(臨時租税措置法中改正法律)
法令番号: 法律第五十號
公布年月日: 昭和14年3月31日
法令の形式: 法律
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル臨時租稅措置法中改正法律ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十四年三月三十日
內閣總理大臣 男爵 平沼騏一郞
大藏大臣 石渡莊太郞
法律第五十號
臨時租稅措置法中左ノ通改正ス
第一條中「田畑地租」ノ上ニ「所得稅、」ヲ加ヘ「及織物消費稅」ヲ「、織物消費稅、登錄稅及臨時利得稅」ニ改ム
第一條ノ二 法人ノ各事業年度ノ普通所得中留保シタル金額ガ其ノ事業年度ニ於ケル普通所得ノ十分ノ四ニ相當スル金額ヲ超過スル場合ニ於テ其ノ超過部分ノ全部又ハ一部ニ相當スル金額ヲ命令ヲ以テ定ムル方法ニ依リ運用スルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ運用金額ニ百分ノ二・四五ヲ乘ジテ算出シタル金額ニ相當スル所得稅ヲ輕減ス
第一條ノ三 所得稅法第十九條及營業收益稅法第八條ノ規定ニ依リ指定シタル物產ノ製造業ニ付其ノ設備ヲ增設シタル者ニハ命令ノ定ムル所ニ依リ設備增設ノ年及其ノ翌年ヨリ三年間其ノ增設シタル設備ニ依ル物產ノ製造業務ヨリ生ズル所得及純益ニ付所得稅及營業收益稅ヲ免除ス
命令ヲ以テ指定スル製造方法ニ依ル物產ノ製造ヲ開始シタル者又ハ其ノ設備ヲ增設シタル者ニハ命令ノ定ムル所ニ依リ製造開始又ハ設備增設ノ年及其ノ翌年ヨリ三年間其ノ製造方法ニ依ル物產ノ製造業務又ハ其ノ增設シタル設備ニ依ル物產ノ製造業務ヨリ生ズル所得及純益ニ付所得稅及營業收益稅ヲ免除ス
第一條ノ四 左ニ揭グル事項ニ付テハ所得稅法ニ依ル所得、營業收益稅法ニ依ル純益及臨時利得稅法ニ依ル利益ノ計算ニ關シ命令ヲ以テ特例ヲ設クルコトヲ得
一 命令ヲ以テ指定スル國庫補助金ノ收入
二 命令ヲ以テ指定スル事業ニ關シ硏究ヲ爲スニ要シタル支出
三 命令ヲ以テ指定スル事業ノ用ニ供スル建物(工場用以外ノ建物ヲ除ク)、機械其ノ他ノ設備及船舶ノ價額ノ償却
第二十一條 ステープルファイバー又ハ綿ヲ用ヒタル絲ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノハ之ヲ織物消費稅法第一條又ハ第一條ノ二ニ規定スル綿又ハ綿絲ト看做ス
麻ヲ用ヒタル絲ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノハ之ヲ織物消費稅法第一條ニ規定スル麻ト看做ス
第二十二條 人造絹絲ヲ用ヒタル織物ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノハ織物消費稅法第一條ノ二ノ規定ニ拘ラズ之ヲ綿織物ト看做ス
第二十二條ノ二 耕作ヲ目的トスル土地(其ノ土地ニ附隨シテ利用セラルル土地ヲ含ム)ノ所有權ノ交換ヲ爲シタル場合ニ於テハ交換ニ因ル所有權ノ取得又ハ交換ノ爲ニスル所有權ノ保存ノ登記ニ付テハ命令ノ定ムル所ニ依リ登錄稅ヲ免除ス
前項ノ規定ハ永小作權ノ交換又ハ前項ノ土地ノ所有權ト永小作權トノ交換ヲ爲シタル場合ニ之ヲ準用ス
第二十三條ニ左ノ但書ヲ加フ
但シ第一條ノ二乃至第一條ノ四ノ規定ニ依リ輕減又ハ免除セラルル租稅ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
附 則
本法ハ昭和十四年四月一日ヨリ之ヲ施行ス
第一種所得稅、法人ノ營業收益稅及法人ノ臨時利得稅ニ付テハ昭和十四年四月一日以後ニ終了スル事業年度分ヨリ、第三種所得稅、個人ノ營業收益稅及個人ノ臨時利得稅ニ付テハ昭和十四年分ヨリ本法ヲ適用ス
左ニ揭グル織物又ハ之ヲ以テ製造シタル物品ニ付テハ仍從前ノ例ニ依ル
一 本法施行前消費稅ヲ課スベカリシモノ
二 本法施行前輸出若ハ朝鮮移出ノ目的ヲ以テ又ハ織物消費稅法第七條ノ規定ニ依リテ消費稅ヲ納付セズシテ製造場又ハ保稅地域ヨリ引取リタルモノ
三 本法施行前消費稅ノ徵收ヲ猶豫シタルモノ
四 本法施行前消費稅ヲ納付シテ輸出シ又ハ朝鮮ニ移出シタルモノ
本法施行前消費稅ヲ納付シタル織物ニシテ第二十一條又ハ第二十二條ノ改正規定ニ依リ消費稅ヲ課セザルコトト爲リタルモノ又ハ之ヲ以テ製造シタル物品ヲ本法施行後輸出シ又ハ朝鮮ニ移出スルモ織物消費稅法第三條第二項ノ規定及大正九年法律第五十一號ヲ適用セズ
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル臨時租税措置法中改正法律ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十四年三月三十日
内閣総理大臣 男爵 平沼騏一郎
大蔵大臣 石渡荘太郎
法律第五十号
臨時租税措置法中左ノ通改正ス
第一条中「田畑地租」ノ上ニ「所得税、」ヲ加ヘ「及織物消費税」ヲ「、織物消費税、登録税及臨時利得税」ニ改ム
第一条ノ二 法人ノ各事業年度ノ普通所得中留保シタル金額ガ其ノ事業年度ニ於ケル普通所得ノ十分ノ四ニ相当スル金額ヲ超過スル場合ニ於テ其ノ超過部分ノ全部又ハ一部ニ相当スル金額ヲ命令ヲ以テ定ムル方法ニ依リ運用スルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ運用金額ニ百分ノ二・四五ヲ乗ジテ算出シタル金額ニ相当スル所得税ヲ軽減ス
第一条ノ三 所得税法第十九条及営業収益税法第八条ノ規定ニ依リ指定シタル物産ノ製造業ニ付其ノ設備ヲ増設シタル者ニハ命令ノ定ムル所ニ依リ設備増設ノ年及其ノ翌年ヨリ三年間其ノ増設シタル設備ニ依ル物産ノ製造業務ヨリ生ズル所得及純益ニ付所得税及営業収益税ヲ免除ス
命令ヲ以テ指定スル製造方法ニ依ル物産ノ製造ヲ開始シタル者又ハ其ノ設備ヲ増設シタル者ニハ命令ノ定ムル所ニ依リ製造開始又ハ設備増設ノ年及其ノ翌年ヨリ三年間其ノ製造方法ニ依ル物産ノ製造業務又ハ其ノ増設シタル設備ニ依ル物産ノ製造業務ヨリ生ズル所得及純益ニ付所得税及営業収益税ヲ免除ス
第一条ノ四 左ニ掲グル事項ニ付テハ所得税法ニ依ル所得、営業収益税法ニ依ル純益及臨時利得税法ニ依ル利益ノ計算ニ関シ命令ヲ以テ特例ヲ設クルコトヲ得
一 命令ヲ以テ指定スル国庫補助金ノ収入
二 命令ヲ以テ指定スル事業ニ関シ研究ヲ為スニ要シタル支出
三 命令ヲ以テ指定スル事業ノ用ニ供スル建物(工場用以外ノ建物ヲ除ク)、機械其ノ他ノ設備及船舶ノ価額ノ償却
第二十一条 ステープルファイバー又ハ綿ヲ用ヒタル糸ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノハ之ヲ織物消費税法第一条又ハ第一条ノ二ニ規定スル綿又ハ綿糸ト看做ス
麻ヲ用ヒタル糸ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノハ之ヲ織物消費税法第一条ニ規定スル麻ト看做ス
第二十二条 人造絹糸ヲ用ヒタル織物ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノハ織物消費税法第一条ノ二ノ規定ニ拘ラズ之ヲ綿織物ト看做ス
第二十二条ノ二 耕作ヲ目的トスル土地(其ノ土地ニ附随シテ利用セラルル土地ヲ含ム)ノ所有権ノ交換ヲ為シタル場合ニ於テハ交換ニ因ル所有権ノ取得又ハ交換ノ為ニスル所有権ノ保存ノ登記ニ付テハ命令ノ定ムル所ニ依リ登録税ヲ免除ス
前項ノ規定ハ永小作権ノ交換又ハ前項ノ土地ノ所有権ト永小作権トノ交換ヲ為シタル場合ニ之ヲ準用ス
第二十三条ニ左ノ但書ヲ加フ
但シ第一条ノ二乃至第一条ノ四ノ規定ニ依リ軽減又ハ免除セラルル租税ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
附 則
本法ハ昭和十四年四月一日ヨリ之ヲ施行ス
第一種所得税、法人ノ営業収益税及法人ノ臨時利得税ニ付テハ昭和十四年四月一日以後ニ終了スル事業年度分ヨリ、第三種所得税、個人ノ営業収益税及個人ノ臨時利得税ニ付テハ昭和十四年分ヨリ本法ヲ適用ス
左ニ掲グル織物又ハ之ヲ以テ製造シタル物品ニ付テハ仍従前ノ例ニ依ル
一 本法施行前消費税ヲ課スベカリシモノ
二 本法施行前輸出若ハ朝鮮移出ノ目的ヲ以テ又ハ織物消費税法第七条ノ規定ニ依リテ消費税ヲ納付セズシテ製造場又ハ保税地域ヨリ引取リタルモノ
三 本法施行前消費税ノ徴収ヲ猶予シタルモノ
四 本法施行前消費税ヲ納付シテ輸出シ又ハ朝鮮ニ移出シタルモノ
本法施行前消費税ヲ納付シタル織物ニシテ第二十一条又ハ第二十二条ノ改正規定ニ依リ消費税ヲ課セザルコトト為リタルモノ又ハ之ヲ以テ製造シタル物品ヲ本法施行後輸出シ又ハ朝鮮ニ移出スルモ織物消費税法第三条第二項ノ規定及大正九年法律第五十一号ヲ適用セズ