第三十條 船舶運營會ハ戰時ニ於ケル海運ノ總力ヲ最モ有效ニ發揮セシムル爲海運事業ノ統制ノ爲ニスル經營ヲ爲シ且海運ニ關スル國策ノ遂行ニ協力スルコトヲ目的トス
第三十一條 船舶運營會ハ其ノ目的ヲ達スル爲被使用船舶其ノ他ノ船舶ニ依ル海運事業ヲ行フ
船舶運營會ハ遞信大臣ノ命令ニ依リ又ハ其ノ認可ヲ受ケ前項ノ事業ノ外其ノ目的達成上必要ナル附帶事業ヲ行フコトヲ得
第三十二條 船舶運營會ノ構成員タル資格ヲ有スル者ハ日本船舶ノ所有者又ハ日本船舶ノ所有者ノ組織スル團體ニシテ遞信大臣ノ指定スルモノトス
第三十三條 遞信大臣船舶運營會ヲ設立セシメントスルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ前條ノ規定ニ依リ構成員タル資格ヲ有スル者ニ對シ船舶運營會ノ設立ヲ命ズベシ
前項ノ規定ニ依ル船舶運營會ノ設立ノ命令アリタルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ創立總會ヲ開キ之ニ諮リテ定款其ノ他船舶運營會ノ設立ニ必要ナル事項ヲ定メ遞信大臣ノ認可ヲ受クベシ
第三十四條 船舶運營會ノ定款ニハ左ニ揭グル事項ヲ記載スベシ
第三十五條 船舶運營會ハ第三十三條第二項ノ認可アリタル時又ハ國家總動員法第十八條第三項ノ規定ニ依リ定款ノ作成アリタル時成立ス
第三十六條 船舶運營會成立シタルトキハ其ノ構成員タル資格ヲ有スル者ハ總テ其ノ構成員トス
關東州ニ船籍港ヲ定ムル日本船舶ノ所有者又ハ其ノ團體ハ第三十二條ノ規定ニ拘ラズ遞信大臣ノ認可ヲ受ケ船舶運營會ノ構成員ト爲ルコトヲ得
第三十八條 總裁ハ船舶運營會ヲ代表シ其ノ業務ヲ統理ス
理事長ハ總裁ヲ輔佐シ船舶運營會ノ業務ヲ掌理シ總裁事故アルトキハ其ノ職務ヲ代理シ總裁缺員ノトキハ其ノ職務ヲ行フ
理事ハ總裁及理事長ヲ輔佐シ船舶運營會ノ業務ヲ分掌シ又ハ之ニ參與ス
業務ヲ分掌スル理事ハ豫メ總裁ノ定ムル順位ニ依リ總裁及理事長共ニ事故アルトキハ總裁ノ職務ヲ代理シ總裁及理事長共ニ缺員ノトキハ總裁ノ職務ヲ行フ
評議員ハ總裁ノ諮問ニ對シ答申シ又ハ總裁ニ對シ意見ヲ具申ス
第三十九條 船舶運營會ノ役員ハ海運ニ關シ經驗アル者及學識アル者ノ中ヨリ遞信大臣之ヲ命ズ
總裁、理事長及理事ノ任期ハ三年、監事及評議員ノ任期ハ二年トス
第四十條 總裁、理事長及業務ヲ分掌スル理事ハ他ノ職務又ハ商業ニ從事スルコトヲ得ズ但シ遞信大臣ノ認可ヲ受ケタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
總裁必要アリト認ムルトキハ何時ニテモ臨時總會ヲ招集スルコトヲ得
第四十三條 總裁ハ每年總會ニ船舶運營會ノ事業ノ狀況ヲ報吿シ監事ヲシテ財產ノ狀況ヲ報吿セシムベシ
第四十四條 船舶運營會ハ命令ノ定ムル所ニ依リ被使用船舶ヲ借入ルベシ
第四十五條 船舶運營會ハ遞信大臣ノ指定スル航海及遞信大臣ノ指定スル人又ハ物ノ運送ヲ爲スベシ
船舶運營會ハ遞信大臣ノ許可ヲ受クルニ非ザレバ前項ノ航海又ハ運送以外ノ航海又ハ運送ヲ爲スコトヲ得ズ
第四十六條 船舶運營會ハ命令ノ定ムル所ニ依リ被徵用船員ニ對シ職務ニ關スル指示ヲ爲スベシ
第四十七條 船舶運營會ハ命令ノ定ムル所ニ依リ被使用船舶ノ所有者ニ對シ一定ノ金額ヲ支拂フベシ
被使用船舶ガ知レタル先取特權又ハ抵當權ノ目的タル場合ニ於テハ船舶運營會ハ前項ノ金額ヲ供託スベシ
先取特權者又ハ抵當權者ハ前項ノ供託金ニ對シテモ其ノ權利ヲ行フコトヲ得
第四十八條 船舶運營會ハ第二十五條第一項ノ規定ニ依ル一時金ノ支給及第二十六條第一項ニ於テ準用スル船員徵用令第十七條ノ二ノ規定ニ依ル扶助ニ要シタル金額ヲ命令ノ定ムル所ニ依リ國庫ニ納入スベシ
前項ノ運航實務者ハ船舶運營會ノ構成員中ヨリ遞信大臣之ヲ命ズ
第五十一條 運航實務者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ船舶運營會ノ爲ス指示ニ從ヒ船舶ノ運航ニ關スル事務ヲ處理ス
船舶運營會ハ命令ノ定ムル所ニ依リ運航實務者ニ對シ一定ノ事務處理手數料ヲ支拂フベシ
第五十二條 船舶運營會ハ其ノ構成員ニ對シ船舶運營會ノ事業遂行ノ爲必要ナル事務ノ處理又ハ報吿ノ提出ヲ命ズルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ事務ノ處理又ハ報吿ノ提出ヲ命ゼラレタル者ハ遲滯ナク之ニ應ズベシ
第五十三條 船舶運營會ハ定款ノ定ムル所ニ依リ定款ニ違反シタル構成員ニ對シ過怠金ヲ課スルコトヲ得
前項ノ過怠金ヲ滯納スル者アル場合ニ於テ船舶運營會ノ請求アルトキハ市町村ハ市町村稅ノ例ニ依リ之ヲ處分ス此ノ場合ニ於テ船舶運營會ハ其ノ徵收金額ノ百分ノ四ヲ市町村ニ交付スベシ
前項中町村トアルハ町村制ヲ施行セザル地ニ在リテハ之ニ準ズベキモノトス
第二項ノ規定ニ依ル徵收金ノ先取特權ノ順位ハ市町村其ノ他之ニ準ズベキモノノ徵收金ニ次ギ其ノ時效ニ付テハ市町村稅ノ例ニ依ル
第五十四條 船舶運營會ノ定款ノ變更竝ニ業務規程ノ設定及變更ハ遞信大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ
第五十五條 船舶運營會ノ剩餘金ノ處分ニ關シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第五十六條 遞信大臣船舶運營會ノ目的達成上必要アリト認ムルトキハ船舶運營會ニ對シ必要ナル事業ノ施行ヲ命ジ又ハ定款ノ變更其ノ他必要ナル事項ヲ命ズルコトヲ得
第五十七條 遞信大臣ハ船舶運營會ニ對シ業務及會計ニ關シ監督上必要ナル命令ヲ發シ又ハ處分ヲ爲スコトヲ得
遞信大臣必要アリト認ムルトキハ監事ヲシテ監査ノ結果ヲ報吿セシムルコトヲ得
第五十八條 船舶運營會ハ命令ノ定ムル所ニ依リ登記ヲ爲スコトヲ要ス
前項ノ規定ニ依リ登記スベキ事項ハ登記ノ後ニ非ザレバ之ヲ以テ第三者ニ對抗スルコトヲ得ズ
第五十九條 遞信大臣ハ船舶運營會ノ役員又ハ運航實務者ガ法令、法令ニ基キテ爲ス處分、定款又ハ業務規程ニ違反シタルトキ、公益ヲ害シタルトキ其ノ他船舶運營會ノ目的達成上不適當ナリト認ムルトキハ之ヲ解任スルコトヲ得
第六十條 船舶運營會ハ遞信大臣ノ命令ニ因リテ解散ス