貿易資金特別会計法
法令番号: 法律第百七十九号
公布年月日: 昭和22年12月13日
法令の形式: 法律
貿易資金特別会計法を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和二十二年十二月十三日
内閣総理大臣 片山哲
法律第百七十九号
貿易資金特別会計法
第一條 貿易資金を置き、その運用に関する経理を一般会計と区分して特別に行うため、特別会計を設置する。
第二條 この会計は、商工大臣が、法令の定めるところに從い、これを管理する。
第三條 貿易資金は、昭和二十年法律第五十三号(貿易資金設置に関する法律)第二條の規定による貿易資金及び一般会計からの繰入金九億五千万円を以て、これに充てる。
貿易資金に不足を生じたときは、この会計の負担で大藏省預金部若しくは日本銀行から借入金をし、又は融通証券を発行して、一時これを補足することができる。但し、その金額は、百億円を超えることはできない。
前項の借入金及び融通証券は、一年以内にこれを償還するものとする。
第四條 貿易資金は、これを貿易物資及びその取引に基く請求権に運用するの外、別表第一に掲げるものに運用することができる。
政府は、貿易資金の運用に関する事務を日本銀行に取り扱わせることができる。
第五條 貿易資金の運用によつて利益を生じたときは、これを当該年度の歳入に繰り入れ、損失を生じたときは、これを当該年度の歳出を以て補填する。但し、補填に関するこの会計の当該年度における歳出予算額が当該補填額に対して不足するときは、当該不足額は、これを翌年度において、補填するものとする。
前項の規定による利益又は損失の計算に関する事項は、政令でこれを定める。
第六條 この会計においては、前條第一項の規定による運用益金、第七條第一項の規定による借入金、第十三條第一項の規定による一般会計からの繰入金及び附属雜收入を以てその歳入とし、命令で定める貿易物資の管理及び処分に要する特別経費、事務取扱費、資金運用手数料、第七條第一項の規定による借入金の償還金、第十三條第一項の規定による一般会計への繰入金、借入金及び融通証券の利子、前條第一項の規定による資金補填金並びに附属諸費を以てその歳出とする。
第七條 この会計で前條に規定する貿易物資の管理及び処分に要する特別経費、事務取扱費、資金運用手数料、借入金及び融通証券の利子並びに附属諸費を支弁するため必要があるときは、同会計の負担で大藏省預金部又は日本銀行から借入金をすることができる。
前項の借入金は、一年以内にこれを償還するものとする。
第八條 第三條第二項及び前條第一項に規定する借入金及び融通証券の起債、償還等に関する事務は、大藏大臣がこれを行う。
第九條 第三條第二項の規定による借入金又は融通証券の利子、第七條第一項の規定による借入金の償還金及び利子並びに融通証券の発行及び償還に関する諸費の支出に必要な金額は、毎会計年度、これを國債整理基金特別会計に繰り入れなければならない。
第十條 商工大臣は、毎会計年度、この会計の歳入歳出予定計算書を作製し、これを大藏大臣に送付しなければならない。
第十一條 この会計の歳入歳出予算は、歳入の性質及び歳出の目的に從つて、これを款及び項に区分する。
第十二條 内閣は、毎会計年度、この会計の予算を作成し、一般会計の予算とともに、これを國会に提出しなければならない。
前項の予算には、左の書類を添附しなければならない。
一 歳入歳出予定計算書
二 前前年度の損益計算書、貸借対照表及び財産目録
三 前年度及び当該年度の予定損益計算書及び予定貸借対照表
四 当該年度の貿易資金運用計画表
第十三條 この会計において損益計算上過剩を生じたときは、これを一般会計の歳入に繰り入れ、不足を生じたときは、これを一般会計の歳出を以て補填する。但し、繰入に関するこの会計の当該年度における歳出予算額が当該繰入額に対して不足するとき、又は補填に関する一般会計の当該年度における歳出予算額が当該補填額に対して不足するときは、各ゝその不足額は、これを翌年度において繰り入れ又は補填するものとする。
前項の規定による過剩又は不足の計算に関する事項は、政令でこれを定める。
