノ二十八中「命令ヲ以テ定ムル者ニ」ヲ削ル
第一條ノ二十九 企業整備資金措置法ニ規定スル政府特殊借入金ノ利子ニ付テハ命令ノ定ムル所ニ依リ分類所得稅ヲ輕減シ又ハ所得稅法ニ依ル所得若ハ法人稅法ニ依ル所得ノ計算ニ關シ特例ヲ設クルコトヲ得
命令ヲ以テ定ムル金融機關ガ前項ノ政府特殊借入金ノ債權ヲ擔保トシテ貸付ケタル貸付金ノ利子ニ付テハ法人稅法ニ依ル所得ノ計算ニ關シ命令ヲ以テ特例ヲ設クルコトヲ得
第一條ノ三十 法令、法令ニ基ク命令又ハ行政官廳ノ指導若ハ斡旋ニ依リ昭和十八年一月一日以後ニ於テ其ノ事業ノ全部又ハ一部ヲ廢止又ハ休止シタル法人ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノニ付テハ命令ノ定ムル所ニ依リ廢止又ハ休止ノ日以後ニ於テ納付スベキ所得稅、法人稅、營業稅又ハ臨時利得稅ヲ輕減スルコトヲ得
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル企業整備資金措置法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十八年六月二十五日
内閣総理大臣兼陸軍大臣 東条英機
厚生大臣 小泉親彦
司法大臣 岩村通世
海軍大臣 嶋田繁太郎
逓信大臣 寺島健
大蔵大臣 賀屋興宣
商工大臣 岸信介
鉄道大臣 八田嘉明
内務大臣 安藤紀三郎
農林大臣 山崎達之輔
法律第九十五号
企業整備資金措置法
第一条 本法ハ大東亜戦争ニ際シ企業整備ニ関シ之ガ促進ヲ図リ浮動購買力ノ発生ヲ防止シ国家経済ノ秩序ヲ維持スルヲ以テ目的トス
第二条 政府ハ前条ノ目的達成ノ為必要アリト認ムルトキハ廃止又ハ休止シタル事業ニ属スル設備、権利其ノ他ノ資産ノ保有ヲ為シ又ハ保有若ハ処分ノ目的ヲ以テスル買取ヲ為ス者ニ対シ其ノ保有若ハ買取ニ因リ蒙リタル損失ヲ補償シ又ハ補助金ヲ交付スルノ契約ヲ為スコトヲ得
前項ノ損失ヲ決定スル基準ハ主務大臣大蔵大臣ニ協議シテ之ヲ定ム
第一項ノ補償金及補助金ノ額ニ付テハ予メ帝国議会ノ協賛ヲ求ムベシ
第三条 政府ハ第一条ノ目的達成ノ為必要アリト認ムルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ補償金又ハ土地、建物、船舶、設備若ハ権利ノ買収代金ノ債務ニ付其ノ全部又ハ一部ノ支払ニ代ヘ之ヲ債主ヨリノ政府特殊借入金ト為シ又ハ債主ニ対シ当該買収代金ノ全部若ハ一部ヲ第六条若ハ第七条ノ規定ニ準ジ債主ノ特殊預金若ハ債主ヲ信託者及受益者トスル特殊金銭信託ト為スベキコトヲ命ズルコトヲ得
第四条 左ノ各号ノ場合ニ於ケル金銭債務ノ決済ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ第五条ニ規定スル決済方法ニシテ債権者又ハ債務者ガ命令ノ定ムル所ニ依リ選択シタルモノニ依リ之ヲ為スコトヲ要ス
一 事業ノ全部又ハ一部ノ譲渡アリタルトキ
二 事業ニ属スル設備又ハ権利ノ全部又ハ一部ノ譲渡又ハ収用アリタルトキ
三 株式又ハ出資ノ持分ノ譲渡アリタルトキ
四 其ノ他勅令ヲ以テ定ムルトキ
前項ノ規定ハ国民更生金庫ガ国民更生金庫法第十七条ノ規定ニ依リ資金ノ融通ヲ為ス場合ニ之ヲ準用ス此ノ場合ニ於テハ国民更生金庫ヲ債務者、資金ノ融通ヲ受クル者ヲ債権者ト看做ス
第五条 前条ノ金銭債務ノ決済方法ハ左ノ五種トス
一 特殊預金ト為スコト
二 特殊金銭信託ト為スコト
三 債務者特殊借入金ト為スコト
四 戦時金融金庫特殊借入金ト為スコト
