第一條 物品ニ關シ形狀、模樣若ハ色彩又ハ其ノ結合ニ係ル新規ノ意匠ノ工業的考案ヲ爲シタル者ハ其ノ物品ノ意匠ニ付意匠ノ登錄ヲ受クルコトヲ得
第三條 本法ニ於テ意匠ノ新規ト稱スルハ意匠カ左ノ各號ノ一ニ該當スルコトナキヲ謂フ
一 登錄出願前帝國內ニ於テ公然知ラレ若ハ公然用井ラレタルモノ又ハ之ニ類似スルモノ
二 登錄出願前帝國內ニ頒布セラレタル刊行物ニ容易ニ實施スルコトヲ得ヘキ程度ニ於テ記載セラレタルモノ又ハ之ニ類似スルモノ
意匠ニシテ自己ノ登錄意匠ノミニ類似スルモノハ之ヲ新規ナルモノト看做ス
第四條 同一又ハ類似ノ意匠ニ付テハ最先ノ出願者ニ限リ登錄ス但シ同日ノ各別ノ出願者アルトキハ出願者ノ協議ニ依リ登錄シ協議調ハサルトキハ共ニ登錄セス
第五條 意匠登錄出願者ハ命令ノ定ムル類別內ニ於テ其ノ意匠ヲ現スヘキ物品ヲ指定スヘシ
第六條 意匠登錄出願者ハ登錄ノ日ヨリ三年以內其ノ意匠ヲ祕密ニセムコトヲ請求スルコトヲ得
第七條 實用新案登錄出願者カ其ノ實用新案登錄出願ヲ其ノ出願ニ係ル意匠ニ付テノ意匠登錄出願ニ變更シタルトキハ其ノ意匠登錄出願ハ實用新案登錄出願ノ時ニ於テ之ヲ爲シタルモノト看做ス但シ實用新案登錄出願ニ付登錄スヘカラストノ査定ヲ受ケタル場合ニ於テハ其ノ最初ノ査定ノ送達ヲ受ケタル日ヨリ三十日ヲ經過シタルトキハ此ノ限ニ在ラス
意匠權者ハ其ノ登錄意匠ニ係ル物品ヲ業トシテ製作、使用、販賣又ハ擴布スルノ權利ヲ專有ス
自己ノ登錄意匠ニ類似スル意匠ノ意匠權ハ最先ニ發生シタル意匠權ト合體スルモノトス
意匠權カ其ノ出願ノ日前ノ出願ニ係ル實用新案權若ハ商標權ト牴觸スル場合又ハ登錄意匠カ其ノ出願ノ日前ノ出願ニ係ル登錄實用新案ヲ利用スルモノナル場合ニ於テハ意匠權者ハ實用新案權者ノ實施許諾又ハ商標權者ノ許諾アルニ非サレハ其ノ登錄意匠ヲ實施スルコトヲ得ス
第九條 意匠登錄出願ノ際現ニ善意ニ帝國內ニ於テ其ノ意匠實施ノ事業ヲ爲シ又ハ事業設備ヲ有スル者ハ其ノ登錄意匠ニ付事業ノ目的タル意匠範圍內ニ於テ實施權ヲ有ス
第十條 登錄ノ無效審判請求ノ登錄前善意ニシテ左ノ各號ノ一ニ該當シ帝國內ニ於テ其ノ意匠實施ノ事業ヲ爲シ又ハ事業設備ヲ有スル者ハ其ノ登錄意匠ニ付事業ノ目的タル意匠範圍內ニ於テ實施權ヲ有ス
一 同一又ハ類似ノ意匠ニ對スル二以上ノ登錄中其ノ一カ無效ト爲リタル場合ニ於ケル登錄ヲ受ケタル原意匠權者
二 登錄ヲ無效トシ同一又ハ類似ノ意匠ニ付正當權利者ノ爲ニ登錄ヲ爲シタル場合ニ於ケル登錄ヲ受ケタル原意匠權者
三 前二號ニ揭クル場合ニ於テ其ノ無效ト爲リタル意匠權ニ付實施權ヲ得テ其ノ登錄ヲ受ケタル者但シ實施權カ登錄ナキモ第十五條第一項ノ效力ヲ有スル場合ハ登錄アルヲ要セス