第十四條 商工大臣は、毎会計年度、歳入歳出予定計算書と同一の区分により、この会計の歳入歳出決定計算書を作製し、これを大藏大臣に送付しなければならない。
第十五條 内閣は、毎会計年度、この会計の歳入歳出決算を作成し、一般会計の歳入歳出決算とともに、これを國会に提出しなければならない。
前項の歳入歳出決算には、左の書類を添附しなければならない。
一 歳入歳出決定計算書
二 当該年度の損益計算書、貸借対照表及び財産目録
三 債務に関する計算書
第十六條 貿易資金の運用に関しては、財政法第三十四條並びに会計法第十一條、第十二條及び第十四條の例による。
第十七條 この法律の施行に関し必要な事項は、政令でこれを定める。
附 則
第十八條 この法律は、昭和二十二年十二月十五日から、これを施行する。但し、第十六條の規定は、昭和二十三年一月一日から、これを施行する。
第十九條 この法律による改正前の貿易資金特別会計法第四條又はこの法律の第五條の規定による貿易資金の利益又は損失については、これらの規定にかかわらず、昭和二十一年度から別に法律で定める会計年度までの期間中は、各会計年度ごとの計算を省略して、当該期間の全期間について、政令の定めるところにより、これを計算することができる。
第二十條 一般会計は、前條に規定する期間中に限り、各会計年度における貿易資金の運用につき、別表第二中第一類各号に掲げる金額の合計額が、同表中第二類各号に掲げる金額の合計額を超過する場合は、その超過額に相当する金額を貿易資金の補填として同資金に繰り入れることができる。
前項の規定による貿易資金の補填は、各会計年度において、同項の計算確定前、概算を以てこれを行うことができる。
前項の場合において、概算による補填額が第一項の規定による計算により確定した補填額に対して超過し、又は不足するときは、当該超過額は、これを翌年度において生ずべき貿易資金の不足額の補填に充当し、又は余りがあるときは、これを一般会計に返還し、当該不足額は、翌年度において、これを補填するものとする。
第二十一條 第十二條第二項第二号及び第三号の規定は、昭和二十三年度分から第十九條に規定する法律で定める会計年度までの各会計年度分については、これを適用しない。
第十五條第二項第二号及び第三号の規定は、昭和二十二年度分から第十九條に規定する法律で定める会計年度までの各会計年度分については、これを適用しない。
第二十二條 昭和二十一年度の歳入歳出の決算に関しては、なお、從前の例による。
別表第一
一 貿易物資に準ずる物資で、商工大臣が大藏大臣に協議して定めるもの
二 貿易以外の原因に基く外國への送金、外國からの送金又はこれらに準ずるもので、商工大臣が大藏大臣に協議して定めるもの
三 大藏省預金部への預金
四 貿易公團に対する貸付金
別表第二
第一類
一 輸出物資の買入金額(未拂金額を含む。)
二 國有に係る輸入資材の加工賃(諸掛を含む。)の支拂金額(未拂金額を含む。)
三 輸入諸掛の支拂金額(未拂金額を含む。)
四 貿易物資に準ずる物資で、商工大臣が大藏大臣に協議して定めるもの(以下準貿易物資という。)の買入金額(未拂金額を含む。)
五 準貿易物資に関する諸掛の支拂金額(未拂金額を含む。)
六 貿易以外の原因に基く外國からの送金又はこれに準ずるもので、商工大臣が大藏大臣に協議して定めるものに関する支拂金額(未拂金額を含む。)
七 第三條第一項に規定する貿易資金額及び前年度から持ち越した同條第二項の規定による借入金の償還未済額(昭和二十二年度分については、昭和二十年法律第五十三号第二條の規定による貿易資金額及びこの法律による改正前の貿易資金特別会計法第二條第二項の規定による借入金の償還未済額)
八 当該年度末における貿易公團に対する貸付金額
第二類
一 輸入物資の賣拂金額(未收金額を含む。)
二 準貿易物資の賣拂金額(未收金額を含む。)
三 貿易以外の原因に基く外國への送金又はこれに準ずるもので、商工大臣が大藏大臣に協議して定めるものに関する受入金額(未收金額を含む。)
四 前年度から持ち越した現金額
五 当該年度末に保有する貿易物資又は準貿易物資(貿易公團の保有する輸出物資又は準貿易物資を含む。)の價額に、命令で定める割合を乘じて得た金額
大藏大臣 栗栖赳夫
商工大臣 水谷長三郎
内閣総理大臣 片山哲
貿易資金特別会計法を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和二十二年十二月十三日
内閣総理大臣 片山哲
法律第百七十九号
貿易資金特別会計法
第一条 貿易資金を置き、その運用に関する経理を一般会計と区分して特別に行うため、特別会計を設置する。
第二条 この会計は、商工大臣が、法令の定めるところに従い、これを管理する。
第三条 貿易資金は、昭和二十年法律第五十三号(貿易資金設置に関する法律)第二条の規定による貿易資金及び一般会計からの繰入金九億五千万円を以て、これに充てる。
貿易資金に不足を生じたときは、この会計の負担で大蔵省預金部若しくは日本銀行から借入金をし、又は融通証券を発行して、一時これを補足することができる。但し、その金額は、百億円を超えることはできない。
前項の借入金及び融通証券は、一年以内にこれを償還するものとする。
第四条 貿易資金は、これを貿易物資及びその取引に基く請求権に運用するの外、別表第一に掲げるものに運用することができる。
政府は、貿易資金の運用に関する事務を日本銀行に取り扱わせることができる。
第五条 貿易資金の運用によつて利益を生じたときは、これを当該年度の歳入に繰り入れ、損失を生じたときは、これを当該年度の歳出を以て補填する。但し、補填に関するこの会計の当該年度における歳出予算額が当該補填額に対して不足するときは、当該不足額は、これを翌年度において、補填するものとする。
前項の規定による利益又は損失の計算に関する事項は、政令でこれを定める。
第六条 この会計においては、前条第一項の規定による運用益金、第七条第一項の規定による借入金、第十三条第一項の規定による一般会計からの繰入金及び附属雑収入を以てその歳入とし、命令で定める貿易物資の管理及び処分に要する特別経費、事務取扱費、資金運用手数料、第七条第一項の規定による借入金の償還金、第十三条第一項の規定による一般会計への繰入金、借入金及び融通証券の利子、前条第一項の規定による資金補填金並びに附属諸費を以てその歳出とする。
第七条 この会計で前条に規定する貿易物資の管理及び処分に要する特別経費、事務取扱費、資金運用手数料、借入金及び融通証券の利子並びに附属諸費を支弁するため必要があるときは、同会計の負担で大蔵省預金部又は日本銀行から借入金をすることができる。
前項の借入金は、一年以内にこれを償還するものとする。
第八条 第三条第二項及び前条第一項に規定する借入金及び融通証券の起債、償還等に関する事務は、大蔵大臣がこれを行う。
第九条 第三条第二項の規定による借入金又は融通証券の利子、第七条第一項の規定による借入金の償還金及び利子並びに融通証券の発行及び償還に関する諸費の支出に必要な金額は、毎会計年度、これを国債整理基金特別会計に繰り入れなければならない。
第十条 商工大臣は、毎会計年度、この会計の歳入歳出予定計算書を作製し、これを大蔵大臣に送付しなければならない。
第十一条 この会計の歳入歳出予算は、歳入の性質及び歳出の目的に従つて、これを款及び項に区分する。
第十二条 内閣は、毎会計年度、この会計の予算を作成し、一般会計の予算とともに、これを国会に提出しなければならない。
前項の予算には、左の書類を添附しなければならない。
一 歳入歳出予定計算書
二 前前年度の損益計算書、貸借対照表及び財産目録
三 前年度及び当該年度の予定損益計算書及び予定貸借対照表
四 当該年度の貿易資金運用計画表
第十三条 この会計において損益計算上過剰を生じたときは、これを一般会計の歳入に繰り入れ、不足を生じたときは、これを一般会計の歳出を以て補填する。但し、繰入に関するこの会計の当該年度における歳出予算額が当該繰入額に対して不足するとき、又は補填に関する一般会計の当該年度における歳出予算額が当該補填額に対して不足するときは、各ゝその不足額は、これを翌年度において繰り入れ又は補填するものとする。
前項の規定による過剰又は不足の計算に関する事項は、政令でこれを定める。
第十四条 商工大臣は、毎会計年度、歳入歳出予定計算書と同一の区分により、この会計の歳入歳出決定計算書を作製し、これを大蔵大臣に送付しなければならない。
第十五条 内閣は、毎会計年度、この会計の歳入歳出決算を作成し、一般会計の歳入歳出決算とともに、これを国会に提出しなければならない。
前項の歳入歳出決算には、左の書類を添附しなければならない。
一 歳入歳出決定計算書
二 当該年度の損益計算書、貸借対照表及び財産目録
三 債務に関する計算書
第十六条 貿易資金の運用に関しては、財政法第三十四条並びに会計法第十一条、第十二条及び第十四条の例による。
第十七条 この法律の施行に関し必要な事項は、政令でこれを定める。
附 則
第十八条 この法律は、昭和二十二年十二月十五日から、これを施行する。但し、第十六条の規定は、昭和二十三年一月一日から、これを施行する。
第十九条 この法律による改正前の貿易資金特別会計法第四条又はこの法律の第五条の規定による貿易資金の利益又は損失については、これらの規定にかかわらず、昭和二十一年度から別に法律で定める会計年度までの期間中は、各会計年度ごとの計算を省略して、当該期間の全期間について、政令の定めるところにより、これを計算することができる。
第二十条 一般会計は、前条に規定する期間中に限り、各会計年度における貿易資金の運用につき、別表第二中第一類各号に掲げる金額の合計額が、同表中第二類各号に掲げる金額の合計額を超過する場合は、その超過額に相当する金額を貿易資金の補填として同資金に繰り入れることができる。
前項の規定による貿易資金の補填は、各会計年度において、同項の計算確定前、概算を以てこれを行うことができる。
前項の場合において、概算による補填額が第一項の規定による計算により確定した補填額に対して超過し、又は不足するときは、当該超過額は、これを翌年度において生ずべき貿易資金の不足額の補填に充当し、又は余りがあるときは、これを一般会計に返還し、当該不足額は、翌年度において、これを補填するものとする。
第二十一条 第十二条第二項第二号及び第三号の規定は、昭和二十三年度分から第十九条に規定する法律で定める会計年度までの各会計年度分については、これを適用しない。
第十五条第二項第二号及び第三号の規定は、昭和二十二年度分から第十九条に規定する法律で定める会計年度までの各会計年度分については、これを適用しない。
第二十二条 昭和二十一年度の歳入歳出の決算に関しては、なお、従前の例による。
別表第一
一 貿易物資に準ずる物資で、商工大臣が大蔵大臣に協議して定めるもの
二 貿易以外の原因に基く外国への送金、外国からの送金又はこれらに準ずるもので、商工大臣が大蔵大臣に協議して定めるもの
三 大蔵省預金部への預金
四 貿易公団に対する貸付金
別表第二
第一類
一 輸出物資の買入金額(未払金額を含む。)
二 国有に係る輸入資材の加工賃(諸掛を含む。)の支払金額(未払金額を含む。)
三 輸入諸掛の支払金額(未払金額を含む。)
四 貿易物資に準ずる物資で、商工大臣が大蔵大臣に協議して定めるもの(以下準貿易物資という。)の買入金額(未払金額を含む。)
五 準貿易物資に関する諸掛の支払金額(未払金額を含む。)
六 貿易以外の原因に基く外国からの送金又はこれに準ずるもので、商工大臣が大蔵大臣に協議して定めるものに関する支払金額(未払金額を含む。)
七 第三条第一項に規定する貿易資金額及び前年度から持ち越した同条第二項の規定による借入金の償還未済額(昭和二十二年度分については、昭和二十年法律第五十三号第二条の規定による貿易資金額及びこの法律による改正前の貿易資金特別会計法第二条第二項の規定による借入金の償還未済額)
八 当該年度末における貿易公団に対する貸付金額
第二類
一 輸入物資の売払金額(未収金額を含む。)
二 準貿易物資の売払金額(未収金額を含む。)
三 貿易以外の原因に基く外国への送金又はこれに準ずるもので、商工大臣が大蔵大臣に協議して定めるものに関する受入金額(未収金額を含む。)
四 前年度から持ち越した現金額
五 当該年度末に保有する貿易物資又は準貿易物資(貿易公団の保有する輸出物資又は準貿易物資を含む。)の価額に、命令で定める割合を乗じて得た金額
大蔵大臣 栗栖赳夫
商工大臣 水谷長三郎
内閣総理大臣 片山哲