(町村合併に伴う争論のあつせん、調停及び裁定)
第二十六条 都道府県知事は、町村合併に伴い市町村の名称、事務所の位置、財産処分等に関し争論がある場合においては、この法律に特別の定のあるものを除くほか、争論の解決のため、町村合併調整委員にあつせんを行わせ、又はこれをその調停に付することができる。
2 町村合併調整委員は、五人以内とし、都道府県知事が新市町村建設促進審議会の委員のうちから任命する。
3 町村合併調整委員は、調停案を作成して、これを当事者に示し、その受諾を勧告するとともに、その調停案に理由を付けて公表することができる。
4 第一項の調停は、当事者が調停案を受諾して、その旨を記載した文書を都道府県知事に提出した時に成立するものとする。
5 町村合併調整委員は、第一項の規定によるあつせん又は調停による解決の見込がないと認めるときは、あつせん又は調停を打ち切り、その経過を都道府県知事に報告するものとする。
6 都道府県知事は、前項の規定による報告を受けた場合において、当該市町村の一体性を保持しその運営の正常化を図るため特に必要があると認めるときに限り、町村合併調整委員の意見をきいて当該争論の裁定をすることができる。
7 前項の規定による裁定は、文書をもつてし、その理由を付けて当事者に交付するとともに、都道府県知事がその要旨を告示しなければならない。
8 第一項の争論に係る市町村の名称、事務所の位置又は財産処分について第六項の規定による裁定があつたときは、それぞれ地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)の規定による市町村の名称、事務所の位置又は財産処分についての関係市町村の条例の制定、議会の議決又は長の処分があつたものとみなし、その効力は、前項の規定による告示により生ずる。
9 第一項から第七項までの規定は、町村合併に関し市町村の名称、事務所の位置又は財産処分について争論がある場合に準用する。この場合において、第六項中「市町村の一体性を保持しその運営の正常化を図るため」とあるのは、「未合併町村の町村合併を推進するため」と読み替えるものとする。
(市町村の境界変更に関するあつせん、調停及び投票)
第二十七条 都道府県知事は、新市町村の区域のうち従前の市町村の一部の地域又は新市町村に隣接する市町村の一部の地域に係る市町村の境界変更で新市町村とこれに隣接する市町村との間におけるものに関し争論があり、かつ、そのため関係市町村の一体性又はその相互の間の正常な関係が著しくそこなわれていると認めるときは、昭和三十二年三月三十一日までの間は、町村合併調整委員にあつせんを行わせ、又はこれをその調停に付することができる。
2 前条第三項及び第四項の規定は前項の調停につき、同条第五項の規定は前項のあつせん又は調停につき、それぞれ準用する。この場合において、同条第三項及び第四項中「当事者」とあるのは、「関係市町村」と読み替えるものとする。
3 前項の規定において準用する前条第四項の規定により第一項の調停が成立した場合において、当該調停において関係市町村の境界変更を行うものとされているときは、当該境界変更について地方自治法第七条第一項の規定による関係市町村の申請があつたものとみなす。
4 第二項の規定において準用する前条第四項の規定により第一項の調停が成立した場合において、当該調停において関係市町村の境界変更を当該地域内の選挙人の投票に基いて定めるものとされているときは、都道府県知事は、当該境界変更に関し、これを選挙人の投票に付することを当該市町村の選挙管理委員会に対し請求するものとする。
5 都道府県知事は、第二項の規定において準用する前条第五項の規定による報告を受けた場合において、地勢、交通、経済事情その他の事情に照らし、当該地域に係る市町村の境界変更をその地域内の選挙人の投票に基いて定めることが適当であると認めるときは、新市町村建設促進審議会の意見をきき、境界変更に関し投票を行うべき区域を示して、これを当該区域内の選挙人の投票に付することを当該市町村の選挙管理委員会に対し請求することができる。
6 市町村の選挙管理委員会は、第四項又は前項の請求があつたときは、政令で定めるところにより、請求のあつた日から三十日以内に第四項又は前項の投票に付さなければならない。
7 第四項又は第五項の請求があつた日から三十日以内に前項の投票が行われなかつたときは、前項の規定にかかわらず、都道府県の選挙管理委員会は、都道府県知事の請求に基き、政令で定めるところにより、当該請求のあつた日から三十日以内に当該請求に基く区域に係る市町村の境界変更に関し、これをその区域内の選挙人の投票に付さなければならない。
8 都道府県知事は、前項の請求については、あらかじめ内閣総理大臣に協議した上投票を行うべき区域を示して、第四項又は第五項の請求があつた日から九十日以内にこれを行わなければならない。
9 市町村の選挙管理委員会又は都道府県の選挙管理委員会は、それぞれ第六項又は第七項の投票の結果が判明したときは、直ちにこれを告示するとともに、都道府県知事に届け出なければならない。
10 第六項又は第七項の投票において当該区域に係る市町村の境界変更につき有効投票の三分の二以上の賛成があつた場合において、前項の規定による届出があつたときは、当該区域に係る市町村の境界変更に関し地方自治法第七条第一項の規定による関係市町村の申請があつたものとみなす。
11 政令で特別の定をするものを除くほか、公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)中普通地方公共団体の議会の議員の選挙に関する規定(罰則を含む。)は、第六項及び第七項の投票につき準用する。
12 第三項の規定によりみなされる申請又は第六項若しくは第七項の投票に基く市町村の境界変更による市町村の区域の変動があつた場合には、その市町村の区域の変動を町村合併に伴う町村の区域の変動とみなして、町村合併促進法第二十条の規定を準用する。
13 内閣総理大臣は、都道府県の境界にわたる市町村の境界変更については、第一項、第四項又は第五項の規定の例により、あつせん、調停又は投票の請求をすることができる。この場合においては、政令で特別の定をするものを除くほか、前条第二項から第五項までの規定並びに第三項及び第六項から前項までの規定を準用する。
(町村合併に関する都道府県知事の勧告等)
第二十八条 都道府県知事は、未合併町村の規模が適正を欠き、かつ、地勢、交通、経済事情その他の事情に照らし、町村合併を行うことが関係市町村の基礎的な地方公共団体としての機能の充分な発揮と住民の福祉の増進のため必要であると認めるときは、昭和三十二年三月三十一日までの間において、新市町村建設促進審議会の意見をきき、内閣総理大臣に協議して、あらたに当該市町村に係る町村合併に関する計画を定め、これを関係市町村に勧告しなければならない。
2 都道府県知事は、前項の勧告をした日から九十日以内に当該勧告を受けた市町村から当該勧告に基く町村合併に関する地方自治法第七条第一項の規定による申請がない場合において、特に必要があると認めるときは、新市町村建設促進審議会の意見をきいて、当該市町村に係る町村合併に関し、投票を行うべき区域を示して、これを当該市町村又はその一部の区域内の選挙人の投票に付することを当該市町村の選挙管理委員会に対し請求することができる。
3 前条第六項から第十一項までの規定は、前項の投票につき準用する。この場合において、同条第六項中「第四項又は前項」とあるのは「第二十八条第二項」と、同条第七項中「第四項又は第五項」とあるのは「第二十八条第二項」と、「市町村の境界変更」とあるのは「町村合併」と、同条第八項中「第四項又は第五項」とあるのは「第二十八条第二項」と、同条第十項中「市町村の境界変更につき有効投票の三分の二以上」とあるのは「町村合併につき選挙人の過半数」と、「市町村の境界変更に関し」とあるのは「町村合併に関し」と、「関係市町村」とあるのは「当該市町村」と読み替えるものとする。
4 第一項の勧告又は第二項の投票に基く町村合併については、町村合併促進法第十一条の六、第十八条から第二十条の二まで、第二十二条から第二十三条の二まで及び第二十四条の規定の例による。この場合においては、新市町村建設促進審議会の意見をもつて同法第二十三条の二第二項及び第四項の町村合併促進審議会の意見に代えるものとする。
5 第一項の勧告又は第二項の投票に基いて町村合併が行われた場合において、当該町村合併により設置され、又は他の市町村の区域の全部若しくは一部を編入した市町村が、町村合併促進法第六条の規定の例により、町村合併に伴い必要な市町村の建設に関する計画を定めたときは、当該市町村の建設に関する計画を新市町村建設計画と、その計画の実施に当る市町村を新市町村とみなして、この法律の規定を適用する。
(町村合併に関する内閣総理大臣の勧告等)
第二十九条 内閣総理大臣は、前条第一項の勧告を受けた市町村で当該勧告を受けた日から四箇月以内に町村合併を行わないものがある場合において、都道府県知事の申請があつたときは、中央審議会の意見をきいて、関係市町村に対して町村合併の勧告をすることができる。
2 前項の規定による内閣総理大臣の勧告があつた場合において、当該町村がなお町村合併を行わないときは、小規模町村であることにより行われる国の財政上の援助措置は、当該町村については行われないことがあるものとする。
3 前条第一項の勧告を受けた市町村に係る町村合併に関し地方自治法第七条第一項の申請があつた日から四箇月以内に同項の規定による都道府県知事の処分が行われない場合においては、内閣総理大臣は、同項の規定にかかわらず、中央審議会の意見をきいて、関係市町村の規模を適正化するため特に必要があると認めるときに限り、政令で定めるところにより、当該申請に係る町村合併の処分を行うことができる。この場合において、当該処分が郡の境界にわたつて町村を設置するものであるときは、内閣総理大臣は、あわせて当該町村の属すべき郡の区域を定めるものとする。
4 内閣総理大臣は、前項の規定による処分をしたときは、直ちにその旨を告示するとともに、これを国の関係行政機関の長に通知しなければならない。
5 第三項の規定による処分は、前項の規定による告示によりその効力を生ずる。
6 第三項前段の規定による処分は、地方自治法第七条第一項の規定による処分とみなし、第三項後段の規定による処分は、同法第二百五十九条第三項の規定による処分とみなす。
7 前条第四項及び第五項の規定は、第一項の勧告に基く町村合併及び第三項前段の規定による処分に基く町村合併につき準用する。
8 第三項、第六項及び前項の規定は、地方自治法第七条第三項の規定による関係市町村の申請があつた日から四箇月以内に同項の規定による関係都道府県の申請が行われない場合に準用する。この場合において、第三項中「同項の規定にかかわらず」とあるのは「地方自治法第七条第三項の規定にかかわらず」と、「町村合併の処分」とあるのは「境界の変更の処分」と、第六項中「第七条第一項」とあるのは「第七条第三項」と、第七項中「町村合併」とあるのは「境界の変更」と読み替えるものとする。