産業復興公団法
法令番号: 法律第57号
公布年月日: 昭和22年4月15日
法令の形式: 法律

提案理由 (AIによる要約)

産業復興営団を産業復興公団に改組する必要が生じたため、新たに産業復興公団法を制定することとした。新法による公団は、役職員を政府職員とし、監督規定を厳格化して国家機関としての性格を明確にした。また、経済安定本部の産業復興政策の実施機関としての機能を明確化し、従来の産業設備・資材の建設・貸付・売買業務に加え、経済安定本部総務長官が指定する事業も行えるようにした。これにより、産業復興促進に関する機能をより強力に発揮できる体制を整えることとした。

参照した発言:
第92回帝国議会 衆議院 本会議 第22号

審議経過

第92回帝国議会

衆議院
(昭和22年3月20日)
(昭和22年3月29日)
貴族院
(昭和22年3月30日)
(昭和22年3月31日)
朕は、帝國議会の協賛を経た產業復興公團法を裁可し、ここにこれを公布せしめる。
御名御璽
昭和二十二年四月十四日
内閣総理大臣 吉田茂
司法大臣 木村篤太郎
内務大臣 植原悦二郎
大藏大臣 石橋湛山
商工大臣 石井光次郎
法律第五十七号
產業復興公團法
第一章 総則
第一條 產業復興公團は、経済安定本部総務長官の定める基本的な產業政策及び產業計画に從い、產業設備又は資材の整備又は活用を図り、以て產業の速かな復興を促進することを目的とする。
產業復興公團は、法人とする。
第二條 產業復興公團は、主たる事務所を東京都に置く。
產業復興公團は、主務大臣の認可を受けて、第十六條に規定する業務を行うため必要の地に從たる事務所を設けることができる。
第三條 產業復興公團の基本金は、二億円とする。
前項の基本金は、政府が全額これを出資するものとする。
產業復興公團の運営資金は、必要があるときには、復興金融金庫から借り入れるものとする。
第四條 產業復興公團は、定款を以て、左の事項を規定しなければならない。
一 目的
二 名称
三 事務所の所在地
四 基本金額に関する事項
五 役員に関する事項
六 業務及びその執行に関する事項
七 会計に関する事項
八 公告の方法
定款は、主務大臣及び経済安定本部総務長官の認可を受けて、これを変更することができる。
第五條 產業復興公團は、勅令の定めるところにより、登記しなければならない。
前項の規定によつて登記を必要とする事項は、登記の後でなければ、これを以て第三者に対抗することができない。
第六條 產業復興公團には、所得税及び法人税を課さない。
都道府縣、市町村その他これに準ずるものは、產業復興公團の事業に対しては、地方税を課することができない。但し、特別の事情に基いて内務大臣及び大藏大臣の認可を受けた場合にはこの限りでない。
第七條 產業復興公團が第十六條に規定する業務のため、不動產に関する権利の取得又は所有権の保存について登記を受けた場合には、その登録税の額は、不動產の價格の千分の一・五とする。
第八條 產業復興公團は、経済安定本部総務長官の命令によつて解散する。
経済安定本部総務長官は、前項の命令をなす場合には、主務大臣にはからなければならない。この場合において命令の最終責任は、経済安定本部総務長官にあるものとする。
前項に定めるものの外、產業復興公團の解散に関して必要な事項は、勅令でこれを定める。
第九條 產業復興公團でない者は、產業復興公團又はこれに類似する名称を用いることができない。
第十條 民法第四十四條、第五十條、第五十四條及び第五十七條並びに非訟事件手続法第三十五條第一項の規定は、產業復興公團にこれを準用する。
第二章 役員及び職員
第十一條 產業復興公團に、役員として、総裁副総裁各一人、理事二人以上及び監事一人以上を置く。
総裁は、產業復興公團を代表し、第十六條の規定に基き、その業務を総理する。
副総裁は、定款の定めるところにより、產業復興公團を代表し、総裁を補佐して產業復興公團の業務を掌理し、総裁に事故のあるときにはその職務を代理し、総裁が欠員のときにはその職務を行う。
理事は、定款の定めるところにより、產業復興公團を代表し、総裁及び副総裁を補佐して產業復興公團の業務を掌理し、総裁及び副総裁に事故のあるときにはその職務を代理し、総裁及び副総裁が欠員のときにはその職務を行う。
監事は、產業復興公團の業務を監査する。
第十二條 総裁、副総裁、理事及び監事は、主務大臣がこれを任命する。
