(設置)
第一條 貿易及びこれに準ずる取引(外國への送金及び外國からの送金並びにこれらに準ずるものを含む。)に関する政府の経理を明確にするため、特別会計を設置し、一般会計と区分して経理する。
(管理)
第二條 この会計は、商工大臣が、法令の定めるところに從い、管理する。
(勘定)
第三條 この会計は、事業費勘定、経費勘定及び清算勘定に区分する。
(事業費勘定の歳入及び歳出)
第四條 事業費勘定においては、輸入物資(援助物資及び輸入物資に準ずる物資を含む。)の賣拂代金、輸入物資(輸入物資に準ずる物資を含む。)の買入者に賣り拂う外貨請求権の賣拂代金、一般会計からの繰入金、輸出物資(輸出物資に準ずる物資を含む。以下同じ。)の國内賣拂に因る賣拂代金、貿易以外の原因に基く外國への送金等に因る收入金、貿易公團に対する貸付金の償還金、外國貿易特別円資金特別会計からの繰入金、貿易公團法(昭和二十二年法律第五十八号)第二十條第五項の規定による納付金、経費勘定及び清算勘定からの剩余金繰入金並びに附属雜收入をもつてその歳入とし、輸出物資の買入代金、輸出物資の賣拂者から買い取る外貨請求権の買取代金、輸入物資(援助物資及び輸入物資に準ずる物資を含む。以下同じ。)に関する諸掛、輸入物資の加工賃(諸掛を含む。)、貿易以外の原因に基く外國からの送金等に因る支出金、貿易公團に対する貸付金、貿易公團に対する交付金及び清算勘定への繰入金の財源に充てるための経費勘定への繰入金、米國対日援助見返資金特別会計への繰入金、附則第六項及び第七項の規定による借入金の償還金並びに附属諸費をもつてその歳出とする。
2 前項に規定する一般会計からの繰入金は、予算の定めるところにより、價格調整補給金又は事業費の財源として繰り入れるものとする。
(経費勘定の歳入及び歳出)
第五條 経費勘定においては、前條第一項の規定による事業費勘定からの繰入金、貿易公團に対する貸付金の利子及び附属雜收入をもつてその歳入とし、事務取扱費、事務取扱手数料、貿易公團に対する業務取扱費交付金、貿易公團に対する清算経費交付金の財源に充てるための清算勘定への繰入金、附則第六項及び第七項の規定による借入金の利子、第十三條第二項の規定による一時借入金又は融通証券の利子、事業費勘定への剩余金繰入金並びに附属諸費をもつてその歳出とする。
(清算勘定の歳入及び歳出)
第六條 清算勘定においては、前條の規定による経費勘定からの繰入金、貿易公團の清算に伴う收入金並びに貿易公團から承継した現金及び現金以外の資産の処分に因る收入金をもつてその歳入とし、貿易公團に対する清算に関する交付金、貿易公團から承継した債務に基く支出金及び事業費勘定への剩余金繰入金をもつてその歳出とする。
(歳入歳出予定計算書の作製及び送付)
第七條 商工大臣は、毎会計年度、この会計の歳入歳出予定計算書を作製し、これを大藏大臣に送付しなければならない。
(歳入歳出予算の区分)
第八條 この会計の歳入歳出予算は、事業費、経費及び清算の三勘定に分け、各勘定のうちにおいて、歳入の性質及び歳出の目的に從つて、款及び項に区分する。
(予算の作成及び提出)
第九條 内閣は、毎会計年度、この会計の予算を作成し、一般会計の予算とともに、國会に提出しなければならない。
2 前項の予算には、歳入歳出予定計算書を添附しなければならない。
(剩余金等の繰入)
第十條 事業費勘定において、毎会計年度における決算上剩余金を生じたときは、これをその翌年度の歳入に繰り入れるものとする。
2 経費勘定において、毎会計年度における歳入の收納済額から、当該勘定の第五條に規定する歳出のうち、事務取扱費、事務取扱手数料、業務取扱費交付金、清算勘定への繰入金、借入金の利子、一時借入金又は融通証券の利子及び附属諸費の歳出の支出済額並びにこれらの歳出の支出未済額の合計額を控除して剩余があるときは、これを事業費勘定の歳入に繰り入れ、支出未済額に相当する金額は、これを経費勘定のその翌年度の歳入に繰り入れるものとする。