五 政府特殊借入金ト為スコト
第六条 特殊預金ノ方法ニ依ル決済ハ債務者ガ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ支払フベキ金額ノ全部又ハ一部ヲ政府ノ指定スル金融機関ヘノ債権者ノ預金ト為スコトニ依リテ之ヲ為ス
前項ノ場合ニ於テ当該金融機関ハ命令ノ定ムル所ニ依リ特殊預金ノ取扱ヲ為スコトヲ要ス
第一項ノ場合ニ於テ政府必要アリト認ムルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ当該金融機関ニ対シ債務者ニ当該特殊預金ヲ為スニ必要ナル資金ノ融通ヲ為スベキコトヲ命ズルコトヲ得
第七条 特殊金銭信託ノ方法ニ依ル決済ハ債務者ガ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ支払フベキ金額ノ全部又ハ一部ヲ政府ノ指定スル金融機関ヘノ債権者ヲ信託者及受益者トスル金銭信託ト為スコトニ依リテ之ヲ為ス
前条第二項及第三項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第八条 債務者特殊借入金ノ方法ニ依ル決済ハ債務者ガ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ支払フベキ金額ノ全部又ハ一部ヲ債権者ヨリノ債務者ノ借入金ト為スコトニ依リテ之ヲ為ス
第九条 戦時金融金庫特殊借入金ノ方法ニ依ル決済ハ債務者ガ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ支払フベキ金額ノ全部又ハ一部ヲ戦時金融金庫ニ納付シ債権者ヨリノ戦時金融金庫ノ借入金ト為スコトニ依リテ之ヲ為ス
第六条第三項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第十条 政府特殊借入金ノ方法ニ依ル決済ハ債務者ガ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ支払フベキ金額ノ全部又ハ一部ヲ政府ニ納付シ債権者ヨリノ政府ノ借入金ト為スコトニ依リテ之ヲ為ス
前項ノ場合ニ於テ政府必要アリト認ムルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ債務者ノ納付スベキ金額ノ全部又ハ一部ヲ納付セシメズシテ之ヲ債務者ニ対スル政府特殊債権ト為スコトヲ得
第十一条 政府特殊借入金、特殊預金、特殊金銭信託、債務者特殊借入金、戦時金融金庫特殊借入金、政府特殊債権及第六条第三項(第七条第二項及第九条第二項ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ノ規定ニ依リ融通スル資金ノ利率、期限其ノ他ノ条件ハ大蔵大臣之ヲ定ム
第十二条 特殊預金又ハ特殊金銭信託ノ期限前ノ払戻又ハ解除及債務者特殊借入金又ハ戦時金融金庫特殊借入金ノ期限前ノ償還ニ付テハ命令ノ定ムル所ニ依リ政府ノ許可ヲ受クルコトヲ要ス
政府ハ命令ノ定ムル所ニ依リ政府特殊借入金ノ全部又ハ一部ニ付期限前ノ償還ヲ為スコトヲ得
第十三条 政府ハ特殊預金又ハ特殊金銭信託ノ取扱ヲ為ス金融機関ニ対シ補助金ヲ交付シ又ハ第六条第三項(第七条第二項ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ノ規定ニ依リ資金ノ融通ヲ為シタルニ因リ蒙リタル損失ヲ補償スルノ契約ヲ為スコトヲ得
