(趣旨)
第一条 この法律は、農地法(昭和二十七年法律第二百二十九号)第七十八条第一項の規定により農林大臣が管理する土地、立木、工作物又は権利について、同法第八十条の規定による売払い等に関し特例等を定めるものとする。
(土地等の売払いの対価)
第二条 農地法第八十条第二項の規定により土地、立木、工作物又は権利(以下「土地等」という。)を売り払う場合におけるその売払いの対価は、適正な価額によるものとし、政令で定めるところにより算出した額とする。
(延納の特約)
第三条 農林大臣は、農地法第八十条第二項の規定により土地等を売り払う場合において、その売払いを受けた者がその売払代金を一時に支払うことが困難であると認めるときは、確実な担保を徴し、かつ、利息を附して、五年以内の延納の特約をすることができる。
2 国有財産法(昭和二十三年法律第七十三号)第三十一条第二項の規定は、前項の規定により延納の特約をする場合に準用する。この場合において、同条第二項中「前項但書」とあるのは、「国有農地等の売払いに関する特別措置法第三条第一項」と読み替えるものとする。
(公共用又は公用への転用の促進)
第四条 政府は、農地法第七十八条第一項の規定により農林大臣が管理する土地等につき次の各号に掲げる事由がある場合においては、当該土地等を公共用又は公用に供するための必要な措置を講じなければならない。
一 その土地等が農地法第八十条第一項の規定により売り払うことができる土地等(同条第二項の規定により売り払うべき土地等を除く。)に該当する場合
二 その土地等が農地法第八十条第二項の規定により売り払うべき土地等に該当する場合において
イ 買収前の所有者又はその一般承継人が当該土地等の買受けを希望しない旨を申し出た場合
ロ 当該土地等の売払いに関する通知又は公告があつた日から起算して三箇月以内に買収前の所有者又はその一般承継人が当該土地等の買受けの申込みをしない場合
ハ 地方公共団体が買収前の所有者又はその一般承継人と協議の上当該土地等の買受けを申し出た場合
ニ イからハまでに規定するもののほか、農地法第八十条第二項に基づく政令で定める場合に該当する場合
2 政府は、農地法第八十条第二項の規定による売払いに係る土地等について地方公共団体等が公共用又は公用に供するためその土地の買受けを申し出た場合その他必要があると認める場合には、これらの用に供するための適切な措置を講ずるようにしなければならない。
3 政府は、地方公共団体等が前項の買受けの申出をした場合において、特に、当該土地等が公共用又は公用に供する緊急の必要があり、かつ、その用に供されることが確実であると認めるときは、買収前の所有者又はその一般承継人に対し、その者が当該土地等を譲渡しようとする場合には、これを地方公共団体等に優先的に譲渡すべき旨の申入れをすることができる。
(売払いを受けた土地等に係る譲渡所得の課税の特例)
第五条 農地法第八十条第二項の規定により土地等の売払いを受けた個人が当該土地等の譲渡(所得税法(昭和四十年法律第三十三号)第三十三条第一項に規定する建物又は構築物の所有を目的とする地上権又は賃借権の設定その他契約により他人に土地を長期間使用させる行為で政令で定めるものを含む。以下この条において同じ。)をした場合における租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)第三十一条及び第三十二条の規定の適用については、次に定めるところによる。
一 当該土地等の譲渡が当該売払いを受けた日の属する年又はその翌年中に公共用又は公用として政令で定めるものに供するためにされたものである場合においては、当該土地等の譲渡による譲渡所得(所得税法第三十三条第一項に規定する譲渡所得をいう。次号において同じ。)は、租税特別措置法第三十二条第一項の規定に該当しないものとする。
二 当該土地等の譲渡が前号に規定する場合に該当しない場合においては、当該土地等の譲渡による譲渡所得は、租税特別措置法第三十二条第一項の規定に該当するものとする。
2 前項の規定は、同項に規定する個人から所得税法第六十条第一項第一号に掲げる贈与、相続又は遺贈により前項の土地等を取得した個人が当該土地等の譲渡をした場合その他政令で定める場合について準用する。
3 第一項第一号(前項において準用する場合を含む。以下この条において同じ。)の規定は、同号の規定の適用を受けようとする者の同号の譲渡をした日の属する年分の確定申告書(所得税法第二条第一項第三十七号に規定する確定申告書をいう。次項において同じ。)に、第一項第一号の規定の適用を受けようとする旨の記載があり、かつ、当該譲渡が同号の規定に該当する旨の大蔵省令で定める証明書の添附がある場合に限り、適用する。
4 税務署長は、確定申告書の提出がなかつた場合又は前項の記載若しくは添附がない確定申告書の提出があつた場合においても、その提出又は記載若しくは添附がなかつたことについてやむを得ない事情があると認めるときは、当該記載をした書類及び同項の大蔵省令で定める証明書の提出があつた場合に限り、第一項第一号の規定を適用することができる。