戸籍法
法令番号: 法律第十二號
公布年月日: 明治31年6月21日
法令の形式: 法律
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル戶籍法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十一年六月十五日
內閣總理大臣 侯爵 伊藤博文
內務大臣 子爵 芳川顯正
司法大臣 曾禰荒助
法律第十二號
戶籍法
第一章
戶籍吏及ヒ戶籍役場
第二章
身分登記簿
第三章
登記手續
第四章
身分ニ關スル屆出
第一節
通則
第二節
出生
第三節
嫡出子否認
第四節
私生子認知
第五節
養子緣組
第六節
養子離緣
第七節
婚姻
第八節
離婚
第九節
後見
第十節
隱居
第十一節
失踪
第十二節
死亡
第十三節
家督相續
第十四節
推定家督相續人ノ廢除
第十五節
家督相續人ノ指定
第十六節
入籍、離籍及ヒ復籍拒絕
第十七節
廢家及ヒ絕家
第十八節
分家及ヒ廢絕家再興
第十九節
國籍ノ得喪
第二十節
氏名及ヒ族稱ノ變更
第二十一節
身分登記ノ變更
第五章
戶籍簿
第六章
戶籍ノ記載手續
第七章
戶籍ニ關スル屆出
第八章
抗吿
第九章
罰則
附則
戶籍法
第一章 戶籍吏及ヒ戶籍役場
第一條 戶籍及ヒ身分登記ニ關スル事務ハ戶籍吏之ヲ管掌シ戶籍役場ニ於テ之ヲ取扱フ
第二條 市町村長ヲ以テ戶籍吏トス但區ヲ置キタル市ニ於テハ區長ヲ以テ之ニ充ツルコトヲ得
第三條 戶籍吏又ハ之ト家ヲ同シクスル者ノ戶籍又ハ身分登記ニ關スル事件ニ付テハ市町村長又ハ區長ノ事務ヲ代理スヘキ者戶籍吏ノ職務ヲ行フ
戶籍吏又ハ之ト家ヲ同シクスル者ト前項ノ規定ニ依リ戶籍吏ノ職務ヲ行フヘキ者又ハ之ト家ヲ同シクスル者トノ戶籍又ハ身分登記ニ關スル事件ニ付テハ市ニ在リテハ市參事會員ノ一人、町村又ハ區ニ在リテハ他ノ吏員ノ上席者戶籍吏ノ職務ヲ行フ
第四條 戶籍役場ハ市役所又ハ町村役場ヲ以テ之ニ充ツ但區長ヲ以テ戶籍吏ニ充ツル場合ニ於テハ區役所ヲ以テ之ニ充ツ
第五條 戶籍及ヒ身分登記ニ關スル事務ハ戶籍役場ノ所在地ヲ管轄スル區裁判所ノ一人ノ判事又ハ監督判事之ヲ監督ス
戶籍及ヒ身分登記ニ關スル事務ノ監督ニ付テハ司法行政ノ監督ニ關スル規定ヲ準用ス
第六條 戶籍吏カ其職務ノ執行ニ付キ屆出人其他ノ者ニ損害ヲ加ヘタルトキハ其損害カ戶籍吏ノ故意又ハ重大ナル過失ニ因リテ生シタル場合ニ限リ之ヲ賠償スル責ニ任ス
第二章 身分登記簿
第七條 身分登記簿ハ本籍人身分登記簿及ヒ非本籍人身分登記簿ノ二種トシ各正副二本ヲ備フ
各種ノ登記簿ハ第四章第二節乃至第二十一節ニ揭ケタル屆出事件ノ區別ニ從ヒ各別册ト爲ス但便宜ニ依リ之ヲ合綴スルコトヲ得
第八條 身分登記簿ハ一年每ニ之ヲ編製ス
第九條 戶籍吏ハ豫メ翌年ノ身分登記簿ト爲スヘキ帳簿ヲ作リ監督官ノ契印ヲ請フコトヲ要ス
監督官カ帳簿ノ送付ヲ受ケタルトキハ職印ヲ以テ每葉ノ綴目ニ契印シ表紙ノ裏面ニ其枚數ヲ記シ職氏名ヲ署シ職印ヲ押捺シテ之ヲ戶籍吏ニ還付スルコトヲ要ス
第十條 身分登記簿ノ用紙カ不足ナルトキハ戶籍吏ハ更ニ帳簿ヲ作リテ契印ヲ請フコトヲ要ス
第十一條 身分登記簿ノ正本ハ永久ニ之ヲ戶籍役場ニ保存スルコトヲ要ス
登記ヲ終結シタル身分登記簿ノ副本ハ遲滯ナク之ヲ監督區裁判所ヲ管轄スル地方裁判所ニ納付スルコトヲ要ス
地方裁判所ハ其納付ヲ受ケタル身分登記簿ノ副本ヲ永久ニ保存スルコトヲ要ス
第十二條 身分登記簿ハ事變ヲ避クル爲メニスル場合ヲ除ク外之ヲ戶籍役場外ニ持出スコトヲ得ス但登記ヲ終結シタル登記簿ニ付キ裁判所又ハ豫審判事ノ命令アリタルトキハ此限ニ在ラス
第十三條 何人ト雖モ手數料ヲ納付シテ身分登記簿ノ閱覽又ハ登記ノ謄本若クハ抄本ノ交付ヲ請求スルコトヲ得
謄本又ハ抄本ノ交付ヲ請求スル者アルトキハ戶籍吏之ヲ作リ原本ト相違ナキ旨ヲ附記シ職氏名ヲ署シ職印ヲ押捺シテ之ヲ交付スルコトヲ要ス
手數料ノ外郵送料ヲ納付シテ謄本又ハ抄本ノ交付ヲ請求スル者アルトキハ戶籍吏之ヲ送付スルコトヲ要ス
戶籍吏カ閱覽又ハ交付ノ請求ヲ許ササル場合ニ於テハ書面ヲ以テ其旨ヲ請求者ニ吿知スルコトヲ要ス
第十四條 身分登記簿ノ全部又ハ一部カ滅失シタルトキハ司法大臣ハ其旨ヲ吿示シ且身分登記簿ノ再製又ハ補完ニ付キ必要ナル處分ヲ命スルコトヲ要ス
第三章 登記手續
第十五條 身分登記ハ左ノ場合ニ於テ之ヲ爲ス
一 戶籍吏カ身分ニ關スル屆出ヲ受ケ又ハ其屆書ノ送付ヲ受ケタルトキ
二 戶籍吏カ身分ニ關スル報吿ヲ受ケタルトキ
三 戶籍吏カ身分ニ關スル證書ノ謄本ヲ受ケ又ハ其謄本ノ送付ヲ受ケタルトキ
四 戶籍吏カ身分ニ關スル事項ヲ記載シタル航海日誌ノ謄本ノ送付ヲ受ケタルトキ
五 戶籍吏カ登記ノ取消又ハ變更ノ申請若クハ請求ヲ受ケタルトキ
六 戶籍吏カ登記ヲ爲スヘキ旨ノ裁判ヲ受ケタルトキ
第十六條 前條ニ揭ケタル場合ト雖モ屆出、送付其他ノ手續カ本法ノ規定ニ依リタルモノニ非サレハ登記ヲ爲スコトヲ得ス
第十七條 登記ハ法律ニ特別ノ規定アル場合ヲ除ク外之ヲ取消シ又ハ之ヲ變更スルコトヲ得ス
第十八條 戶籍吏カ屆出、報吿其他登記ニ關スル書類ヲ受理シタルトキハ其書類ニ受附ノ番號及ヒ年月日ヲ記載シ遲滯ナク登記ノ手續ヲ爲スコトヲ要ス
第十九條 登記ハ本籍人、非本籍人及ヒ登記ヲ爲スヘキ事件ノ區別ニ從ヒ相當ノ登記簿ニ之ヲ爲スコトヲ要ス
第二十條 被登記者ノ本籍カ屆出其他ノ事由ニ因リ戶籍吏ノ管轄ニ歸シ又ハ其管轄ヲ離ルル場合ニ於テハ本籍人身分登記簿ニ登記ヲ爲スコトヲ要ス
一箇ノ登記ニシテ本籍人及ヒ非本籍人ニ關スルトキハ同時ニ本籍人身分登記簿及ヒ非本籍人身分登記簿ニ登記ヲ爲シ各登記ノ欄外ニ交互參看ノ符號ヲ附記スルコトヲ要ス
第二十一條 被登記者ノ本籍カ分明ナラサルトキハ非本籍人身分登記簿ニ登記ヲ爲スコトヲ要ス
第二十二條 登記ニハ第四章ノ規定ニ依リ屆出、報吿、申請若クハ請求ヲ爲シ又ハ航海日誌ノ謄本ニ記載シタル事項ヲ記載スルコトヲ要ス
證書ノ謄本ニ依リテ爲ス登記ニハ其謄本ニ記載シタル事項ヲ記載スルコトヲ要ス
裁判ニ依リテ爲ス登記ニハ其裁判ヲ以テ命セラレタル登記事項ヲ記載スルコトヲ要ス
第二十三條 登記ヲ爲スヘキ事實カ第四章第二節乃至第二十一節ニ揭ケタル屆出事件ノ二箇以上ニ涉ルトキハ各別ニ登記ヲ爲スコトヲ要ス
前項ノ登記ニハ各登記ニ付キ必要ナル事項ノミヲ記載シ各登記ノ欄外ニ交互參看ノ符號ヲ附記スルコトヲ要ス
第二十四條 登記取消ノ登記ハ取消ノ申請又ハ請求ノ目的タル登記ノ欄外ニ之ヲ爲シ原登記ヲ抹消スルコトヲ要ス
第二十五條 登記變更ノ登記ハ其目的タル登記ノ欄外ニ之ヲ爲シ且其申請ノ基本タル裁判ノ趣旨ニ從ヒテ原登記ヲ變更スルコトヲ要ス
第二十六條 本籍分明ナラサル者ノ登記ヲ爲シタル後其者ノ本籍カ分明ト爲リタル旨ノ屆出又ハ報吿アリタルトキハ原登記ノ欄外ニ其登記ヲ爲スコトヲ要ス
本籍分明ト爲リタル者カ本籍人ナリシトキハ前項ノ規定ニ依ラス更ニ本籍人身分登記簿ニ登記ヲ爲シ其登記及ヒ前登記ノ欄外ニ交互參看ノ符號ヲ附記スルコトヲ要ス
前二項ノ登記ヲ爲シタル後其者ノ本籍ニ付キ更ニ屆出又ハ報吿アリタルトキハ屆出又ハ報吿アリタルコト及ヒ其年月日ヲ登記ノ欄外ニ記載スルヲ以テ足ル
第二十七條 日本ノ國籍ヲ失ヒタル者カ國籍喪失ノ屆出ヲ爲ササリシトキハ戶籍吏ハ戶籍役場ノ所在地ヲ管轄スル區裁判所ノ許可ヲ得テ國籍喪失ノ登記ヲ爲スコトヲ要ス
第二十八條 登記ニハ第二十二條ニ規定シタルモノノ外左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
一 屆出又ハ申請ノ受附ノ年月日但他ノ戶籍吏又ハ官廳ヨリ屆書ノ送付ヲ受ケタル場合ニ於テハ發送者ノ官職、氏名及ヒ發送ノ年月日ヲ併記スルコトヲ要ス
二 報吿又ハ請求ノ發送及ヒ受附ノ年月日竝ニ報吿者又ハ請求者ノ官職、氏名
三 證書又ハ航海日誌ノ謄本ノ發送及ヒ受附ノ年月日竝ニ證書又ハ航海日誌ノ作製者及ヒ謄本發送者ノ官職、氏名
四 登記ヲ命シタル裁判ノ年月日及ヒ裁判所ノ名
第二十九條 登記ヲ爲スニハ略字又ハ符號ヲ用井ス字畫明瞭ナルコトヲ要ス
年月日時及ヒ年齡ヲ記スル數字ニハ一二三十ノ字ヲ用井スシテ壹貳參拾ノ字ヲ用ユルコトヲ要ス
文字ハ之ヲ改竄スルコトヲ得ス若シ訂正、挿入又ハ削除ヲ爲シタルトキハ其字數ヲ欄外ニ記載シ又ハ文字ノ前後ニ括弧ヲ附シ戶籍吏之ニ認印シ其削除ニ係ル文字ハ尙ホ明カニ讀得ヘキ爲メ字體ヲ存スルコトヲ要ス
第三十條 登記ハ特別ノ規定アル場合ヲ除ク外日次ヲ逐ヒ事件受附ノ順序ニ從ヒテ之ヲ爲シ一事件每ニ番號ヲ附シ用紙ニ空行ヲ存セス前後ノ登記ヲ接續セシムルコトヲ要ス
第三十一條 戶籍吏ハ登記ヲ爲シタル每ニ其文末ニ認印スルコトヲ要ス
第三十二條 欄外登記ヲ爲スヘキ場合ニ於テ用紙ニ餘白ナキトキハ掛紙ヲ以テ之ニ充ツルコトヲ得此場合ニ於テハ戶籍吏ハ職印ヲ以テ掛紙ト本紙トニ契印ヲ爲スコトヲ要ス
第三十三條 被登記者ノ本籍カ屆出ニ因リテ戶籍吏ノ管轄ヨリ他ノ戶籍吏ノ管轄ニ轉屬スル場合ニ於テハ戶籍吏ハ登記ヲ爲シタル後遲滯ナク屆書ノ正本ヲ新管轄ノ戶籍吏ニ送付スルコトヲ要ス
被登記者ノ本籍カ他ノ戶籍吏ノ管轄ヨリ戶籍吏ノ管轄ニ轉屬スル場合ニ於テハ戶籍吏ハ登記ヲ爲シタル後遲滯ナク屆書ノ副本ヲ舊管轄ノ戶籍吏ニ送付スルコトヲ要ス
第三十四條 被登記者ノ本籍カ屆出ヲ受ケタル戶籍吏ノ管轄以外ニ於テ一ノ戶籍吏ノ管轄ヨリ他ノ戶籍吏ノ管轄ニ轉屬スル場合ニ於テハ其屆出ヲ受ケタル戶籍吏ハ登記ヲ爲シタル後遲滯ナク屆書ノ正本ヲ新管轄ノ戶籍吏ニ送付シ其副本ノ一通ヲ舊管轄ノ戶籍吏ニ送付スルコトヲ要ス
第三十五條 前二條ノ場合ヲ除ク外被登記者ノ本籍カ戶籍吏ノ管轄ニ屬セサルトキハ戶籍吏ハ登記ヲ爲シタル後遲滯ナク屆書ノ正本ヲ管轄戶籍吏ニ送付スルコトヲ要ス
第三十六條 第三十三條及ヒ第三十四條ノ規定ハ屆出以外ノ事由ニ因リ被登記者ノ本籍カ移轉スル場合ニ之ヲ準用ス
前項ノ場合ニ於テハ戶籍吏ハ其受附ケタル書面ノ謄本ヲ作リ其謄本ヲ以テ屆書ノ副本ニ代フルコトヲ要ス屆出以外ノ事由ニ因リ登記ヲ爲シタル場合ニ於テ被登記者ノ本籍カ戶籍吏ノ管轄ニ屬セサルトキ亦同シ
第三十七條 登記ヲ爲シタルトキハ屆書其他登記ニ關シテ受附ケタル書類ニ登記ノ番號及ヒ年月日ヲ記載シ登記簿ノ區別ニ從ヒ各別ニ之ヲ編綴シ且之ニ目錄ヲ附スルコトヲ要ス
第三十八條 前條ノ書類ハ一个月每ニ遲滯ナク之ヲ監督區裁判所ニ送付シ監督區裁判所ハ之ヲ保存スルコトヲ要ス
書類ヲ保存スヘキ期間ハ司法大臣之ヲ定ム
第三十九條 戶籍吏ハ登記ヲ爲シタル每ニ登記ヲ爲スト同一ノ手續ニ依リ遲滯ナク其全文ヲ登記簿ノ副本ニ謄寫スルコトヲ要ス
登記簿ノ副本ヲ地方裁判所ニ送付シタル後欄外登記ヲ爲シタル場合ニ於テハ戶籍吏ハ遲滯ナク其登記ノ謄本ヲ作リ職氏名ヲ署シ職印ヲ押捺シ之ヲ地方裁判所ニ送付スルコトヲ要ス
地方裁判所長ハ前項ノ規定ニ依リ送付ヲ受ケタル登記ノ謄本ヲ登記簿ノ副本中相當登記ノ欄外ニ貼付シ職印ヲ以テ謄本ト本紙トニ契印ヲ爲スコトヲ要ス
第四十條 登記ヲ爲シタル後其登記ニ付キ錯誤又ハ遺漏アルコトヲ發見シタルトキハ戶籍吏ハ遲滯ナク之ヲ屆出人又ハ登記事件ノ本人ニ通知スルコトヲ要ス
第四十一條 戶籍吏ハ每年末ニ於テ最終登記ノ次行ニ終結ノ旨ヲ記載シ職氏名ヲ署シ職印ヲ押捺スルコトヲ要ス
前項ノ規定ハ最終登記ヲ爲ス前登記簿ノ用紙ヲ用井盡シタル場合ニ之ヲ準用ス
第四章 身分ニ關スル屆出
第一節 通則
第四十二條 身分ニ關スル屆出ハ其屆出人ノ本籍地ノ戶籍吏ニ之ヲ爲スコトヲ要ス但其屆出人カ本籍地外ニ在ル場合ニ於テハ其所在地ノ戶籍吏ニ屆出ヲ爲スコトヲ得
屆出人カ本籍ヲ有セサルトキハ其屆出ニ關シテハ所在地ヲ以テ本籍地ト看做ス
第四十三條 屆出ハ書面ヲ以テ之ヲ爲スコトヲ要ス但正當ノ事由アルトキハ屆出人ハ戶籍吏ニ其理由ヲ陳述シ口頭ニテ屆出ヲ爲スコトヲ得
第四十四條 屆書ニハ左ノ事項ヲ記載シ屆出人之ニ署名、捺印スルコトヲ要ス
一 屆出事件
二 屆出ノ年月日
三 屆出人ノ族稱、職業、出生ノ年月日及ヒ本籍地
第四十五條 屆出人ト屆出事件ノ本人ト異ナルトキハ屆書ニ其間ノ續柄ヲ記載スルコトヲ要ス
屆出人カ家族ナルトキハ屆書ニ戶主ノ氏名及ヒ屆出人ト戶主トノ續柄ヲ記載スルコトヲ要ス
第四十六條 屆出ヲ爲スヘキ者カ未成年者又ハ禁治產者ナルトキハ親權ヲ行フ者又ハ後見人ヲ以テ屆出義務者トス
前項ノ場合ニ於テハ屆出人ハ屆書ニ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
一 屆出ヲ爲スヘキ者ノ氏名、族稱、出生ノ年月日及ヒ本籍地
二 無能力ノ原因
三 屆出人カ親權ヲ行フ者又ハ後見人タルコト
第四十七條 前條ノ規定ハ無能力者カ其法定代理人ノ同意ヲ得スシテ爲スコトヲ得ヘキ行爲ノ屆出ニハ之ヲ適用セス
禁治產者カ屆出ヲ爲ス場合ニ於テハ屆書ニ屆出人カ屆出事件ノ性質及ヒ效果ヲ理會スルニ足ルヘキ能力ヲ有スル者ナルコトヲ證スヘキ醫師ノ診斷書ヲ添フルコトヲ要ス
第四十八條 證人ヲ要スル事件ノ屆出ニ付テハ證人ハ屆書ニ其證人タルコト、出生ノ年月日、職業及ヒ本籍地ヲ記載シテ署名、捺印スルコトヲ要ス
第四十九條 屆出人、屆出事件ノ本人又ハ屆出ノ證人カ本籍地外ニ在ルトキハ屆書ニ其所在地ヲ記載スルコトヲ要ス
第五十條 本法ノ規定ニ依リ屆書ニ記載スヘキ事項中其事實ノ存セサルモノ又ハ知レサルモノアルトキハ其旨ヲ記載スルコトヲ要ス但戶籍吏ハ各屆出事件ニ付キ特ニ重要ト認ムル事項ヲ記載セサル屆書ヲ受理スルコトヲ得ス
第五十一條 屆書ニハ本法其他ノ法令ニ定メタル事項ニ非サレハ之ヲ記載スルコトヲ得ス
第五十二條 第二十九條ノ規定ハ屆書ノ記載ニ之ヲ準用ス
第五十三條 本籍地ノ戶籍吏ノ管轄地外ニ於テ屆出ヲ爲ストキハ屆書ハ正副二本ヲ作ルコトヲ要ス
屆出ニ因リ一人又ハ數人ノ本籍カ一ノ家ヨリ他ノ家ニ移轉スル場合ニ於テ兩家ノ本籍地カ戶籍吏ノ管轄ヲ異ニスルトキハ屆書ハ正副二本ヲ作リ屆出地ト兩家ノ本籍地トカ各戶籍吏ノ管轄ヲ異ニスルトキハ正本一通副本二通ヲ作ルコトヲ要ス
第五十四條 口頭ヲ以テ屆出ヲ爲スニハ屆出人ハ戶籍吏ノ面前ニ出頭シ其屆出事件ヲ陳述シ戶籍吏ハ直チニ其口述竝ニ屆出ノ年月日、屆出人ノ氏名、出生ノ年月日、職業及ヒ本籍地ヲ筆記シ之ヲ屆出人ニ讀聞カセ且屆出人ヲシテ之ニ署名、捺印セシムルコトヲ要ス
第五十五條 前條ノ規定ニ依リテ戶籍吏カ作ルヘキ書面ニハ屆書ニ關スル規定ヲ準用ス
第五十六條 第四十三條、第五十四條及ヒ前條ノ規定ハ屆出事件ニ關スル同意、承諾又ハ承認ノ證明ニ之ヲ準用ス
第五十七條 本法ニ別段ノ規定アル場合ノ外法令ノ規定ニ依リ屆出事件ニ付キ官廳ノ許可ヲ要スルトキハ屆出人ハ屆書ニ許可書ノ謄本ヲ添フルコトヲ要ス
第五十八條 屆出人カ疾病其他ノ事故ニ因リ自ラ戶籍吏ノ面前ニ出頭スルコト能ハサルトキハ代理人ヲ差出タスコトヲ得
第五十九條 外國ニ在ル日本人ハ本法ノ規定ニ從ヒ其國ニ駐在スル日本ノ公使又ハ領事ニ屆出ヲ爲スコトヲ得
第六十條 外國ニ在ル日本人カ其國ノ法式ニ從ヒ屆出事件ニ關スル證書ヲ作ラシメタルトキハ三个月內ニ其國ニ駐在スル日本ノ公使又ハ領事ニ其證書ノ謄本ヲ差出タスコトヲ要ス
日本ノ公使又ハ領事カ其國ニ駐在セサルトキハ本人歸國ノ後一个月內ニ本籍地ノ戶籍吏ニ證書ノ謄本ヲ差出タスコトヲ要ス
第六十一條 前二條ノ規定ニ依リテ公使又ハ領事カ受取リタル屆書又ハ證書ノ謄本ハ其公使又ハ領事ヨリ三个月內ニ之ヲ外務大臣ニ發送シ外務大臣ハ十日內ニ之ヲ本人ノ本籍地ノ戶籍吏ニ發送スルコトヲ要ス
第六十二條 本法ニ定メタル屆出期間ハ屆出事件ノ發生シタル日ヨリ之ヲ起算ス
裁判確定ノ日ヨリ期間ヲ起算スヘキ場合ニ於テ屆出義務者カ裁判ノ送達又ハ交付ヲ受クル前裁判カ確定シタルトキハ其送達又ハ交付ヲ受ケタル日ヨリ之ヲ起算ス
第六十三條 本法ノ規定ニ依リ期間內ニ爲スヘキ屆出ヲ怠リタル爲メ過料ニ處セラレタル者アルトキハ裁判所ハ遲滯ナク其者カ屆出ヲ爲スヘキ地ノ戶籍吏ニ之ヲ通知スルコトヲ要ス但戶籍吏ヨリ旣ニ屆出ヲ受理シタル旨ノ通知アリタル場合ハ此限ニ在ラス
戶籍吏カ前項ノ通知ヲ受ケタルトキハ屆出義務者ニ對シ相當ノ期間ヲ定メ其期間內ニ屆出ヲ爲スヘキ旨ヲ催吿スルコトヲ要ス
屆出義務者カ前項ノ期間內ニ屆出ヲ爲ササルトキハ戶籍吏ハ更ニ相當ノ期間ヲ定メテ催吿ヲ爲スコトヲ要ス爾後屆出義務者カ戶籍吏ノ催吿ニ應セサルトキ亦同シ
第六十四條 戶籍吏カ其管轄內ニ本法ノ規定ニ違反シテ屆出ヲ爲ササル者アルコトヲ知リタルトキハ遲滯ナク之ヲ其事件ノ管轄裁判所ニ通知スルコトヲ要ス
第六十五條 屆出期間ヲ經過シタル後ニ屆出ヲ爲シタル場合ト雖モ戶籍吏ハ其屆出ヲ受理スルコトヲ要ス
第六十六條 屆出人ハ手數料ヲ納付シテ屆出受理ノ證明書ヲ請求スルコトヲ得
第六十七條 屆出ニ關スル規定ハ登記ノ取消又ハ變更ノ申請ニ之ヲ準用ス
第二節 出生
第六十八條 子ノ出生アリタルトキハ十日內ニ左ノ諸件ヲ具シテ之ヲ屆出ツルコトヲ要ス
一 子ノ名及ヒ男女ノ別
二 子カ私生子ナルトキ又ハ出生前ニ認知セラレタル爲メ庶子ト爲リタル者ナルトキハ其旨
三 出生ノ年月日時及ヒ場所
四 父母ノ氏名、族稱、職業及ヒ本籍地但私生子ノ屆出ニ付テハ母ノ氏名、族稱、職業及ヒ本籍地ノミヲ記載スルコトヲ要ス
五 出生子ノ入ルヘキ家ノ戶主ノ氏名、族稱、職業及ヒ本籍地
六 出生子カ一家ヲ創立スル者ナルトキハ其旨及ヒ創立ノ原因
七 國籍ヲ有セサル者ノ子ナルトキハ其旨
第六十九條 嫡出子出生ノ屆出ハ出生地又ハ父母ノ本籍地若クハ寄留地ノ戶籍吏ニ之ヲ爲スコトヲ要ス
庶子出生ノ屆出ハ出生地又ハ父ノ本籍地若クハ寄留地ノ戶籍吏ニ之ヲ爲スコトヲ要ス但庶子カ父ノ家ニ入ルコトヲ得サル場合ハ此限ニ在ラス
私生子又ハ父ノ家ニ入ルコトヲ得サル庶子ノ出生ノ屆出ハ出生地又ハ母ノ本籍地若クハ寄留地ノ戶籍吏ニ之ヲ爲スコトヲ要ス
第七十條 汽車又ハ航海日誌ヲ備ヘサル船舶中ニテ出生アリタル場合ニ於テハ其屆出ニ付テハ到著地ヲ以テ出生地ト看做ス
第七十一條 嫡出子出生ノ屆出ハ父ヨリ之ヲ爲シ父カ屆出ヲ爲スコト能ハサル場合及ヒ民法第七百三十四條第一項、第二項但書ノ場合ニ於テハ母ヨリ之ヲ爲スコトヲ要ス
庶子出生ノ屆出ハ父ヨリ之ヲ爲シ私生子出生ノ屆出ハ母ヨリ之ヲ爲スコトヲ要ス
前二項ニ揭ケタル者ヨリ屆出ヲ爲スコト能ハサル場合ニ於テハ左ニ揭ケタル者ハ其順序ニ從ヒ屆出ヲ爲ス義務ヲ負フ
第一 戶主
第二 同居者
第三 分娩ニ立會ヒタル醫師又ハ產婆
第四 分娩ヲ介抱シタル者
同順位ノ屆出義務者數人アルトキハ其中ノ一人ヨリ屆出ヲ爲スヲ以テ足ル
第七十二條 夫ハ妻ノ子ノ嫡出ナルコトヲ否認セントスル場合ト雖モ前條第一項ノ規定ニ依リ出生ノ屆出ヲ爲スコトヲ要ス
第七十三條 民法第八百二十一條ノ規定ニ依リ裁判所カ出生子ノ父ヲ定ムヘキトキハ出生ノ屆出ハ母ヨリ之ヲ爲スコトヲ要ス此場合ニ於テハ其屆書ニ父ノ未定ナル事由ヲ記載スルコトヲ要ス
父カ裁判ニ依リテ定マリタルトキハ其父ハ裁判確定ノ日ヨリ一个月內ニ第六十八條ニ揭ケタル諸件ヲ具シ裁判ノ謄本ヲ添ヘテ屆出ヲ爲シ且第一項ノ屆出ニ依リテ爲シタル登記ノ取消ヲ申請スルコトヲ要ス
第七十四條 病院、監獄其他ノ公設所ニ於テ子ノ出生アリタル場合ニ於テ父又ハ母ヨリ屆出ヲ爲スコト能ハサルトキハ病院、監獄又ハ其他ノ公設所ノ長若クハ管理人ヨリ出生ノ屆出ヲ爲スコトヲ要ス
第七十五條 棄兒ヲ發見シタル者ハ二十四時內ニ其旨ヲ戶籍吏ニ屆出ツルコトヲ要ス
棄兒發見ノ屆出アリタルトキハ戶籍吏ハ其兒ニ氏名ヲ命シ且之ニ附屬スル衣服、物品、發見ノ場所、年月日時其他ノ景況竝ニ其兒ノ出生ノ推定年月、氏名、男女ノ別、引受人ノ氏名、職業、本籍地及ヒ所在地又ハ育兒院ノ稱號竝ニ場所及ヒ引渡ノ年月日ヲ調書ニ記載シテ之ヲ屆書ニ添ヘ置クコトヲ要ス
引受人又ハ育兒院ニ變換アリタルトキハ雙方ヨリ十日內ニ其旨ヲ屆出ツルコトヲ要ス
第二項ノ調書ハ登記ニ付テハ之ヲ屆書ト看做ス
第七十六條 棄兒ノ父又ハ母カ現出シテ其兒ヲ引取ルトキハ一个月內ニ第六十八條ノ屆出ヲ爲シ且棄兒發見ノ登記ノ取消ヲ申請スルコトヲ要ス
第七十七條 出生又ハ棄兒發見ノ屆出ヲ爲ササル前出生子又ハ棄兒カ死亡シタルトキハ出生又ハ棄兒發見及ヒ死亡ノ屆出ヲ爲スコトヲ要ス
第七十八條 航海中ニ子ノ出生アリタルトキハ艦長又ハ船長ハ二十四時內ニ乘船者中ヨリ選ミタル證人ノ前ニ於テ第六十八條ニ揭ケタル諸件ヲ航海日誌ニ記載シ證人ト共ニ署名、捺印シ且證人ノ出生ノ年月日、職業及ヒ本籍地ヲ記載スルコトヲ要ス
前項ノ手續ヲ爲シタル後艦船カ日本ノ港ニ著シタルトキハ艦長又ハ船長ハ二十四時內ニ其出生ニ關スル航海日誌ノ謄本ヲ其地ノ戶籍吏ニ送付スルコトヲ要ス
艦船カ外國ノ港ニ著シタルトキハ艦長又ハ船長ハ遲滯ナク其出生ニ關スル航海日誌ノ謄本ヲ其國ニ駐在スル日本ノ公使又ハ領事ニ送付シ公使又ハ領事ハ三个月內ニ之ヲ外務大臣ニ發送シ外務大臣ハ十日內ニ之ヲ父母ノ本籍地ノ戶籍吏ニ發送スルコトヲ要ス
第三節 嫡出子否認
第七十九條 嫡出子否認ノ裁判カ確定シタルトキハ否認者ハ裁判確定ノ日ヨリ一个月內ニ左ノ諸件ヲ具シ裁判ノ謄本ヲ添ヘテ之ヲ屆出テ且旣ニ出生ノ登記ヲ爲シタル者ニ付テハ登記ノ變更ヲ申請スルコトヲ要ス
一 子ノ名及ヒ男女ノ別
二 出生ノ年月日
三 否認ノ裁判カ確定シタル年月日
第四節 私生子認知
第八十條 私生子認知ノ屆書ニハ左ノ諸件ヲ記載スルコトヲ要ス
一 子ノ名及ヒ男女ノ別
二 出生ノ年月日
三 死亡シタル子ヲ認知スル場合ニ於テハ死亡ノ年月日
四 父カ認知ヲ爲ス場合ニ於テハ母ノ氏名、職業及ヒ本籍地
前項第四號ノ場合ニ於テ母カ家族ナルトキハ其戶主ノ氏名、職業、本籍地及ヒ其戶主ト母トノ續柄ヲ記載スルコトヲ要ス
第八十一條 民法第八百三十一條第一項ノ規定ニ依リテ認知ヲ爲ス場合ニ於テハ認知者ハ母ノ氏名、職業及ヒ本籍地ヲ具シテ其胎內ニ在ル子ヲ認知スル旨ヲ屆出ツルコトヲ要ス
第八十二條 民法第八百三十條及ヒ第八百三十一條ノ規定ニ依リ子、母又ハ直系卑屬ノ承諾ヲ要スル場合ニ於テハ屆出人ハ屆書ニ承諾ノ證書ヲ添ヘ又ハ承諾ヲ爲シタル者ヲシテ屆書ニ承諾ノ旨ヲ附記シ之ニ署名、捺印セシムルコトヲ要ス
第八十三條 遺言ニ依リテ認知ヲ爲シタル場合ニ於テハ遺言執行者ハ遺言カ效力ヲ生シタル日ヨリ十日內ニ其認知ニ關スル遺言ノ謄本ヲ添ヘ前三條ノ規定ニ從ヒテ之ヲ屆出ツルコトヲ要ス
遺言ニ依ル認知ノ屆書ニハ認知者ノ死亡ノ年月日ヲ記載スルコトヲ要ス
第八十四條 胎內ニテ認知セラレタル子カ死體ニテ分娩シタルトキハ出生屆出義務者ハ其事實ヲ知リタル日ヨリ一个月內ニ認知ノ登記ノ取消ヲ申請スルコトヲ要ス但遺言執行者カ認知ノ屆出ヲ爲シタル場合ニ於テハ遺言執行者ヨリ登記ノ取消ヲ申請スルコトヲ要ス
第五節 養子緣組
第八十五條 緣組ノ屆書ニハ左ノ諸件ヲ記載スルコトヲ要ス
一 當事者ノ氏名、出生ノ年月日、職業及ヒ本籍地
二 養子ノ實父母ノ氏名、職業及ヒ本籍地
三 當事者カ家族ナルトキハ戶主ノ氏名、職業及ヒ本籍地
養子カ婚家又ハ養家ヨリ更ニ緣組ニ因リテ他家ニ入ル場合ニ於テハ前項ニ揭ケタル事項ノ外婚家ノ戶主又ハ前養親ノ氏名、職業及ヒ本籍地ヲ記載スルコトヲ要ス
第八十六條 民法第八百四十三條ノ規定ニ依リテ緣組ノ承諾ヲ爲シタル者ハ養子ニ代ハリテ緣組ノ屆出ヲ爲スコトヲ要ス
第八十七條 民法第七百四十一條第一項、第七百五十條第一項、第八百四十一條第二項及ヒ第八百四十三條乃至第八百四十六條ノ規定ニ依リ戶主、父母、配偶者、後見人又ハ親族會ノ同意ヲ要スル場合ニ於テハ屆出人ハ屆書ニ同意ノ證書ヲ添ヘ又ハ同意ヲ爲シタル者ヲシテ屆書ニ同意ノ旨ヲ附記シ之ニ署名、捺印セシムルコトヲ要ス
第八十八條 民法第八百四十二條ノ規定ニ依リ配偶者ノ一方カ雙方ノ名義ヲ以テ緣組ヲ爲ス場合ニ於テハ屆出人ハ屆書ニ其事由ヲ記載スルコトヲ要ス
第八十九條 民法第八百四十八條ノ規定ニ依リ緣組ノ屆出ヲ爲ストキハ屆書ニ第八十五條ニ揭ケタル諸件及ヒ遺言者ノ死亡ノ年月日ヲ記載シ且之ニ養子ニ關スル遺言ノ謄本ヲ添フルコトヲ要ス
第九十條 緣組ノ屆出ハ養親ノ本籍地又ハ所在地ノ戶籍吏ニ之ヲ爲スコトヲ要ス
第九十一條 緣組カ無效ナルトキハ屆出人ハ其無效ナル事由ノ證明書ヲ提出シテ登記ノ取消ヲ申請スルコトヲ要ス
第九十二條 緣組ノ無效又ハ取消ノ裁判カ確定シタルトキハ其訴ヲ提起シタル者ハ裁判確定ノ日ヨリ一个月內ニ裁判ノ謄本ヲ提出シテ登記ノ取消ヲ申請スルコトヲ要ス
第九十三條 第八十五條及ヒ第八十七條乃至第八十九條ノ規定ハ口頭ヲ以テ屆出ヲ爲ス場合ニ之ヲ準用ス
第九十四條 第五十八條ノ規定ハ緣組ノ屆出ニハ之ヲ適用セス
第六節 養子離緣
第九十五條 離緣ノ屆書ニハ左ノ諸件ヲ記載スルコトヲ要ス
一 當事者ノ氏名、職業及ヒ本籍地
二 養子ノ實父母ノ氏名、職業及ヒ本籍地
三 當事者カ家族ナルトキハ戶主ノ氏名、職業及ヒ本籍地
四 緣組ノ年月日
五 離緣カ協議又ハ裁判ニ因ルコト
六 養子ノ妻カ養子ト共ニ養家ヲ去ルトキハ其旨及ヒ妻ノ名
七 養子カ復籍スヘキ家ノ戶主ノ氏名、職業及ヒ本籍地
八 養子カ復籍スヘキ家ナキトキハ其事由
第九十六條 民法第八百六十二條第二項ノ規定ニ依リテ離緣ヲ爲ス場合ニ於テハ養親及ヒ養子ニ代ハリテ協議ヲ爲シタル者ヨリ屆出ヲ爲スコトヲ要ス
第九十七條 民法第八百六十二條第三項ノ規定ニ依リテ離緣ヲ爲ス場合ニ於テハ養子ヨリ屆出ヲ爲スヲ以テ足ル
第九十八條 民法第八百六十二條第三項及ヒ第八百六十三條ノ規定ニ依リ戶主、父母、後見人又ハ親族會ノ同意ヲ要スル場合ニ於テハ屆出人ハ屆書ニ同意ノ證書ヲ添ヘ又ハ同意ヲ爲シタル者ヲシテ屆書ニ同意ノ旨ヲ附記シ之ニ署名、捺印セシムルコトヲ要ス
第九十九條 離緣ノ裁判カ確定シタルトキハ其訴ヲ提起シタル者ハ裁判確定ノ日ヨリ十日內ニ裁判ノ謄本ヲ添ヘテ屆出ヲ爲スコトヲ要ス
第百條 第九十五條及ヒ第九十八條ノ規定ハ口頭ヲ以テ屆出ヲ爲ス場合ニ之ヲ準用ス
第百一條 第五十八條ノ規定ハ離緣ノ屆出ニハ之ヲ適用セス
第七節 婚姻
第百二條 婚姻ノ屆書ニハ左ノ諸件ヲ記載スルコトヲ要ス
一 當事者ノ氏名、出生ノ年月日及ヒ本籍地
二 父母ノ氏名、職業及ヒ本籍地
三 當事者カ家族ナルトキハ戶主ノ氏名、職業及ヒ本籍地
四 入夫婚姻又ハ壻養子緣組ナルトキハ其旨
五 入夫婚姻ノ場合ニ於テ入夫カ戶主ト爲ラサルトキハ其旨
六 婚姻ニ因リテ嫡出子タル身分ヲ取得スル庶子アルトキハ其名及ヒ出生ノ年月日
當事者ノ一方カ婚家又ハ養家ヨリ更ニ婚姻ニ因リテ他家ニ入ル場合ニ於テハ前項ニ揭ケタル事項ノ外前婚家ノ戶主又ハ養親ノ氏名、職業及ヒ本籍地ヲ記載スルコトヲ要ス
第百三條 民法第七百四十一條第一項、第七百五十條第一項、第七百七十二條及ヒ第七百七十三條ノ規定ニ依リ戶主、父母、後見人又ハ親族會ノ同意ヲ要スル場合ニ於テハ屆出人ハ屆書ニ同意ノ證書ヲ添ヘ又ハ同意ヲ爲シタル者ヲシテ屆書ニ同意ノ旨ヲ附記シ之ニ署名、捺印セシムルコトヲ要ス
第百四條 婚姻ノ屆出ハ夫ノ本籍地又ハ所在地ノ戶籍吏ニ之ヲ爲スコトヲ要ス但入夫婚姻及ヒ壻養子緣組ナルトキハ妻ノ本籍地又ハ所在地ニ於テ其屆出ヲ爲スコトヲ要ス
第百五條 婚姻カ無效ナルトキハ屆出人ハ其無效ナル事由ノ證明書ヲ提出シテ登記ノ取消ヲ申請スルコトヲ要ス
第百六條 婚姻ノ無效又ハ取消ノ裁判カ確定シタルトキハ其訴ヲ提起シタル者ハ裁判確定ノ日ヨリ一个月內ニ裁判ノ謄本ヲ提出シテ登記ノ取消ヲ申請スルコトヲ要ス
檢事カ訴ヲ提起シタル場合ニ於テハ前項ノ規定ニ從ヒ檢事ヨリ登記ノ取消ヲ請求スルコトヲ要ス
第百七條 第百二條及ヒ第百三條ノ規定ハ口頭ヲ以テ屆出ヲ爲ス場合ニ之ヲ準用ス
第百八條 第五十八條ノ規定ハ婚姻ノ屆出ニハ之ヲ適用セス
第八節 離婚
第百九條 離婚ノ屆書ニハ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
一 當事者ノ氏名、職業及ヒ本籍地
二 父母ノ氏名、職業及ヒ本籍地
三 當事者カ家族ナルトキハ戶主ノ氏名、職業及ヒ本籍地
四 婚姻ノ年月日
五 離婚カ協議又ハ裁判ニ因ルコト
六 當事者カ復籍スヘキ家ノ戶主ノ氏名、職業及ヒ本籍地
七 當事者カ復籍スヘキ家ナキトキハ其事由
第百十條 民法第八百九條ノ規定ニ依リ父母、後見人又ハ親族會ノ同意ヲ要スル場合ニ於テハ屆出人ハ屆書ニ同意ノ證書ヲ添ヘ又ハ同意ヲ爲シタル者ヲシテ屆書ニ同意ノ旨ヲ附記シ之ニ署名、捺印セシムルコトヲ要ス
第百十一條 離婚ノ裁判カ確定シタルトキハ其訴ヲ提起シタル者ハ裁判確定ノ日ヨリ十日內ニ裁判ノ謄本ヲ添ヘテ屆出ヲ爲スコトヲ要ス
第百十二條 第百九條及ヒ第百十條ノ規定ハ口頭ヲ以テ屆出ヲ爲ス場合ニ之ヲ準用ス
第百十三條 第五十八條ノ規定ハ離婚ノ屆出ニハ之ヲ適用セス
第九節 後見
第百十四條 後見ノ開始アリタルトキハ後見人ハ就職ノ日ヨリ十日內ニ左ノ諸件ヲ具シテ之ヲ屆出ツルコトヲ要ス
一 後見人ノ氏名、出生ノ年月日、職業、本籍地及ヒ住所
二 被後見人ノ氏名、出生ノ年月日、職業及ヒ本籍地
三 被後見人カ家族ナルトキハ戶主ノ氏名、職業及ヒ本籍地
四 後見開始ノ原因及ヒ年月日
五 後見人就職ノ年月日
第百十五條 後見人ノ更迭アリタルトキハ後任ノ後見人ハ其就職ノ日ヨリ十日內ニ前條ニ揭ケタル諸件及ヒ前任者ノ氏名ヲ具シテ之ヲ屆出ツルコトヲ要ス
第百十六條 後見人カ遺言ヲ以テ指定セラレタル者ナルトキハ屆書ニ其指定ニ關スル遺言ノ謄本ヲ添フルコトヲ要ス
後見人カ親族會ニ於テ選任セラレタル者ナルトキハ屆書ニ其選任ニ關スル證明書ヲ添フルコトヲ要ス
第百十七條 後見人ノ任務カ終了シタルトキハ後見人ハ十日內ニ左ノ諸件ヲ具シテ之ヲ屆出ツルコトヲ要ス
一 被後見人ノ氏名、出生ノ年月日、職業及ヒ本籍地
二 就職ノ年月日
三 任務終了ノ原因及ヒ年月日
後見人ノ任務カ其死亡ニ因リテ終了シタルトキハ前項ノ屆出ハ後見監督人ヨリ之ヲ爲スコトヲ要ス
第百十八條 後見ニ關スル屆出ハ被後見人ノ本籍地又ハ所在地ノ戶籍吏ニ之ヲ爲スコトヲ要ス
第十節 隱居
第百十九條 隱居ノ屆書ニハ左ノ諸件ヲ記載スルコトヲ要ス
一 隱居者ノ氏名、族稱、出生ノ年月日、職業及ヒ本籍地
二 家督相續人ノ名、出生ノ年月日、職業及ヒ家督相續人ト隱居者トノ續柄
三 隱居ノ原因
第百二十條 裁判所ノ許可ヲ得テ隱居ヲ爲ス場合ニ於テハ屆出人ハ屆書ニ裁判ノ謄本ヲ添フルコトヲ要ス
第百二十一條 隱居ノ屆出人ハ屆書ニ家督相續人ノ承認ノ證書ヲ添ヘ又ハ承認ヲ爲シタル者ヲシテ屆書ニ其旨ヲ附記シ之ニ署名、捺印セシムルコトヲ要ス
前項ノ規定ハ民法第七百五十五條第二項ノ規定ニ依リ夫ノ同意ヲ要スル場合ノ屆出ニ之ヲ準用ス
第百二十二條 隱居ノ取消ノ裁判カ確定シタルトキハ其訴ヲ提起シタル者ハ裁判確定ノ日ヨリ一个月內ニ裁判ノ謄本ヲ提出シテ登記ノ取消ヲ申請スルコトヲ要ス
第百六條第二項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第十一節 失踪
第百二十三條 失踪ノ宣吿アリタルトキハ其宣吿ヲ請求シタル者ハ裁判確定ノ日ヨリ十日內ニ左ノ諸件ヲ具シ裁判ノ謄本ヲ添ヘテ之ヲ屆出ツルコトヲ要ス
一 失踪者ノ氏名、出生ノ年月日、職業及ヒ本籍地
二 失踪ノ宣吿アリタル年月日
三 失踪者カ家族ナルトキハ戶主ノ氏名、族稱及ヒ戶主ト失踪者トノ續柄
第百二十四條 失踪ノ宣吿ノ取消アリタルトキハ其取消ヲ請求シタル者ハ裁判確定ノ日ヨリ一个月內ニ裁判ノ謄本ヲ提出シテ登記ノ取消ヲ申請スルコトヲ要ス
第十二節 死亡
第百二十五條 死亡者アリタルトキハ屆出義務者カ其死亡ヲ知リタル日ヨリ五日內ニ左ノ諸件ヲ具シ醫師ノ診斷書若クハ檢案書又ハ警察官ノ檢視調書ノ謄本ヲ添ヘテ之ヲ屆出ツルコトヲ要ス
一 死亡者ノ氏名、出生ノ年月日、男女ノ別及ヒ本籍地
二 死亡ノ年月日時及ヒ場所
三 死亡者カ家族ナルトキハ戶主ノ氏名、族稱及ヒ戶主ト死亡者トノ續柄
前項ノ屆出期間ハ衞生ノ爲メ特別ノ必要アルトキハ命令ヲ以テ之ヲ短縮スルコトヲ得
第百二十六條 左ニ揭ケタル者ハ其順序ニ從ヒ死亡ノ屆出ヲ爲ス義務ヲ負フ
第一 戶主
第二 同居者
第三 家主、地主又ハ土地若クハ家屋ノ管理人
同順位ノ屆出義務者數人アルトキハ其中ノ一人ヨリ屆出ヲ爲スヲ以テ足ル
第百二十七條 死亡ノ屆出ハ死亡地又ハ死亡者ノ本籍地若クハ寄留地ノ戶籍吏ニ之ヲ爲スコトヲ要ス
第百二十八條 第七十條及ヒ第七十四條ノ規定ハ死亡ノ屆出ニ之ヲ準用ス
第百二十九條 死刑ノ執行アリタルトキハ監獄ノ長ハ遲滯ナク第百二十五條ニ揭ケタル諸件ヲ具シ監獄所在地ノ戶籍吏ニ死亡ノ報吿ヲ爲スコトヲ要ス
前項ノ規定ハ在監中死亡シタル者アリテ死體ノ引取人ナキ場合ニ之ヲ準用ス此場合ニ於テハ報吿書ニ醫師ノ診斷書又ハ檢案書ヲ添フルコトヲ要ス
第百三十條 航海中ニ死亡者アリタルトキハ艦長又ハ船長ハ二十四時內ニ乘船者中ヨリ選ミタル證人ノ前ニ於テ第百二十五條ニ揭ケタル諸件ヲ航海日誌ニ記載シ證人ト共ニ署名、捺印シ且證人ノ出生ノ年月日、職業及ヒ本籍地ヲ記載スルコトヲ要ス
前項ノ手續ヲ爲シタル後艦船カ日本ノ港ニ著シタルトキハ艦長又ハ船長ハ二十四時內ニ死亡ニ關スル航海日誌ノ謄本ヲ其地ノ戶籍吏ニ送付スルコトヲ要ス
艦船カ外國ノ港ニ著シタルトキハ艦長又ハ船長ハ遲滯ナク死亡ニ關スル航海日誌ノ謄本ヲ其國ニ駐在スル日本ノ公使又ハ領事ニ送付シ公使又ハ領事ハ三个月內ニ之ヲ外務大臣ニ發送シ外務大臣ハ十日內ニ之ヲ死亡者ノ本籍地ノ戶籍吏ニ發送スルコトヲ要ス
第百三十一條 艦船ノ難破ニ因リテ乘組員及ヒ乘客ノ全部又ハ一部カ死亡シタルトキハ其難破ノ取調ヲ爲シタル官廳又ハ公署ハ死亡者ノ本籍地ノ戶籍吏ニ死亡ノ報吿ヲ爲スコトヲ要ス
第百三十二條 死亡者ノ本籍分明ナラス且其何人タルコトヲ認識スルコト能ハサルトキハ警察官ハ檢視調書ヲ作リ遲滯ナク之ヲ其地ノ戶籍吏ニ報吿スルコトヲ要ス
死亡者ノ本籍分明ナルニ至リ又ハ其何人タルコトヲ認識スルコトヲ得ルニ至リタルトキハ警察官ハ遲滯ナク前ニ報吿ヲ受ケタル戶籍吏ニ之ヲ報吿スルコトヲ要ス
第百二十六條第一項第一號及ヒ第二號ニ揭ケタル死亡屆出義務者カ前項ノ事實ヲ知リタルトキハ十日內ニ死亡ノ屆出ヲ爲スコトヲ要ス此場合ニ於テハ醫師ノ診斷書又ハ檢案書ニ代ヘ警察官ノ檢視調書ノ謄本ヲ添フルコトヲ得
第十三節 家督相續
第百三十三條 家督相續ニ因リテ戶主ト爲リタル者ハ其事實ヲ知リタル日ヨリ一个月內ニ左ノ諸件ヲ具シ之ヲ被相續人ノ本籍地ノ戶籍吏ニ屆出ツルコトヲ要ス
一 家督相續ノ原因及ヒ戶主ト爲リタル年月日
二 前戶主ノ名及ヒ前戶主ト家督相續人トノ續柄
家督相續人カ外國ニ在ル場合ニ於テハ前項ノ屆出ハ三个月內ニ屆書ヲ發送スルヲ以テ足ル
第百三十四條 家督相續囘復ノ裁判カ確定シタルトキハ相續權ヲ囘復シタル者ハ裁判確定ノ日ヨリ一个月內ニ前條ニ揭ケタル諸件ヲ具シ裁判ノ謄本ヲ添ヘテ之ヲ屆出テ且前ニ爲シタル家督相續ノ登記ノ取消ヲ申請スルコトヲ要ス
第百三十五條 家督相續人カ胎兒ナルトキハ其母ハ相續ノ開始アリタルコトヲ知リタル日ヨリ一个月內ニ左ノ諸件ヲ具シ醫師ノ診斷書ヲ添ヘテ家督相續ノ屆出ヲ爲スコトヲ要ス
一 相續開始ノ年月日
二 家督相續人ノ胎兒ナルコト
三 前戶主ノ名及ヒ前戶主ト家督相續人トノ續柄
第百三十三條第二項ノ規定ハ前項ノ屆出ニ之ヲ準用ス
第百三十六條 胎兒ヲ家督相續人トシテ屆出テタル場合ニ於テ其胎兒カ死體ニテ生レタルトキハ母ハ出產ノ日ヨリ一个月內ニ醫師又ハ出產ニ立會ヒタル產婆ノ檢案書ヲ提出シテ家督相續ノ登記ノ取消ヲ申請スルコトヲ要ス
母カ登記取消ノ申請ヲ爲ササルトキハ家督相續人ハ其事實ヲ知リタル日ヨリ一个月內ニ登記ノ取消ヲ申請スルコトヲ要ス
第十四節 推定家督相續人ノ廢除
第百三十七條 推定家督相續人廢除ノ裁判カ確定シタルトキハ被相續人ハ裁判確定ノ日ヨリ十日內ニ左ノ諸件ヲ具シ裁判ノ謄本ヲ添ヘテ之ヲ屆出ツルコトヲ要ス
一 廢除セラレタル者ノ名、出生ノ年月日及ヒ職業
二 廢除ノ原因
三 廢除ノ裁判カ確定シタル年月日
第百三十八條 被相續人カ遺言ヲ以テ推定家督相續人ヲ廢除スル意思ヲ表示シタル場合ニ於テ廢除ノ裁判カ確定シタルトキハ前條ノ屆出ハ遺言執行者ヨリ之ヲ爲スコトヲ要ス
前項ノ場合ニ於テハ屆書ニ被相續人ノ死亡ノ年月日ヲ記載スルコトヲ要ス
第百三十九條 推定家督相續人廢除ノ取消ノ裁判カ確定シタルトキハ其取消ヲ請求シタル者ハ裁判確定ノ日ヨリ一个月內ニ裁判ノ謄本ヲ提出シテ登記ノ取消ヲ申請スルコトヲ要ス
第十五節 家督相續人ノ指定
第百四十條 家督相續人指定ノ屆書ニハ左ノ諸件ヲ記載スルコトヲ要ス
一 指定家督相續人タルヘキ者ノ氏名、族稱、出生ノ年月日、職業及ヒ本籍地
二 法定ノ推定家督相續人ナキコト
第百四十一條 民法第九百八十一條ノ規定ニ依リテ家督相續人指定ノ屆出ヲ爲ストキハ屆書ニ前條ニ揭ケタル諸件及ヒ被相續人ノ死亡ノ年月日ヲ記載シ且之ニ其指定ニ關スル遺言ノ謄本ヲ添フルコトヲ要ス
第百四十二條 家督相續人指定ノ取消ノ屆書ニハ左ノ諸件ヲ記載スルコトヲ要ス
一 指定家督相續人ノ氏名、族稱、出生ノ年月日、職業及ヒ本籍地
二 指定ノ年月日
第百四十三條 家督相續人指定ノ取消ノ屆出ヲ爲ス者ハ同時ニ家督相續人指定ノ登記ノ取消ヲ申請スルコトヲ要ス
第百四十四條 民法第九百八十一條ノ規定ニ依リテ指定ノ取消ノ屆出ヲ爲ス場合ニ於テハ前二條ノ規定ニ依ル外屆書ニ被相續人ノ死亡ノ年月日ヲ記載シ且之ニ指定ノ取消ニ關スル遺言ノ謄本ヲ添フルコトヲ要ス
第百四十五條 家督相續人ノ指定カ其效力ヲ失ヒタルトキハ指定ヲ爲シタル者ハ其事實ヲ知リタル日ヨリ一个月內ニ其效力ヲ失ヒタル事由ノ證明書ヲ提出シテ登記ノ取消ヲ申請スルコトヲ要ス
第十六節 入籍、離籍及ヒ復籍拒絕
第百四十六條 民法第七百三十五條第一項若クハ第七百三十七條ノ規定ニ依リ他家ノ家族ト爲ラント欲スル者又ハ民法第七百三十八條ノ規定ニ依リ自己ノ親族ヲ婚家、養家又ハ自家ノ家族ト爲サント欲スル者ハ左ノ諸件ヲ具シテ入籍ノ屆出ヲ爲スコトヲ要ス
一 入籍スヘキ家ノ戶主ノ氏名、出生ノ年月日、職業及ヒ本籍地
二 入籍スヘキ家ノ戶主又ハ家族ト入籍スヘキ者トノ親族關係
三 入籍スヘキ者カ廢家シテ他家ニ入ルトキハ其旨
四 入籍スヘキ者カ家族ナルトキハ其去ルヘキ家ノ戶主ノ氏名、出生ノ年月日、職業、本籍地及ヒ其戶主ト入籍スヘキ者トノ續柄
第百四十七條 民法第七百三十五條第一項、第七百三十七條及ヒ第七百三十八條ノ規定ニ依リ戶主、配偶者、養親、親權ヲ行フ者又ハ後見人ノ同意ヲ要スル場合ニ於テハ屆出人ハ屆書ニ同意ノ證書ヲ添ヘ又ハ同意ヲ爲シタル者ヲシテ屆書ニ同意ノ旨ヲ附記シ之ニ署名、捺印セシムルコトヲ要ス
第百四十八條 戶主カ其家族ヲ離籍セント欲スルトキハ左ノ諸件ヲ具シテ之ヲ屆出ツルコトヲ要ス
一 離籍セラルヘキ者ノ氏名、出生ノ年月日及ヒ職業
二 離籍ノ原因及ヒ其原因發生ノ年月日
三 離籍セラルヘキ者ト共ニ家ヲ去ルヘキ者アルトキハ其名、出生ノ年月日、職業及ヒ其者ト離籍セラルヘキ者トノ續柄
第百四十九條 離籍ニ因リテ一家ヲ創立シタル者ハ其事實ヲ知リタル日ヨリ十日內ニ左ノ諸件ヲ具シテ其旨ヲ屆出ツルコトヲ要ス
一 離籍ヲ爲シタル戶主ノ氏名、出生ノ年月日、職業及ヒ本籍地
二 離籍ヲ爲シタル戶主ト屆出人トノ續柄
三 離籍ノ原因及ヒ年月日
四 屆出人ノ家ニ入ルヘキ者アルトキハ其名、出生ノ年月日、職業及ヒ其者ト屆出人トノ續柄
第百五十條 戶主カ其家族タリシ者ノ復籍ヲ拒マント欲スルトキハ左ノ諸件ヲ具シテ之ヲ屆出ツルコトヲ要ス
一 復籍ヲ拒マルヘキ者ノ氏名、出生ノ年月日、職業及ヒ本籍地
二 復籍ヲ拒マルヘキ者カ家族ナルトキハ戶主ノ氏名、出生ノ年月日、職業及ヒ本籍地
三 復籍拒絕ノ原因及ヒ其原因發生ノ年月日
第百五十一條 復籍拒絕又ハ復籍スヘキ家ノ廢絕ニ因リテ復籍ヲ爲スコト能ハサル者カ一家ヲ創立シタルトキハ其事實ヲ知リタル日ヨリ十日內ニ左ノ諸件ヲ具シテ其旨ヲ屆出ツルコトヲ要ス
一 復籍ヲ拒ミタル戶主又ハ廢絕シタル家ノ最終ノ戶主ノ氏名、出生ノ年月日、職業及ヒ本籍地
二 復籍拒絕又ハ復籍スヘキ家ノ廢絕ノ原因及ヒ年月日
三 屆出人ノ家ニ入ルヘキ者アルトキハ其名、出生ノ年月日、職業及ヒ其者ト屆出人トノ續柄
第十七節 廢家及ヒ絕家
第百五十二條 廢家ヲ爲サント欲スル者ハ左ノ諸件ヲ具シ家督相續ニ因リテ戶主ト爲リタル者ニ非サルコトノ證明書又ハ廢家ノ許可ニ關スル裁判ノ謄本ヲ添ヘテ之ヲ屆出ツルコトヲ要ス
一 廢家シタル者カ入ルヘキ家ノ戶主ノ氏名、出生ノ年月日、職業及ヒ本籍地
二 廢家シタル者ニ隨ヒテ他家ニ入ル者ノ名、出生ノ年月日及ヒ職業
第百五十三條 絕家ノ家族ニシテ一家ヲ創立シタル者ハ其事實ヲ知リタル日ヨリ十日內ニ左ノ諸件ヲ具シテ絕家及ヒ一家創立ノ屆出ヲ爲スコトヲ要ス
一 絕家ノ最終ノ戶主ノ氏名、出生ノ年月日、職業及ヒ本籍地
二 絕家ノ原因及ヒ年月日
三 一家ヲ創立シタル者ニ隨ヒテ其家ニ入ル者ノ名、出生ノ年月日及ヒ職業
第十八節 分家及ヒ廢絕家再興
第百五十四條 分家ヲ爲サント欲スル者ハ左ノ諸件ヲ具シテ之ヲ屆出ツルコトヲ要ス
一 分家ノ戶主ト爲ルヘキ者ノ氏名、出生ノ年月日、職業及ヒ本籍地
二 本家ノ戶主ノ氏名、職業、本籍地及ヒ其戶主ト分家ノ戶主ト爲ルヘキ者トノ續柄
三 分家ノ家族ト爲ルヘキ者アルトキハ其名、出生ノ年月日及ヒ職業
四 分家ノ戶主及ヒ家族ト爲ルヘキ者ノ父母ノ氏名、職業及ヒ本籍地
第百五十五條 廢絕家ヲ再興セント欲スル者ハ左ノ諸件ヲ具シテ之ヲ屆出ツルコトヲ要ス
一 廢絕家ノ最終ノ戶主ノ氏名、職業及ヒ本籍地
二 廢絕ノ原因及ヒ年月日
三 廢絕シタル家ト再興ヲ爲ス者ノ家トノ續柄
四 再興ヲ爲ス者ノ戶主ノ氏名、出生ノ年月日、職業及ヒ本籍地
五 再興ヲ爲ス者ニ隨ヒテ其家ニ入ルヘキ者ノ名、出生ノ年月日及ヒ職業
第百五十六條 分家又ハ廢絕家再興ノ屆出人ハ屆書ニ戶主ノ同意ノ證書ヲ添ヘ又ハ戶主ヲシテ屆書ニ同意ノ旨ヲ附記シ之ニ署名、捺印セシムルコトヲ要ス
前項ノ規定ハ民法第七百四十三條但書ノ規定ニ依リ親權ヲ行フ者又ハ後見人ノ同意ヲ要スル場合ニ之ヲ準用ス
第十九節 國籍ノ得喪
第百五十七條 外國人カ婚姻又ハ養子緣組ニ因リテ日本ノ國籍ヲ取得スヘキトキハ婚姻又ハ緣組ノ屆出人ハ屆書ニ國籍取得者ノ原國籍ヲ記載スルコトヲ要ス
入夫婚姻又ハ養子緣組ノ場合ニ於テハ前項ノ規定ニ依ル外屆書ニ內務大臣ノ許可書ノ謄本ヲ添フルコトヲ要ス
第百五十八條 外國人カ認知ニ因リテ日本ノ國籍ヲ取得スヘキトキハ認知者ハ認知ノ屆書ニ子ノ原國籍ヲ記載スルコトヲ要ス
子ノ母カ外國人ナルトキハ認知者ハ屆書ニ母ノ國籍ヲ記載スルコトヲ要ス
第百五十九條 歸化ヲ爲シタル者ハ歸化ノ許可ヲ受ケタル日ヨリ十日內ニ左ノ諸件ヲ具シ內務大臣ノ許可書ノ謄本ヲ添ヘテ之ヲ屆出ツルコトヲ要ス
一 歸化人ノ氏名、出生ノ年月日、職業、住所及ヒ原國籍
二 父母ノ氏名、出生ノ年月日、職業及ヒ國籍
三 歸化人ト共ニ日本ノ國籍ヲ取得シタル者アルトキハ其名、出生ノ年月日、職業及ヒ其者ト歸化人トノ續柄
四 許可ノ年月日
歸化人ノ妻又ハ子カ歸化人ト共ニ日本ノ國籍ヲ取得セサルトキハ屆書ニ其事由ヲ記載スルコトヲ要ス
第百六十條 日本ノ國籍ヲ失フヘキ者ハ其國籍喪失前ニ左ノ諸件ヲ具シテ之ヲ屆出ツルコトヲ要ス
一 國籍喪失ノ原因
二 國籍喪失ノ期日ヲ知リ得ヘキトキハ其年月日
三 法定ノ推定家督相續人アルトキハ其名、出生ノ年月日、職業及ヒ其者ト屆出人トノ續柄
四 新ニ取得スヘキ國籍
五 屆出人ノ妻又ハ子カ共ニ國籍ヲ失フヘキトキハ其妻又ハ子ノ名、出生ノ年月日及ヒ職業
第百六十一條 日本ノ國籍ヲ失ヒタル者カ國籍喪失前ニ前條ノ屆出ヲ爲スコト能ハサリシトキハ國籍喪失後十日內ニ之ヲ爲スコトヲ要ス
前項ノ規定ハ國籍喪失者カ日本ニ住所又ハ居所ヲ有セサルトキハ之ヲ適用セス
第百六十二條 日本ノ國籍ヲ失フヘキ者カ滿十七年以上ノ男子ナルトキハ國籍喪失ノ屆出人ハ屆書ニ其者カ旣ニ陸海軍ノ現役ニ服シタルコト又ハ之ニ服スル義務ナキコトノ證明書ヲ添フルコトヲ要ス
日本ノ國籍ヲ失フヘキ者カ官職ヲ帶フル者ナルトキハ國籍喪失ノ屆出人ハ屆書ニ所屬長官ノ許可書ノ謄本ヲ添フルコトヲ要ス
第百六十三條 日本ノ國籍ヲ囘復シタル者ハ國籍囘復ノ許可ヲ得タル日ヨリ十日內ニ左ノ諸件ヲ具シ內務大臣ノ許可書ノ謄本ヲ添ヘテ之ヲ屆出ツルコトヲ要ス
一 日本ノ國籍ヲ失ヒタル原因及ヒ年月日
二 國籍囘復前ニ有セシ國籍
三 國籍囘復ノ許可ヲ得タル年月日
四 國籍囘復者ト共ニ日本ノ國籍ヲ取得シ又ハ之ヲ囘復シタル者アルトキハ其名、出生ノ年月日、職業及ヒ其者ト國籍囘復者トノ續柄
第二十節 氏名及ヒ族稱ノ變更
第百六十四條 氏ヲ復舊シ又ハ名ヲ改稱シタル者ハ十日內ニ左ノ諸件ヲ具シ管轄官廳ノ許可書ノ謄本ヲ添ヘテ之ヲ屆出ツルコトヲ要ス
一 復舊又ハ改稱前ノ氏名
二 復舊シタル氏又ハ改稱シタル名
三 復舊又ハ改稱ノ原因及ヒ許可ノ年月日
第百六十五條 新ニ華族ニ列セラレ又ハ華士族ノ稱ヲ失ヒタル者ハ十日內ニ左ノ諸件ヲ具シ辭令書又ハ管轄官廳ノ許可書ノ謄本ヲ添ヘテ之ヲ屆出ツルコトヲ要ス
一 新舊族稱
二 族稱變更ノ原因
三 族稱變更ノ辭令又ハ許可アリタル年月日
前項ノ屆出ハ其族稱ニ變更アリタル者カ家族ナルトキハ戶主ヨリ之ヲ爲スコトヲ要ス
第百六十六條 前條ノ規定ハ分家、廢絕家再興又ハ處刑ニ因リテ族稱ヲ失ヒタル者ニハ之ヲ適用セス但處刑ニ因リテ族稱ヲ失ヒタル場合ニ於テハ裁判所ハ其者ノ本籍地ノ戶籍吏ニ其旨ヲ報吿スルコトヲ要ス
第二十一節 身分登記ノ變更
第百六十七條 身分登記ノ變更ヲ請求セント欲スル者ハ原登記ヲ爲シタル戶籍役場ノ所在地ヲ管轄スル區裁判所ノ許可ヲ得テ其申請ヲ爲スコトヲ要ス
第百六十八條 身分登記變更ノ申請ハ許可ノ裁判カ確定シタル日ヨリ一个月內ニ左ノ諸件ヲ具シ裁判ノ謄本ヲ添ヘテ原登記ヲ爲シタル戶籍吏ニ之ヲ爲スコトヲ要ス
一 原登記ノ件名及ヒ年月日
二 變更スヘキ事項
第百六十九條 前條ノ規定ハ確定判決ニ依リテ身分登記ノ變更ヲ申請スル場合ニ之ヲ準用ス
第五章 戶籍簿
第百七十條 戶籍ハ戶籍吏ノ管轄地內ニ本籍ヲ定メタル者ニ付キ之ヲ編製ス
日本ノ國籍ヲ有セサル者ハ本籍ヲ定ムルコトヲ得ス
第百七十一條 戶籍ハ地番號ノ順序ニ從ヒ之ヲ編綴シテ帳簿ト爲ス
戶籍吏ノ管轄地內ニ各別ニ地番號ヲ附シタル二個以上ノ區畫アル場合ニ於テハ其區畫ノ順序ハ戶籍吏之ヲ定ム
第百七十二條 戶籍簿ハ正副二本ヲ設ク
戶籍簿ノ正本ハ之ヲ戶籍役場ニ備ヘ其副本ハ監督區裁判所ヲ管轄スル地方裁判所之ヲ保存ス
第百七十三條 家督相續、廢絕家其他ノ事由ニ因リ戶籍ノ全部ヲ抹消シタルモノハ之ヲ戶籍簿ヨリ除キ別ニ編綴シテ帳簿ト爲シ之ヲ戶籍役場ニ保存ス
前項ノ帳簿ヲ保存スヘキ期間ハ司法大臣之ヲ定ム
第百七十四條 第十二條乃至第十四條ノ規定ハ戶籍簿竝ニ戶籍ノ謄本及ヒ抄本ニ之ヲ準用ス
第六章 戶籍ノ記載手續
第百七十五條 戶籍ハ一戶每ニ一本ヲ作ル
第百七十六條 戶籍ニハ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
一 戶主、前戶主、及ヒ家族ノ氏名
二 戶主ノ族稱及ヒ本籍地但家族ト戶主ト族稱ヲ異ニスル場合ニ於テハ家族ニ付テモ其族稱ヲ記載スルコトヲ要ス
三 戶主及ヒ家族ノ出生ノ年月日
四 戶主又ハ家族ト爲リタル原因及ヒ年月日但出生ニ因リテ家族ト爲リタル者ニ付テハ此記載ヲ要セス
五 戶主竝ニ家族ノ父母ノ氏名及ヒ其父母ト戶主又ハ家族トノ續柄
六 戶主ト前戶主トノ續柄及ヒ家族ト戶主トノ續柄但家族ノ中他家ヨリ入リテ他ノ家族ノ配偶者ト爲リタル者又ハ他ノ家族ヲ經テ戶主トノ親族關係ヲ有スル者ニ付テハ其者ト戶主トノ續柄ノ外他ノ家族トノ續柄ヲ記載スルコトヲ要ス
七 他家ヨリ入リテ戶主又ハ家族ト爲リタル者ニ付テハ其原籍地、原籍ノ戶主ノ氏名、族稱及ヒ其戶主ト戶主又ハ家族ト爲リタル者トノ續柄
八 他家ヨリ入リテ家族ト爲リタル者ニシテ他ノ家族トノミ親族關係ヲ有スル者ニ付テハ其者ト他ノ家族トノ續柄
九 戶主又ハ家族ノ身分ノ變更及ヒ其原因竝ニ年月日
十 後見人アル者ニ付テハ後見人ノ氏名、住所及ヒ後見人ノ就職竝ニ任務終了ノ年月日
第百七十七條 戶主及ヒ家族ノ氏名ヲ戶籍ニ記載スルニハ左ノ順序ニ依ル
第一 戶主
第二 戶主ノ直系尊屬
第三 戶主ノ配偶者
第四 戶主ノ直系卑屬及ヒ其配偶者
第五 戶主ノ傍系親及ヒ其配偶者
第六 戶主ノ親族ニ非サル者
直系尊屬ノ間ニ在リテハ親等ノ遠キ者ヲ先ニシ直系卑屬又ハ傍系親ノ間ニ在リテハ親等ノ近キ者ヲ先ニス
直系尊屬、直系卑屬又ハ傍系親ノ間ニ在リテ親等ノ同シキ者ハ親族間ノ順位ニ依リ親族間ノ順位ノ同シキ者ハ出生ノ前後ニ依リテ其順序ヲ定ム
前二項ノ規定ハ戶主ノ親族ニ非サル者ノ記載ニ之ヲ準用ス
第百七十八條 戶籍吏カ身分登記ヲ爲シ又ハ戶籍ニ關スル屆出ヲ受理シタルトキハ次條以下ノ規定ニ從ヒテ戶籍ノ記載ヲ爲スコトヲ要ス
第百七十九條 家督相續又ハ家督相續囘復ノ登記ヲ爲シタルトキハ其登記及ヒ前戶主又ハ戶主ノ名義ヲ有セシ者ノ戶籍ニ基キテ新戶主ノ戶籍ヲ編製スルコトヲ要ス
前項ノ場合ニ於テハ前戶主又ハ戶主ノ名義ヲ有セシ者ノ戶籍ニ事由ヲ記載シテ其戶籍ヲ抹消シ且其戶籍ト新戶主ノ戶籍トニ職印ヲ以テ契印ヲ爲スコトヲ要ス
胎兒カ家督相續人ナル場合ニ於テハ其出生ニ至ルマテ前二項ノ手續ヲ爲スコトヲ要セス此場合ニ於テハ前戶主ノ戶籍中戶主ニ關スル部分ノミヲ抹消シ家督相續人ノ胎兒ナル旨ヲ記載スルコトヲ要ス
第百八十條 分家、廢絕家再興其他新ニ家ヲ立ツヘキ事件ノ登記ヲ爲シ又ハ轉籍若クハ無籍戶主ノ就籍ノ屆出ヲ受理シタルトキハ其登記又ハ屆出ニ基キテ戶籍ヲ編製シ轉籍屆書ノ副本ハ遲滯ナク之ヲ舊管轄ノ戶籍吏ニ送付スルコトヲ要ス
前項ノ規定ニ依リテ戶籍ヲ編製スルニハ第百七十六條ニ揭ケタル事項ノ外各場合ニ付キ特殊ナル事項ヲ記載スルコトヲ要ス
第百八十一條 復籍拒絕ノ登記ヲ爲シタルトキハ復籍ヲ拒絕シタル者ノ戶籍ニ登記ノ要旨ヲ記載スルコトヲ要ス
第百八十二條 廢絕家ノ登記ヲ爲シタルトキハ最終戶主ノ戶籍ニ事由ヲ記載シテ其戶籍ヲ抹消スルコトヲ要ス
第百八十三條 單身戶主ノ死亡又ハ失踪ノ登記ヲ爲シタル場合ニ於テ其家ニ家督相續人ナキコト分明ナルトキハ戶籍吏ハ戶籍役場ノ所在地ヲ管轄スル區裁判所ノ許可ヲ得テ死亡者又ハ失踪者ノ戶籍ニ絕家ノ原因及ヒ年月日ヲ記載シテ其戶籍ヲ抹消スルコトヲ要ス
第百八十四條 戶籍吏ノ管轄地內ニ於ケル本籍地變更ノ屆出ヲ受理シタルトキハ事由ヲ戶籍ニ記載シ舊本籍地ニ關スル記載ヲ抹消シ新本籍地ヲ記載スルコトヲ要ス
第百八十五條 前六條ノ場合ヲ除ク外身分登記ヲ爲シ又ハ戶籍ニ關スル屆出ヲ受理シタルトキハ其登記又ハ屆出ニ基キ第百七十六條ニ揭ケタル事項ヲ戶籍ニ記載スルコトヲ要ス
前項ノ場合ニ於テ第百八十條第二項ノ規定ニ依リテ戶籍ニ記載シタル事項ノ變更アルトキハ其變更ヲ記載スルコトヲ要ス
第百八十六條 戶籍ヲ編製シタル後一人又ハ數人ヲ戶籍ニ入ルヘキトキハ第百七十七條ノ順序ニ拘ハラス戶籍ノ末尾ニ之ヲ記載スルコトヲ得
第百八十七條 一戶ノ全員又ハ一戶內ノ一人若クハ數人ヲ戶籍ヨリ除クヘキトキハ事由ヲ戶籍ニ記載シテ戶籍ノ全部又ハ一部ヲ抹消スルコトヲ要ス
第百八十八條 入籍ノ手續ヲ爲ス場合ニ於テ入籍ヲ爲スヘキ者ノ本籍カ他ノ戶籍吏ノ管轄ヨリ戶籍吏ノ管轄ニ轉屬スルモノナルトキハ身分ニ關スル屆書其他ノ書類又ハ戶籍ニ關スル屆書ヲ送付スルト同時ニ入籍ヲ爲シタル旨ヲ舊管轄ノ戶籍吏ニ通知スルコトヲ要ス
第百八十九條 除籍ノ手續ヲ爲スヘキ場合ニ於テ除籍ヲ爲スヘキ者ノ本籍カ戶籍吏ノ管轄ヨリ他ノ戶籍吏ノ管轄ニ轉屬スルモノナルトキハ新管轄ノ戶籍吏ヨリ入籍ヲ爲シタル旨ノ通知ヲ受ケタル後其通知ノ發送及ヒ受附ノ年月日ヲ戶籍ニ記載シテ除籍ノ手續ヲ爲スコトヲ要ス
轉籍ニ因リテ除籍ヲ爲スヘキ場合ニ於テハ前項ニ揭ケタル事項ノ外轉籍地及ヒ轉籍ノ年月日ヲ記載スルコトヲ要ス
第百九十條 身分登記又ハ戶籍ニ關スル屆出ニ基キテ戶籍ノ記載ヲ爲ス場合ニ於テハ前十一條ニ規定シタル事項ノ外身分ニ關スル屆書其他ノ書類又ハ戶籍ニ關スル屆書ノ受附年月日ヲ記載スルコトヲ要ス
第百九十一條 第十八條、第二十九條及ヒ第三十一條ノ規定ハ戶籍ノ記載ニ之ヲ準用ス
第百九十二條 戶籍用紙中ノ一部分ヲ用井盡シタルトキハ掛紙ヲ以テ用紙ニ充ツルコトヲ得
掛紙ヲ爲シタルトキハ戶籍吏ハ職印ヲ以テ掛紙ト本紙トニ契印ヲ爲スコトヲ要ス
第百九十三條 行政區畫、土地ノ名稱又ハ地番號ノ變更アリタルトキハ戶籍ニ記載シタル區畫、名稱又ハ番號ハ當然之ヲ改正シタルモノト看做ス
第百九十四條 第百七十九條及ヒ第百八十條ノ規定ニ依リテ戶籍ヲ編製シタルトキハ戶籍吏ハ遲滯ナク其副本ヲ監督區裁判所ヲ管轄スル地方裁判所ニ送付スルコトヲ要ス
第七章 戶籍ニ關スル屆出
第百九十五條 戶籍吏ノ管轄地外ニ本籍ヲ轉セント欲スルトキハ戶主ヨリ左ノ諸件ヲ具シ戶籍ノ謄本ヲ添ヘテ之ヲ轉籍地ノ戶籍吏ニ屆出ツルコトヲ要ス
一 轉籍者ノ氏名、出生ノ年月日及ヒ職業
二 原籍地及ヒ轉籍地
前項ノ屆書ハ正副二本ヲ作ルコトヲ要ス
第百九十六條 戶籍吏ノ管轄地內ニ於テ本籍地ヲ變更セント欲スルトキハ戶主ヨリ原籍地及ヒ新本籍地ヲ具シテ其旨ヲ戶籍吏ニ屆出ツルコトヲ要ス
第百九十七條 屆出ノ闕漏其他ノ事由ニ因リ本籍ヲ有セス又ハ複本籍ヲ有スル者ハ就籍又ハ除籍ノ屆出ヲ爲サントスル戶籍役場ノ所在地ヲ管轄スル區裁判所ノ許可ヲ得テ其屆出ヲ爲スコトヲ要ス
第百九十八條 就籍ノ屆出ハ許可ノ裁判カ確定シタル日ヨリ十日內ニ左ノ諸件ヲ具シ裁判ノ謄本ヲ添ヘテ就籍スヘキ地ノ戶籍吏ニ之ヲ爲スコトヲ要ス
一 就籍スヘキ者ノ氏名、族稱、出生ノ年月日時、職業及ヒ就籍スヘキ地
二 就籍スヘキ者ノ父母ノ氏名及ヒ其者ト父母トノ續柄
三 本籍ヲ有セサリシ原因
四 就籍スヘキ者カ前ニ本籍ヲ有セシトキハ其舊本籍地
五 就籍スヘキ者カ戶主ナルトキハ其旨
六 就籍スヘキ者カ家族ナルトキハ戶主ノ氏名、族稱、職業及ヒ其者ト戶主トノ續柄
七 就籍スヘキ者カ戶主及ヒ家族ナルトキハ戶主、家族ノ別及ヒ家族ト戶主トノ續柄
八 就籍スヘキ者カ他家ヨリ入リテ戶主又ハ家族ト爲リタル者ナルトキハ其原籍地、原籍ノ戶主ノ氏名、族稱及ヒ其戶主ト就籍スヘキ者トノ續柄
前項第六號及ヒ第七號ノ場合ニ於テ就籍スヘキ家族カ他家ヨリ入リテ他ノ家族ノ配偶者ト爲リタル者ナルトキ又ハ他ノ家族ヲ經テ戶主トノ親族關係ヲ有スル者ナルトキハ屆書ニ其者ト戶主トノ續柄ノ外他ノ家族トノ續柄ヲ記載シ若シ他ノ家族トノミ親族關係ヲ有スル者ナルトキハ其者ト他ノ家族トノ續柄ノミヲ記載スルコトヲ要ス
第百九十九條 除籍ノ屆出ハ許可ノ裁判カ確定シタル日ヨリ十日內ニ左ノ諸件ヲ具シ裁判ノ謄本ヲ添ヘテ除籍スヘキ地ノ戶籍吏ニ之ヲ爲スコトヲ要ス
一 除籍スヘキ者ノ氏名、族稱、職業、本籍地及ヒ複本籍地
二 複本籍ヲ有セル原因
三 除籍スヘキ者カ本籍ト複本籍トニ於テ身分ヲ異ニスルトキハ本籍竝ニ複本籍ニ於ケル身分及ヒ其身分ノ異ナル原因
第二百條 就籍又ハ除籍スヘキ者カ家族ナルトキ又ハ戶主及ヒ家族ナルトキハ前二條ノ屆出ハ戶主ヨリ之ヲ爲スコトヲ要ス
第二百一條 第百九十八條及ヒ第百九十九條ノ規定ハ確定判決ニ依リテ就籍又ハ除籍ノ屆出ヲ爲ス場合ニ之ヲ準用ス
第二百二條 第四十三條、第四十四條、第四十六條、第四十九條乃至第五十二條、第五十四條、第五十五條、第五十八條及ヒ第六十二條乃至第六十六條ノ規定ハ本章ノ屆出ニ之ヲ準用ス
第八章 抗吿
第二百三條 身分登記又ハ戶籍ニ關スル事件ニ付キ戶籍吏ノ處分ヲ不當トスル者ハ戶籍役場ノ所在地ヲ管轄スル區裁判所ニ抗吿ヲ爲スコトヲ得
第二百四條 抗吿ハ管轄區裁判所ニ抗吿狀ヲ差出シテ之ヲ爲ス
抗吿狀ニハ屆書又ハ申請書及ヒ其他ノ關係書類ヲ添フルコトヲ要ス
第二百五條 抗吿ヲ受ケタル裁判所ハ抗吿ニ關スル書類ヲ戶籍吏ニ送付シテ其意見ヲ求ムルコトヲ要ス
第二百六條 戶籍吏ハ抗吿ヲ理由アリト認ムルトキハ處分ヲ變更シテ其旨ヲ裁判所及ヒ抗吿人ニ通知スルコトヲ要ス
抗吿ヲ理由ナシト認ムルトキハ其意見ヲ附シ送付ヲ受ケタル書類ヲ五日內ニ裁判所ニ返還スルコトヲ要ス
第二百七條 裁判所ハ抗吿ヲ理由ナシトスルトキハ之ヲ却下シ其理由アリトスルトキハ戶籍吏ニ相當ノ處分ヲ命スルコトヲ要ス
抗吿ヲ却下シ又ハ處分ヲ命スル裁判ハ決定ヲ以テ之ヲ爲シ之ヲ戶籍吏及ヒ抗吿人ニ送達スルコトヲ要ス
第二百八條 裁判所ノ決定ニ對シテハ法律ニ違背シタル裁判ナルコトヲ理由トスルトキニ限リ民事訴訟法ノ規定ニ從ヒテ抗吿ヲ爲スコトヲ得
第二百九條 抗吿ノ費用ニ付テハ非訟事件手續法ノ規定ヲ準用ス
第九章 罰則
第二百十條 本法ノ規定ニ依リ期間內ニ爲スヘキ屆出又ハ申請ヲ怠リタル者ハ十圓以下ノ過料ニ處セラル
第二百十一條 期間內ニ屆出又ハ申請ヲ爲ササルニ因リ戶籍吏カ期間ヲ定メテ屆出又ハ申請ノ催吿ヲ爲シタル場合ニ於テ尙ホ其屆出又ハ申請ヲ怠リタル者ハ二十圓以下ノ過料ニ處セラル二囘以上戶籍吏ノ催吿ニ應セサル者亦同シ
第二百十二條 戶籍吏ハ左ノ場合ニ於テハ三十圓以下ノ過料ニ處セラル
一 正當ノ理由ナクシテ身分又ハ戶籍ニ關スル屆出若クハ申請ヲ受理セサルトキ
二 身分登記又ハ戶籍ノ記載ヲ爲スコトヲ怠リタルトキ
第二百十三條 戶籍吏ハ左ノ場合ニ於テハ十圓以下ノ過料ニ處セラル
一 正當ノ理由ナクシテ身分登記簿又ハ戶籍簿ノ閱覽ヲ拒ミタルトキ
二 正當ノ理由ナクシテ身分登記又ハ戶籍ノ謄本若クハ抄本ヲ交付セス又ハ身分若クハ戶籍ニ關スル屆出又ハ申請ノ受理ノ證明書ヲ交付セサルトキ
第二百十四條 本章ニ定メタル過料ノ裁判ハ過料ニ處セラルヘキ者ノ住所又ハ居所ノ地ヲ管轄スル區裁判所之ヲ爲ス其裁判及ヒ裁判ノ執行ニ付テハ非訟事件手續法ノ規定ヲ準用ス
第二百十五條 自己又ハ他人ノ利ヲ圖リ若クハ他人ヲ害スル目的ヲ以テ身分又ハ戶籍ニ關シ詐僞ノ屆出若クハ申請ヲ爲シタル者ハ十一日以上四年以下ノ重禁錮又ハ二圓以上百圓以下ノ罰金ニ處セラル
附 則
第二百十六條 市町村長ヲ置カサル地ニ於テハ市町村長ノ職務ヲ行フ吏員ヲ以テ戶籍吏トシ其吏員ノ職務ヲ行フ役場ヲ以テ戶籍役場トス
市町村長ノ職務ヲ行フ吏員ノ事務ヲ代理スヘキ者ナキ地ニ在リテハ監督區裁判所ヲ管轄スル地方裁判所ノ長司法大臣ノ認可ヲ得テ豫メ其事務ヲ代理スヘキ者ヲ定ム
市參事會員其他戶籍吏ノ職務ヲ行フヘキ吏員ナキ地ニ於テ此等ノ者ニ代ハリテ戶籍吏ノ職務ヲ行フヘキ者モ亦前項ノ手續ニ依リテ之ヲ定ム
第二百十七條 本法ノ規定ニ依リテ納付スル手數料ハ之ヲ市町村ノ收入トス但國庫ヨリ戶籍役場ノ經費ヲ支辨スル地ニ在リテハ之ヲ國庫ノ收入トス
手數料ノ金額ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第二百十八條 本法ノ規定ニ依リ屆出人其他ノ者ノ署名、捺印ヲ要スル場合ニ於テ其者カ印ヲ有セサルトキハ署名スルヲ以テ足ル署名スルコト能ハサルトキハ名ヲ代署セシメ捺印スルヲ以テ足ル若シ署名スルコト能ハス且印ヲ有セサルトキハ名ヲ代署セシメ拇印スルヲ以テ足ル
前項ノ規定ニ依リ捺印セス又ハ名ヲ代署セシメ若クハ拇印シタル場合ニ於テハ書面ニ其事由ヲ附記スルコトヲ要ス
第二百十九條 明治三十一年十二月三十一日マテハ從前登記目錄トシテ備ヘタル帳簿ヲ以テ身分登記簿ニ代用スルコトヲ得
第二百二十條 登記目錄ノ册數又ハ紙數カ身分登記簿ニ代用スルニ足ラサル場合ニ於テハ明治三十一年十二月三十一日マテノ身分登記簿ニ限リ戶籍吏ハ第九條ノ規定ニ拘ハラス登記目錄ヲ作製スルト同一ノ手續ニ依リテ之ヲ作製スルコトヲ得
前項ノ規定ハ登記目錄ノ設ナカリシ地ノ身分登記簿ニ之ヲ準用ス
第二百二十一條 本法ノ規定ニ依リ戶籍ヲ改製スヘキ時期ハ各地又ハ一般ニ付キ司法大臣之ヲ定ム
本法施行後戶籍ノ記載ヲ爲シ又ハ新ニ戶籍ヲ編製スル場合ニ於テハ其記載又ハ編製ニ付テハ本法ノ規定ニ從フコトヲ要ス但記載ヲ要スル事項ニシテ其事實ヲ知ルコト能ハサルモノ又ハ從前ノ戶籍用紙中其事項ヲ記載スヘキ區畫ノ設ナキモノハ其記載ヲ省クコトヲ得
第二百二十二條 明治四年四月四日布吿戶籍法、明治十九年內務省令第十九號及ヒ同年內務省令第二十二號ハ寄留ニ關スル規定ヲ除ク外本法施行ノ日ヨリ之ヲ廢止シ其他ノ法令ニシテ本法ノ規定ニ牴觸シ又ハ重複スルモノハ同日ヨリ之ヲ廢止ス
寄留ニ關スル事務ノ監督ニ付テハ第五條ノ規定ヲ準用ス
第二百二十三條 本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル戸籍法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十一年六月十五日
内閣総理大臣 侯爵 伊藤博文
内務大臣 子爵 芳川顕正
司法大臣 曽祢荒助
法律第十二号
戸籍法
第一章
戸籍吏及ヒ戸籍役場
第二章
身分登記簿
第三章
登記手続
第四章
身分ニ関スル届出
第一節
通則
第二節
出生
第三節
嫡出子否認
第四節
私生子認知
第五節
養子縁組
第六節
養子離縁
第七節
婚姻
第八節
離婚
第九節
後見
第十節
隠居
第十一節
失踪
第十二節
死亡
第十三節
家督相続
第十四節
推定家督相続人ノ廃除
第十五節
家督相続人ノ指定
第十六節
入籍、離籍及ヒ復籍拒絶
第十七節
廃家及ヒ絶家
第十八節
分家及ヒ廃絶家再興
第十九節
国籍ノ得喪
第二十節
氏名及ヒ族称ノ変更
第二十一節
身分登記ノ変更
第五章
戸籍簿
第六章
戸籍ノ記載手続
第七章
戸籍ニ関スル届出
第八章
抗告
第九章
罰則
附則
戸籍法
第一章 戸籍吏及ヒ戸籍役場
第一条 戸籍及ヒ身分登記ニ関スル事務ハ戸籍吏之ヲ管掌シ戸籍役場ニ於テ之ヲ取扱フ
第二条 市町村長ヲ以テ戸籍吏トス但区ヲ置キタル市ニ於テハ区長ヲ以テ之ニ充ツルコトヲ得
第三条 戸籍吏又ハ之ト家ヲ同シクスル者ノ戸籍又ハ身分登記ニ関スル事件ニ付テハ市町村長又ハ区長ノ事務ヲ代理スヘキ者戸籍吏ノ職務ヲ行フ
戸籍吏又ハ之ト家ヲ同シクスル者ト前項ノ規定ニ依リ戸籍吏ノ職務ヲ行フヘキ者又ハ之ト家ヲ同シクスル者トノ戸籍又ハ身分登記ニ関スル事件ニ付テハ市ニ在リテハ市参事会員ノ一人、町村又ハ区ニ在リテハ他ノ吏員ノ上席者戸籍吏ノ職務ヲ行フ
第四条 戸籍役場ハ市役所又ハ町村役場ヲ以テ之ニ充ツ但区長ヲ以テ戸籍吏ニ充ツル場合ニ於テハ区役所ヲ以テ之ニ充ツ
第五条 戸籍及ヒ身分登記ニ関スル事務ハ戸籍役場ノ所在地ヲ管轄スル区裁判所ノ一人ノ判事又ハ監督判事之ヲ監督ス
戸籍及ヒ身分登記ニ関スル事務ノ監督ニ付テハ司法行政ノ監督ニ関スル規定ヲ準用ス
第六条 戸籍吏カ其職務ノ執行ニ付キ届出人其他ノ者ニ損害ヲ加ヘタルトキハ其損害カ戸籍吏ノ故意又ハ重大ナル過失ニ因リテ生シタル場合ニ限リ之ヲ賠償スル責ニ任ス
第二章 身分登記簿
第七条 身分登記簿ハ本籍人身分登記簿及ヒ非本籍人身分登記簿ノ二種トシ各正副二本ヲ備フ
各種ノ登記簿ハ第四章第二節乃至第二十一節ニ掲ケタル届出事件ノ区別ニ従ヒ各別冊ト為ス但便宜ニ依リ之ヲ合綴スルコトヲ得
第八条 身分登記簿ハ一年毎ニ之ヲ編製ス
第九条 戸籍吏ハ予メ翌年ノ身分登記簿ト為スヘキ帳簿ヲ作リ監督官ノ契印ヲ請フコトヲ要ス
監督官カ帳簿ノ送付ヲ受ケタルトキハ職印ヲ以テ毎葉ノ綴目ニ契印シ表紙ノ裏面ニ其枚数ヲ記シ職氏名ヲ署シ職印ヲ押捺シテ之ヲ戸籍吏ニ還付スルコトヲ要ス
第十条 身分登記簿ノ用紙カ不足ナルトキハ戸籍吏ハ更ニ帳簿ヲ作リテ契印ヲ請フコトヲ要ス
第十一条 身分登記簿ノ正本ハ永久ニ之ヲ戸籍役場ニ保存スルコトヲ要ス
登記ヲ終結シタル身分登記簿ノ副本ハ遅滞ナク之ヲ監督区裁判所ヲ管轄スル地方裁判所ニ納付スルコトヲ要ス
地方裁判所ハ其納付ヲ受ケタル身分登記簿ノ副本ヲ永久ニ保存スルコトヲ要ス
第十二条 身分登記簿ハ事変ヲ避クル為メニスル場合ヲ除ク外之ヲ戸籍役場外ニ持出スコトヲ得ス但登記ヲ終結シタル登記簿ニ付キ裁判所又ハ予審判事ノ命令アリタルトキハ此限ニ在ラス
第十三条 何人ト雖モ手数料ヲ納付シテ身分登記簿ノ閲覧又ハ登記ノ謄本若クハ抄本ノ交付ヲ請求スルコトヲ得
謄本又ハ抄本ノ交付ヲ請求スル者アルトキハ戸籍吏之ヲ作リ原本ト相違ナキ旨ヲ附記シ職氏名ヲ署シ職印ヲ押捺シテ之ヲ交付スルコトヲ要ス
手数料ノ外郵送料ヲ納付シテ謄本又ハ抄本ノ交付ヲ請求スル者アルトキハ戸籍吏之ヲ送付スルコトヲ要ス
戸籍吏カ閲覧又ハ交付ノ請求ヲ許ササル場合ニ於テハ書面ヲ以テ其旨ヲ請求者ニ告知スルコトヲ要ス
第十四条 身分登記簿ノ全部又ハ一部カ滅失シタルトキハ司法大臣ハ其旨ヲ告示シ且身分登記簿ノ再製又ハ補完ニ付キ必要ナル処分ヲ命スルコトヲ要ス
第三章 登記手続
第十五条 身分登記ハ左ノ場合ニ於テ之ヲ為ス
一 戸籍吏カ身分ニ関スル届出ヲ受ケ又ハ其届書ノ送付ヲ受ケタルトキ
二 戸籍吏カ身分ニ関スル報告ヲ受ケタルトキ
三 戸籍吏カ身分ニ関スル証書ノ謄本ヲ受ケ又ハ其謄本ノ送付ヲ受ケタルトキ
四 戸籍吏カ身分ニ関スル事項ヲ記載シタル航海日誌ノ謄本ノ送付ヲ受ケタルトキ
五 戸籍吏カ登記ノ取消又ハ変更ノ申請若クハ請求ヲ受ケタルトキ
六 戸籍吏カ登記ヲ為スヘキ旨ノ裁判ヲ受ケタルトキ
第十六条 前条ニ掲ケタル場合ト雖モ届出、送付其他ノ手続カ本法ノ規定ニ依リタルモノニ非サレハ登記ヲ為スコトヲ得ス
第十七条 登記ハ法律ニ特別ノ規定アル場合ヲ除ク外之ヲ取消シ又ハ之ヲ変更スルコトヲ得ス
第十八条 戸籍吏カ届出、報告其他登記ニ関スル書類ヲ受理シタルトキハ其書類ニ受附ノ番号及ヒ年月日ヲ記載シ遅滞ナク登記ノ手続ヲ為スコトヲ要ス
第十九条 登記ハ本籍人、非本籍人及ヒ登記ヲ為スヘキ事件ノ区別ニ従ヒ相当ノ登記簿ニ之ヲ為スコトヲ要ス
第二十条 被登記者ノ本籍カ届出其他ノ事由ニ因リ戸籍吏ノ管轄ニ帰シ又ハ其管轄ヲ離ルル場合ニ於テハ本籍人身分登記簿ニ登記ヲ為スコトヲ要ス
一箇ノ登記ニシテ本籍人及ヒ非本籍人ニ関スルトキハ同時ニ本籍人身分登記簿及ヒ非本籍人身分登記簿ニ登記ヲ為シ各登記ノ欄外ニ交互参看ノ符号ヲ附記スルコトヲ要ス
第二十一条 被登記者ノ本籍カ分明ナラサルトキハ非本籍人身分登記簿ニ登記ヲ為スコトヲ要ス
第二十二条 登記ニハ第四章ノ規定ニ依リ届出、報告、申請若クハ請求ヲ為シ又ハ航海日誌ノ謄本ニ記載シタル事項ヲ記載スルコトヲ要ス
証書ノ謄本ニ依リテ為ス登記ニハ其謄本ニ記載シタル事項ヲ記載スルコトヲ要ス
裁判ニ依リテ為ス登記ニハ其裁判ヲ以テ命セラレタル登記事項ヲ記載スルコトヲ要ス
第二十三条 登記ヲ為スヘキ事実カ第四章第二節乃至第二十一節ニ掲ケタル届出事件ノ二箇以上ニ渉ルトキハ各別ニ登記ヲ為スコトヲ要ス
前項ノ登記ニハ各登記ニ付キ必要ナル事項ノミヲ記載シ各登記ノ欄外ニ交互参看ノ符号ヲ附記スルコトヲ要ス
第二十四条 登記取消ノ登記ハ取消ノ申請又ハ請求ノ目的タル登記ノ欄外ニ之ヲ為シ原登記ヲ抹消スルコトヲ要ス
第二十五条 登記変更ノ登記ハ其目的タル登記ノ欄外ニ之ヲ為シ且其申請ノ基本タル裁判ノ趣旨ニ従ヒテ原登記ヲ変更スルコトヲ要ス
第二十六条 本籍分明ナラサル者ノ登記ヲ為シタル後其者ノ本籍カ分明ト為リタル旨ノ届出又ハ報告アリタルトキハ原登記ノ欄外ニ其登記ヲ為スコトヲ要ス
本籍分明ト為リタル者カ本籍人ナリシトキハ前項ノ規定ニ依ラス更ニ本籍人身分登記簿ニ登記ヲ為シ其登記及ヒ前登記ノ欄外ニ交互参看ノ符号ヲ附記スルコトヲ要ス
前二項ノ登記ヲ為シタル後其者ノ本籍ニ付キ更ニ届出又ハ報告アリタルトキハ届出又ハ報告アリタルコト及ヒ其年月日ヲ登記ノ欄外ニ記載スルヲ以テ足ル
第二十七条 日本ノ国籍ヲ失ヒタル者カ国籍喪失ノ届出ヲ為ササリシトキハ戸籍吏ハ戸籍役場ノ所在地ヲ管轄スル区裁判所ノ許可ヲ得テ国籍喪失ノ登記ヲ為スコトヲ要ス
第二十八条 登記ニハ第二十二条ニ規定シタルモノノ外左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
一 届出又ハ申請ノ受附ノ年月日但他ノ戸籍吏又ハ官庁ヨリ届書ノ送付ヲ受ケタル場合ニ於テハ発送者ノ官職、氏名及ヒ発送ノ年月日ヲ併記スルコトヲ要ス
二 報告又ハ請求ノ発送及ヒ受附ノ年月日並ニ報告者又ハ請求者ノ官職、氏名
三 証書又ハ航海日誌ノ謄本ノ発送及ヒ受附ノ年月日並ニ証書又ハ航海日誌ノ作製者及ヒ謄本発送者ノ官職、氏名
四 登記ヲ命シタル裁判ノ年月日及ヒ裁判所ノ名
第二十九条 登記ヲ為スニハ略字又ハ符号ヲ用井ス字画明瞭ナルコトヲ要ス
年月日時及ヒ年齢ヲ記スル数字ニハ一二三十ノ字ヲ用井スシテ壱弐参拾ノ字ヲ用ユルコトヲ要ス
文字ハ之ヲ改竄スルコトヲ得ス若シ訂正、挿入又ハ削除ヲ為シタルトキハ其字数ヲ欄外ニ記載シ又ハ文字ノ前後ニ括弧ヲ附シ戸籍吏之ニ認印シ其削除ニ係ル文字ハ尚ホ明カニ読得ヘキ為メ字体ヲ存スルコトヲ要ス
第三十条 登記ハ特別ノ規定アル場合ヲ除ク外日次ヲ逐ヒ事件受附ノ順序ニ従ヒテ之ヲ為シ一事件毎ニ番号ヲ附シ用紙ニ空行ヲ存セス前後ノ登記ヲ接続セシムルコトヲ要ス
第三十一条 戸籍吏ハ登記ヲ為シタル毎ニ其文末ニ認印スルコトヲ要ス
第三十二条 欄外登記ヲ為スヘキ場合ニ於テ用紙ニ余白ナキトキハ掛紙ヲ以テ之ニ充ツルコトヲ得此場合ニ於テハ戸籍吏ハ職印ヲ以テ掛紙ト本紙トニ契印ヲ為スコトヲ要ス
第三十三条 被登記者ノ本籍カ届出ニ因リテ戸籍吏ノ管轄ヨリ他ノ戸籍吏ノ管轄ニ転属スル場合ニ於テハ戸籍吏ハ登記ヲ為シタル後遅滞ナク届書ノ正本ヲ新管轄ノ戸籍吏ニ送付スルコトヲ要ス
被登記者ノ本籍カ他ノ戸籍吏ノ管轄ヨリ戸籍吏ノ管轄ニ転属スル場合ニ於テハ戸籍吏ハ登記ヲ為シタル後遅滞ナク届書ノ副本ヲ旧管轄ノ戸籍吏ニ送付スルコトヲ要ス
第三十四条 被登記者ノ本籍カ届出ヲ受ケタル戸籍吏ノ管轄以外ニ於テ一ノ戸籍吏ノ管轄ヨリ他ノ戸籍吏ノ管轄ニ転属スル場合ニ於テハ其届出ヲ受ケタル戸籍吏ハ登記ヲ為シタル後遅滞ナク届書ノ正本ヲ新管轄ノ戸籍吏ニ送付シ其副本ノ一通ヲ旧管轄ノ戸籍吏ニ送付スルコトヲ要ス
第三十五条 前二条ノ場合ヲ除ク外被登記者ノ本籍カ戸籍吏ノ管轄ニ属セサルトキハ戸籍吏ハ登記ヲ為シタル後遅滞ナク届書ノ正本ヲ管轄戸籍吏ニ送付スルコトヲ要ス
第三十六条 第三十三条及ヒ第三十四条ノ規定ハ届出以外ノ事由ニ因リ被登記者ノ本籍カ移転スル場合ニ之ヲ準用ス
前項ノ場合ニ於テハ戸籍吏ハ其受附ケタル書面ノ謄本ヲ作リ其謄本ヲ以テ届書ノ副本ニ代フルコトヲ要ス届出以外ノ事由ニ因リ登記ヲ為シタル場合ニ於テ被登記者ノ本籍カ戸籍吏ノ管轄ニ属セサルトキ亦同シ
第三十七条 登記ヲ為シタルトキハ届書其他登記ニ関シテ受附ケタル書類ニ登記ノ番号及ヒ年月日ヲ記載シ登記簿ノ区別ニ従ヒ各別ニ之ヲ編綴シ且之ニ目録ヲ附スルコトヲ要ス
第三十八条 前条ノ書類ハ一个月毎ニ遅滞ナク之ヲ監督区裁判所ニ送付シ監督区裁判所ハ之ヲ保存スルコトヲ要ス
書類ヲ保存スヘキ期間ハ司法大臣之ヲ定ム
第三十九条 戸籍吏ハ登記ヲ為シタル毎ニ登記ヲ為スト同一ノ手続ニ依リ遅滞ナク其全文ヲ登記簿ノ副本ニ謄写スルコトヲ要ス
登記簿ノ副本ヲ地方裁判所ニ送付シタル後欄外登記ヲ為シタル場合ニ於テハ戸籍吏ハ遅滞ナク其登記ノ謄本ヲ作リ職氏名ヲ署シ職印ヲ押捺シ之ヲ地方裁判所ニ送付スルコトヲ要ス
地方裁判所長ハ前項ノ規定ニ依リ送付ヲ受ケタル登記ノ謄本ヲ登記簿ノ副本中相当登記ノ欄外ニ貼付シ職印ヲ以テ謄本ト本紙トニ契印ヲ為スコトヲ要ス
第四十条 登記ヲ為シタル後其登記ニ付キ錯誤又ハ遺漏アルコトヲ発見シタルトキハ戸籍吏ハ遅滞ナク之ヲ届出人又ハ登記事件ノ本人ニ通知スルコトヲ要ス
第四十一条 戸籍吏ハ毎年末ニ於テ最終登記ノ次行ニ終結ノ旨ヲ記載シ職氏名ヲ署シ職印ヲ押捺スルコトヲ要ス
前項ノ規定ハ最終登記ヲ為ス前登記簿ノ用紙ヲ用井尽シタル場合ニ之ヲ準用ス
第四章 身分ニ関スル届出
第一節 通則
第四十二条 身分ニ関スル届出ハ其届出人ノ本籍地ノ戸籍吏ニ之ヲ為スコトヲ要ス但其届出人カ本籍地外ニ在ル場合ニ於テハ其所在地ノ戸籍吏ニ届出ヲ為スコトヲ得
届出人カ本籍ヲ有セサルトキハ其届出ニ関シテハ所在地ヲ以テ本籍地ト看做ス
第四十三条 届出ハ書面ヲ以テ之ヲ為スコトヲ要ス但正当ノ事由アルトキハ届出人ハ戸籍吏ニ其理由ヲ陳述シ口頭ニテ届出ヲ為スコトヲ得
第四十四条 届書ニハ左ノ事項ヲ記載シ届出人之ニ署名、捺印スルコトヲ要ス
一 届出事件
二 届出ノ年月日
三 届出人ノ族称、職業、出生ノ年月日及ヒ本籍地
第四十五条 届出人ト届出事件ノ本人ト異ナルトキハ届書ニ其間ノ続柄ヲ記載スルコトヲ要ス
届出人カ家族ナルトキハ届書ニ戸主ノ氏名及ヒ届出人ト戸主トノ続柄ヲ記載スルコトヲ要ス
第四十六条 届出ヲ為スヘキ者カ未成年者又ハ禁治産者ナルトキハ親権ヲ行フ者又ハ後見人ヲ以テ届出義務者トス
前項ノ場合ニ於テハ届出人ハ届書ニ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
一 届出ヲ為スヘキ者ノ氏名、族称、出生ノ年月日及ヒ本籍地
二 無能力ノ原因
三 届出人カ親権ヲ行フ者又ハ後見人タルコト
第四十七条 前条ノ規定ハ無能力者カ其法定代理人ノ同意ヲ得スシテ為スコトヲ得ヘキ行為ノ届出ニハ之ヲ適用セス
禁治産者カ届出ヲ為ス場合ニ於テハ届書ニ届出人カ届出事件ノ性質及ヒ効果ヲ理会スルニ足ルヘキ能力ヲ有スル者ナルコトヲ証スヘキ医師ノ診断書ヲ添フルコトヲ要ス
第四十八条 証人ヲ要スル事件ノ届出ニ付テハ証人ハ届書ニ其証人タルコト、出生ノ年月日、職業及ヒ本籍地ヲ記載シテ署名、捺印スルコトヲ要ス
第四十九条 届出人、届出事件ノ本人又ハ届出ノ証人カ本籍地外ニ在ルトキハ届書ニ其所在地ヲ記載スルコトヲ要ス
第五十条 本法ノ規定ニ依リ届書ニ記載スヘキ事項中其事実ノ存セサルモノ又ハ知レサルモノアルトキハ其旨ヲ記載スルコトヲ要ス但戸籍吏ハ各届出事件ニ付キ特ニ重要ト認ムル事項ヲ記載セサル届書ヲ受理スルコトヲ得ス
第五十一条 届書ニハ本法其他ノ法令ニ定メタル事項ニ非サレハ之ヲ記載スルコトヲ得ス
第五十二条 第二十九条ノ規定ハ届書ノ記載ニ之ヲ準用ス
第五十三条 本籍地ノ戸籍吏ノ管轄地外ニ於テ届出ヲ為ストキハ届書ハ正副二本ヲ作ルコトヲ要ス
届出ニ因リ一人又ハ数人ノ本籍カ一ノ家ヨリ他ノ家ニ移転スル場合ニ於テ両家ノ本籍地カ戸籍吏ノ管轄ヲ異ニスルトキハ届書ハ正副二本ヲ作リ届出地ト両家ノ本籍地トカ各戸籍吏ノ管轄ヲ異ニスルトキハ正本一通副本二通ヲ作ルコトヲ要ス
第五十四条 口頭ヲ以テ届出ヲ為スニハ届出人ハ戸籍吏ノ面前ニ出頭シ其届出事件ヲ陳述シ戸籍吏ハ直チニ其口述並ニ届出ノ年月日、届出人ノ氏名、出生ノ年月日、職業及ヒ本籍地ヲ筆記シ之ヲ届出人ニ読聞カセ且届出人ヲシテ之ニ署名、捺印セシムルコトヲ要ス
第五十五条 前条ノ規定ニ依リテ戸籍吏カ作ルヘキ書面ニハ届書ニ関スル規定ヲ準用ス
第五十六条 第四十三条、第五十四条及ヒ前条ノ規定ハ届出事件ニ関スル同意、承諾又ハ承認ノ証明ニ之ヲ準用ス
第五十七条 本法ニ別段ノ規定アル場合ノ外法令ノ規定ニ依リ届出事件ニ付キ官庁ノ許可ヲ要スルトキハ届出人ハ届書ニ許可書ノ謄本ヲ添フルコトヲ要ス
第五十八条 届出人カ疾病其他ノ事故ニ因リ自ラ戸籍吏ノ面前ニ出頭スルコト能ハサルトキハ代理人ヲ差出タスコトヲ得
第五十九条 外国ニ在ル日本人ハ本法ノ規定ニ従ヒ其国ニ駐在スル日本ノ公使又ハ領事ニ届出ヲ為スコトヲ得
第六十条 外国ニ在ル日本人カ其国ノ法式ニ従ヒ届出事件ニ関スル証書ヲ作ラシメタルトキハ三个月内ニ其国ニ駐在スル日本ノ公使又ハ領事ニ其証書ノ謄本ヲ差出タスコトヲ要ス
日本ノ公使又ハ領事カ其国ニ駐在セサルトキハ本人帰国ノ後一个月内ニ本籍地ノ戸籍吏ニ証書ノ謄本ヲ差出タスコトヲ要ス
第六十一条 前二条ノ規定ニ依リテ公使又ハ領事カ受取リタル届書又ハ証書ノ謄本ハ其公使又ハ領事ヨリ三个月内ニ之ヲ外務大臣ニ発送シ外務大臣ハ十日内ニ之ヲ本人ノ本籍地ノ戸籍吏ニ発送スルコトヲ要ス
第六十二条 本法ニ定メタル届出期間ハ届出事件ノ発生シタル日ヨリ之ヲ起算ス
裁判確定ノ日ヨリ期間ヲ起算スヘキ場合ニ於テ届出義務者カ裁判ノ送達又ハ交付ヲ受クル前裁判カ確定シタルトキハ其送達又ハ交付ヲ受ケタル日ヨリ之ヲ起算ス
第六十三条 本法ノ規定ニ依リ期間内ニ為スヘキ届出ヲ怠リタル為メ過料ニ処セラレタル者アルトキハ裁判所ハ遅滞ナク其者カ届出ヲ為スヘキ地ノ戸籍吏ニ之ヲ通知スルコトヲ要ス但戸籍吏ヨリ既ニ届出ヲ受理シタル旨ノ通知アリタル場合ハ此限ニ在ラス
戸籍吏カ前項ノ通知ヲ受ケタルトキハ届出義務者ニ対シ相当ノ期間ヲ定メ其期間内ニ届出ヲ為スヘキ旨ヲ催告スルコトヲ要ス
届出義務者カ前項ノ期間内ニ届出ヲ為ササルトキハ戸籍吏ハ更ニ相当ノ期間ヲ定メテ催告ヲ為スコトヲ要ス爾後届出義務者カ戸籍吏ノ催告ニ応セサルトキ亦同シ
第六十四条 戸籍吏カ其管轄内ニ本法ノ規定ニ違反シテ届出ヲ為ササル者アルコトヲ知リタルトキハ遅滞ナク之ヲ其事件ノ管轄裁判所ニ通知スルコトヲ要ス
第六十五条 届出期間ヲ経過シタル後ニ届出ヲ為シタル場合ト雖モ戸籍吏ハ其届出ヲ受理スルコトヲ要ス
第六十六条 届出人ハ手数料ヲ納付シテ届出受理ノ証明書ヲ請求スルコトヲ得
第六十七条 届出ニ関スル規定ハ登記ノ取消又ハ変更ノ申請ニ之ヲ準用ス
第二節 出生
第六十八条 子ノ出生アリタルトキハ十日内ニ左ノ諸件ヲ具シテ之ヲ届出ツルコトヲ要ス
一 子ノ名及ヒ男女ノ別
二 子カ私生子ナルトキ又ハ出生前ニ認知セラレタル為メ庶子ト為リタル者ナルトキハ其旨
三 出生ノ年月日時及ヒ場所
四 父母ノ氏名、族称、職業及ヒ本籍地但私生子ノ届出ニ付テハ母ノ氏名、族称、職業及ヒ本籍地ノミヲ記載スルコトヲ要ス
五 出生子ノ入ルヘキ家ノ戸主ノ氏名、族称、職業及ヒ本籍地
六 出生子カ一家ヲ創立スル者ナルトキハ其旨及ヒ創立ノ原因
七 国籍ヲ有セサル者ノ子ナルトキハ其旨
第六十九条 嫡出子出生ノ届出ハ出生地又ハ父母ノ本籍地若クハ寄留地ノ戸籍吏ニ之ヲ為スコトヲ要ス
庶子出生ノ届出ハ出生地又ハ父ノ本籍地若クハ寄留地ノ戸籍吏ニ之ヲ為スコトヲ要ス但庶子カ父ノ家ニ入ルコトヲ得サル場合ハ此限ニ在ラス
私生子又ハ父ノ家ニ入ルコトヲ得サル庶子ノ出生ノ届出ハ出生地又ハ母ノ本籍地若クハ寄留地ノ戸籍吏ニ之ヲ為スコトヲ要ス
第七十条 汽車又ハ航海日誌ヲ備ヘサル船舶中ニテ出生アリタル場合ニ於テハ其届出ニ付テハ到著地ヲ以テ出生地ト看做ス
第七十一条 嫡出子出生ノ届出ハ父ヨリ之ヲ為シ父カ届出ヲ為スコト能ハサル場合及ヒ民法第七百三十四条第一項、第二項但書ノ場合ニ於テハ母ヨリ之ヲ為スコトヲ要ス
庶子出生ノ届出ハ父ヨリ之ヲ為シ私生子出生ノ届出ハ母ヨリ之ヲ為スコトヲ要ス
前二項ニ掲ケタル者ヨリ届出ヲ為スコト能ハサル場合ニ於テハ左ニ掲ケタル者ハ其順序ニ従ヒ届出ヲ為ス義務ヲ負フ
第一 戸主
第二 同居者
第三 分娩ニ立会ヒタル医師又ハ産婆
第四 分娩ヲ介抱シタル者
同順位ノ届出義務者数人アルトキハ其中ノ一人ヨリ届出ヲ為スヲ以テ足ル
第七十二条 夫ハ妻ノ子ノ嫡出ナルコトヲ否認セントスル場合ト雖モ前条第一項ノ規定ニ依リ出生ノ届出ヲ為スコトヲ要ス
第七十三条 民法第八百二十一条ノ規定ニ依リ裁判所カ出生子ノ父ヲ定ムヘキトキハ出生ノ届出ハ母ヨリ之ヲ為スコトヲ要ス此場合ニ於テハ其届書ニ父ノ未定ナル事由ヲ記載スルコトヲ要ス
父カ裁判ニ依リテ定マリタルトキハ其父ハ裁判確定ノ日ヨリ一个月内ニ第六十八条ニ掲ケタル諸件ヲ具シ裁判ノ謄本ヲ添ヘテ届出ヲ為シ且第一項ノ届出ニ依リテ為シタル登記ノ取消ヲ申請スルコトヲ要ス
第七十四条 病院、監獄其他ノ公設所ニ於テ子ノ出生アリタル場合ニ於テ父又ハ母ヨリ届出ヲ為スコト能ハサルトキハ病院、監獄又ハ其他ノ公設所ノ長若クハ管理人ヨリ出生ノ届出ヲ為スコトヲ要ス
第七十五条 棄児ヲ発見シタル者ハ二十四時内ニ其旨ヲ戸籍吏ニ届出ツルコトヲ要ス
棄児発見ノ届出アリタルトキハ戸籍吏ハ其児ニ氏名ヲ命シ且之ニ附属スル衣服、物品、発見ノ場所、年月日時其他ノ景況並ニ其児ノ出生ノ推定年月、氏名、男女ノ別、引受人ノ氏名、職業、本籍地及ヒ所在地又ハ育児院ノ称号並ニ場所及ヒ引渡ノ年月日ヲ調書ニ記載シテ之ヲ届書ニ添ヘ置クコトヲ要ス
引受人又ハ育児院ニ変換アリタルトキハ双方ヨリ十日内ニ其旨ヲ届出ツルコトヲ要ス
第二項ノ調書ハ登記ニ付テハ之ヲ届書ト看做ス
第七十六条 棄児ノ父又ハ母カ現出シテ其児ヲ引取ルトキハ一个月内ニ第六十八条ノ届出ヲ為シ且棄児発見ノ登記ノ取消ヲ申請スルコトヲ要ス
第七十七条 出生又ハ棄児発見ノ届出ヲ為ササル前出生子又ハ棄児カ死亡シタルトキハ出生又ハ棄児発見及ヒ死亡ノ届出ヲ為スコトヲ要ス
第七十八条 航海中ニ子ノ出生アリタルトキハ艦長又ハ船長ハ二十四時内ニ乗船者中ヨリ選ミタル証人ノ前ニ於テ第六十八条ニ掲ケタル諸件ヲ航海日誌ニ記載シ証人ト共ニ署名、捺印シ且証人ノ出生ノ年月日、職業及ヒ本籍地ヲ記載スルコトヲ要ス
前項ノ手続ヲ為シタル後艦船カ日本ノ港ニ著シタルトキハ艦長又ハ船長ハ二十四時内ニ其出生ニ関スル航海日誌ノ謄本ヲ其地ノ戸籍吏ニ送付スルコトヲ要ス
艦船カ外国ノ港ニ著シタルトキハ艦長又ハ船長ハ遅滞ナク其出生ニ関スル航海日誌ノ謄本ヲ其国ニ駐在スル日本ノ公使又ハ領事ニ送付シ公使又ハ領事ハ三个月内ニ之ヲ外務大臣ニ発送シ外務大臣ハ十日内ニ之ヲ父母ノ本籍地ノ戸籍吏ニ発送スルコトヲ要ス
第三節 嫡出子否認
第七十九条 嫡出子否認ノ裁判カ確定シタルトキハ否認者ハ裁判確定ノ日ヨリ一个月内ニ左ノ諸件ヲ具シ裁判ノ謄本ヲ添ヘテ之ヲ届出テ且既ニ出生ノ登記ヲ為シタル者ニ付テハ登記ノ変更ヲ申請スルコトヲ要ス
一 子ノ名及ヒ男女ノ別
二 出生ノ年月日
三 否認ノ裁判カ確定シタル年月日
第四節 私生子認知
第八十条 私生子認知ノ届書ニハ左ノ諸件ヲ記載スルコトヲ要ス
一 子ノ名及ヒ男女ノ別
二 出生ノ年月日
三 死亡シタル子ヲ認知スル場合ニ於テハ死亡ノ年月日
四 父カ認知ヲ為ス場合ニ於テハ母ノ氏名、職業及ヒ本籍地
前項第四号ノ場合ニ於テ母カ家族ナルトキハ其戸主ノ氏名、職業、本籍地及ヒ其戸主ト母トノ続柄ヲ記載スルコトヲ要ス
第八十一条 民法第八百三十一条第一項ノ規定ニ依リテ認知ヲ為ス場合ニ於テハ認知者ハ母ノ氏名、職業及ヒ本籍地ヲ具シテ其胎内ニ在ル子ヲ認知スル旨ヲ届出ツルコトヲ要ス
第八十二条 民法第八百三十条及ヒ第八百三十一条ノ規定ニ依リ子、母又ハ直系卑属ノ承諾ヲ要スル場合ニ於テハ届出人ハ届書ニ承諾ノ証書ヲ添ヘ又ハ承諾ヲ為シタル者ヲシテ届書ニ承諾ノ旨ヲ附記シ之ニ署名、捺印セシムルコトヲ要ス
第八十三条 遺言ニ依リテ認知ヲ為シタル場合ニ於テハ遺言執行者ハ遺言カ効力ヲ生シタル日ヨリ十日内ニ其認知ニ関スル遺言ノ謄本ヲ添ヘ前三条ノ規定ニ従ヒテ之ヲ届出ツルコトヲ要ス
遺言ニ依ル認知ノ届書ニハ認知者ノ死亡ノ年月日ヲ記載スルコトヲ要ス
第八十四条 胎内ニテ認知セラレタル子カ死体ニテ分娩シタルトキハ出生届出義務者ハ其事実ヲ知リタル日ヨリ一个月内ニ認知ノ登記ノ取消ヲ申請スルコトヲ要ス但遺言執行者カ認知ノ届出ヲ為シタル場合ニ於テハ遺言執行者ヨリ登記ノ取消ヲ申請スルコトヲ要ス
第五節 養子縁組
第八十五条 縁組ノ届書ニハ左ノ諸件ヲ記載スルコトヲ要ス
一 当事者ノ氏名、出生ノ年月日、職業及ヒ本籍地
二 養子ノ実父母ノ氏名、職業及ヒ本籍地
三 当事者カ家族ナルトキハ戸主ノ氏名、職業及ヒ本籍地
養子カ婚家又ハ養家ヨリ更ニ縁組ニ因リテ他家ニ入ル場合ニ於テハ前項ニ掲ケタル事項ノ外婚家ノ戸主又ハ前養親ノ氏名、職業及ヒ本籍地ヲ記載スルコトヲ要ス
第八十六条 民法第八百四十三条ノ規定ニ依リテ縁組ノ承諾ヲ為シタル者ハ養子ニ代ハリテ縁組ノ届出ヲ為スコトヲ要ス
第八十七条 民法第七百四十一条第一項、第七百五十条第一項、第八百四十一条第二項及ヒ第八百四十三条乃至第八百四十六条ノ規定ニ依リ戸主、父母、配偶者、後見人又ハ親族会ノ同意ヲ要スル場合ニ於テハ届出人ハ届書ニ同意ノ証書ヲ添ヘ又ハ同意ヲ為シタル者ヲシテ届書ニ同意ノ旨ヲ附記シ之ニ署名、捺印セシムルコトヲ要ス
第八十八条 民法第八百四十二条ノ規定ニ依リ配偶者ノ一方カ双方ノ名義ヲ以テ縁組ヲ為ス場合ニ於テハ届出人ハ届書ニ其事由ヲ記載スルコトヲ要ス
第八十九条 民法第八百四十八条ノ規定ニ依リ縁組ノ届出ヲ為ストキハ届書ニ第八十五条ニ掲ケタル諸件及ヒ遺言者ノ死亡ノ年月日ヲ記載シ且之ニ養子ニ関スル遺言ノ謄本ヲ添フルコトヲ要ス
第九十条 縁組ノ届出ハ養親ノ本籍地又ハ所在地ノ戸籍吏ニ之ヲ為スコトヲ要ス
第九十一条 縁組カ無効ナルトキハ届出人ハ其無効ナル事由ノ証明書ヲ提出シテ登記ノ取消ヲ申請スルコトヲ要ス
第九十二条 縁組ノ無効又ハ取消ノ裁判カ確定シタルトキハ其訴ヲ提起シタル者ハ裁判確定ノ日ヨリ一个月内ニ裁判ノ謄本ヲ提出シテ登記ノ取消ヲ申請スルコトヲ要ス
第九十三条 第八十五条及ヒ第八十七条乃至第八十九条ノ規定ハ口頭ヲ以テ届出ヲ為ス場合ニ之ヲ準用ス
第九十四条 第五十八条ノ規定ハ縁組ノ届出ニハ之ヲ適用セス
第六節 養子離縁
第九十五条 離縁ノ届書ニハ左ノ諸件ヲ記載スルコトヲ要ス
一 当事者ノ氏名、職業及ヒ本籍地
二 養子ノ実父母ノ氏名、職業及ヒ本籍地
三 当事者カ家族ナルトキハ戸主ノ氏名、職業及ヒ本籍地
四 縁組ノ年月日
五 離縁カ協議又ハ裁判ニ因ルコト
六 養子ノ妻カ養子ト共ニ養家ヲ去ルトキハ其旨及ヒ妻ノ名
七 養子カ復籍スヘキ家ノ戸主ノ氏名、職業及ヒ本籍地
八 養子カ復籍スヘキ家ナキトキハ其事由
第九十六条 民法第八百六十二条第二項ノ規定ニ依リテ離縁ヲ為ス場合ニ於テハ養親及ヒ養子ニ代ハリテ協議ヲ為シタル者ヨリ届出ヲ為スコトヲ要ス
第九十七条 民法第八百六十二条第三項ノ規定ニ依リテ離縁ヲ為ス場合ニ於テハ養子ヨリ届出ヲ為スヲ以テ足ル
第九十八条 民法第八百六十二条第三項及ヒ第八百六十三条ノ規定ニ依リ戸主、父母、後見人又ハ親族会ノ同意ヲ要スル場合ニ於テハ届出人ハ届書ニ同意ノ証書ヲ添ヘ又ハ同意ヲ為シタル者ヲシテ届書ニ同意ノ旨ヲ附記シ之ニ署名、捺印セシムルコトヲ要ス
第九十九条 離縁ノ裁判カ確定シタルトキハ其訴ヲ提起シタル者ハ裁判確定ノ日ヨリ十日内ニ裁判ノ謄本ヲ添ヘテ届出ヲ為スコトヲ要ス
第百条 第九十五条及ヒ第九十八条ノ規定ハ口頭ヲ以テ届出ヲ為ス場合ニ之ヲ準用ス
第百一条 第五十八条ノ規定ハ離縁ノ届出ニハ之ヲ適用セス
第七節 婚姻
第百二条 婚姻ノ届書ニハ左ノ諸件ヲ記載スルコトヲ要ス
一 当事者ノ氏名、出生ノ年月日及ヒ本籍地
二 父母ノ氏名、職業及ヒ本籍地
三 当事者カ家族ナルトキハ戸主ノ氏名、職業及ヒ本籍地
四 入夫婚姻又ハ婿養子縁組ナルトキハ其旨
五 入夫婚姻ノ場合ニ於テ入夫カ戸主ト為ラサルトキハ其旨
六 婚姻ニ因リテ嫡出子タル身分ヲ取得スル庶子アルトキハ其名及ヒ出生ノ年月日
当事者ノ一方カ婚家又ハ養家ヨリ更ニ婚姻ニ因リテ他家ニ入ル場合ニ於テハ前項ニ掲ケタル事項ノ外前婚家ノ戸主又ハ養親ノ氏名、職業及ヒ本籍地ヲ記載スルコトヲ要ス
第百三条 民法第七百四十一条第一項、第七百五十条第一項、第七百七十二条及ヒ第七百七十三条ノ規定ニ依リ戸主、父母、後見人又ハ親族会ノ同意ヲ要スル場合ニ於テハ届出人ハ届書ニ同意ノ証書ヲ添ヘ又ハ同意ヲ為シタル者ヲシテ届書ニ同意ノ旨ヲ附記シ之ニ署名、捺印セシムルコトヲ要ス
第百四条 婚姻ノ届出ハ夫ノ本籍地又ハ所在地ノ戸籍吏ニ之ヲ為スコトヲ要ス但入夫婚姻及ヒ婿養子縁組ナルトキハ妻ノ本籍地又ハ所在地ニ於テ其届出ヲ為スコトヲ要ス
第百五条 婚姻カ無効ナルトキハ届出人ハ其無効ナル事由ノ証明書ヲ提出シテ登記ノ取消ヲ申請スルコトヲ要ス
第百六条 婚姻ノ無効又ハ取消ノ裁判カ確定シタルトキハ其訴ヲ提起シタル者ハ裁判確定ノ日ヨリ一个月内ニ裁判ノ謄本ヲ提出シテ登記ノ取消ヲ申請スルコトヲ要ス
検事カ訴ヲ提起シタル場合ニ於テハ前項ノ規定ニ従ヒ検事ヨリ登記ノ取消ヲ請求スルコトヲ要ス
第百七条 第百二条及ヒ第百三条ノ規定ハ口頭ヲ以テ届出ヲ為ス場合ニ之ヲ準用ス
第百八条 第五十八条ノ規定ハ婚姻ノ届出ニハ之ヲ適用セス
第八節 離婚
第百九条 離婚ノ届書ニハ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
一 当事者ノ氏名、職業及ヒ本籍地
二 父母ノ氏名、職業及ヒ本籍地
三 当事者カ家族ナルトキハ戸主ノ氏名、職業及ヒ本籍地
四 婚姻ノ年月日
五 離婚カ協議又ハ裁判ニ因ルコト
六 当事者カ復籍スヘキ家ノ戸主ノ氏名、職業及ヒ本籍地
七 当事者カ復籍スヘキ家ナキトキハ其事由
第百十条 民法第八百九条ノ規定ニ依リ父母、後見人又ハ親族会ノ同意ヲ要スル場合ニ於テハ届出人ハ届書ニ同意ノ証書ヲ添ヘ又ハ同意ヲ為シタル者ヲシテ届書ニ同意ノ旨ヲ附記シ之ニ署名、捺印セシムルコトヲ要ス
第百十一条 離婚ノ裁判カ確定シタルトキハ其訴ヲ提起シタル者ハ裁判確定ノ日ヨリ十日内ニ裁判ノ謄本ヲ添ヘテ届出ヲ為スコトヲ要ス
第百十二条 第百九条及ヒ第百十条ノ規定ハ口頭ヲ以テ届出ヲ為ス場合ニ之ヲ準用ス
第百十三条 第五十八条ノ規定ハ離婚ノ届出ニハ之ヲ適用セス
第九節 後見
第百十四条 後見ノ開始アリタルトキハ後見人ハ就職ノ日ヨリ十日内ニ左ノ諸件ヲ具シテ之ヲ届出ツルコトヲ要ス
一 後見人ノ氏名、出生ノ年月日、職業、本籍地及ヒ住所
二 被後見人ノ氏名、出生ノ年月日、職業及ヒ本籍地
三 被後見人カ家族ナルトキハ戸主ノ氏名、職業及ヒ本籍地
四 後見開始ノ原因及ヒ年月日
五 後見人就職ノ年月日
第百十五条 後見人ノ更迭アリタルトキハ後任ノ後見人ハ其就職ノ日ヨリ十日内ニ前条ニ掲ケタル諸件及ヒ前任者ノ氏名ヲ具シテ之ヲ届出ツルコトヲ要ス
第百十六条 後見人カ遺言ヲ以テ指定セラレタル者ナルトキハ届書ニ其指定ニ関スル遺言ノ謄本ヲ添フルコトヲ要ス
後見人カ親族会ニ於テ選任セラレタル者ナルトキハ届書ニ其選任ニ関スル証明書ヲ添フルコトヲ要ス
第百十七条 後見人ノ任務カ終了シタルトキハ後見人ハ十日内ニ左ノ諸件ヲ具シテ之ヲ届出ツルコトヲ要ス
一 被後見人ノ氏名、出生ノ年月日、職業及ヒ本籍地
二 就職ノ年月日
三 任務終了ノ原因及ヒ年月日
後見人ノ任務カ其死亡ニ因リテ終了シタルトキハ前項ノ届出ハ後見監督人ヨリ之ヲ為スコトヲ要ス
第百十八条 後見ニ関スル届出ハ被後見人ノ本籍地又ハ所在地ノ戸籍吏ニ之ヲ為スコトヲ要ス
第十節 隠居
第百十九条 隠居ノ届書ニハ左ノ諸件ヲ記載スルコトヲ要ス
一 隠居者ノ氏名、族称、出生ノ年月日、職業及ヒ本籍地
二 家督相続人ノ名、出生ノ年月日、職業及ヒ家督相続人ト隠居者トノ続柄
三 隠居ノ原因
第百二十条 裁判所ノ許可ヲ得テ隠居ヲ為ス場合ニ於テハ届出人ハ届書ニ裁判ノ謄本ヲ添フルコトヲ要ス
第百二十一条 隠居ノ届出人ハ届書ニ家督相続人ノ承認ノ証書ヲ添ヘ又ハ承認ヲ為シタル者ヲシテ届書ニ其旨ヲ附記シ之ニ署名、捺印セシムルコトヲ要ス
前項ノ規定ハ民法第七百五十五条第二項ノ規定ニ依リ夫ノ同意ヲ要スル場合ノ届出ニ之ヲ準用ス
第百二十二条 隠居ノ取消ノ裁判カ確定シタルトキハ其訴ヲ提起シタル者ハ裁判確定ノ日ヨリ一个月内ニ裁判ノ謄本ヲ提出シテ登記ノ取消ヲ申請スルコトヲ要ス
第百六条第二項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第十一節 失踪
第百二十三条 失踪ノ宣告アリタルトキハ其宣告ヲ請求シタル者ハ裁判確定ノ日ヨリ十日内ニ左ノ諸件ヲ具シ裁判ノ謄本ヲ添ヘテ之ヲ届出ツルコトヲ要ス
一 失踪者ノ氏名、出生ノ年月日、職業及ヒ本籍地
二 失踪ノ宣告アリタル年月日
三 失踪者カ家族ナルトキハ戸主ノ氏名、族称及ヒ戸主ト失踪者トノ続柄
第百二十四条 失踪ノ宣告ノ取消アリタルトキハ其取消ヲ請求シタル者ハ裁判確定ノ日ヨリ一个月内ニ裁判ノ謄本ヲ提出シテ登記ノ取消ヲ申請スルコトヲ要ス
第十二節 死亡
第百二十五条 死亡者アリタルトキハ届出義務者カ其死亡ヲ知リタル日ヨリ五日内ニ左ノ諸件ヲ具シ医師ノ診断書若クハ検案書又ハ警察官ノ検視調書ノ謄本ヲ添ヘテ之ヲ届出ツルコトヲ要ス
一 死亡者ノ氏名、出生ノ年月日、男女ノ別及ヒ本籍地
二 死亡ノ年月日時及ヒ場所
三 死亡者カ家族ナルトキハ戸主ノ氏名、族称及ヒ戸主ト死亡者トノ続柄
前項ノ届出期間ハ衛生ノ為メ特別ノ必要アルトキハ命令ヲ以テ之ヲ短縮スルコトヲ得
第百二十六条 左ニ掲ケタル者ハ其順序ニ従ヒ死亡ノ届出ヲ為ス義務ヲ負フ
第一 戸主
第二 同居者
第三 家主、地主又ハ土地若クハ家屋ノ管理人
同順位ノ届出義務者数人アルトキハ其中ノ一人ヨリ届出ヲ為スヲ以テ足ル
第百二十七条 死亡ノ届出ハ死亡地又ハ死亡者ノ本籍地若クハ寄留地ノ戸籍吏ニ之ヲ為スコトヲ要ス
第百二十八条 第七十条及ヒ第七十四条ノ規定ハ死亡ノ届出ニ之ヲ準用ス
第百二十九条 死刑ノ執行アリタルトキハ監獄ノ長ハ遅滞ナク第百二十五条ニ掲ケタル諸件ヲ具シ監獄所在地ノ戸籍吏ニ死亡ノ報告ヲ為スコトヲ要ス
前項ノ規定ハ在監中死亡シタル者アリテ死体ノ引取人ナキ場合ニ之ヲ準用ス此場合ニ於テハ報告書ニ医師ノ診断書又ハ検案書ヲ添フルコトヲ要ス
第百三十条 航海中ニ死亡者アリタルトキハ艦長又ハ船長ハ二十四時内ニ乗船者中ヨリ選ミタル証人ノ前ニ於テ第百二十五条ニ掲ケタル諸件ヲ航海日誌ニ記載シ証人ト共ニ署名、捺印シ且証人ノ出生ノ年月日、職業及ヒ本籍地ヲ記載スルコトヲ要ス
前項ノ手続ヲ為シタル後艦船カ日本ノ港ニ著シタルトキハ艦長又ハ船長ハ二十四時内ニ死亡ニ関スル航海日誌ノ謄本ヲ其地ノ戸籍吏ニ送付スルコトヲ要ス
艦船カ外国ノ港ニ著シタルトキハ艦長又ハ船長ハ遅滞ナク死亡ニ関スル航海日誌ノ謄本ヲ其国ニ駐在スル日本ノ公使又ハ領事ニ送付シ公使又ハ領事ハ三个月内ニ之ヲ外務大臣ニ発送シ外務大臣ハ十日内ニ之ヲ死亡者ノ本籍地ノ戸籍吏ニ発送スルコトヲ要ス
第百三十一条 艦船ノ難破ニ因リテ乗組員及ヒ乗客ノ全部又ハ一部カ死亡シタルトキハ其難破ノ取調ヲ為シタル官庁又ハ公署ハ死亡者ノ本籍地ノ戸籍吏ニ死亡ノ報告ヲ為スコトヲ要ス
第百三十二条 死亡者ノ本籍分明ナラス且其何人タルコトヲ認識スルコト能ハサルトキハ警察官ハ検視調書ヲ作リ遅滞ナク之ヲ其地ノ戸籍吏ニ報告スルコトヲ要ス
死亡者ノ本籍分明ナルニ至リ又ハ其何人タルコトヲ認識スルコトヲ得ルニ至リタルトキハ警察官ハ遅滞ナク前ニ報告ヲ受ケタル戸籍吏ニ之ヲ報告スルコトヲ要ス
第百二十六条第一項第一号及ヒ第二号ニ掲ケタル死亡届出義務者カ前項ノ事実ヲ知リタルトキハ十日内ニ死亡ノ届出ヲ為スコトヲ要ス此場合ニ於テハ医師ノ診断書又ハ検案書ニ代ヘ警察官ノ検視調書ノ謄本ヲ添フルコトヲ得
第十三節 家督相続
第百三十三条 家督相続ニ因リテ戸主ト為リタル者ハ其事実ヲ知リタル日ヨリ一个月内ニ左ノ諸件ヲ具シ之ヲ被相続人ノ本籍地ノ戸籍吏ニ届出ツルコトヲ要ス
一 家督相続ノ原因及ヒ戸主ト為リタル年月日
二 前戸主ノ名及ヒ前戸主ト家督相続人トノ続柄
家督相続人カ外国ニ在ル場合ニ於テハ前項ノ届出ハ三个月内ニ届書ヲ発送スルヲ以テ足ル
第百三十四条 家督相続回復ノ裁判カ確定シタルトキハ相続権ヲ回復シタル者ハ裁判確定ノ日ヨリ一个月内ニ前条ニ掲ケタル諸件ヲ具シ裁判ノ謄本ヲ添ヘテ之ヲ届出テ且前ニ為シタル家督相続ノ登記ノ取消ヲ申請スルコトヲ要ス
第百三十五条 家督相続人カ胎児ナルトキハ其母ハ相続ノ開始アリタルコトヲ知リタル日ヨリ一个月内ニ左ノ諸件ヲ具シ医師ノ診断書ヲ添ヘテ家督相続ノ届出ヲ為スコトヲ要ス
一 相続開始ノ年月日
二 家督相続人ノ胎児ナルコト
三 前戸主ノ名及ヒ前戸主ト家督相続人トノ続柄
第百三十三条第二項ノ規定ハ前項ノ届出ニ之ヲ準用ス
第百三十六条 胎児ヲ家督相続人トシテ届出テタル場合ニ於テ其胎児カ死体ニテ生レタルトキハ母ハ出産ノ日ヨリ一个月内ニ医師又ハ出産ニ立会ヒタル産婆ノ検案書ヲ提出シテ家督相続ノ登記ノ取消ヲ申請スルコトヲ要ス
母カ登記取消ノ申請ヲ為ササルトキハ家督相続人ハ其事実ヲ知リタル日ヨリ一个月内ニ登記ノ取消ヲ申請スルコトヲ要ス
第十四節 推定家督相続人ノ廃除
第百三十七条 推定家督相続人廃除ノ裁判カ確定シタルトキハ被相続人ハ裁判確定ノ日ヨリ十日内ニ左ノ諸件ヲ具シ裁判ノ謄本ヲ添ヘテ之ヲ届出ツルコトヲ要ス
一 廃除セラレタル者ノ名、出生ノ年月日及ヒ職業
二 廃除ノ原因
三 廃除ノ裁判カ確定シタル年月日
第百三十八条 被相続人カ遺言ヲ以テ推定家督相続人ヲ廃除スル意思ヲ表示シタル場合ニ於テ廃除ノ裁判カ確定シタルトキハ前条ノ届出ハ遺言執行者ヨリ之ヲ為スコトヲ要ス
前項ノ場合ニ於テハ届書ニ被相続人ノ死亡ノ年月日ヲ記載スルコトヲ要ス
第百三十九条 推定家督相続人廃除ノ取消ノ裁判カ確定シタルトキハ其取消ヲ請求シタル者ハ裁判確定ノ日ヨリ一个月内ニ裁判ノ謄本ヲ提出シテ登記ノ取消ヲ申請スルコトヲ要ス
第十五節 家督相続人ノ指定
第百四十条 家督相続人指定ノ届書ニハ左ノ諸件ヲ記載スルコトヲ要ス
一 指定家督相続人タルヘキ者ノ氏名、族称、出生ノ年月日、職業及ヒ本籍地
二 法定ノ推定家督相続人ナキコト
第百四十一条 民法第九百八十一条ノ規定ニ依リテ家督相続人指定ノ届出ヲ為ストキハ届書ニ前条ニ掲ケタル諸件及ヒ被相続人ノ死亡ノ年月日ヲ記載シ且之ニ其指定ニ関スル遺言ノ謄本ヲ添フルコトヲ要ス
第百四十二条 家督相続人指定ノ取消ノ届書ニハ左ノ諸件ヲ記載スルコトヲ要ス
一 指定家督相続人ノ氏名、族称、出生ノ年月日、職業及ヒ本籍地
二 指定ノ年月日
第百四十三条 家督相続人指定ノ取消ノ届出ヲ為ス者ハ同時ニ家督相続人指定ノ登記ノ取消ヲ申請スルコトヲ要ス
第百四十四条 民法第九百八十一条ノ規定ニ依リテ指定ノ取消ノ届出ヲ為ス場合ニ於テハ前二条ノ規定ニ依ル外届書ニ被相続人ノ死亡ノ年月日ヲ記載シ且之ニ指定ノ取消ニ関スル遺言ノ謄本ヲ添フルコトヲ要ス
第百四十五条 家督相続人ノ指定カ其効力ヲ失ヒタルトキハ指定ヲ為シタル者ハ其事実ヲ知リタル日ヨリ一个月内ニ其効力ヲ失ヒタル事由ノ証明書ヲ提出シテ登記ノ取消ヲ申請スルコトヲ要ス
第十六節 入籍、離籍及ヒ復籍拒絶
第百四十六条 民法第七百三十五条第一項若クハ第七百三十七条ノ規定ニ依リ他家ノ家族ト為ラント欲スル者又ハ民法第七百三十八条ノ規定ニ依リ自己ノ親族ヲ婚家、養家又ハ自家ノ家族ト為サント欲スル者ハ左ノ諸件ヲ具シテ入籍ノ届出ヲ為スコトヲ要ス
一 入籍スヘキ家ノ戸主ノ氏名、出生ノ年月日、職業及ヒ本籍地
二 入籍スヘキ家ノ戸主又ハ家族ト入籍スヘキ者トノ親族関係
三 入籍スヘキ者カ廃家シテ他家ニ入ルトキハ其旨
四 入籍スヘキ者カ家族ナルトキハ其去ルヘキ家ノ戸主ノ氏名、出生ノ年月日、職業、本籍地及ヒ其戸主ト入籍スヘキ者トノ続柄
第百四十七条 民法第七百三十五条第一項、第七百三十七条及ヒ第七百三十八条ノ規定ニ依リ戸主、配偶者、養親、親権ヲ行フ者又ハ後見人ノ同意ヲ要スル場合ニ於テハ届出人ハ届書ニ同意ノ証書ヲ添ヘ又ハ同意ヲ為シタル者ヲシテ届書ニ同意ノ旨ヲ附記シ之ニ署名、捺印セシムルコトヲ要ス
第百四十八条 戸主カ其家族ヲ離籍セント欲スルトキハ左ノ諸件ヲ具シテ之ヲ届出ツルコトヲ要ス
一 離籍セラルヘキ者ノ氏名、出生ノ年月日及ヒ職業
二 離籍ノ原因及ヒ其原因発生ノ年月日
三 離籍セラルヘキ者ト共ニ家ヲ去ルヘキ者アルトキハ其名、出生ノ年月日、職業及ヒ其者ト離籍セラルヘキ者トノ続柄
第百四十九条 離籍ニ因リテ一家ヲ創立シタル者ハ其事実ヲ知リタル日ヨリ十日内ニ左ノ諸件ヲ具シテ其旨ヲ届出ツルコトヲ要ス
一 離籍ヲ為シタル戸主ノ氏名、出生ノ年月日、職業及ヒ本籍地
二 離籍ヲ為シタル戸主ト届出人トノ続柄
三 離籍ノ原因及ヒ年月日
四 届出人ノ家ニ入ルヘキ者アルトキハ其名、出生ノ年月日、職業及ヒ其者ト届出人トノ続柄
第百五十条 戸主カ其家族タリシ者ノ復籍ヲ拒マント欲スルトキハ左ノ諸件ヲ具シテ之ヲ届出ツルコトヲ要ス
一 復籍ヲ拒マルヘキ者ノ氏名、出生ノ年月日、職業及ヒ本籍地
二 復籍ヲ拒マルヘキ者カ家族ナルトキハ戸主ノ氏名、出生ノ年月日、職業及ヒ本籍地
三 復籍拒絶ノ原因及ヒ其原因発生ノ年月日
第百五十一条 復籍拒絶又ハ復籍スヘキ家ノ廃絶ニ因リテ復籍ヲ為スコト能ハサル者カ一家ヲ創立シタルトキハ其事実ヲ知リタル日ヨリ十日内ニ左ノ諸件ヲ具シテ其旨ヲ届出ツルコトヲ要ス
一 復籍ヲ拒ミタル戸主又ハ廃絶シタル家ノ最終ノ戸主ノ氏名、出生ノ年月日、職業及ヒ本籍地
二 復籍拒絶又ハ復籍スヘキ家ノ廃絶ノ原因及ヒ年月日
三 届出人ノ家ニ入ルヘキ者アルトキハ其名、出生ノ年月日、職業及ヒ其者ト届出人トノ続柄
第十七節 廃家及ヒ絶家
第百五十二条 廃家ヲ為サント欲スル者ハ左ノ諸件ヲ具シ家督相続ニ因リテ戸主ト為リタル者ニ非サルコトノ証明書又ハ廃家ノ許可ニ関スル裁判ノ謄本ヲ添ヘテ之ヲ届出ツルコトヲ要ス
一 廃家シタル者カ入ルヘキ家ノ戸主ノ氏名、出生ノ年月日、職業及ヒ本籍地
二 廃家シタル者ニ随ヒテ他家ニ入ル者ノ名、出生ノ年月日及ヒ職業
第百五十三条 絶家ノ家族ニシテ一家ヲ創立シタル者ハ其事実ヲ知リタル日ヨリ十日内ニ左ノ諸件ヲ具シテ絶家及ヒ一家創立ノ届出ヲ為スコトヲ要ス
一 絶家ノ最終ノ戸主ノ氏名、出生ノ年月日、職業及ヒ本籍地
二 絶家ノ原因及ヒ年月日
三 一家ヲ創立シタル者ニ随ヒテ其家ニ入ル者ノ名、出生ノ年月日及ヒ職業
第十八節 分家及ヒ廃絶家再興
第百五十四条 分家ヲ為サント欲スル者ハ左ノ諸件ヲ具シテ之ヲ届出ツルコトヲ要ス
一 分家ノ戸主ト為ルヘキ者ノ氏名、出生ノ年月日、職業及ヒ本籍地
二 本家ノ戸主ノ氏名、職業、本籍地及ヒ其戸主ト分家ノ戸主ト為ルヘキ者トノ続柄
三 分家ノ家族ト為ルヘキ者アルトキハ其名、出生ノ年月日及ヒ職業
四 分家ノ戸主及ヒ家族ト為ルヘキ者ノ父母ノ氏名、職業及ヒ本籍地
第百五十五条 廃絶家ヲ再興セント欲スル者ハ左ノ諸件ヲ具シテ之ヲ届出ツルコトヲ要ス
一 廃絶家ノ最終ノ戸主ノ氏名、職業及ヒ本籍地
二 廃絶ノ原因及ヒ年月日
三 廃絶シタル家ト再興ヲ為ス者ノ家トノ続柄
四 再興ヲ為ス者ノ戸主ノ氏名、出生ノ年月日、職業及ヒ本籍地
五 再興ヲ為ス者ニ随ヒテ其家ニ入ルヘキ者ノ名、出生ノ年月日及ヒ職業
第百五十六条 分家又ハ廃絶家再興ノ届出人ハ届書ニ戸主ノ同意ノ証書ヲ添ヘ又ハ戸主ヲシテ届書ニ同意ノ旨ヲ附記シ之ニ署名、捺印セシムルコトヲ要ス
前項ノ規定ハ民法第七百四十三条但書ノ規定ニ依リ親権ヲ行フ者又ハ後見人ノ同意ヲ要スル場合ニ之ヲ準用ス
第十九節 国籍ノ得喪
第百五十七条 外国人カ婚姻又ハ養子縁組ニ因リテ日本ノ国籍ヲ取得スヘキトキハ婚姻又ハ縁組ノ届出人ハ届書ニ国籍取得者ノ原国籍ヲ記載スルコトヲ要ス
入夫婚姻又ハ養子縁組ノ場合ニ於テハ前項ノ規定ニ依ル外届書ニ内務大臣ノ許可書ノ謄本ヲ添フルコトヲ要ス
第百五十八条 外国人カ認知ニ因リテ日本ノ国籍ヲ取得スヘキトキハ認知者ハ認知ノ届書ニ子ノ原国籍ヲ記載スルコトヲ要ス
子ノ母カ外国人ナルトキハ認知者ハ届書ニ母ノ国籍ヲ記載スルコトヲ要ス
第百五十九条 帰化ヲ為シタル者ハ帰化ノ許可ヲ受ケタル日ヨリ十日内ニ左ノ諸件ヲ具シ内務大臣ノ許可書ノ謄本ヲ添ヘテ之ヲ届出ツルコトヲ要ス
一 帰化人ノ氏名、出生ノ年月日、職業、住所及ヒ原国籍
二 父母ノ氏名、出生ノ年月日、職業及ヒ国籍
三 帰化人ト共ニ日本ノ国籍ヲ取得シタル者アルトキハ其名、出生ノ年月日、職業及ヒ其者ト帰化人トノ続柄
四 許可ノ年月日
帰化人ノ妻又ハ子カ帰化人ト共ニ日本ノ国籍ヲ取得セサルトキハ届書ニ其事由ヲ記載スルコトヲ要ス
第百六十条 日本ノ国籍ヲ失フヘキ者ハ其国籍喪失前ニ左ノ諸件ヲ具シテ之ヲ届出ツルコトヲ要ス
一 国籍喪失ノ原因
二 国籍喪失ノ期日ヲ知リ得ヘキトキハ其年月日
三 法定ノ推定家督相続人アルトキハ其名、出生ノ年月日、職業及ヒ其者ト届出人トノ続柄
四 新ニ取得スヘキ国籍
五 届出人ノ妻又ハ子カ共ニ国籍ヲ失フヘキトキハ其妻又ハ子ノ名、出生ノ年月日及ヒ職業
第百六十一条 日本ノ国籍ヲ失ヒタル者カ国籍喪失前ニ前条ノ届出ヲ為スコト能ハサリシトキハ国籍喪失後十日内ニ之ヲ為スコトヲ要ス
前項ノ規定ハ国籍喪失者カ日本ニ住所又ハ居所ヲ有セサルトキハ之ヲ適用セス
第百六十二条 日本ノ国籍ヲ失フヘキ者カ満十七年以上ノ男子ナルトキハ国籍喪失ノ届出人ハ届書ニ其者カ既ニ陸海軍ノ現役ニ服シタルコト又ハ之ニ服スル義務ナキコトノ証明書ヲ添フルコトヲ要ス
日本ノ国籍ヲ失フヘキ者カ官職ヲ帯フル者ナルトキハ国籍喪失ノ届出人ハ届書ニ所属長官ノ許可書ノ謄本ヲ添フルコトヲ要ス
第百六十三条 日本ノ国籍ヲ回復シタル者ハ国籍回復ノ許可ヲ得タル日ヨリ十日内ニ左ノ諸件ヲ具シ内務大臣ノ許可書ノ謄本ヲ添ヘテ之ヲ届出ツルコトヲ要ス
一 日本ノ国籍ヲ失ヒタル原因及ヒ年月日
二 国籍回復前ニ有セシ国籍
三 国籍回復ノ許可ヲ得タル年月日
四 国籍回復者ト共ニ日本ノ国籍ヲ取得シ又ハ之ヲ回復シタル者アルトキハ其名、出生ノ年月日、職業及ヒ其者ト国籍回復者トノ続柄
第二十節 氏名及ヒ族称ノ変更
第百六十四条 氏ヲ復旧シ又ハ名ヲ改称シタル者ハ十日内ニ左ノ諸件ヲ具シ管轄官庁ノ許可書ノ謄本ヲ添ヘテ之ヲ届出ツルコトヲ要ス
一 復旧又ハ改称前ノ氏名
二 復旧シタル氏又ハ改称シタル名
三 復旧又ハ改称ノ原因及ヒ許可ノ年月日
第百六十五条 新ニ華族ニ列セラレ又ハ華士族ノ称ヲ失ヒタル者ハ十日内ニ左ノ諸件ヲ具シ辞令書又ハ管轄官庁ノ許可書ノ謄本ヲ添ヘテ之ヲ届出ツルコトヲ要ス
一 新旧族称
二 族称変更ノ原因
三 族称変更ノ辞令又ハ許可アリタル年月日
前項ノ届出ハ其族称ニ変更アリタル者カ家族ナルトキハ戸主ヨリ之ヲ為スコトヲ要ス
第百六十六条 前条ノ規定ハ分家、廃絶家再興又ハ処刑ニ因リテ族称ヲ失ヒタル者ニハ之ヲ適用セス但処刑ニ因リテ族称ヲ失ヒタル場合ニ於テハ裁判所ハ其者ノ本籍地ノ戸籍吏ニ其旨ヲ報告スルコトヲ要ス
第二十一節 身分登記ノ変更
第百六十七条 身分登記ノ変更ヲ請求セント欲スル者ハ原登記ヲ為シタル戸籍役場ノ所在地ヲ管轄スル区裁判所ノ許可ヲ得テ其申請ヲ為スコトヲ要ス
第百六十八条 身分登記変更ノ申請ハ許可ノ裁判カ確定シタル日ヨリ一个月内ニ左ノ諸件ヲ具シ裁判ノ謄本ヲ添ヘテ原登記ヲ為シタル戸籍吏ニ之ヲ為スコトヲ要ス
一 原登記ノ件名及ヒ年月日
二 変更スヘキ事項
第百六十九条 前条ノ規定ハ確定判決ニ依リテ身分登記ノ変更ヲ申請スル場合ニ之ヲ準用ス
第五章 戸籍簿
第百七十条 戸籍ハ戸籍吏ノ管轄地内ニ本籍ヲ定メタル者ニ付キ之ヲ編製ス
日本ノ国籍ヲ有セサル者ハ本籍ヲ定ムルコトヲ得ス
第百七十一条 戸籍ハ地番号ノ順序ニ従ヒ之ヲ編綴シテ帳簿ト為ス
戸籍吏ノ管轄地内ニ各別ニ地番号ヲ附シタル二個以上ノ区画アル場合ニ於テハ其区画ノ順序ハ戸籍吏之ヲ定ム
第百七十二条 戸籍簿ハ正副二本ヲ設ク
戸籍簿ノ正本ハ之ヲ戸籍役場ニ備ヘ其副本ハ監督区裁判所ヲ管轄スル地方裁判所之ヲ保存ス
第百七十三条 家督相続、廃絶家其他ノ事由ニ因リ戸籍ノ全部ヲ抹消シタルモノハ之ヲ戸籍簿ヨリ除キ別ニ編綴シテ帳簿ト為シ之ヲ戸籍役場ニ保存ス
前項ノ帳簿ヲ保存スヘキ期間ハ司法大臣之ヲ定ム
第百七十四条 第十二条乃至第十四条ノ規定ハ戸籍簿並ニ戸籍ノ謄本及ヒ抄本ニ之ヲ準用ス
第六章 戸籍ノ記載手続
第百七十五条 戸籍ハ一戸毎ニ一本ヲ作ル
第百七十六条 戸籍ニハ左ノ事項ヲ記載スルコトヲ要ス
一 戸主、前戸主、及ヒ家族ノ氏名
二 戸主ノ族称及ヒ本籍地但家族ト戸主ト族称ヲ異ニスル場合ニ於テハ家族ニ付テモ其族称ヲ記載スルコトヲ要ス
三 戸主及ヒ家族ノ出生ノ年月日
四 戸主又ハ家族ト為リタル原因及ヒ年月日但出生ニ因リテ家族ト為リタル者ニ付テハ此記載ヲ要セス
五 戸主並ニ家族ノ父母ノ氏名及ヒ其父母ト戸主又ハ家族トノ続柄
六 戸主ト前戸主トノ続柄及ヒ家族ト戸主トノ続柄但家族ノ中他家ヨリ入リテ他ノ家族ノ配偶者ト為リタル者又ハ他ノ家族ヲ経テ戸主トノ親族関係ヲ有スル者ニ付テハ其者ト戸主トノ続柄ノ外他ノ家族トノ続柄ヲ記載スルコトヲ要ス
七 他家ヨリ入リテ戸主又ハ家族ト為リタル者ニ付テハ其原籍地、原籍ノ戸主ノ氏名、族称及ヒ其戸主ト戸主又ハ家族ト為リタル者トノ続柄
八 他家ヨリ入リテ家族ト為リタル者ニシテ他ノ家族トノミ親族関係ヲ有スル者ニ付テハ其者ト他ノ家族トノ続柄
九 戸主又ハ家族ノ身分ノ変更及ヒ其原因並ニ年月日
十 後見人アル者ニ付テハ後見人ノ氏名、住所及ヒ後見人ノ就職並ニ任務終了ノ年月日
第百七十七条 戸主及ヒ家族ノ氏名ヲ戸籍ニ記載スルニハ左ノ順序ニ依ル
第一 戸主
第二 戸主ノ直系尊属
第三 戸主ノ配偶者
第四 戸主ノ直系卑属及ヒ其配偶者
第五 戸主ノ傍系親及ヒ其配偶者
第六 戸主ノ親族ニ非サル者
直系尊属ノ間ニ在リテハ親等ノ遠キ者ヲ先ニシ直系卑属又ハ傍系親ノ間ニ在リテハ親等ノ近キ者ヲ先ニス
直系尊属、直系卑属又ハ傍系親ノ間ニ在リテ親等ノ同シキ者ハ親族間ノ順位ニ依リ親族間ノ順位ノ同シキ者ハ出生ノ前後ニ依リテ其順序ヲ定ム
前二項ノ規定ハ戸主ノ親族ニ非サル者ノ記載ニ之ヲ準用ス
第百七十八条 戸籍吏カ身分登記ヲ為シ又ハ戸籍ニ関スル届出ヲ受理シタルトキハ次条以下ノ規定ニ従ヒテ戸籍ノ記載ヲ為スコトヲ要ス
第百七十九条 家督相続又ハ家督相続回復ノ登記ヲ為シタルトキハ其登記及ヒ前戸主又ハ戸主ノ名義ヲ有セシ者ノ戸籍ニ基キテ新戸主ノ戸籍ヲ編製スルコトヲ要ス
前項ノ場合ニ於テハ前戸主又ハ戸主ノ名義ヲ有セシ者ノ戸籍ニ事由ヲ記載シテ其戸籍ヲ抹消シ且其戸籍ト新戸主ノ戸籍トニ職印ヲ以テ契印ヲ為スコトヲ要ス
胎児カ家督相続人ナル場合ニ於テハ其出生ニ至ルマテ前二項ノ手続ヲ為スコトヲ要セス此場合ニ於テハ前戸主ノ戸籍中戸主ニ関スル部分ノミヲ抹消シ家督相続人ノ胎児ナル旨ヲ記載スルコトヲ要ス
第百八十条 分家、廃絶家再興其他新ニ家ヲ立ツヘキ事件ノ登記ヲ為シ又ハ転籍若クハ無籍戸主ノ就籍ノ届出ヲ受理シタルトキハ其登記又ハ届出ニ基キテ戸籍ヲ編製シ転籍届書ノ副本ハ遅滞ナク之ヲ旧管轄ノ戸籍吏ニ送付スルコトヲ要ス
前項ノ規定ニ依リテ戸籍ヲ編製スルニハ第百七十六条ニ掲ケタル事項ノ外各場合ニ付キ特殊ナル事項ヲ記載スルコトヲ要ス
第百八十一条 復籍拒絶ノ登記ヲ為シタルトキハ復籍ヲ拒絶シタル者ノ戸籍ニ登記ノ要旨ヲ記載スルコトヲ要ス
第百八十二条 廃絶家ノ登記ヲ為シタルトキハ最終戸主ノ戸籍ニ事由ヲ記載シテ其戸籍ヲ抹消スルコトヲ要ス
第百八十三条 単身戸主ノ死亡又ハ失踪ノ登記ヲ為シタル場合ニ於テ其家ニ家督相続人ナキコト分明ナルトキハ戸籍吏ハ戸籍役場ノ所在地ヲ管轄スル区裁判所ノ許可ヲ得テ死亡者又ハ失踪者ノ戸籍ニ絶家ノ原因及ヒ年月日ヲ記載シテ其戸籍ヲ抹消スルコトヲ要ス
第百八十四条 戸籍吏ノ管轄地内ニ於ケル本籍地変更ノ届出ヲ受理シタルトキハ事由ヲ戸籍ニ記載シ旧本籍地ニ関スル記載ヲ抹消シ新本籍地ヲ記載スルコトヲ要ス
第百八十五条 前六条ノ場合ヲ除ク外身分登記ヲ為シ又ハ戸籍ニ関スル届出ヲ受理シタルトキハ其登記又ハ届出ニ基キ第百七十六条ニ掲ケタル事項ヲ戸籍ニ記載スルコトヲ要ス
前項ノ場合ニ於テ第百八十条第二項ノ規定ニ依リテ戸籍ニ記載シタル事項ノ変更アルトキハ其変更ヲ記載スルコトヲ要ス
第百八十六条 戸籍ヲ編製シタル後一人又ハ数人ヲ戸籍ニ入ルヘキトキハ第百七十七条ノ順序ニ拘ハラス戸籍ノ末尾ニ之ヲ記載スルコトヲ得
第百八十七条 一戸ノ全員又ハ一戸内ノ一人若クハ数人ヲ戸籍ヨリ除クヘキトキハ事由ヲ戸籍ニ記載シテ戸籍ノ全部又ハ一部ヲ抹消スルコトヲ要ス
第百八十八条 入籍ノ手続ヲ為ス場合ニ於テ入籍ヲ為スヘキ者ノ本籍カ他ノ戸籍吏ノ管轄ヨリ戸籍吏ノ管轄ニ転属スルモノナルトキハ身分ニ関スル届書其他ノ書類又ハ戸籍ニ関スル届書ヲ送付スルト同時ニ入籍ヲ為シタル旨ヲ旧管轄ノ戸籍吏ニ通知スルコトヲ要ス
第百八十九条 除籍ノ手続ヲ為スヘキ場合ニ於テ除籍ヲ為スヘキ者ノ本籍カ戸籍吏ノ管轄ヨリ他ノ戸籍吏ノ管轄ニ転属スルモノナルトキハ新管轄ノ戸籍吏ヨリ入籍ヲ為シタル旨ノ通知ヲ受ケタル後其通知ノ発送及ヒ受附ノ年月日ヲ戸籍ニ記載シテ除籍ノ手続ヲ為スコトヲ要ス
転籍ニ因リテ除籍ヲ為スヘキ場合ニ於テハ前項ニ掲ケタル事項ノ外転籍地及ヒ転籍ノ年月日ヲ記載スルコトヲ要ス
第百九十条 身分登記又ハ戸籍ニ関スル届出ニ基キテ戸籍ノ記載ヲ為ス場合ニ於テハ前十一条ニ規定シタル事項ノ外身分ニ関スル届書其他ノ書類又ハ戸籍ニ関スル届書ノ受附年月日ヲ記載スルコトヲ要ス
第百九十一条 第十八条、第二十九条及ヒ第三十一条ノ規定ハ戸籍ノ記載ニ之ヲ準用ス
第百九十二条 戸籍用紙中ノ一部分ヲ用井尽シタルトキハ掛紙ヲ以テ用紙ニ充ツルコトヲ得
掛紙ヲ為シタルトキハ戸籍吏ハ職印ヲ以テ掛紙ト本紙トニ契印ヲ為スコトヲ要ス
第百九十三条 行政区画、土地ノ名称又ハ地番号ノ変更アリタルトキハ戸籍ニ記載シタル区画、名称又ハ番号ハ当然之ヲ改正シタルモノト看做ス
第百九十四条 第百七十九条及ヒ第百八十条ノ規定ニ依リテ戸籍ヲ編製シタルトキハ戸籍吏ハ遅滞ナク其副本ヲ監督区裁判所ヲ管轄スル地方裁判所ニ送付スルコトヲ要ス
第七章 戸籍ニ関スル届出
第百九十五条 戸籍吏ノ管轄地外ニ本籍ヲ転セント欲スルトキハ戸主ヨリ左ノ諸件ヲ具シ戸籍ノ謄本ヲ添ヘテ之ヲ転籍地ノ戸籍吏ニ届出ツルコトヲ要ス
一 転籍者ノ氏名、出生ノ年月日及ヒ職業
二 原籍地及ヒ転籍地
前項ノ届書ハ正副二本ヲ作ルコトヲ要ス
第百九十六条 戸籍吏ノ管轄地内ニ於テ本籍地ヲ変更セント欲スルトキハ戸主ヨリ原籍地及ヒ新本籍地ヲ具シテ其旨ヲ戸籍吏ニ届出ツルコトヲ要ス
第百九十七条 届出ノ闕漏其他ノ事由ニ因リ本籍ヲ有セス又ハ複本籍ヲ有スル者ハ就籍又ハ除籍ノ届出ヲ為サントスル戸籍役場ノ所在地ヲ管轄スル区裁判所ノ許可ヲ得テ其届出ヲ為スコトヲ要ス
第百九十八条 就籍ノ届出ハ許可ノ裁判カ確定シタル日ヨリ十日内ニ左ノ諸件ヲ具シ裁判ノ謄本ヲ添ヘテ就籍スヘキ地ノ戸籍吏ニ之ヲ為スコトヲ要ス
一 就籍スヘキ者ノ氏名、族称、出生ノ年月日時、職業及ヒ就籍スヘキ地
二 就籍スヘキ者ノ父母ノ氏名及ヒ其者ト父母トノ続柄
三 本籍ヲ有セサリシ原因
四 就籍スヘキ者カ前ニ本籍ヲ有セシトキハ其旧本籍地
五 就籍スヘキ者カ戸主ナルトキハ其旨
六 就籍スヘキ者カ家族ナルトキハ戸主ノ氏名、族称、職業及ヒ其者ト戸主トノ続柄
七 就籍スヘキ者カ戸主及ヒ家族ナルトキハ戸主、家族ノ別及ヒ家族ト戸主トノ続柄
八 就籍スヘキ者カ他家ヨリ入リテ戸主又ハ家族ト為リタル者ナルトキハ其原籍地、原籍ノ戸主ノ氏名、族称及ヒ其戸主ト就籍スヘキ者トノ続柄
前項第六号及ヒ第七号ノ場合ニ於テ就籍スヘキ家族カ他家ヨリ入リテ他ノ家族ノ配偶者ト為リタル者ナルトキ又ハ他ノ家族ヲ経テ戸主トノ親族関係ヲ有スル者ナルトキハ届書ニ其者ト戸主トノ続柄ノ外他ノ家族トノ続柄ヲ記載シ若シ他ノ家族トノミ親族関係ヲ有スル者ナルトキハ其者ト他ノ家族トノ続柄ノミヲ記載スルコトヲ要ス
第百九十九条 除籍ノ届出ハ許可ノ裁判カ確定シタル日ヨリ十日内ニ左ノ諸件ヲ具シ裁判ノ謄本ヲ添ヘテ除籍スヘキ地ノ戸籍吏ニ之ヲ為スコトヲ要ス
一 除籍スヘキ者ノ氏名、族称、職業、本籍地及ヒ複本籍地
二 複本籍ヲ有セル原因
三 除籍スヘキ者カ本籍ト複本籍トニ於テ身分ヲ異ニスルトキハ本籍並ニ複本籍ニ於ケル身分及ヒ其身分ノ異ナル原因
第二百条 就籍又ハ除籍スヘキ者カ家族ナルトキ又ハ戸主及ヒ家族ナルトキハ前二条ノ届出ハ戸主ヨリ之ヲ為スコトヲ要ス
第二百一条 第百九十八条及ヒ第百九十九条ノ規定ハ確定判決ニ依リテ就籍又ハ除籍ノ届出ヲ為ス場合ニ之ヲ準用ス
第二百二条 第四十三条、第四十四条、第四十六条、第四十九条乃至第五十二条、第五十四条、第五十五条、第五十八条及ヒ第六十二条乃至第六十六条ノ規定ハ本章ノ届出ニ之ヲ準用ス
第八章 抗告
第二百三条 身分登記又ハ戸籍ニ関スル事件ニ付キ戸籍吏ノ処分ヲ不当トスル者ハ戸籍役場ノ所在地ヲ管轄スル区裁判所ニ抗告ヲ為スコトヲ得
第二百四条 抗告ハ管轄区裁判所ニ抗告状ヲ差出シテ之ヲ為ス
抗告状ニハ届書又ハ申請書及ヒ其他ノ関係書類ヲ添フルコトヲ要ス
第二百五条 抗告ヲ受ケタル裁判所ハ抗告ニ関スル書類ヲ戸籍吏ニ送付シテ其意見ヲ求ムルコトヲ要ス
第二百六条 戸籍吏ハ抗告ヲ理由アリト認ムルトキハ処分ヲ変更シテ其旨ヲ裁判所及ヒ抗告人ニ通知スルコトヲ要ス
抗告ヲ理由ナシト認ムルトキハ其意見ヲ附シ送付ヲ受ケタル書類ヲ五日内ニ裁判所ニ返還スルコトヲ要ス
第二百七条 裁判所ハ抗告ヲ理由ナシトスルトキハ之ヲ却下シ其理由アリトスルトキハ戸籍吏ニ相当ノ処分ヲ命スルコトヲ要ス
抗告ヲ却下シ又ハ処分ヲ命スル裁判ハ決定ヲ以テ之ヲ為シ之ヲ戸籍吏及ヒ抗告人ニ送達スルコトヲ要ス
第二百八条 裁判所ノ決定ニ対シテハ法律ニ違背シタル裁判ナルコトヲ理由トスルトキニ限リ民事訴訟法ノ規定ニ従ヒテ抗告ヲ為スコトヲ得
第二百九条 抗告ノ費用ニ付テハ非訟事件手続法ノ規定ヲ準用ス
第九章 罰則
第二百十条 本法ノ規定ニ依リ期間内ニ為スヘキ届出又ハ申請ヲ怠リタル者ハ十円以下ノ過料ニ処セラル
第二百十一条 期間内ニ届出又ハ申請ヲ為ササルニ因リ戸籍吏カ期間ヲ定メテ届出又ハ申請ノ催告ヲ為シタル場合ニ於テ尚ホ其届出又ハ申請ヲ怠リタル者ハ二十円以下ノ過料ニ処セラル二回以上戸籍吏ノ催告ニ応セサル者亦同シ
第二百十二条 戸籍吏ハ左ノ場合ニ於テハ三十円以下ノ過料ニ処セラル
一 正当ノ理由ナクシテ身分又ハ戸籍ニ関スル届出若クハ申請ヲ受理セサルトキ
二 身分登記又ハ戸籍ノ記載ヲ為スコトヲ怠リタルトキ
第二百十三条 戸籍吏ハ左ノ場合ニ於テハ十円以下ノ過料ニ処セラル
一 正当ノ理由ナクシテ身分登記簿又ハ戸籍簿ノ閲覧ヲ拒ミタルトキ
二 正当ノ理由ナクシテ身分登記又ハ戸籍ノ謄本若クハ抄本ヲ交付セス又ハ身分若クハ戸籍ニ関スル届出又ハ申請ノ受理ノ証明書ヲ交付セサルトキ
第二百十四条 本章ニ定メタル過料ノ裁判ハ過料ニ処セラルヘキ者ノ住所又ハ居所ノ地ヲ管轄スル区裁判所之ヲ為ス其裁判及ヒ裁判ノ執行ニ付テハ非訟事件手続法ノ規定ヲ準用ス
第二百十五条 自己又ハ他人ノ利ヲ図リ若クハ他人ヲ害スル目的ヲ以テ身分又ハ戸籍ニ関シ詐偽ノ届出若クハ申請ヲ為シタル者ハ十一日以上四年以下ノ重禁錮又ハ二円以上百円以下ノ罰金ニ処セラル
附 則
第二百十六条 市町村長ヲ置カサル地ニ於テハ市町村長ノ職務ヲ行フ吏員ヲ以テ戸籍吏トシ其吏員ノ職務ヲ行フ役場ヲ以テ戸籍役場トス
市町村長ノ職務ヲ行フ吏員ノ事務ヲ代理スヘキ者ナキ地ニ在リテハ監督区裁判所ヲ管轄スル地方裁判所ノ長司法大臣ノ認可ヲ得テ予メ其事務ヲ代理スヘキ者ヲ定ム
市参事会員其他戸籍吏ノ職務ヲ行フヘキ吏員ナキ地ニ於テ此等ノ者ニ代ハリテ戸籍吏ノ職務ヲ行フヘキ者モ亦前項ノ手続ニ依リテ之ヲ定ム
第二百十七条 本法ノ規定ニ依リテ納付スル手数料ハ之ヲ市町村ノ収入トス但国庫ヨリ戸籍役場ノ経費ヲ支弁スル地ニ在リテハ之ヲ国庫ノ収入トス
手数料ノ金額ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第二百十八条 本法ノ規定ニ依リ届出人其他ノ者ノ署名、捺印ヲ要スル場合ニ於テ其者カ印ヲ有セサルトキハ署名スルヲ以テ足ル署名スルコト能ハサルトキハ名ヲ代署セシメ捺印スルヲ以テ足ル若シ署名スルコト能ハス且印ヲ有セサルトキハ名ヲ代署セシメ拇印スルヲ以テ足ル
前項ノ規定ニ依リ捺印セス又ハ名ヲ代署セシメ若クハ拇印シタル場合ニ於テハ書面ニ其事由ヲ附記スルコトヲ要ス
第二百十九条 明治三十一年十二月三十一日マテハ従前登記目録トシテ備ヘタル帳簿ヲ以テ身分登記簿ニ代用スルコトヲ得
第二百二十条 登記目録ノ冊数又ハ紙数カ身分登記簿ニ代用スルニ足ラサル場合ニ於テハ明治三十一年十二月三十一日マテノ身分登記簿ニ限リ戸籍吏ハ第九条ノ規定ニ拘ハラス登記目録ヲ作製スルト同一ノ手続ニ依リテ之ヲ作製スルコトヲ得
前項ノ規定ハ登記目録ノ設ナカリシ地ノ身分登記簿ニ之ヲ準用ス
第二百二十一条 本法ノ規定ニ依リ戸籍ヲ改製スヘキ時期ハ各地又ハ一般ニ付キ司法大臣之ヲ定ム
本法施行後戸籍ノ記載ヲ為シ又ハ新ニ戸籍ヲ編製スル場合ニ於テハ其記載又ハ編製ニ付テハ本法ノ規定ニ従フコトヲ要ス但記載ヲ要スル事項ニシテ其事実ヲ知ルコト能ハサルモノ又ハ従前ノ戸籍用紙中其事項ヲ記載スヘキ区画ノ設ナキモノハ其記載ヲ省クコトヲ得
第二百二十二条 明治四年四月四日布告戸籍法、明治十九年内務省令第十九号及ヒ同年内務省令第二十二号ハ寄留ニ関スル規定ヲ除ク外本法施行ノ日ヨリ之ヲ廃止シ其他ノ法令ニシテ本法ノ規定ニ牴触シ又ハ重複スルモノハ同日ヨリ之ヲ廃止ス
寄留ニ関スル事務ノ監督ニ付テハ第五条ノ規定ヲ準用ス
第二百二十三条 本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム