本法案は、私生子の法的・社会的地位の改善を目的とした民法改正案である。具体的には、「私生子」という名称の廃止、父母死亡後の認知制度の整備、胎児の代襲相続権の改善を主な内容としている。毎年数万人に上る私生子は、法律上の不利益に加え、社会的偏見による冷遇を受けている。特に戦時下において、出征軍人が婚姻届や認知届を提出する暇もなく戦死した場合、その子が不利益を被る事態が生じている。また、現行法では父母死亡後の認知が認められていないため、その救済措置として死後3年以内の認知を可能とする。さらに、相続人となるべき者の死亡時に胎児であった者にも代襲相続権を認めることで、戦死者の遺児の権利保護を図るものである。
参照した発言:
第79回帝国議会 貴族院 戦時に於ける領事官の裁判の特例に関する法律案特別委員会 第1号