木材統制法
法令番号: 法律第六十六號
公布年月日: 昭和16年3月13日
法令の形式: 法律
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル木材統制法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十六年三月十二日
內閣總理大臣 公爵 近衞文麿
商工大臣 小林一三
大藏大臣 河田烈
農林大臣 石黑忠篤
法律第六十六號
木材統制法
第一條 本法ハ木材(薪炭ノ用ニ供セラルルモノヲ除ク以下同ジ)ノ生產ヲ確保シ其ノ需給ノ圓滑及價格ノ公正ヲ圖ルコトヲ目的トス
第二條 行政官廳木材ノ需給調整上必要アリト認ムルトキハ勅令ノ定ムル所ニ依リ立木ノ所有者ニ對シ價格ヲ指定シ其ノ所有スル立木ヲ地方木材株式會社(第十七條第四項ノ場合ニ於ケル日本木材株式會社ヲ含ム)ニ賣渡スベキコトヲ命ズルコトヲ得
第三條 行政官廳木材ノ需給調整上必要アリト認ムルトキハ勅令ノ定ムル所ニ依リ木材ノ生產、販賣、移入又ハ輸入ヲ業トスル者ニ對シ樹種又ハ材種ヲ指定シ其ノ生產、販賣、移入又ハ輸入ヲ業トスル者ニ對シ樹種又ハ材種ヲ指定シ其ノ生產、販賣、移入又ハ輸入ニ係ル木材ヲ日本木材株式會社又ハ地方木材株式會社ニ賣渡シ又ハ販賣ノ委託ヲ爲スベキコトヲ命ズルコトヲ得
第四條 行政官廳木材ノ需給調整上必要アリト認ムルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ木材ヲ使用又ハ消費スル者ニ對シ木材ノ樹種又ハ材種ヲ指定シテ其ノ使用又ハ消費スル木材ノ數量、用途其ノ他ノ事項ニ付制限又ハ禁止ヲ爲スコトヲ得
第五條 行政官廳木材ノ需給調整上必要アリト認ムルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ製材業者ニ對シ其ノ行フ製材ニ關シ材種其ノ他ノ事項ヲ指示スルコトヲ得
第六條 主務大臣必要アリト認ムルトキハ勅令ノ定ムル所ニ依リ木材ノ買入若ハ賣渡又ハ其ノ代理若ハ媒介ノ業務、製材業又ハ木材ヲ原料若ハ材料トシテ使用スル業務ヲ行ハントスル者ニ對シ行政官廳ノ許可ヲ受クベキコトヲ命ズルコトヲ得
第七條 行政官廳ハ前條ノ許可ヲ受ケタル者ノ行爲ガ本法若ハ本法ニ基キテ發スル命令又ハ之ニ基キテ爲ス處分ニ違反シ又ハ公益ヲ害シ若ハ害スルノ虞アリト認ムルトキハ其ノ許可ヲ取消シ又ハ其ノ業務ヲ制限シ若ハ停止スルコトヲ得
第八條 行政官廳必要アリト認ムルトキハ木材ノ生產、販賣、移入又ハ輸入ヲ業トスル者其ノ他命令ヲ以テ定ムル者ニ對シ其ノ業務及財產ノ狀況ニ關シ報吿ヲ爲サシメ又ハ帳簿書類其ノ他ノ物件ノ檢査ヲ爲スコトヲ得
第九條 日本木材株式會社ハ木材ノ需給ノ圓滑及價格ノ公正ヲ圖ル爲必要ナル事業ヲ營ムコトヲ目的トスル株式會社トス
第十條 日本木材株式會社ノ資本ハ五千萬圓トス但シ主務大臣ノ認可ヲ受ケ之ヲ增加スルコトヲ得
第十一條 日本木材株式會社ノ株式ハ記名式トシ政府、公共團體、帝國臣民又ハ帝國法人ニシテ社員、株主若ハ業務ヲ執行スル役員ノ半數以上、資本ノ半額以上若ハ議決權ノ過半數ガ外國人若ハ外國法人ニ屬セザルモノニ限リ之ヲ所有スルコトヲ得
第十二條 日本木材株式會社ニ非ザルモノハ日本木材株式會社又ハ之ニ類似ノ名稱ヲ以テ其ノ商號ト爲スコトヲ得ズ
第十三條 日本木材株式會社ニ役員トシテ社長副社長各一人、理事三人以上及監事二人以上ヲ置ク
第十四條 社長ハ日本木材株式會社ヲ代表シ其ノ業務ヲ總理ス
副社長ハ社長事故アルトキハ其ノ職務ヲ代理シ社長缺員ノトキハ其ノ職務ヲ行フ
副社長及理事ハ社長ヲ輔佐シ定款ノ定ムル所ニ依リ日本木材株式會社ノ業務ヲ分掌ス
監事ハ日本木材株式會社ノ業務ヲ監査ス
第十五條 社長及副社長ハ主務大臣之ヲ命ジ其ノ任期ヲ四年トス
理事ハ株主總會ニ於テ之ヲ選任シ主務大臣ノ認可ヲ受クルモノトシ其ノ任期ヲ三年トス
監事ハ株主總會ニ於テ之ヲ選任シ其ノ任期ヲ二年トス
木材事業ヲ監督スル官廳ノ官吏タリシ者ハ其ノ職ヲ退キタル後五年間日本木材株式會社ノ役員ト爲ルコトヲ得ズ但シ主務大臣ニ於テ特ニ必要アリト認メタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第十六條 社長、副社長及理事ハ他ノ職務又ハ商業ニ從事スルコトヲ得ズ但シ主務大臣ノ認可ヲ受ケタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第十七條 日本木材株式會社ハ左ノ事業ヲ營ムモノトス
