船員動員令
法令番号: 勅令第二十二號
公布年月日: 昭和20年1月20日
法令の形式: 勅令
朕船員動員令ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和二十年一月十九日
內閣總理大臣 小磯國昭
海軍大臣 米內光政
大東亞大臣 重光葵
陸軍大臣 杉山元
運輸通信大臣 前田米藏
內務大臣 大達茂雄
厚生大臣 廣瀨久忠
勅令第二十二號
船員動員令
第一章 總則
第一條 國家總動員法(昭和十三年勅令第三百十七號ニ於テ依ル場合ヲ含ム以下同ジ)第四條ノ規定ニ基ク帝國臣民ノ船員トシテノ徵用、同法第六條ノ規定ニ基ク船員ノ使用、雇入、解雇若ハ退職又ハ應徵船員(本令ニ依リ徵用セラレタル者ヲ謂フ以下同ジ)ノ使用若ハ從業條件ニ關スル命令、同法第十三條第一項ノ規定ニ基ク船員ノ衞生又ハ敎育訓練ニ關スル施設ノ管理及使用、同條第二項ノ規定ニ基ク從業者ノ供用、同法第二十一條ノ規定ニ基ク船員ノ職業能力ニ關スル事項ノ申吿及其ノ職業能力ニ關スル檢查竝ニ同法第二十二條ノ規定ニ基ク船舶ノ運航ニ從事スベキ技能者ノ養成ハ本令ノ定ムル所ニ依ル
第二章 船員ノ徵用
第二條 徵用ハ國家ノ要請ニ基キ第三十五條ニ揭グル者ヲシテ總動員業務タル船舶ノ運航ニ從事セシムル爲必要アル場合ニ之ヲ行フモノトス
第三條 應徵船員ハ命令ヲ以テ定ムル船舶ニ配置セラルルモノトス
第四條 徵用及徵用ノ解除ハ運輸通信大臣之ヲ行フ
第五條 運輸通信大臣徵用ノ必要アリト認ムルトキハ徵用令書ヲ發シ徵用セラルベキ者ニ之ヲ交付スベシ
船舶所有者徵用ニ依ル船員ノ配置ヲ必要トスルトキハ運輸通信大臣ニ之ヲ請求又ハ申請スルコトヲ得
運輸通信大臣官衙ノ使用スル船舶ニ乘組中ノ者ニ付當該官衙ノ所管大臣ノ請求ナキ場合ニ於テ徵用令書ヲ發セントスルトキハ當該官衙ノ所管大臣ニ協議スベシ
第六條 徵用令書ニハ左ニ揭グル事項ヲ記載スベシ但シ軍機保護上特ニ必要アルトキハ第二號又ハ第三號ニ揭グル事項ヲ省略スルコトヲ得
一 徵用セラルベキ者ノ氏名、出生ノ年月日、本籍及居住ノ場所(現ニ乘組中ノ者ニ付テハ居住ノ場所ニ代ヘ乘組船舶ノ船名)
二 配置セラルル船舶ノ屬スル船舶所有者ノ住所及氏名又ハ名稱
三 從事スベキ職務
四 徵用ノ期間
五 出頭スベキ日時及場所
六 其ノ他必要ナル事項
第七條 運輸通信大臣ハ徵用ノ適否其ノ他ヲ判定スル爲必要アルトキハ徵用セラルベキ者ニ出頭ヲ求ムルコトヲ得
第八條 徵用令書ノ交付ヲ受ケタル者疾病其ノ他避クベカラザル事故ニ因リ指定ノ日時及場所ニ出頭スルコト能ハザル場合ニ於テハ命令ノ定ムル所ニ依リ運輸通信大臣ニ其ノ旨ヲ屆出ヅベシ
前項ノ規定ニ依ル屆出アリタル場合ニ於テ運輸通信大臣必要アリト認ムルトキハ出頭ノ日時若ハ場所ヲ變更シ又ハ其ノ者徵用ニ適セズト認ムルトキハ徵用ヲ取消スコトヲ得此ノ場合ニ於テハ出頭變更令書又ハ徵用取消令書ヲ發シ其ノ者ニ之ヲ交付スベシ
第九條 運輸通信大臣應徵船員ノ配置セラルル船舶ノ屬スル船舶所有者又ハ應徵船員ノ從事スル職務若ハ徵用ノ期間ニ付變更ノ必要アリト認ムルトキハ徵用變更令書ヲ發シ應徵船員ニ之ヲ交付スベシ
應徵船員ノ配置セラルル船舶ノ屬スル船舶所有者應徵船員ノ從事スル職務又ハ徵用ノ期間ニ付變更ヲ必要トスルトキハ運輸通信大臣ニ之ヲ請求又ハ申請スルコトヲ得
運輸通信大臣官衙ニ使用セラルル者ニ付當該官衙ノ所管大臣ノ請求ナキ場合ニ於テ徵用變更令書ヲ發セントスルトキハ當該官衙ノ所管大臣ニ協議スベシ
第十條 運輸通信大臣徵用解除ノ必要アリト認ムルトキハ徵用解除令書ヲ發シ應徵船員ニ之ヲ交付スベシ
應徵船員ノ配置セラルル船舶ノ屬スル船舶所有者應徵船員ガ疾病其ノ他ノ事由ニ因リ職務ニ從事スルニ適セズト認ムルトキ又ハ其ノ者ノ配置ヲ必要トセザルニ至リタルトキハ遲滯ナク運輸通信大臣ニ徵用ノ解除ヲ請求又ハ申請スベシ
應徵船員疾病其ノ他ノ事由ニ因リ職務ニ從事シ難キ場合ニ於テハ官衙ニ使用セラルル者ニ在リテハ當該官衙ノ所管大臣ニ、其ノ他ノ者ニ在リテハ運輸通信大臣ニ其ノ旨ヲ申出ヅルコトヲ得
運輸通信大臣官衙ニ使用セラルル者ニ付當該官衙ノ所管大臣ノ請求ナキ場合ニ於テ徵用解除令書ヲ發セントスルトキハ當該官衙ノ所管大臣ニ協議スベシ
第十一條 應徵船員ノ表彰ニ關シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第十二條 應徵船員ノ服務及服制ニ關シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第十三條 應徵船員ハ前條ノ規定ニ基キテ發スル命令ニ依ルノ外其ノ職務ニ關シ官衙ニ使用セラルル者ニ在リテハ當該官衙ノ長ノ指揮ヲ受ケ其ノ他ノ者ニ在リテハ命令ノ定ムル所ニ依リテ爲ス船舶所有者ノ指揮ヲ受クベシ
第十四條 應徵船員ニ對スル給與ハ命令ノ定ムル所ニ依リ應徵船員ノ配置セラルル船舶ノ屬スル船舶所有者之ヲ支給スルモノトス
第十五條 左ノ各號ノ一ニ該當スル場合ニ於テハ命令ノ定ムル所ニ依リ應徵船員ノ配置セラルル船舶ノ屬スル船舶所有者其ノ旅費ヲ支給スルモノトス
一 徵用セラルベキ者第七條ノ規定ニ依リ出頭スル場合
二 應徵船員徵用令書ノ交付ヲ受ケ出頭スル場合
三 應徵船員徵用ヲ解除セラレ歸鄕スル場合
四 應徵船員其ノ家族ノ危篤又ハ死亡ノ爲船舶所有者又ハ船長ノ許可ヲ受ケ一時歸鄕スル場合
五 應徵船員ノ危篤又ハ死亡ノ爲船舶所有者又ハ船長ノ通知ニ依リ應徵船員ノ家族又ハ遺族出頭スル場合
前項第一號又ハ第二號ノ場合ニ於テ前金拂ヲ爲スニ非ザレバ出頭スルコト能ハザル者ノ旅費ハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ居住地ノ市町村(東京都ノ區ノ存スル區域ニ在リテハ東京都)又ハ之ニ準ズベキモノニ於テ一時繰替支辨スベシ
