(目的)
第一条 この法律は、国家公務員の留学費用の償還に関し必要な事項を定めること等により、国家公務員の留学及びこれに相当する研修等について、その成果を公務に活用させるようにするとともに、国民の信頼を確保し、もって公務の能率的な運営に資することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「職員」とは、第十条から第十二条までを除き、国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第二条に規定する一般職に属する国家公務員をいう。
2 この法律において「留学」とは、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)に基づく大学の大学院の課程(同法第六十八条の二第四項第二号の規定により大学院の課程に相当する教育を行うものとして認められたものを含む。)又はこれに相当する外国の大学(これに準ずる教育施設を含む。)の課程に在学してその課程を履修する研修であって、国家公務員法第七十三条の規定に基づき、職員の同意を得て、国が実施するもののうち、その内容及び実施形態を考慮して人事院規則で定めるものをいう。
3 この法律において「留学費用」とは、旅費その他の留学に必要な費用として人事院規則で定めるものをいう。
4 この法律において「特別職国家公務員等」とは、国家公務員法第二条に規定する特別職に属する国家公務員、地方公務員又は公庫の予算及び決算に関する法律(昭和二十六年法律第九十九号)第一条に規定する公庫その他その業務が国の事務若しくは事業と密接な関連を有する法人のうち人事院規則で定めるものに使用される者をいう。
(留学費用の償還)
第三条 留学を命ぜられた職員が次の各号に掲げるいずれかの期間内に離職した場合には、その者は、それぞれ当該各号に定める金額を国に償還しなければならない。
一 当該留学の期間 当該留学のために国が支出した留学費用の総額に相当する金額
二 当該留学の期間の末日の翌日から起算した職員としての在職期間が五年に達するまでの期間 当該留学のために国が支出した留学費用の総額に相当する金額に、同日から起算した職員としての在職期間が逓増する程度に応じて百分の百から一定の割合で逓減するように人事院規則で定める率を乗じて得た金額
2 前項の離職した場合には、死亡により職員でなくなった場合を含まないものとする。
3 第一項第二号の職員としての在職期間には、次に掲げる期間を含まないものとする。
一 国家公務員法第七十九条の規定による休職の期間(公務上負傷し、若しくは疾病にかかり、又は通勤(国家公務員災害補償法(昭和二十六年法律第百九十一号)第一条の二に規定する通勤をいう。以下同じ。)により負傷し、若しくは疾病にかかり、国家公務員法第七十九条第一号に掲げる事由に該当して休職にされた場合における当該休職の期間その他の人事院規則で定める休職の期間を除く。)
三 国家公務員法第百八条の六第一項ただし書の規定により職員団体の業務に専ら従事した期間又は特定独立行政法人等の労働関係に関する法律(昭和二十三年法律第二百五十七号)第七条第一項ただし書の規定により労働組合の業務に専ら従事した期間
四 国家公務員の育児休業等に関する法律(平成三年法律第百九号)第三条第一項の規定による育児休業をした期間
(適用除外)
第四条 前条の規定は、留学を命ぜられた職員が次の各号に掲げる場合のいずれかに該当して離職した場合には、適用しない。
一 公務上負傷し、若しくは疾病にかかり、若しくは通勤により負傷し、若しくは疾病にかかり、国家公務員法第七十八条第二号に掲げる事由に該当して免職された場合又は同条第四号に掲げる事由に該当して免職された場合
二 国家公務員法第八十一条の二第一項の規定により退職した場合(同法第八十一条の三第一項の期限又は同条第二項の規定により延長された期限の到来により退職した場合を含む。)
三 任期を定めて採用された職員が、当該任期が満了したことにより退職した場合
四 前三号に掲げる場合に準ずる場合として人事院規則で定める場合
五 国家公務員法第五十五条第一項に規定する任命権者及び法律で別に定められた任命権者並びにこれらの任命権者から委任を受けた者の要請に応じ特別職国家公務員等となるため退職した場合
六 前号に掲げる場合のほか、特別職国家公務員等となるため離職した場合であって、人事院規則で定める場合
(特別職国家公務員等となった者に関する特例)
第五条 留学を命ぜられた職員のうち、前条第五号又は第六号に掲げる場合に該当して離職し、引き続き特別職国家公務員等として在職した後、引き続いて職員として採用された者(一の特別職国家公務員等として在職した後、引き続き一以上の特別職国家公務員等として在職し、引き続いて職員として採用された者を含む。)が離職した場合には、同条第五号又は第六号に掲げる場合に該当して離職した後における特別職国家公務員等としての在職を職員としての在職とみなして、第三条の規定を適用する。この場合において、同条第三項中「次に掲げる期間」とあるのは、「次に掲げる期間及び第五条第一項の規定により特別職国家公務員等としての在職が職員としての在職とみなされる場合における次に掲げる期間に相当する期間として人事院規則で定める期間」とする。
2 留学を命ぜられた職員のうち、前条第五号又は第六号に掲げる場合に該当して離職し、引き続き特別職国家公務員等として在職する者(一の特別職国家公務員等として在職した後、引き続き一以上の特別職国家公務員等として在職する者を含む。)が、当該特別職国家公務員等でなくなった場合(引き続いて職員として採用される場合又は引き続き当該特別職国家公務員等以外の特別職国家公務員等として在職する場合を除く。)には、当該特別職国家公務員等でなくなったことを離職したことと、同条第五号又は第六号に掲げる場合に該当して離職した後における特別職国家公務員等としての在職を職員としての在職とそれぞれみなして、前二条の規定を適用する。この場合において、第三条第三項中「次に掲げる期間」とあるのは「次に掲げる期間及び第五条第二項の規定により特別職国家公務員等としての在職が職員としての在職とみなされる場合における次に掲げる期間に相当する期間として人事院規則で定める期間」と、前条中「次の各号に掲げる場合」とあるのは「特別職国家公務員等につき次の各号に掲げる場合に相当する場合として人事院規則で定める場合」とする。
(人事院規則への委任)
第六条 この法律(次条から第十二条までを除く。次条及び第八条において同じ。)の実施に関し必要な事項は、人事院規則で定める。
(外務職員の研修に関する特例)
第七条 外務公務員法(昭和二十七年法律第四十一号)第二条第五項に規定する外務職員に対する同法第十五条の規定に基づく研修に関するこの法律の規定の適用については、第二条第二項中「研修」とあるのは「研修その他の研修」と、「国家公務員法第七十三条」とあるのは「外務公務員法(昭和二十七年法律第四十一号)第十五条」と、「人事院規則」とあるのは「外務省令」と、同条第三項、第三条第一項第二号及び前条(見出しを含む。)中「人事院規則」とあるのは「外務省令」とする。
(国有林野事業を行う国の経営する企業に勤務する職員の研修に関する特例)
第八条 特定独立行政法人等の労働関係に関する法律第二条第二号に規定する国有林野事業を行う国の経営する企業に勤務する職員に対する研修に関するこの法律の規定の適用については、これらの規定中「人事院規則」とあるのは「農林水産省令」とするほか、第二条第二項中「であって、国家公務員法第七十三条の規定に基づき」とあるのは「であって」とする。
(特定独立行政法人及び日本郵政公社の講ずべき措置)
第九条 留学に相当する研修を実施する独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第二項に規定する特定独立行政法人及び日本郵政公社は、第三条から第六条までに規定する措置に準じて、それぞれの職員で当該研修を命ぜられたものが第三条第一項各号に掲げる期間に相当する期間内に離職した場合に、その者に、当該研修の実施のために要する留学費用に相当する費用の全部又は一部を償還させるために必要な措置を講じなければならない。
(裁判所職員への準用)
第十条 第二条から第六条まで(第二条第一項及び第四項並びに第四条第五号を除く。)の規定は、裁判所職員(国家公務員法第二条第三項第十三号に掲げる裁判官及びその他の裁判所職員をいう。)について準用する。この場合において、これらの規定中「人事院規則」とあるのは「最高裁判所規則」と読み替えるほか、次の表の上欄に掲げる規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとする。
第二条第二項 |
であって、国家公務員法第七十三条の規定に基づき |
であって |
第三条第三項第一号 |
国家公務員法第七十九条の規定 |
裁判所職員臨時措置法(昭和二十六年法律第二百九十九号)において準用する国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第七十九条の規定 |
|
国家公務員災害補償法 |
裁判所職員臨時措置法において準用する国家公務員災害補償法 |
|
いう。以下同じ |
いう |
|
国家公務員法第七十九条第一号 |
裁判所職員臨時措置法において準用する国家公務員法第七十九条第一号 |
|
除く。) |
除く。)又は裁判官弾劾法(昭和二十二年法律第百三十七号)第三十九条の規定による職務の停止の期間 |
第三条第三項第二号 |
国家公務員法第八十二条 |
裁判所職員臨時措置法において準用する国家公務員法第八十二条 |
第三条第三項第三号 |
国家公務員法第百八条の六第一項ただし書 |
裁判所職員臨時措置法において準用する国家公務員法第百八条の六第一項ただし書 |
|
期間又は特定独立行政法人等の労働関係に関する法律(昭和二十三年法律第二百五十七号)第七条第一項ただし書の規定により労働組合の業務に専ら従事した期間 |
期間 |
第三条第三項第四号 |
国家公務員の育児休業等に関する法律 |
裁判官の育児休業に関する法律(平成三年法律第百十一号)第二条第一項又は裁判所職員臨時措置法において準用する国家公務員の育児休業等に関する法律 |
第四条第一号 |
通勤 |
通勤(裁判官の災害補償に関する法律(昭和三十五年法律第百号)においてその例によるものとされ、又は裁判所職員臨時措置法において準用する国家公務員災害補償法第一条の二に規定する通勤をいう。) |
|
国家公務員法第七十八条第二号 |
裁判官分限法(昭和二十二年法律第百二十七号)第一条第一項(同項の裁判に係る部分に限る。)に規定する事由に該当して免官され、若しくは裁判所職員臨時措置法において準用する国家公務員法第七十八条第二号 |
第四条第二号 |
国家公務員法第八十一条の二第一項 |
裁判所法(昭和二十二年法律第五十九号)第五十条又は裁判所職員臨時措置法において準用する国家公務員法第八十一条の二第一項 |
第四条第六号 |
前号に掲げる場合のほか、特別職国家公務員等 |
一般職国家公務員等(国家公務員法第二条に規定する一般職に属する国家公務員、同条に規定する特別職に属する国家公務員(裁判所職員を除く。)、地方公務員又は公庫の予算及び決算に関する法律(昭和二十六年法律第九十九号)第一条に規定する公庫その他その業務が国の事務若しくは事業と密接な関連を有する法人のうち最高裁判所規則で定めるものに使用される者をいう。以下同じ。) |
第五条(見出しを含む。) |
特別職国家公務員等 |
一般職国家公務員等 |
第五条 |
前条第五号又は第六号 |
前条第六号 |
|
同条第五号又は第六号 |
同号 |
第五条第二項 |
前二条 |
前二条(前条第五号を除く。) |
第六条 |
この法律(次条から第十二条までを除く。次条及び第八条において同じ。) |
この法律 |
(防衛庁職員への準用)
第十一条 第二条第二項及び第三項、第三条(第三項第三号を除く。)並びに第四条から第六条までの規定は、防衛庁職員(国家公務員法第二条第三項第十六号に掲げる防衛庁の職員をいう。)について準用する。この場合において、これらの規定中「人事院規則」とあるのは「内閣府令」と読み替えるほか、次の表の上欄に掲げる規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとする。
第二条第二項 |
であって、国家公務員法第七十三条の規定に基づき |
であって |
第三条第三項第一号 |
国家公務員法第七十九条の規定 |
自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第四十三条の規定 |
|
国家公務員災害補償法 |
防衛庁の職員の給与等に関する法律(昭和二十七年法律第二百六十六号)第二十七条第一項において準用する国家公務員災害補償法 |
|
国家公務員法第七十九条第一号 |
自衛隊法第四十三条第一号 |
第三条第三項第二号 |
国家公務員法第八十二条 |
自衛隊法第四十六条 |
第三条第三項第四号 |
第三条第一項 |
第十三条において準用する同法第三条第一項 |
第四条第一号 |
国家公務員法第七十八条第二号 |
自衛隊法第四十二条第二号 |
第四条第二号 |
国家公務員法第八十一条の二第一項 |
自衛隊法第四十四条の二第一項又は第四十五条第一項 |
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第八十一条の三第一項 |
第四十四条の三第一項 |
|
場合を含む |
場合及び同法第四十五条第三項の規定により勤務した後退職した場合を含む |
第四条第五号 |
国家公務員法第五十五条第一項に規定する任命権者及び法律で別に定められた任命権者並びにこれらの任命権者から委任を受けた者 |
自衛隊法第三十一条第一項の規定により同法第二条第五項に規定する隊員の任免について権限を有する者 |
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特別職国家公務員等 |
一般職国家公務員等(同法第四十六条第二項に規定する一般職国家公務員等をいう。以下同じ。) |
第四条第六号及び第五条(見出しを含む。) |
特別職国家公務員等 |
一般職国家公務員等 |
第五条第一項 |
第三条 |
第三条(第三項第三号を除く。) |
第五条第二項 |
前二条 |
前二条(第三条第三項第三号を除く。) |
第六条 |
この法律(次条から第十二条までを除く。次条及び第八条において同じ。) |
この法律 |
(地方公共団体における留学費用に相当する費用の償還)
第十二条 留学に相当する研修を実施する地方公共団体は、当該研修を命ぜられた職員が第三条第一項各号に掲げる期間に相当する期間内に離職した場合に、その者に、当該研修の実施のために要する留学費用に相当する費用の全部又は一部を償還させることができる。
2 前項の規定により償還させる金額その他必要な事項については、第三条から第六条までに規定する措置を基準として条例で定めるものとする。