実用新案法
法令番号: 法律第二十六號
公布年月日: 明治42年4月5日
法令の形式: 法律
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル實用新案法改正法律ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治四十二年四月二日
內閣總理大臣 侯爵 桂太郞
農商務大臣 男爵 大浦兼武
司法大臣 子爵 岡部長職
法律第二十六號
實用新案法
第一條 物品ニ關シ其ノ形狀、構造又ハ組合ハセニ係リ實用アル新規ノ工業的考案ヲ爲シタル者ハ本法ニ依リ實用新案ノ登錄ヲ受クルコトヲ得
第二條 職務上又ハ契約上爲シタル實用新案ニ付登錄ヲ受クルノ權利ハ勤務規程又ハ契約ニ別段ノ定アル場合ヲ除クノ外其ノ職務ヲ執行セシムル者又ハ使用者ニ屬ス
職務ノ執行又ハ契約ノ履行ニ依ル勤務中公務員又ハ被用者ノ爲シタル考案ニシテ職務上又ハ契約上爲シタルモノニ非サル實用新案ニ付案出前豫メ登錄ヲ受クルノ權利又ハ實用新案權ヲ讓渡セシムルコトヲ定メタル勤務規程又ハ契約ノ條項ハ之ヲ無效トス
本條ニ於テ公務員ト稱スルハ刑法第七條第一項ノ公務員ヲ謂フ
第三條 本法ニ於テ新規ト稱スルハ左ノ各號ニ該當セサルモノヲ謂フ
一 登錄出願前同一又ハ類似ノ物品ニ關シ帝國內ニ於テ公然知ラレ若ハ公然用井ラレタルモノ又ハ之ニ類似スルモノ
二 登錄出願前同一又ハ類似ノ物品ニ關シ容易ニ應用スルコトヲ得ヘキ程度ニ於テ帝國內ニ頒布セラレタル刊行物ニ記載セラレタルモノ又ハ之ニ類似スルモノ
第四條 左ニ揭クル實用新案ニ付テハ之ヲ登錄セス
一 菊花御紋章ト同一又ハ類似ノ形狀ヲ有スルモノ
二 秩序若ハ風俗ヲ紊リ又ハ衞生ヲ害スルノ虞アルモノ
第五條 同一又ハ類似ノ實用新案ニ付各別ニ登錄ヲ受クルノ權利ヲ有スル者二人以上アルトキハ最先ニ出願ヲ爲シタルモノニ限リ登錄ス其ノ同日ノ出願ニ係ルトキハ關係者ノ協議ニ依リ協議調ハサルトキハ共ニ之ヲ登錄セス
第六條 實用新案ノ登錄ヲ受クルノ權利ハ之ヲ移轉スルコトヲ得但シ擔保ニ供スルコトヲ得ス
登錄ヲ受クルノ權利ノ承繼ハ登錄出願前ニ在リテハ登錄ヲ出願シ登錄出願後ニ在リテハ出願人ノ名義變更ヲ屆出ツルニ非サレハ之ヲ以テ第三者ニ對抗スルコトヲ得ス但シ同日ノ出願又ハ屆出ニ係ルトキハ關係者ノ協議ニ依リ協議調ハサルトキハ共ニ第三者ニ對抗スルコトヲ得ス
第七條 發明特許又ハ意匠登錄ノ出願ヲ爲シ特許又ハ登錄スヘカラストノ査定ヲ受ケタル者其ノ最初ノ査定ノ送達ヲ受ケタル日ヨリ三十日以內ニ其ノ發明又ハ意匠ニ係ル實用新案ニ付登錄ヲ出願シタルトキハ發明特許又ハ意匠登錄ヲ出願シタル日ニ於テ出願シタルモノト看做ス
第八條 實用新案權ハ登錄ニ依リ發生ス
實用新案權者ハ其ノ登錄ヲ受ケタル物品ヲ業トシテ製作、使用、販賣又ハ擴布スルノ權利ヲ專有ス