前項ノ損失ヲ決定スル基準ハ大蔵大臣之ヲ定ム
第一項ノ補助金及補償金ノ額ニ付テハ予メ帝国議会ノ協賛ヲ求ムベシ
政府ハ債務者特殊借入金又ハ戦時金融金庫特殊借入金ノ元利支払ヲ保証スルノ契約ヲ為スコトヲ得
第十条第一項ノ政府特殊借入金及前項ノ規定ニ依リ保証スベキ元本ノ額ニ付テハ之ヲ通ジ予メ帝国議会ノ協賛ヲ求ムベシ
第十四条 政府特殊借入金、特殊預金、特殊金銭信託、債務者特殊借入金及戦時金融金庫特殊借入金ノ債権ハ之ヲ譲渡シ又ハ担保ニ供スルコトヲ得ズ但シ左ノ各号ノ場合ニ於テ命令ノ定ムル所ニ依リ政府ノ認可ヲ受ケタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
一 政府ノ指定スル金融機関ニ譲渡セントスルトキ
二 政府ノ指定スル金融機関ニ担保ニ供シテ貸付ヲ受ケントスルトキ
三 其ノ他勅令ヲ以テ定ムルトキ
前項各号ノ場合ニ於テ前項ノ認可アリタルトキハ当該金融機関ハ命令ノ定ムル所ニ依リ前項ノ債権ヲ譲受ケ又ハ之ヲ担保トシテ貸付ヲ為スコトヲ要ス此ノ場合ニ於テハ当該金融機関ハ他ノ法令ノ規定ニ拘ラズ前項ノ債権ノ譲受又ハ之ヲ担保トスル貸付ノ業務ヲ行フコトヲ得
前項ノ規定ハ元利支払ニ付政府ノ保証ナキ債務者特殊借入金ノ債権ニ関シテハ之ヲ適用セズ
第一項ノ規定ハ第一項ノ債権ニ対シ強制執行又ハ国税徴収法ノ規定若ハ国税徴収ノ例ニ依ル滞納処分ヲ為スコトヲ妨ゲズ
第十五条 政府特殊借入金及政府特殊債権ニ関スル事務ハ命令ノ定ムル所ニ依リ之ヲ日本銀行ヲシテ取扱ハシムルコトヲ得
前項ノ事務ノ取扱ニ要スル経費ハ日本銀行ノ負担トス
政府ハ日本銀行ニ命ジ政府特殊借入金ノ元利支払ヲ為サシムル為之ガ資金ヲ日本銀行ニ交付スルコトヲ得
第十六条 本法ニ規定スルモノノ外政府特殊借入金、特殊預金、特殊金銭信託、債務者特殊借入金、戦時金融金庫特殊借入金、政府特殊債権及第六条第三項(第七条第二項及第九条第二項ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ノ規定ニ依リテ為ス資金ノ融通ニ関シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第十七条 命令ヲ以テ定ムル会社ノ営業ノ全部ノ譲渡又ハ解散ニ関スル株主総会若ハ社員総会ノ決議又ハ総社員ノ同意ハ命令ノ定ムル所ニ依リ政府ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ効力ヲ生ゼズ
命令ヲ以テ定ムル会社ハ他ノ法令ノ規定ニ拘ラズ存立時期ノ満了其ノ他定款ニ定メタル解散事由ノ発生ニ依リテハ解散セズ
第十八条 政府ハ第一条ノ目的達成ノ為必要アリト認ムルトキハ命令ヲ以テ定ムル会社ニ対シ命令ノ定ムル所ニ依リ目的若ハ存立時期其ノ他解散事由ニ関シ定款ノ変更ヲ命ジ又ハ会社ヲ継続スベキコトヲ命ズルコトヲ得
第十九条 政府ハ第一条ノ目的達成ノ為必要アリト認ムルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ設備、権利其ノ他ノ資産ノ出資又ハ譲渡等ニ因リ資産ノ大部分ガ有価証券又ハ債権ト為リタル会社ニ対シ信託会社又ハ信託業務ヲ営ム銀行(以下信託業者ト総称ス)ニ其ノ資産ヲ信託シ又ハ其ノ資産ノ管理ヲ委託スベキコトヲ命ズルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テハ信託業者ハ資産ノ信託ノ引受ヲ為シ又ハ資産ノ管理ヲ受託スルコトヲ要ス