3 清算勘定において、毎会計年度における歳入の收納済額から、当該勘定の第六條に規定する歳出のうち、貿易公團に対する清算に関する交付金及び貿易公團から承継した債務に基く支出金の歳出の支出済額を控除して剩余があるときは、これを事業費勘定の歳入に繰り入れるものとする。
4 前二項の規定により剩余金を事業費勘定の歳入に繰り入れる場合において、繰入に関する経費勘定又は清算勘定の歳出予算額が当該繰入額に対して不足するときは、その不足額は、その翌年度において繰り入れるものとする。この場合においては、当該不足額に相当する金額は、翌年度における事業費勘定への繰入金の財源として経費勘定又は清算勘定のその翌年度の歳入に繰り入れる。
(歳入歳出決定計算書の作製及び送付)
第十一條 商工大臣は、毎会計年度、歳入歳出予定計算書と同一の区分により、この会計の歳入歳出決定計算書を作製し、大藏大臣に送付しなければならない。
(歳入歳出決算の作成及び提出)
第十二條 内閣は、毎会計年度、この会計の歳入歳出決算を作成し、一般会計の歳入歳出決算とともに、國会に提出しなければならない。
2 前項の歳入歳出決算には、左の書類を添附しなければならない。
(余裕金の預入及び繰替使用並びに一時借入金及び融通証券)
第十三條 各勘定において支拂上現金に余裕があるときは、大藏省預金部に預け入れることができる。
2 事業費勘定において支拂上現金に不足があるときは、この会計の負担において、一時借入金をし、又は融通証券を発行することができる。但し、その限度額は、最高二百億円をこえてはならない。
3 前項の規定による一時借入金及び融通証券は、当該年度内に償還しなければならない。
4 この会計の各勘定の間においては、相互に、各勘定の支拂上の余裕金を繰替使用することができる。
5 前項の規定による繰替金は、当該年度内に償還しなければならない。
(一時借入金、融通証券等の借入、償還等の事務)
第十四條 前條第二項の規定による一時借入金及び融通証券並びに附則第六項及び第七項の規定による借入金の借入、償還等に関する事務は、大藏大臣が行う。
(國債整理基金特別会計への繰入)
第十五條 この会計の負担に属する借入金の償還金及び利子、一時借入金及び融通証券の利子並びに融通証券の発行及び償還に関する諸費の支出に必要な金額は、毎会計年度、國債整理基金特別会計に繰り入れなければならない。
(外貨請求権の買取及び賣拂事務)
第十六條 政府は、外貨請求権の買取及び賣拂に関する事務を日本銀行に取り扱わせることができる。
2 前項の場合において、政府は、外貨請求権の買取に必要な資金を日本銀行に交付することができる。
3 会計法(昭和二十二年法律第三十五号)第三十六條の規定は、前項の規定により交付を受けた資金の收支に関して適用する。
(公團貸付金)
第十七條 政府は、貿易公團に対し、同公團の運営資金をこの会計の事業費勘定から貸し付けることができる。
2 前項の規定による貸付で当該年度内に償還するものは、この会計の事業費勘定の支拂上の現金の運用として一時貸し付けることができる。
(支出未済の繰越)
第十八條 この会計において支拂義務の生じた歳出金で、当該年度の出納の完結までに支出済とならなかつたものに係る歳出予算は、翌年度に繰り越して使用することができる。
2 前項の規定による繰越については、財政法(昭和二十二年法律第三十四号)第四十三條の規定は、適用しない。
3 商工大臣は、第一項の規定による繰越をしたときは、大藏大臣及び会計檢査院に通知しなければならない。
4 第一項の規定により繰越をしたときは、当該経費については、財政法第三十一條第一項の規定による予算の配賦があつたものとみなす。
(実施規定)
第十九條 この法律の実施のための手続その他その執行について必要な事項は、政令で定める。