朕海軍志願兵條例ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十二年三月二十七日
海軍大臣 山本權兵衞
勅令第七十一號
海軍志願兵條例
第一條 海軍志願兵トハ海軍兵役ニ服センコトヲ志願シ認可ヲ得海軍志願兵籍ニ編入セラレタル者ヲ謂フ
第二條 海軍志願兵トシテ徵募スヘキ卒ノ種別ハ左ノ如シ
水兵、信號兵、軍樂生、木工、機關兵、鍛冶、看護、主廚
第三條 信號兵ハ所要ニ應シ水兵中ヨリ適當ノ者ヲ選ミ之ニ轉セシム其ノ規程ハ海軍大臣之ヲ定ム
第四條 志願兵ノ徵募ハ其ノ年ニ於テ左ノ各項ニ適合スル者ニ就キ之ヲ行フ
一 水兵、機關兵ハ十七年以上二十一年未滿
二 木工、鍛冶、看護、主廚ハ十七年以上二十六年未滿
三 軍樂生ハ十六年以上十九年未滿
第五條 左ニ揭クル者ハ志願兵ノ徵募ニ應スルコトヲ得ス
一 陸軍ノ豫備役後備役及第一補充兵役ニ在ル者
二 徵兵令第二十八條ニ當ル者
三 禁錮以上ノ刑ニ處セラレタル者又ハ賭博犯ノ處分ヲ受ケタル者
四 刑事被吿人
五 復權ヲ得サル家資分散者破產者若ハ其ノ相續人
六 身代限ノ處分ヲ受ケ負債ノ辨償ヲ終ヘサル者若ハ其ノ相續人
第六條 軍樂生ニシテ入團後三箇月ヲ經過シ技藝發達ノ目途ナキ者ハ軍樂生ヲ免ス
第七條 志願兵ノ服役ハ海軍下士卒服役條例ニ依ル
第八條 志願兵現役中ハ家族アル者ニ限リ扶助金トシテ一箇月金八十五錢ヲ其ノ家族ニ給ス但シ左ニ揭クル事項ノ一ニ當ルトキハ其ノ間支給ヲ停止ス
一 擅ニ艦船團其ノ他各部ヲ離レ若ハ職役ヲ離レ若ハ允許ヲ得テ他方ニ赴キ故ナク歸著ノ期限ニ後レ二箇月ヲ過キタルトキハ其ノ翌月ヨリ自首若ハ捕縛ノ前月マテ
二 禁錮ノ刑ニ處セラレタルトキハ其ノ翌月ヨリ刑期滿限ノ前月マテ
第九條 海軍大臣ハ志願兵徵募ノ爲海軍志願兵徵募區ヲ定メ鎭守府ヲシテ之ヲ管セシム
第十條 海軍大臣ハ每年志願兵トシテ採用スヘキ人員ヲ定メ鎭守府ヲシテ徵募セシム
附 則
第十一條 本條例施行ノ際現ニ扶助金一箇月金一圓七十五錢ヲ受クル志願兵ノ家族ニハ其ノ現役滿期ノ月迄同金額ヲ給ス但シ再服役ヲ許シタルトキハ再服役ノ翌月ヨリ第八條ノ金額ヲ支給ス
第十二條 海軍志願兵徵募ニ關スル細則及家族扶助金支給ニ關スル細則ハ海軍大臣之ヲ定ム
第十三條 本條例ハ明治三十二年四月一日ヨリ施行ス
第十四條 明治三十一年勅令第八十三號海軍志願兵徵募規則ハ本條例施行ノ日ヨリ廢止ス
朕海軍志願兵条例ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十二年三月二十七日
海軍大臣 山本権兵衛
勅令第七十一号
海軍志願兵条例
第一条 海軍志願兵トハ海軍兵役ニ服センコトヲ志願シ認可ヲ得海軍志願兵籍ニ編入セラレタル者ヲ謂フ
第二条 海軍志願兵トシテ徴募スヘキ卒ノ種別ハ左ノ如シ
水兵、信号兵、軍楽生、木工、機関兵、鍛冶、看護、主厨
第三条 信号兵ハ所要ニ応シ水兵中ヨリ適当ノ者ヲ選ミ之ニ転セシム其ノ規程ハ海軍大臣之ヲ定ム
第四条 志願兵ノ徴募ハ其ノ年ニ於テ左ノ各項ニ適合スル者ニ就キ之ヲ行フ
一 水兵、機関兵ハ十七年以上二十一年未満
二 木工、鍛冶、看護、主厨ハ十七年以上二十六年未満
三 軍楽生ハ十六年以上十九年未満
第五条 左ニ掲クル者ハ志願兵ノ徴募ニ応スルコトヲ得ス
一 陸軍ノ予備役後備役及第一補充兵役ニ在ル者
二 徴兵令第二十八条ニ当ル者
三 禁錮以上ノ刑ニ処セラレタル者又ハ賭博犯ノ処分ヲ受ケタル者
四 刑事被告人
五 復権ヲ得サル家資分散者破産者若ハ其ノ相続人
六 身代限ノ処分ヲ受ケ負債ノ弁償ヲ終ヘサル者若ハ其ノ相続人
第六条 軍楽生ニシテ入団後三箇月ヲ経過シ技芸発達ノ目途ナキ者ハ軍楽生ヲ免ス
第七条 志願兵ノ服役ハ海軍下士卒服役条例ニ依ル
第八条 志願兵現役中ハ家族アル者ニ限リ扶助金トシテ一箇月金八十五銭ヲ其ノ家族ニ給ス但シ左ニ掲クル事項ノ一ニ当ルトキハ其ノ間支給ヲ停止ス
一 擅ニ艦船団其ノ他各部ヲ離レ若ハ職役ヲ離レ若ハ允許ヲ得テ他方ニ赴キ故ナク帰著ノ期限ニ後レ二箇月ヲ過キタルトキハ其ノ翌月ヨリ自首若ハ捕縛ノ前月マテ
二 禁錮ノ刑ニ処セラレタルトキハ其ノ翌月ヨリ刑期満限ノ前月マテ
第九条 海軍大臣ハ志願兵徴募ノ為海軍志願兵徴募区ヲ定メ鎮守府ヲシテ之ヲ管セシム
第十条 海軍大臣ハ毎年志願兵トシテ採用スヘキ人員ヲ定メ鎮守府ヲシテ徴募セシム
附 則
第十一条 本条例施行ノ際現ニ扶助金一箇月金一円七十五銭ヲ受クル志願兵ノ家族ニハ其ノ現役満期ノ月迄同金額ヲ給ス但シ再服役ヲ許シタルトキハ再服役ノ翌月ヨリ第八条ノ金額ヲ支給ス
第十二条 海軍志願兵徴募ニ関スル細則及家族扶助金支給ニ関スル細則ハ海軍大臣之ヲ定ム
第十三条 本条例ハ明治三十二年四月一日ヨリ施行ス
第十四条 明治三十一年勅令第八十三号海軍志願兵徴募規則ハ本条例施行ノ日ヨリ廃止ス