医療関係者徴用令
法令番号: 勅令第千百三十一號
公布年月日: 昭和16年12月16日
法令の形式: 勅令
朕醫療關係者徵用令ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十六年十二月十五日
內閣總理大臣 東條英機
拓務大臣 井野碩哉
厚生大臣 小泉親彥
勅令第千百三十一號
醫療關係者徵用令
第一條 國家總動員法(昭和十三年勅令第三百十七號ニ於テ依ル場合ヲ含ム以下同ジ)第四條ノ規定ニ基ク醫師、齒科醫師、藥劑師及看護婦(以下醫療關係者ト總稱ス)ノ徵用竝ニ國家總動員法第六條ノ規定ニ基ク被徵用者ノ使用又ハ給料其ノ他ノ從業條件ニ關スル命令ハ本令ノ定ムル所ニ依ル
第二條 本令ニ於テ醫師トハ醫師法ニ依リ厚生大臣ノ免許ヲ受ケタル醫師、齒科醫師トハ齒科醫師法ニ依リ厚生大臣ノ免許ヲ受ケタル齒科醫師、藥劑師トハ藥劑師法ニ依リ厚生大臣ノ免許ヲ受ケタル藥劑師ヲ謂フ但シ朝鮮ニ在リテハ各朝鮮總督ノ免許ヲ受ケタル醫師、齒科醫師及藥劑師ヲ、臺灣ニ在リテハ各臺灣總督ノ免許ヲ受ケタル醫師、齒科醫師及藥劑師ヲ、樺太ニ在リテハ各樺太廳長官ノ免許又ハ假免許ヲ受ケタル醫師、齒科醫師及藥劑師ヲ、南洋群島ニ在リテハ各南洋廳長官ノ指定スル者ヲ含ム
本令ニ於テ看護婦トハ命令ヲ以テ定ムル看護婦ヲ謂フ
第三條 徵用ハ特別ノ事由アル場合ノ外募集ノ方法ニ依リ所要ノ人員ヲ得ラレザル場合ニ限リ之ヲ行フモノトス
第四條 本令ニ依リ徵用スル者ハ左ノ各號ノ一ニ揭グル業務ニ從事セシムルモノトス
一 國ノ行フ軍事上又ハ軍人援護上必要ナル衞生ニ關スル總動員業務
二 國、地方公共團體又ハ防空法第三條第一項ノ規定ニ依ル防空計畫ノ設定者(以下防空計畫設定者ト稱ス)ノ行フ防空上必要ナル衞生ニ關スル總動員業務
三 國又ハ地方公共團體ノ行フ衞生ニ關スル總動員業務ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノ
四 工場事業場管理令ニ依リ政府ノ管理スル工場事業場其ノ他ノ施設及厚生大臣ノ指定スルエ場事業場其ノ他ノ施設(以下工場事業場ト總稱ス)ニ於ケル衞生ニ關スル總動員業務
前項第三號又ハ第四號ニ揭グル業務ニ從事セシムル爲醫療關係者ヲ徵用スルハ國民衞生上特ニ必要アル場合ニ限ル
第五條 徵用及徵用ノ解除ハ厚生大臣ノ命令ニ依リ之ヲ實施ス
第六條 總動員業務ヲ行フ官衙(陸海軍ノ部隊及學校ヲ含ム以下同ジ)ノ所管大臣、地方公共團體ノ長、防空計畫設定者又ハ工場事業場ノ事業主徵用ニ依ル醫療關係者ノ配置ヲ必要トスルトキハ厚生大臣ニ之ヲ請求又ハ申請スベシ
前項ノ規定ニ依リ地方公共團體ノ長、防空計畫設定者又ハ工場事業場ノ事業主ノ爲ス申請ハ命令ヲ以テ定ムル地方長官ヲ經由スベシ
第七條 厚生大臣前條ノ規定ニ依ル請求又ハ申請アリタル場合ニ於テ徵用ノ必要アリト認ムルトキハ徵用命令ヲ發シ徵用セラルベキ者ノ就業ノ場所(二以上ノ就業ノ場所ヲ有スル者ニ付テハ主タル就業ノ場所トス以下同ジ)ノ所在地(就業ノ場所一定セザル者、就業ノ場所ヲ有セザル者又ハ船舶內ニ於テ就業スルノ常況ニ在ル者ニ付テハ命令ヲ以テ定ムル地)ヲ管轄スル地方長官ニ之ヲ通達スベシ
徵用セラルベキ者其ノ就業ノ場所ニ異動ヲ生ジ醫療關係者職業能力申吿令第四條第二項又ハ第八條ノ規定ニ依ル申吿ヲ爲サザル場合ニ於テ前後ノ就業ノ場所ノ所在地ヲ管轄スル地方長官ヲ異ニスルトキハ厚生大臣ハ前項ノ規定ニ拘ラズ前ノ就業ノ場所ノ所在地ヲ管轄スル地方長官ニ徵用命令ヲ通達スベシ
