朕は、帝國議会の協賛を経た貿易公團法を裁可し、ここにこれを公布せしめる。
御名御璽
昭和二十二年四月十四日
内閣総理大臣 吉田茂
内務大臣 植原悦二郎
大藏大臣 石橋湛山
商工大臣 石井光次郎
法律第五十八号
貿易公團法
第一章 総則
第一條 貿易公團は、経済安定本部総務長官の定める輸出入に関する基本的な政策及び計画に基き、主務大臣の定める輸出入計画及び輸出入手続に從い、輸出入に関する業務を行うことを目的とする。
貿易公團は、法人とする。
第二條 貿易公團の種類は、左の通りとする。
鉱工品貿易公團
纖維貿易公團
食糧貿易公團
原材料貿易公團
前項の貿易公團の取り扱う物品の種類は、命令で、これを定める。
第三條 貿易公團は、主たる事務所を東京都に置く。
貿易公團は、主務大臣の認可を受けて、輸出入に関する業務を行うため必要の地に從たる事務所を設けることができる。
第四條 貿易公團の基本金は、左の通りとする。
鉱工品貿易公團 千五百万円
纖維貿易公團 三千万円
食糧貿易公團 千五百万円
原材料貿易公團 二千万円
前項の基本金は、政府が全額これを出資しなければならない。
貿易公團の運営資金は、必要があるときには、貿易資金から借り入れるものとする。
第五條 貿易公團は、定款を以て、左の事項を規定しなければならない。
一 目的
二 名称
三 事務所の所在地
四 基本金額に関する事項
五 役員に関する事項
六 業務及びその執行に関する事項
七 会計に関する事項
八 公告の方法
定款は、主務大臣及び経済安定本部総務長官の認可を受けて、これを変更することができる。
第六條 貿易公團は、勅令の定めるところにより、登記しなければならない。
前項の規定によつて登記を必要とする事項は、登記の後でなければ、これを以て第三者に対抗することができない。
第七條 貿易公團には、所得税及び法人税を課さない。
都道府縣、市町村その他これに準ずるものは、貿易公團の事業に対しては、地方税を課することができない。但し、特別の事情に基いて、内務大臣及び大藏大臣の認可を受けたときにはこの限りでない。
第八條 貿易公團は、臨時物資需給調整法の失効又は経済安定本部総務長官の命令によつて解散する。
前項に定めるものの外、貿易公團の解散に関して必要な事項は、勅令でこれを定める。
第九條 貿易公團でない者は、貿易公團又はこれに類似する名称を用いることができない。
第十條 民法第四十四條、第五十條、第五十四條及び第五十七條並びに非訟事件手続法第三十五條第一項の規定は、貿易公團にこれを準用する。
第二章 役員及び職員
第十一條 貿易公團に、役員として理事長副理事長各一人、理事二人以上及び監事一人以上を置く。
理事長は、貿易公團を代表し、第十六條の規定に基き、その業務を総理する。
副理事長は、定款の定めるところにより、貿易公團を代表し、理事長を補佐して貿易公團の業務を掌理し、理事長に事故のあるときには、その職務を代理し、理事長が欠員のときにはその職務を行う。
理事は、定款の定めるところにより、貿易公團を代表し、理事長及び副理事長を補佐して貿易公團の業務を掌理し、理事長及び副理事長に事故のあるときには、その職務を代理し、理事長及び副理事長が欠員のときにはその職務を行う。
監事は、貿易公團の業務を監査する。
第十二條 理事長、副理事長、理事及び監事は、主務大臣が任命する。
第十三條 理事長、副理事長及び理事は、定款の定めるところにより、貿易公團の職員のうちから主たる事務所又は從たる事務所の業務に関し、一切の裁判上又は裁判外の行爲をする権限を有する代理人を選任することができる。
第十四條 貿易公團の役員及び職員は、輸出入に関する業務を営む会社の株式を所有し、又はこれら会社その他の企業の業務に從事し、若しくはその営業につき一切の利害関係を有してはならない。
第十五條 貿易公團の役員及び職員は、これを官吏その他の政府職員とする。
理事長たる者は、貿易廳局長と同級又はこれと同格とし、その他の役員たる者は、一級又はこれと同格とし、職員たる者は、一級、二級若しくは三級又はこれらと同格とし、それらの定員は、主務大臣がこれを定める。
貿易公團の役員及び職員は、官吏に関する一般法令に從うものとする。但し、主務大臣が、経済安定本部総務長官の承認を受けて、給與、服務その他の必要な事項に関して、特例を定めたときには、これによるものとする。
第三章 業務
第十六條 貿易公團は、経済安定本部総務長官の定める基本的な政策及び計画に基き、主務大臣の監督に從い、輸出入に関する左の業務を行う。
一 輸出品の発注、買取、保管及び輸送並びに政府に対する賣渡
二 輸入品の引取、保管、輸送及び引渡
三 輸出入に関する原材料及び包裝材料の取得及び配分
四 前各号に附帶する業務
前項第三号の業務は、原材料貿易公團に限つてこれを行うことができる。但し、輸入品の取得及び配分についてはこの限りでない。
原材料貿易公團は、現に生產の過程にある輸出品の生產に必要な又は主務大臣の認めた在庫に必要な資材の数量に限つてこれを買い入れることができる。
第十七條 貿易公團は、業務開始の際、業務の方法を定めて、経済安定本部総務長官に提出し、その認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも同樣である。
経済安定本部総務長官は、前項の認可を行うときには、主務大臣及び大藏大臣にはからなければならない。この場合において、認可の最終責任は、経済安定本部総務長官にあるものとする。
第十八條 貿易公團は、毎事業年度の前期及び後期の初において六箇月毎の事業計画及び資金計画を作成し、これを経済安定本部総務長官に提出し、その認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも同樣である。
経済安定本部総務長官は、前項の認可を行うときには、主務大臣及び大藏大臣にはからなければならない。この場合において認可の最終責任は、経済安定本部総務長官にあるものとする。
第四章 会計
第十九條 貿易公團の事業年度は、毎年四月から翌年三月までとし、これを前期及び後期に分ける。
第二十條 貿易公團は、前條の各期毎に財產目録、貸借対照表及び損益計算書を作成し、毎事業年度経過後二箇月以内に、これを経済安定本部総務長官に提出し、その承認を受けなければならない。
経済安定本部総務長官は、前項の承認を行うときには、主務大臣及び大藏大臣にはからなければならい。この場合において、承認の最終責任は、経済安定本部総務長官にあるものとする。
貿易公團は、第一項の規定による経済安定本部総務長官の承認を受けたときには、その財產目録、貸借対照表及び損益計算書を公告し、且つこれを定款とともに、各事務所に備えて置かなければならない。
前項の財產目録、貸借対照表及び損益計算書は、会計檢査院の檢査を受け、その承認を受けなければならない。
貿易公團は、経済安定本部総務長官の承認を受けて、命令の定めるところにより、剩余金を國庫に納付しなければならない。
貿易公團は、帳簿、書類その他一切の記録を整然且つ明確に記載し、会計檢査院、経済安定本部及び主務官廳の檢査を受けることができるように整備しなければならない。
会計檢査院は、常に適確に前項の檢査を行わなければならない。
第五章 監督及び助成
第二十一條 経済安定本部総務長官は、輸出入に関する基本的な政策及び計画に関して、貿易公團を指導監督する。
経済安定本部総務長官は、輸出入に関する基本的な政策及び計画を確保するため必要があると認めるときには、貿易公團に対して、主務大臣を通じて監督上必要な命令をなすことができる。
主務大臣は輸出入計画及び輸出入手続の遂行を確保するため必要があると認めるときには、貿易公團に対して、経済安定本部総務長官の定める基本的な政策及び計画に基いて、監督上必要な命令をなすことができる。
経済安定本部総務長官は、貿易公團に対して主務大臣を通じて報告をさせ、又は当該官吏に、必要な場所に臨檢し、業務の状況若しくは帳簿、書類その他必要な物件を檢査させることができる。
主務大臣は、貿易公團に対して報告をさせ、又は当該官吏に、必要な場所に臨檢し、業務の状況若しくは帳簿書類その他必要な物件を檢査させることができる。
前二項の規定により、当該官吏に臨檢檢査させる場合には、命令の定めるところにより、その身分を示す証票を携帶させなければならない。
第二十二條 貿易公團は、その役員及び職員に対して特別の報酬を與える必要があるときには、その報酬規程を定め、経済安定本部総務長官の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも同樣である。
経済安定本部総務長官は、前項の認可を行うときには、主務大臣及び大藏大臣にはからなければならない。この場合において、認可の最終責任は、経済安定本部総務長官にあるものとする。
第二十三條 主務大臣は、貿易公團の役員が、法令若しくは定款又はこの法律に基いてなす命令に違反したときには、これを解任することができる。
経済安定本部総務長官は、貿易公團の役員が、貿易公團の目的及び業務に関してその任に適せず、又はその職務を適切に遂行していないと認めるときには、これを解任することができる。