一 木材ノ移入及移出
二 移入木材及輸入木材ノ買入及賣渡
三 移出木材及輸出木材ノ買入及賣渡
四 地方木材株式會社ニ對スル資金ノ融通又ハ投資
五 地方木材株式會社ニ對スル木材ノ生產ニ必要ナル資材ノ配給
六 前各號ノ事業ニ附帶スル事業
七 前各號ノ外會社ノ目的達成上必要ナル事業
日本木材株式會社前項第六號又ハ第七號ニ揭グル事業ヲ營マントスルトキハ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ
日本木材株式會社ハ其ノ目的達成上必要アリト認ムルトキハ主務大臣ノ認可ヲ受ケ地方木材株式會社ノ所有ニ係ル木材ノ買入及賣渡ヲ爲スコトヲ得
日本木材株式會社ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ主務大臣ノ認可ヲ受ケタルトキハ第三十四條第二項ニ揭グル事業ヲ營ムコトヲ得
第十八條 日本木材株式會社ハ地方木材株式會社以外ノ株式會社ニシテ木材ヲ生產、販賣、使用又ハ消費スルモノニ對シ主務大臣ノ認可ヲ受ケ資金ノ融通又ハ投資ヲ爲スコトヲ得
第十九條 日本木材株式會社ハ販賣ノ目的ヲ以テ買入ルル者ニ木材ヲ賣渡ストキハ命令ノ定ムル所ニ依リ主務大臣ノ認可ヲ受ケ其ノ木材ノ販賣ニ關シ必要ナル事項ヲ指示スルコトヲ得
主務大臣ハ木材ノ配給ノ圓滑又ハ價格ノ公正ヲ圖ル爲特ニ必要アリト認ムルトキハ日本木材株式會社ヨリ販賣ノ目的ヲ以テ木材ヲ買入ルル者ニ對シ前項ノ指示ニ從フベキコトヲ命ズルコトヲ得
第二十條 日本木材株式會社ハ商法第二百九十七條ノ規定ニ依ル制限ヲ超エテ社債ヲ募集スルコトヲ得但シ社債ノ總額ハ拂込ミタル株金額ノ三倍ヲ超ユルコトヲ得ズ
社債ヲ募集スル場合ニ於テハ商法第三百四十三條ニ定ムル決議ニ依ルコトヲ要セズ
第二十一條 日本木材株式會社社債ヲ募集セントスル場合ニ於テハ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ
第二十二條 日本木材株式會社ノ社債權者ハ同會社ノ財產ニ付他ノ債權者ニ先チテ自己ノ債權ノ辨濟ヲ受クル權利ヲ有ス
前項ノ規定ハ民法上ノ一般ノ先取特權ノ行使ヲ妨グルコトナシ
第二十三條 日本木材株式會社ハ每營業年度ニ準備金トシテ資本ノ缺損ヲ補フ爲利益金額ノ百分ノ八以上ヲ積立ツベシ
第二十四條 主務大臣ハ日本木材株式會社ノ業務ヲ監督ス
第二十五條 日本木材株式會社借入金ヲ爲サントスルトキハ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ
第二十六條 日本木材株式會社ノ定款ノ變更、利益金ノ處分、合併及解散ノ決議ハ主務大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ
第二十七條 日本木材株式會社ハ每營業年度ノ事業計畫ヲ定メ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ之ヲ變更セントスルトキ亦同ジ
第二十八條 主務大臣ハ日本木材株式會社ニ對シ木材ノ需給調整上必要ナル事業ヲ行フベキコトヲ命ジ其ノ他業務ニ關シ公益上必要ナル命令ヲ爲スコトヲ得
第二十九條 主務大臣ハ日本木材株式會社ノ業務ニ關シ監督上必要ナル命令ヲ爲スコトヲ得
第三十條 主務大臣ハ日本木材株式會社監理官ヲ置キ日本木材株式會社ノ業務ヲ監視セシム
第三十一條 日本木材株式會社監理官ハ何時ニテモ日本木材株式會社ノ帳簿書類、金庫其ノ他ノ物件ヲ檢査スルコトヲ得
日本木材株式會社監理官必要アリト認ムルトキハ何時ニテモ日本木材株式會社ニ命ジ業務ニ關スル諸般ノ計算及狀況ヲ報吿セシムルコトヲ得
日本木材株式會社監理官ハ株主總會其ノ他諸般ノ會議ニ出席シ意見ヲ陳述スルコトヲ得
第三十二條 主務大臣ハ日本木材株式會社ノ決議又ハ役員ノ行爲ガ法令、法令ニ基キテ爲ス處分若ハ定款ニ違反シ又ハ公益ヲ害シ若ハ害スルノ虞アリト認ムルトキハ其ノ決議ヲ取消シ又ハ役員ヲ解任スルコトヲ得