第一項ノ家族又ハ遺族ノ範圍ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第十六條 運輸通信大臣必要アリト認ムルトキハ應徵船員官衙ニ使用セラルル場合ヲ除クノ外國家總動員法第六條ノ規定ニ基キ應徵船員ヲ使用スル船舶所有者ニ對シ應徵船員ノ使用又ハ從業條件ニ關シ命令ヲ爲スコトヲ得
第十七條 應徵船員故意又ハ重大ナル過失ニ因ルニ非ズシテ業務上傷痍ヲ受ケ又ハ疾病ニ罹リ之ガ爲徵用ヲ解除セラレタル場合ニ於テ本人又ハ家族ガ生活スルコト困難ナルトキハ政府ハ命令ノ定ムル所ニ依リ之ニ對シ扶助ヲ爲スコトヲ得
應徵船員故意又ハ重大ナル過失ニ因ルニ非ズシテ業務上傷痍ヲ受ケ又ハ疾病ニ罹リ之ガ爲死亡シタル場合ニ於テ遺族ガ生活スルコト困難ナルトキハ政府ハ命令ノ定ムル所ニ依リ之ニ對シ扶助ヲ爲スコトヲ得
前二項ノ家族又ハ遺族ノ範圍ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第十八條 應徵船員船舶ニ乘組ミ職務ニ從事中戰爭危險又ハ之ニ準ズベキ危險ニ遭遇シ因リテ傷痍ヲ受ケ若ハ疾病ニ罹リ又ハ死亡シタルトキハ政府ハ命令ノ定ムル所ニ依リ本人又ハ其ノ遺族ニ對シ一時金ヲ支給ス
前項ノ遺族ノ範圍及順位ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第十九條 第十七條ノ規定ニ依ル扶助及前條ノ規定ニ依ル一時金ノ支給ニ要シタル費用ハ應徵船員ヲ使用シタル船舶所有者ヲシテ命令ノ定ムル所ニ依リ之ヲ國庫ニ納入セシムルモノトス但シ船舶所有者ガ國ナル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
第二十條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ之ヲ徵用セズ
一 陸海軍軍人ニシテ現役中ノモノ(未ダ入營セザル者ヲ除ク)及召集中ノモノ(召集中ノ身分取扱ヲ受クル者ヲ含ム)
二 陸海軍學生生徒(海軍豫備練習生及海軍豫備補習生ヲ含ム)
三 醫療關係者職業能力申吿令ニ依リ申吿ヲ爲スベキ者(總動員業務ヲ行フ船舶所有者ノ使用スル船舶ニ乘組中ノ者ヲ除ク)
四 獸醫師等職業能力申吿令ニ依リ申吿ヲ爲スベキ者
五 法令ニ依リ拘禁中ノ者
第二十一條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ特別ノ必要アル場合ヲ除クノ外之ヲ徵用セズ
一 餘人ヲ以テ代フベカラザル職ニ在ル官吏、待遇官吏又ハ公吏
二 帝國議會、東京都議會、道府縣會、市町村會其ノ他之ニ準ズベキモノノ議員
三 總動員業務ニ從事スル者ニシテ餘人ヲ以テ代フベカラザルモノ
第二十二條 左ニ揭グル者ノ徵用ニ付テハ徵用令書、徵用變更令書及徵用解除令書竝ニ其ノ交付ニ關シ命令ヲ以テ別段ノ定ヲ爲スコトヲ得
一 總動員業務ヲ行フ船舶所有者ノ使用スル船舶ニ乘組中ノ船員
二 總動員業務ヲ行フ船舶所有者ノ保有スル豫備員タル船員
第三章 船員ノ使用、雇入、解雇及退職
第二十三條 運輸通信大臣必要アリト認ムルトキハ船舶所有者ニ對シ命令ヲ以テ定ムル船舶ノ乘組員數又ハ豫備員タル船員ノ保有ニ關シ必要ナル命令ヲ爲スコトヲ得
第二十四條 運輸通信大臣必要アリト認ムルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ船舶所有者ニ對シ其ノ雇傭スル船員ヲ期間ヲ限リテ他ノ船舶所有者ヲシテ使用セシムベキコトヲ命ズルコトヲ得
前項ノ命令ニ依リ船員ヲ使用セシムル場合ニ於テハ當事者タル船舶所有者ハ之ニ伴フ費用ノ負擔其ノ他必要ナル事項ニ關シ協議スベシ協議調ハズ又ハ協議ヲ爲スコト能ハザルトキハ運輸通信大臣ノ裁定スル所ニ依ルベシ
第一項ノ船員ニ對スル給與ハ當該船員ヲ使用スル船舶所有者從前ノ給與ヲ斟酌シテ之ヲ支給スルモノトス
第二十五條 何人ト雖モ船舶所有者ニ雇傭セラルル船員ニシテ運輸通信大臣ノ指定スルモノニ對シ船員以外ノ者トシテ雇傭セラルルコトヲ勸誘シ又ハ他人ヲシテ勸誘セシムルコトヲ得ズ
第二十六條 海運局長必要アリト認ムルトキハ前條ノ規定ニ違反シ船員ヲ雇傭シタル者ニ對シ當該船員ノ解雇ヲ命ズルコトヲ得
第二十七條 運輸通信大臣必要アリト認ムルトキハ船員ノ雇入、解雇又ハ退職ノ制限ニ關シ必要ナル命令ヲ爲スコトヲ得
雇傭期間ノ滿了其ノ他解雇及退職以外ノ事由ニ因リ船員ノ雇傭關係ノ終了スル場合ニ於テハ引續キ雇傭關係ヲ存續セシムルコトヲ要ス但シ命令ノ定ムル所ニ依リ運輸通信大臣ノ認可ヲ受ケタル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
前二項ノ規定ハ海員ノ雇入契約ニハ之ヲ適用セズ
第二十八條 運輸通信大臣ノ指定スル船員養成施設ニ於テ本令施行後其ノ課程ヲ修了スル者ヲ雇傭契約ニ基キ使用セントスル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ使用員數ニ付運輸通信大臣ノ認可ヲ受クベシ
第二十九條 本章ノ規定ハ國及都道府縣ニハ之ヲ適用セズ
第四章 施設ノ管理及使用
第三十條 運輸通信大臣必要アリト認ムルトキハ船舶所有者又ハ海事ニ關スル法人ニ屬スル船員ノ衞生又ハ敎育訓練ニ關スル施設ヲ管理スルコトヲ得
第三十一條 運輸通信大臣ハ前條ノ規定ニ依リ管理スル施設ニ於ケル船員ノ衞生又ハ敎育訓練ニ關スル業務ニ付經營者ヲ指揮監督ス
