(目的)
第一条 この法律は、海岸砂地地帯に対し、潮風又は飛砂に因る災害の防止のための造林事業及び農業生産の基礎条件の整備に関する事業をすみやかに且つ総合的に実施することによつて、当該地帯の保全と農業生産力の向上を図り、もつて農業経営の安定と農民生活の改善を期することを目的とする。
(海岸砂地地帯の指定)
第二条 農林大臣は、海岸砂地地帯農業振興対策審議会の意見を聞いて、潮風又は潮流に因つてたい積された砂土におおわれているために、土砂の飛散又は移動がはなはだしいか又は農業生産力が著しく劣つている土地が集団的に存在する都道府県の区域の一部を海岸砂地地帯として指定する。
2 農林大臣は、前項の指定をしたときは、その旨を公示するとともに当該都道府県知事に通知しなければならない。
(都道府県知事の定める農業振興計画)
第三条 前条第二項の通知を受けた都道府県知事は、同条第一項の指定に係る海岸砂地地帯についての農業振興計画を定め、農林大臣に提出しなければならない。
2 都道府県知事は、前項の規定により農業振興計画を定めるには、あらかじめ、関係人の意見を聞かなければならない。
(農林大臣の定める農業振興計画)
第四条 農林大臣は、前条第一項の農業振興計画を参しやくし、海岸砂地地帯農業振興対策審議会の意見を聞いて、海岸砂地地帯についての国の農業振興計画を定めなければならない。
2 政府は、毎年度、国の財政の許す範囲内において、前項の農業振興計画を実施するために必要な経費を予算に計上しなければならない。
3 前項の予算の計上に当つては、第一項の農業振興計画が総合的且つ効率的に実施されるよう考慮されなければならない。
4 政府は、毎年度、第一項の農業振興計画を実施するために必要な資金の融通に関する計画を定めなければならない。
(農業振興計画の内容)
第五条 農業振興計画は、左に掲げる事項を含むものとする。
三 農業用道路その他農地の利用上必要な施設の整備に関する事項
四 農畜産物の生産、加工、販売その他処理についての共同施設の整備に関する事項
五 農業技術の改良、農業経営の合理化及び農民生活の改善に関する事項
(事業の実施)
第六条 第三条及び第四条第一項に規定する農業振興計画に基く事業は、この法律に定めるものの外、当該事業に関する法律(これに基く命令を含む。)の規定に従い、国、地方公共団体その他の者が実施する。
(委任事項)
第七条 第三条から前条までに定めるものを除く外、農業振興計画の決定について必要な事項は、省令で定める。
(海岸砂地地帯農業振興対策審議会の設置及び権限)
第八条 この法律の規定によりその権限に属せしめられた事項その他海岸砂地地帯における農業振興に関する重要事項を調査審議するために、農林省に海岸砂地地帯農業振興対策審議会(以下「審議会」という。)を置く。
2 審議会は、海岸砂地地帯における農業振興に関する重要事項につき、関係行政機関の長に対し意見を申し出ることができる。
(審議会の組織等)
第九条 審議会は、左に掲げる委員二十五人以内で組織する。
一 衆議院議員の中から衆議院が指名した者 |
五人 |
二 参議院議員の中から参議院が指名した者 |
三人 |
三 自治庁次長 |
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四 大蔵事務次官 |
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五 農林事務次官 |
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六 建設事務次官 |
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七 経済審議庁次長 |
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八 都道府県知事の中から農林大臣が任命した者 |
二人 |
九 都道府県議会議長の中から農林大臣が任命した者 |
二人 |
十 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)又は旧大学令(大正七年勅令第三百八十八号)による大学の教授の中から農林大臣が任命した者 |
三人 |
十一 農林業者の団体を代表する者の中から農林大臣が任命した者 |
五人以内 |
2 前項第一号、第二号及び第八号から第十一号までに掲げる委員の任期は、二年とする。但し、補欠の任期は、前任者の残任期間とする。
3 審議会に会長を置き、委員の互選により選任する。
5 審議会は、あらかじめ、委員の中から、会長に事故がある場合に会長の職務を代行する者を定めておかなければならない。
6 専門の事項を調査審議させるために、審議会に、専門委員を置くことができる。
7 専門委員は、関係行政機関の職員及び学識経験を有する者の中から、審議会の推薦に基いて、農林大臣が任命する。
9 前各項に定めるものを除く外、審議会の事務をつかさどる機関並びに審議会の議事及び運営に関し必要な事項は、政令で定める。
(国有財産の無償貸付等)
第十条 国は、国有財産法(昭和二十三年法律第七十三号)第二十二条(無償貸付)又は第二十八条(譲与)の規定にかかわらず、第四条第一項の農業振興計画による事業を行う地方公共団体その他の者に対し、その事業の用に必要な普通財産を無償で貸し付け、又は譲与することができる。