石油需給適正化法をここに公布する。
御名御璽
昭和四十八年十二月二十二日
内閣総理大臣 田中角榮
法律第百二十二号
石油需給適正化法
(目的)
第一条 この法律は、我が国への石油の大幅な供給不足が生ずる場合において、国民生活の安定と国民経済の円滑な運営を図るため、石油の適正な供給を確保し、及び石油の使用を節減するための措置を講ずることにより、石油の需給を適正化することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「石油」とは、原油及び石油製品をいう。
2 この法律において「石油製品」とは、揮発油、灯油、軽油その他の炭化水素油及び石油ガス(液化したものを含む。)であつて、政令で定めるものをいう。
3 この法律において「石油精製業者」とは、石油業法(昭和三十七年法律第百二十八号)第二条第三項に規定する特定設備を用いる石油製品の製造(石油製品以外の物品の製造工程における技術的理由による石油製品の副生を除く。第七条第三項において「石油の精製」という。)の事業を行う者をいう。
4 この法律において「石油輸入業者」とは、石油の輸入の事業を行う者をいう。
5 この法律において「石油販売業者」とは、石油の販売の事業を行う者をいう。
(この法律の運用方針)
第三条 政府は、この法律に規定する措置を講ずるに当たつては、一般消費者、中小企業者及び農林漁業者並びに公益事業、通信事業、教育事業、医療事業、社会福祉事業、言論及び出版に関連する事業その他の国民生活の円滑な運営に重大な影響を及ぼす事業及び活動に対して、石油の供給を優先的に確保するよう配慮しなければならない。
2 政府は、石油に関し必要な情報を国民に提供するよう努めなければならない。
(対策実施の告示等)
第四条 内閣総理大臣は、我が国への石油の供給が大幅に不足し、又は不足するおそれがあるため、国民生活の安定及び国民経済の円滑な運営に著しい支障を生じ、又は生ずるおそれがある場合において、その事態に対処するためこの法律に規定する措置を講ずる必要があると認めるときは、閣議の決定を経て、その旨を告示するものとする。
2 内閣総理大臣は、前項に規定する事態が消滅したと認めるときは、直ちに、閣議の決定を経て、その旨を告示するものとする。
(石油供給目標)
第五条 通商産業大臣は、石油の輸入動向、石油の在庫状況その他の事情を勘案して、通商産業省令で定めるところにより、石油供給目標を定め、これを告示しなければならない。
2 通商産業大臣は、石油供給目標を定めるときは、閣議の決定を経なければならない。
(石油生産計画等)
第六条 石油精製業者、石油輸入業者又は石油の販売量が一定の数量以上であることその他の通商産業省令で定める要件に該当する石油販売業者(以下「特定石油販売業者」という。)は、それぞれ、通商産業省令で定めるところにより、石油生産計画、石油輸入計画又は石油販売計画(以下「石油生産計画等」という。)を作成し、通商産業大臣に届け出なければならない。これを変更したときも同様とする。
2 通商産業大臣は、石油供給目標を達成するため特に必要があると認めるときは、前項の規定による届出をした石油精製業者又は特定石油販売業者に対し、その届出に係る石油生産計画又は石油販売計画を変更すべきことを指示することができる。
3 第一項の規定による届出をした石油精製業者、石油輸入業者又は特定石油販売業者(前項の規定による指示があつた場合において、その指示に従つて石油生産計画又は石油販売計画の変更をしなかつた者を除く。)は、それぞれ、その届出に係る石油生産計画等(第一項後段の規定による変更の届出があつたときは、その変更後のもの。次項において同じ。)に沿つて石油の生産、輸入又は販売を行わなければならない。
4 通商産業大臣は、第二項の規定による指示を受けた者がその指示に従わなかつたとき、又は前項に規定する石油精製業者、石油輸入業者若しくは特定石油販売業者が、正当な理由なく、その届出に係る石油生産計画等に沿つて石油の生産、輸入若しくは販売を行わなかつたと認めるときは、その旨を公表するものとする。
(石油の使用の制限)
第七条 石油を使用する者は、政令で定める期間(以下「使用期間」という。)に、次の各号に掲げる区分に従い、当該各号に定める数量を超えて当該石油を使用してはならない。ただし、使用期間に、当該数量を超えて当該石油を使用しようとする者が、あらかじめ、主務省令で定めるところにより、その旨を主務大臣に申し出た場合において、主務大臣が指定した数量の範囲内で当該石油を使用するときは、この限りでない。
一 特定石油(その使用を特に節減する必要があるものとして通商産業省令で定める石油をいう。以下この項において同じ。)の指定がされていないとき 政令で定める数量
二 特定石油の指定がされている場合において、特定石油のみを使用するとき 政令で定める数量
三 特定石油の指定がされている場合において、特定石油以外の石油のみを使用するとき 第一号の政令で定める数量
四 特定石油の指定がされている場合において、特定石油及び特定石油以外の石油を使用するとき 第一号の政令で定める数量。ただし、特定石油については、第二号の政令で定める数量
2 前項ただし書の規定による数量の指定は、石油供給目標、当該申出に係る者の当該石油の使用実績等を勘案して行うものとする。
3 第一項の規定は、石油を石油の精製に使用する場合には、適用しない。
4 主務大臣は、第一項の規定に違反した者があつたときは、その旨を公表するものとする。
第八条 石油を使用する者(前条第一項ただし書の規定による数量の指定を受けた者を除く。)は、通商産業大臣が告示で定める石油使用節減目標に従つて石油の使用の節減に努めなければならない。
(揮発油の使用の節減)
第九条 通商産業大臣は、揮発油の使用の節減を図るため必要があると認めるときは、自動車に直接給油する事業を行う石油販売業者に対し、揮発油の給油量の制限、営業時間の短縮その他必要と認める販売方法の制限を実施すべきことを指示することができる。この場合において、身体障害者でその生計を維持するため揮発油を確保することが不可欠である者に対し、特別の配慮をしなければならない。
2 通商産業大臣は、前項の規定による指示を受けた者がその指示に従わなかつたときは、その旨を公表するものとする。
(石油の保有の指示等)
第十条 通商産業大臣は、特定石油販売業者に対し、通商産業省令で定める数量を超えない範囲内の数量の石油を、次項の規定による指示が行われた場合に限り販売することができるものとして保有すべきことを指示することができる。
2 通商産業大臣は、国民の生命、身体若しくは財産の保護又は公共の利益の確保のために不可欠な事業又は活動に対する石油の供給に著しい支障を生じている場合において、その事業又は活動に対する石油の供給を確保するため特に必要があると認めるときは、特定石油販売業者に対し、石油を売り渡すべきことを指示することができる。
3 通商産業大臣は、前二項の規定による指示を受けた者がその指示に従わなかつたときは、その旨を公表するものとする。
4 通商産業大臣は、第二項の規定による指示を受けた者が、前項の規定によりその指示に従わなかつた旨を公表された後において、なお、正当な理由なく、その指示に係る措置を行わなかつたときは、その者に対し、売渡しをすべき期限及び数量並びに売渡先を定めて、当該売渡先に石油を売り渡すべきことを命ずることができる。
5 前項の規定による命令があつた場合において、当事者が支払い、又は受領すべき金額その他その命令の実施に関し、必要な細目は、当事者間の協議により定める。
6 通商産業大臣は、第四項の規定による命令に係る売渡しをすべき期限までに当事者が前項の協議をすることができず、又は当該協議が整わないと認めるときは、政令で定めるところにより、裁定を行うものとする。
7 通商産業大臣は、前項の裁定をしたときは、遅滞なく、その旨を当事者に通知しなければならない。
8 第六項の裁定があつたときは、その裁定の定めるところに従い、当事者間に協議が整つたものとみなす。
9 第六項の裁定のうち当事者が支払い、又は受領すべき金額について不服のある者は、その裁定の通知を受けた日から三月以内に訴えをもつてその金額の増減を請求することができる。
10 前項の訴えにおいては、他の当事者を被告とする。
11 第六項の裁定についての異議申立てにおいては、当事者が支払い、又は受領すべき金額についての不服をその裁定についての不服の理由とすることができない。
(石油の供給のあつせんの指導等)
第十一条 通商産業大臣は、一般消費者、中小企業者及び農林漁業者並びに鉄道事業、通信事業、医療事業その他の公益性の強い事業及び活動(次項において「一般消費者等」という。)に対する石油の円滑な供給を確保するため必要があると認めるときは、石油販売業者に対し、石油の供給のあつせんをするよう指導するものとする。
2 関係行政機関の長は、一般消費者等に対する石油の円滑な供給を確保するため必要があると認めるときは、通商産業大臣に対し、前項の規定により必要な指導を行うよう要請することができる。
(割当て又は配給等)
第十二条 第五条から前条までに規定する措置をもつてしては、第四条第一項に規定する事態を克服することが著しく困難であると認められる場合においては、政令で、石油の割当て若しくは配給又は石油の製造、使用若しくは譲渡若しくは譲受の制限若しくは禁止に関し必要な事項を定めることができる。
2 前項の政令で定める事項は、その事態を克服するため必要な限度を超えるものであつてはならない。
(石油需給調整審議会)
第十三条 通商産業省に、附属機関として、石油需給調整審議会(以下「審議会」という。)を置く。
2 審議会は、関係大臣の諮問に応じ、石油の割当て又は配給その他この法律の運用に関する重要事項を調査審議する。
3 審議会は、前項に規定する事項に関し、関係大臣に建議することができる。
4 審議会は、学識経験を有する者及び一般消費者のうちから、通商産業大臣が任命する委員二十人以内で組織する。
5 前項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、通商産業省令で定める。
(国会への報告)
第十四条 政府は、おおむね六月に一回、国会に、第四条第一項の規定による告示が行われた日から同条第二項の規定による告示が行われる日までの間におけるこの法律の施行の状況を報告するものとする。
(帳簿の記載)
第十五条 石油精製業者、石油輸入業者又は特定石油販売業者は、通商産業省令で定めるところにより、帳簿を備え、その業務に関し通商産業省令で定める事項を記載し、これを保存しなければならない。
2 第七条第一項ただし書の規定による数量の指定を受けた者は、主務省令で定めるところにより、帳簿を備え、その石油の使用状況に関し主務省令で定める事項を記載し、これを保存しなければならない。
(報告徴収及び立入検査)
第十六条 通商産業大臣は、第六条、第九条及び第十条の規定の施行に必要な限度において、石油精製業者、石油輸入業者若しくは石油販売業者に対し、その業務に関し報告させ、又はその職員に、これらの者の営業所、事務所その他の事業場に立ち入り、帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。
2 主務大臣は、第七条の規定の施行に必要な限度において、石油を使用する者に対し、その石油の使用状況に関し報告させ、又はその職員に、石油を使用する者の営業所、事務所その他の事業場に立ち入り、帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。
3 主務大臣は、第十二条第一項の規定に基づく政令の施行に必要な限度において、政令で定めるところにより、石油精製業者、石油輸入業者、石油販売業者、石油を使用する者その他政令で定める関係者に対し、同項に規定する事項に関し報告させ、又はその職員に、これらの者の営業所、事務所その他の事業場に立ち入り、帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。
4 前三項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があつたときは、これを提示しなければならない。
5 第一項から第三項までの規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(協議)
第十七条 主務大臣は、第七条第一項ただし書の規定による数量の指定をしようとするときは、あらかじめ、関係行政機関の長に協議しなければならない。
(命令への委任)
第十八条 第十二条第一項の規定に基づき政令を制定し、又は改廃する場合における第五条から第十条までの規定の適用に関する措置については、政令で必要な規定を設けることができる。
2 この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。
(主務大臣等)
第十九条 この法律において主務大臣は、通商産業大臣及び石油を使用する者の行う事業を所管する大臣とする。ただし、第十二条第一項の規定に基づく政令による権限の行使(第十六条第三項の規定による権限の行使を含む。)に関しては、その政令の定めるところによる。
2 この法律において主務省令は、前項本文の主務大臣の発する命令とする。
3 この法律による権限は、政令で定めるところにより、地方支分部局の長又は地方公共団体の長に委任することができる。
(適用期間等)
第二十条 第五条から前条まで(第十三条及び第十四条を除く。)の規定は、第四条第一項の規定による告示が行われた日から同条第二項の規定による告示が行われる日までの間に限り、適用されるものとする。
2 前項の規定は、同項に規定する期間内にした行為に対する罰則の適用について影響を及ぼすものと解釈してはならない。
(罰則)
第二十一条 第十条第四項の規定による命令に違反した者は、三年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
第二十二条 次の各号の一に該当する者は、一年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。
一 第十五条第一項又は第二項の規定に違反して、同条第一項若しくは第二項に規定する事項の記載をせず、虚偽の記載をし、又は帳簿を保存しなかつた者
二 第十六条第一項から第三項までの規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をした者又はこれらの規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者
第二十三条 第六条第一項の規定による届出をしなかつた者は、二十万円以下の罰金に処する。
第二十四条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前三条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して、各本条の罰金刑を科する。
第二十五条 第十二条第一項の規定に基づく政令には、その政令若しくはこれに基づく命令の規定又はこれらに基づく処分に違反した者を五年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する旨の規定及び法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者がその法人又は人の業務に関して当該違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の罰金刑を科する旨の規定を設けることができる。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から施行する。
(検討)
2 政府は、この法律の施行後一年以内に、この法律の規定及びその実施状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
(通商産業省設置法の一部改正)
3 通商産業省設置法(昭和二十七年法律第二百七十五号)の一部を次のように改正する。
第三十六条の十二第一項の表中石油審議会の項の次に次のように加える。
石油需給調整審議会
石油需給適正化法(昭和四十八年法律第百二十二号)の運用に関する重要事項を調査審議すること。
法務大臣 中村梅吉
大蔵大臣 福田赳夫
厚生大臣 齋藤邦吉
農林大臣 倉石忠雄
通商産業大臣 中曾根康弘
運輸大臣 徳永正利
郵政大臣 原田憲
建設大臣 亀岡高夫
内閣総理大臣 田中角榮
石油需給適正化法をここに公布する。
御名御璽
昭和四十八年十二月二十二日
内閣総理大臣 田中角栄
法律第百二十二号
石油需給適正化法
(目的)
第一条 この法律は、我が国への石油の大幅な供給不足が生ずる場合において、国民生活の安定と国民経済の円滑な運営を図るため、石油の適正な供給を確保し、及び石油の使用を節減するための措置を講ずることにより、石油の需給を適正化することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「石油」とは、原油及び石油製品をいう。
2 この法律において「石油製品」とは、揮発油、灯油、軽油その他の炭化水素油及び石油ガス(液化したものを含む。)であつて、政令で定めるものをいう。
3 この法律において「石油精製業者」とは、石油業法(昭和三十七年法律第百二十八号)第二条第三項に規定する特定設備を用いる石油製品の製造(石油製品以外の物品の製造工程における技術的理由による石油製品の副生を除く。第七条第三項において「石油の精製」という。)の事業を行う者をいう。
4 この法律において「石油輸入業者」とは、石油の輸入の事業を行う者をいう。
5 この法律において「石油販売業者」とは、石油の販売の事業を行う者をいう。
(この法律の運用方針)
第三条 政府は、この法律に規定する措置を講ずるに当たつては、一般消費者、中小企業者及び農林漁業者並びに公益事業、通信事業、教育事業、医療事業、社会福祉事業、言論及び出版に関連する事業その他の国民生活の円滑な運営に重大な影響を及ぼす事業及び活動に対して、石油の供給を優先的に確保するよう配慮しなければならない。
2 政府は、石油に関し必要な情報を国民に提供するよう努めなければならない。
(対策実施の告示等)
第四条 内閣総理大臣は、我が国への石油の供給が大幅に不足し、又は不足するおそれがあるため、国民生活の安定及び国民経済の円滑な運営に著しい支障を生じ、又は生ずるおそれがある場合において、その事態に対処するためこの法律に規定する措置を講ずる必要があると認めるときは、閣議の決定を経て、その旨を告示するものとする。
2 内閣総理大臣は、前項に規定する事態が消滅したと認めるときは、直ちに、閣議の決定を経て、その旨を告示するものとする。
(石油供給目標)
第五条 通商産業大臣は、石油の輸入動向、石油の在庫状況その他の事情を勘案して、通商産業省令で定めるところにより、石油供給目標を定め、これを告示しなければならない。
2 通商産業大臣は、石油供給目標を定めるときは、閣議の決定を経なければならない。
(石油生産計画等)
第六条 石油精製業者、石油輸入業者又は石油の販売量が一定の数量以上であることその他の通商産業省令で定める要件に該当する石油販売業者(以下「特定石油販売業者」という。)は、それぞれ、通商産業省令で定めるところにより、石油生産計画、石油輸入計画又は石油販売計画(以下「石油生産計画等」という。)を作成し、通商産業大臣に届け出なければならない。これを変更したときも同様とする。
2 通商産業大臣は、石油供給目標を達成するため特に必要があると認めるときは、前項の規定による届出をした石油精製業者又は特定石油販売業者に対し、その届出に係る石油生産計画又は石油販売計画を変更すべきことを指示することができる。
3 第一項の規定による届出をした石油精製業者、石油輸入業者又は特定石油販売業者(前項の規定による指示があつた場合において、その指示に従つて石油生産計画又は石油販売計画の変更をしなかつた者を除く。)は、それぞれ、その届出に係る石油生産計画等(第一項後段の規定による変更の届出があつたときは、その変更後のもの。次項において同じ。)に沿つて石油の生産、輸入又は販売を行わなければならない。
4 通商産業大臣は、第二項の規定による指示を受けた者がその指示に従わなかつたとき、又は前項に規定する石油精製業者、石油輸入業者若しくは特定石油販売業者が、正当な理由なく、その届出に係る石油生産計画等に沿つて石油の生産、輸入若しくは販売を行わなかつたと認めるときは、その旨を公表するものとする。
(石油の使用の制限)
第七条 石油を使用する者は、政令で定める期間(以下「使用期間」という。)に、次の各号に掲げる区分に従い、当該各号に定める数量を超えて当該石油を使用してはならない。ただし、使用期間に、当該数量を超えて当該石油を使用しようとする者が、あらかじめ、主務省令で定めるところにより、その旨を主務大臣に申し出た場合において、主務大臣が指定した数量の範囲内で当該石油を使用するときは、この限りでない。
一 特定石油(その使用を特に節減する必要があるものとして通商産業省令で定める石油をいう。以下この項において同じ。)の指定がされていないとき 政令で定める数量
二 特定石油の指定がされている場合において、特定石油のみを使用するとき 政令で定める数量
三 特定石油の指定がされている場合において、特定石油以外の石油のみを使用するとき 第一号の政令で定める数量
四 特定石油の指定がされている場合において、特定石油及び特定石油以外の石油を使用するとき 第一号の政令で定める数量。ただし、特定石油については、第二号の政令で定める数量
2 前項ただし書の規定による数量の指定は、石油供給目標、当該申出に係る者の当該石油の使用実績等を勘案して行うものとする。
3 第一項の規定は、石油を石油の精製に使用する場合には、適用しない。
4 主務大臣は、第一項の規定に違反した者があつたときは、その旨を公表するものとする。
第八条 石油を使用する者(前条第一項ただし書の規定による数量の指定を受けた者を除く。)は、通商産業大臣が告示で定める石油使用節減目標に従つて石油の使用の節減に努めなければならない。
(揮発油の使用の節減)
第九条 通商産業大臣は、揮発油の使用の節減を図るため必要があると認めるときは、自動車に直接給油する事業を行う石油販売業者に対し、揮発油の給油量の制限、営業時間の短縮その他必要と認める販売方法の制限を実施すべきことを指示することができる。この場合において、身体障害者でその生計を維持するため揮発油を確保することが不可欠である者に対し、特別の配慮をしなければならない。
2 通商産業大臣は、前項の規定による指示を受けた者がその指示に従わなかつたときは、その旨を公表するものとする。
(石油の保有の指示等)
第十条 通商産業大臣は、特定石油販売業者に対し、通商産業省令で定める数量を超えない範囲内の数量の石油を、次項の規定による指示が行われた場合に限り販売することができるものとして保有すべきことを指示することができる。
2 通商産業大臣は、国民の生命、身体若しくは財産の保護又は公共の利益の確保のために不可欠な事業又は活動に対する石油の供給に著しい支障を生じている場合において、その事業又は活動に対する石油の供給を確保するため特に必要があると認めるときは、特定石油販売業者に対し、石油を売り渡すべきことを指示することができる。
3 通商産業大臣は、前二項の規定による指示を受けた者がその指示に従わなかつたときは、その旨を公表するものとする。
4 通商産業大臣は、第二項の規定による指示を受けた者が、前項の規定によりその指示に従わなかつた旨を公表された後において、なお、正当な理由なく、その指示に係る措置を行わなかつたときは、その者に対し、売渡しをすべき期限及び数量並びに売渡先を定めて、当該売渡先に石油を売り渡すべきことを命ずることができる。
5 前項の規定による命令があつた場合において、当事者が支払い、又は受領すべき金額その他その命令の実施に関し、必要な細目は、当事者間の協議により定める。
6 通商産業大臣は、第四項の規定による命令に係る売渡しをすべき期限までに当事者が前項の協議をすることができず、又は当該協議が整わないと認めるときは、政令で定めるところにより、裁定を行うものとする。
7 通商産業大臣は、前項の裁定をしたときは、遅滞なく、その旨を当事者に通知しなければならない。
8 第六項の裁定があつたときは、その裁定の定めるところに従い、当事者間に協議が整つたものとみなす。
9 第六項の裁定のうち当事者が支払い、又は受領すべき金額について不服のある者は、その裁定の通知を受けた日から三月以内に訴えをもつてその金額の増減を請求することができる。
10 前項の訴えにおいては、他の当事者を被告とする。
11 第六項の裁定についての異議申立てにおいては、当事者が支払い、又は受領すべき金額についての不服をその裁定についての不服の理由とすることができない。
(石油の供給のあつせんの指導等)
第十一条 通商産業大臣は、一般消費者、中小企業者及び農林漁業者並びに鉄道事業、通信事業、医療事業その他の公益性の強い事業及び活動(次項において「一般消費者等」という。)に対する石油の円滑な供給を確保するため必要があると認めるときは、石油販売業者に対し、石油の供給のあつせんをするよう指導するものとする。
2 関係行政機関の長は、一般消費者等に対する石油の円滑な供給を確保するため必要があると認めるときは、通商産業大臣に対し、前項の規定により必要な指導を行うよう要請することができる。
(割当て又は配給等)
第十二条 第五条から前条までに規定する措置をもつてしては、第四条第一項に規定する事態を克服することが著しく困難であると認められる場合においては、政令で、石油の割当て若しくは配給又は石油の製造、使用若しくは譲渡若しくは譲受の制限若しくは禁止に関し必要な事項を定めることができる。
2 前項の政令で定める事項は、その事態を克服するため必要な限度を超えるものであつてはならない。
(石油需給調整審議会)
第十三条 通商産業省に、附属機関として、石油需給調整審議会(以下「審議会」という。)を置く。
2 審議会は、関係大臣の諮問に応じ、石油の割当て又は配給その他この法律の運用に関する重要事項を調査審議する。
3 審議会は、前項に規定する事項に関し、関係大臣に建議することができる。
4 審議会は、学識経験を有する者及び一般消費者のうちから、通商産業大臣が任命する委員二十人以内で組織する。
5 前項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、通商産業省令で定める。
(国会への報告)
第十四条 政府は、おおむね六月に一回、国会に、第四条第一項の規定による告示が行われた日から同条第二項の規定による告示が行われる日までの間におけるこの法律の施行の状況を報告するものとする。
(帳簿の記載)
第十五条 石油精製業者、石油輸入業者又は特定石油販売業者は、通商産業省令で定めるところにより、帳簿を備え、その業務に関し通商産業省令で定める事項を記載し、これを保存しなければならない。
2 第七条第一項ただし書の規定による数量の指定を受けた者は、主務省令で定めるところにより、帳簿を備え、その石油の使用状況に関し主務省令で定める事項を記載し、これを保存しなければならない。
(報告徴収及び立入検査)
第十六条 通商産業大臣は、第六条、第九条及び第十条の規定の施行に必要な限度において、石油精製業者、石油輸入業者若しくは石油販売業者に対し、その業務に関し報告させ、又はその職員に、これらの者の営業所、事務所その他の事業場に立ち入り、帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。
2 主務大臣は、第七条の規定の施行に必要な限度において、石油を使用する者に対し、その石油の使用状況に関し報告させ、又はその職員に、石油を使用する者の営業所、事務所その他の事業場に立ち入り、帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。
3 主務大臣は、第十二条第一項の規定に基づく政令の施行に必要な限度において、政令で定めるところにより、石油精製業者、石油輸入業者、石油販売業者、石油を使用する者その他政令で定める関係者に対し、同項に規定する事項に関し報告させ、又はその職員に、これらの者の営業所、事務所その他の事業場に立ち入り、帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。
4 前三項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があつたときは、これを提示しなければならない。
5 第一項から第三項までの規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(協議)
第十七条 主務大臣は、第七条第一項ただし書の規定による数量の指定をしようとするときは、あらかじめ、関係行政機関の長に協議しなければならない。
(命令への委任)
第十八条 第十二条第一項の規定に基づき政令を制定し、又は改廃する場合における第五条から第十条までの規定の適用に関する措置については、政令で必要な規定を設けることができる。
2 この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。
(主務大臣等)
第十九条 この法律において主務大臣は、通商産業大臣及び石油を使用する者の行う事業を所管する大臣とする。ただし、第十二条第一項の規定に基づく政令による権限の行使(第十六条第三項の規定による権限の行使を含む。)に関しては、その政令の定めるところによる。
2 この法律において主務省令は、前項本文の主務大臣の発する命令とする。
3 この法律による権限は、政令で定めるところにより、地方支分部局の長又は地方公共団体の長に委任することができる。
(適用期間等)
第二十条 第五条から前条まで(第十三条及び第十四条を除く。)の規定は、第四条第一項の規定による告示が行われた日から同条第二項の規定による告示が行われる日までの間に限り、適用されるものとする。
2 前項の規定は、同項に規定する期間内にした行為に対する罰則の適用について影響を及ぼすものと解釈してはならない。
(罰則)
第二十一条 第十条第四項の規定による命令に違反した者は、三年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
第二十二条 次の各号の一に該当する者は、一年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。
一 第十五条第一項又は第二項の規定に違反して、同条第一項若しくは第二項に規定する事項の記載をせず、虚偽の記載をし、又は帳簿を保存しなかつた者
二 第十六条第一項から第三項までの規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をした者又はこれらの規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者
第二十三条 第六条第一項の規定による届出をしなかつた者は、二十万円以下の罰金に処する。
第二十四条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前三条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して、各本条の罰金刑を科する。
第二十五条 第十二条第一項の規定に基づく政令には、その政令若しくはこれに基づく命令の規定又はこれらに基づく処分に違反した者を五年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する旨の規定及び法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者がその法人又は人の業務に関して当該違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の罰金刑を科する旨の規定を設けることができる。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から施行する。
(検討)
2 政府は、この法律の施行後一年以内に、この法律の規定及びその実施状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
(通商産業省設置法の一部改正)
3 通商産業省設置法(昭和二十七年法律第二百七十五号)の一部を次のように改正する。
第三十六条の十二第一項の表中石油審議会の項の次に次のように加える。
石油需給調整審議会
石油需給適正化法(昭和四十八年法律第百二十二号)の運用に関する重要事項を調査審議すること。
法務大臣 中村梅吉
大蔵大臣 福田赳夫
厚生大臣 斎藤邦吉
農林大臣 倉石忠雄
通商産業大臣 中曽根康弘
運輸大臣 徳永正利
郵政大臣 原田憲
建設大臣 亀岡高夫
内閣総理大臣 田中角栄