海軍志願兵徴募規則
法令番号: 勅令第八十三號
公布年月日: 明治31年4月27日
法令の形式: 勅令
朕海軍志願兵徵募規則改正ノ件ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十一年四月二十六日
海軍大臣 侯爵 西鄕從道
勅令第八十三號
海軍志願兵徵募規則
第一條 海軍志願兵ハ本則ニ依リ徵募ス
第二條 志願兵ノ種別ハ左ノ如シ
水兵、信號兵、軍樂生、木工、機關兵、鍛冶、看護、主廚
第三條 信號兵ハ所要ニ應シ水兵中ヨリ適當ノ者ヲ選ミ之ニ轉セシム其ノ規程ハ海軍大臣之ヲ定ム
第四條 志願兵ノ徵募ハ其ノ年ニ於テ左ノ各項ニ適合スル者ニ就キ之ヲ行フ
一 水兵、機關兵ハ十七年以上二十一年未滿
二 木工、鍛冶、看護、主廚ハ十七年以上二十六年未滿
三 軍樂生ハ十四年以上十七年未滿
第五條 左ニ揭クル者ハ志願兵タルコトヲ得ス
一 陸軍ノ豫備役後備役及第一補充兵役ニ在ル者
二 徵兵令第二十八條ニ當ル者
三 禁錮以上ノ刑ニ處セラレタル者又ハ賭博犯ノ處分ヲ受ケタル者
四 刑事被吿人
五 復權ヲ得サル家資分散者破產者若ハ其ノ相續人
六 身代限ノ處分ヲ受ケ負債ノ辨償ヲ終ヘサル者若ハ其ノ相續人
第六條 軍樂生ニシテ入團後三箇月間敎育ノ上技藝發達ノ目途ナキ者ハ軍樂生ヲ免ス
第七條 志願兵現役中ハ家族アル者ニ限リ扶助金トシテ一箇月金八十五錢ヲ其ノ家族ニ給ス但シ左ニ揭クル事項ノ一ニ當ルトキハ其ノ間支給ヲ停止ス
一 擅ニ艦船團其ノ他各部ヲ離レ若ハ職役ヲ離レ若ハ允許ヲ得テ他方ニ赴キ故ナク歸著ノ期限ニ後レ二箇月ヲ過キタルトキハ其ノ翌月ヨリ自首若ハ捕縛ノ前月マテ
二 禁錮ノ刑ニ處セラレタルトキハ其ノ翌月ヨリ刑期滿限ノ前月マテ
第八條 海軍大臣ハ志願兵徵募ノ爲海軍志願兵徵募區ヲ定メ鎭守府ヲシテ之ヲ管セシム
第九條 海軍大臣ハ每年志願兵トシテ採用スヘキ人員ヲ定メ鎭守府ヲシテ徵募セシム
附 則
第十條 本則施行ノ際現ニ扶助金一日五錢七厘ヲ受クル志願兵ノ家族ニハ其ノ現役滿期ノ月迄一箇月金一圓七十五錢ヲ給ス但シ再服役ヲ許シタルトキハ再服役ノ翌月ヨリ第七條ノ金額ヲ支給ス
第十一條 海軍志願兵徵募ニ關スル細則及家族扶助金支給ニ關スル細則ハ海軍大臣之ヲ定ム
第十二條 本則ハ明治三十一年五月一日ヨリ施行ス
第十三條 志願兵ノ服役ニ關シテハ別ニ其ノ規程ヲ定ムルマテ明治二十二年勅令第六十八號海軍志願兵徵募規則ニ依ル
朕海軍志願兵徴募規則改正ノ件ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十一年四月二十六日
海軍大臣 侯爵 西郷従道
勅令第八十三号
海軍志願兵徴募規則
第一条 海軍志願兵ハ本則ニ依リ徴募ス
第二条 志願兵ノ種別ハ左ノ如シ
水兵、信号兵、軍楽生、木工、機関兵、鍛冶、看護、主厨
第三条 信号兵ハ所要ニ応シ水兵中ヨリ適当ノ者ヲ選ミ之ニ転セシム其ノ規程ハ海軍大臣之ヲ定ム
第四条 志願兵ノ徴募ハ其ノ年ニ於テ左ノ各項ニ適合スル者ニ就キ之ヲ行フ
一 水兵、機関兵ハ十七年以上二十一年未満
二 木工、鍛冶、看護、主厨ハ十七年以上二十六年未満
三 軍楽生ハ十四年以上十七年未満
第五条 左ニ掲クル者ハ志願兵タルコトヲ得ス
一 陸軍ノ予備役後備役及第一補充兵役ニ在ル者
二 徴兵令第二十八条ニ当ル者
三 禁錮以上ノ刑ニ処セラレタル者又ハ賭博犯ノ処分ヲ受ケタル者
四 刑事被告人
五 復権ヲ得サル家資分散者破産者若ハ其ノ相続人
六 身代限ノ処分ヲ受ケ負債ノ弁償ヲ終ヘサル者若ハ其ノ相続人
第六条 軍楽生ニシテ入団後三箇月間教育ノ上技芸発達ノ目途ナキ者ハ軍楽生ヲ免ス
第七条 志願兵現役中ハ家族アル者ニ限リ扶助金トシテ一箇月金八十五銭ヲ其ノ家族ニ給ス但シ左ニ掲クル事項ノ一ニ当ルトキハ其ノ間支給ヲ停止ス
一 擅ニ艦船団其ノ他各部ヲ離レ若ハ職役ヲ離レ若ハ允許ヲ得テ他方ニ赴キ故ナク帰著ノ期限ニ後レ二箇月ヲ過キタルトキハ其ノ翌月ヨリ自首若ハ捕縛ノ前月マテ
二 禁錮ノ刑ニ処セラレタルトキハ其ノ翌月ヨリ刑期満限ノ前月マテ
第八条 海軍大臣ハ志願兵徴募ノ為海軍志願兵徴募区ヲ定メ鎮守府ヲシテ之ヲ管セシム
第九条 海軍大臣ハ毎年志願兵トシテ採用スヘキ人員ヲ定メ鎮守府ヲシテ徴募セシム
附 則
第十条 本則施行ノ際現ニ扶助金一日五銭七厘ヲ受クル志願兵ノ家族ニハ其ノ現役満期ノ月迄一箇月金一円七十五銭ヲ給ス但シ再服役ヲ許シタルトキハ再服役ノ翌月ヨリ第七条ノ金額ヲ支給ス
第十一条 海軍志願兵徴募ニ関スル細則及家族扶助金支給ニ関スル細則ハ海軍大臣之ヲ定ム
第十二条 本則ハ明治三十一年五月一日ヨリ施行ス
第十三条 志願兵ノ服役ニ関シテハ別ニ其ノ規程ヲ定ムルマテ明治二十二年勅令第六十八号海軍志願兵徴募規則ニ依ル