第三十三條 日本木材株式會社ノ每營業年度ニ於ケル配當シ得ベキ利益金額ガ拂込ミタル株金額ニ對シ年百分ノ四ノ割合ニ達セザルトキハ政府ハ初營業年度及爾後五年間ヲ限リ之ニ達セシムベキ金額ヲ補給スベシ但シ其ノ額ハ拂込ミタル株金額ニ對シ年百分ノ四ノ割合ニ相當スル額ヲ超ユルコトヲ得ズ
每營業年度ニ於ケル配當シ得ベキ利益金額ガ拂込ミタル株金額ニ對シ年百分ノ四ノ割合ヲ超過スルトキハ其ノ超過額ハ先ヅ之ヲ前項ノ規定ニ依ル補給金ノ償還ニ充ツベシ
初營業年度及爾後五年間ニ於ケル配當シ得ベキ利益金額ガ拂込ミタル株金額ニ對シ年百分ノ四ノ割合ヲ超過スルトキハ其ノ二分ノ一ヲ配當準備ノ爲別ニ積立ツベシ
第二項ノ規定ニ依リ補給金ヲ償還シ尙殘餘アリタルトキハ之ヲ前項ノ拂込ミタル株金額ニ對シ年百分ノ四ノ割合ヲ超過シタル當該營業年度ノ利益金ト看做ス
前二項ノ規定ニ依ル積立金ハ後營業年度ニ於ケル第一項ノ規定ニ依ル補給金ノ計算ニ付テハ之ヲ配當シ得ベキ利益金ト看做ス
第三十四條 地方木材株式會社ハ地方的ニ木材ノ生產竝ニ其ノ需給ノ圓滑及價格ノ公正ヲ圖ル爲必要ナル事業ヲ行フコトヲ目的トスル株式會社トス
地方木材株式會社ハ左ノ事業ヲ營ムモノトス
一 立木ノ買入及伐採
二 木材ノ生產
三 木材ノ買入及賣渡竝ニ販賣ノ受託
四 前各號ノ事業ニ附帶スル事業
五 前各號ノ外會社ノ目的達成上必要ナル事業
地方木材株式會社前項第四號又ハ第五號ニ揭グル事業ヲ營マントスルトキハ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ
本法ニ依リ設立シタル地方木材株式會社ニ非ザレバ其ノ商號中ニ地方木材株式會社ナルコトヲ示スベキ文字ヲ用フルコトヲ得ズ
地方木材株式會社ノ社長及副社長ハ株主總會ニ於テ之ヲ選任シ主務大臣ノ認可ヲ受クルモノトシ其ノ任期ヲ四年トス
第十一條、第十三條、第十四條、第十五條第二項乃至第四項、第十六條、第十九條、第二十條第二項、第二十一條乃至第二十九條及第三十二條ノ規定ハ地方木材株式會社ニ之ヲ準用ス
地方木材株式會社ノ商號及資本ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第三十五條 第十九條第二項(前條第六項ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ノ規定ニ依ル命令ニ違反シタル者ハ一年以下ノ懲役又ハ一萬圓以下ノ罰金ニ處ス
第三十六條 第二條、第三條又ハ第二十八條(第三十四條第六項ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ノ規定ニ依ル命令ニ違反シタル者ハ五千圓以下ノ罰金ニ處ス
第三十七條 第四條又ハ第五條ノ規定ニ依ル處分ニ違反シタル者ハ三千圓以下ノ罰金ニ處ス
第三十八條 第六條ノ規定ニ依ル命令ニ違反シタル者ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
第三十九條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
一 第八條ノ規定ニ依ル報吿ヲ爲サズ又ハ虛僞ノ報吿ヲ爲シタル者
二 第八條ノ規定ニ依ル檢査ヲ拒ミ、妨ゲ又ハ忌避シタル者
第四十條 法人又ハ人ノ代理人、戶主、家族、同居者、雇人其ノ他ノ從業者ガ其ノ法人又ハ人ノ業務ニ關シ第三十五條乃至第三十八條又ハ前條第一號ノ違反行爲ヲ爲シタルトキハ其ノ法人又ハ人ハ自己ノ指揮ニ出デザルノ故ヲ以テ其ノ處罰ヲ免カルルコトヲ得ズ
第四十一條 第三十五條乃至第三十八條及第三十九條第一號ノ罰則ハ其ノ者ガ法人ナルトキハ理事、取締役其ノ他法人ノ業務ヲ執行スル役員ニ、未成年者又ハ禁治產者ナルトキハ其ノ法定代理人ニ之ヲ適用ス但シ營業ニ關シ成年者ト同一ノ能力ヲ有スル未成年者ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
第四十二條 前二條ノ場合ニ於テハ懲役ニ處スルコトヲ得ズ
第四十三條 日本木材株式會社又ハ地方木材株式會社左ノ各號ノ一ニ該當スルトキハ社長又ハ社長ノ職務ヲ行ヒ若ハ代理スル副社長ヲ五千圓以下ノ過料ニ處ス副社長又ハ理事ノ分掌業務ニ係ルトキハ副社長又ハ理事ヲ過料ニ處スルコト亦同ジ
一 本法又ハ本法ニ基キテ發スル命令ニ依リ認可ヲ受クベキ場合ニ於テ其ノ認可ヲ受ケザルトキ
二 第十七條第一項又ハ第三十四條第二項ノ規定ニ依ラズシテ業務ヲ營ミタルトキ
