朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル實用新案法改正法律ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
大正十年四月二十九日
內閣總理大臣 原敬
農商務大臣 男爵 山本達雄
司法大臣 伯爵 大木遠吉
法律第九十七號
實用新案法
第一條 物品ニ關シ形狀、構造又ハ組合ハセニ係ル實用アル新規ノ型ノ工業的考案ヲ爲シタル者ハ其ノ物品ノ型ニ付實用新案ノ登錄ヲ受クルコトヲ得
第二條 左ニ揭クル實用新案ニ付テハ之ヲ登錄セス
一 菊花御紋章ト同一又ハ類似ノ形狀ヲ有スルモノ
二 秩序若ハ風俗ヲ紊リ又ハ衞生ヲ害スルノ虞アルモノ
第三條 本法ニ於テ實用新案ノ新規ト稱スルハ實用新案カ左ノ各號ノ一ニ該當スルコトナキヲ謂フ
一 登錄出願前帝國內ニ於テ公然知ラレ若ハ公然用井ラレタルモノ又ハ之ニ類似スルモノ
二 登錄出願前帝國內ニ頒布セラレタル刊行物ニ容易ニ實施スルコトヲ得ヘキ程度ニ於テ記載セラレタルモノ又ハ之ニ類似スルモノ
第四條 同一又ハ類似ノ實用新案ニ付テハ最先ノ出願者ニ限リ登錄ス但シ同日ノ各別ノ出願者アルトキハ出願者ノ協議ニ依リ登錄シ協議調ハサルトキハ共ニ登錄セス
第五條 特許出願者又ハ意匠登錄出願者カ其ノ特許出願又ハ意匠登錄出願ヲ其ノ出願ニ係ル型ニ付テノ實用新案登錄出願ニ變更シタルトキハ其ノ實用新案登錄出願ハ特許出願又ハ意匠登錄出願ノ時ニ於テ之ヲ爲シタルモノト看做ス但シ特許出願又ハ意匠登錄出願ニ付特許又ハ登錄スヘカラストノ査定ヲ受ケタル場合ニ於テハ其ノ最初ノ査定ノ送達ヲ受ケタル日ヨリ三十日ヲ經過シタルトキハ此ノ限ニ在ラス
第六條 實用新案權ハ登錄ニ依リ發生ス
實用新案權者ハ其ノ登錄實用新案ニ係ル物品ヲ業トシテ製作、使用、販賣又ハ擴布スルノ權利ヲ專有ス
實用新案權カ其ノ出願ノ日前ノ出願ニ係ル特許權若ハ意匠權ト牴觸スル場合又ハ登錄實用新案カ其ノ出願ノ日前ノ出願ニ係ル特許發明若ハ登錄意匠ヲ利用スルモノナル場合ニ於テハ實用新案權者ハ特許權者又ハ意匠權者ノ實施許諾アルニ非サレハ其ノ登錄實用新案ヲ實施スルコトヲ得ス
第七條 實用新案登錄出願ノ際現ニ善意ニ帝國內ニ於テ其ノ實用新案實施ノ事業ヲ爲シ又ハ事業設備ヲ有スル者ハ其ノ登錄實用新案ニ付事業ノ目的タル實用新案範圍內ニ於テ實施權ヲ有ス
第八條 登錄ノ無效審判請求ノ登錄前善意ニシテ左ノ各號ノ一ニ該當シ帝國內ニ於テ其ノ實用新案實施ノ事業ヲ爲シ又ハ事業設備ヲ有スル者ハ其ノ登錄實用新案ニ付事業ノ目的タル實用新案範圍內ニ於テ實施權ヲ有ス
一 同一又ハ類似ノ實用新案ニ對スル二以上ノ登錄中其ノ一カ無效ト爲リタル場合ニ於ケル登錄ヲ受ケタル原實用新案權者
二 登錄ヲ無效トシ同一又ハ類似ノ實用新案ニ付正當權利者ノ爲ニ登錄ヲ爲シタル場合ニ於ケル登錄ヲ受ケタル原實用新案權者
三 前二號ニ揭クル場合ニ於テ其ノ無效ト爲リタル實用新案權ニ付實施權ヲ得テ其ノ登錄ヲ受ケタル者但シ實施權カ登錄ナキモ第十三條第一項ノ效力ヲ有スル場合ハ登錄アルヲ要セス
實用新案登錄出願ノ日前又ハ之ト同日ノ出願ニ係リ其ノ實用新案權ト牴觸スル特許權又ハ意匠權ノ存續期間滿了シタル場合ニ於テ其ノ特許權又ハ意匠權ニ付實施權ヲ得テ登錄ヲ受ケタル者ハ其ノ登錄實用新案ニ付原實施權ノ範圍內ニ於テ實施權ヲ有ス但シ原實施權カ登錄ナキモ特許法第五十二條第一項又ハ意匠法第十五條第一項ノ效力ヲ有スル場合ハ登錄アルヲ要セス
實用新案權者ハ前二項ノ規定ニ依ル實施權者ヨリ相當ノ補償金ヲ受クルノ權利ヲ有ス
第九條 實用新案登錄出願ノ日前又ハ之ト同日ノ出願ニ係リ其ノ實用新案權ト牴觸スル特許權又ハ意匠權ノ存續期間滿了後ニ於ケル原特許權者又ハ原意匠權者ハ其ノ登錄實用新案ニ付原權利ノ範圍內ニ於テ實施權ヲ有ス
第十條 實用新案權ノ存續期間ハ登錄ノ日ヨリ十年ヲ以テ終了ス
第二十六條ノ規定ニ依リ準用スル特許法第十一條ノ規定ニ依リ正當權利者ノ爲ニ登錄ヲ爲シタルトキハ前項ノ十年ノ期間ハ無效ト爲リタル登錄ノ爲サレタル日ノ翌日ヨリ之ヲ起算ス
第十一條 實用新案權者ハ他人ノ登錄實用新案又ハ登錄意匠ヲ實施スルニ非サレハ自己ノ登錄實用新案ヲ實施スルコト能ハサル場合ニ於テ其ノ他人カ正當ノ理由ナクシテ實施ヲ許諾セサルトキ又ハ其ノ他人ノ實施許諾ヲ得ルコト能ハサルトキハ審判ヲ請求スルコトヲ得但シ其ノ實施セラルヘキ實用新案又ハ意匠ノ實用新案權又ハ意匠權發生ノ日ヨリ二年ヲ經過セサルトキハ此ノ限ニ在ラス
前項ノ規定ニ依リ登錄實用新案又ハ登錄意匠ヲ實施セラルル者其ノ實施ヲ必要トスル相手方ノ登錄實用新案ニ付實施ノ許諾ヲ求メタル場合ニ於テ其ノ相手方カ正當ノ理由ナクシテ實施ヲ許諾セサルトキ又ハ其ノ相手方ノ實施許諾ヲ得ルコト能ハサルトキハ審判ヲ請求スルコトヲ得
第十二條 前條ノ規定ニ依ル實施權者ハ實用新案權者又ハ意匠權者ニ對シ相當ノ補償金ヲ支拂フヘシ
前項ノ實施權者ハ補償金ノ支拂ヲ爲シ又ハ支拂ヲ爲スコト能ハサル場合ニ於テハ供託ヲ爲スニ非サレハ其ノ登錄實用新案又ハ登錄意匠ヲ實施スルコトヲ得ス但シ審決又ハ判決ノ確定前ト雖審決又ハ判決ニ依ル補償金ニ相當スル金額ヲ供託シタルトキハ實施スルコトヲ得
第十三條 登錄實用新案ノ實施權ハ之ヲ登錄シタルトキハ其ノ實用新案權ヲ爾後取得シタル者及其ノ實用新案權ヲ目的トスル爾後設定ノ質權ヲ有スル者ニ對シテモ其ノ效力ヲ生ス
第七條乃至第九條又ハ第二十六條ノ規定ニ依リ準用スル特許法第十四條第二項ノ規定ニ依ル實施權ハ其ノ登錄ナキ場合ト雖前項ノ效力ヲ有ス
第十一條ノ規定ニ依ル實施權ハ其ノ登錄前設定ノ質權ヲ有スル者ニ對シテモ其ノ效力ヲ生ス
特許法第四十五條ノ規定ハ實施權ノ移轉、變更、消滅若ハ處分ノ制限又ハ實施權ヲ目的トスル質權ノ設定、移轉、變更、消滅若ハ處分ノ制限ニ付之ヲ準用ス
第十四條 實用新案權者ハ登錄實用新案ノ圖面又ハ說明書カ不完全ニ作製セラレタルコトヲ發見シタルトキハ左ノ各號ノ一ニ揭クル事項ヲ目的トスル場合ニ限リ其ノ圖面又ハ說明書ノ訂正ノ許可ノ審判ヲ請求スルコトヲ得
一 登錄請求範圍ノ減縮
二 誤記ノ訂正
三 不明瞭ナル記載ノ釋明
前項第一號ノ場合ニ於テハ其ノ殘部カ登錄出願ノ際獨立シテ新規ノ實用新案ナルコトヲ要ス
第十五條 前條ノ場合ニ於テハ登錄請求範圍ヲ實質上擴張シ又ハ實質上變更スルコトヲ得ス
第十六條 登錄カ左ノ各號ノ一ニ該當スルトキハ審判ニ依リ之ヲ無效ト爲スヘシ
一 登錄カ第一條、第二條又ハ第四條ノ規定ニ違反シテ爲サレタルトキ
二 登錄カ第二十六條ノ規定ニ依リ準用スル特許法第三十二條ノ規定ニ違反シテ爲サレタルトキ
三 登錄カ登錄ヲ受クルノ權利ノ承繼人ニ非サル者又ハ登錄ヲ受クルノ權利ヲ冒認シタル者ノ爲ニ爲サレタルトキ
四 登錄カ第二十六條ノ規定ニ依リ準用スル特許法第三十三條ニ規定スル條約又ハ之ニ準スヘキモノニ違反シテ爲サレタル場合ニ於テ其ノ違反カ第一號乃至前號ニ揭クルモノニ準スヘキモノナルトキ
五 登錄カ第二十六條ノ規定ニ依リ準用スル特許法第三十二條ノ規定ニ違反スルニ至リタルトキ又ハ特許法第三十三條ニ規定スル條約若ハ之ニ準スヘキモノニ違反スルニ至リタル場合ニ於テ其ノ違反カ第一號乃至第三號ニ揭クルモノニ準スヘキモノナルトキ
第十四條ノ許可カ同條第二項又ハ前條ノ規定ニ違反シタルトキハ審判ニ依リ之ヲ無效ト爲スヘシ
登錄又ハ第十四條ノ許可ハ實用新案權消滅後ト雖前二項ノ規定ニ依リ之ヲ無效ト爲スヘシ
第十七條 特許局ニ實用新案原簿ヲ備ヘ實用新案權及實施權竝之ヲ目的トスル質權ノ設定、保存、移轉、變更、消滅、處分ノ制限其ノ他法令ニ定ムル事項ヲ登錄ス
登錄ニ關スル規程ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第十八條 登錄スヘシトノ査定若ハ審決確定シ又ハ判決アリタルトキハ之ヲ實用新案原簿ニ登錄シ實用新案登錄證ヲ下付ス第十四條ノ許可ノ審決確定シ又ハ判決アリタルトキ亦同シ
第十九條 特許局ハ實用新案公報ヲ發行シ登錄實用新案ニ關スル必要ナル事項ヲ之ニ記載スヘシ但シ軍事上祕密ヲ要スル登錄實用新案ニ付テハ此ノ限ニ在ラス
第二十條 實用新案ノ登錄ヲ受クル者又ハ登錄證主ハ登錄料トシテ每件左ノ金額ヲ納付スヘシ
一 第一年乃至第三年 每年 七圓
二 第四年乃至第六年 每年 十五圓
三 第七年乃至第十年 每年 二十五圓
第二十一條 實用新案登錄ノ出願アリタルトキハ審査官ヲシテ之ヲ審査セシム
第二十二條 審判ハ本法又ハ本法ニ基キテ發スル勅令ニ規定スルモノノ外左ニ揭クル事項ニ付之ヲ請求スルコトヲ得
一 第十六條ノ規定ニ依ル登錄又ハ許可ノ無效
二 實用新案權ノ範圍ノ確認
前項第一號ノ無效ノ審判ハ利害關係人及審査官ニ限リ之ヲ請求スルコトヲ得但シ審査官ハ第四條ノ規定ニ違反シ又ハ第十六條第一項第三號ニ該當ストノ理由ニ依ル無效ノ審判ヲ請求スルコトヲ得ス
第一項第二號ノ確認ノ審判ハ利害關係人ニ限リ之ヲ請求スルコトヲ得
第二十三條 前條第一項第一號ノ無效ノ審判ハ實用新案ノ登錄又ハ第十四條ノ許可ノ登錄ノ日ヨリ三年ヲ經過シタルトキハ之ヲ請求スルコトヲ得ス
前項ニ規定スル期間ハ第十六條第一項第五號ニ該當ストノ理由ニ依ル無效ノ審判ノ請求ニ付テハ同號ニ該當スルニ至リタル日ノ翌日ヨリ之ヲ起算ス
第二十四條 第十一條ノ審判ニ於テハ補償金額ニ付テモ亦之ヲ審決スヘシ
第二十五條 査定又ハ審判ノ審決ヲ受ケタル者不服アルトキハ其ノ査定又ハ審決ノ送達ヲ受ケタル日ヨリ三十日以內ニ抗告審判ヲ請求スルコトヲ得但シ前條ノ規定ニ依ル補償金額ノ審決ニ付テハ此ノ限ニ在ラス
第二十六條 特許法第六條、第十條乃至第三十三條、第三十六條、第四十條、第四十四條、第四十五條、第四十七條、第四十八條、第五十一條、第五十五條、第五十六條、第五十八條、第五十九條、第六十四條、第六十五條第六項第七項、第六十六條乃至第六十九條、第七十一條乃至第八十三條、第八十六條乃至第百五條、第百七條、第百八條、第百十條乃至第百二十八條ノ規定ハ實用新案ニ關シ之ヲ準用ス
第二十七條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ三年以下ノ懲役又ハ三千圓以下ノ罰金ニ處ス
一 他人ノ登錄實用新案ニ係ル物品ト同一ノ物品ヲ業トシテ製作、使用、販賣又ハ擴布シタル者
二 他人ノ登錄實用新案ニ係ル物品ト類似ノ物品ヲ業トシテ製作、使用、販賣又ハ擴布シタル者
三 他人ノ登錄實用新案ニ係ル物品ト同一又ハ類似ノ物品ヲ業トシテ輸入又ハ移入シタル者
前項ノ罪ハ告訴ヲ待テ之ヲ論ス
第二十八條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ一年以下ノ懲役又ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
一 詐僞ノ行爲ヲ以テ實用新案ノ登錄ヲ受ケ又ハ審決若ハ判決ヲ受ケタル者
二 登錄實用新案ニ係ラサル物品又ハ其ノ物品ノ容器包裝ノ類ニ實用新案登錄標記ヲ附シ又ハ實用新案登錄標記ニ紛ハシキ表示ヲ爲シタル者
三 登錄實用新案ニ係ラサル物品ニシテ其ノ物品又ハ其ノ物品ノ容器包裝ノ類ニ實用新案登錄標記ヲ附シ又ハ實用新案登錄標記ニ紛ハシキ表示ヲ爲シタルモノヲ販賣又ハ擴布シタル者
四 登錄實用新案ニ係ラサル物品ヲ製作若ハ使用セシムル爲又ハ販賣若ハ擴布スル爲廣告、看板、引札ノ類ニ其ノ物品カ登錄實用新案ニ係ルコトヲ表示シ又ハ之ニ紛ハシキ表示ヲ爲シタル者
第二十九條 第二十七條第一項ニ揭クル行爲ヲ組成シタル物又ハ其ノ行爲ヨリ生シタル物ニシテ刑法第十九條ノ規定ニ依リ沒收スルコトヲ得ヘキモノニ付判決言渡前被害者ノ請求アリタルトキハ其ノ物ヲ沒收シ之ヲ被害者ニ交付スルノ言渡ヲ爲スヘシ
被害者ハ前項ノ規定ニ依ル物ノ交付ヲ受ケタル場合ニ於テハ其ノ物ノ價額ヲ超過スル損害ノ額ニ限リ賠償ノ請求ヲ爲スコトヲ得
第三十條 法律ニ依リ宣誓シタル證人若ハ鑑定人又ハ通事特許局又ハ其ノ囑託ヲ受ケタル裁判所若ハ官廳ニ對シ虛僞ノ陳述ヲ爲シタルトキハ三月以上十年以下ノ懲役ニ處ス
前項ノ罪ヲ犯シタル者事件ノ査定又ハ審決ニ至ラサル前自白シタルトキハ其ノ刑ヲ減輕又ハ免除スルコトヲ得
第三十一條 特許局職員又ハ其ノ職ニ在リタル者故ナク其ノ職務上知得タル實用新案登錄出願中ノ考案又ハ實用新案登錄出願者ノ事業上ノ祕密ヲ漏泄シ又ハ竊用シタルトキハ一年以下ノ懲役又ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
第三十二條 特許局ヨリ證人、鑑定人又ハ通事トシテ呼出サレタル者正當ノ理由ナクシテ呼出ニ應セス又ハ其ノ義務ヲ盡ササルトキハ五十圓以下ノ過料ニ處ス
非訟事件手續法第二百六條乃至第二百八條ノ規定ハ前項ノ過料ニ付之ヲ準用ス
第三十三條 辨理士ニ非スシテ特許局ニ對シ實用新案ニ關シ爲スヘキ事項ノ代理業ヲ營ミタル者ハ一年以下ノ懲役又ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
附 則
第三十四條 本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第三十五條 舊法ニ依ル實用新案ノ登錄、處分及手續ハ本附則ニ別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外本法ニ依リ爲シタルモノト看做ス
舊法ニ依リ實用新案ニ關シ爲シタル出願、請求其ノ他ノ手續ニ付亦前項ニ同シ
第三十六條 本法施行ノ際現ニ繫屬スル實用新案登錄ノ出願ノ處理ニ付テハ仍舊法ニ依ル
本法施行前送達ヲ受ケタル審決ニ對スル不服申立ノ期間ニ付テハ仍舊法ニ依ル補償金額ニ對スル不服申立ノ期間ニ付亦同シ
第三十七條 本法施行前發生シタル實用新案權ニ關シテハ舊特許法第二十九條第二號ノ規定ハ仍其ノ效力ヲ有シ同號ノ規定ヲ準用シ第七條ノ規定ハ之ヲ適用セス
第三十八條 實用新案ノ登錄カ舊法施行中無效ト爲リタル場合ニ付テハ舊法第十條ノ規定及同條ノ規定ニ基キ準用スル舊特許法ノ規定ハ仍其ノ效力ヲ有シ第八條ノ規定ハ之ヲ適用セス
第三十九條 舊法ニ依ル實用新案ノ登錄ニ關シテハ本法施行後ニ登錄カ爲サレタル場合ト雖舊法第十一條ノ規定ハ仍其ノ效力ヲ有シ同條ノ規定ノ適用ノ範圍內ニ於テ同條ニ揭クル舊法ノ規定ハ仍其ノ效力ヲ有シ登錄カ同條ノ規定ニ該當スル場合ニ限リ審判ニ依リ之ヲ無效ト爲スヘシ
第四十條 前條ノ規定ニ依ル無效ノ審判ハ本法施行前爲サレタル實用新案ノ登錄ニ關シテハ本法施行ノ日ヨリ三年ヲ經過シタルトキハ之ヲ請求スルコトヲ得ス
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル実用新案法改正法律ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
大正十年四月二十九日
内閣総理大臣 原敬
農商務大臣 男爵 山本達雄
司法大臣 伯爵 大木遠吉
法律第九十七号
実用新案法
第一条 物品ニ関シ形状、構造又ハ組合ハセニ係ル実用アル新規ノ型ノ工業的考案ヲ為シタル者ハ其ノ物品ノ型ニ付実用新案ノ登録ヲ受クルコトヲ得
第二条 左ニ掲クル実用新案ニ付テハ之ヲ登録セス
一 菊花御紋章ト同一又ハ類似ノ形状ヲ有スルモノ
二 秩序若ハ風俗ヲ紊リ又ハ衛生ヲ害スルノ虞アルモノ
第三条 本法ニ於テ実用新案ノ新規ト称スルハ実用新案カ左ノ各号ノ一ニ該当スルコトナキヲ謂フ
一 登録出願前帝国内ニ於テ公然知ラレ若ハ公然用井ラレタルモノ又ハ之ニ類似スルモノ
二 登録出願前帝国内ニ頒布セラレタル刊行物ニ容易ニ実施スルコトヲ得ヘキ程度ニ於テ記載セラレタルモノ又ハ之ニ類似スルモノ
第四条 同一又ハ類似ノ実用新案ニ付テハ最先ノ出願者ニ限リ登録ス但シ同日ノ各別ノ出願者アルトキハ出願者ノ協議ニ依リ登録シ協議調ハサルトキハ共ニ登録セス
第五条 特許出願者又ハ意匠登録出願者カ其ノ特許出願又ハ意匠登録出願ヲ其ノ出願ニ係ル型ニ付テノ実用新案登録出願ニ変更シタルトキハ其ノ実用新案登録出願ハ特許出願又ハ意匠登録出願ノ時ニ於テ之ヲ為シタルモノト看做ス但シ特許出願又ハ意匠登録出願ニ付特許又ハ登録スヘカラストノ査定ヲ受ケタル場合ニ於テハ其ノ最初ノ査定ノ送達ヲ受ケタル日ヨリ三十日ヲ経過シタルトキハ此ノ限ニ在ラス
第六条 実用新案権ハ登録ニ依リ発生ス
実用新案権者ハ其ノ登録実用新案ニ係ル物品ヲ業トシテ製作、使用、販売又ハ拡布スルノ権利ヲ専有ス
実用新案権カ其ノ出願ノ日前ノ出願ニ係ル特許権若ハ意匠権ト牴触スル場合又ハ登録実用新案カ其ノ出願ノ日前ノ出願ニ係ル特許発明若ハ登録意匠ヲ利用スルモノナル場合ニ於テハ実用新案権者ハ特許権者又ハ意匠権者ノ実施許諾アルニ非サレハ其ノ登録実用新案ヲ実施スルコトヲ得ス
第七条 実用新案登録出願ノ際現ニ善意ニ帝国内ニ於テ其ノ実用新案実施ノ事業ヲ為シ又ハ事業設備ヲ有スル者ハ其ノ登録実用新案ニ付事業ノ目的タル実用新案範囲内ニ於テ実施権ヲ有ス
第八条 登録ノ無効審判請求ノ登録前善意ニシテ左ノ各号ノ一ニ該当シ帝国内ニ於テ其ノ実用新案実施ノ事業ヲ為シ又ハ事業設備ヲ有スル者ハ其ノ登録実用新案ニ付事業ノ目的タル実用新案範囲内ニ於テ実施権ヲ有ス
一 同一又ハ類似ノ実用新案ニ対スル二以上ノ登録中其ノ一カ無効ト為リタル場合ニ於ケル登録ヲ受ケタル原実用新案権者
二 登録ヲ無効トシ同一又ハ類似ノ実用新案ニ付正当権利者ノ為ニ登録ヲ為シタル場合ニ於ケル登録ヲ受ケタル原実用新案権者
三 前二号ニ掲クル場合ニ於テ其ノ無効ト為リタル実用新案権ニ付実施権ヲ得テ其ノ登録ヲ受ケタル者但シ実施権カ登録ナキモ第十三条第一項ノ効力ヲ有スル場合ハ登録アルヲ要セス
実用新案登録出願ノ日前又ハ之ト同日ノ出願ニ係リ其ノ実用新案権ト牴触スル特許権又ハ意匠権ノ存続期間満了シタル場合ニ於テ其ノ特許権又ハ意匠権ニ付実施権ヲ得テ登録ヲ受ケタル者ハ其ノ登録実用新案ニ付原実施権ノ範囲内ニ於テ実施権ヲ有ス但シ原実施権カ登録ナキモ特許法第五十二条第一項又ハ意匠法第十五条第一項ノ効力ヲ有スル場合ハ登録アルヲ要セス
実用新案権者ハ前二項ノ規定ニ依ル実施権者ヨリ相当ノ補償金ヲ受クルノ権利ヲ有ス
第九条 実用新案登録出願ノ日前又ハ之ト同日ノ出願ニ係リ其ノ実用新案権ト牴触スル特許権又ハ意匠権ノ存続期間満了後ニ於ケル原特許権者又ハ原意匠権者ハ其ノ登録実用新案ニ付原権利ノ範囲内ニ於テ実施権ヲ有ス
第十条 実用新案権ノ存続期間ハ登録ノ日ヨリ十年ヲ以テ終了ス
第二十六条ノ規定ニ依リ準用スル特許法第十一条ノ規定ニ依リ正当権利者ノ為ニ登録ヲ為シタルトキハ前項ノ十年ノ期間ハ無効ト為リタル登録ノ為サレタル日ノ翌日ヨリ之ヲ起算ス
第十一条 実用新案権者ハ他人ノ登録実用新案又ハ登録意匠ヲ実施スルニ非サレハ自己ノ登録実用新案ヲ実施スルコト能ハサル場合ニ於テ其ノ他人カ正当ノ理由ナクシテ実施ヲ許諾セサルトキ又ハ其ノ他人ノ実施許諾ヲ得ルコト能ハサルトキハ審判ヲ請求スルコトヲ得但シ其ノ実施セラルヘキ実用新案又ハ意匠ノ実用新案権又ハ意匠権発生ノ日ヨリ二年ヲ経過セサルトキハ此ノ限ニ在ラス
前項ノ規定ニ依リ登録実用新案又ハ登録意匠ヲ実施セラルル者其ノ実施ヲ必要トスル相手方ノ登録実用新案ニ付実施ノ許諾ヲ求メタル場合ニ於テ其ノ相手方カ正当ノ理由ナクシテ実施ヲ許諾セサルトキ又ハ其ノ相手方ノ実施許諾ヲ得ルコト能ハサルトキハ審判ヲ請求スルコトヲ得
第十二条 前条ノ規定ニ依ル実施権者ハ実用新案権者又ハ意匠権者ニ対シ相当ノ補償金ヲ支払フヘシ
前項ノ実施権者ハ補償金ノ支払ヲ為シ又ハ支払ヲ為スコト能ハサル場合ニ於テハ供託ヲ為スニ非サレハ其ノ登録実用新案又ハ登録意匠ヲ実施スルコトヲ得ス但シ審決又ハ判決ノ確定前ト雖審決又ハ判決ニ依ル補償金ニ相当スル金額ヲ供託シタルトキハ実施スルコトヲ得
第十三条 登録実用新案ノ実施権ハ之ヲ登録シタルトキハ其ノ実用新案権ヲ爾後取得シタル者及其ノ実用新案権ヲ目的トスル爾後設定ノ質権ヲ有スル者ニ対シテモ其ノ効力ヲ生ス
第七条乃至第九条又ハ第二十六条ノ規定ニ依リ準用スル特許法第十四条第二項ノ規定ニ依ル実施権ハ其ノ登録ナキ場合ト雖前項ノ効力ヲ有ス
第十一条ノ規定ニ依ル実施権ハ其ノ登録前設定ノ質権ヲ有スル者ニ対シテモ其ノ効力ヲ生ス
特許法第四十五条ノ規定ハ実施権ノ移転、変更、消滅若ハ処分ノ制限又ハ実施権ヲ目的トスル質権ノ設定、移転、変更、消滅若ハ処分ノ制限ニ付之ヲ準用ス
第十四条 実用新案権者ハ登録実用新案ノ図面又ハ説明書カ不完全ニ作製セラレタルコトヲ発見シタルトキハ左ノ各号ノ一ニ掲クル事項ヲ目的トスル場合ニ限リ其ノ図面又ハ説明書ノ訂正ノ許可ノ審判ヲ請求スルコトヲ得
一 登録請求範囲ノ減縮
二 誤記ノ訂正
三 不明瞭ナル記載ノ釈明
前項第一号ノ場合ニ於テハ其ノ残部カ登録出願ノ際独立シテ新規ノ実用新案ナルコトヲ要ス
第十五条 前条ノ場合ニ於テハ登録請求範囲ヲ実質上拡張シ又ハ実質上変更スルコトヲ得ス
第十六条 登録カ左ノ各号ノ一ニ該当スルトキハ審判ニ依リ之ヲ無効ト為スヘシ
一 登録カ第一条、第二条又ハ第四条ノ規定ニ違反シテ為サレタルトキ
二 登録カ第二十六条ノ規定ニ依リ準用スル特許法第三十二条ノ規定ニ違反シテ為サレタルトキ
三 登録カ登録ヲ受クルノ権利ノ承継人ニ非サル者又ハ登録ヲ受クルノ権利ヲ冒認シタル者ノ為ニ為サレタルトキ
四 登録カ第二十六条ノ規定ニ依リ準用スル特許法第三十三条ニ規定スル条約又ハ之ニ準スヘキモノニ違反シテ為サレタル場合ニ於テ其ノ違反カ第一号乃至前号ニ掲クルモノニ準スヘキモノナルトキ
五 登録カ第二十六条ノ規定ニ依リ準用スル特許法第三十二条ノ規定ニ違反スルニ至リタルトキ又ハ特許法第三十三条ニ規定スル条約若ハ之ニ準スヘキモノニ違反スルニ至リタル場合ニ於テ其ノ違反カ第一号乃至第三号ニ掲クルモノニ準スヘキモノナルトキ
第十四条ノ許可カ同条第二項又ハ前条ノ規定ニ違反シタルトキハ審判ニ依リ之ヲ無効ト為スヘシ
登録又ハ第十四条ノ許可ハ実用新案権消滅後ト雖前二項ノ規定ニ依リ之ヲ無効ト為スヘシ
第十七条 特許局ニ実用新案原簿ヲ備ヘ実用新案権及実施権並之ヲ目的トスル質権ノ設定、保存、移転、変更、消滅、処分ノ制限其ノ他法令ニ定ムル事項ヲ登録ス
登録ニ関スル規程ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第十八条 登録スヘシトノ査定若ハ審決確定シ又ハ判決アリタルトキハ之ヲ実用新案原簿ニ登録シ実用新案登録証ヲ下付ス第十四条ノ許可ノ審決確定シ又ハ判決アリタルトキ亦同シ
第十九条 特許局ハ実用新案公報ヲ発行シ登録実用新案ニ関スル必要ナル事項ヲ之ニ記載スヘシ但シ軍事上秘密ヲ要スル登録実用新案ニ付テハ此ノ限ニ在ラス
第二十条 実用新案ノ登録ヲ受クル者又ハ登録証主ハ登録料トシテ毎件左ノ金額ヲ納付スヘシ
一 第一年乃至第三年 毎年 七円
二 第四年乃至第六年 毎年 十五円
三 第七年乃至第十年 毎年 二十五円
第二十一条 実用新案登録ノ出願アリタルトキハ審査官ヲシテ之ヲ審査セシム
第二十二条 審判ハ本法又ハ本法ニ基キテ発スル勅令ニ規定スルモノノ外左ニ掲クル事項ニ付之ヲ請求スルコトヲ得
一 第十六条ノ規定ニ依ル登録又ハ許可ノ無効
二 実用新案権ノ範囲ノ確認
前項第一号ノ無効ノ審判ハ利害関係人及審査官ニ限リ之ヲ請求スルコトヲ得但シ審査官ハ第四条ノ規定ニ違反シ又ハ第十六条第一項第三号ニ該当ストノ理由ニ依ル無効ノ審判ヲ請求スルコトヲ得ス
第一項第二号ノ確認ノ審判ハ利害関係人ニ限リ之ヲ請求スルコトヲ得
第二十三条 前条第一項第一号ノ無効ノ審判ハ実用新案ノ登録又ハ第十四条ノ許可ノ登録ノ日ヨリ三年ヲ経過シタルトキハ之ヲ請求スルコトヲ得ス
前項ニ規定スル期間ハ第十六条第一項第五号ニ該当ストノ理由ニ依ル無効ノ審判ノ請求ニ付テハ同号ニ該当スルニ至リタル日ノ翌日ヨリ之ヲ起算ス
第二十四条 第十一条ノ審判ニ於テハ補償金額ニ付テモ亦之ヲ審決スヘシ
第二十五条 査定又ハ審判ノ審決ヲ受ケタル者不服アルトキハ其ノ査定又ハ審決ノ送達ヲ受ケタル日ヨリ三十日以内ニ抗告審判ヲ請求スルコトヲ得但シ前条ノ規定ニ依ル補償金額ノ審決ニ付テハ此ノ限ニ在ラス
第二十六条 特許法第六条、第十条乃至第三十三条、第三十六条、第四十条、第四十四条、第四十五条、第四十七条、第四十八条、第五十一条、第五十五条、第五十六条、第五十八条、第五十九条、第六十四条、第六十五条第六項第七項、第六十六条乃至第六十九条、第七十一条乃至第八十三条、第八十六条乃至第百五条、第百七条、第百八条、第百十条乃至第百二十八条ノ規定ハ実用新案ニ関シ之ヲ準用ス
第二十七条 左ノ各号ノ一ニ該当スル者ハ三年以下ノ懲役又ハ三千円以下ノ罰金ニ処ス
一 他人ノ登録実用新案ニ係ル物品ト同一ノ物品ヲ業トシテ製作、使用、販売又ハ拡布シタル者
二 他人ノ登録実用新案ニ係ル物品ト類似ノ物品ヲ業トシテ製作、使用、販売又ハ拡布シタル者
三 他人ノ登録実用新案ニ係ル物品ト同一又ハ類似ノ物品ヲ業トシテ輸入又ハ移入シタル者
前項ノ罪ハ告訴ヲ待テ之ヲ論ス
第二十八条 左ノ各号ノ一ニ該当スル者ハ一年以下ノ懲役又ハ千円以下ノ罰金ニ処ス
一 詐偽ノ行為ヲ以テ実用新案ノ登録ヲ受ケ又ハ審決若ハ判決ヲ受ケタル者
二 登録実用新案ニ係ラサル物品又ハ其ノ物品ノ容器包装ノ類ニ実用新案登録標記ヲ附シ又ハ実用新案登録標記ニ紛ハシキ表示ヲ為シタル者
三 登録実用新案ニ係ラサル物品ニシテ其ノ物品又ハ其ノ物品ノ容器包装ノ類ニ実用新案登録標記ヲ附シ又ハ実用新案登録標記ニ紛ハシキ表示ヲ為シタルモノヲ販売又ハ拡布シタル者
四 登録実用新案ニ係ラサル物品ヲ製作若ハ使用セシムル為又ハ販売若ハ拡布スル為広告、看板、引札ノ類ニ其ノ物品カ登録実用新案ニ係ルコトヲ表示シ又ハ之ニ紛ハシキ表示ヲ為シタル者
第二十九条 第二十七条第一項ニ掲クル行為ヲ組成シタル物又ハ其ノ行為ヨリ生シタル物ニシテ刑法第十九条ノ規定ニ依リ没収スルコトヲ得ヘキモノニ付判決言渡前被害者ノ請求アリタルトキハ其ノ物ヲ没収シ之ヲ被害者ニ交付スルノ言渡ヲ為スヘシ
被害者ハ前項ノ規定ニ依ル物ノ交付ヲ受ケタル場合ニ於テハ其ノ物ノ価額ヲ超過スル損害ノ額ニ限リ賠償ノ請求ヲ為スコトヲ得
第三十条 法律ニ依リ宣誓シタル証人若ハ鑑定人又ハ通事特許局又ハ其ノ嘱託ヲ受ケタル裁判所若ハ官庁ニ対シ虚偽ノ陳述ヲ為シタルトキハ三月以上十年以下ノ懲役ニ処ス
前項ノ罪ヲ犯シタル者事件ノ査定又ハ審決ニ至ラサル前自白シタルトキハ其ノ刑ヲ減軽又ハ免除スルコトヲ得
第三十一条 特許局職員又ハ其ノ職ニ在リタル者故ナク其ノ職務上知得タル実用新案登録出願中ノ考案又ハ実用新案登録出願者ノ事業上ノ秘密ヲ漏泄シ又ハ窃用シタルトキハ一年以下ノ懲役又ハ千円以下ノ罰金ニ処ス
第三十二条 特許局ヨリ証人、鑑定人又ハ通事トシテ呼出サレタル者正当ノ理由ナクシテ呼出ニ応セス又ハ其ノ義務ヲ尽ササルトキハ五十円以下ノ過料ニ処ス
非訟事件手続法第二百六条乃至第二百八条ノ規定ハ前項ノ過料ニ付之ヲ準用ス
第三十三条 弁理士ニ非スシテ特許局ニ対シ実用新案ニ関シ為スヘキ事項ノ代理業ヲ営ミタル者ハ一年以下ノ懲役又ハ千円以下ノ罰金ニ処ス
附 則
第三十四条 本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第三十五条 旧法ニ依ル実用新案ノ登録、処分及手続ハ本附則ニ別段ノ規定アル場合ヲ除クノ外本法ニ依リ為シタルモノト看做ス
旧法ニ依リ実用新案ニ関シ為シタル出願、請求其ノ他ノ手続ニ付亦前項ニ同シ
第三十六条 本法施行ノ際現ニ繋属スル実用新案登録ノ出願ノ処理ニ付テハ仍旧法ニ依ル
本法施行前送達ヲ受ケタル審決ニ対スル不服申立ノ期間ニ付テハ仍旧法ニ依ル補償金額ニ対スル不服申立ノ期間ニ付亦同シ
第三十七条 本法施行前発生シタル実用新案権ニ関シテハ旧特許法第二十九条第二号ノ規定ハ仍其ノ効力ヲ有シ同号ノ規定ヲ準用シ第七条ノ規定ハ之ヲ適用セス
第三十八条 実用新案ノ登録カ旧法施行中無効ト為リタル場合ニ付テハ旧法第十条ノ規定及同条ノ規定ニ基キ準用スル旧特許法ノ規定ハ仍其ノ効力ヲ有シ第八条ノ規定ハ之ヲ適用セス
第三十九条 旧法ニ依ル実用新案ノ登録ニ関シテハ本法施行後ニ登録カ為サレタル場合ト雖旧法第十一条ノ規定ハ仍其ノ効力ヲ有シ同条ノ規定ノ適用ノ範囲内ニ於テ同条ニ掲クル旧法ノ規定ハ仍其ノ効力ヲ有シ登録カ同条ノ規定ニ該当スル場合ニ限リ審判ニ依リ之ヲ無効ト為スヘシ
第四十条 前条ノ規定ニ依ル無効ノ審判ハ本法施行前為サレタル実用新案ノ登録ニ関シテハ本法施行ノ日ヨリ三年ヲ経過シタルトキハ之ヲ請求スルコトヲ得ス