医療関係者職業能力申告令
法令番号: 勅令第六百號
公布年月日: 昭和13年8月24日
法令の形式: 勅令
朕醫療關係者職業能力申吿令ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十三年八月二十三日
內閣總理大臣 公爵 近衞文麿
拓務大臣 宇垣一成
厚生大臣 侯爵 木戶幸一
勅令第六百號
醫療關係者職業能力申吿令
第一條 國家總動員法第二十一條ノ規定ニ基ク醫師、齒科醫師、藥劑師及看護婦ノ職業能力ニ關スル事項ノ申吿竝ニ其ノ職業能力ニ關スル檢査ハ本令ノ定ムル所ニ依ル
第二條 本令ニ於テ醫師トハ醫師法ニ依リ厚生大臣ノ免許ヲ受ケタル醫師、齒科醫師トハ齒科醫師法ニ依リ厚生大臣ノ免許ヲ受ケタル齒科醫師、藥劑師トハ藥劑師法ニ依リ厚生大臣ノ免許ヲ受ケタル藥劑師ヲ謂フ但シ朝鮮ニ在リテハ各朝鮮總督ノ免許ヲ受ケタル醫師、齒科醫師及藥劑師ヲ、臺灣ニ在リテハ各臺灣總督ノ免許ヲ受ケタル醫師、齒科醫師及藥劑師ヲ、樺太ニ在リテハ各樺太廳長官ノ免許又ハ假免許ヲ受ケタル醫師、齒科醫師及藥劑師ヲ、南洋群島ニ在リテハ各南洋廳長官ノ指定スル者ヲ含ム
本令ニ於テ看護婦トハ命令ヲ以テ定ムル看護婦ヲ謂フ
第三條 醫師、齒科醫師、藥劑師及看護婦ノ職業能力ニ關スル事項ノ申吿ハ昭和十三年ノ申吿ヲ第一囘トシ爾後四年每ニ一囘之ヲ爲サシムルモノトス
前項ノ申吿ハ八月一日現在ニ依リ同月十五日迄ニ之ヲ爲スベシ
第一項ノ申吿ヲ爲スベキ年ノ八月二日以後ニ於テ醫師、齒科醫師、藥劑師若ハ看護婦ト爲リタル者、第十二條ニ揭グル者ニシテ本令ノ適用ヲ受クルニ至リタルモノ、內地、朝鮮、臺灣、樺太若ハ南洋群島ノ何レカノ地域ヨリ他ノ地域ニ就業ノ場所(就業ノ場所一定セザル者、就業ノ場所ヲ有セザル者及船舶內ニ於テ就業スルノ常況ニ在ル者ニ付テハ住所)ヲ移シタル者又ハ本令施行地內ニ住所及就業ノ場所ノ何レヲモ有セザリシ者ニシテ本令施行地內ニ其ノ何レカヲ有スルニ至リタルモノノ申吿ハ當該事實ノ生ジタル日ノ次ノ八月一日(當該事實ノ生ジタル日ガ八月一日ナルトキハ其ノ日)現在ニ依リ同月十五日迄ニ之ヲ爲スベシ
第四條 醫師ハ左ニ揭グル事項ヲ就業地ヲ管轄スル地方長官ニ申吿スベシ
一 氏名
二 男女ノ別
三 出生ノ年月日
四 本籍
五 住所
六 兵役關係
七 醫籍登錄番號
八 診療能力
九 學歷及職歷
十 就業ノ場所
十一 就業ノ態樣
十二 俸給、給料等ヲ受クル者ナルトキハ其ノ額
十三 健康狀況特ニ總動員業務從事ニ關スル支障ノ有無
十四 配偶者ノ有無及現ニ扶養スル者ノ數
十五 總動員業務從事ニ關スル希望
十六 其ノ他命令ヲ以テ定ムル事項
醫師前項ノ申吿ヲ爲シタル後同項第一號、第十號又ハ第十一號ニ揭グル事項ニ變更ヲ生ジタルトキハ第九條ノ規定ニ該當スル場合ヲ除クノ外三十日以內ニ就業地ヲ管轄スル地方長官ニ其ノ旨申吿スベシ
第五條 齒科醫師ハ左ニ揭グル事項ヲ就業地ヲ管轄スル地方長官ニ申吿スベシ
一 前條第一項第一號乃至第六號及第九號乃至第十五號ニ揭グル事項
二 齒科醫籍登錄番號
三 其ノ他命令ヲ以テ定ムル事項
第六條 藥劑師ハ左ニ揭グル事項ヲ就業地ヲ管轄スル地方長官ニ申吿スベシ
一 第四條第一項第一號乃至第六號及第九號乃至第十五號ニ揭グル事項
二 藥劑師名簿登錄番號
三 其ノ他命令ヲ以テ定ムル事項
第七條 看護婦ハ左ニ揭グル事項ヲ就業地ヲ管轄スル地方長官ニ申吿スベシ
一 第四條第一項第一號、第三號乃至第五號及第九號乃至第十五號ニ揭グル事項
二 其ノ他命令ヲ以テ定ムル事項
第八條 第四條第二項ノ規定ハ齒科醫師、藥劑師及看護婦ニ之ヲ準用ス
第九條 醫師、齒科醫師、藥劑師又ハ看護婦前六條ノ規定ニ依ル申吿ヲ爲シタル後左ノ各號ノ一ニ該當スルトキハ遲滯ナク前ニ申吿ヲ爲シタル地方長官ニ其ノ旨申吿スベシ
一 第十二條ノ規定ニ該當スルニ至リタルトキ
二 內地、朝鮮、臺灣、樺太又ハ南洋群島ノ何レカノ地域ヨリ他ノ地域ニ住所又ハ就業ノ場所ヲ移シタルトキ
三 本令施行地外ニ住所又ハ就業ノ場所ヲ移シタルトキ
第十條 地方長官ハ命令ノ定ムル所ニ依リ當該官吏ヲシテ本令ノ申吿ヲ爲シタル者ニ就キ其ノ職業能力ニ關シ檢査ヲ爲サシムルコトヲ得
第十一條 地方長官ハ命令ノ定ムル所ニ依リ本令ノ申吿ニ關シ國家總動員法第三十一條ノ規定ニ基ク報吿ヲ徵スルコトヲ得
第十二條 本令ハ第九條第一號ノ規定ニ依ル申吿ニ關スル規定ヲ除クノ外陸海軍軍人ニシテ現役中ノモノ(歸休下士官兵ヲ除ク)及戰時若ハ事變ニ際シ又ハ兵役法第五十五條第二項(志願ニ依リ兵籍ニ編入セラレタル者ニ付テハ之ニ該當スル勅令ノ規定ヲ含ム)ノ規定ニ依リ召集中ノモノ、陸海軍軍屬竝ニ國家總動員法第四條ノ規定ニ依リ徵用中ノ者ニ對シテハ之ヲ適用セズ
第十三條 醫師、齒科醫師、藥劑師又ハ看護婦ニシテ左ノ各號ノ一ニ該當スルモノノ申吿ニ關シテハ命令ノ定ムル所ニ依リ申吿期限ヲ延長スルコトヲ得
一 陸海軍軍人ニシテ召集中ノモノ(前條ニ規定スル召集中ノ者ヲ除ク)
二 外國旅行中ノ者
三 其ノ他命令ヲ以テ定ムル者
第十四條 本令中地方長官トアルハ東京府ニ在リテハ藥劑師又ハ看護婦ニ關シテハ警視總監トス
第十五條 二以上ノ就業ノ場所ヲ有スル者ニ付テハ主タル就業ノ場所ノ所在地ヲ以テ、就業ノ場所一定セザル者、就業ノ場所ヲ有セザル者又ハ船舶內ニ於テ就業スルノ常況ニ在ル者ニ付テハ住所地ヲ以テ本令ノ就業地ト看做ス
第十六條 本令中醫籍登錄番號、齒科醫籍登錄番號又ハ藥劑師名簿登錄番號トアルハ朝鮮總督ノ免許ヲ受ケタル醫師、齒科醫師又ハ藥劑師ニ關シテハ各其ノ免許番號トシ地方長官トアルハ朝鮮ニ在リテハ道知事、臺灣ニ在リテハ州知事又ハ廳長、樺太ニ在リテハ樺太廳長官、南洋群島ニ在リテハ南洋廳長官トス
第十七條 本令ニ規定スルモノノ外申吿ニ關シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
附 則
本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
昭和十三年ニ限リ第三條第二項中八月一日現在ニ依リ同月十五日迄トアルハ十月十五日現在ニ依リ同月三十一日迄トシ同條第三項中八月二日以後トアルハ十月十六日以後トス
朕医療関係者職業能力申告令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十三年八月二十三日
内閣総理大臣 公爵 近衛文麿
拓務大臣 宇垣一成
厚生大臣 侯爵 木戸幸一
勅令第六百号
医療関係者職業能力申告令
第一条 国家総動員法第二十一条ノ規定ニ基ク医師、歯科医師、薬剤師及看護婦ノ職業能力ニ関スル事項ノ申告並ニ其ノ職業能力ニ関スル検査ハ本令ノ定ムル所ニ依ル
第二条 本令ニ於テ医師トハ医師法ニ依リ厚生大臣ノ免許ヲ受ケタル医師、歯科医師トハ歯科医師法ニ依リ厚生大臣ノ免許ヲ受ケタル歯科医師、薬剤師トハ薬剤師法ニ依リ厚生大臣ノ免許ヲ受ケタル薬剤師ヲ謂フ但シ朝鮮ニ在リテハ各朝鮮総督ノ免許ヲ受ケタル医師、歯科医師及薬剤師ヲ、台湾ニ在リテハ各台湾総督ノ免許ヲ受ケタル医師、歯科医師及薬剤師ヲ、樺太ニ在リテハ各樺太庁長官ノ免許又ハ仮免許ヲ受ケタル医師、歯科医師及薬剤師ヲ、南洋群島ニ在リテハ各南洋庁長官ノ指定スル者ヲ含ム
本令ニ於テ看護婦トハ命令ヲ以テ定ムル看護婦ヲ謂フ
第三条 医師、歯科医師、薬剤師及看護婦ノ職業能力ニ関スル事項ノ申告ハ昭和十三年ノ申告ヲ第一回トシ爾後四年毎ニ一回之ヲ為サシムルモノトス
前項ノ申告ハ八月一日現在ニ依リ同月十五日迄ニ之ヲ為スベシ
第一項ノ申告ヲ為スベキ年ノ八月二日以後ニ於テ医師、歯科医師、薬剤師若ハ看護婦ト為リタル者、第十二条ニ掲グル者ニシテ本令ノ適用ヲ受クルニ至リタルモノ、内地、朝鮮、台湾、樺太若ハ南洋群島ノ何レカノ地域ヨリ他ノ地域ニ就業ノ場所(就業ノ場所一定セザル者、就業ノ場所ヲ有セザル者及船舶内ニ於テ就業スルノ常況ニ在ル者ニ付テハ住所)ヲ移シタル者又ハ本令施行地内ニ住所及就業ノ場所ノ何レヲモ有セザリシ者ニシテ本令施行地内ニ其ノ何レカヲ有スルニ至リタルモノノ申告ハ当該事実ノ生ジタル日ノ次ノ八月一日(当該事実ノ生ジタル日ガ八月一日ナルトキハ其ノ日)現在ニ依リ同月十五日迄ニ之ヲ為スベシ
第四条 医師ハ左ニ掲グル事項ヲ就業地ヲ管轄スル地方長官ニ申告スベシ
一 氏名
二 男女ノ別
三 出生ノ年月日
四 本籍
五 住所
六 兵役関係
七 医籍登録番号
八 診療能力
九 学歴及職歴
十 就業ノ場所
十一 就業ノ態様
十二 俸給、給料等ヲ受クル者ナルトキハ其ノ額
十三 健康状況特ニ総動員業務従事ニ関スル支障ノ有無
十四 配偶者ノ有無及現ニ扶養スル者ノ数
十五 総動員業務従事ニ関スル希望
十六 其ノ他命令ヲ以テ定ムル事項
医師前項ノ申告ヲ為シタル後同項第一号、第十号又ハ第十一号ニ掲グル事項ニ変更ヲ生ジタルトキハ第九条ノ規定ニ該当スル場合ヲ除クノ外三十日以内ニ就業地ヲ管轄スル地方長官ニ其ノ旨申告スベシ
第五条 歯科医師ハ左ニ掲グル事項ヲ就業地ヲ管轄スル地方長官ニ申告スベシ
一 前条第一項第一号乃至第六号及第九号乃至第十五号ニ掲グル事項
二 歯科医籍登録番号
三 其ノ他命令ヲ以テ定ムル事項
第六条 薬剤師ハ左ニ掲グル事項ヲ就業地ヲ管轄スル地方長官ニ申告スベシ
一 第四条第一項第一号乃至第六号及第九号乃至第十五号ニ掲グル事項
二 薬剤師名簿登録番号
三 其ノ他命令ヲ以テ定ムル事項
第七条 看護婦ハ左ニ掲グル事項ヲ就業地ヲ管轄スル地方長官ニ申告スベシ
一 第四条第一項第一号、第三号乃至第五号及第九号乃至第十五号ニ掲グル事項
二 其ノ他命令ヲ以テ定ムル事項
第八条 第四条第二項ノ規定ハ歯科医師、薬剤師及看護婦ニ之ヲ準用ス
第九条 医師、歯科医師、薬剤師又ハ看護婦前六条ノ規定ニ依ル申告ヲ為シタル後左ノ各号ノ一ニ該当スルトキハ遅滞ナク前ニ申告ヲ為シタル地方長官ニ其ノ旨申告スベシ
一 第十二条ノ規定ニ該当スルニ至リタルトキ
二 内地、朝鮮、台湾、樺太又ハ南洋群島ノ何レカノ地域ヨリ他ノ地域ニ住所又ハ就業ノ場所ヲ移シタルトキ
三 本令施行地外ニ住所又ハ就業ノ場所ヲ移シタルトキ
第十条 地方長官ハ命令ノ定ムル所ニ依リ当該官吏ヲシテ本令ノ申告ヲ為シタル者ニ就キ其ノ職業能力ニ関シ検査ヲ為サシムルコトヲ得
第十一条 地方長官ハ命令ノ定ムル所ニ依リ本令ノ申告ニ関シ国家総動員法第三十一条ノ規定ニ基ク報告ヲ徴スルコトヲ得
第十二条 本令ハ第九条第一号ノ規定ニ依ル申告ニ関スル規定ヲ除クノ外陸海軍軍人ニシテ現役中ノモノ(帰休下士官兵ヲ除ク)及戦時若ハ事変ニ際シ又ハ兵役法第五十五条第二項(志願ニ依リ兵籍ニ編入セラレタル者ニ付テハ之ニ該当スル勅令ノ規定ヲ含ム)ノ規定ニ依リ召集中ノモノ、陸海軍軍属並ニ国家総動員法第四条ノ規定ニ依リ徴用中ノ者ニ対シテハ之ヲ適用セズ
第十三条 医師、歯科医師、薬剤師又ハ看護婦ニシテ左ノ各号ノ一ニ該当スルモノノ申告ニ関シテハ命令ノ定ムル所ニ依リ申告期限ヲ延長スルコトヲ得
一 陸海軍軍人ニシテ召集中ノモノ(前条ニ規定スル召集中ノ者ヲ除ク)
二 外国旅行中ノ者
三 其ノ他命令ヲ以テ定ムル者
第十四条 本令中地方長官トアルハ東京府ニ在リテハ薬剤師又ハ看護婦ニ関シテハ警視総監トス
第十五条 二以上ノ就業ノ場所ヲ有スル者ニ付テハ主タル就業ノ場所ノ所在地ヲ以テ、就業ノ場所一定セザル者、就業ノ場所ヲ有セザル者又ハ船舶内ニ於テ就業スルノ常況ニ在ル者ニ付テハ住所地ヲ以テ本令ノ就業地ト看做ス
第十六条 本令中医籍登録番号、歯科医籍登録番号又ハ薬剤師名簿登録番号トアルハ朝鮮総督ノ免許ヲ受ケタル医師、歯科医師又ハ薬剤師ニ関シテハ各其ノ免許番号トシ地方長官トアルハ朝鮮ニ在リテハ道知事、台湾ニ在リテハ州知事又ハ庁長、樺太ニ在リテハ樺太庁長官、南洋群島ニ在リテハ南洋庁長官トス
第十七条 本令ニ規定スルモノノ外申告ニ関シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
附 則
本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
昭和十三年ニ限リ第三条第二項中八月一日現在ニ依リ同月十五日迄トアルハ十月十五日現在ニ依リ同月三十一日迄トシ同条第三項中八月二日以後トアルハ十月十六日以後トス