朕船員徵用令ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十五年十月十九日
內閣總理大臣 公爵 近衞文麿
拓務大臣 秋田淸
遞信大臣 村田省藏
勅令第六百八十七號
船員徵用令
第一條 國家總動員法(昭和十三年勅令第三百十七號ニ於テ依ル場合ヲ含ム以下同ジ)第四條ノ規定ニ基キ船員職業能力申吿令第二條ニ揭グル者(醫療關係者職業能力申吿令ニ依リ申吿ヲ爲スベキ者ヲ除ク)ヲ船員トシテ總動員業務タル船舶ノ運航ニ從事セシムル爲ニ徵用シ及國家總動員法第六條ノ規定ニ基キ被徵用者ノ使用又ハ給與其ノ他ノ勞働條件ニ付命令ヲ爲スハ本令ノ定ムル所ニ依ル
第二條 徵用ハ特別ノ事由アル場合ノ外船員職業紹介所ノ職業紹介其ノ他募集ノ方法ニ依リ所要ノ人員ヲ得ラレザル場合ニ限リ之ヲ行フモノトス
第三條 本令ニ依リ徵用スル者ハ命令ヲ以テ定ムル船舶ニ配置セラルルモノトス
第四條 徵用及徵用ノ解除ハ遞信大臣之ヲ行フ
第五條 船舶所有者ハ徵用ニ依ル船員ノ配置ヲ必要トスルトキハ遞信大臣ニ之ヲ請求又ハ申請スベシ
第六條 遞信大臣前條ノ規定ニ依ル請求又ハ申請アリタル場合ニ於テ徵用ノ必要アリト認ムルトキハ徵用令書ヲ發シ徵用セラルベキ者ニ之ヲ交付スベシ
第七條 徵用令書ニハ左ニ揭グル事項ヲ記載スベシ但シ軍機保護上特ニ必要アルトキハ第二號又ハ第三號ニ揭グル事項ノ全部又ハ一部ヲ省略スルコトヲ得
一 徵用セラルベキ者ノ氏名、出生ノ年月日、本籍及居住ノ場所(現ニ乘組中ノ者ニ付テハ居住ノ場所ニ代ヘ乘組船舶ノ船名及船舶所有者ノ氏名又ハ名稱)
二 配置セラルル船舶ノ船名及船舶所有者ノ氏名又ハ名稱
三 從事スベキ職務
四 徵用ノ期間
五 出頭スベキ日時及場所
六 其ノ他必要ト認ムル事項
第八條 遞信大臣ハ徵用ノ適否其ノ他ヲ判定スル爲必要アルトキハ徵用セラルベキ者ニ出頭ヲ求ムルコトヲ得
第九條 徵用令書ノ交付ヲ受ケタル者疾病其ノ他避クベカラザル事故ニ因リ指定ノ日時及場所ニ出頭スルコト能ハザル場合ハ命令ノ定ムル所ニ依リ遞信大臣ニ其ノ旨ヲ屆出ヅベシ
前項ノ規定ニ依ル屆出アリタル場合ニ於テ遞信大臣必要アリト認ムルトキハ出頭ノ日時若ハ場所ヲ變更シ又ハ其ノ者徵用ニ適セズト認ムルトキハ徵用ヲ取消スコトヲ得此ノ場合ニ於テハ出頭變更令書又ハ徵用取消令書ヲ發シ其ノ者ニ之ヲ交付スベシ
第十條 被徵用者ノ配置セラルル船舶ノ船舶所有者被徵用者ノ配置セラルル船舶、從事スル職務又ハ徵用ノ期間ニ付變更ヲ必要トスルトキハ遞信大臣ニ之ヲ請求又ハ申請スベシ
第十一條 遞信大臣前條ノ規定ニ依ル請求又ハ申請アリタル場合ニ於テ被徵用者ノ配置セラルル船舶、從事スル職務又ハ徵用ノ期間ニ付變更ノ必要アリト認ムルトキハ徵用變更令書ヲ發シ被徵用者ニ之ヲ交付スベシ同條ノ規定ニ依ル請求又ハ申請ナキ場合ト雖モ遞信大臣被徵用者ノ配置セラルル船舶、從事スル職務又ハ徵用ノ期間ニ付變更ノ必要アリト認ムルトキ亦同ジ
前項後段ノ規定ニ依リ遞信大臣官衙ニ使用セラルル者ニ付徵用變更令書ヲ發セントスルトキハ當該官衙ノ所管大臣ニ協議スベシ
