第一條 物品ニ應用スヘキ形狀、模樣、色彩又ハ其ノ結合ニ係ル新規ナル工業的意匠ヲ案出シタル者ハ本法ニ依リ意匠ノ登錄ヲ受クルコトヲ得
第二條 職務上又ハ契約上爲シタル意匠ニ付登錄ヲ受クルノ權利ハ勤務規程又ハ契約ニ別段ノ定アル場合ヲ除クノ外其ノ職務ヲ執行セシムル者又ハ使用者ニ屬ス
職務ノ執行又ハ契約ノ履行ニ依ル勤務中公務員又ハ被用者ノ爲シタル考案ニシテ職務上又ハ契約上爲シタルモノニ非サル意匠ニ付案出前豫メ登錄ヲ受クルノ權利又ハ意匠權ヲ讓渡セシムルコトヲ定メタル勤務規程又ハ契約ノ條項ハ之ヲ無效トス
本條ニ於テ公務員ト稱スルハ刑法第七條第一項ノ公務員ヲ謂フ
第三條 本法ニ於テ新規ト稱スルハ左ノ各號ニ該當セサルモノヲ謂フ
一 登錄出願前帝國內ニ於テ公然知ラレ若ハ公然用井ラレタルモノ又ハ之ニ類似スルモノ
二 登錄出願前容易ニ應用スルコトヲ得ヘキ程度ニ於テ帝國內ニ頒布セラレタル刊行物ニ記載セラレタルモノ又ハ之ニ類似スルモノ
同一物品ニ應用スヘキ意匠ニシテ自己ノ登錄意匠ノミニ類似スルモノハ新規ト看做ス
第五條 同一物品ニ應用スヘキ同一又ハ類似ノ意匠ニ付各別ニ登錄ヲ受クルノ權利ヲ有スル者二人以上アルトキハ最先ニ出願ヲ爲シタルモノニ限リ登錄ス其ノ同日ノ出願ニ係ルトキハ關係者ノ協議ニ依リ協議調ハサルトキハ共ニ之ヲ登錄セス
第六條 意匠ノ登錄ヲ受クルノ權利ハ之ヲ移轉スルコトヲ得但シ擔保ニ供スルコトヲ得ス
登錄ヲ受クルノ權利ノ承繼ハ登錄出願前ニ在リテハ登錄ヲ出願シ登錄出願後ニ在リテハ出願人ノ名義變更ヲ屆出ツルニ非サレハ之ヲ以テ第三者ニ對抗スルコトヲ得ス但シ同日ノ出願又ハ屆出ニ係ルトキハ關係者ノ協議ニ依リ協議調ハサルトキハ共ニ第三者ニ對抗スルコトヲ得ス
第七條 實用新案ノ登錄ノ出願ヲ爲シ登錄スヘカラストノ査定ヲ受ケタル者其ノ最初ノ査定ノ送達ヲ受ケタル日ヨリ三十日以內ニ其ノ實用新案ニ係ル意匠ニ付登錄ヲ出願シタルトキハ實用新案ノ登錄ヲ出願シタル日ニ於テ出願シタルモノト看做ス
意匠權者ハ登錄出願ノ際指定シタル物品ニ付業トシテ其ノ意匠ヲ應用シ又ハ之ヲ應用シタル物品ヲ販賣若ハ擴布スルノ權利ヲ專有ス
同一物品ニ應用スヘキ互ニ相類似スル意匠ノ意匠權ハ最先ニ發生シタル意匠權ト合體スルモノトス
同一又ハ類似ノ意匠ニ關シテハ意匠權ハ其ノ出願前ノ出願ニ係ル實用新案權ニ依リ制限ヲ受クルモノトス
第十條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ原權利ノ範圍內ニ於テ登錄意匠ヲ實施スルノ權利ヲ有ス
一 同一又ハ類似ノ意匠ニ對スル二以上ノ登錄中其ノ一カ無效ト爲リタル場合ニ於テ善意ナル原意匠權者
二 前號ノ原意匠權ニ付善意ニ實施ノ權利ヲ得テ登錄ヲ受ケタル者
特許法第三十六條及第三十七條ノ規定ハ前項ノ權利ニ之ヲ準用ス
第十一條 意匠權ハ其ノ意匠ヲ應用スル物品ニ依リ分割シテ之ヲ移轉スルコトヲ得
第十二條 意匠ノ登錄カ第一條、第二條、第四條、第五條、第六條第二項又ハ第二十三條ノ規定ニ反シタルトキハ審判ニ依リ之ヲ無效ト爲スヘシ登錄カ登錄ヲ受クルノ權利ヲ冒認シタル者ニ對シ爲シタルモノナルトキ亦同シ
第十三條 登錄スヘシト査定アリタルトキハ意匠原簿ニ登錄シ意匠登錄證ヲ下付ス
第十四條 登錄スヘシトノ査定ヲ受ケタル者又ハ意匠登錄證主ハ意匠料トシテ每件左ノ金額ヲ納付スヘシ
一 第一年乃至第三年分 登錄ヲ受クルトキ一時 金三圓
同一物品ニ應用スヘキ互ニ相類似スル意匠ニ付テハ其ノ內ノ一ハ前項ノ意匠料ヲ、其ノ他ハ各意匠ニ付一時金一圓ヲ納付スヘシ
第十五條 意匠ノ登錄ヲ出願スル者ハ各意匠ニ付命令ノ定ムル類別內ニ於テ其ノ意匠ヲ應用スヘキ物品ヲ指定スヘシ
第十六條 意匠登錄ノ出願ヲ爲ス者ハ出願中及登錄後三年以內其ノ意匠ヲ祕密ニセムコトヲ請求スルコトヲ得
第十七條 意匠登錄ノ出願アリタルトキハ審査官ヲシテ之ヲ査定セシム
