第二條 徵用ハ國家ノ要請ニ基キ第三十五條ニ揭グル者ヲシテ總動員業務タル船舶ノ運航ニ從事セシムル爲必要アル場合ニ之ヲ行フモノトス
第三條 應徵船員ハ命令ヲ以テ定ムル船舶ニ配置セラルルモノトス
第五條 運輸通信大臣徵用ノ必要アリト認ムルトキハ徵用令書ヲ發シ徵用セラルベキ者ニ之ヲ交付スベシ
船舶所有者徵用ニ依ル船員ノ配置ヲ必要トスルトキハ運輸通信大臣ニ之ヲ請求又ハ申請スルコトヲ得
運輸通信大臣官衙ノ使用スル船舶ニ乘組中ノ者ニ付當該官衙ノ所管大臣ノ請求ナキ場合ニ於テ徵用令書ヲ發セントスルトキハ當該官衙ノ所管大臣ニ協議スベシ
第六條 徵用令書ニハ左ニ揭グル事項ヲ記載スベシ但シ軍機保護上特ニ必要アルトキハ第二號又ハ第三號ニ揭グル事項ヲ省略スルコトヲ得
一 徵用セラルベキ者ノ氏名、出生ノ年月日、本籍及居住ノ場所(現ニ乘組中ノ者ニ付テハ居住ノ場所ニ代ヘ乘組船舶ノ船名)
二 配置セラルル船舶ノ屬スル船舶所有者ノ住所及氏名又ハ名稱
第七條 運輸通信大臣ハ徵用ノ適否其ノ他ヲ判定スル爲必要アルトキハ徵用セラルベキ者ニ出頭ヲ求ムルコトヲ得
第八條 徵用令書ノ交付ヲ受ケタル者疾病其ノ他避クベカラザル事故ニ因リ指定ノ日時及場所ニ出頭スルコト能ハザル場合ニ於テハ命令ノ定ムル所ニ依リ運輸通信大臣ニ其ノ旨ヲ屆出ヅベシ
前項ノ規定ニ依ル屆出アリタル場合ニ於テ運輸通信大臣必要アリト認ムルトキハ出頭ノ日時若ハ場所ヲ變更シ又ハ其ノ者徵用ニ適セズト認ムルトキハ徵用ヲ取消スコトヲ得此ノ場合ニ於テハ出頭變更令書又ハ徵用取消令書ヲ發シ其ノ者ニ之ヲ交付スベシ
第九條 運輸通信大臣應徵船員ノ配置セラルル船舶ノ屬スル船舶所有者又ハ應徵船員ノ從事スル職務若ハ徵用ノ期間ニ付變更ノ必要アリト認ムルトキハ徵用變更令書ヲ發シ應徵船員ニ之ヲ交付スベシ
應徵船員ノ配置セラルル船舶ノ屬スル船舶所有者應徵船員ノ從事スル職務又ハ徵用ノ期間ニ付變更ヲ必要トスルトキハ運輸通信大臣ニ之ヲ請求又ハ申請スルコトヲ得
運輸通信大臣官衙ニ使用セラルル者ニ付當該官衙ノ所管大臣ノ請求ナキ場合ニ於テ徵用變更令書ヲ發セントスルトキハ當該官衙ノ所管大臣ニ協議スベシ
第十條 運輸通信大臣徵用解除ノ必要アリト認ムルトキハ徵用解除令書ヲ發シ應徵船員ニ之ヲ交付スベシ
應徵船員ノ配置セラルル船舶ノ屬スル船舶所有者應徵船員ガ疾病其ノ他ノ事由ニ因リ職務ニ從事スルニ適セズト認ムルトキ又ハ其ノ者ノ配置ヲ必要トセザルニ至リタルトキハ遲滯ナク運輸通信大臣ニ徵用ノ解除ヲ請求又ハ申請スベシ
應徵船員疾病其ノ他ノ事由ニ因リ職務ニ從事シ難キ場合ニ於テハ官衙ニ使用セラルル者ニ在リテハ當該官衙ノ所管大臣ニ、其ノ他ノ者ニ在リテハ運輸通信大臣ニ其ノ旨ヲ申出ヅルコトヲ得
運輸通信大臣官衙ニ使用セラルル者ニ付當該官衙ノ所管大臣ノ請求ナキ場合ニ於テ徵用解除令書ヲ發セントスルトキハ當該官衙ノ所管大臣ニ協議スベシ
第十一條 應徵船員ノ表彰ニ關シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第十二條 應徵船員ノ服務及服制ニ關シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第十三條 應徵船員ハ前條ノ規定ニ基キテ發スル命令ニ依ルノ外其ノ職務ニ關シ官衙ニ使用セラルル者ニ在リテハ當該官衙ノ長ノ指揮ヲ受ケ其ノ他ノ者ニ在リテハ命令ノ定ムル所ニ依リテ爲ス船舶所有者ノ指揮ヲ受クベシ
第十四條 應徵船員ニ對スル給與ハ命令ノ定ムル所ニ依リ應徵船員ノ配置セラルル船舶ノ屬スル船舶所有者之ヲ支給スルモノトス
第十五條 左ノ各號ノ一ニ該當スル場合ニ於テハ命令ノ定ムル所ニ依リ應徵船員ノ配置セラルル船舶ノ屬スル船舶所有者其ノ旅費ヲ支給スルモノトス
一 徵用セラルベキ者第七條ノ規定ニ依リ出頭スル場合
四 應徵船員其ノ家族ノ危篤又ハ死亡ノ爲船舶所有者又ハ船長ノ許可ヲ受ケ一時歸鄕スル場合
五 應徵船員ノ危篤又ハ死亡ノ爲船舶所有者又ハ船長ノ通知ニ依リ應徵船員ノ家族又ハ遺族出頭スル場合
前項第一號又ハ第二號ノ場合ニ於テ前金拂ヲ爲スニ非ザレバ出頭スルコト能ハザル者ノ旅費ハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ居住地ノ市町村(東京都ノ區ノ存スル區域ニ在リテハ東京都)又ハ之ニ準ズベキモノニ於テ一時繰替支辨スベシ
第十六條 運輸通信大臣必要アリト認ムルトキハ應徵船員官衙ニ使用セラルル場合ヲ除クノ外國家總動員法第六條ノ規定ニ基キ應徵船員ヲ使用スル船舶所有者ニ對シ應徵船員ノ使用又ハ從業條件ニ關シ命令ヲ爲スコトヲ得
第十七條 應徵船員故意又ハ重大ナル過失ニ因ルニ非ズシテ業務上傷痍ヲ受ケ又ハ疾病ニ罹リ之ガ爲徵用ヲ解除セラレタル場合ニ於テ本人又ハ家族ガ生活スルコト困難ナルトキハ政府ハ命令ノ定ムル所ニ依リ之ニ對シ扶助ヲ爲スコトヲ得
應徵船員故意又ハ重大ナル過失ニ因ルニ非ズシテ業務上傷痍ヲ受ケ又ハ疾病ニ罹リ之ガ爲死亡シタル場合ニ於テ遺族ガ生活スルコト困難ナルトキハ政府ハ命令ノ定ムル所ニ依リ之ニ對シ扶助ヲ爲スコトヲ得
第十八條 應徵船員船舶ニ乘組ミ職務ニ從事中戰爭危險又ハ之ニ準ズベキ危險ニ遭遇シ因リテ傷痍ヲ受ケ若ハ疾病ニ罹リ又ハ死亡シタルトキハ政府ハ命令ノ定ムル所ニ依リ本人又ハ其ノ遺族ニ對シ一時金ヲ支給ス
第十九條 第十七條ノ規定ニ依ル扶助及前條ノ規定ニ依ル一時金ノ支給ニ要シタル費用ハ應徵船員ヲ使用シタル船舶所有者ヲシテ命令ノ定ムル所ニ依リ之ヲ國庫ニ納入セシムルモノトス但シ船舶所有者ガ國ナル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
第二十一條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ特別ノ必要アル場合ヲ除クノ外之ヲ徵用セズ
一 餘人ヲ以テ代フベカラザル職ニ在ル官吏、待遇官吏又ハ公吏
二 帝國議會、東京都議會、道府縣會、市町村會其ノ他之ニ準ズベキモノノ議員
三 總動員業務ニ從事スル者ニシテ餘人ヲ以テ代フベカラザルモノ
第二十二條 左ニ揭グル者ノ徵用ニ付テハ徵用令書、徵用變更令書及徵用解除令書竝ニ其ノ交付ニ關シ命令ヲ以テ別段ノ定ヲ爲スコトヲ得
一 總動員業務ヲ行フ船舶所有者ノ使用スル船舶ニ乘組中ノ船員
二 總動員業務ヲ行フ船舶所有者ノ保有スル豫備員タル船員