第十二條 被徵用者ノ配置セラルル船舶ノ船舶所有者被徵用者ガ疾病其ノ他ノ事由ニ因リ職務ニ從事スルニ適セズト認ムルトキ又ハ其ノ者ノ配置ヲ必要トセザルニ至リタルトキハ遞信大臣ニ徵用ノ解除ヲ請求又ハ申請スベシ
被徵用者疾病其ノ他ノ事由ニ因リ職務ニ從事シ難キ場合ニ於テハ官衙ニ使用セラルル者ニ在リテハ當該官衙ノ所管大臣ニ、其ノ他ノ者ニ在リテハ遞信大臣ニ其ノ旨ヲ申出ヅルコトヲ得
第十三條 遞信大臣前條第一項ノ規定ニ依ル請求又ハ申請アリタル場合ニ於テ徵用ノ解除ノ必要アリト認ムルトキハ徵用解除令書ヲ發シ被徵用者ニ之ヲ交付スベシ同項ノ規定ニ依ル請求又ハ申請ナキ場合ト雖モ遞信大臣徵用ノ解除ノ必要アリト認ムルトキ亦同ジ
第十一條第二項ノ規定ハ前項後段ノ規定ニ依リ遞信大臣ガ官衙ニ使用セラルル者ニ付徵用解除令書ヲ發セントスル場合ニ之ヲ準用ス
第十四條 被徵用者總動員業務タル船舶ノ運航ニ從事スル場合ニ於テハ官衙ニ使用セラルル者ニ在リテハ當該官衙ノ長ノ指揮ヲ受ケ其ノ他ノ者ニ在リテハ船舶所有者ノ指示ニ從フベシ
第十五條 被徵用者ニ對スル給與ハ其ノ者ノ乘船履歷、技能及職務竝ニ配置セラルル船舶ノ航路又ハ就航區域ノ狀況等ニ應ジ且從前ノ給與其ノ他之ニ準ズベキ收入ヲ斟酌シテ被徵用者ノ配置セラルル船舶ノ船舶所有者之ヲ支給スルモノトス
被徵用者ニ對スル給與ニ關シ必要ナル事項ハ官衙ニ使用セラルル者ニ關シテハ當該官衙ノ所管大臣遞信大臣ニ協議シテ之ヲ定メ其ノ他ノ者ニ關シテハ船舶所有者遞信大臣ノ認可ヲ受ケテ之ヲ定ムベシ
第十六條 徵用セラルベキ者第八條ノ規定ニ依リ出頭スル場合、被徵用者徵用令書ノ交付ヲ受ケ出頭スル場合又ハ徵用ヲ解除セラレ歸鄕スル場合ニ於ケル旅費ハ被徵用者ノ配置セラルル船舶ノ船舶所有者之ヲ支給スルモノトス
前項ノ旅費ニ關シ必要ナル事項ハ官衙ニ使用セラルル者ニ關シテハ當該官衙ノ所管大臣遞信大臣ニ協議シテ之ヲ定メ其ノ他ノ者ニ關シテハ遞信大臣之ヲ定ム
第十七條 遞信大臣必要アリト認ムルトキハ被徵用者ガ官衙ニ使用セラルル場合ヲ除クノ外國家總動員法第六條ノ規定ニ基キ被徵用者ヲ使用スル船舶所有者ニ對シ被徵用者ノ使用又ハ給與其ノ他ノ勞働條件ニ關シ命令ヲ爲スコトヲ得
第十八條 遞信大臣ハ命令ノ定ムル所ニ依リ徵用ニ關シ國家總動員法第三十一條ノ規定ニ基ク報吿ヲ徵スルコトヲ得
遞信大臣徵用ニ關シ必要アリト認ムルトキハ國家總動員法第三十一條ノ規定ニ基キ當該官吏ヲシテ船舶、事務所其ノ他ノ場所ニ臨檢シ業務ノ狀況又ハ帳簿書類其ノ他ノ物件ヲ檢査セシムルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ當該官吏ヲシテ其ノ身分ヲ示ス證票ヲ携帶セシムベシ
第十九條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ之ヲ徵用セズ
一 陸海軍軍人ニシテ現役中ノモノ(未ダ入營セザル者ヲ除ク)及召集中ノモノ(召集中ノ身分取扱ヲ受クル者ヲ含ム)
二 陸海軍學生生徒(海軍豫備練習生及海軍豫備補習生ヲ含ム)