第十三條 総裁、副総裁及び理事は、定款の定めるところにより、產業復興公團の職員のうちから、主たる事務所又は從たる事務所の業務に関して、一切の裁判上又は裁判外の行爲をする権限を有する代理人を選任することができる。
第十四條 產業復興公團の役員及び職員は、產業復興公團から產業設備又は資材の貸付を受ける会社の株式を所有し、又はこれらの会社その他の企業の業務に從事し、若しくはその営業につき一切の利害関係を有してはならない。
第十五條 產業復興公團の役員及び職員は、これを官吏その他の政府職員とする。
総裁たる者は、親任の待遇とし、総裁以外の役員たる者は、一級又はこれと同格とし、職員たる者は、一級、二級若しくは三級又はこれらと同格とし、それらの定員は、主務大臣がこれを定める。
產業復興公團の役員及び職員は、官吏に関する一般法令に從うものとする。但し、主務大臣が経済安定本部総務長官の承認を受けて、給與、服務その他必要な事項に関して特例を定めたときには、これによるものとする。
第三章 業務
第十六條 產業復興公團は、経済安定本部総務長官の定める基本的な產業政策及び產業計画に基いて主務大臣のなす指導及ご監督に從い、左の業務を行う。
一 経済安定本部総務長官が定める方策に基く產業設備の建設及びその貸付又は賣渡
二 経済安定本部総務長官の定める方策に基く產業設備又は資材の買受及びその貸付又は賣渡
三 前二号に掲げるものの外、経済安定本部総務長官の指定する業務
第十七條 產業復興公團は、業務開始の際、業務の方法を定めて、経済安定本部総務長官に提出し、その認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも同樣である。
経済安定本部総務長官は、前項の認可を行うときには、主務大臣及び大藏大臣にはからなければならない。この場合において認可の最終責任は、経済安定本部総務長官にあるものとする。
第十八條 產業復興公團は、毎事業年度の前期及び後期の初において六箇月毎の事業計画及び資金計画を作成し、これを経済安定本部総務長官に提出し、その認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも同樣である。
経済安定本部総務長官は、前項の認可を行うときには、主務大臣及び大藏大臣にはからなければならない。この場合において認可の最終責任は、経済安定本部総務長官にあるものとする。
第四章 会計
第十九條 產業復興公團の事業年度は、毎年四月から翌年三月までとし、これを前期及び後期に分ける。
第二十條 產業復興公團は、前條の各期毎に財產目録、貸借対照表及び損益計算書を作成し、毎事業年度経過後二箇月以内に、これを経済安定本部総務長官に提出し、その承認を受けなければならない。
経済安定本部総務長官は、前項の承認を行うときには、主務大臣及び大藏大臣にはからなければならない。この場合において承認の最終責任は、経済安定本部総務長官にあるものとする。
產業復興公團は、第一項の規定による経済安定本部総務長官の承認を受けたときには、その財產目録、貸借対照表及び損益計算書を公告し、且つこれを定款とともに、各事務所に備えて置かなければならない。
前項の財產目録、貸借対照表及び損益計算書は、会計檢査院の檢査を受け、その承認を受けなければならない。
產業復興公團は、経済安定本部総務長官の承認を受けて、命令の定めるところにより、剩余金を國庫に納入しなければならない。
產業復興公團は、その帳簿、書類その他一切の記録を整然且つ明確に記載し、会計檢査院、経済安定本部及び主務官廳の檢査を受けることができるように整備しなければならない。
会計檢査院は、常に適確に前項の檢査を行わなければならない。
第五章 監督及び助成
第二十一條 経済安定本部総務長官は、その基本的な產業政策及び產業計画に関して產業復興公團を指導監督する。
経済安定本部総務長官は、產業の速かな復興を図るため必要があると認めるときには、產業復興公團に対して、監督上必要な命令をなすことができる。
主務大臣は、產業の速かな復興を図るため必要があると認めるときには、產業復興公團に対して、経済安定本部総務長官の定める基本的な產業政策及び產業計画に基いて、監督上必要な命令をなすことができる。
