東京都制の制定に関する提案理由は、主に3つの目的がある。第一に、帝都としての東京の国家的重要性に相応しい行政体制の確立である。第二に、東京府と東京市に分かれている二重行政を一元化することである。第三に、帝都行政の根本的刷新と高度な能率化を図ることである。東京は内地人口の約1割を擁する最大都市であり、大東亜建設の本拠として世界的な重要性を持つ。しかし現状では府市の二重構造により行政が錯綜し、効率的な運営ができていない。特に非常時への対応に支障をきたす恐れがある。そこで、都の区域は現在の東京府の範囲とし、都の首長は官吏として府知事と市長の権限を統合する。また区については従来の自治権を維持しつつ、都条例により事務移譲を可能とする体制を整える。これにより、時局に対応した強力な行政運営を実現する。
参照した発言:
第81回帝国議会 衆議院 本会議 第5号