第二十四條 主務大臣は、貿易公團の業務を行うため必要があると認めるときには、命令で定める統制機能を営む貿易組合その他の輸出入取扱に関する團体の清算人に対し、その所有に属する施設の全部又は一部を貿易公團に貸與することを命ずることができる。
主務大臣は、貿易公團の業務を行うため必要があると認めるときには、貿易公團に必要な施設の所有者若しくは占有者又は大藏大臣を含む管理者に対して、当該施設を貿易公團に貸與することを命じ、又は求めることができる。
前二項の規定による施設の使用料は、経済安定本部総務長官が、そのあらかじめ定める方針に基いて、適正に定めるものとする。
前項の規定によつて使用料が定められたときには、貿易公團は、第八條第一項に定めた存続期間を超えない範囲において、経済安定本部総務長官の承認を受けて、第一項又は第二項の施設を賃借するものとする。
主務大臣は、貿易公團の業務を行うため必要があると認めるときには、第一項の團体の清算人に対して、その所有し、又は占有してゐる資材の全部又は一部を貿易公團に讓り渡し、又は引き渡すことを命ずることができる。
前項の命令があつたときには、貿易公團は、前項の資材の讓受又は引渡を受けた日から一箇月以内に関係者に対して、正当な補償を支拂わなければならない。
主務大臣は、経済安定本部総務長官の承認を受けて前項の補償に関し必要な規程を定めた後でなければ、第五項の命令をなすことができない。
主務大臣は、貿易公團が賃借した施設を管理し、又は必要があると認めるときには、保險を附する等の措置を貿易公團にとらしめることに関し、責任あるものとする。
主務大臣は、前各項の実施について貿易公團又は関係各廳大臣を含む関係者に対して迅速な措置を命じ、又は求めることができる。
第六章 罰則
第二十五條 前條第一項、第二項又は第五項の規定による命令に違反した者は、これを五年以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。
第二十六條 左の場合においては、その違反行爲をなした貿易公團の役員又は職員は、これを五年以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。
一 第十六條に規定しない業務を行つた場合
二 第二十一條第二項又は第三項に規定する経済安定本部総務長官又は主務大臣の監督上の命令に違反した場合
第二十七條 この法律の規定による報告を怠り、若しくは虚僞の報告をなし、又は檢査を拒み、妨げ、若しくは、忌避した者は、これを一年以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。
第二十八條 前三條の罪を犯した者には、情状に因り、懲役及び罰金を併科することができる。
法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の從業者が、その法人又は人の業務に関して第二十五條の違反行爲をなしたときには、行爲者を罰する外、その法人又は人に対して同條の罰金刑を科する。
第二十九條 第九條の規定に違反して、貿易公團又はこれに類似する名称を用いた者は、これを一万円以下の過料に処する。
附 則
第三十條 この法律施行の期日は、勅令で、これを定める。
第三十一條 主務大臣は、第二十四條第一項の團体の財產又は債務を貿易公團に引き継がせることができる。
主務大臣は、前項の措置をなすときには、大藏大臣にはからなければならない。
第三十二條 貿易公團が成立したときには、第二十四條第一項の團体は、解散する。
前項の規定による團体の清算は、昭和二十三年四月一日までに結了せしめるものとする。
第三十三條 政府は、設立委員を命じて、貿易公團の設立に関する事務を処理させる。
第三十四條 設立委員は、定款を作成して、主務大臣及び経済安定本部総務長官の認可を受けなければならない。
前項の認可があつたときには、設立委員は、遅滯なく基本金の拂込を請求しなければならない。
第三十五條 基本金の拂込があつたときには、設立委員は、遅滯なくその事務を貿易公團の理事長に引き継がなければならない。
理事長が前項の事務の引継を受けたときには、理事長、副理事長、理事及び監事の全員は、遅滯なく設立の登記をしなければならない。
貿易公團は、設立の登記をすることによつて成立する。
第三十六條 この法律は、臨時物資需給調整法の失効の時に、その効力を失う。但し、その時までになした行爲に対する罰則の適用及び貿易公團の清算に関しては、この法律は、その時以後もなおその効力を有する。
第三十七條 貿易資金特別会計法の一部を次のように改正する。
第二條第一項中「昭和二十年法律第五十三號第二條の規定による貿易資金」の下に「及び一般會計からの繰入金九億五千萬圓」を加える。
朕は、帝国議会の協賛を経た貿易公団法を裁可し、ここにこれを公布せしめる。
御名御璽
昭和二十二年四月十四日
内閣総理大臣 吉田茂
内務大臣 植原悦二郎
大蔵大臣 石橋湛山
商工大臣 石井光次郎
法律第五十八号
貿易公団法
第一章 総則
第一条 貿易公団は、経済安定本部総務長官の定める輸出入に関する基本的な政策及び計画に基き、主務大臣の定める輸出入計画及び輸出入手続に従い、輸出入に関する業務を行うことを目的とする。
貿易公団は、法人とする。
第二条 貿易公団の種類は、左の通りとする。
鉱工品貿易公団
繊維貿易公団
食糧貿易公団
原材料貿易公団
前項の貿易公団の取り扱う物品の種類は、命令で、これを定める。
第三条 貿易公団は、主たる事務所を東京都に置く。
貿易公団は、主務大臣の認可を受けて、輸出入に関する業務を行うため必要の地に従たる事務所を設けることができる。
第四条 貿易公団の基本金は、左の通りとする。
鉱工品貿易公団 千五百万円
繊維貿易公団 三千万円
食糧貿易公団 千五百万円
原材料貿易公団 二千万円
前項の基本金は、政府が全額これを出資しなければならない。
貿易公団の運営資金は、必要があるときには、貿易資金から借り入れるものとする。
第五条 貿易公団は、定款を以て、左の事項を規定しなければならない。
一 目的
二 名称
三 事務所の所在地
四 基本金額に関する事項
五 役員に関する事項
六 業務及びその執行に関する事項
七 会計に関する事項
八 公告の方法
定款は、主務大臣及び経済安定本部総務長官の認可を受けて、これを変更することができる。
第六条 貿易公団は、勅令の定めるところにより、登記しなければならない。
前項の規定によつて登記を必要とする事項は、登記の後でなければ、これを以て第三者に対抗することができない。
第七条 貿易公団には、所得税及び法人税を課さない。
都道府県、市町村その他これに準ずるものは、貿易公団の事業に対しては、地方税を課することができない。但し、特別の事情に基いて、内務大臣及び大蔵大臣の認可を受けたときにはこの限りでない。
第八条 貿易公団は、臨時物資需給調整法の失効又は経済安定本部総務長官の命令によつて解散する。
前項に定めるものの外、貿易公団の解散に関して必要な事項は、勅令でこれを定める。
第九条 貿易公団でない者は、貿易公団又はこれに類似する名称を用いることができない。
第十条 民法第四十四条、第五十条、第五十四条及び第五十七条並びに非訟事件手続法第三十五条第一項の規定は、貿易公団にこれを準用する。
第二章 役員及び職員
第十一条 貿易公団に、役員として理事長副理事長各一人、理事二人以上及び監事一人以上を置く。
理事長は、貿易公団を代表し、第十六条の規定に基き、その業務を総理する。
副理事長は、定款の定めるところにより、貿易公団を代表し、理事長を補佐して貿易公団の業務を掌理し、理事長に事故のあるときには、その職務を代理し、理事長が欠員のときにはその職務を行う。
理事は、定款の定めるところにより、貿易公団を代表し、理事長及び副理事長を補佐して貿易公団の業務を掌理し、理事長及び副理事長に事故のあるときには、その職務を代理し、理事長及び副理事長が欠員のときにはその職務を行う。
監事は、貿易公団の業務を監査する。
第十二条 理事長、副理事長、理事及び監事は、主務大臣が任命する。
第十三条 理事長、副理事長及び理事は、定款の定めるところにより、貿易公団の職員のうちから主たる事務所又は従たる事務所の業務に関し、一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する代理人を選任することができる。
第十四条 貿易公団の役員及び職員は、輸出入に関する業務を営む会社の株式を所有し、又はこれら会社その他の企業の業務に従事し、若しくはその営業につき一切の利害関係を有してはならない。
第十五条 貿易公団の役員及び職員は、これを官吏その他の政府職員とする。
理事長たる者は、貿易庁局長と同級又はこれと同格とし、その他の役員たる者は、一級又はこれと同格とし、職員たる者は、一級、二級若しくは三級又はこれらと同格とし、それらの定員は、主務大臣がこれを定める。
貿易公団の役員及び職員は、官吏に関する一般法令に従うものとする。但し、主務大臣が、経済安定本部総務長官の承認を受けて、給与、服務その他の必要な事項に関して、特例を定めたときには、これによるものとする。
第三章 業務
第十六条 貿易公団は、経済安定本部総務長官の定める基本的な政策及び計画に基き、主務大臣の監督に従い、輸出入に関する左の業務を行う。
一 輸出品の発注、買取、保管及び輸送並びに政府に対する売渡
二 輸入品の引取、保管、輸送及び引渡
三 輸出入に関する原材料及び包装材料の取得及び配分
四 前各号に附帯する業務
前項第三号の業務は、原材料貿易公団に限つてこれを行うことができる。但し、輸入品の取得及び配分についてはこの限りでない。
原材料貿易公団は、現に生産の過程にある輸出品の生産に必要な又は主務大臣の認めた在庫に必要な資材の数量に限つてこれを買い入れることができる。
第十七条 貿易公団は、業務開始の際、業務の方法を定めて、経済安定本部総務長官に提出し、その認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも同様である。
経済安定本部総務長官は、前項の認可を行うときには、主務大臣及び大蔵大臣にはからなければならない。この場合において、認可の最終責任は、経済安定本部総務長官にあるものとする。
第十八条 貿易公団は、毎事業年度の前期及び後期の初において六箇月毎の事業計画及び資金計画を作成し、これを経済安定本部総務長官に提出し、その認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも同様である。
経済安定本部総務長官は、前項の認可を行うときには、主務大臣及び大蔵大臣にはからなければならない。この場合において認可の最終責任は、経済安定本部総務長官にあるものとする。
第四章 会計
第十九条 貿易公団の事業年度は、毎年四月から翌年三月までとし、これを前期及び後期に分ける。
第二十条 貿易公団は、前条の各期毎に財産目録、貸借対照表及び損益計算書を作成し、毎事業年度経過後二箇月以内に、これを経済安定本部総務長官に提出し、その承認を受けなければならない。
経済安定本部総務長官は、前項の承認を行うときには、主務大臣及び大蔵大臣にはからなければならい。この場合において、承認の最終責任は、経済安定本部総務長官にあるものとする。
貿易公団は、第一項の規定による経済安定本部総務長官の承認を受けたときには、その財産目録、貸借対照表及び損益計算書を公告し、且つこれを定款とともに、各事務所に備えて置かなければならない。
前項の財産目録、貸借対照表及び損益計算書は、会計検査院の検査を受け、その承認を受けなければならない。
貿易公団は、経済安定本部総務長官の承認を受けて、命令の定めるところにより、剰余金を国庫に納付しなければならない。
貿易公団は、帳簿、書類その他一切の記録を整然且つ明確に記載し、会計検査院、経済安定本部及び主務官庁の検査を受けることができるように整備しなければならない。
会計検査院は、常に適確に前項の検査を行わなければならない。
第五章 監督及び助成
第二十一条 経済安定本部総務長官は、輸出入に関する基本的な政策及び計画に関して、貿易公団を指導監督する。
経済安定本部総務長官は、輸出入に関する基本的な政策及び計画を確保するため必要があると認めるときには、貿易公団に対して、主務大臣を通じて監督上必要な命令をなすことができる。
主務大臣は輸出入計画及び輸出入手続の遂行を確保するため必要があると認めるときには、貿易公団に対して、経済安定本部総務長官の定める基本的な政策及び計画に基いて、監督上必要な命令をなすことができる。
経済安定本部総務長官は、貿易公団に対して主務大臣を通じて報告をさせ、又は当該官吏に、必要な場所に臨検し、業務の状況若しくは帳簿、書類その他必要な物件を検査させることができる。
主務大臣は、貿易公団に対して報告をさせ、又は当該官吏に、必要な場所に臨検し、業務の状況若しくは帳簿書類その他必要な物件を検査させることができる。
前二項の規定により、当該官吏に臨検検査させる場合には、命令の定めるところにより、その身分を示す証票を携帯させなければならない。
第二十二条 貿易公団は、その役員及び職員に対して特別の報酬を与える必要があるときには、その報酬規程を定め、経済安定本部総務長官の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも同様である。
経済安定本部総務長官は、前項の認可を行うときには、主務大臣及び大蔵大臣にはからなければならない。この場合において、認可の最終責任は、経済安定本部総務長官にあるものとする。
第二十三条 主務大臣は、貿易公団の役員が、法令若しくは定款又はこの法律に基いてなす命令に違反したときには、これを解任することができる。
経済安定本部総務長官は、貿易公団の役員が、貿易公団の目的及び業務に関してその任に適せず、又はその職務を適切に遂行していないと認めるときには、これを解任することができる。
第二十四条 主務大臣は、貿易公団の業務を行うため必要があると認めるときには、命令で定める統制機能を営む貿易組合その他の輸出入取扱に関する団体の清算人に対し、その所有に属する施設の全部又は一部を貿易公団に貸与することを命ずることができる。
主務大臣は、貿易公団の業務を行うため必要があると認めるときには、貿易公団に必要な施設の所有者若しくは占有者又は大蔵大臣を含む管理者に対して、当該施設を貿易公団に貸与することを命じ、又は求めることができる。
前二項の規定による施設の使用料は、経済安定本部総務長官が、そのあらかじめ定める方針に基いて、適正に定めるものとする。
前項の規定によつて使用料が定められたときには、貿易公団は、第八条第一項に定めた存続期間を超えない範囲において、経済安定本部総務長官の承認を受けて、第一項又は第二項の施設を賃借するものとする。
主務大臣は、貿易公団の業務を行うため必要があると認めるときには、第一項の団体の清算人に対して、その所有し、又は占有してゐる資材の全部又は一部を貿易公団に譲り渡し、又は引き渡すことを命ずることができる。
前項の命令があつたときには、貿易公団は、前項の資材の譲受又は引渡を受けた日から一箇月以内に関係者に対して、正当な補償を支払わなければならない。
主務大臣は、経済安定本部総務長官の承認を受けて前項の補償に関し必要な規程を定めた後でなければ、第五項の命令をなすことができない。
主務大臣は、貿易公団が賃借した施設を管理し、又は必要があると認めるときには、保険を附する等の措置を貿易公団にとらしめることに関し、責任あるものとする。
主務大臣は、前各項の実施について貿易公団又は関係各庁大臣を含む関係者に対して迅速な措置を命じ、又は求めることができる。
第六章 罰則
第二十五条 前条第一項、第二項又は第五項の規定による命令に違反した者は、これを五年以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。
第二十六条 左の場合においては、その違反行為をなした貿易公団の役員又は職員は、これを五年以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。
一 第十六条に規定しない業務を行つた場合
二 第二十一条第二項又は第三項に規定する経済安定本部総務長官又は主務大臣の監督上の命令に違反した場合
第二十七条 この法律の規定による報告を怠り、若しくは虚偽の報告をなし、又は検査を拒み、妨げ、若しくは、忌避した者は、これを一年以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。
第二十八条 前三条の罪を犯した者には、情状に因り、懲役及び罰金を併科することができる。
法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して第二十五条の違反行為をなしたときには、行為者を罰する外、その法人又は人に対して同条の罰金刑を科する。
第二十九条 第九条の規定に違反して、貿易公団又はこれに類似する名称を用いた者は、これを一万円以下の過料に処する。
附 則
第三十条 この法律施行の期日は、勅令で、これを定める。
第三十一条 主務大臣は、第二十四条第一項の団体の財産又は債務を貿易公団に引き継がせることができる。
主務大臣は、前項の措置をなすときには、大蔵大臣にはからなければならない。
第三十二条 貿易公団が成立したときには、第二十四条第一項の団体は、解散する。
前項の規定による団体の清算は、昭和二十三年四月一日までに結了せしめるものとする。
第三十三条 政府は、設立委員を命じて、貿易公団の設立に関する事務を処理させる。
第三十四条 設立委員は、定款を作成して、主務大臣及び経済安定本部総務長官の認可を受けなければならない。
前項の認可があつたときには、設立委員は、遅滞なく基本金の払込を請求しなければならない。
第三十五条 基本金の払込があつたときには、設立委員は、遅滞なくその事務を貿易公団の理事長に引き継がなければならない。
理事長が前項の事務の引継を受けたときには、理事長、副理事長、理事及び監事の全員は、遅滞なく設立の登記をしなければならない。
貿易公団は、設立の登記をすることによつて成立する。
第三十六条 この法律は、臨時物資需給調整法の失効の時に、その効力を失う。但し、その時までになした行為に対する罰則の適用及び貿易公団の清算に関しては、この法律は、その時以後もなおその効力を有する。
第三十七条 貿易資金特別会計法の一部を次のように改正する。
第二条第一項中「昭和二十年法律第五十三号第二条の規定による貿易資金」の下に「及び一般会計からの繰入金九億五千万円」を加える。