主務大臣又は経済安定本部総務長官は、必要があると認めるときには、產業復興公團又は產業復興公團から產業設備若しくは資材の貸付を受ける者に対して、報告をさせ、又は当該官吏に、必要な場所に臨檢し、業務の状況若しくは帳簿、書類その他必要な物件を檢査させることができる。
前項の規定により、当該官吏に臨檢檢査させる場合には、命令の定めるところにより、その身分を示す証票を携帶させなければならない。
第二十二條 產業復興公團は、その役員及び職員に対して、特別の報酬を與える必要があるときには、その報酬規程を定め、経済安定本部総務長官の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも同様である。
経済安定本部総務長官は、前項の認可を行うときには、主務大臣及び大藏大臣にはからなければならない。この場合において認可の最終責任は、経済安定本部総務長官にあるものとする。
第二十三條 主務大臣は、產業復興公團の役員が法令若しくは定款又はこの法律に基いてなす命令に違反したときには、これを解任することができる。
経済安定本部総務長官は、產業復興公團の役員が產業復興公團の目的及び業務に関して、その任に適せず、又はその職務を適切に遂行していないと認めるときには、これを解任することができる。
第二十四條 主務大臣は、產業復興公團の業務を行うため必要があると認めるときには、產業設備営團の清算人に対し、当該営團の所有に属する施設の全部又は一部を、產業復興公團に貸與することを命ずることができる。
主務大臣は、產業復興公團の業務を行うため必要があると認めるときには、產業復興公團に必要な施設の所有者若しくは占有者又は大藏大臣を含む管理者に対して、当該施設を產業復興公團に貸與することを命じ、又は求めることができる。
前二項の規定による施設の使用料は、経済安定本部総務長官がそのあらかじめ定める方針に基いて、適正に定めるものとする。
前項の規定によつて使用料が定められたときには、產業復興公團は、第八條第一項に定められた存続期間を超えない範囲において、経済安定本部総務長官の承認を受けて、第一項又は第二項の施設を賃借するものとする。
主務大臣は、產業復興公團の業務を行うため必要があると認めるときには、產業設備営團の清算人に対して、当該営團が所有し、又は占有している資材の全部又は一部を、產業復興公團に讓り渡し、又は引渡すことを命ずることができる。
前項の命令があつたときには、產業復興公團は、前項の資材の讓受又は引渡を受けた日から一箇月以内に、関係者に対して正当な補償を支拂わなければならない。
主務大臣は、経済安定本部総務長官の承認を受けて、前項の補償に関し必要な規程を定めた後でなければ、第五項の命令をなすことができない。
主務大臣は、產業復興公團の業務を行うため必要があると認めるときには、経済安定本部総務長官の定める方針に基き、運輸大臣の同意を得て、必要な輸送施設の所有者若しくは占有者又は運輸大臣を含む管理者に対して、当該輸送施設を產業復興公團の使用に供することを命じ、又は求めることができる。
前項の場合において、產業復興公團は、関係者に対して正当な補償を支拂わなければならない。
主務大臣は、経済安定本部総務長官の承認を受けて、前項の補償に関し必要な規程を定めた後でなければ、第八項の命令又は要求をなすことができない。
主務大臣は、產業復興公團が賃借した施設を管理し、又は必要があると認めるときには、保險を附する等の措置を產業復興公團にとらしめることに関し、責任あるものとする。
主務大臣は、前各項の実施について產業復興公團又は関係各大臣を含む関係者に対して、迅速な、措置を命じ、又は求めることができる。
第六章 罰則
第二十五條 前條第一項、第二項、第五項又は第八項の規定による命令に違反した者は、これを五年以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。
第二十六條 左の場合においては、その違反行爲をなした產業復興公團の役員又は職員は、これを五年以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。
一 第十六條に規定されていない業務を行つた場合
二 第二十一條第二項又は第三項に規定する経済安定本部総務長官又は主務大臣の監督上の命令に違反した場合