地方長官徵用命令ノ通達ヲ受ケタルトキハ直ニ徵用令書ヲ發シ徵用セラルベキ者ニ之ヲ交付スベシ
第八條 徵用令書ニハ左ニ揭グル事項ヲ記載スベシ但シ軍機保護上特ニ必要アルトキハ第二號又ハ第三號ニ揭グル事項ノ全部又ハ一部ヲ省略スルコトヲ得
一 徵用セラルベキ者ノ氏名、出生ノ年月日、住所及就業ノ場所
二 從事スベキ總動員業務ヲ行フ官衙、地方公共團體、防空計畫設定者又ハ工場事業場ノ名稱及所在地
三 從事スベキ總動員業務ノ內容及場所
四 徵用ノ期間
五 出頭スベキ日時及場所
六 其ノ他必要ト認ムル事項
第九條 地方長官ハ徵用セラルベキ者ノ性別、年齡、身體ノ狀態、就業ノ態樣、診療能力、住所及就業ノ場所、家庭ノ狀況、希望竝ニ其ノ者ノ徵用ガ國民醫療ニ及ボス影響等ヲ斟酌シ徵用ノ適否竝ニ從事スベキ總動員業務ノ內容及場所ヲ決定シ徵用令書ヲ發スベシ
第十條 地方長官ハ徵用ノ適否其ノ他ヲ判定スル爲必要アルトキハ徵用セラルベキ者ニ出頭ヲ求ムルコトヲ得
第十一條 徵用令書ノ交付ヲ受ケタル者疾病其ノ他避クベカラザル事故ニ因リ指定ノ日時及場所ニ出頭スルコト能ハザル場合ハ命令ノ定ムル所ニ依リ地方長官ニ其ノ旨ヲ屆出ヅベシ
前項ノ規定ニ依ル屆出アリタル場合ニ於テ地方長官必要アリト認ムルトキハ出頭ノ日時若ハ場所ヲ變更シ又ハ其ノ者徵用ニ適セズト認ムルトキハ徵用ヲ取消スコトヲ得此ノ場合ニ於テハ出頭變更令書又ハ徵用取消令書ヲ發シ其ノ者ニ之ヲ交付スベシ
第十二條 被徵用者ヲ使用スル官衙ノ所管大臣、地方公共團體ノ長、防空計畫設定者又ハ工場事業場ノ事業主被徵用者ヲ使用スル官衙、被徵用者ノ總動員業務ニ從事スル場所又ハ徵用ノ期間ニ付變更ヲ必要トスルトキハ厚生大臣ニ之ヲ請求又ハ申請スベシ
第六條第二項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第十三條 厚生大臣前條ノ規定ニ依ル請求又ハ申請アリタル場合ニ於テ必要アリト認ムルトキハ被徵用者ヲ使用スル官衙、被徵用者ノ總動員業務ニ從事スル場所又ハ徵用ノ期間ヲ變更スルコトヲ得
第十四條 被徵用者ヲ使用スル官衙ノ所管大臣、地方公共團體ノ長、防空計畫設定者又ハ工場事業場ノ事業主被徵用者ガ疾病其ノ他ノ事由ニ因リ總動員業務ニ從事スルニ適セズト認ムルトキ又ハ其ノ者ヲシテ總動員業務ニ從事セシムル必要ナキニ至リタルトキハ厚生大臣ニ徵用ノ解除ヲ請求又ハ申請スベシ
被徵用者疾病其ノ他ノ事由ニ因リ總動員業務ニ從事シ難キ場合ニ於テハ官衙ニ使用セラルル者ニ在リテハ當該官衙ノ所管大臣ニ、地方公共團體、防空計畫設定者又ハ工場事業場ニ使用セラルル者ニ在リテハ厚生大臣ニ其ノ旨ヲ申出ヅルコトヲ得
第十五條 厚生大臣前條第一項ノ規定ニ依ル請求又ハ申請アリタル場合ニ於テハ徵用ヲ解除スルコトヲ得
厚生大臣必要アリト認ムルトキハ前條第一項ノ規定ニ依ル請求又ハ申請ナキ場合ト雖モ徵用ヲ解除スルコトヲ得
厚生大臣前項ノ規定ニ依リ官衙ニ使用セラルル者ノ徵用ヲ解除セントスルトキハ當該官衙ノ所管大臣ニ協議スベシ
第十六條 厚生大臣徵用ノ變更又ハ解除ヲ爲サントスルトキハ徵用變更命令又ハ徵用解除命令ヲ發シ命令ノ定ムル所ニ依リ被徵用者ノ就業ノ場所ノ所在地ヲ管轄スル地方長官、徵用令書ヲ發シタル地方長官又ハ第八條第五號ノ出頭ノ場所ヲ管轄スル地方長官ニ之ヲ通達スベシ
地方長官徵用變更命令又ハ徵用解除命令ノ通達ヲ受ケタルトキハ直ニ徵用變更令書又ハ徵用解除令書ヲ發シ被徵用者ニ之ヲ交付スベシ
被徵用者本令施行地外ノ場所ニ於テ就業スル場合ニ於テ徵用ノ變更又ハ解除ヲ爲サントスルトキハ前二項ノ規定ニ拘ラズ厚生大臣徵用變更令書又ハ徵用解除令書ヲ發シ被徵用者ニ之ヲ交付スベシ
