朕海軍高等武官准士官服役令ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十二年三月二十七日
海軍大臣 山本權兵衞
勅令第六十八號
海軍高等武官准士官服役令
第一條 海軍高等武官及准士官ノ服役ヲ分チテ現役豫備役及後備役トス
服役ヲ免セラレ又ハ服役ヲ終リタルトキハ退役トス
第二條 現役トハ武官ヲ以テ充ツヘキ軍務ニ服スルヲ謂フ現役中海軍大臣又ハ海軍次官ニ任セラレタル者修學ヲ命セラレタル者及待命休職停職ニ在ル者ハ現役ニ在ル者ト看做ス
待命トハ就職ノ命ヲ待ツヲ謂フ
休職トハ左ニ揭クル事項ノ一ニ該リ武官ヲ以テ充ツヘキ軍務ニ服セサルヲ謂フ
一 待命一箇年ヲ過キタルトキ
二 傷痍ヲ受ケ若ハ疾病ニ罹リ六箇月ヲ經過スルモ尙快復ノ徵候ナキトキ
三 修學ノ請願ヲ爲シ許可ヲ受ケタルトキ
四 修學ノ許可ヲ受ケタル者修學滿期ニ至リ就職ヲ命セラレサルトキ
五 現役中海軍部內ノ文官ニ任セラレタルトキ但シ海軍大臣又ハ海軍次官タル者及修學ヲ命セラレタル者ハ此ノ限ニアラス
六 現役中海軍部內ノ文官ニ任セラレタルニ因リ休職ト爲リタル者文官ヲ免セラレ就職ノ命ナキトキ
停職トハ懲戒スヘキ行爲アリテ一時職務ヲ免セラレ又ハ就職ヲ停メラレタルヲ謂フ
停職ヲ命セラレタル者ハ六箇月ヲ經ルニ非サレハ就職セシムルコトヲ得ス但シ戰時若ハ事ニ變際シテハ此ノ限ニアラス
第三條 高等武官及准士官ノ現役定限年齡ハ左ノ如シ
大將 六十八年
中將相當官 六十五年
中將 六十三年
少將相當官 六十年
少將
造船大監
造兵大監
五十八年
機關大監
軍醫大監
主計大監
藥劑監
造船中監
造兵中監
五十五年
大佐
水路監
藥劑正
造船少監
造兵少監
五十三年
兵曹長
軍樂長
船匠長
機關兵曹長
看護長
筆記長
上等機關兵曹
五十一年
機關中監
軍醫中監
主計中監
五十年
中佐
水路正
大藥劑士
造船大技士
造兵大技士
水路大技士
上等兵曹
上等信號兵曹
軍樂師
船匠師
看護師
上等筆記
四十八年
少佐
機關少監
軍醫少監
主計少監
大機關士
大軍醫
大主計
四十五年
大尉
中藥劑士
造船中技士
造兵中技士
水路中技士
少藥劑士
造船少技士
造兵少技士
水路少技士
四十三年
中機關士
中軍醫
中主計
少機關士
少軍醫
少主計
四十年
中尉 少尉 三十八年
元帥タル大將ノ現役定限年齡ハ之ヲ定メス
第四條 高等武官及准士官ハ現役定限年齡ニ滿ツルマテ現役ニ服ス
第五條 現役高等武官及准士官其ノ定限年齡ニ滿ツルモ他人ヲ以テ代フヘカラサル職ニ在ルトキハ留任ヲ命スルコトアルヘシ
第六條 現役高等武官及准士官其ノ定限年齡ニ滿ツルモ戰時若ハ事變ニ際スルトキ又ハ航海中或ハ外國駐在中ハ現役期限ヲ延ハスコトアルヘシ
第七條 現役高等武官及准士官其ノ定限年齡ニ滿タサルモ服役十一年以上ニシテ現役ニ堪ヘサルトキハ將官同相當官ハ上諭ニ依リ上長官士官及准士官ハ海軍大臣旨ヲ諭シテ現役ヲ退カシムルコトアルヘシ
第八條 高等武官及准士官現役定限年齡ニ達セスシテ左ニ揭クル事項ノ一ニ該ルトキハ豫備役ニ服セシム
一 第七條ニ依リ現役ヲ退キタルトキ
二 休職ヲ命セラレタル後二箇年ニ至リ就職ヲ命セラレサルトキ但シ第二條第三項第三ニ該ルトキハ此ノ限ニアラス
