自動車交通事業法
法令番号: 法律第五十二號
公布年月日: 昭和6年4月1日
法令の形式: 法律
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル自動車交通事業法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和六年四月一日
內閣總理大臣 濱口雄幸
鐵道大臣 江木翼
司法大臣 子爵 渡邊千冬
大藏大臣 井上準之助
內務大臣 安達謙藏
法律第五十二號
自動車交通事業法
第一章 自動車運輸事業
第一條 本法ニ於テ自動車運輸事業トハ一般交通ノ用ニ供スル爲路線ヲ定メ定期ニ自動車ヲ運行シテ旅客又ハ物品ヲ運送スル事業ヲ謂フ
第二條 自動車運輸事業ノ路線ハ一般ノ道路、自動車道又ハ一般通行ノ用ニ供スル通路ニ依ルベシ
第三條 主務大臣ハ命令ヲ以テ自動車運輸事業ニ付路線ニ應ジテ使用スベキ自動車ノ輛數其ノ他事業ノ基準ヲ定ムルコトヲ得
第四條 自動車運輸事業ヲ經營セントスル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ運賃其ノ他ニ關スル事業計畫ヲ定メ主務大臣ノ免許ヲ受クベシ
主務大臣ハ前項ノ免許ヲ爲スニ當リ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ有效期間ヲ指定スルコトヲ得
第五條 主務大臣ハ自動車運輸事業者ガ免許ノ有效期間滿了後仍引續キ其ノ事業ヲ經營センコトヲ申請シタルトキハ當該路線ニ依ル自動車運輸事業ノ不必要其ノ他特別ノ事由ナキ限リ期間更新ノ免許ヲ爲スベシ
第六條 自動車運輸事業經營ノ免許ヲ受ケタル者ハ主務大臣ノ指定スル期間內ニ運輸開始ノ認可ヲ申請スベシ
第十七條第一項ノ專用自動車道ヲ開設シテ自動車運輸事業ヲ經營スル場合ニ在リテハ工事方法ヲ定メ前項ノ認可申請前主務大臣ノ指定スル期間內ニ工事施行ノ認可ヲ申請スベシ
天災其ノ他已ムヲ得ザル事由ニ因リ前二項ノ期間內ニ認可ヲ申請スルコト能ハザルトキハ申請ニ因リ主務大臣ハ期間ヲ伸長スルコトヲ得
第七條 自動車運輸事業者事業計畫又ハ專用自動車道ノ工事方法ヲ變更セントスルトキハ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ
第八條 自動車運輸事業ノ自動車ハ命令ノ定ムル所ニ依リ登錄ヲ受クルコトヲ要ス
第九條 自動車運輸事業ノ運輸、設備及會計ニ關スル規定ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第十條 主務大臣ハ公益上必要アリト認ムルトキハ自動車運輸事業者ニ對シ左ニ揭グル事項ヲ命ズルコトヲ得
一 運賃其ノ他ニ關スル事業計畫又ハ專用自動車道ノ工事方法ヲ變更セシムルコト
二 路線ヲ延長又ハ變更セシムルコト但シ專用自動車道ノ延長及變更ハ此ノ限ニ在ラズ
三 他ノ運送事業者ト連絡運輸ヲ爲サシムルコト
四 全部又ハ一部ノ路線ヲ共通ニスル數人ノ自動車運輸事業者アル場合ニ共同經營ヲ爲サシムルコト
五 旅客又ハ物品ノ運送ニ關スル損害ニ付保險ニ付セシムルコト
六 前各號ノ外事業ノ改善ヲ爲サシムルコト
前項第三號及第四號ノ場合ニ於テ其ノ實施方法又ハ各事業者ノ收得シ若ハ負擔スベキ金額ニ付協議調ハザルトキハ申請ニ因リ主務大臣之ヲ裁定ス
第十一條 免許、許可又ハ認可ニハ條件ヲ附スルコトヲ得
前項ノ條件ハ公益上必要アルトキハ之ヲ變更スルコトヲ得
前條第二項ノ規定ハ第一項ノ條件ニ於テ他ノ運送事業者ヨリ事業ノ讓渡又ハ共同經營、會社ノ合併等ヲ求メタルトキハ之ニ應ズベキコトヲ命ジタル場合ニ於ケル實施方法及收得又ハ負擔金額ニ之ヲ準用ス
第十二條 自動車運輸事業ハ主務大臣ノ許可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ事業ノ全部又ハ一部ヲ休止シ又ハ廢止スルコトヲ得ズ
第十三條 自動車運輸事業ノ讓渡ハ主務大臣ノ許可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ
會社ノ合併ニ因ル自動車運輸事業ノ承繼ニ付テハ合併前主務大臣ノ許可ヲ受クベシ
自動車運輸事業者死亡シタルトキハ相續人ハ其ノ事業ヲ承繼ス
自動車運輸事業ヲ營ム會社ノ解散ノ決議又ハ總社員ノ同意ハ主務大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ
第十四條 左ノ場合ニ於テハ主務大臣ハ自動車運輸事業經營ノ免許ノ全部若ハ一部ヲ取消シ又ハ事業ノ全部若ハ一部ヲ停止セシムルコトヲ得
一 法令又ハ免許、許可若ハ認可ニ附シタル條件ニ違反シタルトキ
二 法令ニ基キテ爲シタル處分又ハ免許、許可若ハ認可ニ附シタル條件ニ基キテ爲シタル處分ニ違反シタルトキ
三 許可又ハ認可ヲ受ケタル事項ヲ故ナク實施セザルトキ
四 事業ノ經營不確實又ハ資產狀態ノ著シキ不良其ノ他ノ爲事業ヲ繼續スルニ適セズト認メタルトキ
五 公益ヲ害スル行爲ヲ爲シタルトキ
六 道路、自動車道又ハ通路ノ狀況ガ自動車ノ運行ニ適セザルニ至リタルトキ
第十五條 左ノ場合ニ於テハ自動車運輸事業經營ノ免許ハ其ノ效力ヲ失フ
一 運輸開始ノ認可申請期間內ニ認可ヲ申請セザルトキ
二 運輸開始ノ認可ナキトキ
三 事業經營ノ免許ヲ受ケタル者會社ノ發起人ナルトキハ運輸開始ノ認可申請期間內(路線ノ全部又ハ一部ニ付專用自動車道ヲ開設スル場合ニ在リテハ工事施行ノ認可申請期間內)ニ會社設立ノ登記ヲ爲サザルトキ
四 專用自動車道ニ付工事施行ノ認可申請期間內ニ認可ヲ申請セザルトキ
五 專用自動車道ニ付工事施行ノ認可ナキトキ
