関税法施行規則
法令番号: 勅令第三百十九號
公布年月日: 明治32年6月30日
法令の形式: 勅令
朕關稅法施行規則ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十二年六月二十九日
大藏大臣 伯爵 松方正義
勅令第三百十九號
關稅法施行規則
第一章 關稅ノ賦課徵收及擔保
第一條 關稅法第一條第一項但書ニ依リ特別協定ノ便益ヲ受ケントスル者ハ特別協定ノ適用ヲ受クヘキ地域內ノ產出品又ハ製造品ナルコトヲ證明スヘシ但シ郵便物及課稅價格百圓ヲ超エサル貨物ハ此ノ限ニ在ラス
第二條 前條ノ證明ハ貨物ノ產出地、製造地若ハ積出地ノ帝國領事館若ハ貿易事務館、帝國領事館及貿易事務館ナキトキハ其ノ地ノ稅關其ノ他ノ官廳公署又ハ商業會議所ノ證明シタル製產原地證明書ヲ以テスルヲ要ス
前項ノ製產原地證明書ニハ貨物ノ記號、番號、品名、箇數、數量及產出又ハ製造ノ地域ヲ記載スヘシ
第三條 關稅ヲ徵收セントスルトキハ納金額及納付金庫ヲ指定シタル文書ヲ以テ納稅人ニ吿知スヘシ但シ金庫ニ納付セシムル場合ノ外吿知書ヲ要セス
第四條 納稅人前條ノ吿知書ヲ受ケタルトキハ之ニ稅金ヲ添ヘ指定ノ金庫ニ納付スヘシ
第五條 旅客ノ携帶品關稅法第二十四條但書ニ揭ケタル貨物等ニ付キ貨物ヲ檢査シタル官吏直ニ關稅ヲ徵收スルトキハ他ノ官吏若ハ公吏ノ立會アルヲ要ス
前項ニ依リ關稅ヲ徵收シタルトキハ立會官吏若ハ公吏ノ證明ヲ受ケ稅關ニ報吿スヘシ
第六條 關稅法第四十二條ニ依リ郵便局ニ於テ稅金額ノ通知ヲ受ケタルトキハ郵便物交付前ニ之ヲ名宛人ニ通知スヘシ
第七條 前條ノ通知ヲ受ケタル者ハ稅金ニ相當スル收入印紙ヲ通知書ニ貼付シ郵便局ニ提出スヘシ
第八條 郵便局ニ於テ前條ノ書類ヲ受ケタルトキハ當該稅關ニ送付スヘシ
第九條 關稅法第二條ニ依リ減稅ヲ請ハントスル者ハ損傷貨物ノ記號、番號、品名、數量、原價、諸費及請求ノ要領ヲ記載シタル文書ヲ稅關ニ提出スヘシ
第十條 關稅ノ擔保トシテ提供スヘキモノハ金錢及有價證券ニ限ル
第十一條 擔保ヲ提供スルトキハ之ヲ供託シ供託受領證ヲ稅關ニ提出スヘシ
第十二條 稅關ハ提供シタル有價證券ノ價格減少シタルトキハ增擔保ヲ提供セシムルコトヲ得
第十三條 關稅法第六條但書ニ依リ擔保物ヲ公賣ニ付スヘキトキハ之ヲ公吿シ最初公吿ノ日ヨリ少クトモ三日ヲ經過シタル後之ヲ競賣スヘシ
第十四條 前條ノ公吿ハ擔保提供者ノ住所又ハ居所、氏名、證券ノ種類、金額、競賣ノ場所及時其ノ他必要ノ事項ヲ記載スヘシ
第十五條 公賣決行前ニ關稅及費用ヲ完納シタルトキハ公賣ヲ中止スヘシ
第十六條 關稅法第六條但書ニ依リ擔保提供者ニ還付スヘキ殘金アルトキハ之ヲ供託スルコトヲ得
第二章 船舶ニ關スル手續
第十七條 船舶ノ入港屆ハ船舶ノ名稱、國籍、登簿噸數、仕出港、入港ノ時及乘組海員ノ數ヲ記載シタル文書ヲ以テ之ヲ爲スヘシ
第十八條 積荷目錄ニハ船舶ノ名稱、國籍、貨物ノ仕出地、仕向地、記號、番號、品名、箇數、數量及荷受人ヲ記載スヘシ
關稅法第十五條ニ依リ提出スヘキ積荷目錄ニハ前項ニ揭ケタル事項ノ外貨物ノ船卸ヲ爲スヘキ地ヲ記載スヘシ
第十九條 艙口申吿書ニハ艙口ノ所在、箇數、船用品目錄ニハ船用品ノ種類、數量及見積價格、旅客氏名表ニハ旅客ノ國籍、氏名、乘込地及上陸地ヲ記載スヘシ
前項ノ文書ニハ仍船舶ノ名稱及國籍ヲ記載スヘシ
第二十條 外國貨物ヲ積載セル船舶、積荷目錄提出前ニ於テ貨物積卸ノ認許ヲ得ントスルトキハ其ノ理由ヲ詳記シタル申請書ヲ稅關ニ提出スヘシ
第二十一條 船舶ノ出港屆ハ船舶ノ名稱、國籍、仕向港及出港ノ時ヲ記載シタル文書ヲ以テ之ヲ爲スヘシ
第二十二條 外國貿易船出港ノ免許ハ文書ヲ以テ之ヲ爲スヘシ出港ヲ免許シタルトキハ曩ニ預リタル船舶國籍證書其ノ他ノ書類ヲ還付スヘシ
第二十三條 外國貨物ヲ積載セル船舶日沒ヨリ日出迄ノ間又ハ稅關ノ休日ニ於テ貨物ノ積卸ヲ爲ス爲稅關長ノ特許ヲ受ケントスルトキハ其ノ理由ヲ記載シタル申請書ヲ稅關ニ提出スヘシ
第二十四條 前條ノ特許ヲ受ケタル者ハ特許手數料ヲ納付スヘシ但シ外國貨物ヲ積載セル沿海通航船內國貨物ノ積卸ヲ爲スニ止マルトキハ此ノ限ニ在ラス
第二十五條 警察官吏關稅法第十八條第二項ノ屆出ヲ受ケタルトキハ所轄稅關又ハ監視署ニ急報スヘシ
第二十六條 關稅法第十九條ニ揭ケタル外國貨物ヲ不開港ヨリ開港ニ囘漕スルノ認許ヲ受ケントスルトキハ船長ヨリ船卸港、貨物ノ品名、箇數及數量ヲ記載シタル申請書ヲ提出スヘシ
第二十七條 外國貨物ノ假陸揚ヲ爲サントスルトキハ其ノ記號、番號、品名、箇數及數量ヲ記載シタル文書ヲ以テ船長ヨリ稅關ニ、稅關ノ設置ナキ地ニアリテハ稅關官吏又ハ警察官吏ニ申吿スヘシ但シ海難其ノ他已ムヲ得サル事故ニ因リ豫メ申吿スル能ハサルトキハ陸揚シタル後直ニ申吿スヘシ
第二十八條 關稅法第二十一條ノ申吿ハ物品ノ種類、數量及價格ヲ記載シタル文書ヲ以テ之ヲ爲スヘシ
第二十九條 沿海通航船海難其ノ他已ムヲ得サル事故ニ因リ外國ニ寄港シタルトキハ歸港後其ノ地所轄ノ稅關ニ申吿スヘシ
前項ノ船舶外國ニ於テ船用品ヲ積入レタルトキハ其ノ種類、數量及原價ヲ記載シタル目錄ヲ歸港地所轄ノ稅關ニ提出スヘシ
第三章 貨物ニ關スル手續
第一節 總則
第三十條 日沒ヨリ日出迄ノ間又ハ稅關ノ休日ニ於テ貨物ヲ稅關ニ送致シ又ハ貨物ノ引取若ハ發送ヲナス爲特許ヲ受ケントスル者ハ其ノ理由ヲ記載シタル申請書ヲ稅關ニ提出スヘシ
第三十一條 前條ノ特許ヲ受ケタル者ハ特許手數料ヲ納付スヘシ
第三十二條 稅關ニ於テ定メタル場所以外ニ於テ貨物ノ陸揚、船積其ノ他船舶ト陸地トノ交通ヲナス爲特許ヲ受ケントスル者ハ其ノ場所、期間、貨物ノ種類等ヲ記載シタル申請書ヲ稅關ニ提出スヘシ
特許ノ條件ニ違反シタルトキハ稅關ハ特許ヲ取消スヘシ
第三十三條 稅關又ハ稅關支署ノ構外ニ於テ貨物ノ檢査ヲ受ケントスル者アルトキハ稅關ハ之ヲ特許スルコトアルヘシ但シ關稅法第二十四條但書ノ場合ニ於テハ特許ヲ受クルヲ要セス
前項ノ特許ヲ受ケントスル者ハ其ノ場所、期間、貨物ノ種類ヲ記載シタル申請書ヲ提出スヘシ
本條ノ特許ヲ受ケタル者ハ特許手數料ヲ納付スヘシ
第二節 貨物ノ輸出及積戾手續
第三十四條 輸出申吿ハ積載スヘキ船舶ノ名稱、國籍、貨物ノ記號、番號、品名、箇數、數量、價格及仕向港ヲ記載シタル文書ヲ以テ之ヲ爲スヘシ但シ旅客携帶品ニ關スル申吿ハ文書ヲ以テスルヲ要セス
輸出貨物外國產ナルトキハ仍其ノ產地ヲ記載スヘシ
修繕ノ爲輸出シ再ヒ輸入スヘキ貨物ノ輸出申吿書ニハ仍輸出ノ目的再輸入ノ場所及期限ヲ記載スヘシ
前項再輸入ノ場所ヲ變更シタルトキハ文書ヲ以テ輸出港稅關ニ申吿スヘシ
第三十五條 關稅定率法第六條ニ依リ關稅ヲ免除セラレタル貨物ヲ輸入ノ日ヨリ滿六箇月以內ニ輸出セントスル者又ハ通過ノ爲輸入シタル貨物ヲ輸出セントスル者ハ輸出申吿ヲ爲スト同時ニ輸入免狀又ハ之ニ代ルヘキ稅關ノ證明書ヲ稅關ニ提出スヘシ
前項ノ貨物ニ付輸出ノ免許ヲ爲シタルトキハ輸入免狀又ハ證明書ニ輸出濟ノ旨ヲ記入シ提出者ニ交付スヘシ
第三十六條 第三十四條第一項ノ規定ハ積戾申吿ニ之ヲ準用ス
第三節 貨物輸入ノ手續
第三十七條 輸入申吿書及通過貨物ノ目錄ニハ積載船舶ノ名稱、國籍、貨物ノ仕入地、產出地又ハ製造地、記號、番號、品名、箇數、數量、原價及諸費ヲ記載スヘシ
第三十八條 旅客携帶品ニ關スル申吿ハ口頭ヲ以テ之ヲ爲スコトヲ得
第三十九條 關稅定率法第五條第十號及第十一號ニ該當スル貨物ヲ輸入セントスル者關稅ノ免除ヲ得ントスルトキハ輸入申吿ヲ爲スト同時ニ輸出免狀又ハ之ニ代ルヘキ稅關ノ證明書ヲ提出スヘシ
第四十條 關稅定率法第六條ニ揭ケタル貨物ノ輸入ヲ爲サントスル者ハ輸入申吿書ニ仍輸入ノ目的及輸出港ヲ記載スヘシ
輸出港ヲ變更シタルトキハ文書ヲ以テ輸入港稅關ニ申吿スヘシ
第四十一條 通過ノ爲輸入スル貨物ノ輸入申吿書及通過貨物ノ目錄ニハ仍輸入ノ目的及輸出地ヲ記載スヘシ
第四十二條 關稅法第三十四條但書ニ依リ輸入免許前ニ貨物引取ノ認許ヲ得ントスル者ハ其ノ理由ヲ記載シタル申請書ヲ稅關ニ提出スヘシ輸入申吿書ニ記載シタル貨物ヲ分割シテ引取ノ認許ヲ得ントスル者ハ仍該貨物ノ記號、番號、品名、數量及輸入申吿ノ年月日ヲ記載スヘシ
第四十三條 貨物ノ仕入書ハ輸入免許ヲ爲スト同時ニ之ヲ提出者ニ還付スヘシ
第四十四條 郵便局ニ於テ輸入郵便物ヲ陸揚シタルトキハ當該稅關ニ通知スヘシ
郵便物ヲ檢査スルトキハ郵便局員立會ノ上之ヲ行フヘシ
第四十五條 郵便物ヲ名宛人ニ交付スル能ハサルトキハ郵便局ハ關稅法第四十二條ニ依リ發シタル通知書ニ其ノ理由ヲ記入シ稅關ニ還付スヘシ
第四節 貨物ノ囘漕
第四十六條 貨物囘漕ノ申吿ハ積載スヘキ船舶ノ名稱、國籍、陸揚地、內外國貨物ノ區別、貨物ノ記號、番號、品名、箇數、數量及價格ヲ記載シタル文書ヲ以テ之ヲ爲スヘシ
第四十七條 囘漕貨物船卸ヲ爲スヘキ地ニ到達シタルトキハ囘漕免狀ヲ稅關ニ提出スヘシ
稅關ニ於テ前項ノ免狀ヲ受ケタルトキハ貨物ノ檢査ヲ爲シ免狀ト符合スルトキハ該免狀ニ囘漕濟ノ旨ヲ記入シテ提出者ニ還付スヘシ
第五節 貨物ノ收容ニ關スル手續
第四十八條 關稅法第四十七條ノ揭示及第四十八條ノ申吿書ニハ貨物ノ記號、番號、品名及箇數ヲ記載スヘシ
第四十九條 關稅法第五十一條ノ公吿ニハ前條ニ揭ケタル事項、競賣ノ事由、競賣ノ場所及時其ノ他必要ノ事項ヲ記載スヘシ
第五十條 收容貨物ノ敷料ハ大藏大臣之ヲ定ム
第四章 異議
第五十一條 關稅ノ賦課ニ關スル異議ノ申立書ニハ不服ノ要領、理由、要求及處分ヲ受ケタル年月日ヲ記載シ附屬書類又ハ物件アルトキハ之ヲ表示スヘシ
第五十二條 異議判定書ニハ異議者ノ住所又ハ居所、氏名、異議申立ノ要領、判定ノ理由及判定主文ヲ記載スヘシ
第五十三條 判定書ノ交付ハ使丁ノ送達ニ依リテ之ヲ爲ス但シ書留郵便ヲ以テ之ヲ爲スコトヲ得
第五十四條 判定書ヲ送達シタルトキハ受領證ヲ徵スヘシ
第五十五條 異議者ノ住所、居所不明ナルカ又ハ其ノ他ノ事故ニ因リ判定書ヲ交付スル能ハサルトキハ其ノ要領ヲ揭示スヘシ
前項ノ場合ニ於テハ揭示ノ日ヨリ七日ヲ經過シタルトキヲ以テ判定書ノ交付アリタルモノト看做ス
第五十六條 關稅法第六十三條ニ依リ貨物ヲ買上ケ又ハ評價人ヲシテ評價セシメントスルトキハ之ヲ異議者ニ通知スヘシ
第五十七條 異議者前條ニ依リ貨物評價ノ通知ヲ受ケタルトキハ七日以內ニ評價人ヲ選定シ其ノ職業、住所又ハ居所、氏名ヲ申吿シ稅關長ノ認可ヲ受クヘシ但シ本條ノ期間ハ異議者ノ申請ニ依リ稅關長ニ於テ必要ナリト認メタルトキハ之ヲ延長スルコトヲ得
第五十八條 稅關長ハ異議者ノ選定シタル評價人ヲ不適當ト認ムルトキハ期間ヲ指定シテ其ノ改選ヲ命スヘシ
第五十九條 稅關長評價人ヲ認可シタルトキハ評價ノ時期及場所ヲ指定シテ之ヲ異議者ニ通知スヘシ
第六十條 評價人評價ヲ終リタルトキハ評價ノ理由ヲ詳記シタル評價書ヲ作リ之ヲ稅關ニ提出スヘシ
第六十一條 評價終リタルトキハ稅關長ハ課稅價格ヲ異議者ニ通知スヘシ
第五章 犯則事件ノ調査及處分
第六十二條 差押物件ハ差押ヲ爲シタル官吏之ヲ封印スヘシ
第六十三條 差押目錄ニハ物件ノ品名、數量、差押ノ場所及時、物件所持者ノ住所又ハ居所、氏名ヲ記載スヘシ
第六十四條 差押物件ヲ所持者若ハ市町村役場ニ保管セシメタルトキハ其ノ受領證ヲ徵シ市町村役場ニ保管セシメタルトキハ其ノ旨差押當時ノ所持者ニ通知スヘシ
第六十五條 關稅法第九十條ニ依リ差押物件ヲ公賣スルトキハ之ヲ公吿シテ競賣ニ付スヘシ
前項ノ公吿ニハ物件ノ品名、數量、競賣ノ事由、競賣ノ場所及時其ノ他必要ノ事項ヲ記載スヘシ
第六十六條 臨檢、搜索及訊問調書ニハ臨檢、搜索又ハ訊問ノ事實、場所及時竝供述ノ要領ヲ記載スヘシ
第六十七條 稅關官吏犯則事件ノ調査ヲ終リタルトキハ稅關長ニ報吿スヘシ
第六十八條 關稅法第九十四條ノ處分通吿ハ通吿書ヲ送達シテ之ヲ爲スヘシ
處分通吿書ニハ關稅法第九十四條ニ揭ケタル事項ノ外犯則ニ關スル詳細ノ事實、物品ノ數量、納付ノ場所及期間ヲ記載スヘシ
第六十九條 第五十三條及第五十四條ノ規定ハ處分通吿書ノ送達ニ之ヲ準用ス
第七十條 沒收ニ該當スル物品ニシテ市町村役場ノ保管ニ係ルモノハ保管ノ儘納付ノ手續ヲ爲スヘシ
第七十一條 稅關長犯則事件ヲ吿發シタル場合ニ於テ差押物件アルトキハ差押目錄ト共ニ裁判所ニ引繼クヘシ
前項ノ差押物件所持者又ハ市町村役場ノ保管ニ係ルトキハ差押物件引繼ノ旨ヲ保管者ニ通知スヘシ
第七十二條 犯則ノ調査及處分ニ關スル書類ニハ每葉契印スヘシ文字ノ挿入、削除若ハ欄外ノ記入ヲ爲シタルトキハ之ニ認印スヘシ
文字ヲ削除スルトキハ其ノ字體ヲ存シ置キ其ノ字數ヲ記載スヘシ
第六章 稅關ノ執務時間及臨時開廳
第七十三條 稅關ノ執務時間ハ休日ヲ除キ午前十時ヨリ午後四時迄トス
第七十四條 稅關ノ執務時間外ニ於テ臨時開廳ノ特許ヲ請ハントスル者ハ開廳ノ期間及其ノ期間中ニ爲スヘキ事項ヲ記載シタル申請書ヲ稅關ニ提出スヘシ
前項ノ特許ヲ受ケタル者ハ特許手數料ヲ納ムヘシ
第七章 雜則
第七十五條 關稅法第九十八條ノ特許ヲ得ントスルトキハ港名、船舶ノ名稱、國籍、碇泊期間及理由、貨物ノ陸揚ニ係ルトキハ其ノ品名、數量ヲ記載シタル文書ヲ以テ船長ヨリ稅關長ニ申請スヘシ
前項ノ特許ヲ得タルトキハ船長ヨリ特許手數料ヲ稅關ニ納付スヘシ
第七十六條 稅關ノ證明又ハ船舶貨物ニ關スル計表ヲ請フ者ハ手數料ヲ納ムヘシ
第七十七條 大藏大臣ハ棧橋、起重機其ノ他稅關所屬ノ土地建設物又ハ備品ヲ使用スル者ヲシテ使用料ヲ納付セシムルコトヲ得
第七十八條 手數料及使用料ノ額ハ大藏大臣之ヲ定ム
第七十九條 手數料及使用料ハ收入印紙ヲ以テ之ヲ納付スルコトヲ得
收入印紙ヲ以テ手數料及使用料ヲ納付セントスル者ハ納付書ニ貼用シテ之ヲ提出スヘシ
第八十條 稅關官吏及收稅官吏ハ差押物件、沒收物件、收容貨物、關稅ノ擔保物等ニシテ當該官吏ノ賣却スルモノハ直接ト間接トヲ問ハス之ヲ買受クルコトヲ得ス
第八十一條 關稅法若ハ本規則ニ依リ當該官吏ニ於テ作ルヘキ文書ニハ官廳名若ハ官氏名及年月日ヲ記載シ之ニ捺印スヘシ
第八十二條 申吿書其ノ他ノ文書ニハ提出者ノ國籍、住所又ハ居所及提出ノ年月日ヲ記載シ提出者之ニ署名スヘシ
第八十三條 關稅法又ハ本規則ニ依リ稅關又ハ稅關長ニ提出スヘキ文書ハ稅關支署ノ管轄內ニ在リテハ稅關支署ニ提出スヘシ
前項ノ外稅關ニ關スル規定ハ稅關支署ニ之ヲ準用ス
附 則
第八十四條 本規則ハ關稅法施行ノ日ヨリ施行ス但シ第一條及第二條ノ規定ハ關稅法施行ノ日ヨリ六箇月ヲ經テ之ヲ施行ス
第八十五條 明治三十年第三百八十五號勅令ハ本規則全部施行ノ日ヨリ之ヲ廢止ス
朕関税法施行規則ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十二年六月二十九日
大蔵大臣 伯爵 松方正義
勅令第三百十九号
関税法施行規則
第一章 関税ノ賦課徴収及担保
第一条 関税法第一条第一項但書ニ依リ特別協定ノ便益ヲ受ケントスル者ハ特別協定ノ適用ヲ受クヘキ地域内ノ産出品又ハ製造品ナルコトヲ証明スヘシ但シ郵便物及課税価格百円ヲ超エサル貨物ハ此ノ限ニ在ラス
第二条 前条ノ証明ハ貨物ノ産出地、製造地若ハ積出地ノ帝国領事館若ハ貿易事務館、帝国領事館及貿易事務館ナキトキハ其ノ地ノ税関其ノ他ノ官庁公署又ハ商業会議所ノ証明シタル製産原地証明書ヲ以テスルヲ要ス
前項ノ製産原地証明書ニハ貨物ノ記号、番号、品名、箇数、数量及産出又ハ製造ノ地域ヲ記載スヘシ
第三条 関税ヲ徴収セントスルトキハ納金額及納付金庫ヲ指定シタル文書ヲ以テ納税人ニ告知スヘシ但シ金庫ニ納付セシムル場合ノ外告知書ヲ要セス
第四条 納税人前条ノ告知書ヲ受ケタルトキハ之ニ税金ヲ添ヘ指定ノ金庫ニ納付スヘシ
第五条 旅客ノ携帯品関税法第二十四条但書ニ掲ケタル貨物等ニ付キ貨物ヲ検査シタル官吏直ニ関税ヲ徴収スルトキハ他ノ官吏若ハ公吏ノ立会アルヲ要ス
前項ニ依リ関税ヲ徴収シタルトキハ立会官吏若ハ公吏ノ証明ヲ受ケ税関ニ報告スヘシ
第六条 関税法第四十二条ニ依リ郵便局ニ於テ税金額ノ通知ヲ受ケタルトキハ郵便物交付前ニ之ヲ名宛人ニ通知スヘシ
第七条 前条ノ通知ヲ受ケタル者ハ税金ニ相当スル収入印紙ヲ通知書ニ貼付シ郵便局ニ提出スヘシ
第八条 郵便局ニ於テ前条ノ書類ヲ受ケタルトキハ当該税関ニ送付スヘシ
第九条 関税法第二条ニ依リ減税ヲ請ハントスル者ハ損傷貨物ノ記号、番号、品名、数量、原価、諸費及請求ノ要領ヲ記載シタル文書ヲ税関ニ提出スヘシ
第十条 関税ノ担保トシテ提供スヘキモノハ金銭及有価証券ニ限ル
第十一条 担保ヲ提供スルトキハ之ヲ供託シ供託受領証ヲ税関ニ提出スヘシ
第十二条 税関ハ提供シタル有価証券ノ価格減少シタルトキハ増担保ヲ提供セシムルコトヲ得
第十三条 関税法第六条但書ニ依リ担保物ヲ公売ニ付スヘキトキハ之ヲ公告シ最初公告ノ日ヨリ少クトモ三日ヲ経過シタル後之ヲ競売スヘシ
第十四条 前条ノ公告ハ担保提供者ノ住所又ハ居所、氏名、証券ノ種類、金額、競売ノ場所及時其ノ他必要ノ事項ヲ記載スヘシ
第十五条 公売決行前ニ関税及費用ヲ完納シタルトキハ公売ヲ中止スヘシ
第十六条 関税法第六条但書ニ依リ担保提供者ニ還付スヘキ残金アルトキハ之ヲ供託スルコトヲ得
第二章 船舶ニ関スル手続
第十七条 船舶ノ入港届ハ船舶ノ名称、国籍、登簿噸数、仕出港、入港ノ時及乗組海員ノ数ヲ記載シタル文書ヲ以テ之ヲ為スヘシ
第十八条 積荷目録ニハ船舶ノ名称、国籍、貨物ノ仕出地、仕向地、記号、番号、品名、箇数、数量及荷受人ヲ記載スヘシ
関税法第十五条ニ依リ提出スヘキ積荷目録ニハ前項ニ掲ケタル事項ノ外貨物ノ船卸ヲ為スヘキ地ヲ記載スヘシ
第十九条 艙口申告書ニハ艙口ノ所在、箇数、船用品目録ニハ船用品ノ種類、数量及見積価格、旅客氏名表ニハ旅客ノ国籍、氏名、乗込地及上陸地ヲ記載スヘシ
前項ノ文書ニハ仍船舶ノ名称及国籍ヲ記載スヘシ
第二十条 外国貨物ヲ積載セル船舶、積荷目録提出前ニ於テ貨物積卸ノ認許ヲ得ントスルトキハ其ノ理由ヲ詳記シタル申請書ヲ税関ニ提出スヘシ
第二十一条 船舶ノ出港届ハ船舶ノ名称、国籍、仕向港及出港ノ時ヲ記載シタル文書ヲ以テ之ヲ為スヘシ
第二十二条 外国貿易船出港ノ免許ハ文書ヲ以テ之ヲ為スヘシ出港ヲ免許シタルトキハ曩ニ預リタル船舶国籍証書其ノ他ノ書類ヲ還付スヘシ
第二十三条 外国貨物ヲ積載セル船舶日没ヨリ日出迄ノ間又ハ税関ノ休日ニ於テ貨物ノ積卸ヲ為ス為税関長ノ特許ヲ受ケントスルトキハ其ノ理由ヲ記載シタル申請書ヲ税関ニ提出スヘシ
第二十四条 前条ノ特許ヲ受ケタル者ハ特許手数料ヲ納付スヘシ但シ外国貨物ヲ積載セル沿海通航船内国貨物ノ積卸ヲ為スニ止マルトキハ此ノ限ニ在ラス
第二十五条 警察官吏関税法第十八条第二項ノ届出ヲ受ケタルトキハ所轄税関又ハ監視署ニ急報スヘシ
第二十六条 関税法第十九条ニ掲ケタル外国貨物ヲ不開港ヨリ開港ニ回漕スルノ認許ヲ受ケントスルトキハ船長ヨリ船卸港、貨物ノ品名、箇数及数量ヲ記載シタル申請書ヲ提出スヘシ
第二十七条 外国貨物ノ仮陸揚ヲ為サントスルトキハ其ノ記号、番号、品名、箇数及数量ヲ記載シタル文書ヲ以テ船長ヨリ税関ニ、税関ノ設置ナキ地ニアリテハ税関官吏又ハ警察官吏ニ申告スヘシ但シ海難其ノ他已ムヲ得サル事故ニ因リ予メ申告スル能ハサルトキハ陸揚シタル後直ニ申告スヘシ
第二十八条 関税法第二十一条ノ申告ハ物品ノ種類、数量及価格ヲ記載シタル文書ヲ以テ之ヲ為スヘシ
第二十九条 沿海通航船海難其ノ他已ムヲ得サル事故ニ因リ外国ニ寄港シタルトキハ帰港後其ノ地所轄ノ税関ニ申告スヘシ
前項ノ船舶外国ニ於テ船用品ヲ積入レタルトキハ其ノ種類、数量及原価ヲ記載シタル目録ヲ帰港地所轄ノ税関ニ提出スヘシ
第三章 貨物ニ関スル手続
第一節 総則
第三十条 日没ヨリ日出迄ノ間又ハ税関ノ休日ニ於テ貨物ヲ税関ニ送致シ又ハ貨物ノ引取若ハ発送ヲナス為特許ヲ受ケントスル者ハ其ノ理由ヲ記載シタル申請書ヲ税関ニ提出スヘシ
第三十一条 前条ノ特許ヲ受ケタル者ハ特許手数料ヲ納付スヘシ
第三十二条 税関ニ於テ定メタル場所以外ニ於テ貨物ノ陸揚、船積其ノ他船舶ト陸地トノ交通ヲナス為特許ヲ受ケントスル者ハ其ノ場所、期間、貨物ノ種類等ヲ記載シタル申請書ヲ税関ニ提出スヘシ
特許ノ条件ニ違反シタルトキハ税関ハ特許ヲ取消スヘシ
第三十三条 税関又ハ税関支署ノ構外ニ於テ貨物ノ検査ヲ受ケントスル者アルトキハ税関ハ之ヲ特許スルコトアルヘシ但シ関税法第二十四条但書ノ場合ニ於テハ特許ヲ受クルヲ要セス
前項ノ特許ヲ受ケントスル者ハ其ノ場所、期間、貨物ノ種類ヲ記載シタル申請書ヲ提出スヘシ
本条ノ特許ヲ受ケタル者ハ特許手数料ヲ納付スヘシ
第二節 貨物ノ輸出及積戻手続
第三十四条 輸出申告ハ積載スヘキ船舶ノ名称、国籍、貨物ノ記号、番号、品名、箇数、数量、価格及仕向港ヲ記載シタル文書ヲ以テ之ヲ為スヘシ但シ旅客携帯品ニ関スル申告ハ文書ヲ以テスルヲ要セス
輸出貨物外国産ナルトキハ仍其ノ産地ヲ記載スヘシ
修繕ノ為輸出シ再ヒ輸入スヘキ貨物ノ輸出申告書ニハ仍輸出ノ目的再輸入ノ場所及期限ヲ記載スヘシ
前項再輸入ノ場所ヲ変更シタルトキハ文書ヲ以テ輸出港税関ニ申告スヘシ
第三十五条 関税定率法第六条ニ依リ関税ヲ免除セラレタル貨物ヲ輸入ノ日ヨリ満六箇月以内ニ輸出セントスル者又ハ通過ノ為輸入シタル貨物ヲ輸出セントスル者ハ輸出申告ヲ為スト同時ニ輸入免状又ハ之ニ代ルヘキ税関ノ証明書ヲ税関ニ提出スヘシ
前項ノ貨物ニ付輸出ノ免許ヲ為シタルトキハ輸入免状又ハ証明書ニ輸出済ノ旨ヲ記入シ提出者ニ交付スヘシ
第三十六条 第三十四条第一項ノ規定ハ積戻申告ニ之ヲ準用ス
第三節 貨物輸入ノ手続
第三十七条 輸入申告書及通過貨物ノ目録ニハ積載船舶ノ名称、国籍、貨物ノ仕入地、産出地又ハ製造地、記号、番号、品名、箇数、数量、原価及諸費ヲ記載スヘシ
第三十八条 旅客携帯品ニ関スル申告ハ口頭ヲ以テ之ヲ為スコトヲ得
第三十九条 関税定率法第五条第十号及第十一号ニ該当スル貨物ヲ輸入セントスル者関税ノ免除ヲ得ントスルトキハ輸入申告ヲ為スト同時ニ輸出免状又ハ之ニ代ルヘキ税関ノ証明書ヲ提出スヘシ
第四十条 関税定率法第六条ニ掲ケタル貨物ノ輸入ヲ為サントスル者ハ輸入申告書ニ仍輸入ノ目的及輸出港ヲ記載スヘシ
輸出港ヲ変更シタルトキハ文書ヲ以テ輸入港税関ニ申告スヘシ
第四十一条 通過ノ為輸入スル貨物ノ輸入申告書及通過貨物ノ目録ニハ仍輸入ノ目的及輸出地ヲ記載スヘシ
第四十二条 関税法第三十四条但書ニ依リ輸入免許前ニ貨物引取ノ認許ヲ得ントスル者ハ其ノ理由ヲ記載シタル申請書ヲ税関ニ提出スヘシ輸入申告書ニ記載シタル貨物ヲ分割シテ引取ノ認許ヲ得ントスル者ハ仍該貨物ノ記号、番号、品名、数量及輸入申告ノ年月日ヲ記載スヘシ
第四十三条 貨物ノ仕入書ハ輸入免許ヲ為スト同時ニ之ヲ提出者ニ還付スヘシ
第四十四条 郵便局ニ於テ輸入郵便物ヲ陸揚シタルトキハ当該税関ニ通知スヘシ
郵便物ヲ検査スルトキハ郵便局員立会ノ上之ヲ行フヘシ
第四十五条 郵便物ヲ名宛人ニ交付スル能ハサルトキハ郵便局ハ関税法第四十二条ニ依リ発シタル通知書ニ其ノ理由ヲ記入シ税関ニ還付スヘシ
第四節 貨物ノ回漕
第四十六条 貨物回漕ノ申告ハ積載スヘキ船舶ノ名称、国籍、陸揚地、内外国貨物ノ区別、貨物ノ記号、番号、品名、箇数、数量及価格ヲ記載シタル文書ヲ以テ之ヲ為スヘシ
第四十七条 回漕貨物船卸ヲ為スヘキ地ニ到達シタルトキハ回漕免状ヲ税関ニ提出スヘシ
税関ニ於テ前項ノ免状ヲ受ケタルトキハ貨物ノ検査ヲ為シ免状ト符合スルトキハ該免状ニ回漕済ノ旨ヲ記入シテ提出者ニ還付スヘシ
第五節 貨物ノ収容ニ関スル手続
第四十八条 関税法第四十七条ノ掲示及第四十八条ノ申告書ニハ貨物ノ記号、番号、品名及箇数ヲ記載スヘシ
第四十九条 関税法第五十一条ノ公告ニハ前条ニ掲ケタル事項、競売ノ事由、競売ノ場所及時其ノ他必要ノ事項ヲ記載スヘシ
第五十条 収容貨物ノ敷料ハ大蔵大臣之ヲ定ム
第四章 異議
第五十一条 関税ノ賦課ニ関スル異議ノ申立書ニハ不服ノ要領、理由、要求及処分ヲ受ケタル年月日ヲ記載シ附属書類又ハ物件アルトキハ之ヲ表示スヘシ
第五十二条 異議判定書ニハ異議者ノ住所又ハ居所、氏名、異議申立ノ要領、判定ノ理由及判定主文ヲ記載スヘシ
第五十三条 判定書ノ交付ハ使丁ノ送達ニ依リテ之ヲ為ス但シ書留郵便ヲ以テ之ヲ為スコトヲ得
第五十四条 判定書ヲ送達シタルトキハ受領証ヲ徴スヘシ
第五十五条 異議者ノ住所、居所不明ナルカ又ハ其ノ他ノ事故ニ因リ判定書ヲ交付スル能ハサルトキハ其ノ要領ヲ掲示スヘシ
前項ノ場合ニ於テハ掲示ノ日ヨリ七日ヲ経過シタルトキヲ以テ判定書ノ交付アリタルモノト看做ス
第五十六条 関税法第六十三条ニ依リ貨物ヲ買上ケ又ハ評価人ヲシテ評価セシメントスルトキハ之ヲ異議者ニ通知スヘシ
第五十七条 異議者前条ニ依リ貨物評価ノ通知ヲ受ケタルトキハ七日以内ニ評価人ヲ選定シ其ノ職業、住所又ハ居所、氏名ヲ申告シ税関長ノ認可ヲ受クヘシ但シ本条ノ期間ハ異議者ノ申請ニ依リ税関長ニ於テ必要ナリト認メタルトキハ之ヲ延長スルコトヲ得
第五十八条 税関長ハ異議者ノ選定シタル評価人ヲ不適当ト認ムルトキハ期間ヲ指定シテ其ノ改選ヲ命スヘシ
第五十九条 税関長評価人ヲ認可シタルトキハ評価ノ時期及場所ヲ指定シテ之ヲ異議者ニ通知スヘシ
第六十条 評価人評価ヲ終リタルトキハ評価ノ理由ヲ詳記シタル評価書ヲ作リ之ヲ税関ニ提出スヘシ
第六十一条 評価終リタルトキハ税関長ハ課税価格ヲ異議者ニ通知スヘシ
第五章 犯則事件ノ調査及処分
第六十二条 差押物件ハ差押ヲ為シタル官吏之ヲ封印スヘシ
第六十三条 差押目録ニハ物件ノ品名、数量、差押ノ場所及時、物件所持者ノ住所又ハ居所、氏名ヲ記載スヘシ
第六十四条 差押物件ヲ所持者若ハ市町村役場ニ保管セシメタルトキハ其ノ受領証ヲ徴シ市町村役場ニ保管セシメタルトキハ其ノ旨差押当時ノ所持者ニ通知スヘシ
第六十五条 関税法第九十条ニ依リ差押物件ヲ公売スルトキハ之ヲ公告シテ競売ニ付スヘシ
前項ノ公告ニハ物件ノ品名、数量、競売ノ事由、競売ノ場所及時其ノ他必要ノ事項ヲ記載スヘシ
第六十六条 臨検、捜索及訊問調書ニハ臨検、捜索又ハ訊問ノ事実、場所及時並供述ノ要領ヲ記載スヘシ
第六十七条 税関官吏犯則事件ノ調査ヲ終リタルトキハ税関長ニ報告スヘシ
第六十八条 関税法第九十四条ノ処分通告ハ通告書ヲ送達シテ之ヲ為スヘシ
処分通告書ニハ関税法第九十四条ニ掲ケタル事項ノ外犯則ニ関スル詳細ノ事実、物品ノ数量、納付ノ場所及期間ヲ記載スヘシ
第六十九条 第五十三条及第五十四条ノ規定ハ処分通告書ノ送達ニ之ヲ準用ス
第七十条 没収ニ該当スル物品ニシテ市町村役場ノ保管ニ係ルモノハ保管ノ儘納付ノ手続ヲ為スヘシ
第七十一条 税関長犯則事件ヲ告発シタル場合ニ於テ差押物件アルトキハ差押目録ト共ニ裁判所ニ引継クヘシ
前項ノ差押物件所持者又ハ市町村役場ノ保管ニ係ルトキハ差押物件引継ノ旨ヲ保管者ニ通知スヘシ
第七十二条 犯則ノ調査及処分ニ関スル書類ニハ毎葉契印スヘシ文字ノ挿入、削除若ハ欄外ノ記入ヲ為シタルトキハ之ニ認印スヘシ
文字ヲ削除スルトキハ其ノ字体ヲ存シ置キ其ノ字数ヲ記載スヘシ
第六章 税関ノ執務時間及臨時開庁
第七十三条 税関ノ執務時間ハ休日ヲ除キ午前十時ヨリ午後四時迄トス
第七十四条 税関ノ執務時間外ニ於テ臨時開庁ノ特許ヲ請ハントスル者ハ開庁ノ期間及其ノ期間中ニ為スヘキ事項ヲ記載シタル申請書ヲ税関ニ提出スヘシ
前項ノ特許ヲ受ケタル者ハ特許手数料ヲ納ムヘシ
第七章 雑則
第七十五条 関税法第九十八条ノ特許ヲ得ントスルトキハ港名、船舶ノ名称、国籍、碇泊期間及理由、貨物ノ陸揚ニ係ルトキハ其ノ品名、数量ヲ記載シタル文書ヲ以テ船長ヨリ税関長ニ申請スヘシ
前項ノ特許ヲ得タルトキハ船長ヨリ特許手数料ヲ税関ニ納付スヘシ
第七十六条 税関ノ証明又ハ船舶貨物ニ関スル計表ヲ請フ者ハ手数料ヲ納ムヘシ
第七十七条 大蔵大臣ハ桟橋、起重機其ノ他税関所属ノ土地建設物又ハ備品ヲ使用スル者ヲシテ使用料ヲ納付セシムルコトヲ得
第七十八条 手数料及使用料ノ額ハ大蔵大臣之ヲ定ム
第七十九条 手数料及使用料ハ収入印紙ヲ以テ之ヲ納付スルコトヲ得
収入印紙ヲ以テ手数料及使用料ヲ納付セントスル者ハ納付書ニ貼用シテ之ヲ提出スヘシ
第八十条 税関官吏及収税官吏ハ差押物件、没収物件、収容貨物、関税ノ担保物等ニシテ当該官吏ノ売却スルモノハ直接ト間接トヲ問ハス之ヲ買受クルコトヲ得ス
第八十一条 関税法若ハ本規則ニ依リ当該官吏ニ於テ作ルヘキ文書ニハ官庁名若ハ官氏名及年月日ヲ記載シ之ニ捺印スヘシ
第八十二条 申告書其ノ他ノ文書ニハ提出者ノ国籍、住所又ハ居所及提出ノ年月日ヲ記載シ提出者之ニ署名スヘシ
第八十三条 関税法又ハ本規則ニ依リ税関又ハ税関長ニ提出スヘキ文書ハ税関支署ノ管轄内ニ在リテハ税関支署ニ提出スヘシ
前項ノ外税関ニ関スル規定ハ税関支署ニ之ヲ準用ス
附 則
第八十四条 本規則ハ関税法施行ノ日ヨリ施行ス但シ第一条及第二条ノ規定ハ関税法施行ノ日ヨリ六箇月ヲ経テ之ヲ施行ス
第八十五条 明治三十年第三百八十五号勅令ハ本規則全部施行ノ日ヨリ之ヲ廃止ス