三 停職ヲ命セラレタル後一箇年半ニ至リ就職ヲ命セラレサルトキ
四 海軍部外ノ文官ニ任セラレタルトキ但シ武官ヲ以テ充ツヘキ軍務ニ服スル者海軍大臣又ハ海軍次官タル者及修學ヲ命セラレタル者ハ此ノ限ニアラス
五 貴族院令第四條第五條ニ依リ貴族院議員トナリタルトキ
六 海軍准士官下士任用進級條例第十六條第十八條及第十九條ニ依リ豫備役下士ニシテ准士官ニ任用セラレタルトキ及同條例第十七條ニ依リ下士ニシテ豫備役ニ入リタル際准士官ニ任用セラレタルトキ
第九條 豫備役高等武官及准士官ノ豫備役ニ服スヘキ期限ハ第三條ニ揭クル現役定限年齡ニ滿ツルマテトス
豫備役ニ在リ又ハ豫備役ニ入リタル際兵曹長ヨリ中尉ニ機關兵曹長ヨリ中機關士ニ進級セシ者ノ豫備役ニ服スヘキ期限ハ各其ノ前官ノ現役定限年齡ニ滿ツルマテトス
第十條 高等武官及准士官左ノ事項ノ一ニ該ルトキハ後備役ニ服セシム第五條ニ依リ留任ヲ命セラレタル者亦同シ
一 現役定限年齡ニ至リ現役ヲ退キタルトキ
二 豫備役滿期ニ至リタルトキ
三 海軍准士官下士任用進級條例第十六條第十八條及第十九條ニ依リ後備役下士ニシテ准士官ニ任用セラレタルトキ及同條例第十七條ニ依リ下士ニシテ後備役ニ入リタル際准士官ニ任用セラレタルトキ
第十一條 高等武官及准士官ノ後備役ニ服スヘキ期限ハ五箇年トス
第十二條 海軍准士官下士任用進級條例第十六條第十七條及第十八條ニ依リ准士官ニ任セラレタル者及豫備役後備役ニ在ル者ニシテ同條例第十九條ニ依リ准士官ニ任セラレタルトキ其ノ豫備役後備役服役期限ハ准士官ニ任セラレサルトキニ同シ
第十三條 豫備役後備役高等武官及准士官ハ各其ノ服役期限滿ツルモ戰時若ハ事變ニ際スルトキ又ハ航海中或ハ外國駐在中ハ各其ノ服役期限ヲ延ハスコトアルヘシ
第十四條 第五條ニ依リ留任ヲ命シ又ハ第六條及第十三條ニ依リ服役ヲ延期シタル者ノ各服役年期ノ計算ハ留任セサルトキ又ハ服役ヲ延期セサルトキニ同シ
第十五條 高等武官及准士官左ノ事項ノ一ニ該ルトキハ退役トス
一 後備役滿期ニ至リタルトキ
二 傷痍若ハ疾病ニ因リ永久服役ニ堪ヘサルカ爲現役豫備役又ハ後備役ヲ免セラレタルトキ
三 海軍准士官下士任用進級條例第十六條第十七條及第十八條ニ依リ准士官ニ任セラレタル者竝豫備役後備役ニ在ル者ニシテ同條例第十九條ニ依リ准士官ニ任セラレタル者、准士官ニ任セラレサル場合ニ於テ免官トナルヘキトキ
第十六條 豫備役後備役ニ在ル高等武官及准士官ハ召集ニ應スヘキモノトス
第十七條 豫備役後備役高等武官及准士官ニシテ文官ニ任セラレ他人ヲ以テ代フヘカラサル職務ヲ奉スル者又ハ外國ニ在ル者及市町村長助役收入役タル者ハ演習ノ爲召集スルコトナシ法律ヲ以テ設立シタル議會ノ議員タル者其ノ開會中亦同シ
第十八條 前條ニ揭クル他人ヲ以テ代フヘカラサル職務ヲ奉スル者ニ就テハ豫メ當該官廳ヨリ內閣ニ具狀シテ演習召集免除ノ認可ヲ受ケ海軍大臣ニ通報スヘシ其ノ事故止ミタルトキ亦同シ
附 則
第十九條 本令施行ノ際旣ニ第三條ノ現役定限年齡ヲ超過シタル者ハ本令施行ノ日ヨリ後備役ニ服セシム
第二十條 本令ハ明治三十二年四月一日ヨリ施行ス
第二十一條 明治二十二年勅令第百四十六號同二十三年勅令第九十九號同二十五年勅令第四十一號ハ本令施行ノ日ヨリ廢止ス
