筑波研究学園都市建設法
法令番号: 法律第73号
公布年月日: 昭和45年5月19日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

筑波研究学園都市の建設に関する総合的な計画を策定・実施し、試験研究・教育にふさわしい研究学園都市を建設することを目的とする法案である。これにより、均衡のとれた田園都市として整備するとともに、首都圏既成市街地の人口過度集中の緩和を図る。茨城県筑波郡の4町2村を対象地域とし、研究学園地区と周辺開発地区に区分する。首都圏整備委員会または茨城県知事が移転研究機関の施設や公共施設等の建設整備計画を決定・作成し、国や地方公共団体、日本住宅公団等が実施する。政府は必要な資金確保と、関係地方公共団体への財政・金融・技術面での援助を行う。

参照した発言:
第63回国会 衆議院 本会議 第24号

審議経過

第63回国会

衆議院
(昭和45年5月6日)
(昭和45年5月7日)
参議院
(昭和45年5月7日)
(昭和45年5月9日)
(昭和45年5月12日)
(昭和45年5月13日)
(昭和45年5月13日)
筑波研究学園都市建設法をここに公布する。
御名御璽
昭和四十五年五月十九日
内閣総理大臣 佐藤栄作
法律第七十三号
筑波研究学園都市建設法
目次
第一章
総則(第一条・第二条)
第二章
研究学園地区建設計画(第三条―第六条)
第三章
周辺開発地区整備計画(第七条・第八条)
第四章
研究学園地区建設計画及び周辺開発地区整備計画に基づく事業の実施(第九条―第十三条)
附則
第一章 総則
(この法律の目的)
第一条 この法律は、筑波研究学園都市の建設に関する総合的な計画を策定し、その実施を推進することにより、試験研究及び教育を行なうのにふさわしい研究学園都市を建設するとともに、これを均衡のとれた田園都市として整備し、あわせて首都圏の既成市街地における人口の過度集中の緩和に寄与することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律で「筑波研究学園都市」とは、茨城県筑波郡筑波町、同県同郡大穂町、同県同郡豊里町、同県同郡谷田部町、同県新治郡桜村及び同県稲敷郡茎崎村の区域を地域とし、当該地域内に、首都圏の既成市街地にある試験研究機関及び大学並びに前条の目的に照らし設置することが適当であると認められる機関の施設を移転し、又は新設し、かつ、研究学園都市にふさわしい公共施設、公益的施設及び一団地の住宅施設を一体的に整備するとともに、当該地域を均衡のとれた田園都市として整備することを目的として建設する都市をいう。
2 この法律で「首都圏の既成市街地」とは、首都圏整備法(昭和三十一年法律第八十三号)第二条第三項に規定する区域をいう。
3 この法律で「研究学園地区」とは、筑波研究学園都市の地域のうち、移転し、又は新設する機関の施設を建設し、並びにこれらと一体として公共施設、公益的施設及び一団地の住宅施設を整備すべき区域であつて政令で定めるものをいい、「周辺開発地区」とは、筑波研究学園都市の地域のうち研究学園地区以外の区域をいう。
4 この法律で「研究学園地区建設計画」とは、研究学園地区内に移転し、又は新設する機関の施設の建設並びにこれらと一体として整備することが必要な研究学園地区における公共施設、公益的施設及び一団地の住宅施設の整備に関する計画をいう。
5 この法律で「周辺開発地区整備計画」とは、周辺開発地区における公共施設、公益的施設及び農業の近代化のための施設の整備に関する計画をいう。
6 この法律で「公共施設」とは、道路、河川、水道、下水道、公園その他政令で定める公共の用に供する施設をいう。
7 この法律で「公益的施設」とは、学校、保育所、病院、診療所その他政令で定める施設で筑波研究学園都市の居住者の共同の福祉又は利便のため必要なものをいう。
8 この法律で「一団地の住宅施設」とは、一ヘクタール以上の一団地における五十戸以上の集団住宅及びこれらに附帯する通路その他の施設をいう。
第二章 研究学園地区建設計画
(研究学園地区建設計画の内容)
第三条 研究学園地区建設計画には、次の各号に掲げる事項を定めるものとする。
一 人口の規模及び土地の利用に関する事項
二 移転し、又は新設する試験研究機関及び大学並びに第一条の目的に照らし設置することが適当であると認められる機関の施設の建設に関する事項
三 前号の機関の施設と一体として整備することが必要な公共施設、公益的施設及び一団地の住宅施設の整備に関する事項
2 研究学園地区建設計画は、公害の防止について適切な考慮が払われたものでなければならない。
(研究学園地区建設計画の決定)
第四条 研究学園地区建設計画は、首都圏整備委員会(以下「委員会」という。)が、関係地方公共団体の意見をきくとともに関係行政機関の長に協議して、決定するものとする。
2 委員会は、研究学園地区建設計画を決定するについて必要があると認めるときは、関係行政機関の長、関係地方公共団体及び日本住宅公団その他の関係事業者に対し、資料の提出、意見の開陳、説明その他の必要な協力を求めることができる。
3 委員会は、研究学園地区建設計画を決定したときは、これを関係行政機関の長及び関係地方公共団体に送付するとともに、首都圏整備委員会規則(以下「委員会規則」という。)の定めるところにより公表しなければならない。
4 前項の規定により公表された事項に関し利害関係を有する者は、公表の日から三十日以内に、委員会規則の定めるところにより委員会に意見を申し出ることができる。
5 前項の規定による申出があつたときは、委員会は、その申出を考慮して必要な措置を講じなければならない。
(研究学園地区建設計画の変更)
第五条 委員会は、その決定した研究学園地区建設計画が情勢の推移により適当でなくなつたとき、その他これを変更することが適当であると認めるときは、関係地方公共団体の意見をきくとともに関係行政機関の長に協議して、これを変更することができる。
2 前条第二項から第五項までの規定は、研究学園地区建設計画の変更について準用する。
(首都圏整備計画との調整)
第六条 委員会は、研究学園地区建設計画については、首都圏整備計画との調整について適切な考慮を払わなければならない。
第三章 周辺開発地区整備計画
(周辺開発地区整備計画の内容)
第七条 周辺開発地区整備計画には、次の各号に掲げる事項を定めるものとする。
一 人口の規模及び土地の利用に関する事項
二 公共施設及び公益的施設の整備に関する事項
三 農業の近代化のための施設の整備に関する事項
2 周辺開発地区整備計画は、首都圏整備計画に適合するとともに、研究学園地区建設計画と調和したものでなければならない。
3 周辺開発地区整備計画は、公害の防止について適切な考慮が払われたものでなければならない。
(周辺開発地区整備計画の承認)
第八条 茨城県知事は、関係町村の長の意見をきいて周辺開発地区整備計画を作成し、委員会規則の定めるところにより、委員会の承認を受けなければならない。周辺開発地区整備計画を変更しようとするときも、同様とする。
2 委員会は、前項の承認をしようとするときは、関係行政機関の長に協議しなければならない。
3 委員会は、第一項の承認をしたときは、その承認に係る周辺開発地区整備計画を関係行政機関の長に送付しなければならない。
第四章 研究学園地区建設計画及び周辺開発地区整備計画に基づく事業の実施
(事業の実施)
第九条 研究学園地区建設計画及び周辺開発地区整備計画に基づく事業(以下「筑波研究学園都市建設事業」という。)は、当該事業に関する法律(これに基づく命令を含む。)の規定に従い、国、地方公共団体又は日本住宅公団その他の関係事業者が実施するものとする。
(協力)
第十条 関係行政機関の長、関係地方公共団体及び日本住宅公団その他の関係事業者は、研究学園地区建設計画及び周辺開発地区整備計画の実施に関し、できる限り協力しなければならない。
(勧告等)
第十一条 委員会は、必要があると認めるときは、関係行政機関の長、関係地方公共団体又は日本住宅公団その他の関係事業者に対し、研究学園地区建設計画又は周辺開発地区整備計画の実施に関し勧告し、及びその勧告によつてとられた措置その他研究学園地区建設計画又は周辺開発地区整備計画の実施に関する状況について報告を求めることができる。
(実施の状況)
第十二条 委員会は、首都圏整備法第十五条の規定により国会に提出する報告書に、研究学園地区建設計画及び周辺開発地区整備計画の実施に関する状況をあわせて記載しなければならない。
(資金の確保等)
第十三条 政府は、筑波研究学園都市建設事業を実施するため必要な資金の確保を図り、かつ、国の財政の許す範囲内において、その実施を促進することに努めなければならない。
2 国は、筑波研究学園都市建設事業の実施を促進するため必要があると認めるときは、関係地方公共団体に対し、財政上、金融上及び技術上の援助を与えるものとする。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から施行する。
(首都圏整備法の一部改正)
2 首都圏整備法の一部を次のように改正する。
第十七条第二項に次の一号を加える。
八 筑波研究学園都市建設法(昭和四十五年法律第七十三号)の施行に関すること。
内閣総理大臣 佐藤栄作
大蔵大臣 福田赳夫
文部大臣 坂田道太
厚生大臣 内田常雄
農林大臣 倉石忠雄
通商産業大臣臨時代理 国務大臣 佐藤一郎
運輸大臣 橋本登美三郎
建設大臣 根本龍太郎
自治大臣 秋田大助