三 第二十條第一項ノ規定ニ違反シ社債ヲ募集シタルトキ
四 第二十九條(第三十四條第六項ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ノ規定ニ依ル命令ニ違反シタルトキ
第四十四條 日本木材株式會社又ハ地方木材株式會社ノ社長、副社長又ハ理事第十六條(第三十四條第六項ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ノ規定ニ違反シタルトキハ千圓以下ノ過料ニ處ス
第四十五條 第十二條又ハ第三十四條第四項ノ規定ニ違反シタル者ハ千圓以下ノ過料ニ處ス
附 則
第四十六條 本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第四十七條 主務大臣ノ指定スル株式會社(以下指定會社ト稱ス)ハ命令ノ定ムル所ニ依リ商法第三百四十三條ニ定ムル株主總會ノ決議ヲ以テ日本木材株式會社ト爲ルコトヲ得
指定會社前項ノ決議ヲ爲シタルトキハ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ
第四十八條 主務大臣前條ノ認可ヲ爲シタルトキハ設立委員ヲ命ジ指定會社ヲ日本木材株式會社ト爲ス爲ニ必要ナル事務ヲ處理セシム
前項ノ設立委員ノ中少クトモ二人ハ指定會社ノ取締役中ヨリ之ヲ命ズルコトヲ要ス
設立委員ノ任命アリタル後ハ指定會社ノ取締役ハ主務大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ會社ノ常務ニ屬セザル行爲ヲ爲スコトヲ得ズ
第四十九條 設立委員ハ定款ヲ作成シ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ
第五十條 前條ノ認可アリタルトキハ設立委員ハ總株式ヨリ指定會社ノ株式ニ引當テラルベキ株式ヲ控除シタル殘餘ノ株式ニ付株主ヲ募集スベシ
第五十一條 株式申込證ニハ商法第百七十五條第二項第二號及第四號乃至第七號ニ規定スル事項ノ外定款認可ノ年月日ヲ記載スベシ
第五十二條 設立委員ハ株主ノ募集ヲ終リタルトキハ株式申込證ヲ主務大臣ニ提出シ其ノ檢査ヲ受クベシ
第五十三條 設立委員ハ前條ノ檢査ヲ受ケタル後遲滯ナク各新株ニ付第一囘ノ拂込ヲ爲サシムベシ
第五十四條 前條ノ拂込アリタルトキハ設立委員ハ遲滯ナク創立總會ヲ招集スベシ
第五十五條 創立總會ニ於テハ第十五條ノ規定ニ準ジ理事及監事ノ選任ヲ行フベシ
第五十六條 創立總會終結シタルトキハ設立委員ハ其ノ事務ヲ日本木材株式會社社長ニ引渡スベシ
第五十七條 日本木材株式會社ノ成立ニ因リ指定會社ハ之ニ吸收セラルルモノトシ指定會社ノ權利義務ハ日本木材株式會社ニ於テ之ヲ承繼ス
第五十八條 前條ノ規定ニ依リ指定會社ガ日本木材株式會社ト爲リタルトキハ法人稅法、營業稅法及臨時利得稅法ノ適用ニ關シテハ指定會社ハ之ヲ合併ニ因リテ消滅シタル法人ト看做シ日本木材株式會社ハ之ヲ合併ニ因リテ設立シタル法人ト看做ス
日本木材株式會社ガ設立ノ登記ヲ受クルトキハ其ノ拂込株金額中指定會社ノ拂込株金額ニ相當スル部分ニ付テハ登錄稅ヲ課セズ
第五十九條 商法第百六十七條、第百八十一條及第百八十五條ノ規定ハ日本木材株式會社ノ設立ニハ之ヲ適用セズ
第六十條 第四十七條乃至前條ニ規定スルモノヲ除クノ外指定會社ガ日本木材株式會社ト爲ル場合ニ於テ必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第六十一條 第四十七條第一項ノ決議ナキ場合又ハ其ノ決議ガ效力ヲ生ゼザル場合ニ於テ日本木材株式會社ノ設立ニ關シ必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第六十二條 主務大臣ハ設立委員ヲ命ジ地方木材株式會社ノ設立ニ關スル事務ヲ處理セシム
設立委員ハ定款ヲ作成シ主務大臣ノ認可ヲ受ケタル後株主ヲ募集スベシ
創立總會ニ於テハ第十五條及第三十四條ノ規定ニ準ジ社長、副社長、理事及監事ノ選任ヲ行フベシ
第五十一條乃至第五十四條、第五十六條及第五十九條ノ規定ハ地方木材株式會社ノ設立ニ關シ之ヲ準用ス
第六十三條 本法施行ノ際現ニ日本木材株式會社若ハ之ニ類似ノ名稱又ハ地方木材株式會社ナルコトヲ示スベキ文字ヲ以テ商號ト爲ス會社ハ本法施行後六月以內ニ其ノ商號ヲ變更スルコトヲ要ス
第十二條及第三十四條第四項ノ規定ハ前項ノ期間內之ヲ同項ニ揭グル者ニ適用セズ
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル木材統制法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十六年三月十二日
内閣総理大臣 公爵 近衛文麿
商工大臣 小林一三
大蔵大臣 河田烈
農林大臣 石黒忠篤
法律第六十六号
木材統制法
第一条 本法ハ木材(薪炭ノ用ニ供セラルルモノヲ除ク以下同ジ)ノ生産ヲ確保シ其ノ需給ノ円滑及価格ノ公正ヲ図ルコトヲ目的トス
第二条 行政官庁木材ノ需給調整上必要アリト認ムルトキハ勅令ノ定ムル所ニ依リ立木ノ所有者ニ対シ価格ヲ指定シ其ノ所有スル立木ヲ地方木材株式会社(第十七条第四項ノ場合ニ於ケル日本木材株式会社ヲ含ム)ニ売渡スベキコトヲ命ズルコトヲ得
第三条 行政官庁木材ノ需給調整上必要アリト認ムルトキハ勅令ノ定ムル所ニ依リ木材ノ生産、販売、移入又ハ輸入ヲ業トスル者ニ対シ樹種又ハ材種ヲ指定シ其ノ生産、販売、移入又ハ輸入ヲ業トスル者ニ対シ樹種又ハ材種ヲ指定シ其ノ生産、販売、移入又ハ輸入ニ係ル木材ヲ日本木材株式会社又ハ地方木材株式会社ニ売渡シ又ハ販売ノ委託ヲ為スベキコトヲ命ズルコトヲ得
第四条 行政官庁木材ノ需給調整上必要アリト認ムルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ木材ヲ使用又ハ消費スル者ニ対シ木材ノ樹種又ハ材種ヲ指定シテ其ノ使用又ハ消費スル木材ノ数量、用途其ノ他ノ事項ニ付制限又ハ禁止ヲ為スコトヲ得
第五条 行政官庁木材ノ需給調整上必要アリト認ムルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ製材業者ニ対シ其ノ行フ製材ニ関シ材種其ノ他ノ事項ヲ指示スルコトヲ得
第六条 主務大臣必要アリト認ムルトキハ勅令ノ定ムル所ニ依リ木材ノ買入若ハ売渡又ハ其ノ代理若ハ媒介ノ業務、製材業又ハ木材ヲ原料若ハ材料トシテ使用スル業務ヲ行ハントスル者ニ対シ行政官庁ノ許可ヲ受クベキコトヲ命ズルコトヲ得
第七条 行政官庁ハ前条ノ許可ヲ受ケタル者ノ行為ガ本法若ハ本法ニ基キテ発スル命令又ハ之ニ基キテ為ス処分ニ違反シ又ハ公益ヲ害シ若ハ害スルノ虞アリト認ムルトキハ其ノ許可ヲ取消シ又ハ其ノ業務ヲ制限シ若ハ停止スルコトヲ得
第八条 行政官庁必要アリト認ムルトキハ木材ノ生産、販売、移入又ハ輸入ヲ業トスル者其ノ他命令ヲ以テ定ムル者ニ対シ其ノ業務及財産ノ状況ニ関シ報告ヲ為サシメ又ハ帳簿書類其ノ他ノ物件ノ検査ヲ為スコトヲ得
第九条 日本木材株式会社ハ木材ノ需給ノ円滑及価格ノ公正ヲ図ル為必要ナル事業ヲ営ムコトヲ目的トスル株式会社トス
第十条 日本木材株式会社ノ資本ハ五千万円トス但シ主務大臣ノ認可ヲ受ケ之ヲ増加スルコトヲ得
第十一条 日本木材株式会社ノ株式ハ記名式トシ政府、公共団体、帝国臣民又ハ帝国法人ニシテ社員、株主若ハ業務ヲ執行スル役員ノ半数以上、資本ノ半額以上若ハ議決権ノ過半数ガ外国人若ハ外国法人ニ属セザルモノニ限リ之ヲ所有スルコトヲ得
第十二条 日本木材株式会社ニ非ザルモノハ日本木材株式会社又ハ之ニ類似ノ名称ヲ以テ其ノ商号ト為スコトヲ得ズ
第十三条 日本木材株式会社ニ役員トシテ社長副社長各一人、理事三人以上及監事二人以上ヲ置ク
第十四条 社長ハ日本木材株式会社ヲ代表シ其ノ業務ヲ総理ス
副社長ハ社長事故アルトキハ其ノ職務ヲ代理シ社長欠員ノトキハ其ノ職務ヲ行フ
副社長及理事ハ社長ヲ輔佐シ定款ノ定ムル所ニ依リ日本木材株式会社ノ業務ヲ分掌ス
監事ハ日本木材株式会社ノ業務ヲ監査ス
第十五条 社長及副社長ハ主務大臣之ヲ命ジ其ノ任期ヲ四年トス
理事ハ株主総会ニ於テ之ヲ選任シ主務大臣ノ認可ヲ受クルモノトシ其ノ任期ヲ三年トス
監事ハ株主総会ニ於テ之ヲ選任シ其ノ任期ヲ二年トス
木材事業ヲ監督スル官庁ノ官吏タリシ者ハ其ノ職ヲ退キタル後五年間日本木材株式会社ノ役員ト為ルコトヲ得ズ但シ主務大臣ニ於テ特ニ必要アリト認メタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第十六条 社長、副社長及理事ハ他ノ職務又ハ商業ニ従事スルコトヲ得ズ但シ主務大臣ノ認可ヲ受ケタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第十七条 日本木材株式会社ハ左ノ事業ヲ営ムモノトス
一 木材ノ移入及移出
二 移入木材及輸入木材ノ買入及売渡
三 移出木材及輸出木材ノ買入及売渡
四 地方木材株式会社ニ対スル資金ノ融通又ハ投資
五 地方木材株式会社ニ対スル木材ノ生産ニ必要ナル資材ノ配給
六 前各号ノ事業ニ附帯スル事業
七 前各号ノ外会社ノ目的達成上必要ナル事業
日本木材株式会社前項第六号又ハ第七号ニ掲グル事業ヲ営マントスルトキハ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ
日本木材株式会社ハ其ノ目的達成上必要アリト認ムルトキハ主務大臣ノ認可ヲ受ケ地方木材株式会社ノ所有ニ係ル木材ノ買入及売渡ヲ為スコトヲ得
日本木材株式会社ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ主務大臣ノ認可ヲ受ケタルトキハ第三十四条第二項ニ掲グル事業ヲ営ムコトヲ得
第十八条 日本木材株式会社ハ地方木材株式会社以外ノ株式会社ニシテ木材ヲ生産、販売、使用又ハ消費スルモノニ対シ主務大臣ノ認可ヲ受ケ資金ノ融通又ハ投資ヲ為スコトヲ得
第十九条 日本木材株式会社ハ販売ノ目的ヲ以テ買入ルル者ニ木材ヲ売渡ストキハ命令ノ定ムル所ニ依リ主務大臣ノ認可ヲ受ケ其ノ木材ノ販売ニ関シ必要ナル事項ヲ指示スルコトヲ得
主務大臣ハ木材ノ配給ノ円滑又ハ価格ノ公正ヲ図ル為特ニ必要アリト認ムルトキハ日本木材株式会社ヨリ販売ノ目的ヲ以テ木材ヲ買入ルル者ニ対シ前項ノ指示ニ従フベキコトヲ命ズルコトヲ得
第二十条 日本木材株式会社ハ商法第二百九十七条ノ規定ニ依ル制限ヲ超エテ社債ヲ募集スルコトヲ得但シ社債ノ総額ハ払込ミタル株金額ノ三倍ヲ超ユルコトヲ得ズ
社債ヲ募集スル場合ニ於テハ商法第三百四十三条ニ定ムル決議ニ依ルコトヲ要セズ
第二十一条 日本木材株式会社社債ヲ募集セントスル場合ニ於テハ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ
第二十二条 日本木材株式会社ノ社債権者ハ同会社ノ財産ニ付他ノ債権者ニ先チテ自己ノ債権ノ弁済ヲ受クル権利ヲ有ス
前項ノ規定ハ民法上ノ一般ノ先取特権ノ行使ヲ妨グルコトナシ
第二十三条 日本木材株式会社ハ毎営業年度ニ準備金トシテ資本ノ欠損ヲ補フ為利益金額ノ百分ノ八以上ヲ積立ツベシ
第二十四条 主務大臣ハ日本木材株式会社ノ業務ヲ監督ス
第二十五条 日本木材株式会社借入金ヲ為サントスルトキハ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ
第二十六条 日本木材株式会社ノ定款ノ変更、利益金ノ処分、合併及解散ノ決議ハ主務大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ効力ヲ生ゼズ
第二十七条 日本木材株式会社ハ毎営業年度ノ事業計画ヲ定メ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ之ヲ変更セントスルトキ亦同ジ
第二十八条 主務大臣ハ日本木材株式会社ニ対シ木材ノ需給調整上必要ナル事業ヲ行フベキコトヲ命ジ其ノ他業務ニ関シ公益上必要ナル命令ヲ為スコトヲ得
第二十九条 主務大臣ハ日本木材株式会社ノ業務ニ関シ監督上必要ナル命令ヲ為スコトヲ得
第三十条 主務大臣ハ日本木材株式会社監理官ヲ置キ日本木材株式会社ノ業務ヲ監視セシム
第三十一条 日本木材株式会社監理官ハ何時ニテモ日本木材株式会社ノ帳簿書類、金庫其ノ他ノ物件ヲ検査スルコトヲ得
日本木材株式会社監理官必要アリト認ムルトキハ何時ニテモ日本木材株式会社ニ命ジ業務ニ関スル諸般ノ計算及状況ヲ報告セシムルコトヲ得
日本木材株式会社監理官ハ株主総会其ノ他諸般ノ会議ニ出席シ意見ヲ陳述スルコトヲ得
第三十二条 主務大臣ハ日本木材株式会社ノ決議又ハ役員ノ行為ガ法令、法令ニ基キテ為ス処分若ハ定款ニ違反シ又ハ公益ヲ害シ若ハ害スルノ虞アリト認ムルトキハ其ノ決議ヲ取消シ又ハ役員ヲ解任スルコトヲ得
第三十三条 日本木材株式会社ノ毎営業年度ニ於ケル配当シ得ベキ利益金額ガ払込ミタル株金額ニ対シ年百分ノ四ノ割合ニ達セザルトキハ政府ハ初営業年度及爾後五年間ヲ限リ之ニ達セシムベキ金額ヲ補給スベシ但シ其ノ額ハ払込ミタル株金額ニ対シ年百分ノ四ノ割合ニ相当スル額ヲ超ユルコトヲ得ズ
毎営業年度ニ於ケル配当シ得ベキ利益金額ガ払込ミタル株金額ニ対シ年百分ノ四ノ割合ヲ超過スルトキハ其ノ超過額ハ先ヅ之ヲ前項ノ規定ニ依ル補給金ノ償還ニ充ツベシ
初営業年度及爾後五年間ニ於ケル配当シ得ベキ利益金額ガ払込ミタル株金額ニ対シ年百分ノ四ノ割合ヲ超過スルトキハ其ノ二分ノ一ヲ配当準備ノ為別ニ積立ツベシ
第二項ノ規定ニ依リ補給金ヲ償還シ尚残余アリタルトキハ之ヲ前項ノ払込ミタル株金額ニ対シ年百分ノ四ノ割合ヲ超過シタル当該営業年度ノ利益金ト看做ス
前二項ノ規定ニ依ル積立金ハ後営業年度ニ於ケル第一項ノ規定ニ依ル補給金ノ計算ニ付テハ之ヲ配当シ得ベキ利益金ト看做ス
第三十四条 地方木材株式会社ハ地方的ニ木材ノ生産並ニ其ノ需給ノ円滑及価格ノ公正ヲ図ル為必要ナル事業ヲ行フコトヲ目的トスル株式会社トス
地方木材株式会社ハ左ノ事業ヲ営ムモノトス
一 立木ノ買入及伐採
二 木材ノ生産
三 木材ノ買入及売渡並ニ販売ノ受託
四 前各号ノ事業ニ附帯スル事業
五 前各号ノ外会社ノ目的達成上必要ナル事業
地方木材株式会社前項第四号又ハ第五号ニ掲グル事業ヲ営マントスルトキハ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ
本法ニ依リ設立シタル地方木材株式会社ニ非ザレバ其ノ商号中ニ地方木材株式会社ナルコトヲ示スベキ文字ヲ用フルコトヲ得ズ
地方木材株式会社ノ社長及副社長ハ株主総会ニ於テ之ヲ選任シ主務大臣ノ認可ヲ受クルモノトシ其ノ任期ヲ四年トス
第十一条、第十三条、第十四条、第十五条第二項乃至第四項、第十六条、第十九条、第二十条第二項、第二十一条乃至第二十九条及第三十二条ノ規定ハ地方木材株式会社ニ之ヲ準用ス
地方木材株式会社ノ商号及資本ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第三十五条 第十九条第二項(前条第六項ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ノ規定ニ依ル命令ニ違反シタル者ハ一年以下ノ懲役又ハ一万円以下ノ罰金ニ処ス
第三十六条 第二条、第三条又ハ第二十八条(第三十四条第六項ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ノ規定ニ依ル命令ニ違反シタル者ハ五千円以下ノ罰金ニ処ス
第三十七条 第四条又ハ第五条ノ規定ニ依ル処分ニ違反シタル者ハ三千円以下ノ罰金ニ処ス
第三十八条 第六条ノ規定ニ依ル命令ニ違反シタル者ハ千円以下ノ罰金ニ処ス
第三十九条 左ノ各号ノ一ニ該当スル者ハ五百円以下ノ罰金ニ処ス
一 第八条ノ規定ニ依ル報告ヲ為サズ又ハ虚偽ノ報告ヲ為シタル者
二 第八条ノ規定ニ依ル検査ヲ拒ミ、妨ゲ又ハ忌避シタル者
第四十条 法人又ハ人ノ代理人、戸主、家族、同居者、雇人其ノ他ノ従業者ガ其ノ法人又ハ人ノ業務ニ関シ第三十五条乃至第三十八条又ハ前条第一号ノ違反行為ヲ為シタルトキハ其ノ法人又ハ人ハ自己ノ指揮ニ出デザルノ故ヲ以テ其ノ処罰ヲ免カルルコトヲ得ズ
第四十一条 第三十五条乃至第三十八条及第三十九条第一号ノ罰則ハ其ノ者ガ法人ナルトキハ理事、取締役其ノ他法人ノ業務ヲ執行スル役員ニ、未成年者又ハ禁治産者ナルトキハ其ノ法定代理人ニ之ヲ適用ス但シ営業ニ関シ成年者ト同一ノ能力ヲ有スル未成年者ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
第四十二条 前二条ノ場合ニ於テハ懲役ニ処スルコトヲ得ズ
第四十三条 日本木材株式会社又ハ地方木材株式会社左ノ各号ノ一ニ該当スルトキハ社長又ハ社長ノ職務ヲ行ヒ若ハ代理スル副社長ヲ五千円以下ノ過料ニ処ス副社長又ハ理事ノ分掌業務ニ係ルトキハ副社長又ハ理事ヲ過料ニ処スルコト亦同ジ
一 本法又ハ本法ニ基キテ発スル命令ニ依リ認可ヲ受クベキ場合ニ於テ其ノ認可ヲ受ケザルトキ
二 第十七条第一項又ハ第三十四条第二項ノ規定ニ依ラズシテ業務ヲ営ミタルトキ
三 第二十条第一項ノ規定ニ違反シ社債ヲ募集シタルトキ
四 第二十九条(第三十四条第六項ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ノ規定ニ依ル命令ニ違反シタルトキ
第四十四条 日本木材株式会社又ハ地方木材株式会社ノ社長、副社長又ハ理事第十六条(第三十四条第六項ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ノ規定ニ違反シタルトキハ千円以下ノ過料ニ処ス
第四十五条 第十二条又ハ第三十四条第四項ノ規定ニ違反シタル者ハ千円以下ノ過料ニ処ス
附 則
第四十六条 本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第四十七条 主務大臣ノ指定スル株式会社(以下指定会社ト称ス)ハ命令ノ定ムル所ニ依リ商法第三百四十三条ニ定ムル株主総会ノ決議ヲ以テ日本木材株式会社ト為ルコトヲ得
指定会社前項ノ決議ヲ為シタルトキハ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ
第四十八条 主務大臣前条ノ認可ヲ為シタルトキハ設立委員ヲ命ジ指定会社ヲ日本木材株式会社ト為ス為ニ必要ナル事務ヲ処理セシム
前項ノ設立委員ノ中少クトモ二人ハ指定会社ノ取締役中ヨリ之ヲ命ズルコトヲ要ス
設立委員ノ任命アリタル後ハ指定会社ノ取締役ハ主務大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ会社ノ常務ニ属セザル行為ヲ為スコトヲ得ズ
第四十九条 設立委員ハ定款ヲ作成シ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ
第五十条 前条ノ認可アリタルトキハ設立委員ハ総株式ヨリ指定会社ノ株式ニ引当テラルベキ株式ヲ控除シタル残余ノ株式ニ付株主ヲ募集スベシ
第五十一条 株式申込証ニハ商法第百七十五条第二項第二号及第四号乃至第七号ニ規定スル事項ノ外定款認可ノ年月日ヲ記載スベシ
第五十二条 設立委員ハ株主ノ募集ヲ終リタルトキハ株式申込証ヲ主務大臣ニ提出シ其ノ検査ヲ受クベシ
第五十三条 設立委員ハ前条ノ検査ヲ受ケタル後遅滞ナク各新株ニ付第一回ノ払込ヲ為サシムベシ
第五十四条 前条ノ払込アリタルトキハ設立委員ハ遅滞ナク創立総会ヲ招集スベシ
第五十五条 創立総会ニ於テハ第十五条ノ規定ニ準ジ理事及監事ノ選任ヲ行フベシ
第五十六条 創立総会終結シタルトキハ設立委員ハ其ノ事務ヲ日本木材株式会社社長ニ引渡スベシ
第五十七条 日本木材株式会社ノ成立ニ因リ指定会社ハ之ニ吸収セラルルモノトシ指定会社ノ権利義務ハ日本木材株式会社ニ於テ之ヲ承継ス
第五十八条 前条ノ規定ニ依リ指定会社ガ日本木材株式会社ト為リタルトキハ法人税法、営業税法及臨時利得税法ノ適用ニ関シテハ指定会社ハ之ヲ合併ニ因リテ消滅シタル法人ト看做シ日本木材株式会社ハ之ヲ合併ニ因リテ設立シタル法人ト看做ス
日本木材株式会社ガ設立ノ登記ヲ受クルトキハ其ノ払込株金額中指定会社ノ払込株金額ニ相当スル部分ニ付テハ登録税ヲ課セズ
第五十九条 商法第百六十七条、第百八十一条及第百八十五条ノ規定ハ日本木材株式会社ノ設立ニハ之ヲ適用セズ
第六十条 第四十七条乃至前条ニ規定スルモノヲ除クノ外指定会社ガ日本木材株式会社ト為ル場合ニ於テ必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第六十一条 第四十七条第一項ノ決議ナキ場合又ハ其ノ決議ガ効力ヲ生ゼザル場合ニ於テ日本木材株式会社ノ設立ニ関シ必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第六十二条 主務大臣ハ設立委員ヲ命ジ地方木材株式会社ノ設立ニ関スル事務ヲ処理セシム
設立委員ハ定款ヲ作成シ主務大臣ノ認可ヲ受ケタル後株主ヲ募集スベシ
創立総会ニ於テハ第十五条及第三十四条ノ規定ニ準ジ社長、副社長、理事及監事ノ選任ヲ行フベシ
第五十一条乃至第五十四条、第五十六条及第五十九条ノ規定ハ地方木材株式会社ノ設立ニ関シ之ヲ準用ス
第六十三条 本法施行ノ際現ニ日本木材株式会社若ハ之ニ類似ノ名称又ハ地方木材株式会社ナルコトヲ示スベキ文字ヲ以テ商号ト為ス会社ハ本法施行後六月以内ニ其ノ商号ヲ変更スルコトヲ要ス
第十二条及第三十四条第四項ノ規定ハ前項ノ期間内之ヲ同項ニ掲グル者ニ適用セズ