第三十二條 工場事業場管理令第三十條、第四條第一號乃至第三號及第五號、第五條(第二條ノ規定ヲ準用スル部分ヲ除ク)竝ニ第八條乃至第十二條ノ規定ハ第三十條ノ規定ニ依ル施設ノ管理ニ之ヲ準用ス但シ同令中主務大臣トアルハ運輸通信大臣トシ同令第四條第三號中第十四條ノ規定ニ依リ主務大臣ノ職權ノ一部ヲ行フ者トアルハ船員動員令第五十三條ノ規定ニ依リ同令第三十條ノ管理ニ關スル運輸通信大臣ノ職權ノ一部ヲ行フ海運局長トス
第三十三條 運輸通信大臣必要アリト認ムルトキハ船舶所有者又ハ海事ニ關スル法人ニ屬スル船員ノ衞生又ハ敎育訓練ニ關スル施設ヲ使用スルコトヲ得
運輸通信大臣前項ノ規定ニ依リ同項ノ施設ヲ使用スル場合ニ於テ必要アリト認ムルトキハ其ノ從業者ヲ供用セシムルコトヲ得
第三十四條 工場事業場使用收用令第三條乃至第十二條、第十八條第一項、第十九條、第二十一條乃至第二十五條及第三十條第二項ノ規定ハ前條ノ規定ニ依ル施設ノ使用及從業者ノ供用ニ之ヲ準用ス但シ同令中主務大臣トアルハ運輸通信大臣トシ同令第五條第六號中第三十條第一項ノ規定ニ依リ所轄官衙ノ長又ハ地方長官ヲシテ第六條又ハ第十條第一項ノ規定ニ依ル主務大臣ノ職權ヲ行ハシムル場合トアルハ船員動員令第五十三條ノ規定ニ依リ海運局長ヲシテ同令第三十四條ニ於テ準用スル工場事業場使用收用令第六條又ハ第十條第一項ノ規定ニ依ル運輸通信大臣ノ職權ヲ行ハシムル場合トシ同令第二十四條第二項中閣令トアルハ命令トス
第五章 職業能力ノ申吿及檢查
第三十五條 左ニ揭グル者(以下要申吿者ト稱ス)ハ本章ノ規定ニ依リ職業能力ニ關スル事項ノ申吿ヲ爲スベシ
一 船員法第一條(朝鮮船員令及關東州船員令ニ於テ依ル場合ヲ含ム)ニ規定スル船員
二 小形船舶乘組員手帳法第一條第一項ニ規定スル船員
三 海技免狀ヲ有スル者
四 運輸通信大臣ノ指定スル船員養成施設ニ於テ其ノ課程ヲ終了シタル者ニシテ年齡六十年未滿ノモノ
五 第一號又ハ第二號ノ船員(小形船舶乘組員手帳法施行前ニ同法第一條第一項ニ規定スル船員ニ該當セシ者ヲ含ム)トシテ六月以上船舶ニ乘組ミタル者ニシテ年齡六十年未滿ノモノ
六 總動員業務ヲ行フ船舶所有者ノ保有スル豫備員タル船員
七 總噸數三十噸未滿ノ漁船ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノノ乘組員及六月以上該船舶ニ乘組ミタル者ニシテ年齡六十年未滿ノモノ
八 其ノ他運輸通信大臣ノ指定スル者
第三十六條 職業能力ニ關スル事項ノ申吿ハ每年一囘之ヲ爲サシムルモノトス
前項ノ申吿ハ七月一日現在ニ依リ同月十五日迄ニ之ヲ爲スベシ
第三十七條 要申吿者ハ左ニ揭グル事項ヲ居住地ヲ管轄スル管海官廳ニ申吿スベシ
一 氏名
二 男女ノ別
三 出生ノ年月日
四 本籍
五 居住ノ場所
六 兵役關係
七 學歷
八 船員手帳又ハ小形船舶乘組員手帳ヲ有スルトキハ其ノ管海官廳略號及番號
九 海技免狀ヲ有スルトキハ其ノ種類及番號
十 無線通信士資格檢定合格證書ヲ有スルトキハ其ノ等級及番號
十一 乘船履歷
十二 現ニ從事スル業務
十三 俸給、給料等ヲ受クル者ナルトキハ其ノ額
十四 健康狀況殊ニ船內勤務ニ關スル支障ノ有無
十五 配偶者ノ有無及現ニ扶養スル者ノ數
十六 船內勤務ニ關スル希望
十七 其ノ他命令ヲ以テ定ムル事項
要申吿者前項ノ規定ニ依ル申吿ヲ爲シタル後同項第一號、第四號乃至第六號及第十二號ニ揭グル事項ニ變更ヲ生ジタルトキハ第三十九條ニ揭グル場合ヲ除クノ外三十日以內ニ居住地ヲ管轄スル管海官廳ニ其ノ旨ヲ申吿スベシ
第三十八條 第三十五條第一號及第二號ノ船員ハ本章ノ規定ニ依ル申吿ヲ爲スコトヲ要セズ但シ第二項ニ規定スル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
運輸通信大臣必要アリト認ムルトキハ第三十六條ノ規定ニ依ル申吿ノ外要申吿者ノ全部又ハ一部ニ對シ命令ノ定ムル所ニ依リ前條第一項ニ揭グル事項ノ全部又ハ一部ヲ申吿セシムルコトヲ得
第三十九條 要申吿者第三十六條乃至前條ノ規定ニ依ル申吿ヲ爲シタル後左ノ各號ノ一ニ該當スルトキハ遲滯ナク前ニ申吿ヲ爲シタル管海官廳ニ其ノ旨ヲ申吿スベシ
一 第四十一條ノ規定ニ該當スルニ至リタルトキ
二 本令施行地外ニ居住ノ場所ヲ移シタルトキ
第四十條 管海官廳ハ命令ノ定ムル所ニ依リ當該官吏ヲシテ本章ノ規定ニ依ル申吿ヲ爲シタル者ニ就キ其ノ職業能力ニ關シ檢查ヲ爲サシムルコトヲ得
第四十一條 本章ノ規定ハ第三十九條第一號ノ規定ニ依ル申吿ニ關スル規定ヲ除クノ外陸海軍軍人ニシテ現役中ノモノ(未ダ入營セザル者及歸休下士官兵ヲ除ク)及戰時若ハ事變ニ際シ又ハ兵役法第五十五條第二項ノ規定(志願ニ依リ兵籍ニ編入セラレタル者ニ付テハ之ニ該當スル勅令ノ規定ヲ含ム)ニ依リ召集中ノモノ、兵籍ニ編入セラレタル陸海軍學生生徒(海軍豫備練習生及海軍豫備補習生ヲ含ム)、國家總動員法第四條ノ規定ニ依リ徵用中ノ者(國民徵用令ニ依リ徵用中ノ者ヲ除ク)、醫療關係者職業能力申吿令ニ依リ申吿ヲ爲スベキ者(總動員業務ヲ行フ船舶所有者ノ使用スル船舶ニ乘組中ノ者ヲ除ク)竝ニ獸醫師等職業能力申吿令ニ依リ申吿ヲ爲スベキ者ニハ之ヲ適用セズ
第四十二條 要申吿者ニシテ左ノ各號ノ一ニ該當スルモノノ申吿ニ關シテハ命令ノ定ムル所ニ依リ申吿期限ヲ延長スルコトヲ得
一 陸海軍軍人ニシテ召集中ノモノ(前條ニ規定スル召集中ノ者ヲ除ク)
二 外國旅行中ノ者
三 其ノ他命令ヲ以テ定ムル者
第六章 船舶運航技能者ノ養成
第四十三條 運輸通信大臣ハ船舶運航技能者養成施設ノ管理者又ハ船舶所有者ニ對シ技能ノ種類及養成セラルベキ者ノ員數ヲ定メ技能者ノ養成ヲ命ズルコトヲ得
運輸通信大臣ハ前項ノ規定ニ依ル命令ヲ受ケタル者ニ對シ養成ノ爲必要ナル施設ヲ命ズルコトヲ得