前二項ノ場合ニ於テハ信託業者ハ信託業法第四条ノ規定ニ拘ラズ同条ニ掲グル財産以外ノ財産ノ信託ノ引受ヲ為スコトヲ得
政府ハ第一項ノ規定ニ基ク命令ニ依リ信託業者ニ其ノ資産ヲ信託シ又ハ其ノ資産ノ管理ヲ委託シタル会社ニ対シ他ノ法令ノ規定ニ拘ラズ勅令ノ定ムル所ニ依リ役員ノ数ヲ減少スベキコトヲ命ズルコトヲ得
前項ノ資産ヲ信託シ又ハ資産ノ管理ヲ委託シタル会社ノ株主総会又ハ社員総会ノ招集ニ関シテハ他ノ法令ノ規定ニ拘ラズ勅令ヲ以テ別段ノ定ヲ為スコトヲ得
第二十条 企業整備ニ関シ営業ノ全部又ハ一部ヲ廃止又ハ休止シタル会社及法令、法令ニ基ク命令又ハ行政官庁ノ指導若ハ斡旋ニ依リ継続又ハ合併ヲ為シタル会社ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ政府ノ許可ヲ受ケ他ノ法令ノ規定ニ拘ラズ其ノ経理ニ付必要ナル措置ヲ為スコトヲ得
第二十一条 政府ハ第一条ノ目的達成ノ為必要アリト認ムルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ会社ノ資本ノ増加ニ関シ必要ナル命令ヲ為シ又ハ其ノ減少ヲ制限スルコトヲ得
第二十二条 企業整備ニ関シ法令、法令ニ基ク命令又ハ行政官庁ノ指導若ハ斡旋ニ依リテ為ス会社ノ設立、継続、定款ノ変更、営業ノ全部若ハ一部ノ譲渡若ハ譲受、合併又ハ資本ノ増加ニ関シテハ他ノ法令ノ規定ニ拘ラズ勅令ヲ以テ別段ノ定ヲ為スコトヲ得
第二十三条 命令ヲ以テ定ムル法人解散シタルトキハ其ノ残余財産ノ分配ハ金銭以外ノモノヲ以テ之ヲ為スコトヲ得
前項ノ法人ノ清算人ハ命令ノ定ムル所ニ依リ法人財産ノ換価其ノ他ノ処分及残余財産ノ分配ニ付裁判所ノ許可ヲ受クルコトヲ要ス
裁判所ハ第一項ノ法人ノ清算人ニ対シ法人財産ノ換価其ノ他ノ処分及残余財産ノ分配ニ関シ必要ナル命令ヲ為スコトヲ得
行政官庁ハ第一項ノ法人ノ清算ニ関シ裁判所ニ対シ必要ナル意見ヲ述ブルコトヲ得
第二十四条 政府ハ第一条ノ目的達成ノ為必要アリト認ムルトキハ企業整備ニ関シ事業ノ全部又ハ一部ヲ廃止又ハ休止シタル者、事業ニ属スル設備、権利其ノ他ノ資産ヲ取得又ハ処分シタル者及此等ノ者ト債務関係アル者ノ金銭債務ノ条件、担保等ノ調整ニ関シ命令ノ定ムル所ニ依リ必要ナル指示ヲ為スコトヲ得
政府ハ前項ノ規定ニ依ル指示ニ従ヒタル者ニ対シ其ノ指示ニ従ヒタルニ因リ蒙リタル損失ヲ補償スルノ契約ヲ為スコトヲ得
前項ノ損失ヲ決定スル基準ハ大蔵大臣之ヲ定ム
第二項ノ補償金ノ額ニ付テハ予メ帝国議会ノ協賛ヲ求ムベシ
第二十五条 政府ハ必要アリト認ムルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ報告ヲ徴シ又ハ当該官吏ヲシテ必要ナル場所ニ臨検シ帳簿書類其ノ他ノ物件ヲ検査セシムルコトヲ得
第二十六条 本法ノ施行ニ関スル重要事項ニ付政府ノ諮問ニ応ズル為企業整備資金委員会ヲ置ク
企業整備資金委員会ノ組織及権限ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第二十七条 企業整備ニ関シ転業又ハ廃業ヲ為ス商工業者等ガ国民更生金庫ニ対シ譲渡其ノ他ノ処分ヲ為ス資産ノ評価ニ関スル事項ハ転廃業者資産評価委員会ノ議ヲ経ルコトヲ要ス
企業整備ニ関シ産業設備営団ガ産業設備営団法第十七条第一項第一号又ハ第五号ノ規定ニ依リ買受クル設備ノ評価ニ関スル事項ハ産業設備評価委員会ノ議ヲ経ルコトヲ要ス