第十七條 被徵用者總動員業務ニ從事スル場合ニ於テハ官衙ニ使用セラルル者ニ在リテハ當該官衙ノ長ノ指揮ヲ受ケ地方公共團體ニ使用セラルル者ニ在リテハ當該地方公共團體ノ長、防空計畫設定者ニ使用セラルル者ニ在リテハ當該防空計畫設定者、工場事業場ニ使用セラルル者ニ在リテハ當該工場事業場ノ事業主ノ指示ニ從フベシ
第十八條 被徵用者ニ對スル給與ハ其ノ者ノ經歷、從事スル業務及場所等ニ應ジ且從前ノ給與其ノ他之ニ準ズベキ收入ヲ斟酌シテ被徵用者ヲ使用スル官衙ノ長、地方公共團體ノ長、防空計畫設定者又ハ工場事業場ノ事業主之ヲ支給スルモノトス
被徵用者ニ對スル給與ニ關シ必要ナル事項ハ官衙ニ使用セラルル者ニ關シテハ當該官衙ノ所管大臣厚生大臣ニ協議シテ之ヲ定メ地方公共團體、防空計畫設定者又ハ工場事業場ニ使用セラルル者ニ關シテハ當該地方公共團體ノ長、防空計畫設定者又ハ工場事業場ノ事業主厚生大臣ノ認可ヲ受ケテ之ヲ定ムベシ
第十九條 徵用セラルベキ者第十條ノ規定ニ依リ出頭スル場合ノ旅費ハ地方長官之ヲ支給ス
地方公共團體、防空計畫設定者ノ事業若ハ施設又ハ工場事業場ニ配置セラルル爲第十條ノ規定ニ依リ出頭シタル者ニ對シ前項ノ規定ニ依リ支給シタル旅費ノ額ハ當該地方公共團體、防空計畫設定者又ハ工場事業場ノ事業主國庫ニ之ヲ納入スベシ
被徵用者徵用令書ノ交付ヲ受ケ指定ノ場所ニ出頭スル場合又ハ徵用ヲ解除セラレテ歸鄕スル場合ノ旅費ハ被徵用者ヲ使用スル官衙ノ長、地方公共團體ノ長、防空計畫設定者又ハ工場事業場ノ事業主之ヲ支給スルモノトス
第一項及前項ノ場合ニ於テ前金拂ヲ爲スニ非ザレバ出頭スルコト能ハザル者ノ旅費ハ其ノ者ノ居住地ノ市町村又ハ之ニ準ズベキモノニ於テ一時繰替支辨スベシ
徵用セラルベキ者第十條ノ規定ニ依リ出頭スル場合ノ旅費及其ノ一時繰替支辨ニ關シ必要ナル事項ハ厚生大臣之ヲ定ム
被徵用者徵用令書ノ交付ヲ受ケ指定ノ場所ニ出頭スル場合ノ旅費及其ノ一時繰替支辨竝ニ徵用ヲ解除セラレ歸鄕スル場合ノ旅費ニ關シ必要ナル事項ハ官衙ニ使用セラルル者ニ關シテハ當該官衙ノ所管大臣厚生大臣ニ協議シテ之ヲ定メ地方公共團體、防空計畫設定者及工場事業場ニ使用セラルル者ニ關シテハ厚生大臣之ヲ定ム
第二十條 厚生大臣必要アリト認ムルトキハ國家總動員法第六條ノ規定ニ基キ被徵用者ヲ使用スル地方公共團體ノ長、防空計畫設定者又ハ工場事業場ノ事業主ニ對シ被徵用者ノ使用又ハ給料其ノ他ノ從業條件ニ關シ命令ヲ爲スコトヲ得
第二十一條 被徵用者徵用セラレタルニ因リ其ノ家族ト世帶ヲ異ニスルニ至リタル場合其ノ他特別ノ事情アル場合又ハ被徵用者故意若ハ重大ナル過失ニ因ルニ非ズシテ業務上傷痍ヲ受ケ若ハ疾病ニ罹リ之ガ爲徵用ヲ解除セラレタル場合ニ於テ本人又ハ家族ガ生活スルコト困難ナルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ之ニ對シ扶助ヲ爲スコトヲ得
被徵用者徵用セラレ總動員業務ニ從事中故意又ハ重大ナル過失ニ因ルニ非ズシテ業務上傷痍ヲ受ケ又ハ疾病ニ罹リ之ガ爲死亡シタル場合ニ於テ遺族ガ生活スルコト困難ナルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ之ニ對シ扶助ヲ爲スコトヲ得
前二項ノ家族又ハ遺族ノ範圍及扶助ニ關シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第二十二條 前條ノ規定ニ依ル扶助ガ被徵用者ニシテ工場事業場ニ使用セラレ若ハ使用セラレタル者又ハ其ノ家族若ハ遺族ニ對シ爲サレタルモノナルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ當該工場事業場ノ事業主ヲシテ扶助ニ要シタル費用ヲ國庫ニ納入セシムルコトヲ得
第二十三條 厚生大臣又ハ地方長官ハ命令ノ定ムル所ニ依リ徵用ニ關シ國家總動員法第三十一條ノ規定ニ基ク報吿ヲ徵スルコトヲ得
厚生大臣又ハ地方長官徵用ニ關シ必要アリト認ムルトキハ國家總動員法第三十一條ノ規定ニ基キ當該官吏ヲシテ被徵用者ノ從事スル場所其ノ他必要ナル場所ニ臨檢シ業務ノ狀況又ハ帳簿書類其ノ他ノ物件ヲ檢査セシムルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ當該官吏ヲシテ其ノ身分ヲ示ス證票ヲ携帶セシムべシ
第二十四條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ之ヲ徵用セズ
一 陸海軍軍人ニシテ現役中ノモノ(未ダ入營セザル者ヲ除ク)及召集中ノモノ(召集中ノ身分取扱ヲ受クル者ヲ含ム)
二 陸海軍學生生徒
三 陸海軍軍屬(被徵用者ニシテ之ニ該當スルニ至リタルモノヲ除ク)
四 法令ニ依リ拘禁中ノ者
第二十五條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ特別ノ必要アル場合ヲ除クノ外之ヲ徵用セズ
一 年齡六十年以上ノ者
二 餘人ヲ以テ代フベカラザル職ニ在ル官吏、待遇官吏又ハ公吏
三 帝國議會ノ議員
四 總動員業務ニ從事スル者ニシテ餘人ヲ以テ代フベカラザルモノ
第二十六條 厚生大臣ハ命令ノ定ムル所ニ依リ警察署長ヲシテ徵用ニ關スル事務ノ一部ヲ分掌セシメ又ハ市町村長(東京市、京都市、大阪市、名古屋市、橫濱市及神戶市ニ在リテハ區長)若ハ之ニ準ズベキモノヲシテ徵用ニ關スル事務ヲ補助セシムルコトヲ得
市町村長(東京市、京都市、大阪市、名古屋市、橫濱市及神戶市ニ在リテハ區長)又ハ之ニ準ズベキモノノ前項ノ規定ニ依リ徵用ニ關スル事務ヲ執行スル爲要スル費用ハ市町村又ハ之ニ準ズベキモノニ於テ一時繰替支辨スベシ
前項ノ費用及一時繰替支辨ニ關シ必要ナル事項ハ厚生大臣之ヲ定ム
第二十七條 厚生大臣ハ本令ノ施行ニ關スル重要事項ニ付內閣總理大臣ニ協議スベシ
第二十八條 本令中地方長官トアルハ東京府ニ在リテハ藥劑師又ハ看護婦ニ關シテハ警視總監トス
第二十九條 本令中厚生大臣トアルハ朝鮮、臺灣、樺太又ハ南洋群島ニ在リテハ各朝鮮總督、臺灣總督、樺太廳長官又ハ南洋廳長官トシ總動員業務ヲ行フ官衙(陸海軍ノ部隊及學校ヲ含ム以下同ジ)ノ所管大臣、被徵用者ヲ使用スル官衙ノ所管大臣又ハ當該官衙ノ所管大臣トアルハ官衙ノ所管大臣ガ陸軍大臣又ハ海軍大臣タル場合ヲ除クノ外朝鮮、臺灣、樺太又ハ南洋群島ニ在リテハ各朝鮮總督、臺灣總督、樺太廳長官又ハ南洋廳長官トシ地方長官トアルハ朝鮮ニ在リテハ道知事、臺灣ニ在リテハ州知事又ハ廳長、樺太ニ在リテハ樺太廳長官、南洋群島ニ在リテハ南洋廳長官トシ市町村トアルハ朝鮮ニ在リテハ府邑面、臺灣ニ在リテハ市街庄、南洋群島ニ在リテハ南洋群島地方費トシ警察署長トアルハ臺灣ニ在リテハ郡守、支廳長又ハ警察署長、南洋群島ニ在リテハ南洋廳支廳長トシ市町村長トアルハ朝鮮ニ在リテハ府尹又ハ邑面長、臺灣ニ在リテハ市街庄長、南洋群島ニ在リテハ南洋廳支廳長トス
第三十條 本令ニ規定スルモノノ外徵用ニ關シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
附 則
本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
朕医療関係者徴用令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十六年十二月十五日
内閣総理大臣 東条英機
拓務大臣 井野碩哉
厚生大臣 小泉親彦
勅令第千百三十一号
医療関係者徴用令
第一条 国家総動員法(昭和十三年勅令第三百十七号ニ於テ依ル場合ヲ含ム以下同ジ)第四条ノ規定ニ基ク医師、歯科医師、薬剤師及看護婦(以下医療関係者ト総称ス)ノ徴用並ニ国家総動員法第六条ノ規定ニ基ク被徴用者ノ使用又ハ給料其ノ他ノ従業条件ニ関スル命令ハ本令ノ定ムル所ニ依ル
第二条 本令ニ於テ医師トハ医師法ニ依リ厚生大臣ノ免許ヲ受ケタル医師、歯科医師トハ歯科医師法ニ依リ厚生大臣ノ免許ヲ受ケタル歯科医師、薬剤師トハ薬剤師法ニ依リ厚生大臣ノ免許ヲ受ケタル薬剤師ヲ謂フ但シ朝鮮ニ在リテハ各朝鮮総督ノ免許ヲ受ケタル医師、歯科医師及薬剤師ヲ、台湾ニ在リテハ各台湾総督ノ免許ヲ受ケタル医師、歯科医師及薬剤師ヲ、樺太ニ在リテハ各樺太庁長官ノ免許又ハ仮免許ヲ受ケタル医師、歯科医師及薬剤師ヲ、南洋群島ニ在リテハ各南洋庁長官ノ指定スル者ヲ含ム
本令ニ於テ看護婦トハ命令ヲ以テ定ムル看護婦ヲ謂フ
第三条 徴用ハ特別ノ事由アル場合ノ外募集ノ方法ニ依リ所要ノ人員ヲ得ラレザル場合ニ限リ之ヲ行フモノトス
第四条 本令ニ依リ徴用スル者ハ左ノ各号ノ一ニ掲グル業務ニ従事セシムルモノトス
一 国ノ行フ軍事上又ハ軍人援護上必要ナル衛生ニ関スル総動員業務
二 国、地方公共団体又ハ防空法第三条第一項ノ規定ニ依ル防空計画ノ設定者(以下防空計画設定者ト称ス)ノ行フ防空上必要ナル衛生ニ関スル総動員業務
三 国又ハ地方公共団体ノ行フ衛生ニ関スル総動員業務ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノ
四 工場事業場管理令ニ依リ政府ノ管理スル工場事業場其ノ他ノ施設及厚生大臣ノ指定スルエ場事業場其ノ他ノ施設(以下工場事業場ト総称ス)ニ於ケル衛生ニ関スル総動員業務
前項第三号又ハ第四号ニ掲グル業務ニ従事セシムル為医療関係者ヲ徴用スルハ国民衛生上特ニ必要アル場合ニ限ル
第五条 徴用及徴用ノ解除ハ厚生大臣ノ命令ニ依リ之ヲ実施ス
第六条 総動員業務ヲ行フ官衙(陸海軍ノ部隊及学校ヲ含ム以下同ジ)ノ所管大臣、地方公共団体ノ長、防空計画設定者又ハ工場事業場ノ事業主徴用ニ依ル医療関係者ノ配置ヲ必要トスルトキハ厚生大臣ニ之ヲ請求又ハ申請スベシ
前項ノ規定ニ依リ地方公共団体ノ長、防空計画設定者又ハ工場事業場ノ事業主ノ為ス申請ハ命令ヲ以テ定ムル地方長官ヲ経由スベシ
第七条 厚生大臣前条ノ規定ニ依ル請求又ハ申請アリタル場合ニ於テ徴用ノ必要アリト認ムルトキハ徴用命令ヲ発シ徴用セラルベキ者ノ就業ノ場所(二以上ノ就業ノ場所ヲ有スル者ニ付テハ主タル就業ノ場所トス以下同ジ)ノ所在地(就業ノ場所一定セザル者、就業ノ場所ヲ有セザル者又ハ船舶内ニ於テ就業スルノ常況ニ在ル者ニ付テハ命令ヲ以テ定ムル地)ヲ管轄スル地方長官ニ之ヲ通達スベシ
徴用セラルベキ者其ノ就業ノ場所ニ異動ヲ生ジ医療関係者職業能力申告令第四条第二項又ハ第八条ノ規定ニ依ル申告ヲ為サザル場合ニ於テ前後ノ就業ノ場所ノ所在地ヲ管轄スル地方長官ヲ異ニスルトキハ厚生大臣ハ前項ノ規定ニ拘ラズ前ノ就業ノ場所ノ所在地ヲ管轄スル地方長官ニ徴用命令ヲ通達スベシ
地方長官徴用命令ノ通達ヲ受ケタルトキハ直ニ徴用令書ヲ発シ徴用セラルベキ者ニ之ヲ交付スベシ
第八条 徴用令書ニハ左ニ掲グル事項ヲ記載スベシ但シ軍機保護上特ニ必要アルトキハ第二号又ハ第三号ニ掲グル事項ノ全部又ハ一部ヲ省略スルコトヲ得
一 徴用セラルベキ者ノ氏名、出生ノ年月日、住所及就業ノ場所
二 従事スベキ総動員業務ヲ行フ官衙、地方公共団体、防空計画設定者又ハ工場事業場ノ名称及所在地
三 従事スベキ総動員業務ノ内容及場所
四 徴用ノ期間
五 出頭スベキ日時及場所
六 其ノ他必要ト認ムル事項
第九条 地方長官ハ徴用セラルベキ者ノ性別、年齢、身体ノ状態、就業ノ態様、診療能力、住所及就業ノ場所、家庭ノ状況、希望並ニ其ノ者ノ徴用ガ国民医療ニ及ボス影響等ヲ斟酌シ徴用ノ適否並ニ従事スベキ総動員業務ノ内容及場所ヲ決定シ徴用令書ヲ発スベシ
第十条 地方長官ハ徴用ノ適否其ノ他ヲ判定スル為必要アルトキハ徴用セラルベキ者ニ出頭ヲ求ムルコトヲ得
第十一条 徴用令書ノ交付ヲ受ケタル者疾病其ノ他避クベカラザル事故ニ因リ指定ノ日時及場所ニ出頭スルコト能ハザル場合ハ命令ノ定ムル所ニ依リ地方長官ニ其ノ旨ヲ届出ヅベシ
前項ノ規定ニ依ル届出アリタル場合ニ於テ地方長官必要アリト認ムルトキハ出頭ノ日時若ハ場所ヲ変更シ又ハ其ノ者徴用ニ適セズト認ムルトキハ徴用ヲ取消スコトヲ得此ノ場合ニ於テハ出頭変更令書又ハ徴用取消令書ヲ発シ其ノ者ニ之ヲ交付スベシ
第十二条 被徴用者ヲ使用スル官衙ノ所管大臣、地方公共団体ノ長、防空計画設定者又ハ工場事業場ノ事業主被徴用者ヲ使用スル官衙、被徴用者ノ総動員業務ニ従事スル場所又ハ徴用ノ期間ニ付変更ヲ必要トスルトキハ厚生大臣ニ之ヲ請求又ハ申請スベシ
第六条第二項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第十三条 厚生大臣前条ノ規定ニ依ル請求又ハ申請アリタル場合ニ於テ必要アリト認ムルトキハ被徴用者ヲ使用スル官衙、被徴用者ノ総動員業務ニ従事スル場所又ハ徴用ノ期間ヲ変更スルコトヲ得
第十四条 被徴用者ヲ使用スル官衙ノ所管大臣、地方公共団体ノ長、防空計画設定者又ハ工場事業場ノ事業主被徴用者ガ疾病其ノ他ノ事由ニ因リ総動員業務ニ従事スルニ適セズト認ムルトキ又ハ其ノ者ヲシテ総動員業務ニ従事セシムル必要ナキニ至リタルトキハ厚生大臣ニ徴用ノ解除ヲ請求又ハ申請スベシ
被徴用者疾病其ノ他ノ事由ニ因リ総動員業務ニ従事シ難キ場合ニ於テハ官衙ニ使用セラルル者ニ在リテハ当該官衙ノ所管大臣ニ、地方公共団体、防空計画設定者又ハ工場事業場ニ使用セラルル者ニ在リテハ厚生大臣ニ其ノ旨ヲ申出ヅルコトヲ得
第十五条 厚生大臣前条第一項ノ規定ニ依ル請求又ハ申請アリタル場合ニ於テハ徴用ヲ解除スルコトヲ得
厚生大臣必要アリト認ムルトキハ前条第一項ノ規定ニ依ル請求又ハ申請ナキ場合ト雖モ徴用ヲ解除スルコトヲ得
厚生大臣前項ノ規定ニ依リ官衙ニ使用セラルル者ノ徴用ヲ解除セントスルトキハ当該官衙ノ所管大臣ニ協議スベシ
第十六条 厚生大臣徴用ノ変更又ハ解除ヲ為サントスルトキハ徴用変更命令又ハ徴用解除命令ヲ発シ命令ノ定ムル所ニ依リ被徴用者ノ就業ノ場所ノ所在地ヲ管轄スル地方長官、徴用令書ヲ発シタル地方長官又ハ第八条第五号ノ出頭ノ場所ヲ管轄スル地方長官ニ之ヲ通達スベシ
地方長官徴用変更命令又ハ徴用解除命令ノ通達ヲ受ケタルトキハ直ニ徴用変更令書又ハ徴用解除令書ヲ発シ被徴用者ニ之ヲ交付スベシ
被徴用者本令施行地外ノ場所ニ於テ就業スル場合ニ於テ徴用ノ変更又ハ解除ヲ為サントスルトキハ前二項ノ規定ニ拘ラズ厚生大臣徴用変更令書又ハ徴用解除令書ヲ発シ被徴用者ニ之ヲ交付スベシ
第十七条 被徴用者総動員業務ニ従事スル場合ニ於テハ官衙ニ使用セラルル者ニ在リテハ当該官衙ノ長ノ指揮ヲ受ケ地方公共団体ニ使用セラルル者ニ在リテハ当該地方公共団体ノ長、防空計画設定者ニ使用セラルル者ニ在リテハ当該防空計画設定者、工場事業場ニ使用セラルル者ニ在リテハ当該工場事業場ノ事業主ノ指示ニ従フベシ
第十八条 被徴用者ニ対スル給与ハ其ノ者ノ経歴、従事スル業務及場所等ニ応ジ且従前ノ給与其ノ他之ニ準ズベキ収入ヲ斟酌シテ被徴用者ヲ使用スル官衙ノ長、地方公共団体ノ長、防空計画設定者又ハ工場事業場ノ事業主之ヲ支給スルモノトス
被徴用者ニ対スル給与ニ関シ必要ナル事項ハ官衙ニ使用セラルル者ニ関シテハ当該官衙ノ所管大臣厚生大臣ニ協議シテ之ヲ定メ地方公共団体、防空計画設定者又ハ工場事業場ニ使用セラルル者ニ関シテハ当該地方公共団体ノ長、防空計画設定者又ハ工場事業場ノ事業主厚生大臣ノ認可ヲ受ケテ之ヲ定ムベシ
第十九条 徴用セラルベキ者第十条ノ規定ニ依リ出頭スル場合ノ旅費ハ地方長官之ヲ支給ス
地方公共団体、防空計画設定者ノ事業若ハ施設又ハ工場事業場ニ配置セラルル為第十条ノ規定ニ依リ出頭シタル者ニ対シ前項ノ規定ニ依リ支給シタル旅費ノ額ハ当該地方公共団体、防空計画設定者又ハ工場事業場ノ事業主国庫ニ之ヲ納入スベシ
被徴用者徴用令書ノ交付ヲ受ケ指定ノ場所ニ出頭スル場合又ハ徴用ヲ解除セラレテ帰郷スル場合ノ旅費ハ被徴用者ヲ使用スル官衙ノ長、地方公共団体ノ長、防空計画設定者又ハ工場事業場ノ事業主之ヲ支給スルモノトス
第一項及前項ノ場合ニ於テ前金払ヲ為スニ非ザレバ出頭スルコト能ハザル者ノ旅費ハ其ノ者ノ居住地ノ市町村又ハ之ニ準ズベキモノニ於テ一時繰替支弁スベシ
徴用セラルベキ者第十条ノ規定ニ依リ出頭スル場合ノ旅費及其ノ一時繰替支弁ニ関シ必要ナル事項ハ厚生大臣之ヲ定ム
被徴用者徴用令書ノ交付ヲ受ケ指定ノ場所ニ出頭スル場合ノ旅費及其ノ一時繰替支弁並ニ徴用ヲ解除セラレ帰郷スル場合ノ旅費ニ関シ必要ナル事項ハ官衙ニ使用セラルル者ニ関シテハ当該官衙ノ所管大臣厚生大臣ニ協議シテ之ヲ定メ地方公共団体、防空計画設定者及工場事業場ニ使用セラルル者ニ関シテハ厚生大臣之ヲ定ム
第二十条 厚生大臣必要アリト認ムルトキハ国家総動員法第六条ノ規定ニ基キ被徴用者ヲ使用スル地方公共団体ノ長、防空計画設定者又ハ工場事業場ノ事業主ニ対シ被徴用者ノ使用又ハ給料其ノ他ノ従業条件ニ関シ命令ヲ為スコトヲ得
第二十一条 被徴用者徴用セラレタルニ因リ其ノ家族ト世帯ヲ異ニスルニ至リタル場合其ノ他特別ノ事情アル場合又ハ被徴用者故意若ハ重大ナル過失ニ因ルニ非ズシテ業務上傷痍ヲ受ケ若ハ疾病ニ罹リ之ガ為徴用ヲ解除セラレタル場合ニ於テ本人又ハ家族ガ生活スルコト困難ナルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ之ニ対シ扶助ヲ為スコトヲ得
被徴用者徴用セラレ総動員業務ニ従事中故意又ハ重大ナル過失ニ因ルニ非ズシテ業務上傷痍ヲ受ケ又ハ疾病ニ罹リ之ガ為死亡シタル場合ニ於テ遺族ガ生活スルコト困難ナルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ之ニ対シ扶助ヲ為スコトヲ得
前二項ノ家族又ハ遺族ノ範囲及扶助ニ関シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第二十二条 前条ノ規定ニ依ル扶助ガ被徴用者ニシテ工場事業場ニ使用セラレ若ハ使用セラレタル者又ハ其ノ家族若ハ遺族ニ対シ為サレタルモノナルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ当該工場事業場ノ事業主ヲシテ扶助ニ要シタル費用ヲ国庫ニ納入セシムルコトヲ得
第二十三条 厚生大臣又ハ地方長官ハ命令ノ定ムル所ニ依リ徴用ニ関シ国家総動員法第三十一条ノ規定ニ基ク報告ヲ徴スルコトヲ得
厚生大臣又ハ地方長官徴用ニ関シ必要アリト認ムルトキハ国家総動員法第三十一条ノ規定ニ基キ当該官吏ヲシテ被徴用者ノ従事スル場所其ノ他必要ナル場所ニ臨検シ業務ノ状況又ハ帳簿書類其ノ他ノ物件ヲ検査セシムルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ当該官吏ヲシテ其ノ身分ヲ示ス証票ヲ携帯セシムべシ
第二十四条 左ノ各号ノ一ニ該当スル者ハ之ヲ徴用セズ
一 陸海軍軍人ニシテ現役中ノモノ(未ダ入営セザル者ヲ除ク)及召集中ノモノ(召集中ノ身分取扱ヲ受クル者ヲ含ム)
二 陸海軍学生生徒
三 陸海軍軍属(被徴用者ニシテ之ニ該当スルニ至リタルモノヲ除ク)
四 法令ニ依リ拘禁中ノ者
第二十五条 左ノ各号ノ一ニ該当スル者ハ特別ノ必要アル場合ヲ除クノ外之ヲ徴用セズ
一 年齢六十年以上ノ者
二 余人ヲ以テ代フベカラザル職ニ在ル官吏、待遇官吏又ハ公吏
三 帝国議会ノ議員
四 総動員業務ニ従事スル者ニシテ余人ヲ以テ代フベカラザルモノ
第二十六条 厚生大臣ハ命令ノ定ムル所ニ依リ警察署長ヲシテ徴用ニ関スル事務ノ一部ヲ分掌セシメ又ハ市町村長(東京市、京都市、大阪市、名古屋市、横浜市及神戸市ニ在リテハ区長)若ハ之ニ準ズベキモノヲシテ徴用ニ関スル事務ヲ補助セシムルコトヲ得
市町村長(東京市、京都市、大阪市、名古屋市、横浜市及神戸市ニ在リテハ区長)又ハ之ニ準ズベキモノノ前項ノ規定ニ依リ徴用ニ関スル事務ヲ執行スル為要スル費用ハ市町村又ハ之ニ準ズベキモノニ於テ一時繰替支弁スベシ
前項ノ費用及一時繰替支弁ニ関シ必要ナル事項ハ厚生大臣之ヲ定ム
第二十七条 厚生大臣ハ本令ノ施行ニ関スル重要事項ニ付内閣総理大臣ニ協議スベシ
第二十八条 本令中地方長官トアルハ東京府ニ在リテハ薬剤師又ハ看護婦ニ関シテハ警視総監トス
第二十九条 本令中厚生大臣トアルハ朝鮮、台湾、樺太又ハ南洋群島ニ在リテハ各朝鮮総督、台湾総督、樺太庁長官又ハ南洋庁長官トシ総動員業務ヲ行フ官衙(陸海軍ノ部隊及学校ヲ含ム以下同ジ)ノ所管大臣、被徴用者ヲ使用スル官衙ノ所管大臣又ハ当該官衙ノ所管大臣トアルハ官衙ノ所管大臣ガ陸軍大臣又ハ海軍大臣タル場合ヲ除クノ外朝鮮、台湾、樺太又ハ南洋群島ニ在リテハ各朝鮮総督、台湾総督、樺太庁長官又ハ南洋庁長官トシ地方長官トアルハ朝鮮ニ在リテハ道知事、台湾ニ在リテハ州知事又ハ庁長、樺太ニ在リテハ樺太庁長官、南洋群島ニ在リテハ南洋庁長官トシ市町村トアルハ朝鮮ニ在リテハ府邑面、台湾ニ在リテハ市街庄、南洋群島ニ在リテハ南洋群島地方費トシ警察署長トアルハ台湾ニ在リテハ郡守、支庁長又ハ警察署長、南洋群島ニ在リテハ南洋庁支庁長トシ市町村長トアルハ朝鮮ニ在リテハ府尹又ハ邑面長、台湾ニ在リテハ市街庄長、南洋群島ニ在リテハ南洋庁支庁長トス
第三十条 本令ニ規定スルモノノ外徴用ニ関シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
附 則
本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス