実用新案法施行法
法令番号: 法律第124号
公布年月日: 昭和34年4月13日
法令の形式: 法律

本法

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

実用新案法案が可決成立し施行する際に必要な経過的事項を定めるための法律案である。法律の施行に必要な措置は通常その法律の附則として規定するが、実用新案法については複雑多岐にわたるため、独立の法律として立案された。主な内容は、新実用新案法の施行期日を昭和35年4月1日と定めたこと、現行法による実用新案権等の新法施行後の取扱いを規定したこと、施行時に特許庁に係属している実用新案登録出願等の取扱いについて規定したことなどである。このほか登録料や罰則の適用に関する事項等についても規定している。

参照した発言:
第31回国会 参議院 商工委員会 第7号

審議経過

第31回国会

参議院
(昭和34年2月10日)
(昭和34年2月11日)
(昭和34年2月17日)
(昭和34年2月18日)
(昭和34年2月25日)
(昭和34年2月26日)
(昭和34年3月3日)
(昭和34年3月5日)
(昭和34年3月10日)
(昭和34年3月11日)
(昭和34年3月12日)
(昭和34年3月13日)
衆議院
(昭和34年3月17日)
(昭和34年3月20日)
(昭和34年3月24日)
(昭和34年3月25日)
(昭和34年3月26日)
(昭和34年3月27日)
(昭和34年3月28日)
(昭和34年5月2日)
実用新案法施行法をここに公布する。
御名御璽
昭和三十四年四月十三日
内閣総理大臣 岸信介
法律第百二十四号
実用新案法施行法
(実用新案法の施行期日)
第一条 実用新案法(昭和三十四年法律第百二十三号。以下「新法」という。)は、昭和三十五年四月一日から施行する。
(実用新案法の廃止)
第二条 実用新案法(大正十年法律第九十七号。以下「旧法」という。)は、廃止する。
(実用新案権)
第三条 旧法による実用新案権(制限付移転の実用新案権を除く。)であつて、新法の施行の際現に存するものは、新法の施行の日において新法による実用新案権となつたものとみなす。ただし、その効力は、旧法第二十六条において準用する特許法(大正十年法律第九十六号。以下「旧特許法」という。)第百二十五条第二号の規定により効力が及ばないこととされた物には、及ばない。
第四条 旧法第二十六条において準用する旧特許法第七十三条第三項に規定する権利であつて、新法の施行の際現に存するものは、新法の施行の日において新法第十二条第一項の権利となつたものとみなす。ただし、同条第二項及び第四項の規定は、適用しない。
(制限付移転の実用新案権)
第五条 旧法による制限付移転の実用新案権であつて、新法の施行の際現に登録してあるものは、新法の施行の日において専用実施権となつたものとみなす。
(実施権)
第六条 旧法第七条の規定による実施権であつて、新法の施行の際現に存するものは、新法の施行の日において新法第二十六条において準用する特許法(昭和三十四年法律第百二十一号。以下「新特許法」という。)第七十九条の規定による通常実施権となつたものとみなす。
第七条 旧法第八条第一項の規定による実施権であつて新法の施行の際現に存するものは新法の施行の日において、第二十一条第二項の規定によりその例によるものとされた旧法第八条第一項の規定による実施権は当該審決が確定した日において、新法第二十条第一項の規定による通常実施権となつたものとみなす。
第八条 旧法第八条第二項の規定による実施権(次条に規定するものを除く。)であつて、新法の施行の際現に存するものは、新法の施行の日において新法第二十条第一項の規定による通常実施権となつたものとみなす。
第九条 旧法第八条第二項の規定による実施権(意匠権に係るものに限る。)であつて、新法の施行の際現に存するものは、新法の施行の日において新法第二十六条において準用する新特許法第八十二条第一項の規定による通常実施権となつたものとみなす。
第十条 旧法第九条の規定による実施権(次条に規定するものを除く。)であつて、新法の施行の際現に存するものは、新法の施行の日において新法第二十条第一項の規定による通常実施権となつたものとみなす。
2 新法第二十条第二項の規定は、前項の場合には、適用しない。
第十一条 旧法第九条の規定による実施権(意匠権に係るものに限る。)であつて、新法の施行の際現に存するものは、新法の施行の日において新法第二十六条において準用する新特許法第八十一条の規定による通常実施権となつたものとみなす。
第十二条 旧法第十一条の規定による実施権であつて新法の施行の際現に存するものは新法の施行の日において、第二十一条第二項の規定によりその例によるものとされた旧法第十一条の規定による実施権は当該審決が確定した日において、新法第二十二条第二項の裁定による通常実施権又は意匠権についての通常実施権となつたものとみなす。
第十三条 旧法第二十六条において準用する旧特許法第十四条第二項の規定による実施権であつて、新法の施行の際現に存するものは、新法の施行の日において新法第九条第三項において準用する新特許法第三十五条第一項の規定による通常実施権となつたものとみなす。
第十四条 旧法第二十六条において準用する旧特許法第四十八条第一項の規定による実施権であつて、新法の施行の際現に存するものは、新法の施行の日において新法第十九条第一項の規定による通常実施権となつたものとみなす。
第十五条 旧法第二十六条において準用する旧特許法第百二十六条第一項の規定による実施権であつて新法の施行の際現に存するものは新法の施行の日において、第二十一条第三項の規定によりその例によるものとされた旧法第二十六条において準用する旧特許法第百二十六条第一項の規定による実施権は当該審決が確定した日において、新法第四十五条において準用する新特許法第百七十六条の規定による通常実施権となつたものとみなす。
第十六条 旧法第二十六条において準用する旧特許法第百二十七条第一項の規定による実施権であつて新法の施行の際現に存するものは新法の施行の日において、第二十一条第三項の規定によりその例によるものとされた旧法第二十六条において準用する旧特許法第百二十七条第一項の規定による実施権は当該審決が確定した日において、新法第二十条第一項の規定による通常実施権となつたものとみなす。
第十七条 第三条の規定により新法による実用新案権となつたものとみなされた旧法による実用新案権(第二十一条第一項の規定により従前の例により実用新案登録をされたものを含む。)がその実用新案登録出願の日前の出願に係る他人の特許権と抵触するときは、当該実用新案権者、専用実施権者又は通常実施権者は、業としてその登録実用新案の実施をすることができない。
2 前項に規定する場合は、新法第十七条に規定する場合に該当するものとみなし、新法第二十二条の規定を適用する。
第十八条 第三条の規定により新法による実用新案権となつたものとみなされた旧法による実用新案権(第二十一条第一項の規定により従前の例により実用新案登録をされたものを含む。)と抵触する特許権であつて、当該実用新案登録出願の日前又はこれと同日の出願に係るものの存続期間が満了したときは、その原特許権者は、原特許権の範囲内において、当該実用新案権又はその特許権の存続期間の満了の際現に存する専用実施権について新法第二十条第一項の規定による通常実施権を有するものとみなす。
2 新法第二十条第二項の規定は、前項の場合には、適用しない。
3 第三条の規定により新法による実用新案権となつたものとみなされた旧法による実用新案権(第二十一条第一項の規定により従前の例により実用新案登録をされたものを含む。)と抵触する特許権であつて、当該実用新案登録出願の日前又はこれと同日の出願に係るものの存続期間が満了したときは、その満了の際現にその特許権についての専用実施権又はその特許権若しくは専用実施権についての新特許法第九十九条第一項の効力を有する通常実施権を有する者は、原権利の範囲内において、当該実用新案権又はその特許権の存続期間の満了の際現に存する専用実施権について新法第二十条第一項の規定による通常実施権を有するものとみなす。
(存続期間)
第十九条 第三条の規定により新法による実用新案権となつたものとみなされた旧法による実用新案権(第二十一条第一項の規定により従前の例により実用新案登録をされたものを含む。)の存続期間については、なお従前の例による。
(質権)
第二十条 新法の施行前にした実用新案権を目的とする質権の設定であつて、新法の施行の際現に登録してないものは、新法の施行の日にその効力を失う。
(係属中の手続)
第二十一条 新法の施行の際現に係属している実用新案登録出願(抗告審判に係属しているものを含む。)については、その実用新案登録出願について査定又は審決が確定するまでは、なお従前の例による。
2 新法の施行の際現に係属している旧法第十一条、第十四条第一項若しくは第二十二条第一項の審判又はこれらの審判の審決に対する抗告審判については、なお従前の例による。ただし、新法の施行の際現に係属している旧法第十一条、第十四条第一項又は第二十二条第一項の審判(新法の施行の際現に事件が抗告審判に係属しており、新法の施行後差し戻されて審判に係属した場合におけるその審判を含む。)については、その審判の審決を抗告審判の審決と、審判請求書の却下の決定を抗告審判の請求書の却下の決定とみなす。
3 新法の施行の際現に係属している旧法第二十六条又は同条において準用する旧特許法第百二十八条第一項において準用する同法第百二十一条第一項の再審については、なお従前の例による。
4 第二項ただし書の規定は、前項の場合に準用する。
5 第一項から第三項までに規定する手続以外の手続であつて、新法の施行の際現に特許庁に係属しているものについては、なお従前の例による。
(正当権利者の実用新案登録出願)
第二十二条 新法の施行の際現に係属している旧法第二十六条において準用する旧特許法第十条又は第十一条に規定する正当権利者の実用新案登録出願については、これらの規定は新法の施行後も、なおその効力を有する。
(実用新案登録を受ける権利の承継)
第二十三条 新法の施行前にした実用新案登録出願後における実用新案登録を受ける権利の承継(相続その他の一般承継を除く。)であつて、新法の施行の際現に特許庁長官に届出をしてないものは、新法の施行の日にその効力を失う。
(実用新案権の移転等)
第二十四条 新法の施行前にした実用新案権の移転(相続その他の一般承継によるものを除く。)又は処分の制限であつて、新法の施行の際現に登録してないものは、新法の施行の日にその効力を失う。
2 新法の施行前にした実用新案権を目的とする質権の移転(相続その他の一般承継によるものを除く。)、変更又は処分の制限であつて、新法の施行の際現に登録してないものは、新法の施行の日にその効力を失う。
(職務考案)
第二十五条 新法第九条第三項において準用する新特許法第三十五条の規定は、新法の施行前に被用者、法人の役員又は公務員がした考案についても、適用する。
(無効審判)
第二十六条 旧法によりした実用新案登録又は旧法第十四条第一項の規定によりした許可(第二十一条第一項又は第二項の規定により従前の例によりした実用新案登録又は当該許可を含む。)についての新法第三十七条第一項若しくは第四十条第一項の審判又はこれらの審判の確定審決に対する再審においては、旧法第十六条の規定は、新法の施行後も、なおその効力を有し、同条第一項又は第二項に規定する場合に限り、その実用新案登録又は許可を無効にすることができる。
2 旧法第二十二条第一項第一号の審判又はその審判の審決に対する抗告審判の確定審決(第二十一条第二項の規定により従前の例によりした当該審決であつて、確定したものを含む。)に対する再審であつて、新法の施行後に請求したものにおいても、前項と同様とする。
3 新法の施行前にした実用新案登録又は旧法第十四条第一項の規定によりした許可については、旧法第二十三条の規定は、新法の施行後も、なおその効力を有する。
(登録料)
第二十七条 新法の施行前にすでに納付し又は納付すべきであつた登録料については、なお従前の例による。
2 新法第三十四条において準用する新特許法第百十一条の規定は、新法の施行前に納付した登録料(前項の規定により従前の例により納付したものを含む。)についても、適用する。
3 旧法第二十六条において準用する旧特許法第十一条(第二十二条の規定によりなおその効力を有する場合を含む。)の規定により正当権利者に実用新案登録をしたときは、旧法第二十六条において準用する旧特許法第六十五条第六項の規定は、新法の施行後も、なおその効力を有する。
第二十八条 第三条の規定により新法による実用新案権となつたものとみなされた旧法による実用新案権(第二十一条第一項の規定により従前の例により実用新案登録をされたものを含む。)についての新法第三十一条第一項の規定の適用については、同項中「第十五条第一項」とあるのは、「旧実用新案法第十条第一項」とする。
(補償金)
第二十九条 新法の施行前に発生した補償金を受ける権利については、なお従前の例による。
(処分)
第三十条 旧法によりした処分、手続その他の行為(第二十一条第一項から第三項まで又は第五項の規定により従前の例によりしたものを含む。)は、新法中にこれに相当する規定があるときは、新法によりしたものとみなす。
(罰則の適用)
第三十一条 新法の施行前にした行為及び第二十一条第一項から第三項まで又は第五項の規定により従前の例によるものとされた手続に係る新法の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
附 則
この法律は、昭和三十五年四月一日から施行する。
法務大臣 愛知揆一
通商産業大臣 高碕達之助
内閣総理大臣 岸信介