三 陸海軍軍屬(被徵用者ニシテ之ニ該當スルニ至リタルモノヲ除ク)
四 法令ニ依リ拘禁中ノ者
第二十條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ特別ノ必要アル場合ヲ除クノ外之ヲ徵用セズ
一 餘人ヲ以テ代フベカラザル職ニ在ル官吏、待遇官吏又ハ公吏
二 帝國議會、道府縣會、市町村會其ノ他之ニ準ズベキモノノ議員
三 總動員業務ニ從事スル者ニシテ餘人ヲ以テ代フベカラザルモノ
第二十一條 本令及本令ニ基キテ發スル命令中船舶所有者ニ關スル規定ハ船舶共有ノ場合ニ在リテ船舶管理人ヲ置キタルトキハ船舶管理人ニ、船舶貸借ノ場合ニ在リテハ船舶借入人ニ之ヲ適用ス
第二十二條 遞信大臣ハ命令ノ定ムル所ニ依リ遞信局長ヲシテ徵用ニ關スル事務ノ一部ヲ行ハシムルコトヲ得
第二十三條 遞信大臣ハ本令ノ施行ニ關スル重要事項ニ付內閣總理大臣ニ協議スベシ
第二十四條 第二十二條ノ規定ハ樺太及南洋群島ニハ之ヲ適用セズ
本令中遞信大臣又ハ當該官衙ノ所管大臣トアルハ朝鮮ニ在リテハ朝鮮總督、臺灣ニ在リテハ臺灣總督、樺太ニ在リテハ樺太廳長官、南洋群島ニ在リテハ南洋廳長官トシ遞信局長トアルハ朝鮮ニ在リテハ朝鮮總督府遞信局長、臺灣ニ在リテハ臺灣總督府交通局總長トス
第二十五條 本令ニ規定スルモノノ外本令ニ依ル徵用ニ關シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
附 則
本令ハ昭和十五年十月二十二日ヨリ之ヲ施行ス但シ朝鮮、臺灣、樺太及南洋群島ニ在リテハ昭和十五年十一月十日ヨリ之ヲ施行ス
朕船員徴用令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十五年十月十九日
内閣総理大臣 公爵 近衛文麿
拓務大臣 秋田清
逓信大臣 村田省蔵
勅令第六百八十七号
船員徴用令
第一条 国家総動員法(昭和十三年勅令第三百十七号ニ於テ依ル場合ヲ含ム以下同ジ)第四条ノ規定ニ基キ船員職業能力申告令第二条ニ掲グル者(医療関係者職業能力申告令ニ依リ申告ヲ為スベキ者ヲ除ク)ヲ船員トシテ総動員業務タル船舶ノ運航ニ従事セシムル為ニ徴用シ及国家総動員法第六条ノ規定ニ基キ被徴用者ノ使用又ハ給与其ノ他ノ労働条件ニ付命令ヲ為スハ本令ノ定ムル所ニ依ル
第二条 徴用ハ特別ノ事由アル場合ノ外船員職業紹介所ノ職業紹介其ノ他募集ノ方法ニ依リ所要ノ人員ヲ得ラレザル場合ニ限リ之ヲ行フモノトス
第三条 本令ニ依リ徴用スル者ハ命令ヲ以テ定ムル船舶ニ配置セラルルモノトス
第四条 徴用及徴用ノ解除ハ逓信大臣之ヲ行フ
第五条 船舶所有者ハ徴用ニ依ル船員ノ配置ヲ必要トスルトキハ逓信大臣ニ之ヲ請求又ハ申請スベシ
第六条 逓信大臣前条ノ規定ニ依ル請求又ハ申請アリタル場合ニ於テ徴用ノ必要アリト認ムルトキハ徴用令書ヲ発シ徴用セラルベキ者ニ之ヲ交付スベシ
第七条 徴用令書ニハ左ニ掲グル事項ヲ記載スベシ但シ軍機保護上特ニ必要アルトキハ第二号又ハ第三号ニ掲グル事項ノ全部又ハ一部ヲ省略スルコトヲ得
一 徴用セラルベキ者ノ氏名、出生ノ年月日、本籍及居住ノ場所(現ニ乗組中ノ者ニ付テハ居住ノ場所ニ代ヘ乗組船舶ノ船名及船舶所有者ノ氏名又ハ名称)
二 配置セラルル船舶ノ船名及船舶所有者ノ氏名又ハ名称
三 従事スベキ職務
四 徴用ノ期間
五 出頭スベキ日時及場所
六 其ノ他必要ト認ムル事項
第八条 逓信大臣ハ徴用ノ適否其ノ他ヲ判定スル為必要アルトキハ徴用セラルベキ者ニ出頭ヲ求ムルコトヲ得
第九条 徴用令書ノ交付ヲ受ケタル者疾病其ノ他避クベカラザル事故ニ因リ指定ノ日時及場所ニ出頭スルコト能ハザル場合ハ命令ノ定ムル所ニ依リ逓信大臣ニ其ノ旨ヲ届出ヅベシ
前項ノ規定ニ依ル届出アリタル場合ニ於テ逓信大臣必要アリト認ムルトキハ出頭ノ日時若ハ場所ヲ変更シ又ハ其ノ者徴用ニ適セズト認ムルトキハ徴用ヲ取消スコトヲ得此ノ場合ニ於テハ出頭変更令書又ハ徴用取消令書ヲ発シ其ノ者ニ之ヲ交付スベシ
第十条 被徴用者ノ配置セラルル船舶ノ船舶所有者被徴用者ノ配置セラルル船舶、従事スル職務又ハ徴用ノ期間ニ付変更ヲ必要トスルトキハ逓信大臣ニ之ヲ請求又ハ申請スベシ
第十一条 逓信大臣前条ノ規定ニ依ル請求又ハ申請アリタル場合ニ於テ被徴用者ノ配置セラルル船舶、従事スル職務又ハ徴用ノ期間ニ付変更ノ必要アリト認ムルトキハ徴用変更令書ヲ発シ被徴用者ニ之ヲ交付スベシ同条ノ規定ニ依ル請求又ハ申請ナキ場合ト雖モ逓信大臣被徴用者ノ配置セラルル船舶、従事スル職務又ハ徴用ノ期間ニ付変更ノ必要アリト認ムルトキ亦同ジ
前項後段ノ規定ニ依リ逓信大臣官衙ニ使用セラルル者ニ付徴用変更令書ヲ発セントスルトキハ当該官衙ノ所管大臣ニ協議スベシ
第十二条 被徴用者ノ配置セラルル船舶ノ船舶所有者被徴用者ガ疾病其ノ他ノ事由ニ因リ職務ニ従事スルニ適セズト認ムルトキ又ハ其ノ者ノ配置ヲ必要トセザルニ至リタルトキハ逓信大臣ニ徴用ノ解除ヲ請求又ハ申請スベシ
被徴用者疾病其ノ他ノ事由ニ因リ職務ニ従事シ難キ場合ニ於テハ官衙ニ使用セラルル者ニ在リテハ当該官衙ノ所管大臣ニ、其ノ他ノ者ニ在リテハ逓信大臣ニ其ノ旨ヲ申出ヅルコトヲ得
第十三条 逓信大臣前条第一項ノ規定ニ依ル請求又ハ申請アリタル場合ニ於テ徴用ノ解除ノ必要アリト認ムルトキハ徴用解除令書ヲ発シ被徴用者ニ之ヲ交付スベシ同項ノ規定ニ依ル請求又ハ申請ナキ場合ト雖モ逓信大臣徴用ノ解除ノ必要アリト認ムルトキ亦同ジ
第十一条第二項ノ規定ハ前項後段ノ規定ニ依リ逓信大臣ガ官衙ニ使用セラルル者ニ付徴用解除令書ヲ発セントスル場合ニ之ヲ準用ス
第十四条 被徴用者総動員業務タル船舶ノ運航ニ従事スル場合ニ於テハ官衙ニ使用セラルル者ニ在リテハ当該官衙ノ長ノ指揮ヲ受ケ其ノ他ノ者ニ在リテハ船舶所有者ノ指示ニ従フベシ
第十五条 被徴用者ニ対スル給与ハ其ノ者ノ乗船履歴、技能及職務並ニ配置セラルル船舶ノ航路又ハ就航区域ノ状況等ニ応ジ且従前ノ給与其ノ他之ニ準ズベキ収入ヲ斟酌シテ被徴用者ノ配置セラルル船舶ノ船舶所有者之ヲ支給スルモノトス
被徴用者ニ対スル給与ニ関シ必要ナル事項ハ官衙ニ使用セラルル者ニ関シテハ当該官衙ノ所管大臣逓信大臣ニ協議シテ之ヲ定メ其ノ他ノ者ニ関シテハ船舶所有者逓信大臣ノ認可ヲ受ケテ之ヲ定ムベシ
第十六条 徴用セラルベキ者第八条ノ規定ニ依リ出頭スル場合、被徴用者徴用令書ノ交付ヲ受ケ出頭スル場合又ハ徴用ヲ解除セラレ帰郷スル場合ニ於ケル旅費ハ被徴用者ノ配置セラルル船舶ノ船舶所有者之ヲ支給スルモノトス
前項ノ旅費ニ関シ必要ナル事項ハ官衙ニ使用セラルル者ニ関シテハ当該官衙ノ所管大臣逓信大臣ニ協議シテ之ヲ定メ其ノ他ノ者ニ関シテハ逓信大臣之ヲ定ム
第十七条 逓信大臣必要アリト認ムルトキハ被徴用者ガ官衙ニ使用セラルル場合ヲ除クノ外国家総動員法第六条ノ規定ニ基キ被徴用者ヲ使用スル船舶所有者ニ対シ被徴用者ノ使用又ハ給与其ノ他ノ労働条件ニ関シ命令ヲ為スコトヲ得
第十八条 逓信大臣ハ命令ノ定ムル所ニ依リ徴用ニ関シ国家総動員法第三十一条ノ規定ニ基ク報告ヲ徴スルコトヲ得
逓信大臣徴用ニ関シ必要アリト認ムルトキハ国家総動員法第三十一条ノ規定ニ基キ当該官吏ヲシテ船舶、事務所其ノ他ノ場所ニ臨検シ業務ノ状況又ハ帳簿書類其ノ他ノ物件ヲ検査セシムルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ当該官吏ヲシテ其ノ身分ヲ示ス証票ヲ携帯セシムベシ
第十九条 左ノ各号ノ一ニ該当スル者ハ之ヲ徴用セズ
一 陸海軍軍人ニシテ現役中ノモノ(未ダ入営セザル者ヲ除ク)及召集中ノモノ(召集中ノ身分取扱ヲ受クル者ヲ含ム)
二 陸海軍学生生徒(海軍予備練習生及海軍予備補習生ヲ含ム)
三 陸海軍軍属(被徴用者ニシテ之ニ該当スルニ至リタルモノヲ除ク)
四 法令ニ依リ拘禁中ノ者
第二十条 左ノ各号ノ一ニ該当スル者ハ特別ノ必要アル場合ヲ除クノ外之ヲ徴用セズ
一 余人ヲ以テ代フベカラザル職ニ在ル官吏、待遇官吏又ハ公吏
二 帝国議会、道府県会、市町村会其ノ他之ニ準ズベキモノノ議員
三 総動員業務ニ従事スル者ニシテ余人ヲ以テ代フベカラザルモノ
第二十一条 本令及本令ニ基キテ発スル命令中船舶所有者ニ関スル規定ハ船舶共有ノ場合ニ在リテ船舶管理人ヲ置キタルトキハ船舶管理人ニ、船舶貸借ノ場合ニ在リテハ船舶借入人ニ之ヲ適用ス
第二十二条 逓信大臣ハ命令ノ定ムル所ニ依リ逓信局長ヲシテ徴用ニ関スル事務ノ一部ヲ行ハシムルコトヲ得
第二十三条 逓信大臣ハ本令ノ施行ニ関スル重要事項ニ付内閣総理大臣ニ協議スベシ
第二十四条 第二十二条ノ規定ハ樺太及南洋群島ニハ之ヲ適用セズ
本令中逓信大臣又ハ当該官衙ノ所管大臣トアルハ朝鮮ニ在リテハ朝鮮総督、台湾ニ在リテハ台湾総督、樺太ニ在リテハ樺太庁長官、南洋群島ニ在リテハ南洋庁長官トシ逓信局長トアルハ朝鮮ニ在リテハ朝鮮総督府逓信局長、台湾ニ在リテハ台湾総督府交通局総長トス
第二十五条 本令ニ規定スルモノノ外本令ニ依ル徴用ニ関シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
附 則
本令ハ昭和十五年十月二十二日ヨリ之ヲ施行ス但シ朝鮮、台湾、樺太及南洋群島ニ在リテハ昭和十五年十一月十日ヨリ之ヲ施行ス