言語聴覚士法
法令番号: 法律第132号
公布年月日: 平成9年12月19日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

近年の高齢化や疾病構造の変化に伴い、脳卒中による言語機能障害や先天的難聴等の聴覚障害を有する者へのリハビリテーションの必要性が高まっている。これらのリハビリテーションを推進するには、従事者の確保と資質向上が喫緊の課題となっている。このような状況を踏まえ、音声機能、言語機能及び聴覚に関するリハビリテーションを行う専門職種として言語聴覚士の資格を定めることとし、本法律案を提出することとした。

参照した発言:
第141回国会 衆議院 厚生委員会 第3号

審議経過

第141回国会

衆議院
(平成9年11月14日)
(平成9年11月21日)
(平成9年11月28日)
(平成9年12月2日)
参議院
(平成9年12月4日)
(平成9年12月11日)
(平成9年12月12日)
(平成9年12月12日)
言語聴覚士法をここに公布する。
御名御璽
平成九年十二月十九日
内閣総理大臣 橋本龍太郎
法律第百三十二号
言語聴覚士法
目次
第一章
総則(第一条・第二条)
第二章
免許(第三条―第二十八条)
第三章
試験(第二十九条―第四十一条)
第四章
業務等(第四十二条―第四十六条)
第五章
罰則(第四十七条―第五十一条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、言語聴覚士の資格を定めるとともに、その業務が適正に運用されるように規律し、もって医療の普及及び向上に寄与することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律で「言語聴覚士」とは、厚生大臣の免許を受けて、言語聴覚士の名称を用いて、音声機能、言語機能又は聴覚に障害のある者についてその機能の維持向上を図るため、言語訓練その他の訓練、これに必要な検査及び助言、指導その他の援助を行うことを業とする者をいう。
第二章 免許
(免許)
第三条 言語聴覚士になろうとする者は、言語聴覚士国家試験(以下「試験」という。)に合格し、厚生大臣の免許(第三十三条第六号を除き、以下「免許」という。)を受けなければならない。
(絶対的欠格事由)
第四条 目が見えない者、耳が聞こえない者又は口がきけない者には、免許を与えない。
(相対的欠格事由)
第五条 次の各号のいずれかに該当する者には、免許を与えないことがある。
一 罰金以上の刑に処せられた者
二 前号に該当する者を除くほか、言語聴覚士の業務に関し犯罪又は不正の行為があった者
三 素行が著しく不良である者
四 精神病者、麻薬、大麻若しくはあへんの中毒者又は伝染性の疾病にかかっている者
(言語聴覚士名簿)
第六条 厚生省に言語聴覚士名簿を備え、免許に関する事項を登録する。
(登録及び免許証の交付)
第七条 免許は、試験に合格した者の申請により、言語聴覚士名簿に登録することによって行う。
2 厚生大臣は、免許を与えたときは、言語聴覚士免許証を交付する。
(言語聴覚士名簿の訂正)
第八条 言語聴覚士は、言語聴覚士名簿に登録された免許に関する事項に変更があったときは、三十日以内に、当該事項の変更を厚生大臣に申請しなければならない。
(免許の取消し等)
第九条 言語聴覚士が第四条の規定に該当するに至ったときは、厚生大臣は、その免許を取り消さなければならない。
2 言語聴覚士が第五条各号のいずれかに該当するに至ったときは、厚生大臣は、その免許を取り消し、又は期間を定めて言語聴覚士の名称の使用の停止を命ずることができる。
3 前項の規定により免許を取り消された者であっても、その者がその取消しの理由となった事項に該当しなくなったとき、その他その後の事情により再び免許を与えるのが適当であると認められるに至ったときは、再免許を与えることができる。この場合においては、第七条の規定を準用する。
(登録の消除)
第十条 厚生大臣は、免許がその効力を失ったときは、言語聴覚士名簿に登録されたその免許に関する事項を消除しなければならない。
(免許証の再交付手数料)
第十一条 言語聴覚士免許証の再交付を受けようとする者は、実費を勘案して政令で定める額の手数料を国に納付しなければならない。
(指定登録機関の指定)
第十二条 厚生大臣は、厚生省令で定めるところにより、その指定する者(以下「指定登録機関」という。)に、言語聴覚士の登録の実施等に関する事務(以下「登録事務」という。)を行わせることができる。
2 指定登録機関の指定は、厚生省令で定めるところにより、登録事務を行おうとする者の申請により行う。
3 厚生大臣は、他に第一項の規定による指定を受けた者がなく、かつ、前項の申請が次の要件を満たしていると認めるときでなければ、指定登録機関の指定をしてはならない。
一 職員、設備、登録事務の実施の方法その他の事項についての登録事務の実施に関する計画が、登録事務の適正かつ確実な実施のために適切なものであること。
二 前号の登録事務の実施に関する計画の適正かつ確実な実施に必要な経理的及び技術的な基礎を有するものであること。
4 厚生大臣は、第二項の申請が次のいずれかに該当するときは、指定登録機関の指定をしてはならない。
一 申請者が、民法(明治二十九年法律第八十九号)第三十四条の規定により設立された法人以外の者であること。
二 申請者がその行う登録事務以外の業務により登録事務を公正に実施することができないおそれがあること。
三 申請者が、第二十三条の規定により指定を取り消され、その取消しの日から起算して二年を経過しない者であること。
四 申請者の役員のうちに、次のいずれかに該当する者があること。
イ この法律に違反して、刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して二年を経過しない者
ロ 次条第二項の規定による命令により解任され、その解任の日から起算して二年を経過しない者
(指定登録機関の役員の選任及び解任)
第十三条 指定登録機関の役員の選任及び解任は、厚生大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
2 厚生大臣は、指定登録機関の役員が、この法律(この法律に基づく命令又は処分を含む。)若しくは第十五条第一項に規定する登録事務規程に違反する行為をしたとき、又は登録事務に関し著しく不適当な行為をしたときは、指定登録機関に対し、当該役員の解任を命ずることができる。
(事業計画の認可等)
第十四条 指定登録機関は、毎事業年度、事業計画及び収支予算を作成し、当該事業年度の開始前に(第十二条第一項の規定による指定を受けた日の属する事業年度にあっては、その指定を受けた後遅滞なく)、厚生大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 指定登録機関は、毎事業年度の経過後三月以内に、その事業年度の事業報告書及び収支決算書を作成し、厚生大臣に提出しなければならない。
(登録事務規程)
第十五条 指定登録機関は、登録事務の開始前に、登録事務の実施に関する規程(以下「登録事務規程」という。)を定め、厚生大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 登録事務規程で定めるべき事項は、厚生省令で定める。
3 厚生大臣は、第一項の認可をした登録事務規程が登録事務の適正かつ確実な実施上不適当となったと認めるときは、指定登録機関に対し、これを変更すべきことを命ずることができる。
(規定の適用等)
第十六条 指定登録機関が登録事務を行う場合における第六条、第七条第二項(第九条第三項において準用する場合を含む。)、第八条、第十条及び第十一条の規定の適用については、第六条中「厚生省」とあるのは「指定登録機関」と、第七条第二項中「厚生大臣」とあるのは「指定登録機関」と、「免許を与えたときは、言語聴覚士免許証」とあるのは「前項の規定による登録をしたときは、当該登録に係る者に言語聴覚士免許証明書」と、第八条及び第十条中「厚生大臣」とあるのは「指定登録機関」と、第十一条中「言語聴覚士免許証」とあるのは「言語聴覚士免許証明書」と、「国」とあるのは「指定登録機関」とする。
2 指定登録機関が登録事務を行う場合において、言語聴覚士名簿に免許に関する事項の登録を受けようとする者又は言語聴覚士免許証明書の書換え交付を受けようとする者は、実費を勘案して政令で定める額の手数料を指定登録機関に納付しなければならない。
3 第一項の規定により読み替えて適用する第十一条及び前項の規定により指定登録機関に納められた手数料は、指定登録機関の収入とする。
(秘密保持義務等)
第十七条 指定登録機関の役員若しくは職員又はこれらの職にあった者は、登録事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。
2 登録事務に従事する指定登録機関の役員又は職員は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
(帳簿の備付け等)
第十八条 指定登録機関は、厚生省令で定めるところにより、帳簿を備え付け、これに登録事務に関する事項で厚生省令で定めるものを記載し、及びこれを保存しなければならない。
(監督命令)
第十九条 厚生大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、指定登録機関に対し、登録事務に関し監督上必要な命令をすることができる。
(報告)
第二十条 厚生大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、その必要な限度で、厚生省令で定めるところにより、指定登録機関に対し、報告をさせることができる。
(立入検査)
第二十一条 厚生大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、その必要な限度で、その職員に、指定登録機関の事務所に立ち入り、指定登録機関の帳簿、書類その他必要な物件を検査させ、又は関係者に質問させることができる。
2 前項の規定により立入検査を行う職員は、その身分を示す証明書を携帯し、かつ、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。
3 第一項に規定する権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(登録事務の休廃止)
第二十二条 指定登録機関は、厚生大臣の許可を受けなければ、登録事務の全部又は一部を休止し、又は廃止してはならない。
(指定の取消し等)
第二十三条 厚生大臣は、指定登録機関が第十二条第四項各号(第三号を除く。)のいずれかに該当するに至ったときは、その指定を取り消さなければならない。
2 厚生大臣は、指定登録機関が次の各号のいずれかに該当するに至ったときは、その指定を取り消し、又は期間を定めて登録事務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。
一 第十二条第三項各号の要件を満たさなくなったと認められるとき。
二 第十三条第二項、第十五条第三項又は第十九条の規定による命令に違反したとき。
三 第十四条又は前条の規定に違反したとき。
四 第十五条第一項の認可を受けた登録事務規程によらないで登録事務を行ったとき。
五 次条第一項の条件に違反したとき。
(指定等の条件)
第二十四条 第十二条第一項、第十三条第一項、第十四条第一項、第十五条第一項又は第二十二条の規定による指定、認可又は許可には、条件を付し、及びこれを変更することができる。
2 前項の条件は、当該指定、認可又は許可に係る事項の確実な実施を図るため必要な最小限度のものに限り、かつ、当該指定、認可又は許可を受ける者に不当な義務を課することとなるものであってはならない。
(指定登録機関がした処分等に係る不服申立て)
第二十五条 指定登録機関が行う登録事務に係る処分又はその不作為について不服がある者は、厚生大臣に対し、行政不服審査法(昭和三十七年法律第百六十号)による審査請求をすることができる。
(厚生大臣による登録事務の実施等)
第二十六条 厚生大臣は、指定登録機関の指定をしたときは、登録事務を行わないものとする。
2 厚生大臣は、指定登録機関が第二十二条の規定による許可を受けて登録事務の全部若しくは一部を休止したとき、第二十三条第二項の規定により指定登録機関に対し登録事務の全部若しくは一部の停止を命じたとき、又は指定登録機関が天災その他の事由により登録事務の全部若しくは一部を実施することが困難となった場合において必要があると認めるときは、登録事務の全部又は一部を自ら行うものとする。
(公示)
第二十七条 厚生大臣は、次の場合には、その旨を官報に公示しなければならない。
一 第十二条第一項の規定による指定をしたとき。
二 第二十二条の規定による許可をしたとき。
三 第二十三条の規定により指定を取り消し、又は登録事務の全部若しくは一部の停止を命じたとき。
四 前条第二項の規定により登録事務の全部若しくは一部を自ら行うこととするとき、又は自ら行っていた登録事務の全部若しくは一部を行わないこととするとき。
(厚生省令への委任)
第二十八条 この章に規定するもののほか、免許の申請、言語聴覚士名簿の登録、訂正及び消除、言語聴覚士免許証又は言語聴覚士免許証明書の交付、書換え交付及び再交付、第二十六条第二項の規定により厚生大臣が登録事務の全部又は一部を行う場合における登録事務の引継ぎその他免許及び指定登録機関に関し必要な事項は、厚生省令で定める。
第三章 試験
(試験)
第二十九条 試験は、言語聴覚士として必要な知識及び技能について行う。
(試験の実施)
第三十条 試験は、毎年一回以上、厚生大臣が行う。
(言語聴覚士試験委員)
第三十一条 試験の問題の作成及び採点を行わせるため、厚生省に言語聴覚士試験委員(次項及び次条において「試験委員」という。)を置く。
2 試験委員に関し必要な事項は、政令で定める。
(不正行為の禁止)
第三十二条 試験委員は、試験の問題の作成及び採点について、厳正を保持し不正の行為のないようにしなければならない。
(受験資格)
第三十三条 試験は、次の各号のいずれかに該当する者でなければ、受けることができない。
一 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第五十六条の規定により大学に入学することができる者その他その者に準ずるものとして厚生省令で定める者で、文部大臣が指定した学校又は厚生大臣が指定した言語聴覚士養成所において、三年以上言語聴覚士として必要な知識及び技能を修得したもの
二 学校教育法に基づく大学若しくは高等専門学校、旧大学令(大正七年勅令第三百八十八号)に基づく大学又は厚生省令で定める学校、文教研修施設若しくは養成所において二年(高等専門学校にあっては、五年)以上修業し、かつ、厚生大臣の指定する科目を修めた者で、文部大臣が指定した学校又は厚生大臣が指定した言語聴覚士養成所において、一年以上言語聴覚士として必要な知識及び技能を修得したもの
三 学校教育法に基づく大学若しくは高等専門学校、旧大学令に基づく大学又は厚生省令で定める学校、文教研修施設若しくは養成所において一年(高等専門学校にあっては、四年)以上修業し、かつ、厚生大臣の指定する科目を修めた者で、文部大臣が指定した学校又は厚生大臣が指定した言語聴覚士養成所において、二年以上言語聴覚士として必要な知識及び技能を修得したもの
四 学校教育法に基づく大学(短期大学を除く。)又は旧大学令に基づく大学において厚生大臣の指定する科目を修めて卒業した者その他その者に準ずるものとして厚生省令で定める者
五 学校教育法に基づく大学(短期大学を除く。)又は旧大学令に基づく大学を卒業した者その他その者に準ずるものとして厚生省令で定める者で、文部大臣が指定した学校又は厚生大臣が指定した言語聴覚士養成所において、二年以上言語聴覚士として必要な知識及び技能を修得したもの
六 外国の第二条に規定する業務に関する学校若しくは養成所を卒業し、又は外国で言語聴覚士に係る厚生大臣の免許に相当する免許を受けた者で、厚生大臣が前各号に掲げる者と同等以上の知識及び技能を有すると認定したもの
(試験の無効等)
第三十四条 厚生大臣は、試験に関して不正の行為があった場合には、その不正行為に関係のある者に対しては、その受験を停止させ、又はその試験を無効とすることができる。
2 厚生大臣は、前項の規定による処分を受けた者に対し、期間を定めて試験を受けることができないものとすることができる。
(受験手数料)
第三十五条 試験を受けようとする者は、実費を勘案して政令で定める額の受験手数料を国に納付しなければならない。
2 前項の受験手数料は、これを納付した者が試験を受けない場合においても、返還しない。
(指定試験機関の指定)
第三十六条 厚生大臣は、厚生省令で定めるところにより、その指定する者(以下「指定試験機関」という。)に、試験の実施に関する事務(以下「試験事務」という。)を行わせることができる。
2 指定試験機関の指定は、厚生省令で定めるところにより、試験事務を行おうとする者の申請により行う。
(指定試験機関の言語聴覚士試験委員)
第三十七条 指定試験機関は、試験の問題の作成及び採点を言語聴覚士試験委員(次項及び第三項並びに次条並びに第四十条において読み替えて準用する第十三条第二項及び第十七条において「試験委員」という。)に行わせなければならない。
2 指定試験機関は、試験委員を選任しようとするときは、厚生省令で定める要件を備える者のうちから選任しなければならない。
3 指定試験機関は、試験委員を選任したときは、厚生省令で定めるところにより、厚生大臣にその旨を届け出なければならない。試験委員に変更があったときも、同様とする。
第三十八条 試験委員は、試験の問題の作成及び採点について、厳正を保持し不正の行為のないようにしなければならない。
(受験の停止等)
第三十九条 指定試験機関が試験事務を行う場合において、指定試験機関は、試験に関して不正の行為があったときは、その不正行為に関係のある者に対しては、その受験を停止させることができる。
2 前項に定めるもののほか、指定試験機関が試験事務を行う場合における第三十四条及び第三十五条第一項の規定の適用については、第三十四条第一項中「その受験を停止させ、又はその試験」とあるのは「その試験」と、同条第二項中「前項」とあるのは「前項又は第三十九条第一項」と、第三十五条第一項中「国」とあるのは「指定試験機関」とする。
3 前項の規定により読み替えて適用する第三十五条第一項の規定により指定試験機関に納められた受験手数料は、指定試験機関の収入とする。
(準用)
第四十条 第十二条第三項及び第四項、第十三条から第十五条まで並びに第十七条から第二十七条までの規定は、指定試験機関について準用する。この場合において、これらの規定中「登録事務」とあるのは「試験事務」と、「登録事務規程」とあるのは「試験事務規程」と、第十二条第三項中「第一項」とあるのは「第三十六条第一項」と、「前項」とあるのは「同条第二項」と、同条第四項中「第二項の申請」とあるのは「第三十六条第二項の申請」と、第十三条第二項中「役員」とあるのは「役員(試験委員を含む。)」と、第十四条第一項中「第十二条第一項」とあるのは「第三十六条第一項」と、第十七条中「役員」とあるのは「役員(試験委員を含む。)」と、第二十三条第二項第三号中「又は前条」とあるのは「、前条又は第三十七条」と、第二十四条第一項及び第二十七条第一号中「第十二条第一項」とあるのは「第三十六条第一項」と読み替えるものとする。
(試験の細目等)
第四十一条 この章に規定するもののほか、試験科目、受験手続、試験事務の引継ぎその他試験及び指定試験機関並びに第三十三条第一号から第三号まで及び第五号の規定による学校又は言語聴覚士養成所の指定に関し必要な事項は、省令で定める。
第四章 業務等
(業務)
第四十二条 言語聴覚士は、保健婦助産婦看護婦法(昭和二十三年法律第二百三号)第三十一条第一項及び第三十二条の規定にかかわらず、診療の補助として、医師又は歯科医師の指示の下に、嚥下訓練、人工内耳の調整その他厚生省令で定める行為を行うことを業とすることができる。
2 前項の規定は、第九条第二項の規定により言語聴覚士の名称の使用の停止を命ぜられている者については、適用しない。
(連携等)
第四十三条 言語聴覚士は、その業務を行うに当たっては、医師、歯科医師その他の医療関係者との緊密な連携を図り、適正な医療の確保に努めなければならない。
2 言語聴覚士は、その業務を行うに当たって、音声機能、言語機能又は聴覚に障害のある者に主治の医師又は歯科医師があるときは、その指導を受けなければならない。
3 言語聴覚士は、その業務を行うに当たっては、音声機能、言語機能又は聴覚に障害のある者の福祉に関する業務を行う者その他の関係者との連携を保たなければならない。
(秘密を守る義務)
第四十四条 言語聴覚士は、正当な理由がなく、その業務上知り得た人の秘密を漏らしてはならない。言語聴覚士でなくなった後においても、同様とする。
(名称の使用制限)
第四十五条 言語聴覚士でない者は、言語聴覚士又はこれに紛らわしい名称を使用してはならない。
(経過措置)
第四十六条 この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。
第五章 罰則
第四十七条 第十七条第一項(第四十条において準用する場合を含む。)の規定に違反して、登録事務又は試験事務に関して知り得た秘密を漏らした者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
第四十八条 第二十三条第二項(第四十条において準用する場合を含む。)の規定による登録事務又は試験事務の停止の命令に違反したときは、その違反行為をした指定登録機関又は指定試験機関の役員又は職員は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
第四十九条 次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。
一 第三十二条又は第三十八条の規定に違反して、不正の採点をした者
二 第四十四条の規定に違反して、業務上知り得た人の秘密を漏らした者
2 前項第二号の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
第五十条 次の各号のいずれかに該当する者は、二十万円以下の罰金に処する。
一 第九条第二項の規定により言語聴覚士の名称の使用の停止を命ぜられた者で、当該停止を命ぜられた期間中に、言語聴覚士の名称を使用したもの
二 第四十五条の規定に違反して、言語聴覚士又はこれに紛らわしい名称を使用した者
第五十一条 次の各号のいずれかに該当するときは、その違反行為をした指定登録機関又は指定試験機関の役員又は職員は、二十万円以下の罰金に処する。
一 第十八条(第四十条において準用する場合を含む。)の規定に違反して、帳簿を備え付けず、帳簿に記載せず、若しくは帳簿に虚偽の記載をし、又は帳簿を保存しなかったとき。
二 第二十条(第四十条において準用する場合を含む。)の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。
三 第二十一条第一項(第四十条において準用する場合を含む。以下この号において同じ。)の規定による立入り若しくは検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は同項の規定による質問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をしたとき。
四 第二十二条(第四十条において準用する場合を含む。)の許可を受けないで登録事務又は試験事務の全部を廃止したとき。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(受験資格の特例)
第二条 言語聴覚士として必要な知識及び技能を修得させる学校又は養成所であって、文部大臣又は厚生大臣が指定したものにおいて、この法律の施行の際現に言語聴覚士として必要な知識及び技能の修得を終えている者又はこの法律の施行の際現に言語聴覚士として必要な知識及び技能を修得中であり、その修得をこの法律の施行後に終えた者は、第三十三条の規定にかかわらず、試験を受けることができる。
第三条 この法律の施行の際現に病院、診療所その他厚生省令で定める施設において適法に第二条に規定する業務を業として行っている者その他その者に準ずるものとして厚生省令で定める者であって、次の各号のいずれにも該当するに至ったものは、平成十五年三月三十一日までは、第三十三条の規定にかかわらず、試験を受けることができる。
一 厚生大臣が指定した講習会の課程を修了した者
二 病院、診療所その他厚生省令で定める施設において、適法に第二条に規定する業務を五年以上業として行った者
(名称の使用制限に関する経過措置)
第四条 この法律の施行の際現に言語聴覚士又はこれに紛らわしい名称を使用している者については、第四十五条の規定は、この法律の施行後六月間は、適用しない。
(検討)
第五条 政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、この法律の規定の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
2 政府は、他の資格制度における障害者に係る欠格事由についての検討の状況を踏まえ、適正な医療を確保しつつ障害者の自立及び社会経済活動への参加を促進するという観点から、言語聴覚士の資格に係る欠格事由の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
(登録免許税法の一部改正)
第六条 登録免許税法(昭和四十二年法律第三十五号)の一部を次のように改正する。
別表第一第二十三号中(六の五)を(六の六)とし、(六の四)を(六の五)とし、(六の三)の次に次のように加える。
(六の四) 言語聴覚士法(平成九年法律第百三十二号)による言語聴覚士名簿にする登録
  イ 言語聴覚士法第七条第一項(登録)の言語聴覚士の登録
登録件数
一件につき九千円
  ロ 登録事項の変更の登録
登録件数
一件につき千円
(厚生省設置法の一部改正)
第七条 厚生省設置法(昭和二十四年法律第百五十一号)の一部を次のように改正する。
第六条第三十六号中「又は視能訓練士」を「、視能訓練士又は言語聴覚士」に改め、「養成施設」の下に「又は養成所」を加え、同条中第三十六号の七を第三十六号の八とし、第三十六号の二から第三十六号の六までを一号ずつ繰り下げ、第三十六号の次に次の一号を加える。
三十六の二 言語聴覚士法(平成九年法律第百三十二号)の規定に基づき、指定登録機関及び指定試験機関を指定し、並びにこれらに対し、認可その他監督を行うこと。
大蔵大臣 三塚博
文部大臣 町村信孝
厚生大臣 小泉純一郎
内閣総理大臣 橋本龍太郎