第二十七條 この法律の規定による報告を怠り、若しくは虚僞の報告をなし、又は檢査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者は、これを一年以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。
第二十八條 前三條の罪を犯した者には、情状に因り、懲役及び罰金を併科することができる。
法人(產業復興公團を除く。以下同じ。)の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の從業者がその法人又は人の業務に関して第二十五條又は前條の違反行爲をなしたときには、行爲者を罰する外、その法人又は人に対して各本條の罰金刑を科する。
第二十九條 第九條の規定に違反して、產業復興公團又はこれに類似する名称を用いた者は、これを一万円以下の過料に処する。
附 則
第三十條 この法律施行の期日は、各規定について、勅令でこれを定める。
第三十一條 產業復興営團法(以下旧法という。)は、これを廃止する。但し、旧法に基いてなした行爲に関する罰則の適用については、旧法は、その廃止後もなおその効力を有する。
第三十二條 旧法による產業復興営團は、第三十三條乃至第三十七條の規定により、この法律による產業復興公團になるものとする。
第三十三條 主務大臣は、改組委員を命じて、產業復興営團を產業復興公團にするために必要な事務を処理させる。
第三十四條 改組委員は、定款を作成して、主務大臣及び経済安定本部総務長官の認可を受けなければならない。
第三十五條 產業復興営團に対する政府の出資は、これを第三條第二項の規定による產業復興公團に対する政府の出資に引き当てるものとする。
第三十六條 第三十四條の認可があつたときには、改組委員は、遅滯なくその事務を產業復興公團総裁に引き継がなければならない。
総裁が前項の事務の引継を受けたときには、総裁、副総裁、理事及び監事の全員は、遅滯なく設立の登記をしなければならない。
產業復興公團は、設立の登記をすることによつて成立する。
第三十七條 產業復興公團の成立により、產業復興営團はこれに吸收されるものとし、產業復興営團の一切の権利義務は、この法律の規定に基き、產業復興公團において承継する。
第三十八條 產業復興公團でない者で、この法律施行の際現に產業復興公團又はこれに類似する名称を用いているものについては、この法律施行後六箇月を限り、第九條の規定を適用しない。
第三十九條 登録税法の一部を、次のように改正する。
第十九條第七号中「產業復興営團、」及び「產業復興営團法、」を削る。
第四十條 印紙税法の一部を、次のように改正する。
第五條の六の五の二を削る。
朕は、帝国議会の協賛を経た産業復興公団法を裁可し、ここにこれを公布せしめる。
御名御璽
昭和二十二年四月十四日
内閣総理大臣 吉田茂
司法大臣 木村篤太郎
内務大臣 植原悦二郎
大蔵大臣 石橋湛山
商工大臣 石井光次郎
法律第五十七号
産業復興公団法
第一章 総則
第一条 産業復興公団は、経済安定本部総務長官の定める基本的な産業政策及び産業計画に従い、産業設備又は資材の整備又は活用を図り、以て産業の速かな復興を促進することを目的とする。
産業復興公団は、法人とする。
第二条 産業復興公団は、主たる事務所を東京都に置く。
産業復興公団は、主務大臣の認可を受けて、第十六条に規定する業務を行うため必要の地に従たる事務所を設けることができる。
第三条 産業復興公団の基本金は、二億円とする。
前項の基本金は、政府が全額これを出資するものとする。
産業復興公団の運営資金は、必要があるときには、復興金融金庫から借り入れるものとする。
第四条 産業復興公団は、定款を以て、左の事項を規定しなければならない。
一 目的
二 名称
三 事務所の所在地
四 基本金額に関する事項
五 役員に関する事項
六 業務及びその執行に関する事項
七 会計に関する事項
八 公告の方法
定款は、主務大臣及び経済安定本部総務長官の認可を受けて、これを変更することができる。
第五条 産業復興公団は、勅令の定めるところにより、登記しなければならない。
前項の規定によつて登記を必要とする事項は、登記の後でなければ、これを以て第三者に対抗することができない。
第六条 産業復興公団には、所得税及び法人税を課さない。
都道府県、市町村その他これに準ずるものは、産業復興公団の事業に対しては、地方税を課することができない。但し、特別の事情に基いて内務大臣及び大蔵大臣の認可を受けた場合にはこの限りでない。