六 事業ノ廢止ノ許可ヲ受ケタルトキ
七 事業ヲ營ム會社解散シタルトキ
第十六條 自動車運輸事業以外ノ自動車ニ依ル運送事業ニ關スル規定ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第二章 自動車道及自動車道事業
第十七條 本法ニ於テ自動車道トハ專ラ自動車ノ一般交通ノ用ニ供スル道路(一般自動車道)及自動車運輸事業者ガ其ノ事業用自動車ノ專用ニ供スル通路(專用自動車道)ヲ謂フ
本法ニ於テ自動車道事業トハ一般自動車道ヲ開設シ有償又ハ無償ニテ之ヲ專ラ自動車ノ一般交通ノ用ニ供スル事業ヲ謂フ
第十八條 自動車道事業ヲ經營セントスル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ使用料金其ノ他ニ關スル事業計畫ヲ定メ主務大臣ノ免許ヲ受クベシ
第十九條 自動車道事業經營ノ免許ヲ受ケタル者ハ工事方法ヲ定メ主務大臣ノ指定スル期間內ニ工事施行ノ認可ヲ申請スベシ
天災其ノ他已ムヲ得ザル事由ニ因リ前項ノ期間內ニ認可ヲ申請スルコト能ハザルトキハ申請ニ因リ主務大臣ハ期間ヲ伸長スルコトヲ得
第二十條 自動車道事業者工事施行ノ認可ヲ受ケタルトキハ主務大臣ノ指定スル期間內ニ一般自動車道ノ工事ニ著手シ之ヲ竣功セシムベシ
前條第二項ノ規定ハ前項ノ期間ノ伸長ニ之ヲ準用ス
第二十一條 自動車道事業者事業計畫又ハ一般自動車道ノ工事方法ヲ變更セントスルトキハ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ
第二十二條 自動車道ニ關スル工事ノ爲必要アルトキハ自動車道事業者又ハ自動車運輸事業者ハ地方長官ノ許可ヲ受ケ沿道ノ土地ニ立入リ又ハ其ノ土地ヲ一時材料置場トシテ使用スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル立入又ハ使用ヲ爲サントスルトキハ已ムヲ得ザル事由アル場合ヲ除クノ外豫メ土地ノ占有者ニ其ノ通知ヲ爲スコトヲ要ス
第一項ノ規定ニ依ル立入又ハ使用ニ因リテ生ジタル損害ハ立入又ハ使用ノ後遲滯ナク事業者ニ於テ之ヲ補償スベシ
前項ノ補償ニ付協議調ハザルトキハ地方長官之ヲ裁定ス
前項ノ規定ニ依ル裁定中補償金額ニ不服アル者ハ裁定ノ通知ヲ受ケタル日ヨリ三月內ニ通常裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第二十三條 一般自動車道ハ主務大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ供用ヲ開始スルコトヲ得ズ
第二十四條 一般自動車道ノ構造、維持、修繕若ハ使用又ハ其ノ交通ノ保全ニ關スル規定ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第二十五條 主務大臣ハ公益上必要アリト認ムルトキハ自動車道事業者ニ對シ左ニ揭グル事項ヲ命ズルコトヲ得
一 使用料金其ノ他ニ關スル事業計畫又ハ一般自動車道ノ工事方法ヲ變更セシムルコト
二 一般自動車道又ハ其ノ附屬物件ノ改善ヲ爲サシムルコト
第二十六條 免許、許可又ハ認可ニハ條件ヲ附スルコトヲ得
前項ノ條件ハ公益上必要アルトキハ之ヲ變更スルコトヲ得
第二十七條 自動車道事業者ハ主務大臣ノ許可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ事業ニ屬スル一般自動車道ノ全部又ハ一部ノ供用ヲ休止シ又ハ廢止スルコトヲ得ズ
第二十八條 自動車道事業ノ讓渡ハ主務大臣ノ許可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ
會社ノ合併ニ因ル自動車道事業ノ承繼ニ付テハ合併前主務大臣ノ許可ヲ受クベシ
自動車道事業者死亡シタルトキハ相續人ハ其ノ事業ヲ承繼ス
自動車道事業ヲ營ム會社ノ解散ノ決議又ハ總社員ノ同意ハ主務大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ
第二十九條 左ノ場合ニ於テハ主務大臣ハ自動車道事業經營ノ免許ノ全部又ハ一部ヲ取消シ又ハ事業ノ全部又ハ一部ヲ停止セシムルコトヲ得
一 法令又ハ免許、許可若ハ認可ニ附シタル條件ニ違反シタルトキ
二 法令ニ基キテ爲シタル處分又ハ免許、許可若ハ認可ニ附シタル條件ニ基キテ爲シタル處分ニ違反シタルトキ
三 主務大臣ノ指定スル期間內ニ工事ヲ竣功セズ其ノ他許可又ハ認可ヲ受ケタル事項ヲ故ナク實施セザルトキ
四 事業ノ經營不確實又ハ資產狀態ノ著シキ不良其ノ他ノ爲事業ヲ繼續スルニ適セズト認メタルトキ
五 公益ヲ害スル行爲ヲ爲シタルトキ
第三十條 左ノ場合ニ於テハ自動車道事業經營ノ免許ハ其ノ效力ヲ失フ
一 工事施行ノ認可申請期間內ニ認可ヲ申請セザルトキ
二 工事施行ノ認可ナキトキ
三 事業經營ノ免許ヲ受ケタル者會社ノ發起人ナルトキハ工事施行ノ認可申請期間內ニ會社設立ノ登記ヲ爲サザルトキ
四 一般自動車道ノ供用ノ廢止ノ許可ヲ受ケタルトキ
五 事業ヲ營ム會社解散シタルトキ
第三十一條 政府又ハ政府ノ許可ヲ受ケタル者ガ自動車道ニ接續シ若ハ接近シ又ハ之ヲ橫斷シテ一般ノ道路、自動車道、橋梁、河川、運河、溝渠、鐵道、軌道、索道等ヲ造設セントスルトキハ自動車道事業者又ハ自動車運輸事業者ハ之ヲ拒ムコトヲ得ズ
前項ノ場合ニ於テ公益上必要アリト認ムルトキハ主務大臣ハ自動車道事業者又ハ自動車運輸事業者ニ對シ設備ノ共用又ハ變更ヲ命ズルコトヲ得
前二項ノ場合ニ於テ其ノ實施方法及費用ノ負擔ニ付協議調ハザルトキハ申請ニ因リ關係主務大臣之ヲ裁定ス自動車道事業者又ハ自動車運輸事業者ノ受ケタル損害ノ補償ニ付亦同ジ
第二十二條第五項ノ規定ハ前項ノ補償金額ニ之ヲ準用ス
第三十二條 一般自動車道以外ノ自動車ノ通行スル道路ヲ開設シテ使用料金ヲ徵收スル場合ニ關スル規定ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第三章 共通規定
第三十三條 同一ノ一般自動車道ニ依ル自動車道事業及自動車運輸事業ノ兼營ノ場合ニ於ケル免許、許可及認可ニ關シテハ勅令ヲ以テ別段ノ定ヲ爲スコトヲ得
第三十四條 主務大臣又ハ地方長官(東京府ニ在リテハ警視總監ヲ含ム、以下同ジ)ハ必要アリト認ムルトキハ自動車運輸事業者又ハ自動車道事業者ヲシテ事業上ノ報吿ヲ爲サシメ、書類ヲ提出セシメ又ハ監查員ヲ派遣シテ事業ノ狀況ヲ監查セシムルコトヲ得
監查員ハ自動車運輸事業者若ハ自動車道事業者又ハ其ノ代表者若ハ其ノ他ノ從業者ニ說明ヲ求メ帳簿、書類及圖面ヲ檢閱スルコトヲ得
第三十五條 本法ニ規定スル主務大臣ノ職權ノ一部ハ命令ノ定ムル所ニ依リ之ヲ地方長官ニ委任スルコトヲ得
第三十六條 本法又ハ本法ニ基キテ發スル命令ニ規定シタル事項ニ付主務大臣又ハ地方長官ノ爲シタル處分ニ不服アル者ハ訴願ヲ爲スコトヲ得
第三十七條 國ニ於テ經營スル自動車運輸事業及自動車道事業ニ付テハ第一條乃至第三條、第九條(會計ニ關スル規定ヲ除ク)、第十七條、第二十二條、第二十四條及第五十四條乃至第五十七條ノ規定ニ限リ本法ヲ適用ス
國ニ於テ自動車運輸事業又ハ自動車道事業ヲ經營セントスルトキハ當該官廳ハ主務大臣ニ協議ヲ爲スベシ
國ニ於テ自動車運輸事業ヲ經營シタル爲之ト路線ヲ共通ニスル自動車運輸事業者ガ其ノ區間ニ付事業ヲ繼續スルコト能ハザルニ至リタルトキ又ハ著シク收益ヲ減少スルニ至リタルトキハ政府ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ其ノ事業者ノ受ケタル損失ヲ補償スルコトヲ得殘存路線ノミニ付事業ヲ繼續スルコト能ハザルニ至リタルトキ亦同ジ
第四章 自動車交通事業抵當
第三十八條 自動車運輸事業又ハ自動車道事業ヲ營ム株式會社ハ抵當權ノ目的ト爲ス爲自動車運輸事業又ハ自動車道事業ノ全部又ハ一部ニ付自動車交通事業財團ヲ設定スルコトヲ得
自動車運輸事業及自動車道事業ノ抵當ニ關シテハ本法ニ別段ノ規定アルモノヲ除クノ外鐵道抵當法ヲ準用ス但シ同法第一章及第三章中登錄トアルハ登記、第四十六條、第六十八條及第六十九條中監督官廳トアルハ登記所、第八十條乃至第八十二條、第八十八條及第九十二條中監督官廳トアルハ裁判所トス
第三十九條 自動車交通事業財團ハ左ニ揭グルモノニシテ同一自動車運輸事業者又ハ同一自動車道事業者ニ屬シ且其ノ事業ニ關スルモノヲ以テ之ヲ組成ス
一 自動車道ノ敷地及其ノ上ニ存スル工作物竝ニ之ニ屬スル器具機械
二 發著場、駐車場其ノ他自動車運行ノ爲必要ナル沿線土地及其ノ上ニ存スル工作物竝ニ之ニ屬スル器具機械
三 自動車庫、停留所、貨物庫、給油所、附屬工場、事務所、事務員駐在所其ノ他事業ノ爲必要ナル建物及其ノ敷地竝ニ之ニ屬スル器具機械
四 通信又ハ信號ニ要スル工作物及其ノ敷地竝ニ之ニ屬スル器具機械
五 前四號ニ揭グル工作物ヲ所有シ又ハ使用スル爲他人ノ不動產ノ上ニ存スル地上權及第三者ニ對抗シ得ベキ賃借權竝ニ前四號ニ揭グル土地ノ爲ニ存スル地役權
六 自動車運輸事業ノ爲登錄ヲ受ケタル自動車及其ノ附屬品
七 事業經營ノ爲必要ナル貯藏物品及器具機械
第四十條 前條第一號乃至第三號ニ揭グル不動產ノ何レモガ存セザルトキハ自動車運輸事業ノ爲ニ自動車交通事業財團ヲ設定スルコトヲ得ズ
自動車交通事業財團ヲ目的トスル抵當權ハ之ノミニ依リテ擔保セラルル債務ノ額ガ三萬圓以上ナラザルトキハ之ヲ設定スルコトヲ得ズ但シ第二以下ノ順位ノ抵當權設定ノ場合ハ此ノ限ニ在ラズ
第四十一條 自動車運輸事業又ハ自動車道事業ノ一部ニ付自動車交通事業財團ヲ設定スル場合ニ於テハ自動車運輸事業ニ在リテハ獨立ノ路線ニ付、自動車道事業ニ在リテハ獨立ノ一般自動車道ニ付之ヲ爲スコトヲ要ス
第四十二條 同一事業者ガ自動車運輸事業ト自動車道事業トヲ兼營スル場合ニ於テハ兩事業ニ關スルモノヲ合シテ一個ノ自動車交通事業財團ヲ設定スルコトヲ得但シ自動車運輸事業又ハ自動車道事業ノ何レカ一方ニ付自動車交通事業財團ノ設定アリタル後ハ此ノ限ニ在ラズ
前項ノ事業者ガ各事業ニ付各別ニ自動車交通事業財團ヲ設定スル場合ニハ一般自動車道ノ敷地其ノ他專ラ自動車道事業ニ關スルモノハ自動車運輸事業ノ爲ノ自動車交通事業財團ニ屬スルコトナシ
第四十三條 自動車交通事業財團ノ設定ハ自動車交通事業財團登記簿ニ所有權保存ノ登記ヲ爲スニ依リテ之ヲ爲ス
自動車交通事業財團登記簿ニ所有權保存ノ登記ヲ爲シタルトキハ第三十九條ニ規定スルモノハ當然自動車交通事業財團ニ屬ス但シ第三者ニ對抗シ得ベキ他人ノ權利ノ目的タルモノ又ハ差押、假差押若ハ假處分ノ目的タルモノニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
自動車交通事業財團ノ設定後新ニ其ノ財團ノ所有者ニ屬シタルモノ亦前項ニ同ジ
第四十四條 自動車交通事業財團ハ之ヲ讓渡シ又ハ所有權及抵當權以外ノ權利、差押、假差押若ハ假處分ノ目的ト爲スコトヲ得ズ但シ抵當權者ノ同意ヲ得テ之ヲ自動車運輸事業又ハ自動車道事業ヲ營ム株式會社ニ讓渡スハ此ノ限ニ在ラズ
自動車交通事業財團ニ屬スルモノハ之ヲ讓渡シ又ハ所有權以外ノ權利、差押、假差押若ハ假處分ノ目的ト爲スコトヲ得ズ但シ抵當權者ノ同意ヲ得テ之ヲ讓渡シ又ハ貸付クルハ此ノ限ニ在ラズ
前項但書ノ規定ニ依リ自動車交通事業財團ニ屬スルモノヲ讓渡シタルトキハ抵當權ハ其ノモノニ付消滅ス
第四十五條 自動車交通事業財團ヲ目的トスル抵當權ノ設定又ハ變更ハ總株金四分ノ一以上ノ拂込アリタル後定款變更ト同一方法ノ株主總會ノ決議ヲ經ルコトヲ要ス
第四十六條 自動車交通事業財團ノ登記ニ付テハ其ノ財團ノ所有者タル會社ノ本店所在地ヲ管轄スル區裁判所又ハ其ノ出張所ヲ以テ管轄登記所トス
自動車交通事業財團ノ所有者タル會社ガ本店ヲ一登記所ノ管轄地ヨリ他ノ登記所ノ管轄地ニ移シタル場合ニ於ケル登記手續ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
左ノ場合ニ於テハ登記所ハ直ニ其ノ旨ヲ主務大臣ニ通知スベシ
一 第一順位ノ抵當權ノ設定ヲ登記シタルトキ
二 自動車交通事業財團ノ用紙ヲ閉鎖シタルトキ
第四十七條 自動車交通事業財團ニ關シテハ工場抵當法第十條、第十二條、第十八條乃至第二十條、第二十二條乃至第四十四條、第四十七條及第四十八條ノ規定ヲ準用ス
本法ニ規定スルモノヲ除クノ外自動車交通事業財團ノ登記ニ關シテハ不動產登記法ヲ準用ス
登記ノ申請書ニハ不動產登記法第三十六條第三號乃至第八號ニ揭グル事項ノ外左ノ事項ヲ記載スベシ
一 自動車交通事業財團ノ設定セラルル事業ノ表示
二 自動車運輸事業ノ爲ノ自動車交通事業財團ニ在リテハ其ノ事業ノ行ハルル路線ノ表示
三 自動車道事業ノ爲ノ自動車交通事業財團ニ在リテハ之ニ屬スル一般自動車道ノ表示
四 免許ニ有效期間ノ指定アルトキハ其ノ期間
五 免許ニ條件ガ附セラレタルトキハ其ノ條件
第四十八條 第四十二條第一項ノ規定ニ依リテ自動車交通事業財團ヲ設定シタル場合ニ於テ自動車運輸事業又ハ自動車道事業ノ何レカニ付事業經營ノ免許ノ失效又ハ取消アリタルトキハ抵當權者ハ一事業ニ付自動車交通事業財團ノ設定セラレタル場合ニ準ジ財團ノ全部ニ對シ其ノ權利ヲ實行スルコトヲ得
第四十九條 自動車交通事業財團ニ對スル抵當權ノ强制執行ニ付テハ執行シ得ベキ一定ノ債務名義ヲ要セズ
强制管理ノ開始ハ自動車運輸事業又ハ自動車道事業ニ對スル主務大臣ノ監督ヲ妨ゲズ
强制管理ノ管理人ノ任免ニ付テハ裁判所ハ主務大臣ノ意見ヲ聽クコトヲ要ス
强制管理終了シタルトキハ裁判所ハ其ノ旨ヲ主務大臣ニ通知スベシ
第五章 罰則
第五十條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
一 免許ヲ受ケズシテ自動車運輸事業又ハ自動車道事業ヲ經營シタルトキ
二 認可ヲ受ケズシテ一般自動車道ノ供用ヲ開始シタルトキ
第五十一條 免許ヲ受ケタル者ノ名義ヲ利用シテ自動車運輸事業又ハ自動車道事業ヲ經營シタル者ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス名義ヲ利用セシメタル者亦同ジ
第五十二條 自動車運輸事業者又ハ自動車道事業者左ノ各號ノ一ニ該當スルトキハ三百圓以下ノ罰金又ハ科料ニ處ス
一 第五十條ニ規定スル場合ヲ除クノ外本法又ハ本法ニ基キテ發スル命令ニ依リ許可又ハ認可ヲ受ケテ爲スベキ事項ヲ之ヲ受ケズシテ爲シタルトキ
二 免許、許可又ハ認可ニ附シタル條件ニ違反シタルトキ
三 本法ニ基キテ爲シタル處分又ハ免許、許可若ハ認可ニ附シタル條件ニ基キテ爲シタル處分ニ違反シタルトキ
四 第八條ノ規定ニ依ル登錄ヲ受ケザル自動車ヲ自動車運輸事業ノ用ニ供シタルトキ又ハ自動車ニ付不實ノ事項ノ登錄ヲ申請シタルトキ
五 正當ノ事由ナクシテ一般自動車道ノ使用ヲ拒ミタルトキ
六 本法又ハ本法ニ基キテ發スル命令ニ依リテ屆出又ハ報吿ヲ爲スベキ事項ニ付虛僞ノ屆出又ハ報吿ヲ爲シタルトキ
七 監查員ノ監查ヲ妨ゲタルトキ
第五十三條 自動車運輸事業者又ハ自動車道事業者ガ未成年者又ハ禁治產者ナルトキハ本法ノ罰則ハ之ヲ法定代理人ニ適用ス但シ營業ニ關シ成年者ト同一ノ能力ヲ有スル未成年者ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
自動車運輸事業者又ハ自動車道事業者ハ其ノ代理人、戶主、家族、雇人其ノ他ノ從業者ガ其ノ業務ニ關シ本法ニ違反シタルトキハ自己ノ指揮ニ出デザルノ故ヲ以テ其ノ處罰ヲ免ルルコトヲ得ズ
會社ノ代表者其ノ他ノ從業者會社ノ業務ニ關シ本法ニ違反シタルトキハ其ノ罰則ヲ會社ニ適用ス
第五十四條 自動車道若ハ其ノ標識ヲ損壞シ又ハ其ノ他ノ方法ヲ以テ自動車道ニ於ケル自動車ノ往來ノ危險ヲ生ゼシメタル者ハ五年以下ノ懲役ニ處ス
前項ノ未遂罪ハ之ヲ罰ス
第五十五條 人ノ現在スル自動車運輸事業ノ自動車ヲ顚覆シ又ハ破壞シタル者ハ十年以下ノ懲役ニ處ス
前項ノ罪ヲ犯シ因テ人ヲ傷ニ致シタル者ハ一年以上ノ有期懲役ニ處シ死ニ致シタル者ハ無期又ハ三年以上ノ懲役ニ處ス
第一項ノ未遂罪ハ之ヲ罰ス
第五十六條 第五十四條ノ罪ヲ犯シ因テ自動車ノ顚覆又ハ破壞ヲ致シタル者亦前條ノ例ニ同ジ
第五十七條 過失ニ因リ第五十四條第一項又ハ第五十五條第一項ノ罪ヲ犯シタル者ハ三百圓以下ノ罰金ニ處ス其ノ業務ニ從事スル者犯シタルトキハ一年以下ノ禁錮又ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
附 則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法施行前自動車運輸事業又ハ自動車道事業ニ該當スル事業ニ付地方長官ノ爲シタル事業經營ノ免許又ハ許可ハ之ヲ本法ニ依ル自動車運輸事業又ハ自動車道事業經營ノ免許ト看做ス
主務大臣ハ公益上必要アリト認ムルトキハ前項ノ自動車運輸事業ニ付新ニ免許ノ有效期間、運輸開始ノ認可申請期間又ハ事業ノ休止期間ヲ指定スルコトヲ得
登錄稅法第三條ノ六中「又ハ漁業財團登記簿」ヲ「、漁業財團登記簿又ハ自動車交通事業財團登記簿」ニ改ム
印紙稅法第四條第一項第一號中「軌道財團」ノ下ニ「、自動車交通事業財團」ヲ加フ
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル自動車交通事業法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和六年四月一日
内閣総理大臣 浜口雄幸
鉄道大臣 江木翼
司法大臣 子爵 渡辺千冬
大蔵大臣 井上準之助
内務大臣 安達謙蔵
法律第五十二号
自動車交通事業法
第一章 自動車運輸事業
第一条 本法ニ於テ自動車運輸事業トハ一般交通ノ用ニ供スル為路線ヲ定メ定期ニ自動車ヲ運行シテ旅客又ハ物品ヲ運送スル事業ヲ謂フ
第二条 自動車運輸事業ノ路線ハ一般ノ道路、自動車道又ハ一般通行ノ用ニ供スル通路ニ依ルベシ
第三条 主務大臣ハ命令ヲ以テ自動車運輸事業ニ付路線ニ応ジテ使用スベキ自動車ノ輛数其ノ他事業ノ基準ヲ定ムルコトヲ得
第四条 自動車運輸事業ヲ経営セントスル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ運賃其ノ他ニ関スル事業計画ヲ定メ主務大臣ノ免許ヲ受クベシ
主務大臣ハ前項ノ免許ヲ為スニ当リ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ有効期間ヲ指定スルコトヲ得
第五条 主務大臣ハ自動車運輸事業者ガ免許ノ有効期間満了後仍引続キ其ノ事業ヲ経営センコトヲ申請シタルトキハ当該路線ニ依ル自動車運輸事業ノ不必要其ノ他特別ノ事由ナキ限リ期間更新ノ免許ヲ為スベシ
第六条 自動車運輸事業経営ノ免許ヲ受ケタル者ハ主務大臣ノ指定スル期間内ニ運輸開始ノ認可ヲ申請スベシ
第十七条第一項ノ専用自動車道ヲ開設シテ自動車運輸事業ヲ経営スル場合ニ在リテハ工事方法ヲ定メ前項ノ認可申請前主務大臣ノ指定スル期間内ニ工事施行ノ認可ヲ申請スベシ
天災其ノ他已ムヲ得ザル事由ニ因リ前二項ノ期間内ニ認可ヲ申請スルコト能ハザルトキハ申請ニ因リ主務大臣ハ期間ヲ伸長スルコトヲ得
第七条 自動車運輸事業者事業計画又ハ専用自動車道ノ工事方法ヲ変更セントスルトキハ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ
第八条 自動車運輸事業ノ自動車ハ命令ノ定ムル所ニ依リ登録ヲ受クルコトヲ要ス
第九条 自動車運輸事業ノ運輸、設備及会計ニ関スル規定ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第十条 主務大臣ハ公益上必要アリト認ムルトキハ自動車運輸事業者ニ対シ左ニ掲グル事項ヲ命ズルコトヲ得
一 運賃其ノ他ニ関スル事業計画又ハ専用自動車道ノ工事方法ヲ変更セシムルコト
二 路線ヲ延長又ハ変更セシムルコト但シ専用自動車道ノ延長及変更ハ此ノ限ニ在ラズ
三 他ノ運送事業者ト連絡運輸ヲ為サシムルコト
四 全部又ハ一部ノ路線ヲ共通ニスル数人ノ自動車運輸事業者アル場合ニ共同経営ヲ為サシムルコト
五 旅客又ハ物品ノ運送ニ関スル損害ニ付保険ニ付セシムルコト
六 前各号ノ外事業ノ改善ヲ為サシムルコト
前項第三号及第四号ノ場合ニ於テ其ノ実施方法又ハ各事業者ノ収得シ若ハ負担スベキ金額ニ付協議調ハザルトキハ申請ニ因リ主務大臣之ヲ裁定ス
第十一条 免許、許可又ハ認可ニハ条件ヲ附スルコトヲ得
前項ノ条件ハ公益上必要アルトキハ之ヲ変更スルコトヲ得
前条第二項ノ規定ハ第一項ノ条件ニ於テ他ノ運送事業者ヨリ事業ノ譲渡又ハ共同経営、会社ノ合併等ヲ求メタルトキハ之ニ応ズベキコトヲ命ジタル場合ニ於ケル実施方法及収得又ハ負担金額ニ之ヲ準用ス
第十二条 自動車運輸事業ハ主務大臣ノ許可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ事業ノ全部又ハ一部ヲ休止シ又ハ廃止スルコトヲ得ズ
第十三条 自動車運輸事業ノ譲渡ハ主務大臣ノ許可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ効力ヲ生ゼズ
会社ノ合併ニ因ル自動車運輸事業ノ承継ニ付テハ合併前主務大臣ノ許可ヲ受クベシ
自動車運輸事業者死亡シタルトキハ相続人ハ其ノ事業ヲ承継ス
自動車運輸事業ヲ営ム会社ノ解散ノ決議又ハ総社員ノ同意ハ主務大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ効力ヲ生ゼズ
第十四条 左ノ場合ニ於テハ主務大臣ハ自動車運輸事業経営ノ免許ノ全部若ハ一部ヲ取消シ又ハ事業ノ全部若ハ一部ヲ停止セシムルコトヲ得
一 法令又ハ免許、許可若ハ認可ニ附シタル条件ニ違反シタルトキ
二 法令ニ基キテ為シタル処分又ハ免許、許可若ハ認可ニ附シタル条件ニ基キテ為シタル処分ニ違反シタルトキ
三 許可又ハ認可ヲ受ケタル事項ヲ故ナク実施セザルトキ
四 事業ノ経営不確実又ハ資産状態ノ著シキ不良其ノ他ノ為事業ヲ継続スルニ適セズト認メタルトキ
五 公益ヲ害スル行為ヲ為シタルトキ
六 道路、自動車道又ハ通路ノ状況ガ自動車ノ運行ニ適セザルニ至リタルトキ
第十五条 左ノ場合ニ於テハ自動車運輸事業経営ノ免許ハ其ノ効力ヲ失フ
一 運輸開始ノ認可申請期間内ニ認可ヲ申請セザルトキ
二 運輸開始ノ認可ナキトキ
三 事業経営ノ免許ヲ受ケタル者会社ノ発起人ナルトキハ運輸開始ノ認可申請期間内(路線ノ全部又ハ一部ニ付専用自動車道ヲ開設スル場合ニ在リテハ工事施行ノ認可申請期間内)ニ会社設立ノ登記ヲ為サザルトキ
四 専用自動車道ニ付工事施行ノ認可申請期間内ニ認可ヲ申請セザルトキ
五 専用自動車道ニ付工事施行ノ認可ナキトキ
六 事業ノ廃止ノ許可ヲ受ケタルトキ
七 事業ヲ営ム会社解散シタルトキ
第十六条 自動車運輸事業以外ノ自動車ニ依ル運送事業ニ関スル規定ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第二章 自動車道及自動車道事業
第十七条 本法ニ於テ自動車道トハ専ラ自動車ノ一般交通ノ用ニ供スル道路(一般自動車道)及自動車運輸事業者ガ其ノ事業用自動車ノ専用ニ供スル通路(専用自動車道)ヲ謂フ
本法ニ於テ自動車道事業トハ一般自動車道ヲ開設シ有償又ハ無償ニテ之ヲ専ラ自動車ノ一般交通ノ用ニ供スル事業ヲ謂フ
第十八条 自動車道事業ヲ経営セントスル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ使用料金其ノ他ニ関スル事業計画ヲ定メ主務大臣ノ免許ヲ受クベシ
第十九条 自動車道事業経営ノ免許ヲ受ケタル者ハ工事方法ヲ定メ主務大臣ノ指定スル期間内ニ工事施行ノ認可ヲ申請スベシ
天災其ノ他已ムヲ得ザル事由ニ因リ前項ノ期間内ニ認可ヲ申請スルコト能ハザルトキハ申請ニ因リ主務大臣ハ期間ヲ伸長スルコトヲ得
第二十条 自動車道事業者工事施行ノ認可ヲ受ケタルトキハ主務大臣ノ指定スル期間内ニ一般自動車道ノ工事ニ著手シ之ヲ竣功セシムベシ
前条第二項ノ規定ハ前項ノ期間ノ伸長ニ之ヲ準用ス
第二十一条 自動車道事業者事業計画又ハ一般自動車道ノ工事方法ヲ変更セントスルトキハ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ
第二十二条 自動車道ニ関スル工事ノ為必要アルトキハ自動車道事業者又ハ自動車運輸事業者ハ地方長官ノ許可ヲ受ケ沿道ノ土地ニ立入リ又ハ其ノ土地ヲ一時材料置場トシテ使用スルコトヲ得
前項ノ規定ニ依ル立入又ハ使用ヲ為サントスルトキハ已ムヲ得ザル事由アル場合ヲ除クノ外予メ土地ノ占有者ニ其ノ通知ヲ為スコトヲ要ス
第一項ノ規定ニ依ル立入又ハ使用ニ因リテ生ジタル損害ハ立入又ハ使用ノ後遅滞ナク事業者ニ於テ之ヲ補償スベシ
前項ノ補償ニ付協議調ハザルトキハ地方長官之ヲ裁定ス
前項ノ規定ニ依ル裁定中補償金額ニ不服アル者ハ裁定ノ通知ヲ受ケタル日ヨリ三月内ニ通常裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第二十三条 一般自動車道ハ主務大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ供用ヲ開始スルコトヲ得ズ
第二十四条 一般自動車道ノ構造、維持、修繕若ハ使用又ハ其ノ交通ノ保全ニ関スル規定ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第二十五条 主務大臣ハ公益上必要アリト認ムルトキハ自動車道事業者ニ対シ左ニ掲グル事項ヲ命ズルコトヲ得
一 使用料金其ノ他ニ関スル事業計画又ハ一般自動車道ノ工事方法ヲ変更セシムルコト
二 一般自動車道又ハ其ノ附属物件ノ改善ヲ為サシムルコト
第二十六条 免許、許可又ハ認可ニハ条件ヲ附スルコトヲ得
前項ノ条件ハ公益上必要アルトキハ之ヲ変更スルコトヲ得
第二十七条 自動車道事業者ハ主務大臣ノ許可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ事業ニ属スル一般自動車道ノ全部又ハ一部ノ供用ヲ休止シ又ハ廃止スルコトヲ得ズ
第二十八条 自動車道事業ノ譲渡ハ主務大臣ノ許可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ効力ヲ生ゼズ
会社ノ合併ニ因ル自動車道事業ノ承継ニ付テハ合併前主務大臣ノ許可ヲ受クベシ
自動車道事業者死亡シタルトキハ相続人ハ其ノ事業ヲ承継ス
自動車道事業ヲ営ム会社ノ解散ノ決議又ハ総社員ノ同意ハ主務大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ効力ヲ生ゼズ
第二十九条 左ノ場合ニ於テハ主務大臣ハ自動車道事業経営ノ免許ノ全部又ハ一部ヲ取消シ又ハ事業ノ全部又ハ一部ヲ停止セシムルコトヲ得
一 法令又ハ免許、許可若ハ認可ニ附シタル条件ニ違反シタルトキ
二 法令ニ基キテ為シタル処分又ハ免許、許可若ハ認可ニ附シタル条件ニ基キテ為シタル処分ニ違反シタルトキ
三 主務大臣ノ指定スル期間内ニ工事ヲ竣功セズ其ノ他許可又ハ認可ヲ受ケタル事項ヲ故ナク実施セザルトキ
四 事業ノ経営不確実又ハ資産状態ノ著シキ不良其ノ他ノ為事業ヲ継続スルニ適セズト認メタルトキ
五 公益ヲ害スル行為ヲ為シタルトキ
第三十条 左ノ場合ニ於テハ自動車道事業経営ノ免許ハ其ノ効力ヲ失フ
一 工事施行ノ認可申請期間内ニ認可ヲ申請セザルトキ
二 工事施行ノ認可ナキトキ
三 事業経営ノ免許ヲ受ケタル者会社ノ発起人ナルトキハ工事施行ノ認可申請期間内ニ会社設立ノ登記ヲ為サザルトキ
四 一般自動車道ノ供用ノ廃止ノ許可ヲ受ケタルトキ
五 事業ヲ営ム会社解散シタルトキ
第三十一条 政府又ハ政府ノ許可ヲ受ケタル者ガ自動車道ニ接続シ若ハ接近シ又ハ之ヲ横断シテ一般ノ道路、自動車道、橋梁、河川、運河、溝渠、鉄道、軌道、索道等ヲ造設セントスルトキハ自動車道事業者又ハ自動車運輸事業者ハ之ヲ拒ムコトヲ得ズ
前項ノ場合ニ於テ公益上必要アリト認ムルトキハ主務大臣ハ自動車道事業者又ハ自動車運輸事業者ニ対シ設備ノ共用又ハ変更ヲ命ズルコトヲ得
前二項ノ場合ニ於テ其ノ実施方法及費用ノ負担ニ付協議調ハザルトキハ申請ニ因リ関係主務大臣之ヲ裁定ス自動車道事業者又ハ自動車運輸事業者ノ受ケタル損害ノ補償ニ付亦同ジ
第二十二条第五項ノ規定ハ前項ノ補償金額ニ之ヲ準用ス
第三十二条 一般自動車道以外ノ自動車ノ通行スル道路ヲ開設シテ使用料金ヲ徴収スル場合ニ関スル規定ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第三章 共通規定
第三十三条 同一ノ一般自動車道ニ依ル自動車道事業及自動車運輸事業ノ兼営ノ場合ニ於ケル免許、許可及認可ニ関シテハ勅令ヲ以テ別段ノ定ヲ為スコトヲ得
第三十四条 主務大臣又ハ地方長官(東京府ニ在リテハ警視総監ヲ含ム、以下同ジ)ハ必要アリト認ムルトキハ自動車運輸事業者又ハ自動車道事業者ヲシテ事業上ノ報告ヲ為サシメ、書類ヲ提出セシメ又ハ監査員ヲ派遣シテ事業ノ状況ヲ監査セシムルコトヲ得
監査員ハ自動車運輸事業者若ハ自動車道事業者又ハ其ノ代表者若ハ其ノ他ノ従業者ニ説明ヲ求メ帳簿、書類及図面ヲ検閲スルコトヲ得
第三十五条 本法ニ規定スル主務大臣ノ職権ノ一部ハ命令ノ定ムル所ニ依リ之ヲ地方長官ニ委任スルコトヲ得
第三十六条 本法又ハ本法ニ基キテ発スル命令ニ規定シタル事項ニ付主務大臣又ハ地方長官ノ為シタル処分ニ不服アル者ハ訴願ヲ為スコトヲ得
第三十七条 国ニ於テ経営スル自動車運輸事業及自動車道事業ニ付テハ第一条乃至第三条、第九条(会計ニ関スル規定ヲ除ク)、第十七条、第二十二条、第二十四条及第五十四条乃至第五十七条ノ規定ニ限リ本法ヲ適用ス
国ニ於テ自動車運輸事業又ハ自動車道事業ヲ経営セントスルトキハ当該官庁ハ主務大臣ニ協議ヲ為スベシ
国ニ於テ自動車運輸事業ヲ経営シタル為之ト路線ヲ共通ニスル自動車運輸事業者ガ其ノ区間ニ付事業ヲ継続スルコト能ハザルニ至リタルトキ又ハ著シク収益ヲ減少スルニ至リタルトキハ政府ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ其ノ事業者ノ受ケタル損失ヲ補償スルコトヲ得残存路線ノミニ付事業ヲ継続スルコト能ハザルニ至リタルトキ亦同ジ
第四章 自動車交通事業抵当
第三十八条 自動車運輸事業又ハ自動車道事業ヲ営ム株式会社ハ抵当権ノ目的ト為ス為自動車運輸事業又ハ自動車道事業ノ全部又ハ一部ニ付自動車交通事業財団ヲ設定スルコトヲ得
自動車運輸事業及自動車道事業ノ抵当ニ関シテハ本法ニ別段ノ規定アルモノヲ除クノ外鉄道抵当法ヲ準用ス但シ同法第一章及第三章中登録トアルハ登記、第四十六条、第六十八条及第六十九条中監督官庁トアルハ登記所、第八十条乃至第八十二条、第八十八条及第九十二条中監督官庁トアルハ裁判所トス
第三十九条 自動車交通事業財団ハ左ニ掲グルモノニシテ同一自動車運輸事業者又ハ同一自動車道事業者ニ属シ且其ノ事業ニ関スルモノヲ以テ之ヲ組成ス
一 自動車道ノ敷地及其ノ上ニ存スル工作物並ニ之ニ属スル器具機械
二 発著場、駐車場其ノ他自動車運行ノ為必要ナル沿線土地及其ノ上ニ存スル工作物並ニ之ニ属スル器具機械
三 自動車庫、停留所、貨物庫、給油所、附属工場、事務所、事務員駐在所其ノ他事業ノ為必要ナル建物及其ノ敷地並ニ之ニ属スル器具機械
四 通信又ハ信号ニ要スル工作物及其ノ敷地並ニ之ニ属スル器具機械
五 前四号ニ掲グル工作物ヲ所有シ又ハ使用スル為他人ノ不動産ノ上ニ存スル地上権及第三者ニ対抗シ得ベキ賃借権並ニ前四号ニ掲グル土地ノ為ニ存スル地役権
六 自動車運輸事業ノ為登録ヲ受ケタル自動車及其ノ附属品
七 事業経営ノ為必要ナル貯蔵物品及器具機械
第四十条 前条第一号乃至第三号ニ掲グル不動産ノ何レモガ存セザルトキハ自動車運輸事業ノ為ニ自動車交通事業財団ヲ設定スルコトヲ得ズ
自動車交通事業財団ヲ目的トスル抵当権ハ之ノミニ依リテ担保セラルル債務ノ額ガ三万円以上ナラザルトキハ之ヲ設定スルコトヲ得ズ但シ第二以下ノ順位ノ抵当権設定ノ場合ハ此ノ限ニ在ラズ
第四十一条 自動車運輸事業又ハ自動車道事業ノ一部ニ付自動車交通事業財団ヲ設定スル場合ニ於テハ自動車運輸事業ニ在リテハ独立ノ路線ニ付、自動車道事業ニ在リテハ独立ノ一般自動車道ニ付之ヲ為スコトヲ要ス
第四十二条 同一事業者ガ自動車運輸事業ト自動車道事業トヲ兼営スル場合ニ於テハ両事業ニ関スルモノヲ合シテ一個ノ自動車交通事業財団ヲ設定スルコトヲ得但シ自動車運輸事業又ハ自動車道事業ノ何レカ一方ニ付自動車交通事業財団ノ設定アリタル後ハ此ノ限ニ在ラズ
前項ノ事業者ガ各事業ニ付各別ニ自動車交通事業財団ヲ設定スル場合ニハ一般自動車道ノ敷地其ノ他専ラ自動車道事業ニ関スルモノハ自動車運輸事業ノ為ノ自動車交通事業財団ニ属スルコトナシ
第四十三条 自動車交通事業財団ノ設定ハ自動車交通事業財団登記簿ニ所有権保存ノ登記ヲ為スニ依リテ之ヲ為ス
自動車交通事業財団登記簿ニ所有権保存ノ登記ヲ為シタルトキハ第三十九条ニ規定スルモノハ当然自動車交通事業財団ニ属ス但シ第三者ニ対抗シ得ベキ他人ノ権利ノ目的タルモノ又ハ差押、仮差押若ハ仮処分ノ目的タルモノニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
自動車交通事業財団ノ設定後新ニ其ノ財団ノ所有者ニ属シタルモノ亦前項ニ同ジ
第四十四条 自動車交通事業財団ハ之ヲ譲渡シ又ハ所有権及抵当権以外ノ権利、差押、仮差押若ハ仮処分ノ目的ト為スコトヲ得ズ但シ抵当権者ノ同意ヲ得テ之ヲ自動車運輸事業又ハ自動車道事業ヲ営ム株式会社ニ譲渡スハ此ノ限ニ在ラズ
自動車交通事業財団ニ属スルモノハ之ヲ譲渡シ又ハ所有権以外ノ権利、差押、仮差押若ハ仮処分ノ目的ト為スコトヲ得ズ但シ抵当権者ノ同意ヲ得テ之ヲ譲渡シ又ハ貸付クルハ此ノ限ニ在ラズ
前項但書ノ規定ニ依リ自動車交通事業財団ニ属スルモノヲ譲渡シタルトキハ抵当権ハ其ノモノニ付消滅ス
第四十五条 自動車交通事業財団ヲ目的トスル抵当権ノ設定又ハ変更ハ総株金四分ノ一以上ノ払込アリタル後定款変更ト同一方法ノ株主総会ノ決議ヲ経ルコトヲ要ス
第四十六条 自動車交通事業財団ノ登記ニ付テハ其ノ財団ノ所有者タル会社ノ本店所在地ヲ管轄スル区裁判所又ハ其ノ出張所ヲ以テ管轄登記所トス
自動車交通事業財団ノ所有者タル会社ガ本店ヲ一登記所ノ管轄地ヨリ他ノ登記所ノ管轄地ニ移シタル場合ニ於ケル登記手続ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
左ノ場合ニ於テハ登記所ハ直ニ其ノ旨ヲ主務大臣ニ通知スベシ
一 第一順位ノ抵当権ノ設定ヲ登記シタルトキ
二 自動車交通事業財団ノ用紙ヲ閉鎖シタルトキ
第四十七条 自動車交通事業財団ニ関シテハ工場抵当法第十条、第十二条、第十八条乃至第二十条、第二十二条乃至第四十四条、第四十七条及第四十八条ノ規定ヲ準用ス
本法ニ規定スルモノヲ除クノ外自動車交通事業財団ノ登記ニ関シテハ不動産登記法ヲ準用ス
登記ノ申請書ニハ不動産登記法第三十六条第三号乃至第八号ニ掲グル事項ノ外左ノ事項ヲ記載スベシ
一 自動車交通事業財団ノ設定セラルル事業ノ表示
二 自動車運輸事業ノ為ノ自動車交通事業財団ニ在リテハ其ノ事業ノ行ハルル路線ノ表示
三 自動車道事業ノ為ノ自動車交通事業財団ニ在リテハ之ニ属スル一般自動車道ノ表示
四 免許ニ有効期間ノ指定アルトキハ其ノ期間
五 免許ニ条件ガ附セラレタルトキハ其ノ条件
第四十八条 第四十二条第一項ノ規定ニ依リテ自動車交通事業財団ヲ設定シタル場合ニ於テ自動車運輸事業又ハ自動車道事業ノ何レカニ付事業経営ノ免許ノ失効又ハ取消アリタルトキハ抵当権者ハ一事業ニ付自動車交通事業財団ノ設定セラレタル場合ニ準ジ財団ノ全部ニ対シ其ノ権利ヲ実行スルコトヲ得
第四十九条 自動車交通事業財団ニ対スル抵当権ノ強制執行ニ付テハ執行シ得ベキ一定ノ債務名義ヲ要セズ
強制管理ノ開始ハ自動車運輸事業又ハ自動車道事業ニ対スル主務大臣ノ監督ヲ妨ゲズ
強制管理ノ管理人ノ任免ニ付テハ裁判所ハ主務大臣ノ意見ヲ聴クコトヲ要ス
強制管理終了シタルトキハ裁判所ハ其ノ旨ヲ主務大臣ニ通知スベシ
第五章 罰則
第五十条 左ノ各号ノ一ニ該当スル者ハ千円以下ノ罰金ニ処ス
一 免許ヲ受ケズシテ自動車運輸事業又ハ自動車道事業ヲ経営シタルトキ
二 認可ヲ受ケズシテ一般自動車道ノ供用ヲ開始シタルトキ
第五十一条 免許ヲ受ケタル者ノ名義ヲ利用シテ自動車運輸事業又ハ自動車道事業ヲ経営シタル者ハ五百円以下ノ罰金ニ処ス名義ヲ利用セシメタル者亦同ジ
第五十二条 自動車運輸事業者又ハ自動車道事業者左ノ各号ノ一ニ該当スルトキハ三百円以下ノ罰金又ハ科料ニ処ス
一 第五十条ニ規定スル場合ヲ除クノ外本法又ハ本法ニ基キテ発スル命令ニ依リ許可又ハ認可ヲ受ケテ為スベキ事項ヲ之ヲ受ケズシテ為シタルトキ
二 免許、許可又ハ認可ニ附シタル条件ニ違反シタルトキ
三 本法ニ基キテ為シタル処分又ハ免許、許可若ハ認可ニ附シタル条件ニ基キテ為シタル処分ニ違反シタルトキ
四 第八条ノ規定ニ依ル登録ヲ受ケザル自動車ヲ自動車運輸事業ノ用ニ供シタルトキ又ハ自動車ニ付不実ノ事項ノ登録ヲ申請シタルトキ
五 正当ノ事由ナクシテ一般自動車道ノ使用ヲ拒ミタルトキ
六 本法又ハ本法ニ基キテ発スル命令ニ依リテ届出又ハ報告ヲ為スベキ事項ニ付虚偽ノ届出又ハ報告ヲ為シタルトキ
七 監査員ノ監査ヲ妨ゲタルトキ
第五十三条 自動車運輸事業者又ハ自動車道事業者ガ未成年者又ハ禁治産者ナルトキハ本法ノ罰則ハ之ヲ法定代理人ニ適用ス但シ営業ニ関シ成年者ト同一ノ能力ヲ有スル未成年者ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
自動車運輸事業者又ハ自動車道事業者ハ其ノ代理人、戸主、家族、雇人其ノ他ノ従業者ガ其ノ業務ニ関シ本法ニ違反シタルトキハ自己ノ指揮ニ出デザルノ故ヲ以テ其ノ処罰ヲ免ルルコトヲ得ズ
会社ノ代表者其ノ他ノ従業者会社ノ業務ニ関シ本法ニ違反シタルトキハ其ノ罰則ヲ会社ニ適用ス
第五十四条 自動車道若ハ其ノ標識ヲ損壊シ又ハ其ノ他ノ方法ヲ以テ自動車道ニ於ケル自動車ノ往来ノ危険ヲ生ゼシメタル者ハ五年以下ノ懲役ニ処ス
前項ノ未遂罪ハ之ヲ罰ス
第五十五条 人ノ現在スル自動車運輸事業ノ自動車ヲ顛覆シ又ハ破壊シタル者ハ十年以下ノ懲役ニ処ス
前項ノ罪ヲ犯シ因テ人ヲ傷ニ致シタル者ハ一年以上ノ有期懲役ニ処シ死ニ致シタル者ハ無期又ハ三年以上ノ懲役ニ処ス
第一項ノ未遂罪ハ之ヲ罰ス
第五十六条 第五十四条ノ罪ヲ犯シ因テ自動車ノ顛覆又ハ破壊ヲ致シタル者亦前条ノ例ニ同ジ
第五十七条 過失ニ因リ第五十四条第一項又ハ第五十五条第一項ノ罪ヲ犯シタル者ハ三百円以下ノ罰金ニ処ス其ノ業務ニ従事スル者犯シタルトキハ一年以下ノ禁錮又ハ五百円以下ノ罰金ニ処ス
附 則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法施行前自動車運輸事業又ハ自動車道事業ニ該当スル事業ニ付地方長官ノ為シタル事業経営ノ免許又ハ許可ハ之ヲ本法ニ依ル自動車運輸事業又ハ自動車道事業経営ノ免許ト看做ス
主務大臣ハ公益上必要アリト認ムルトキハ前項ノ自動車運輸事業ニ付新ニ免許ノ有効期間、運輸開始ノ認可申請期間又ハ事業ノ休止期間ヲ指定スルコトヲ得
登録税法第三条ノ六中「又ハ漁業財団登記簿」ヲ「、漁業財団登記簿又ハ自動車交通事業財団登記簿」ニ改ム
印紙税法第四条第一項第一号中「軌道財団」ノ下ニ「、自動車交通事業財団」ヲ加フ