第一條 一般運送ノ用ニ供スル目的ヲ以テ運河ヲ開設セムトスル者ハ內務大臣ノ免許ヲ受クヘシ
第二條 免許ヲ受ケタル者ハ內務大臣ノ指定シタル期限內ニ工事設計ノ認可ヲ地方長官ニ申請スヘシ
第三條 國、公共團體又ハ行政廳ノ許可ヲ受ケタル者ニ於テ運河ニ接續若ハ接近シ又ハ之ヲ橫斷シテ河川、溝渠、道路、橋梁、鐵道、軌道其ノ他公共ノ用ニ供スルモノヲ造設スルモ免許ヲ受ケタル者ハ運河ノ效用ニ妨ナキ限リ之ヲ拒ムコトヲ得ス
前項ノ場合ニ於テ內務大臣又ハ地方長官ハ公益上必要ト認ムルトキハ免許ヲ受ケタル者ニ命シ接續、橫斷ノ場所ニ於ケル設備ヲ共用ニ供セシメ又ハ之ヲ變更セシムルコトヲ得
第四條 前條第一項ノ場合ニ於テ運河ノ效用ニ妨アリヤ否ニ付爭アルトキ又ハ同條第二項ノ場合ニ於テ設備ノ共用若ハ變更ニ要スル費用ノ負擔ニ付協議調ハサルトキハ地方長官之ヲ決定ス其ノ決定ニ不服アル者ハ內務大臣ニ訴願スルコトヲ得
第五條 工事カ其ノ設計又ハ免許、許可若ハ認可ノ條件ニ違反スルトキハ地方長官ハ其ノ改築、除却又ハ停止ヲ命スルコトヲ得
第六條 工事ノ全部又ハ一部竣功シ運送ヲ開始セムトスルトキハ地方長官ノ許可ヲ受クヘシ
第七條 免許ヲ受ケタル者ハ通航料其ノ他運河使用ニ關スル規程ヲ定メ地方長官ノ認可ヲ受クヘシ
地方長官ニ於テ公益上必要ト認ムルトキハ前項ノ規程ノ變更ヲ命スルコトヲ得
第八條 內務大臣又ハ地方長官ハ免許ヲ受ケタル者ヨリ事業ノ報吿ヲ徵シ又ハ其ノ狀況ヲ檢査スルコトヲ得
第九條 內務大臣又ハ地方長官ハ免許ヲ受ケタル者ニ對シ運河及附屬物件ノ維持修繕ヲ命シ其ノ他公益上必要ナル處分ヲ爲スコトヲ得
第十條 運河及附屬物件ハ免許ノ效力存續スル間及其ノ效力消滅後一年間ハ內務大臣ノ許可ヲ受クルニ非サレハ之ヲ讓渡シ又ハ擔保ニ供スルコトヲ得ス
第十一條 株式會社又ハ株式合資會社カ事業經營者タル場合ニ於テハ株式ノ第一囘拂込金額ハ株金ノ十分ノ一迄下ルコトヲ得
第十二條 左ニ揭クルモノヲ以テ運河用地トス
一 水路用地及運河ニ屬スル道路、橋梁、堤防、護岸、物揚場、繫船場ノ築設ニ要スル土地
四 運河ニ要スル船舶、器具、機械ヲ修理製作スル工場ノ建設ニ要スル土地
五 職務上常住ヲ要スル運河從事員ノ舍宅及從事員ノ駐在所等ノ建設ニ要スル土地
前項第三號乃至第五號ニ揭クル土地ハ運河ニ沿ヒタルモノニ限ル
第十三條 明治四十二年法律第二十八號ハ運河ノ抵當ニ之ヲ準用ス
第十四條 運河財團ハ左ニ揭クルモノニシテ運河財團ノ所有者ニ屬スルモノヲ以テ之ヲ組成ス
一 水路其ノ他ノ運河用地及其ノ上ニ存スル工作物竝之ニ屬スル器具、機械
二 工場、上屋、倉庫、事務所、舍宅及其ノ敷地竝之ニ屬スル器具、機械
三 運河用通信、信號ニ要スル工作物及其ノ敷地竝之ニ屬スル器具、機械
四 前三號ニ揭クル工作物ヲ所有シ又ハ使用スル爲他人ノ不動產ノ上ニ存スル地上權、登記シタル賃借權及前三號ニ揭クル土地ノ爲ニ存スル地役權
第十五條 國又ハ公共團體ハ免許ノ效力消滅シタル後運河開設ニ要シタル費用ヲ支拂ヒ其ノ運河及附屬物件ヲ買收スルコトヲ得但シ運河及附屬物件ニシテ開設當時ニ比シ價格ヲ減損シタルモノアルトキハ開設ニ要シタル費用ヨリ之ヲ控除ス
前項費用ノ範圍及金額ニ付協議調ハサルトキハ地方長官之ヲ決定ス其ノ決定ニ不服アル者ハ內務大臣ニ訴願スルコトヲ得
第十六條 國又ハ公共團體ニ於テ必要ト認ムルトキハ免許年限ノ滿了前ト雖運河及附屬物件ヲ買收スルコトヲ得
前項ノ買收價格ニ付協議調ハサルトキハ鑑定人ノ意見ヲ徵シ地方長官之ヲ決定ス其ノ決定ニ不服アル者ハ內務大臣ニ訴願スルコトヲ得
第十七條 左ニ揭クル場合ニ於テハ免許ヲ取消スコトヲ得
第十八條 工事竣功前免許ノ效力消滅シタル場合ニ於テハ地方長官ハ免許ヲ受ケタル者ニ對シ原狀ノ囘復其ノ他必要ナル措置ヲ命スルコトヲ得
第十九條 前二條ノ場合ニ於テ同一路線ニ當リ運河ノ開設ヲ免許セラレタル者ハ運河及附屬物件ヲ買收スルコトヲ得
前項ノ買收價格ニ付協議調ハサルトキハ第十六條第二項ノ規定ニ依ル