第四十四條 前條ノ規定ニ依リ養成セラルベキ者ハ命令ノ定ムル資格ヲ具フル者ナルコトヲ要ス
養成期間及養成方法ハ技能ノ種類及養成セラルベキ者ノ履歷ニ應ジ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第四十五條 第四十三條第一項ノ規定ニ依リ技能者ノ養成ヲ命ゼラレタル者ハ養成計畫ヲ定メ海運局長ノ認可ヲ受クベシ其ノ計畫ヲ變更セントスルトキ亦同ジ
海運局長必要アリト認ムルトキハ養成計畫ノ變更ヲ命ズルコトヲ得
第四十六條 第四十三條第一項ノ規定ニ依リ技能者ノ養成ヲ命ゼラレタル船舶所有者ハ養成セラルベキ者ヲシテ授業料其ノ他養成ノ爲必要ナル費用ヲ負擔セシムルコトヲ得ズ但シ命令ノ定ムル所ニ依リ海運局長ノ許可ヲ受ケタル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
第四十七條 海運局長ハ船舶運航技能者養成施設ノ管理者ニ對シ左ニ揭グル事項ニ關シ必要ナル變更ヲ命ズルコトヲ得
一 講習ノ科目及時間
二 養成スベキ技能ノ種類及養成セラルベキ者ノ員數
三 養成セラルベキ者ノ資格
四 養成期間
五 其ノ他養成ニ關シ必要ナル事項
第四十八條 運輸通信大臣ハ其ノ定ムル所ニ依リ本章ノ規定ニ依ル命令ヲ受ケタル者ニ對シ豫算ノ範圍內ニ於テ補助金ヲ交付ス
運輸通信大臣ハ本章ノ規定ニ依ル技能者養成ニ因リ損失ヲ生ジタル場合ニ於テハ通常生ズベキ損失ヲ補償ス
損失ノ補償ヲ請求セントスル者ハ養成期間ノ終了後之ヲ請求スベシ但シ運輸通信大臣ノ定ムル所ニ依リ別段ノ時期ニ之ヲ請求スルコトヲ得
第四十九條 本章ノ規定ハ農商大臣ヨリ漁船運航技能者養成ノ爲補助金其ノ他ノ交付金ヲ受クル公共團體其ノ他ノ營利ヲ目的トセザル法人ニ對シ專ラ漁船ニ乘組ムベキ船舶運航技能者ノ養成ヲ命ズルコトニ關シテハ之ヲ適用セズ
第五十條 運輸通信大臣ガ漁業者タル漁船所有者ニ對シ第四十三條ノ規定ニ依ル命令ヲ爲サントスル場合及前條ノ公共團體其ノ他ノ法人ニ對シ同條ニ揭グル以外ノ船舶運航技能者ノ養成又ハ養成施設ニ關シ第四十三條ノ規定ニ依ル命令ヲ爲サントスル場合ニ於テハ豫メ農商大臣ニ協議スベシ
前項ノ規定ハ朝鮮、臺灣及南洋群島ニ於テハ之ヲ適用セズ
第七章 雜則
第五十一條 運輸通信大臣ハ國家總動員法第三十一條ノ規定ニ基キ船員ノ徵用、使用、雇入、解雇若ハ退職、應徵船員ノ使用若ハ從業條件、船員ノ衞生若ハ敎育訓練ニ關スル施設ノ管理若ハ使用、從業者ノ供用、職業能力ニ關スル事項ノ申吿若ハ船舶運航技能者ノ養成ニ關シ必要ナル報吿ヲ徵シ又ハ當該官吏ヲシテ船舶、事務所其ノ他ノ場所ニ臨檢シ業務ノ狀況若ハ帳簿書類其ノ他ノ物件ヲ檢查セシムルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ當該官吏ヲシテ臨檢檢查セシムル場合ニ於テハ其ノ身分ヲ示ス證票ヲ携帶セシムベシ
第五十二條 本令及本令ニ基キテ發スル命令中船舶所有者ニ關スル規定ハ船舶共有ノ場合ニ在リテ船舶管理人ヲ置キタルトキハ船舶管理人ニ、船舶貸借ノ場合ニ在リテハ船舶借入人ニ之ヲ適用ス
第五十三條 運輸通信大臣ハ海運局長ヲシテ本令ニ定ムル職權ノ一部ヲ行ハシムルコトヲ得
第五十四條 本令中運輸通信大臣トアリ又ハ當該官衙ノ所管大臣トアルハ當該官衙ノ所管大臣ガ陸軍大臣又ハ海軍大臣タル場合ヲ除クノ外朝鮮、臺灣又ハ南洋群島ニ在リテハ各朝鮮總督、臺灣總督又ハ南洋廳長官トシ海運局長トアルハ朝鮮又ハ臺灣ニ在リテハ各朝鮮總督府交通局長又ハ臺灣總督府交通局總長トシ海運局長トアリ又ハ管海官廳トアルハ南洋群島ニ在リテハ南洋廳長官ノ指定スル行政官廳トシ都道府縣トアルハ朝鮮、臺灣又ハ南洋群島ニ在リテハ各道、州若ハ廳又ハ南洋群島地方費トス
第五十五條 本令ニ規定スルモノノ外船員ノ徵用、使用、雇入、解雇若ハ退職又ハ應徵船員ノ使用若ハ從業條件ニ關スル命令、船員ノ衞生又ハ敎育訓練ニ關スル施設ノ管理及使用、從業者ノ供用、職業能力ニ關スル事項ノ申吿竝ニ船舶運航技能者ノ養成ニ關シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
附 則
本令ハ昭和二十年一月二十五日ヨリ之ヲ施行ス
船員職業能力申吿令、船舶運航技能者養成令、船員徵用令及船員使用等統制令ハ之ヲ廢止ス
戰時海運管理令中左ノ通改正ス
第一條中「ニ乘組マシムベキ船員ノ徵用、同法第六條ノ規定ニ基ク被徵用船員ノ解雇、從業、退職又ハ給與ニ關スル命令、同法第八條ノ規定ニ基ク船舶運營會ノ運航スル船舶」及「及船員ノ衞生及敎育訓練ニ關スル施設ノ管理」ヲ削リ「第四條」ヲ「第八條」ニ改ム
「第三章 船員徵用」ヲ削ル
第十八條乃至第二十九條 削除
「第四章 船舶運營會」ヲ「第三章 船舶運營會」ニ改ム
第四十六條 削除
第四十八條 削除
「第五章 雜則」ヲ「第四章 雜則」ニ改ム
第六十一條第一項中「第二十七條ノ規定ニ依ル處分ニ因リ通常生ズベキ損失及」ヲ削ル
第六十二條第一項中「、運輸通信大臣ノ管理ニ係ル船員ノ衞生及敎育訓練ニ關スル施設ノ經營者」ヲ削ル
第六十五條第一項中「第四章」ヲ「第三章」ニ改ム
第六十七條ヲ削ル
第六十八條中「、船員徵用」ヲ削リ同條ヲ第六十七條トス
國民徵用令中左ノ通改正ス
第十五條ノ二 被徵用者船員動員令ニ依リ徵用セラレタルトキハ本令ニ依ル徵用ハ解除セラレタルモノト看做ス
本令施行前ニ爲シタル行爲ニ關スル罰則ノ適用ニ付テハ仍從前ノ例ニ依ル
本令施行前船員職業能力申吿令、船舶運航技能者養成令、船員徵用令若ハ船員使用等統制令又ハ戰時海運管理令中ノ船員ノ徵用若ハ船員ノ衞生及敎育訓練ニ關スル施設ノ管理ニ關スル規定ニ基キテ發シ又ハ爲シタル命令又ハ處分ハ之ヲ本令中ノ相當規定ニ基キテ發シ又ハ爲シタル命令又ハ處分ト看做ス
朕船員動員令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和二十年一月十九日
内閣総理大臣 小磯国昭
海軍大臣 米内光政
大東亜大臣 重光葵
陸軍大臣 杉山元
運輸通信大臣 前田米蔵
内務大臣 大達茂雄
厚生大臣 広瀬久忠
勅令第二十二号
船員動員令
第一章 総則
第一条 国家総動員法(昭和十三年勅令第三百十七号ニ於テ依ル場合ヲ含ム以下同ジ)第四条ノ規定ニ基ク帝国臣民ノ船員トシテノ徴用、同法第六条ノ規定ニ基ク船員ノ使用、雇入、解雇若ハ退職又ハ応徴船員(本令ニ依リ徴用セラレタル者ヲ謂フ以下同ジ)ノ使用若ハ従業条件ニ関スル命令、同法第十三条第一項ノ規定ニ基ク船員ノ衛生又ハ教育訓練ニ関スル施設ノ管理及使用、同条第二項ノ規定ニ基ク従業者ノ供用、同法第二十一条ノ規定ニ基ク船員ノ職業能力ニ関スル事項ノ申告及其ノ職業能力ニ関スル検査並ニ同法第二十二条ノ規定ニ基ク船舶ノ運航ニ従事スベキ技能者ノ養成ハ本令ノ定ムル所ニ依ル
第二章 船員ノ徴用
第二条 徴用ハ国家ノ要請ニ基キ第三十五条ニ掲グル者ヲシテ総動員業務タル船舶ノ運航ニ従事セシムル為必要アル場合ニ之ヲ行フモノトス
第三条 応徴船員ハ命令ヲ以テ定ムル船舶ニ配置セラルルモノトス
第四条 徴用及徴用ノ解除ハ運輸通信大臣之ヲ行フ
第五条 運輸通信大臣徴用ノ必要アリト認ムルトキハ徴用令書ヲ発シ徴用セラルベキ者ニ之ヲ交付スベシ
船舶所有者徴用ニ依ル船員ノ配置ヲ必要トスルトキハ運輸通信大臣ニ之ヲ請求又ハ申請スルコトヲ得
運輸通信大臣官衙ノ使用スル船舶ニ乗組中ノ者ニ付当該官衙ノ所管大臣ノ請求ナキ場合ニ於テ徴用令書ヲ発セントスルトキハ当該官衙ノ所管大臣ニ協議スベシ
第六条 徴用令書ニハ左ニ掲グル事項ヲ記載スベシ但シ軍機保護上特ニ必要アルトキハ第二号又ハ第三号ニ掲グル事項ヲ省略スルコトヲ得
一 徴用セラルベキ者ノ氏名、出生ノ年月日、本籍及居住ノ場所(現ニ乗組中ノ者ニ付テハ居住ノ場所ニ代ヘ乗組船舶ノ船名)
二 配置セラルル船舶ノ属スル船舶所有者ノ住所及氏名又ハ名称
三 従事スベキ職務
四 徴用ノ期間
五 出頭スベキ日時及場所
六 其ノ他必要ナル事項
第七条 運輸通信大臣ハ徴用ノ適否其ノ他ヲ判定スル為必要アルトキハ徴用セラルベキ者ニ出頭ヲ求ムルコトヲ得
第八条 徴用令書ノ交付ヲ受ケタル者疾病其ノ他避クベカラザル事故ニ因リ指定ノ日時及場所ニ出頭スルコト能ハザル場合ニ於テハ命令ノ定ムル所ニ依リ運輸通信大臣ニ其ノ旨ヲ届出ヅベシ
前項ノ規定ニ依ル届出アリタル場合ニ於テ運輸通信大臣必要アリト認ムルトキハ出頭ノ日時若ハ場所ヲ変更シ又ハ其ノ者徴用ニ適セズト認ムルトキハ徴用ヲ取消スコトヲ得此ノ場合ニ於テハ出頭変更令書又ハ徴用取消令書ヲ発シ其ノ者ニ之ヲ交付スベシ
第九条 運輸通信大臣応徴船員ノ配置セラルル船舶ノ属スル船舶所有者又ハ応徴船員ノ従事スル職務若ハ徴用ノ期間ニ付変更ノ必要アリト認ムルトキハ徴用変更令書ヲ発シ応徴船員ニ之ヲ交付スベシ
応徴船員ノ配置セラルル船舶ノ属スル船舶所有者応徴船員ノ従事スル職務又ハ徴用ノ期間ニ付変更ヲ必要トスルトキハ運輸通信大臣ニ之ヲ請求又ハ申請スルコトヲ得
運輸通信大臣官衙ニ使用セラルル者ニ付当該官衙ノ所管大臣ノ請求ナキ場合ニ於テ徴用変更令書ヲ発セントスルトキハ当該官衙ノ所管大臣ニ協議スベシ
第十条 運輸通信大臣徴用解除ノ必要アリト認ムルトキハ徴用解除令書ヲ発シ応徴船員ニ之ヲ交付スベシ
応徴船員ノ配置セラルル船舶ノ属スル船舶所有者応徴船員ガ疾病其ノ他ノ事由ニ因リ職務ニ従事スルニ適セズト認ムルトキ又ハ其ノ者ノ配置ヲ必要トセザルニ至リタルトキハ遅滞ナク運輸通信大臣ニ徴用ノ解除ヲ請求又ハ申請スベシ
応徴船員疾病其ノ他ノ事由ニ因リ職務ニ従事シ難キ場合ニ於テハ官衙ニ使用セラルル者ニ在リテハ当該官衙ノ所管大臣ニ、其ノ他ノ者ニ在リテハ運輸通信大臣ニ其ノ旨ヲ申出ヅルコトヲ得
運輸通信大臣官衙ニ使用セラルル者ニ付当該官衙ノ所管大臣ノ請求ナキ場合ニ於テ徴用解除令書ヲ発セントスルトキハ当該官衙ノ所管大臣ニ協議スベシ
第十一条 応徴船員ノ表彰ニ関シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第十二条 応徴船員ノ服務及服制ニ関シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第十三条 応徴船員ハ前条ノ規定ニ基キテ発スル命令ニ依ルノ外其ノ職務ニ関シ官衙ニ使用セラルル者ニ在リテハ当該官衙ノ長ノ指揮ヲ受ケ其ノ他ノ者ニ在リテハ命令ノ定ムル所ニ依リテ為ス船舶所有者ノ指揮ヲ受クベシ
第十四条 応徴船員ニ対スル給与ハ命令ノ定ムル所ニ依リ応徴船員ノ配置セラルル船舶ノ属スル船舶所有者之ヲ支給スルモノトス
第十五条 左ノ各号ノ一ニ該当スル場合ニ於テハ命令ノ定ムル所ニ依リ応徴船員ノ配置セラルル船舶ノ属スル船舶所有者其ノ旅費ヲ支給スルモノトス
一 徴用セラルベキ者第七条ノ規定ニ依リ出頭スル場合
二 応徴船員徴用令書ノ交付ヲ受ケ出頭スル場合
三 応徴船員徴用ヲ解除セラレ帰郷スル場合
四 応徴船員其ノ家族ノ危篤又ハ死亡ノ為船舶所有者又ハ船長ノ許可ヲ受ケ一時帰郷スル場合
五 応徴船員ノ危篤又ハ死亡ノ為船舶所有者又ハ船長ノ通知ニ依リ応徴船員ノ家族又ハ遺族出頭スル場合
前項第一号又ハ第二号ノ場合ニ於テ前金払ヲ為スニ非ザレバ出頭スルコト能ハザル者ノ旅費ハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ居住地ノ市町村(東京都ノ区ノ存スル区域ニ在リテハ東京都)又ハ之ニ準ズベキモノニ於テ一時繰替支弁スベシ
第一項ノ家族又ハ遺族ノ範囲ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第十六条 運輸通信大臣必要アリト認ムルトキハ応徴船員官衙ニ使用セラルル場合ヲ除クノ外国家総動員法第六条ノ規定ニ基キ応徴船員ヲ使用スル船舶所有者ニ対シ応徴船員ノ使用又ハ従業条件ニ関シ命令ヲ為スコトヲ得
第十七条 応徴船員故意又ハ重大ナル過失ニ因ルニ非ズシテ業務上傷痍ヲ受ケ又ハ疾病ニ罹リ之ガ為徴用ヲ解除セラレタル場合ニ於テ本人又ハ家族ガ生活スルコト困難ナルトキハ政府ハ命令ノ定ムル所ニ依リ之ニ対シ扶助ヲ為スコトヲ得
応徴船員故意又ハ重大ナル過失ニ因ルニ非ズシテ業務上傷痍ヲ受ケ又ハ疾病ニ罹リ之ガ為死亡シタル場合ニ於テ遺族ガ生活スルコト困難ナルトキハ政府ハ命令ノ定ムル所ニ依リ之ニ対シ扶助ヲ為スコトヲ得
前二項ノ家族又ハ遺族ノ範囲ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第十八条 応徴船員船舶ニ乗組ミ職務ニ従事中戦争危険又ハ之ニ準ズベキ危険ニ遭遇シ因リテ傷痍ヲ受ケ若ハ疾病ニ罹リ又ハ死亡シタルトキハ政府ハ命令ノ定ムル所ニ依リ本人又ハ其ノ遺族ニ対シ一時金ヲ支給ス
前項ノ遺族ノ範囲及順位ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第十九条 第十七条ノ規定ニ依ル扶助及前条ノ規定ニ依ル一時金ノ支給ニ要シタル費用ハ応徴船員ヲ使用シタル船舶所有者ヲシテ命令ノ定ムル所ニ依リ之ヲ国庫ニ納入セシムルモノトス但シ船舶所有者ガ国ナル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
第二十条 左ノ各号ノ一ニ該当スル者ハ之ヲ徴用セズ
一 陸海軍軍人ニシテ現役中ノモノ(未ダ入営セザル者ヲ除ク)及召集中ノモノ(召集中ノ身分取扱ヲ受クル者ヲ含ム)
二 陸海軍学生生徒(海軍予備練習生及海軍予備補習生ヲ含ム)
三 医療関係者職業能力申告令ニ依リ申告ヲ為スベキ者(総動員業務ヲ行フ船舶所有者ノ使用スル船舶ニ乗組中ノ者ヲ除ク)
四 獣医師等職業能力申告令ニ依リ申告ヲ為スベキ者
五 法令ニ依リ拘禁中ノ者
第二十一条 左ノ各号ノ一ニ該当スル者ハ特別ノ必要アル場合ヲ除クノ外之ヲ徴用セズ
一 余人ヲ以テ代フベカラザル職ニ在ル官吏、待遇官吏又ハ公吏
二 帝国議会、東京都議会、道府県会、市町村会其ノ他之ニ準ズベキモノノ議員
三 総動員業務ニ従事スル者ニシテ余人ヲ以テ代フベカラザルモノ
第二十二条 左ニ掲グル者ノ徴用ニ付テハ徴用令書、徴用変更令書及徴用解除令書並ニ其ノ交付ニ関シ命令ヲ以テ別段ノ定ヲ為スコトヲ得
一 総動員業務ヲ行フ船舶所有者ノ使用スル船舶ニ乗組中ノ船員
二 総動員業務ヲ行フ船舶所有者ノ保有スル予備員タル船員
第三章 船員ノ使用、雇入、解雇及退職
第二十三条 運輸通信大臣必要アリト認ムルトキハ船舶所有者ニ対シ命令ヲ以テ定ムル船舶ノ乗組員数又ハ予備員タル船員ノ保有ニ関シ必要ナル命令ヲ為スコトヲ得
第二十四条 運輸通信大臣必要アリト認ムルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ船舶所有者ニ対シ其ノ雇傭スル船員ヲ期間ヲ限リテ他ノ船舶所有者ヲシテ使用セシムベキコトヲ命ズルコトヲ得
前項ノ命令ニ依リ船員ヲ使用セシムル場合ニ於テハ当事者タル船舶所有者ハ之ニ伴フ費用ノ負担其ノ他必要ナル事項ニ関シ協議スベシ協議調ハズ又ハ協議ヲ為スコト能ハザルトキハ運輸通信大臣ノ裁定スル所ニ依ルベシ
第一項ノ船員ニ対スル給与ハ当該船員ヲ使用スル船舶所有者従前ノ給与ヲ斟酌シテ之ヲ支給スルモノトス
第二十五条 何人ト雖モ船舶所有者ニ雇傭セラルル船員ニシテ運輸通信大臣ノ指定スルモノニ対シ船員以外ノ者トシテ雇傭セラルルコトヲ勧誘シ又ハ他人ヲシテ勧誘セシムルコトヲ得ズ
第二十六条 海運局長必要アリト認ムルトキハ前条ノ規定ニ違反シ船員ヲ雇傭シタル者ニ対シ当該船員ノ解雇ヲ命ズルコトヲ得
第二十七条 運輸通信大臣必要アリト認ムルトキハ船員ノ雇入、解雇又ハ退職ノ制限ニ関シ必要ナル命令ヲ為スコトヲ得
雇傭期間ノ満了其ノ他解雇及退職以外ノ事由ニ因リ船員ノ雇傭関係ノ終了スル場合ニ於テハ引続キ雇傭関係ヲ存続セシムルコトヲ要ス但シ命令ノ定ムル所ニ依リ運輸通信大臣ノ認可ヲ受ケタル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
前二項ノ規定ハ海員ノ雇入契約ニハ之ヲ適用セズ
第二十八条 運輸通信大臣ノ指定スル船員養成施設ニ於テ本令施行後其ノ課程ヲ修了スル者ヲ雇傭契約ニ基キ使用セントスル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ使用員数ニ付運輸通信大臣ノ認可ヲ受クベシ
第二十九条 本章ノ規定ハ国及都道府県ニハ之ヲ適用セズ
第四章 施設ノ管理及使用
第三十条 運輸通信大臣必要アリト認ムルトキハ船舶所有者又ハ海事ニ関スル法人ニ属スル船員ノ衛生又ハ教育訓練ニ関スル施設ヲ管理スルコトヲ得
第三十一条 運輸通信大臣ハ前条ノ規定ニ依リ管理スル施設ニ於ケル船員ノ衛生又ハ教育訓練ニ関スル業務ニ付経営者ヲ指揮監督ス
第三十二条 工場事業場管理令第三十条、第四条第一号乃至第三号及第五号、第五条(第二条ノ規定ヲ準用スル部分ヲ除ク)並ニ第八条乃至第十二条ノ規定ハ第三十条ノ規定ニ依ル施設ノ管理ニ之ヲ準用ス但シ同令中主務大臣トアルハ運輸通信大臣トシ同令第四条第三号中第十四条ノ規定ニ依リ主務大臣ノ職権ノ一部ヲ行フ者トアルハ船員動員令第五十三条ノ規定ニ依リ同令第三十条ノ管理ニ関スル運輸通信大臣ノ職権ノ一部ヲ行フ海運局長トス
第三十三条 運輸通信大臣必要アリト認ムルトキハ船舶所有者又ハ海事ニ関スル法人ニ属スル船員ノ衛生又ハ教育訓練ニ関スル施設ヲ使用スルコトヲ得
運輸通信大臣前項ノ規定ニ依リ同項ノ施設ヲ使用スル場合ニ於テ必要アリト認ムルトキハ其ノ従業者ヲ供用セシムルコトヲ得
第三十四条 工場事業場使用収用令第三条乃至第十二条、第十八条第一項、第十九条、第二十一条乃至第二十五条及第三十条第二項ノ規定ハ前条ノ規定ニ依ル施設ノ使用及従業者ノ供用ニ之ヲ準用ス但シ同令中主務大臣トアルハ運輸通信大臣トシ同令第五条第六号中第三十条第一項ノ規定ニ依リ所轄官衙ノ長又ハ地方長官ヲシテ第六条又ハ第十条第一項ノ規定ニ依ル主務大臣ノ職権ヲ行ハシムル場合トアルハ船員動員令第五十三条ノ規定ニ依リ海運局長ヲシテ同令第三十四条ニ於テ準用スル工場事業場使用収用令第六条又ハ第十条第一項ノ規定ニ依ル運輸通信大臣ノ職権ヲ行ハシムル場合トシ同令第二十四条第二項中閣令トアルハ命令トス
第五章 職業能力ノ申告及検査
第三十五条 左ニ掲グル者(以下要申告者ト称ス)ハ本章ノ規定ニ依リ職業能力ニ関スル事項ノ申告ヲ為スベシ
一 船員法第一条(朝鮮船員令及関東州船員令ニ於テ依ル場合ヲ含ム)ニ規定スル船員
二 小形船舶乗組員手帳法第一条第一項ニ規定スル船員
三 海技免状ヲ有スル者
四 運輸通信大臣ノ指定スル船員養成施設ニ於テ其ノ課程ヲ終了シタル者ニシテ年齢六十年未満ノモノ
五 第一号又ハ第二号ノ船員(小形船舶乗組員手帳法施行前ニ同法第一条第一項ニ規定スル船員ニ該当セシ者ヲ含ム)トシテ六月以上船舶ニ乗組ミタル者ニシテ年齢六十年未満ノモノ
六 総動員業務ヲ行フ船舶所有者ノ保有スル予備員タル船員
七 総噸数三十噸未満ノ漁船ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノノ乗組員及六月以上該船舶ニ乗組ミタル者ニシテ年齢六十年未満ノモノ
八 其ノ他運輸通信大臣ノ指定スル者
第三十六条 職業能力ニ関スル事項ノ申告ハ毎年一回之ヲ為サシムルモノトス
前項ノ申告ハ七月一日現在ニ依リ同月十五日迄ニ之ヲ為スベシ
第三十七条 要申告者ハ左ニ掲グル事項ヲ居住地ヲ管轄スル管海官庁ニ申告スベシ
一 氏名
二 男女ノ別
三 出生ノ年月日
四 本籍
五 居住ノ場所
六 兵役関係
七 学歴
八 船員手帳又ハ小形船舶乗組員手帳ヲ有スルトキハ其ノ管海官庁略号及番号
九 海技免状ヲ有スルトキハ其ノ種類及番号
十 無線通信士資格検定合格証書ヲ有スルトキハ其ノ等級及番号
十一 乗船履歴
十二 現ニ従事スル業務
十三 俸給、給料等ヲ受クル者ナルトキハ其ノ額
十四 健康状況殊ニ船内勤務ニ関スル支障ノ有無
十五 配偶者ノ有無及現ニ扶養スル者ノ数
十六 船内勤務ニ関スル希望
十七 其ノ他命令ヲ以テ定ムル事項
要申告者前項ノ規定ニ依ル申告ヲ為シタル後同項第一号、第四号乃至第六号及第十二号ニ掲グル事項ニ変更ヲ生ジタルトキハ第三十九条ニ掲グル場合ヲ除クノ外三十日以内ニ居住地ヲ管轄スル管海官庁ニ其ノ旨ヲ申告スベシ
第三十八条 第三十五条第一号及第二号ノ船員ハ本章ノ規定ニ依ル申告ヲ為スコトヲ要セズ但シ第二項ニ規定スル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
運輸通信大臣必要アリト認ムルトキハ第三十六条ノ規定ニ依ル申告ノ外要申告者ノ全部又ハ一部ニ対シ命令ノ定ムル所ニ依リ前条第一項ニ掲グル事項ノ全部又ハ一部ヲ申告セシムルコトヲ得
第三十九条 要申告者第三十六条乃至前条ノ規定ニ依ル申告ヲ為シタル後左ノ各号ノ一ニ該当スルトキハ遅滞ナク前ニ申告ヲ為シタル管海官庁ニ其ノ旨ヲ申告スベシ
一 第四十一条ノ規定ニ該当スルニ至リタルトキ
二 本令施行地外ニ居住ノ場所ヲ移シタルトキ
第四十条 管海官庁ハ命令ノ定ムル所ニ依リ当該官吏ヲシテ本章ノ規定ニ依ル申告ヲ為シタル者ニ就キ其ノ職業能力ニ関シ検査ヲ為サシムルコトヲ得
第四十一条 本章ノ規定ハ第三十九条第一号ノ規定ニ依ル申告ニ関スル規定ヲ除クノ外陸海軍軍人ニシテ現役中ノモノ(未ダ入営セザル者及帰休下士官兵ヲ除ク)及戦時若ハ事変ニ際シ又ハ兵役法第五十五条第二項ノ規定(志願ニ依リ兵籍ニ編入セラレタル者ニ付テハ之ニ該当スル勅令ノ規定ヲ含ム)ニ依リ召集中ノモノ、兵籍ニ編入セラレタル陸海軍学生生徒(海軍予備練習生及海軍予備補習生ヲ含ム)、国家総動員法第四条ノ規定ニ依リ徴用中ノ者(国民徴用令ニ依リ徴用中ノ者ヲ除ク)、医療関係者職業能力申告令ニ依リ申告ヲ為スベキ者(総動員業務ヲ行フ船舶所有者ノ使用スル船舶ニ乗組中ノ者ヲ除ク)並ニ獣医師等職業能力申告令ニ依リ申告ヲ為スベキ者ニハ之ヲ適用セズ
第四十二条 要申告者ニシテ左ノ各号ノ一ニ該当スルモノノ申告ニ関シテハ命令ノ定ムル所ニ依リ申告期限ヲ延長スルコトヲ得
一 陸海軍軍人ニシテ召集中ノモノ(前条ニ規定スル召集中ノ者ヲ除ク)
二 外国旅行中ノ者
三 其ノ他命令ヲ以テ定ムル者
第六章 船舶運航技能者ノ養成
第四十三条 運輸通信大臣ハ船舶運航技能者養成施設ノ管理者又ハ船舶所有者ニ対シ技能ノ種類及養成セラルベキ者ノ員数ヲ定メ技能者ノ養成ヲ命ズルコトヲ得
運輸通信大臣ハ前項ノ規定ニ依ル命令ヲ受ケタル者ニ対シ養成ノ為必要ナル施設ヲ命ズルコトヲ得
第四十四条 前条ノ規定ニ依リ養成セラルベキ者ハ命令ノ定ムル資格ヲ具フル者ナルコトヲ要ス
養成期間及養成方法ハ技能ノ種類及養成セラルベキ者ノ履歴ニ応ジ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第四十五条 第四十三条第一項ノ規定ニ依リ技能者ノ養成ヲ命ゼラレタル者ハ養成計画ヲ定メ海運局長ノ認可ヲ受クベシ其ノ計画ヲ変更セントスルトキ亦同ジ
海運局長必要アリト認ムルトキハ養成計画ノ変更ヲ命ズルコトヲ得
第四十六条 第四十三条第一項ノ規定ニ依リ技能者ノ養成ヲ命ゼラレタル船舶所有者ハ養成セラルベキ者ヲシテ授業料其ノ他養成ノ為必要ナル費用ヲ負担セシムルコトヲ得ズ但シ命令ノ定ムル所ニ依リ海運局長ノ許可ヲ受ケタル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
第四十七条 海運局長ハ船舶運航技能者養成施設ノ管理者ニ対シ左ニ掲グル事項ニ関シ必要ナル変更ヲ命ズルコトヲ得
一 講習ノ科目及時間
二 養成スベキ技能ノ種類及養成セラルベキ者ノ員数
三 養成セラルベキ者ノ資格
四 養成期間
五 其ノ他養成ニ関シ必要ナル事項
第四十八条 運輸通信大臣ハ其ノ定ムル所ニ依リ本章ノ規定ニ依ル命令ヲ受ケタル者ニ対シ予算ノ範囲内ニ於テ補助金ヲ交付ス
運輸通信大臣ハ本章ノ規定ニ依ル技能者養成ニ因リ損失ヲ生ジタル場合ニ於テハ通常生ズベキ損失ヲ補償ス
損失ノ補償ヲ請求セントスル者ハ養成期間ノ終了後之ヲ請求スベシ但シ運輸通信大臣ノ定ムル所ニ依リ別段ノ時期ニ之ヲ請求スルコトヲ得
第四十九条 本章ノ規定ハ農商大臣ヨリ漁船運航技能者養成ノ為補助金其ノ他ノ交付金ヲ受クル公共団体其ノ他ノ営利ヲ目的トセザル法人ニ対シ専ラ漁船ニ乗組ムベキ船舶運航技能者ノ養成ヲ命ズルコトニ関シテハ之ヲ適用セズ
第五十条 運輸通信大臣ガ漁業者タル漁船所有者ニ対シ第四十三条ノ規定ニ依ル命令ヲ為サントスル場合及前条ノ公共団体其ノ他ノ法人ニ対シ同条ニ掲グル以外ノ船舶運航技能者ノ養成又ハ養成施設ニ関シ第四十三条ノ規定ニ依ル命令ヲ為サントスル場合ニ於テハ予メ農商大臣ニ協議スベシ
前項ノ規定ハ朝鮮、台湾及南洋群島ニ於テハ之ヲ適用セズ
第七章 雑則
第五十一条 運輸通信大臣ハ国家総動員法第三十一条ノ規定ニ基キ船員ノ徴用、使用、雇入、解雇若ハ退職、応徴船員ノ使用若ハ従業条件、船員ノ衛生若ハ教育訓練ニ関スル施設ノ管理若ハ使用、従業者ノ供用、職業能力ニ関スル事項ノ申告若ハ船舶運航技能者ノ養成ニ関シ必要ナル報告ヲ徴シ又ハ当該官吏ヲシテ船舶、事務所其ノ他ノ場所ニ臨検シ業務ノ状況若ハ帳簿書類其ノ他ノ物件ヲ検査セシムルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ当該官吏ヲシテ臨検検査セシムル場合ニ於テハ其ノ身分ヲ示ス証票ヲ携帯セシムベシ
第五十二条 本令及本令ニ基キテ発スル命令中船舶所有者ニ関スル規定ハ船舶共有ノ場合ニ在リテ船舶管理人ヲ置キタルトキハ船舶管理人ニ、船舶貸借ノ場合ニ在リテハ船舶借入人ニ之ヲ適用ス
第五十三条 運輸通信大臣ハ海運局長ヲシテ本令ニ定ムル職権ノ一部ヲ行ハシムルコトヲ得
第五十四条 本令中運輸通信大臣トアリ又ハ当該官衙ノ所管大臣トアルハ当該官衙ノ所管大臣ガ陸軍大臣又ハ海軍大臣タル場合ヲ除クノ外朝鮮、台湾又ハ南洋群島ニ在リテハ各朝鮮総督、台湾総督又ハ南洋庁長官トシ海運局長トアルハ朝鮮又ハ台湾ニ在リテハ各朝鮮総督府交通局長又ハ台湾総督府交通局総長トシ海運局長トアリ又ハ管海官庁トアルハ南洋群島ニ在リテハ南洋庁長官ノ指定スル行政官庁トシ都道府県トアルハ朝鮮、台湾又ハ南洋群島ニ在リテハ各道、州若ハ庁又ハ南洋群島地方費トス
第五十五条 本令ニ規定スルモノノ外船員ノ徴用、使用、雇入、解雇若ハ退職又ハ応徴船員ノ使用若ハ従業条件ニ関スル命令、船員ノ衛生又ハ教育訓練ニ関スル施設ノ管理及使用、従業者ノ供用、職業能力ニ関スル事項ノ申告並ニ船舶運航技能者ノ養成ニ関シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
附 則
本令ハ昭和二十年一月二十五日ヨリ之ヲ施行ス
船員職業能力申告令、船舶運航技能者養成令、船員徴用令及船員使用等統制令ハ之ヲ廃止ス
戦時海運管理令中左ノ通改正ス
第一条中「ニ乗組マシムベキ船員ノ徴用、同法第六条ノ規定ニ基ク被徴用船員ノ解雇、従業、退職又ハ給与ニ関スル命令、同法第八条ノ規定ニ基ク船舶運営会ノ運航スル船舶」及「及船員ノ衛生及教育訓練ニ関スル施設ノ管理」ヲ削リ「第四条」ヲ「第八条」ニ改ム
「第三章 船員徴用」ヲ削ル
第十八条乃至第二十九条 削除
「第四章 船舶運営会」ヲ「第三章 船舶運営会」ニ改ム
第四十六条 削除
第四十八条 削除
「第五章 雑則」ヲ「第四章 雑則」ニ改ム
第六十一条第一項中「第二十七条ノ規定ニ依ル処分ニ因リ通常生ズベキ損失及」ヲ削ル
第六十二条第一項中「、運輸通信大臣ノ管理ニ係ル船員ノ衛生及教育訓練ニ関スル施設ノ経営者」ヲ削ル
第六十五条第一項中「第四章」ヲ「第三章」ニ改ム
第六十七条ヲ削ル
第六十八条中「、船員徴用」ヲ削リ同条ヲ第六十七条トス
国民徴用令中左ノ通改正ス
第十五条ノ二 被徴用者船員動員令ニ依リ徴用セラレタルトキハ本令ニ依ル徴用ハ解除セラレタルモノト看做ス
本令施行前ニ為シタル行為ニ関スル罰則ノ適用ニ付テハ仍従前ノ例ニ依ル
本令施行前船員職業能力申告令、船舶運航技能者養成令、船員徴用令若ハ船員使用等統制令又ハ戦時海運管理令中ノ船員ノ徴用若ハ船員ノ衛生及教育訓練ニ関スル施設ノ管理ニ関スル規定ニ基キテ発シ又ハ為シタル命令又ハ処分ハ之ヲ本令中ノ相当規定ニ基キテ発シ又ハ為シタル命令又ハ処分ト看做ス