第十八條 審査官ハ第四條、第五條、第六條第二項及第二十三條ノ規定ニ依リ出願ニ係ル意匠カ登錄スヘキモノナリヤ否ニ付査定スヘシ但シ第一條又ハ第二條ノ規定ニ該當セサルコトヲ發見シタルトキハ之ヲ理由トシテ登錄拒絕ノ査定ヲ爲スヘシ
第十九條 登錄拒絕ノ査定ニ不服アル者ハ査定ノ送達ヲ受ケタル日ヨリ三十日以內ニ不服理由書ヲ差出シ再審査ヲ請求スルコトヲ得
前項ノ請求アリタルトキハ前審査ニ干與セサル審査官ヲシテ更ニ之ヲ査定セシム
前條但書ニ依ル査定ニ不服アル者再審査ノ請求ヲ爲シタル場合ニ於テハ審査官ハ其ノ理由ニ付テモ亦審査スヘシ
第二十條 審判ハ左ニ揭クル事項ニ付之ヲ請求スルコトヲ得
審判ノ請求ハ審査官又ハ利害關係人ニ限リ之ヲ爲スコトヲ得但シ審査官ハ前項第二號ノ審判及第二條、第五條又ハ第六條第二項ノ規定ニ反ストノ理由ニ依ル前項第一號ノ審判ヲ請求スルコトヲ得ス
審査官ノ請求ニ依ル審判ニ關シテハ其ノ手續ヲ省略スルコトヲ得
第二十一條 審判ノ審決ニ不服アル者ハ審決ノ送達ヲ受ケタル日ヨリ六十日以內ニ抗吿審判ヲ請求スルコトヲ得
第二十二條 特許法第八條、第十二條乃至第十五條、第十六條第一項、第十七條乃至第二十五條、第二十九條、第三十二條、第三十三條、第四十條、第四十一條、第四十三條、第四十五條、第四十九條第二項、第五十條、第五十一條、第五十三條、第五十六條、第五十八條第一項、第五十九條乃至第六十一條、第六十六條乃至第六十八條、第七十條乃至第七十九條、第八十二條、第八十三條第一項、第八十四條、第八十五條及第八十七條乃至第九十一條ノ規定ハ意匠ニ關シ之ヲ準用ス
第二十三條 外國人ニシテ帝國內ニ住所又ハ營業所ヲ有セサル者ハ條約又ハ之ニ準スヘキモノニ規定アル場合ノ外意匠權又ハ意匠ニ關スル權利ヲ享有スルコトヲ得ス
意匠ニ關シ條約又ハ之ニ準スヘキモノニ別段ノ規定アルトキハ其ノ規定ニ從フ
第二十四條 他人ノ登錄意匠ト同一若ハ類似ノ意匠ヲ業トシテ同一ノ物品ニ應用シタル者又ハ其ノ物品ヲ業トシテ販賣若ハ擴布シタル者ハ三年以下ノ懲役又ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
他人ノ登錄意匠ト同一若ハ類似ノ意匠ヲ應用シタル同一物品ヲ業トシテ輸入シタル者又ハ其ノ物品ヲ業トシテ販賣若ハ擴布シタル者ハ罰前項ニ同シ
第二十五條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ一年以下ノ懲役又ハ三百圓以下ノ罰金ニ處ス
二 登錄意匠ヲ應用セサル物品又ハ其ノ容器、包裝等ニ意匠登錄ノ標記ヲ付シ若ハ之ニ紛ハシキ表示ヲ爲シタル者又ハ其ノ物品ヲ販賣若ハ擴布シタル者
三 登錄意匠ヲ應用セサル物品ヲ販賣又ハ擴布スル爲廣吿、看板、引札等ニ其ノ物品カ登錄意匠ヲ應用シタルモノナルコトヲ表示シ又ハ之ニ紛ハシキ表示ヲ爲シタル者
第二十六條 第二十四條ノ犯罪ニ因リ沒收スルコトヲ得ヘキ物ニ付判決言渡前被害者ヨリ請求アリタルトキハ之ヲ相當ノ代價ニ見積リ被害者ニ交付スル言渡ヲ爲スヘシ
損害ノ額カ交付ヲ受ケタル物ノ見積代價ニ超過スルトキハ被害者ハ其ノ差額ニ限リ賠償ノ請求ヲ爲スコトヲ得
第二十七條 法律ニ依リ宣誓シタル證人若ハ鑑定人又ハ通事ニシテ特許局又ハ其ノ囑託ヲ受ケタル裁判所若ハ官廳ニ對シ虛僞ノ陳述ヲ爲シタルトキハ三年以下ノ懲役又ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
前項ノ罪ヲ犯シタル者事件ノ査定又ハ審決ニ至ラサル前自白シタルトキハ其ノ刑ヲ輕減又ハ免除スルコトヲ得
第二十八條 特許局ヨリ證人、鑑定人又ハ通事トシテ呼出サレタル者正當ノ理由ナクシテ呼出ニ應セス又ハ其ノ義務ヲ盡ササルトキハ四十圓以下ノ罰金ニ處ス
第二十九條 特許辨理士ニ非スシテ意匠ニ關スル代理業ヲ營ミタル者ハ一年以下ノ懲役又ハ三百圓以下ノ罰金ニ處ス