同一又ハ類似ノ考案ニ關シテハ實用新案權ハ其ノ出願前ノ出願ニ係ル特許權又ハ意匠權ニ依リ制限ヲ受クルモノトス
第九條 實用新案權ノ存續期間ハ三年トス
前項ノ期間ハ三年間之ヲ延長スルコトヲ得
第十條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ原權利ノ範圍內ニ於テ登錄實用新案ヲ實施スルノ權利ヲ有ス
一 同一又ハ類似ノ實用新案ニ對スル二以上ノ登錄中其ノ一カ無效ト爲リタル場合ニ於テ善意ナル原實用新案權者
二 前號ノ原實用新案權ニ付善意ニ實施ノ權利ヲ得テ登錄ヲ受ケタル者
特許法第三十六條及第三十七條ノ規定ハ前項ノ權利ニ之ヲ準用ス
第十一條 實用新案ノ登錄カ第一條、第二條、第四條、第五條、第六條第二項又ハ第二十一條ノ規定ニ反シタルトキハ審判ニ依リ之ヲ無效ト爲スヘシ登錄カ登錄ヲ受クルノ權利ヲ冒認シタル者ニ對シ爲シタルモノナルトキ亦同シ
第十二條 登錄スヘシトノ査定アリタルトキ又ハ實用新案權存續期間延長ノ請求アリタルトキハ實用新案原簿ニ登錄シ實用新案登錄證ヲ下付ス
第十三條 特許局ハ實用新案公報ヲ發行シ登錄實用新案及之ニ關スル必要ナル事項ヲ記載スヘシ但シ祕密ヲ要スル實用新案ニ付テハ此ノ限ニ在ラス
第十四條 登錄スヘシトノ査定ヲ受ケタル者ハ其ノ登錄ヲ受クル際每件登錄料金十五圓ヲ納付スヘシ
實用新案權存續期間ノ延長ヲ請求スル者ハ每件登錄料金三十圓ヲ納付スヘシ
第十五條 實用新案登錄ノ出願アリタルトキハ審査官ヲシテ之ヲ査定セシム
第十六條 審査官ハ第四條、第五條、第六條第二項及第二十一條ノ規定ニ依リ出願ニ係ル實用新案カ登錄スヘキモノナルヤ否ニ付査定スヘシ但シ第一條又ハ第二條ノ規定ニ該當セサルコトヲ發見シタルトキハ之ヲ理由トシテ登錄拒絕ノ査定ヲ爲スヘシ
第十七條 登錄拒絕ノ査定ニ不服アル者ハ査定ノ送達ヲ受ケタル日ヨリ三十日以內ニ不服理由書ヲ差出シ再審査ヲ請求スルコトヲ得
前項ノ請求アリタルトキハ前審査ニ干與セサル審査官ヲシテ更ニ之ヲ査定セシム
前條但書ニ依ル査定ニ不服アル者再審査ノ請求ヲ爲シタル場合ニ於テハ審査官ハ其ノ理由ニ付テモ亦審査スヘシ
第十八條 審判ハ左ニ揭クル事項ニ付之ヲ請求スルコトヲ得
一 第十一條ノ規定ニ依ル登錄ノ無效
二 實用新案權ノ範圍ノ確認
審判ノ請求ハ審査官又ハ利害關係人ニ限リ之ヲ爲スコトヲ得但シ審査官ハ前項第二號ノ審判及第二條、第五條又ハ第六條第二項ノ規定ニ反ストノ理由ニ依ル前項第一號ノ審判ヲ請求スルコトヲ得ス
審査官ノ請求ニ依ル審判ニ關シテハ其ノ手續ヲ省略スルコトヲ得
第十九條 審判ノ審決ニ不服アル者ハ審決ノ送達ヲ受ケタル日ヨリ六十日以內ニ抗吿審判ヲ請求スルコトヲ得
第二十條 特許法第八條、第十一條第一項及第三項、第十二條乃至第十五條、第十六條第一項、第十七條乃至第二十六條、第二十九條、第三十二條、第三十三條、第四十條、第四十一條、第四十三條乃至第四十六條、第四十九條第二項、第五十條、第五十一條、第五十三條、第五十六條、第五十七條第五項、第六十條、第六十六條乃至第六十八條、第七十條乃至第七十九條、第八十二條、第八十三條第一項及第八十四條乃至第九十一條ノ規定ハ實用新案ニ關シ之ヲ準用ス
第二十一條 外國人ニシテ帝國內ニ住所又ハ營業所ヲ有セサル者ハ條約又ハ之ニ準スヘキモノニ規定アル場合ノ外實用新案權又ハ實用新案ニ關スル權利ヲ享有スルコトヲ得ス
實用新案ニ關シ條約又ハ之ニ準スヘキモノニ別段ノ規定アルトキハ其ノ規定ニ從フ
第二十二條 實用新案ノ登錄ヲ受ケタル物品ヲ業トシテ僞造、模造シタル者又ハ僞造品、模造品ヲ業トシテ販賣、擴布若ハ使用シタル者ハ三年以下ノ懲役又ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
實用新案ノ登錄ヲ受ケタル物品ト同一又ハ類似ノモノヲ業トシテ輸入シタル者又ハ其ノ物品ヲ業トシテ販賣、擴布若ハ使用シタル者ハ罰前項ニ同シ
前二項ノ罪ハ吿訴ヲ待テ之ヲ論ス
第二十三條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ一年以下ノ懲役又ハ三百圓以下ノ罰金ニ處ス
一 詐僞ノ所爲ヲ以テ實用新案ノ登錄ヲ受ケタル者
二 實用新案ノ登錄ヲ受ケサル物品又ハ其ノ容器、包裝等ニ實用新案登錄ノ標記ヲ付シ若ハ之ニ紛ハシキ表示ヲ爲シタル者又ハ其ノ物品ヲ販賣若ハ擴布シタル者
三 實用新案ノ登錄ヲ受ケサル物品ヲ販賣又ハ擴布スル爲廣吿、看板、引札等ニ其ノ物品カ實用新案ノ登錄ニ係ルコトヲ表示シ又ハ之ニ紛ハシキ表示ヲ爲シタル者
第二十四條 第二十二條ノ犯罪ニ因リ沒收スルコトヲ得ヘキ物ニ付判決言渡前被害者ヨリ請求アリタルトキハ之ヲ相當ノ代價ニ見積リ被害者ニ交付スル言渡ヲ爲スヘシ
損害ノ額カ交付ヲ受ケタル物ノ見積代價ニ超過スルトキハ被害者ハ其ノ差額ニ限リ賠償ノ請求ヲ爲スコトヲ得
第二十五條 法律ニ依リ宣誓シタル證人若ハ鑑定人又ハ通事ニシテ特許局又ハ其ノ囑託ヲ受ケタル裁判所若ハ官廳ニ對シ虛僞ノ陳述ヲ爲シタルトキハ三年以下ノ懲役又ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
前項ノ罪ヲ犯シタル者事件ノ査定又ハ審決ニ至ラサル前自白シタルトキハ其ノ刑ヲ輕減又ハ免除スルコトヲ得
第二十六條 特許局ヨリ證人、鑑定人又ハ通事トシテ呼出サレタル者正當ノ理由ナクシテ呼出ニ應セス又ハ其ノ義務ヲ盡ササルトキハ四十圓以下ノ罰金ニ處ス
第二十七條 特許辨理士ニ非スシテ實用新案ニ關スル代理業ヲ營ミタル者ハ一年以下ノ懲役又ハ三百圓以下ノ罰金ニ處ス
附 則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第十條ノ規定ハ本法施行前無效ト爲リタル實用新案ノ登錄ニ關シテハ之ヲ適用セス
特許法第九十九條、第百二條第二項、第百五條及第百六條ノ規定ハ實用新案ニ關シ之ヲ準用ス
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル実用新案法改正法律ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治四十二年四月二日
内閣総理大臣 侯爵 桂太郎
農商務大臣 男爵 大浦兼武
司法大臣 子爵 岡部長職
法律第二十六号
実用新案法
第一条 物品ニ関シ其ノ形状、構造又ハ組合ハセニ係リ実用アル新規ノ工業的考案ヲ為シタル者ハ本法ニ依リ実用新案ノ登録ヲ受クルコトヲ得
第二条 職務上又ハ契約上為シタル実用新案ニ付登録ヲ受クルノ権利ハ勤務規程又ハ契約ニ別段ノ定アル場合ヲ除クノ外其ノ職務ヲ執行セシムル者又ハ使用者ニ属ス
職務ノ執行又ハ契約ノ履行ニ依ル勤務中公務員又ハ被用者ノ為シタル考案ニシテ職務上又ハ契約上為シタルモノニ非サル実用新案ニ付案出前予メ登録ヲ受クルノ権利又ハ実用新案権ヲ譲渡セシムルコトヲ定メタル勤務規程又ハ契約ノ条項ハ之ヲ無効トス
本条ニ於テ公務員ト称スルハ刑法第七条第一項ノ公務員ヲ謂フ
第三条 本法ニ於テ新規ト称スルハ左ノ各号ニ該当セサルモノヲ謂フ
一 登録出願前同一又ハ類似ノ物品ニ関シ帝国内ニ於テ公然知ラレ若ハ公然用井ラレタルモノ又ハ之ニ類似スルモノ
二 登録出願前同一又ハ類似ノ物品ニ関シ容易ニ応用スルコトヲ得ヘキ程度ニ於テ帝国内ニ頒布セラレタル刊行物ニ記載セラレタルモノ又ハ之ニ類似スルモノ
第四条 左ニ掲クル実用新案ニ付テハ之ヲ登録セス
一 菊花御紋章ト同一又ハ類似ノ形状ヲ有スルモノ
二 秩序若ハ風俗ヲ紊リ又ハ衛生ヲ害スルノ虞アルモノ
第五条 同一又ハ類似ノ実用新案ニ付各別ニ登録ヲ受クルノ権利ヲ有スル者二人以上アルトキハ最先ニ出願ヲ為シタルモノニ限リ登録ス其ノ同日ノ出願ニ係ルトキハ関係者ノ協議ニ依リ協議調ハサルトキハ共ニ之ヲ登録セス
第六条 実用新案ノ登録ヲ受クルノ権利ハ之ヲ移転スルコトヲ得但シ担保ニ供スルコトヲ得ス
登録ヲ受クルノ権利ノ承継ハ登録出願前ニ在リテハ登録ヲ出願シ登録出願後ニ在リテハ出願人ノ名義変更ヲ届出ツルニ非サレハ之ヲ以テ第三者ニ対抗スルコトヲ得ス但シ同日ノ出願又ハ届出ニ係ルトキハ関係者ノ協議ニ依リ協議調ハサルトキハ共ニ第三者ニ対抗スルコトヲ得ス
第七条 発明特許又ハ意匠登録ノ出願ヲ為シ特許又ハ登録スヘカラストノ査定ヲ受ケタル者其ノ最初ノ査定ノ送達ヲ受ケタル日ヨリ三十日以内ニ其ノ発明又ハ意匠ニ係ル実用新案ニ付登録ヲ出願シタルトキハ発明特許又ハ意匠登録ヲ出願シタル日ニ於テ出願シタルモノト看做ス
第八条 実用新案権ハ登録ニ依リ発生ス
実用新案権者ハ其ノ登録ヲ受ケタル物品ヲ業トシテ製作、使用、販売又ハ拡布スルノ権利ヲ専有ス
同一又ハ類似ノ考案ニ関シテハ実用新案権ハ其ノ出願前ノ出願ニ係ル特許権又ハ意匠権ニ依リ制限ヲ受クルモノトス
第九条 実用新案権ノ存続期間ハ三年トス
前項ノ期間ハ三年間之ヲ延長スルコトヲ得
第十条 左ノ各号ノ一ニ該当スル者ハ原権利ノ範囲内ニ於テ登録実用新案ヲ実施スルノ権利ヲ有ス
一 同一又ハ類似ノ実用新案ニ対スル二以上ノ登録中其ノ一カ無効ト為リタル場合ニ於テ善意ナル原実用新案権者
二 前号ノ原実用新案権ニ付善意ニ実施ノ権利ヲ得テ登録ヲ受ケタル者
特許法第三十六条及第三十七条ノ規定ハ前項ノ権利ニ之ヲ準用ス
第十一条 実用新案ノ登録カ第一条、第二条、第四条、第五条、第六条第二項又ハ第二十一条ノ規定ニ反シタルトキハ審判ニ依リ之ヲ無効ト為スヘシ登録カ登録ヲ受クルノ権利ヲ冒認シタル者ニ対シ為シタルモノナルトキ亦同シ
第十二条 登録スヘシトノ査定アリタルトキ又ハ実用新案権存続期間延長ノ請求アリタルトキハ実用新案原簿ニ登録シ実用新案登録証ヲ下付ス
第十三条 特許局ハ実用新案公報ヲ発行シ登録実用新案及之ニ関スル必要ナル事項ヲ記載スヘシ但シ秘密ヲ要スル実用新案ニ付テハ此ノ限ニ在ラス
第十四条 登録スヘシトノ査定ヲ受ケタル者ハ其ノ登録ヲ受クル際毎件登録料金十五円ヲ納付スヘシ
実用新案権存続期間ノ延長ヲ請求スル者ハ毎件登録料金三十円ヲ納付スヘシ
第十五条 実用新案登録ノ出願アリタルトキハ審査官ヲシテ之ヲ査定セシム
第十六条 審査官ハ第四条、第五条、第六条第二項及第二十一条ノ規定ニ依リ出願ニ係ル実用新案カ登録スヘキモノナルヤ否ニ付査定スヘシ但シ第一条又ハ第二条ノ規定ニ該当セサルコトヲ発見シタルトキハ之ヲ理由トシテ登録拒絶ノ査定ヲ為スヘシ
第十七条 登録拒絶ノ査定ニ不服アル者ハ査定ノ送達ヲ受ケタル日ヨリ三十日以内ニ不服理由書ヲ差出シ再審査ヲ請求スルコトヲ得
前項ノ請求アリタルトキハ前審査ニ干与セサル審査官ヲシテ更ニ之ヲ査定セシム
前条但書ニ依ル査定ニ不服アル者再審査ノ請求ヲ為シタル場合ニ於テハ審査官ハ其ノ理由ニ付テモ亦審査スヘシ
第十八条 審判ハ左ニ掲クル事項ニ付之ヲ請求スルコトヲ得
一 第十一条ノ規定ニ依ル登録ノ無効
二 実用新案権ノ範囲ノ確認
審判ノ請求ハ審査官又ハ利害関係人ニ限リ之ヲ為スコトヲ得但シ審査官ハ前項第二号ノ審判及第二条、第五条又ハ第六条第二項ノ規定ニ反ストノ理由ニ依ル前項第一号ノ審判ヲ請求スルコトヲ得ス
審査官ノ請求ニ依ル審判ニ関シテハ其ノ手続ヲ省略スルコトヲ得
第十九条 審判ノ審決ニ不服アル者ハ審決ノ送達ヲ受ケタル日ヨリ六十日以内ニ抗告審判ヲ請求スルコトヲ得
第二十条 特許法第八条、第十一条第一項及第三項、第十二条乃至第十五条、第十六条第一項、第十七条乃至第二十六条、第二十九条、第三十二条、第三十三条、第四十条、第四十一条、第四十三条乃至第四十六条、第四十九条第二項、第五十条、第五十一条、第五十三条、第五十六条、第五十七条第五項、第六十条、第六十六条乃至第六十八条、第七十条乃至第七十九条、第八十二条、第八十三条第一項及第八十四条乃至第九十一条ノ規定ハ実用新案ニ関シ之ヲ準用ス
第二十一条 外国人ニシテ帝国内ニ住所又ハ営業所ヲ有セサル者ハ条約又ハ之ニ準スヘキモノニ規定アル場合ノ外実用新案権又ハ実用新案ニ関スル権利ヲ享有スルコトヲ得ス
実用新案ニ関シ条約又ハ之ニ準スヘキモノニ別段ノ規定アルトキハ其ノ規定ニ従フ
第二十二条 実用新案ノ登録ヲ受ケタル物品ヲ業トシテ偽造、模造シタル者又ハ偽造品、模造品ヲ業トシテ販売、拡布若ハ使用シタル者ハ三年以下ノ懲役又ハ五百円以下ノ罰金ニ処ス
実用新案ノ登録ヲ受ケタル物品ト同一又ハ類似ノモノヲ業トシテ輸入シタル者又ハ其ノ物品ヲ業トシテ販売、拡布若ハ使用シタル者ハ罰前項ニ同シ
前二項ノ罪ハ告訴ヲ待テ之ヲ論ス
第二十三条 左ノ各号ノ一ニ該当スル者ハ一年以下ノ懲役又ハ三百円以下ノ罰金ニ処ス
一 詐偽ノ所為ヲ以テ実用新案ノ登録ヲ受ケタル者
二 実用新案ノ登録ヲ受ケサル物品又ハ其ノ容器、包装等ニ実用新案登録ノ標記ヲ付シ若ハ之ニ紛ハシキ表示ヲ為シタル者又ハ其ノ物品ヲ販売若ハ拡布シタル者
三 実用新案ノ登録ヲ受ケサル物品ヲ販売又ハ拡布スル為広告、看板、引札等ニ其ノ物品カ実用新案ノ登録ニ係ルコトヲ表示シ又ハ之ニ紛ハシキ表示ヲ為シタル者
第二十四条 第二十二条ノ犯罪ニ因リ没収スルコトヲ得ヘキ物ニ付判決言渡前被害者ヨリ請求アリタルトキハ之ヲ相当ノ代価ニ見積リ被害者ニ交付スル言渡ヲ為スヘシ
損害ノ額カ交付ヲ受ケタル物ノ見積代価ニ超過スルトキハ被害者ハ其ノ差額ニ限リ賠償ノ請求ヲ為スコトヲ得
第二十五条 法律ニ依リ宣誓シタル証人若ハ鑑定人又ハ通事ニシテ特許局又ハ其ノ嘱託ヲ受ケタル裁判所若ハ官庁ニ対シ虚偽ノ陳述ヲ為シタルトキハ三年以下ノ懲役又ハ五百円以下ノ罰金ニ処ス
前項ノ罪ヲ犯シタル者事件ノ査定又ハ審決ニ至ラサル前自白シタルトキハ其ノ刑ヲ軽減又ハ免除スルコトヲ得
第二十六条 特許局ヨリ証人、鑑定人又ハ通事トシテ呼出サレタル者正当ノ理由ナクシテ呼出ニ応セス又ハ其ノ義務ヲ尽ササルトキハ四十円以下ノ罰金ニ処ス
第二十七条 特許弁理士ニ非スシテ実用新案ニ関スル代理業ヲ営ミタル者ハ一年以下ノ懲役又ハ三百円以下ノ罰金ニ処ス
附 則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第十条ノ規定ハ本法施行前無効ト為リタル実用新案ノ登録ニ関シテハ之ヲ適用セス
特許法第九十九条、第百二条第二項、第百五条及第百六条ノ規定ハ実用新案ニ関シ之ヲ準用ス