朕海軍高等武官准士官服役令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十二年三月二十七日
海軍大臣 山本権兵衛
勅令第六十八号
海軍高等武官准士官服役令
第一条 海軍高等武官及准士官ノ服役ヲ分チテ現役予備役及後備役トス
服役ヲ免セラレ又ハ服役ヲ終リタルトキハ退役トス
第二条 現役トハ武官ヲ以テ充ツヘキ軍務ニ服スルヲ謂フ現役中海軍大臣又ハ海軍次官ニ任セラレタル者修学ヲ命セラレタル者及待命休職停職ニ在ル者ハ現役ニ在ル者ト看做ス
待命トハ就職ノ命ヲ待ツヲ謂フ
休職トハ左ニ掲クル事項ノ一ニ該リ武官ヲ以テ充ツヘキ軍務ニ服セサルヲ謂フ
一 待命一箇年ヲ過キタルトキ
二 傷痍ヲ受ケ若ハ疾病ニ罹リ六箇月ヲ経過スルモ尚快復ノ徴候ナキトキ
三 修学ノ請願ヲ為シ許可ヲ受ケタルトキ
四 修学ノ許可ヲ受ケタル者修学満期ニ至リ就職ヲ命セラレサルトキ
五 現役中海軍部内ノ文官ニ任セラレタルトキ但シ海軍大臣又ハ海軍次官タル者及修学ヲ命セラレタル者ハ此ノ限ニアラス
六 現役中海軍部内ノ文官ニ任セラレタルニ因リ休職ト為リタル者文官ヲ免セラレ就職ノ命ナキトキ
停職トハ懲戒スヘキ行為アリテ一時職務ヲ免セラレ又ハ就職ヲ停メラレタルヲ謂フ
停職ヲ命セラレタル者ハ六箇月ヲ経ルニ非サレハ就職セシムルコトヲ得ス但シ戦時若ハ事ニ変際シテハ此ノ限ニアラス
第三条 高等武官及准士官ノ現役定限年齢ハ左ノ如シ
大将 六十八年
中将相当官 六十五年
中将 六十三年
少将相当官 六十年
少将
造船大監
造兵大監
五十八年
機関大監
軍医大監
主計大監
薬剤監
造船中監
造兵中監
五十五年
大佐
水路監
薬剤正
造船少監
造兵少監
五十三年
兵曹長
軍楽長
船匠長
機関兵曹長
看護長
筆記長
上等機関兵曹
五十一年
機関中監
軍医中監
主計中監
五十年
中佐
水路正
大薬剤士
造船大技士
造兵大技士
水路大技士
上等兵曹
上等信号兵曹
軍楽師
船匠師
看護師
上等筆記
四十八年
少佐
機関少監
軍医少監
主計少監
大機関士
大軍医
大主計
四十五年
大尉
中薬剤士
造船中技士
造兵中技士
水路中技士
少薬剤士
造船少技士
造兵少技士
水路少技士
四十三年
中機関士
中軍医
中主計
少機関士
少軍医
少主計
四十年
中尉 少尉 三十八年
元帥タル大将ノ現役定限年齢ハ之ヲ定メス
第四条 高等武官及准士官ハ現役定限年齢ニ満ツルマテ現役ニ服ス
第五条 現役高等武官及准士官其ノ定限年齢ニ満ツルモ他人ヲ以テ代フヘカラサル職ニ在ルトキハ留任ヲ命スルコトアルヘシ
第六条 現役高等武官及准士官其ノ定限年齢ニ満ツルモ戦時若ハ事変ニ際スルトキ又ハ航海中或ハ外国駐在中ハ現役期限ヲ延ハスコトアルヘシ
第七条 現役高等武官及准士官其ノ定限年齢ニ満タサルモ服役十一年以上ニシテ現役ニ堪ヘサルトキハ将官同相当官ハ上諭ニ依リ上長官士官及准士官ハ海軍大臣旨ヲ諭シテ現役ヲ退カシムルコトアルヘシ
第八条 高等武官及准士官現役定限年齢ニ達セスシテ左ニ掲クル事項ノ一ニ該ルトキハ予備役ニ服セシム
一 第七条ニ依リ現役ヲ退キタルトキ
二 休職ヲ命セラレタル後二箇年ニ至リ就職ヲ命セラレサルトキ但シ第二条第三項第三ニ該ルトキハ此ノ限ニアラス
三 停職ヲ命セラレタル後一箇年半ニ至リ就職ヲ命セラレサルトキ
四 海軍部外ノ文官ニ任セラレタルトキ但シ武官ヲ以テ充ツヘキ軍務ニ服スル者海軍大臣又ハ海軍次官タル者及修学ヲ命セラレタル者ハ此ノ限ニアラス
五 貴族院令第四条第五条ニ依リ貴族院議員トナリタルトキ
六 海軍准士官下士任用進級条例第十六条第十八条及第十九条ニ依リ予備役下士ニシテ准士官ニ任用セラレタルトキ及同条例第十七条ニ依リ下士ニシテ予備役ニ入リタル際准士官ニ任用セラレタルトキ
第九条 予備役高等武官及准士官ノ予備役ニ服スヘキ期限ハ第三条ニ掲クル現役定限年齢ニ満ツルマテトス
予備役ニ在リ又ハ予備役ニ入リタル際兵曹長ヨリ中尉ニ機関兵曹長ヨリ中機関士ニ進級セシ者ノ予備役ニ服スヘキ期限ハ各其ノ前官ノ現役定限年齢ニ満ツルマテトス
第十条 高等武官及准士官左ノ事項ノ一ニ該ルトキハ後備役ニ服セシム第五条ニ依リ留任ヲ命セラレタル者亦同シ
一 現役定限年齢ニ至リ現役ヲ退キタルトキ
二 予備役満期ニ至リタルトキ
三 海軍准士官下士任用進級条例第十六条第十八条及第十九条ニ依リ後備役下士ニシテ准士官ニ任用セラレタルトキ及同条例第十七条ニ依リ下士ニシテ後備役ニ入リタル際准士官ニ任用セラレタルトキ
第十一条 高等武官及准士官ノ後備役ニ服スヘキ期限ハ五箇年トス
第十二条 海軍准士官下士任用進級条例第十六条第十七条及第十八条ニ依リ准士官ニ任セラレタル者及予備役後備役ニ在ル者ニシテ同条例第十九条ニ依リ准士官ニ任セラレタルトキ其ノ予備役後備役服役期限ハ准士官ニ任セラレサルトキニ同シ
第十三条 予備役後備役高等武官及准士官ハ各其ノ服役期限満ツルモ戦時若ハ事変ニ際スルトキ又ハ航海中或ハ外国駐在中ハ各其ノ服役期限ヲ延ハスコトアルヘシ
第十四条 第五条ニ依リ留任ヲ命シ又ハ第六条及第十三条ニ依リ服役ヲ延期シタル者ノ各服役年期ノ計算ハ留任セサルトキ又ハ服役ヲ延期セサルトキニ同シ
第十五条 高等武官及准士官左ノ事項ノ一ニ該ルトキハ退役トス
一 後備役満期ニ至リタルトキ
二 傷痍若ハ疾病ニ因リ永久服役ニ堪ヘサルカ為現役予備役又ハ後備役ヲ免セラレタルトキ
三 海軍准士官下士任用進級条例第十六条第十七条及第十八条ニ依リ准士官ニ任セラレタル者並予備役後備役ニ在ル者ニシテ同条例第十九条ニ依リ准士官ニ任セラレタル者、准士官ニ任セラレサル場合ニ於テ免官トナルヘキトキ
第十六条 予備役後備役ニ在ル高等武官及准士官ハ召集ニ応スヘキモノトス
第十七条 予備役後備役高等武官及准士官ニシテ文官ニ任セラレ他人ヲ以テ代フヘカラサル職務ヲ奉スル者又ハ外国ニ在ル者及市町村長助役収入役タル者ハ演習ノ為召集スルコトナシ法律ヲ以テ設立シタル議会ノ議員タル者其ノ開会中亦同シ
第十八条 前条ニ掲クル他人ヲ以テ代フヘカラサル職務ヲ奉スル者ニ就テハ予メ当該官庁ヨリ内閣ニ具状シテ演習召集免除ノ認可ヲ受ケ海軍大臣ニ通報スヘシ其ノ事故止ミタルトキ亦同シ
附 則
第十九条 本令施行ノ際既ニ第三条ノ現役定限年齢ヲ超過シタル者ハ本令施行ノ日ヨリ後備役ニ服セシム
第二十条 本令ハ明治三十二年四月一日ヨリ施行ス
第二十一条 明治二十二年勅令第百四十六号同二十三年勅令第九十九号同二十五年勅令第四十一号ハ本令施行ノ日ヨリ廃止ス