第一條 本法ハ木材(薪炭ノ用ニ供セラルルモノヲ除ク以下同ジ)ノ生產ヲ確保シ其ノ需給ノ圓滑及價格ノ公正ヲ圖ルコトヲ目的トス
第二條 行政官廳木材ノ需給調整上必要アリト認ムルトキハ勅令ノ定ムル所ニ依リ立木ノ所有者ニ對シ價格ヲ指定シ其ノ所有スル立木ヲ地方木材株式會社(第十七條第四項ノ場合ニ於ケル日本木材株式會社ヲ含ム)ニ賣渡スベキコトヲ命ズルコトヲ得
第三條 行政官廳木材ノ需給調整上必要アリト認ムルトキハ勅令ノ定ムル所ニ依リ木材ノ生產、販賣、移入又ハ輸入ヲ業トスル者ニ對シ樹種又ハ材種ヲ指定シ其ノ生產、販賣、移入又ハ輸入ヲ業トスル者ニ對シ樹種又ハ材種ヲ指定シ其ノ生產、販賣、移入又ハ輸入ニ係ル木材ヲ日本木材株式會社又ハ地方木材株式會社ニ賣渡シ又ハ販賣ノ委託ヲ爲スベキコトヲ命ズルコトヲ得
第四條 行政官廳木材ノ需給調整上必要アリト認ムルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ木材ヲ使用又ハ消費スル者ニ對シ木材ノ樹種又ハ材種ヲ指定シテ其ノ使用又ハ消費スル木材ノ數量、用途其ノ他ノ事項ニ付制限又ハ禁止ヲ爲スコトヲ得
第五條 行政官廳木材ノ需給調整上必要アリト認ムルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ製材業者ニ對シ其ノ行フ製材ニ關シ材種其ノ他ノ事項ヲ指示スルコトヲ得
第六條 主務大臣必要アリト認ムルトキハ勅令ノ定ムル所ニ依リ木材ノ買入若ハ賣渡又ハ其ノ代理若ハ媒介ノ業務、製材業又ハ木材ヲ原料若ハ材料トシテ使用スル業務ヲ行ハントスル者ニ對シ行政官廳ノ許可ヲ受クベキコトヲ命ズルコトヲ得
第七條 行政官廳ハ前條ノ許可ヲ受ケタル者ノ行爲ガ本法若ハ本法ニ基キテ發スル命令又ハ之ニ基キテ爲ス處分ニ違反シ又ハ公益ヲ害シ若ハ害スルノ虞アリト認ムルトキハ其ノ許可ヲ取消シ又ハ其ノ業務ヲ制限シ若ハ停止スルコトヲ得
第八條 行政官廳必要アリト認ムルトキハ木材ノ生產、販賣、移入又ハ輸入ヲ業トスル者其ノ他命令ヲ以テ定ムル者ニ對シ其ノ業務及財產ノ狀況ニ關シ報吿ヲ爲サシメ又ハ帳簿書類其ノ他ノ物件ノ檢査ヲ爲スコトヲ得
第九條 日本木材株式會社ハ木材ノ需給ノ圓滑及價格ノ公正ヲ圖ル爲必要ナル事業ヲ營ムコトヲ目的トスル株式會社トス
第十條 日本木材株式會社ノ資本ハ五千萬圓トス但シ主務大臣ノ認可ヲ受ケ之ヲ增加スルコトヲ得
第十一條 日本木材株式會社ノ株式ハ記名式トシ政府、公共團體、帝國臣民又ハ帝國法人ニシテ社員、株主若ハ業務ヲ執行スル役員ノ半數以上、資本ノ半額以上若ハ議決權ノ過半數ガ外國人若ハ外國法人ニ屬セザルモノニ限リ之ヲ所有スルコトヲ得
第十二條 日本木材株式會社ニ非ザルモノハ日本木材株式會社又ハ之ニ類似ノ名稱ヲ以テ其ノ商號ト爲スコトヲ得ズ
第十三條 日本木材株式會社ニ役員トシテ社長副社長各一人、理事三人以上及監事二人以上ヲ置ク
第十四條 社長ハ日本木材株式會社ヲ代表シ其ノ業務ヲ總理ス
副社長ハ社長事故アルトキハ其ノ職務ヲ代理シ社長缺員ノトキハ其ノ職務ヲ行フ
副社長及理事ハ社長ヲ輔佐シ定款ノ定ムル所ニ依リ日本木材株式會社ノ業務ヲ分掌ス
第十五條 社長及副社長ハ主務大臣之ヲ命ジ其ノ任期ヲ四年トス
理事ハ株主總會ニ於テ之ヲ選任シ主務大臣ノ認可ヲ受クルモノトシ其ノ任期ヲ三年トス
木材事業ヲ監督スル官廳ノ官吏タリシ者ハ其ノ職ヲ退キタル後五年間日本木材株式會社ノ役員ト爲ルコトヲ得ズ但シ主務大臣ニ於テ特ニ必要アリト認メタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第十六條 社長、副社長及理事ハ他ノ職務又ハ商業ニ從事スルコトヲ得ズ但シ主務大臣ノ認可ヲ受ケタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第十七條 日本木材株式會社ハ左ノ事業ヲ營ムモノトス
五 地方木材株式會社ニ對スル木材ノ生產ニ必要ナル資材ノ配給
日本木材株式會社前項第六號又ハ第七號ニ揭グル事業ヲ營マントスルトキハ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ
日本木材株式會社ハ其ノ目的達成上必要アリト認ムルトキハ主務大臣ノ認可ヲ受ケ地方木材株式會社ノ所有ニ係ル木材ノ買入及賣渡ヲ爲スコトヲ得
日本木材株式會社ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ主務大臣ノ認可ヲ受ケタルトキハ第三十四條第二項ニ揭グル事業ヲ營ムコトヲ得
第十八條 日本木材株式會社ハ地方木材株式會社以外ノ株式會社ニシテ木材ヲ生產、販賣、使用又ハ消費スルモノニ對シ主務大臣ノ認可ヲ受ケ資金ノ融通又ハ投資ヲ爲スコトヲ得
第十九條 日本木材株式會社ハ販賣ノ目的ヲ以テ買入ルル者ニ木材ヲ賣渡ストキハ命令ノ定ムル所ニ依リ主務大臣ノ認可ヲ受ケ其ノ木材ノ販賣ニ關シ必要ナル事項ヲ指示スルコトヲ得
主務大臣ハ木材ノ配給ノ圓滑又ハ價格ノ公正ヲ圖ル爲特ニ必要アリト認ムルトキハ日本木材株式會社ヨリ販賣ノ目的ヲ以テ木材ヲ買入ルル者ニ對シ前項ノ指示ニ從フベキコトヲ命ズルコトヲ得
第二十條 日本木材株式會社ハ商法第二百九十七條ノ規定ニ依ル制限ヲ超エテ社債ヲ募集スルコトヲ得但シ社債ノ總額ハ拂込ミタル株金額ノ三倍ヲ超ユルコトヲ得ズ
社債ヲ募集スル場合ニ於テハ商法第三百四十三條ニ定ムル決議ニ依ルコトヲ要セズ
第二十一條 日本木材株式會社社債ヲ募集セントスル場合ニ於テハ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ
第二十二條 日本木材株式會社ノ社債權者ハ同會社ノ財產ニ付他ノ債權者ニ先チテ自己ノ債權ノ辨濟ヲ受クル權利ヲ有ス
前項ノ規定ハ民法上ノ一般ノ先取特權ノ行使ヲ妨グルコトナシ
第二十三條 日本木材株式會社ハ每營業年度ニ準備金トシテ資本ノ缺損ヲ補フ爲利益金額ノ百分ノ八以上ヲ積立ツベシ
第二十四條 主務大臣ハ日本木材株式會社ノ業務ヲ監督ス
第二十五條 日本木材株式會社借入金ヲ爲サントスルトキハ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ
第二十六條 日本木材株式會社ノ定款ノ變更、利益金ノ處分、合併及解散ノ決議ハ主務大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ
第二十七條 日本木材株式會社ハ每營業年度ノ事業計畫ヲ定メ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ之ヲ變更セントスルトキ亦同ジ
第二十八條 主務大臣ハ日本木材株式會社ニ對シ木材ノ需給調整上必要ナル事業ヲ行フベキコトヲ命ジ其ノ他業務ニ關シ公益上必要ナル命令ヲ爲スコトヲ得
第二十九條 主務大臣ハ日本木材株式會社ノ業務ニ關シ監督上必要ナル命令ヲ爲スコトヲ得
第三十條 主務大臣ハ日本木材株式會社監理官ヲ置キ日本木材株式會社ノ業務ヲ監視セシム
第三十一條 日本木材株式會社監理官ハ何時ニテモ日本木材株式會社ノ帳簿書類、金庫其ノ他ノ物件ヲ檢査スルコトヲ得
日本木材株式會社監理官必要アリト認ムルトキハ何時ニテモ日本木材株式會社ニ命ジ業務ニ關スル諸般ノ計算及狀況ヲ報吿セシムルコトヲ得
日本木材株式會社監理官ハ株主總會其ノ他諸般ノ會議ニ出席シ意見ヲ陳述スルコトヲ得
第三十二條 主務大臣ハ日本木材株式會社ノ決議又ハ役員ノ行爲ガ法令、法令ニ基キテ爲ス處分若ハ定款ニ違反シ又ハ公益ヲ害シ若ハ害スルノ虞アリト認ムルトキハ其ノ決議ヲ取消シ又ハ役員ヲ解任スルコトヲ得
第三十三條 日本木材株式會社ノ每營業年度ニ於ケル配當シ得ベキ利益金額ガ拂込ミタル株金額ニ對シ年百分ノ四ノ割合ニ達セザルトキハ政府ハ初營業年度及爾後五年間ヲ限リ之ニ達セシムベキ金額ヲ補給スベシ但シ其ノ額ハ拂込ミタル株金額ニ對シ年百分ノ四ノ割合ニ相當スル額ヲ超ユルコトヲ得ズ
每營業年度ニ於ケル配當シ得ベキ利益金額ガ拂込ミタル株金額ニ對シ年百分ノ四ノ割合ヲ超過スルトキハ其ノ超過額ハ先ヅ之ヲ前項ノ規定ニ依ル補給金ノ償還ニ充ツベシ
初營業年度及爾後五年間ニ於ケル配當シ得ベキ利益金額ガ拂込ミタル株金額ニ對シ年百分ノ四ノ割合ヲ超過スルトキハ其ノ二分ノ一ヲ配當準備ノ爲別ニ積立ツベシ
第二項ノ規定ニ依リ補給金ヲ償還シ尙殘餘アリタルトキハ之ヲ前項ノ拂込ミタル株金額ニ對シ年百分ノ四ノ割合ヲ超過シタル當該營業年度ノ利益金ト看做ス
前二項ノ規定ニ依ル積立金ハ後營業年度ニ於ケル第一項ノ規定ニ依ル補給金ノ計算ニ付テハ之ヲ配當シ得ベキ利益金ト看做ス
第三十四條 地方木材株式會社ハ地方的ニ木材ノ生產竝ニ其ノ需給ノ圓滑及價格ノ公正ヲ圖ル爲必要ナル事業ヲ行フコトヲ目的トスル株式會社トス
地方木材株式會社前項第四號又ハ第五號ニ揭グル事業ヲ營マントスルトキハ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ
本法ニ依リ設立シタル地方木材株式會社ニ非ザレバ其ノ商號中ニ地方木材株式會社ナルコトヲ示スベキ文字ヲ用フルコトヲ得ズ
地方木材株式會社ノ社長及副社長ハ株主總會ニ於テ之ヲ選任シ主務大臣ノ認可ヲ受クルモノトシ其ノ任期ヲ四年トス
第十一條、第十三條、第十四條、第十五條第二項乃至第四項、第十六條、第十九條、第二十條第二項、第二十一條乃至第二十九條及第三十二條ノ規定ハ地方木材株式會社ニ之ヲ準用ス
第三十五條 第十九條第二項(前條第六項ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ノ規定ニ依ル命令ニ違反シタル者ハ一年以下ノ懲役又ハ一萬圓以下ノ罰金ニ處ス
第三十六條 第二條、第三條又ハ第二十八條(第三十四條第六項ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ノ規定ニ依ル命令ニ違反シタル者ハ五千圓以下ノ罰金ニ處ス
第三十七條 第四條又ハ第五條ノ規定ニ依ル處分ニ違反シタル者ハ三千圓以下ノ罰金ニ處ス
第三十八條 第六條ノ規定ニ依ル命令ニ違反シタル者ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
第三十九條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
一 第八條ノ規定ニ依ル報吿ヲ爲サズ又ハ虛僞ノ報吿ヲ爲シタル者
二 第八條ノ規定ニ依ル檢査ヲ拒ミ、妨ゲ又ハ忌避シタル者
第四十條 法人又ハ人ノ代理人、戶主、家族、同居者、雇人其ノ他ノ從業者ガ其ノ法人又ハ人ノ業務ニ關シ第三十五條乃至第三十八條又ハ前條第一號ノ違反行爲ヲ爲シタルトキハ其ノ法人又ハ人ハ自己ノ指揮ニ出デザルノ故ヲ以テ其ノ處罰ヲ免カルルコトヲ得ズ
第四十一條 第三十五條乃至第三十八條及第三十九條第一號ノ罰則ハ其ノ者ガ法人ナルトキハ理事、取締役其ノ他法人ノ業務ヲ執行スル役員ニ、未成年者又ハ禁治產者ナルトキハ其ノ法定代理人ニ之ヲ適用ス但シ營業ニ關シ成年者ト同一ノ能力ヲ有スル未成年者ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
第四十二條 前二條ノ場合ニ於テハ懲役ニ處スルコトヲ得ズ
第四十三條 日本木材株式會社又ハ地方木材株式會社左ノ各號ノ一ニ該當スルトキハ社長又ハ社長ノ職務ヲ行ヒ若ハ代理スル副社長ヲ五千圓以下ノ過料ニ處ス副社長又ハ理事ノ分掌業務ニ係ルトキハ副社長又ハ理事ヲ過料ニ處スルコト亦同ジ
一 本法又ハ本法ニ基キテ發スル命令ニ依リ認可ヲ受クベキ場合ニ於テ其ノ認可ヲ受ケザルトキ
二 第十七條第一項又ハ第三十四條第二項ノ規定ニ依ラズシテ業務ヲ營ミタルトキ
三 第二十條第一項ノ規定ニ違反シ社債ヲ募集シタルトキ
四 第二十九條(第三十四條第六項ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ノ規定ニ依ル命令ニ違反シタルトキ
第四十四條 日本木材株式會社又ハ地方木材株式會社ノ社長、副社長又ハ理事第十六條(第三十四條第六項ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ノ規定ニ違反シタルトキハ千圓以下ノ過料ニ處ス
第四十五條 第十二條又ハ第三十四條第四項ノ規定ニ違反シタル者ハ千圓以下ノ過料ニ處ス