転廃業者資産評価委員会及産業設備評価委員会ノ組織及権限ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第二十八条 政府ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ勅令ヲ以テ定ムル者ヲシテ本法ニ規定スル職権ノ一部ヲ行ハシムルコトヲ得
第二十九条 左ノ各号ノ一ニ該当スル者ハ二年以下ノ懲役又ハ三千円以下ノ罰金ニ処ス
一 第三条ノ規定ニ基ク命令ニ違反シタル者
二 第四条ノ規定ニ違反シタル者
三 第二十三条第二項ノ規定ニ違反シ又ハ同条第三項ノ規定ニ基ク命令ニ違反シタル者
第三十条 左ノ各号ノ一ニ該当スル者ハ六月以下ノ懲役又ハ千円以下ノ罰金ニ処ス
一 第六条第二項(第七条第二項ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ノ規定ニ違反シタル者
二 第十二条第一項ノ規定ニ違反シタル者
三 第十四条第二項ノ規定ニ違反シタル者
四 第十八条ノ規定ニ基ク命令ニ違反シタル者
五 第十九条第一項若ハ第四項ノ規定ニ基ク命令ニ違反シ又ハ同条第二項ノ規定ニ違反シタル者
六 第二十一条ノ規定ニ基ク命令又ハ制限ニ違反シタル者
七 第二十五条ノ規定ニ依ル臨検検査ヲ拒ミ、妨ゲ又ハ忌避シタル者
第三十一条 第二十五条ノ規定ニ依ル報告ヲ為サズ若ハ虚偽ノ報告ヲ為シ又ハ本法若ハ本法ニ基キテ発スル命令ニ依リ提出スル書類ニ虚偽ノ記載ヲ為シタル者ハ千円以下ノ罰金ニ処ス
第三十二条 法人ノ代表者又ハ法人若ハ人ノ代理人、使用人其ノ他ノ従業者ガ其ノ法人又ハ人ノ業務ニ関シ第二十九条、第三十条第一号乃至第六号又ハ前条ノ違反行為ヲ為シタルトキハ行為者ヲ罰スルノ外其ノ法人又ハ人ニ対シ各本条ノ罰金刑ヲ科ス
第三十三条 当該官吏其ノ他勅令ヲ以テ定ムル者、第二十八条ノ規定ニ依リ政府ノ職権ノ一部ヲ行フ者(其ノ者ガ法人ナルトキハ当該職権ニ属スル事務ニ従事スル職員)、政府特殊借入金若ハ政府特殊債権ニ関スル事務ニ従事スル日本銀行職員又ハ此等ノ職ニ在リタル者本法ニ依ル職務執行ニ関シ知得タル法人又ハ人ノ業務上ノ秘密ヲ漏洩シ又ハ窃用シタルトキハ二年以下ノ懲役又ハ二千円以下ノ罰金ニ処ス
第三十四条 本法ヲ朝鮮又ハ台湾ニ施行スル場合ニ於テ必要アルトキハ勅令ヲ以テ特別ノ定ヲ為スコトヲ得
附 則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
臨時租税措置法左ノ通改正ス
第一条ノ四ニ左ノ一号ヲ加フ
六 法人ノ命令ヲ以テ定ムル場合ニ於ケル資産ノ評価換ニ因ル益金
第一条ノ十八中「命令ヲ以テ定ムル者ニ」ヲ削リ「有価証券」ノ下ニ「其ノ他命令ヲ以テ定ムルモノ」ヲ加フ
第一条ノ二十八中「命令ヲ以テ定ムル者ニ」ヲ削ル
第一条ノ二十九 企業整備資金措置法ニ規定スル政府特殊借入金ノ利子ニ付テハ命令ノ定ムル所ニ依リ分類所得税ヲ軽減シ又ハ所得税法ニ依ル所得若ハ法人税法ニ依ル所得ノ計算ニ関シ特例ヲ設クルコトヲ得
命令ヲ以テ定ムル金融機関ガ前項ノ政府特殊借入金ノ債権ヲ担保トシテ貸付ケタル貸付金ノ利子ニ付テハ法人税法ニ依ル所得ノ計算ニ関シ命令ヲ以テ特例ヲ設クルコトヲ得
第一条ノ三十 法令、法令ニ基ク命令又ハ行政官庁ノ指導若ハ斡旋ニ依リ昭和十八年一月一日以後ニ於テ其ノ事業ノ全部又ハ一部ヲ廃止又ハ休止シタル法人ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノニ付テハ命令ノ定ムル所ニ依リ廃止又ハ休止ノ日以後ニ於テ納付スベキ所得税、法人税、営業税又ハ臨時利得税ヲ軽減スルコトヲ得