第七条 産業復興公団が第十六条に規定する業務のため、不動産に関する権利の取得又は所有権の保存について登記を受けた場合には、その登録税の額は、不動産の価格の千分の一・五とする。
第八条 産業復興公団は、経済安定本部総務長官の命令によつて解散する。
経済安定本部総務長官は、前項の命令をなす場合には、主務大臣にはからなければならない。この場合において命令の最終責任は、経済安定本部総務長官にあるものとする。
前項に定めるものの外、産業復興公団の解散に関して必要な事項は、勅令でこれを定める。
第九条 産業復興公団でない者は、産業復興公団又はこれに類似する名称を用いることができない。
第十条 民法第四十四条、第五十条、第五十四条及び第五十七条並びに非訟事件手続法第三十五条第一項の規定は、産業復興公団にこれを準用する。
第二章 役員及び職員
第十一条 産業復興公団に、役員として、総裁副総裁各一人、理事二人以上及び監事一人以上を置く。
総裁は、産業復興公団を代表し、第十六条の規定に基き、その業務を総理する。
副総裁は、定款の定めるところにより、産業復興公団を代表し、総裁を補佐して産業復興公団の業務を掌理し、総裁に事故のあるときにはその職務を代理し、総裁が欠員のときにはその職務を行う。
理事は、定款の定めるところにより、産業復興公団を代表し、総裁及び副総裁を補佐して産業復興公団の業務を掌理し、総裁及び副総裁に事故のあるときにはその職務を代理し、総裁及び副総裁が欠員のときにはその職務を行う。
監事は、産業復興公団の業務を監査する。
第十二条 総裁、副総裁、理事及び監事は、主務大臣がこれを任命する。
第十三条 総裁、副総裁及び理事は、定款の定めるところにより、産業復興公団の職員のうちから、主たる事務所又は従たる事務所の業務に関して、一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する代理人を選任することができる。
第十四条 産業復興公団の役員及び職員は、産業復興公団から産業設備又は資材の貸付を受ける会社の株式を所有し、又はこれらの会社その他の企業の業務に従事し、若しくはその営業につき一切の利害関係を有してはならない。
第十五条 産業復興公団の役員及び職員は、これを官吏その他の政府職員とする。
総裁たる者は、親任の待遇とし、総裁以外の役員たる者は、一級又はこれと同格とし、職員たる者は、一級、二級若しくは三級又はこれらと同格とし、それらの定員は、主務大臣がこれを定める。
産業復興公団の役員及び職員は、官吏に関する一般法令に従うものとする。但し、主務大臣が経済安定本部総務長官の承認を受けて、給与、服務その他必要な事項に関して特例を定めたときには、これによるものとする。
第三章 業務
第十六条 産業復興公団は、経済安定本部総務長官の定める基本的な産業政策及び産業計画に基いて主務大臣のなす指導及ご監督に従い、左の業務を行う。
一 経済安定本部総務長官が定める方策に基く産業設備の建設及びその貸付又は売渡
二 経済安定本部総務長官の定める方策に基く産業設備又は資材の買受及びその貸付又は売渡
三 前二号に掲げるものの外、経済安定本部総務長官の指定する業務
第十七条 産業復興公団は、業務開始の際、業務の方法を定めて、経済安定本部総務長官に提出し、その認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも同様である。
経済安定本部総務長官は、前項の認可を行うときには、主務大臣及び大蔵大臣にはからなければならない。この場合において認可の最終責任は、経済安定本部総務長官にあるものとする。
第十八条 産業復興公団は、毎事業年度の前期及び後期の初において六箇月毎の事業計画及び資金計画を作成し、これを経済安定本部総務長官に提出し、その認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも同様である。
経済安定本部総務長官は、前項の認可を行うときには、主務大臣及び大蔵大臣にはからなければならない。この場合において認可の最終責任は、経済安定本部総務長官にあるものとする。
第四章 会計
第十九条 産業復興公団の事業年度は、毎年四月から翌年三月までとし、これを前期及び後期に分ける。
第二十条 産業復興公団は、前条の各期毎に財産目録、貸借対照表及び損益計算書を作成し、毎事業年度経過後二箇月以内に、これを経済安定本部総務長官に提出し、その承認を受けなければならない。
経済安定本部総務長官は、前項の承認を行うときには、主務大臣及び大蔵大臣にはからなければならない。この場合において承認の最終責任は、経済安定本部総務長官にあるものとする。
産業復興公団は、第一項の規定による経済安定本部総務長官の承認を受けたときには、その財産目録、貸借対照表及び損益計算書を公告し、且つこれを定款とともに、各事務所に備えて置かなければならない。
前項の財産目録、貸借対照表及び損益計算書は、会計検査院の検査を受け、その承認を受けなければならない。
産業復興公団は、経済安定本部総務長官の承認を受けて、命令の定めるところにより、剰余金を国庫に納入しなければならない。
産業復興公団は、その帳簿、書類その他一切の記録を整然且つ明確に記載し、会計検査院、経済安定本部及び主務官庁の検査を受けることができるように整備しなければならない。
会計検査院は、常に適確に前項の検査を行わなければならない。
第五章 監督及び助成
第二十一条 経済安定本部総務長官は、その基本的な産業政策及び産業計画に関して産業復興公団を指導監督する。
経済安定本部総務長官は、産業の速かな復興を図るため必要があると認めるときには、産業復興公団に対して、監督上必要な命令をなすことができる。
主務大臣は、産業の速かな復興を図るため必要があると認めるときには、産業復興公団に対して、経済安定本部総務長官の定める基本的な産業政策及び産業計画に基いて、監督上必要な命令をなすことができる。
主務大臣又は経済安定本部総務長官は、必要があると認めるときには、産業復興公団又は産業復興公団から産業設備若しくは資材の貸付を受ける者に対して、報告をさせ、又は当該官吏に、必要な場所に臨検し、業務の状況若しくは帳簿、書類その他必要な物件を検査させることができる。
前項の規定により、当該官吏に臨検検査させる場合には、命令の定めるところにより、その身分を示す証票を携帯させなければならない。
第二十二条 産業復興公団は、その役員及び職員に対して、特別の報酬を与える必要があるときには、その報酬規程を定め、経済安定本部総務長官の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも同様である。
経済安定本部総務長官は、前項の認可を行うときには、主務大臣及び大蔵大臣にはからなければならない。この場合において認可の最終責任は、経済安定本部総務長官にあるものとする。
第二十三条 主務大臣は、産業復興公団の役員が法令若しくは定款又はこの法律に基いてなす命令に違反したときには、これを解任することができる。
経済安定本部総務長官は、産業復興公団の役員が産業復興公団の目的及び業務に関して、その任に適せず、又はその職務を適切に遂行していないと認めるときには、これを解任することができる。
第二十四条 主務大臣は、産業復興公団の業務を行うため必要があると認めるときには、産業設備営団の清算人に対し、当該営団の所有に属する施設の全部又は一部を、産業復興公団に貸与することを命ずることができる。
主務大臣は、産業復興公団の業務を行うため必要があると認めるときには、産業復興公団に必要な施設の所有者若しくは占有者又は大蔵大臣を含む管理者に対して、当該施設を産業復興公団に貸与することを命じ、又は求めることができる。
前二項の規定による施設の使用料は、経済安定本部総務長官がそのあらかじめ定める方針に基いて、適正に定めるものとする。
前項の規定によつて使用料が定められたときには、産業復興公団は、第八条第一項に定められた存続期間を超えない範囲において、経済安定本部総務長官の承認を受けて、第一項又は第二項の施設を賃借するものとする。
主務大臣は、産業復興公団の業務を行うため必要があると認めるときには、産業設備営団の清算人に対して、当該営団が所有し、又は占有している資材の全部又は一部を、産業復興公団に譲り渡し、又は引渡すことを命ずることができる。
前項の命令があつたときには、産業復興公団は、前項の資材の譲受又は引渡を受けた日から一箇月以内に、関係者に対して正当な補償を支払わなければならない。
主務大臣は、経済安定本部総務長官の承認を受けて、前項の補償に関し必要な規程を定めた後でなければ、第五項の命令をなすことができない。
主務大臣は、産業復興公団の業務を行うため必要があると認めるときには、経済安定本部総務長官の定める方針に基き、運輸大臣の同意を得て、必要な輸送施設の所有者若しくは占有者又は運輸大臣を含む管理者に対して、当該輸送施設を産業復興公団の使用に供することを命じ、又は求めることができる。
前項の場合において、産業復興公団は、関係者に対して正当な補償を支払わなければならない。
主務大臣は、経済安定本部総務長官の承認を受けて、前項の補償に関し必要な規程を定めた後でなければ、第八項の命令又は要求をなすことができない。
主務大臣は、産業復興公団が賃借した施設を管理し、又は必要があると認めるときには、保険を附する等の措置を産業復興公団にとらしめることに関し、責任あるものとする。
主務大臣は、前各項の実施について産業復興公団又は関係各大臣を含む関係者に対して、迅速な、措置を命じ、又は求めることができる。
第六章 罰則
第二十五条 前条第一項、第二項、第五項又は第八項の規定による命令に違反した者は、これを五年以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。
第二十六条 左の場合においては、その違反行為をなした産業復興公団の役員又は職員は、これを五年以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。
一 第十六条に規定されていない業務を行つた場合
二 第二十一条第二項又は第三項に規定する経済安定本部総務長官又は主務大臣の監督上の命令に違反した場合
第二十七条 この法律の規定による報告を怠り、若しくは虚偽の報告をなし、又は検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者は、これを一年以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。
第二十八条 前三条の罪を犯した者には、情状に因り、懲役及び罰金を併科することができる。
法人(産業復興公団を除く。以下同じ。)の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者がその法人又は人の業務に関して第二十五条又は前条の違反行為をなしたときには、行為者を罰する外、その法人又は人に対して各本条の罰金刑を科する。
第二十九条 第九条の規定に違反して、産業復興公団又はこれに類似する名称を用いた者は、これを一万円以下の過料に処する。
附 則
第三十条 この法律施行の期日は、各規定について、勅令でこれを定める。
第三十一条 産業復興営団法(以下旧法という。)は、これを廃止する。但し、旧法に基いてなした行為に関する罰則の適用については、旧法は、その廃止後もなおその効力を有する。
第三十二条 旧法による産業復興営団は、第三十三条乃至第三十七条の規定により、この法律による産業復興公団になるものとする。
第三十三条 主務大臣は、改組委員を命じて、産業復興営団を産業復興公団にするために必要な事務を処理させる。
第三十四条 改組委員は、定款を作成して、主務大臣及び経済安定本部総務長官の認可を受けなければならない。
第三十五条 産業復興営団に対する政府の出資は、これを第三条第二項の規定による産業復興公団に対する政府の出資に引き当てるものとする。
第三十六条 第三十四条の認可があつたときには、改組委員は、遅滞なくその事務を産業復興公団総裁に引き継がなければならない。
総裁が前項の事務の引継を受けたときには、総裁、副総裁、理事及び監事の全員は、遅滞なく設立の登記をしなければならない。
産業復興公団は、設立の登記をすることによつて成立する。
第三十七条 産業復興公団の成立により、産業復興営団はこれに吸収されるものとし、産業復興営団の一切の権利義務は、この法律の規定に基き、産業復興公団において承継する。
第三十八条 産業復興公団でない者で、この法律施行の際現に産業復興公団又はこれに類似する名称を用いているものについては、この法律施行後六箇月を限り、第九条の規定を適用しない。
第三十九条 登録税法の一部を、次のように改正する。
第十九条第七号中「産業復興営団、」及び「産業復興営団法、」を削る。
第四十条 印紙税法の一部を、次のように改正する。
第五条の六の五の二を削る。