意匠登錄出願ノ日前又ハ之ト同日ノ出願ニ係リ其ノ意匠權ト牴觸スル實用新案權ノ存續期間滿了シタル場合ニ於テ其ノ實用新案權ニ付實施權ヲ得テ登錄ヲ受ケタル者ハ其ノ登錄意匠ニ付原實施權ノ範圍內ニ於テ實施權ヲ有ス但シ原實施權カ登錄ナキモ實用新案法第十三條第一項ノ效力ヲ有スル場合ハ登錄アルヲ要セス
意匠權者ハ前二項ノ規定ニ依ル實施權者ヨリ相當ノ補償金ヲ受クルノ權利ヲ有ス
第十一條 意匠登錄出願ノ日前又ハ之ト同日ノ出願ニ係リ其ノ意匠權ト牴觸スル實用新案權ノ存續期間滿了後ニ於ケル原實用新案權者ハ其ノ登錄意匠ニ付原權利ノ範圍內ニ於テ實施權ヲ有ス
第十二條 意匠權ノ存續期間ハ登錄ノ日ヨリ十年ヲ以テ終了ス
第二十五條ノ規定ニ依リ準用スル特許法第十一條ノ規定ニ依リ正當權利者ノ爲ニ登錄ヲ爲シタルトキハ前項ノ十年ノ期間ハ無效ト爲リタル登錄ノ爲サレタル日ノ翌日ヨリ之ヲ起算ス
第十三條 意匠權者ハ他人ノ登錄實用新案又ハ登錄意匠ヲ實施スルニ非サレハ自己ノ登錄意匠ヲ實施スルコト能ハサル場合ニ於テ其ノ他人カ正當ノ理由ナクシテ實施ヲ許諾セサルトキ又ハ其ノ他人ノ實施許諾ヲ得ルコト能ハサルトキハ審判ヲ請求スルコトヲ得但シ其ノ實施セラルヘキ實用新案又ハ意匠ノ實用新案權又ハ意匠權發生ノ日ヨリ二年ヲ經過セサルトキハ此ノ限ニ在ラス
前項ノ規定ニ依リ登錄實用新案又ハ登錄意匠ヲ實施セラルル者其ノ實施ヲ必要トスル相手方ノ登錄意匠ニ付實施ノ許諾ヲ求メタル場合ニ於テ其ノ相手方カ正當ノ理由ナクシテ實施ヲ許諾セサルトキ又ハ其ノ相手方ノ實施許諾ヲ得ルコト能ハサルトキハ審判ヲ請求スルコトヲ得
第十四條 前條ノ規定ニ依ル實施權者ハ實用新案權者又ハ意匠權者ニ對シ相當ノ補償金ヲ支拂フヘシ
前項ノ實施權者ハ補償金ノ支拂ヲ爲シ又ハ支拂ヲ爲スコト能ハサル場合ニ於テハ供託ヲ爲スニ非サレハ其ノ登錄實用新案又ハ登錄意匠ヲ實施スルコトヲ得ス但シ審決又ハ判決ノ確定前ト雖審決又ハ判決ニ依ル補償金ニ相當スル金額ヲ供託シタルトキハ實施スルコトヲ得
第十五條 登錄意匠ノ實施權ハ之ヲ登錄シタルトキハ其ノ意匠權ヲ爾後取得シタル者及其ノ意匠權ヲ目的トスル爾後設定ノ質權ヲ有スル者ニ對シテモ其ノ效力ヲ生ス
第九條乃至第十一條又ハ第二十五條ノ規定ニ依リ準用スル特許法第十四條第二項ノ規定ニ依ル實施權ハ其ノ登錄ナキ場合ト雖前項ノ效力ヲ有ス
第十三條ノ規定ニ依ル實施權ハ其ノ登錄前設定ノ質權ヲ有スル者ニ對シテモ其ノ效力ヲ生ス
特許法第四十五條ノ規定ハ實施權ノ移轉、變更、消滅若ハ處分ノ制限又ハ實施權ヲ目的トスル質權ノ設定、移轉、變更、消滅若ハ處分ノ制限ニ付之ヲ準用ス
第十六條 意匠權ハ第五條ノ規定ニ依リ指定シタル物品ニ依リ之ヲ分割シテ移轉スルコトヲ得
第十七條 登錄カ左ノ各號ノ一ニ該當スルトキハ審判ニ依リ之ヲ無效ト爲スヘシ
一 登錄カ第一條、第二條又ハ第四條ノ規定ニ違反シテ爲サレタルトキ
二 登錄カ第二十五條ノ規定ニ依リ準用スル特許法第三十二條ノ規定ニ違反シテ爲サレタルトキ
三 登錄カ登錄ヲ受クルノ權利ノ承繼人ニ非サル者又ハ登錄ヲ受クルノ權利ヲ冒認シタル者ノ爲ニ爲サレタルトキ
四 登錄カ第二十五條ノ規定ニ依リ準用スル特許法第三十三條ニ規定スル條約又ハ之ニ準スヘキモノニ違反シテ爲サレタル場合ニ於テ其ノ違反カ第一號乃至前號ニ揭クルモノニ準スヘキモノナルトキ
五 登錄カ第二十五條ノ規定ニ依リ準用スル特許法第三十二條ノ規定ニ違反スルニ至リタルトキ又ハ特許法第三十三條ニ規定スル條約若ハ之ニ準スヘキモノニ違反スルニ至リタル場合ニ於テ其ノ違反カ第一號乃至第三號ニ揭クルモノニ準スヘキモノナルトキ
登錄ハ意匠權消滅後ト雖前項ノ規定ニ依リ之ヲ無效ト爲スヘシ
第十八條 特許局ニ意匠原簿ヲ備ヘ意匠權及實施權竝之ヲ目的トスル質權ノ設定、保存、移轉、變更、消滅、處分ノ制限其ノ他法令ニ定ムル事項ヲ登錄ス
第十九條 登錄スヘシトノ査定若ハ審決確定シ又ハ判決アリタルトキハ之ヲ意匠原簿ニ登錄シ意匠登錄證ヲ下付ス
第二十條 意匠ノ登錄ヲ受クル者又ハ登錄證主ハ登錄料トシテ每件左ノ金額ヲ納付スヘシ
自己ノ登錄意匠ニ類似スル意匠ノ登錄ヲ受クル者ハ其ノ登錄ヲ受クル時登錄料トシテ每件一時ニ三圓ヲ納付スヘシ
第十六條ノ規定ニ依リ分割シテ移轉セラルル意匠權ノ登錄ヲ受クル者又ハ登錄證主ハ其ノ意匠權ニ付原意匠權ノ當該年分ヨリノ登錄料ヲ納付スヘシ
第二十一條 意匠登錄ノ出願アリタルトキハ審査官ヲシテ之ヲ審査セシム
第二十二條 審判ハ本法又ハ本法ニ基キテ發スル勅令ニ規定スルモノノ外左ニ揭クル事項ニ付之ヲ請求スルコトヲ得
前項第一號ノ無效ノ審判ハ利害關係人及審査官ニ限リ之ヲ請求スルコトヲ得但シ審査官ハ第四條ノ規定ニ違反シ又ハ第十七條第一項第三號ニ該當ストノ理由ニ依ル無效ノ審判ヲ請求スルコトヲ得ス
第一項第二號ノ確認ノ審判ハ利害關係人ニ限リ之ヲ請求スルコトヲ得
第二十三條 第十三條ノ審判ニ於テハ補償金額ニ付テモ亦之ヲ審決スヘシ
第二十四條 査定又ハ審判ノ審決ヲ受ケタル者不服アルトキハ其ノ査定又ハ審決ノ送達ヲ受ケタル日ヨリ三十日以內ニ抗告審判ヲ請求スルコトヲ得但シ前條ノ規定ニ依ル補償金額ノ審決ニ付テハ此ノ限ニ在ラス
第二十五條 特許法第六條、第十條乃至第十四條、第十六條乃至第三十條、第三十二條、第三十三條、第三十六條、第四十四條、第四十五條、第四十七條、第四十八條、第五十一條、第五十五條、第五十六條、第五十八條第一項、第五十九條、第六十四條、第六十五條第六項第七項、第六十六條第一項、第六十七條乃至第六十九條、第七十一條、第七十二條、第八十條乃至第八十三條、第八十六條乃至第百五條、第百七條、第百十條乃至第百十二條、第百十三條第一項及第百十四條乃至第百二十八條ノ規定ハ意匠ニ關シ之ヲ準用ス
第二十六條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ三年以下ノ懲役又ハ三千圓以下ノ罰金ニ處ス
一 他人ノ登錄意匠ニ係ル物品ト同一ノ物品ヲ業トシテ製作、使用、販賣又ハ擴布シタル者
二 他人ノ登錄意匠ニ係ル物品ト類似ノ物品ヲ業トシテ製作、使用、販賣又ハ擴布シタル者
三 他人ノ登錄意匠ニ係ル物品ト同一又ハ類似ノ物品ヲ業トシテ輸入又ハ移入シタル者
第二十七條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ一年以下ノ懲役又ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
一 詐僞ノ行爲ヲ以テ意匠ノ登錄ヲ受ケ又ハ審決若ハ判決ヲ受ケタル者
二 登錄意匠ニ係ラサル物品又ハ其ノ物品ノ容器包裝ノ類ニ意匠登錄標記ヲ附シ又ハ意匠標記ニ紛ハシキ表示ヲ爲シタル者
三 登錄意匠ニ係ラサル物品ニシテ其ノ物品又ハ其ノ物品ノ容器包裝ノ類ニ意匠登錄標記ヲ附シ又ハ意匠登錄標記ニ紛ハシキ表示ヲ爲シタルモノヲ販賣又ハ擴布シタル者
四 登錄意匠ニ係ラサル物品ヲ製作若ハ使用セシムル爲又ハ販賣若ハ擴布スル爲廣告、看板、引札ノ類ニ其ノ物品カ登錄意匠ニ係ルコトヲ表示シ又ハ之ニ紛ハシキ表示ヲ爲シタル者
第二十八條 第二十六條第一項ニ揭クル行爲ヲ組成シタル物又ハ其ノ行爲ヨリ生シタル物ニシテ刑法第十九條ノ規定ニ依リ沒收スルコトヲ得ヘキモノニ付判決言渡前被害者ノ請求アリタルトキハ其ノ物ヲ沒收シ之ヲ被害者ニ交付スルノ言渡ヲ爲スヘシ
被害者ハ前項ノ規定ニ依ル物ノ交付ヲ受ケタル場合ニ於テハ其ノ物ノ價額ヲ超過スル損害ノ額ニ限リ賠償ノ請求ヲ爲スコトヲ得
第二十九條 法律ニ依リ宣誓シタル證人若ハ鑑定人又ハ通事特許局又ハ其ノ囑託ヲ受ケタル裁判所若ハ官廳ニ對シ虛僞ノ陳述ヲ爲シタルトキハ三月以上十年以下ノ懲役ニ處ス
前項ノ罪ヲ犯シタル者事件ノ査定又ハ審決ニ至ラサル前自白シタルトキハ其ノ刑ヲ減輕又ハ免除スルコトヲ得
第三十條 特許局職員又ハ其ノ職ニ在リタル者故ナク其ノ職務上知得タル意匠登錄出願中ノ考案又ハ意匠登錄出願者ノ事業上ノ祕密ヲ漏泄シ又ハ竊用シタルトキハ一年以下ノ懲役又ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
第三十一條 特許局ヨリ證人、鑑定人又ハ通事トシテ呼出サレタル者正當ノ理由ナクシテ呼出ニ應セス又ハ其ノ義務ヲ盡ササルトキハ五十圓以下ノ過料ニ處ス
非訟事件手續法第二百六條乃至第二百八條ノ規定ハ前項ノ過料ニ付之ヲ準用ス
第三十二條 辨理士ニ非スシテ特許局ニ對シ意匠ニ關シ爲スヘキ事項ノ代理業ヲ營ミタル者ハ一年以下ノ懲役又ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス