朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル入場稅法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十五年三月二十九日
內閣總理大臣 米內光政
大藏大臣 櫻內幸雄
法律第四十四號
入場稅法
第一條 本法ニ依リ入場稅及特別入場稅ヲ課ス
第二條 入場稅ハ左ニ揭グル第一種ノ場所ニ入場スル者又ハ第二種ノ場所ノ設備ヲ利用スル者ニ之ヲ課ス
第一種
一 演劇、活動寫眞、演藝又ハ觀物(相撲、野球、拳鬪其ノ他ノ競技ニシテ公衆ノ觀覽ニ供スルコトヲ目的トスルモノヲ含ム)ヲ催ス場所
二 競馬場
三 前二號ニ揭グルモノヲ除クノ外一定ノ催物又ハ設備ヲ爲シ公衆ノ觀覽又ハ遊戱ニ供スル場所ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノ
第二種
一 舞踏場、麻雀場、撞球場
二 ゴルフ場、スケート場
第三條 入場稅ノ稅率左ノ如シ
第一種ノ場所
入場料ガ一人一囘一圓未滿ナルトキ 入場料ノ百分ノ十
入場料ガ一人一囘一圓以上三圓未滿ナルトキ 入場料ノ百分ノ二十
入場料ガ一人一囘三圓以上ナルトキ 入場料ノ百分ノ三十
囘數、定期又ハ貸切ニテ入場ノ契約ヲ爲シタルトキ 入場料ノ百分ノ二十
第二種ノ場所
撞球場 入場料ノ百分ノ十
其ノ他 入場料ノ百分ノ二十
本法ニ於テ入場料トハ名義ノ何タルヲ問ハズ第一種ノ場所ニ入場シ又ハ第二種ノ場所ノ設備ヲ利用スル爲ニ支拂フベキ金額ヲ謂フ
前項ノ入場料ノ算定ニ關シテハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第四條 第一種ノ場所ノ入場料ガ一人一囘十九錢ニ滿タザル場合ニハ入場稅ヲ課セズ
前項ノ規定ハ囘數、定期又ハ貸切ニテ入場ノ契約ヲ爲シタル場合ニハ之ヲ適用セズ
第五條 第一種ノ催物(第一種ノ場所ニ於ケル演劇、活動寫眞、演藝、觀物、競馬其ノ他ノ催物ヲ謂フ以下同ジ)若ハ設備ノ主催者若ハ經營者又ハ第二種ノ場所ノ經營者ガ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ入場料又ハ收益ノ總額ヲ慈善事業其ノ他命令ヲ以テ定ムル目的ニ充ツル場合ニ於テハ入場稅ヲ免除ス
第六條 入場稅ハ第一種ノ催物若ハ設備ノ主催者若ハ經營者又ハ第二種ノ場所ノ經營者入場料領收ノ際之ヲ徵收シ翌月十日迄ニ政府ニ納ムベシ但シ常時開設ニ非ザルモノニ付テハ命令ヲ以テ定ムル場合ヲ除クノ外終了後直ニ政府ニ納ムベシ
第七條 第一種ノ催物若ハ設備ヲ開催若ハ經營シ又ハ第二種ノ場所ヲ經營セントスル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ旨ヲ豫メ政府ニ申吿スベシ之ヲ廢止セントスルトキ亦同ジ
第八條 第一種ノ催物若ハ設備ノ主催者若ハ經營者又ハ第二種ノ場所ノ經營者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ業務ニ關スル事項ヲ帳簿ニ記載スベシ
第一種ノ催物若ハ設備ノ主催者若ハ經營者又ハ第二種ノ場所ノ經營者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ業務ニ關シ必要ナル事項ヲ政府ニ申吿スベシ
第九條 特別入場稅ハ運動競技ニシテ學生生徒又ハ該競技ヲ爲スコトヲ業トセザル者ノ行フモノニ付觀覽ノ爲競技場ニ入場スル者ヨリ料金ヲ徵スル場合ニ於テ其ノ入場者ニ之ヲ課ス
第十條 特別入場稅ノ稅率ハ特別入場料ノ百分ノ十トス
本法ニ於テ特別入場料トハ名義ノ何タルヲ問ハズ前條ノ競技場ニ入場スル爲ニ支拂フベキ金額ヲ謂フ
第三條第三項ノ規定ハ特別入場稅ニ付之ヲ準用ス
第十一條 特別入場料ガ一人一囘十九錢ニ滿タザル場合ニハ特別入場稅ヲ課セズ
第四條第二項ノ規定ハ前項ノ場合ニ付之ヲ準用ス
第十二條 特別入場稅ハ運動競技ノ主催者特別入場料領收ノ際之ヲ徵收シ競技終了後直ニ政府ニ納ムベシ但シ命令ヲ以テ定ムル場合ニ於テハ翌月十日迄ニ之ヲ政府ニ納ムベシ
第十三條 第五條、第七條及第八條ノ規定ハ特別入場稅ニ付之ヲ準用ス
第十四條 第六條又ハ第十二條ノ規定ニ依リ徵收スベキ稅金ヲ徵收セザルトキ又ハ其ノ徵收シタル稅金ヲ納付セザルトキハ國稅徵收ノ例ニ依リ之ヲ各其ノ徵收義務者ヨリ徵收ス
第十五條 收稅官吏ハ第一種ノ催物若ハ設備ノ主催者若ハ經營者又ハ第二種ノ場所ノ經營者ニ對シ質問ヲ爲シ又ハ其ノ業務ニ關スル帳簿書類其ノ他ノ物件ヲ檢査スルコトヲ得
前項ノ規定ハ特別入場稅ニ付之ヲ準用ス
第十六條 政府ニ申吿セズシテ第一種ノ催物若ハ設備ヲ開催若ハ經營シ又ハ第二種ノ場所ヲ經營シタル者ハ三百圓以下ノ罰金又ハ科料ニ處ス
第十七條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ百圓以下ノ罰金又ハ科料ニ處ス
一 第八條第一項ノ規定ニ依ル帳簿ノ記載ヲ怠リ若ハ詐リ又ハ帳簿ヲ隱匿シタル者
二 第八條第二項ノ規定ニ依ル申吿ヲ怠リ又ハ詐リタル者
三 第十五條第一項ノ規定ニ依ル收稅官吏ノ質問ニ對シ答辯ヲ爲サズ若ハ虛僞ノ陳述ヲ爲シ又ハ其ノ職務ノ執行ヲ拒ミ、妨ゲ若ハ忌避シタル者
第十八條 北海道、府縣、市町村其ノ他ノ公共團體ハ第一種ノ場所ノ入場者又ハ第二種ノ場所ノ設備利用者ニ對シ入場稅ノ課稅標準タル入場料ヲ標準トシテ地方稅ヲ課スルコトヲ得ズ
前項ノ規定ハ特別入場稅ニ付之ヲ準用ス
附 則
本法ハ昭和十五年四月一日ヨリ之ヲ施行ス
支那事變特別稅法第二十六條ニ規定スル第一種ノ催物若ハ設備ヲ開催若ハ經營スル者又ハ同第二種ノ場所ヲ經營スル者ニシテ同法ニ依リ其ノ旨ヲ申吿シタルモノハ本法施行ノ日ニ於テ本法ニ依リ申吿シタルモノト看做ス
前項ノ規定ハ支那事變特別稅法第三十三條ニ規定スル運動競技ヲ開催スル者ニシテ同法ニ依リ其ノ旨ヲ申吿シタルモノニ付之ヲ準用ス
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル入場税法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十五年三月二十九日
内閣総理大臣 米内光政
大蔵大臣 桜内幸雄
法律第四十四号
入場税法
第一条 本法ニ依リ入場税及特別入場税ヲ課ス
第二条 入場税ハ左ニ掲グル第一種ノ場所ニ入場スル者又ハ第二種ノ場所ノ設備ヲ利用スル者ニ之ヲ課ス
第一種
一 演劇、活動写真、演芸又ハ観物(相撲、野球、拳闘其ノ他ノ競技ニシテ公衆ノ観覧ニ供スルコトヲ目的トスルモノヲ含ム)ヲ催ス場所
二 競馬場
三 前二号ニ掲グルモノヲ除クノ外一定ノ催物又ハ設備ヲ為シ公衆ノ観覧又ハ遊戲ニ供スル場所ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノ
第二種
一 舞踏場、麻雀場、撞球場
二 ゴルフ場、スケート場
第三条 入場税ノ税率左ノ如シ
第一種ノ場所
入場料ガ一人一回一円未満ナルトキ 入場料ノ百分ノ十
入場料ガ一人一回一円以上三円未満ナルトキ 入場料ノ百分ノ二十
入場料ガ一人一回三円以上ナルトキ 入場料ノ百分ノ三十
回数、定期又ハ貸切ニテ入場ノ契約ヲ為シタルトキ 入場料ノ百分ノ二十
第二種ノ場所
撞球場 入場料ノ百分ノ十
其ノ他 入場料ノ百分ノ二十
本法ニ於テ入場料トハ名義ノ何タルヲ問ハズ第一種ノ場所ニ入場シ又ハ第二種ノ場所ノ設備ヲ利用スル為ニ支払フベキ金額ヲ謂フ
前項ノ入場料ノ算定ニ関シテハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第四条 第一種ノ場所ノ入場料ガ一人一回十九銭ニ満タザル場合ニハ入場税ヲ課セズ
前項ノ規定ハ回数、定期又ハ貸切ニテ入場ノ契約ヲ為シタル場合ニハ之ヲ適用セズ
第五条 第一種ノ催物(第一種ノ場所ニ於ケル演劇、活動写真、演芸、観物、競馬其ノ他ノ催物ヲ謂フ以下同ジ)若ハ設備ノ主催者若ハ経営者又ハ第二種ノ場所ノ経営者ガ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ入場料又ハ収益ノ総額ヲ慈善事業其ノ他命令ヲ以テ定ムル目的ニ充ツル場合ニ於テハ入場税ヲ免除ス
第六条 入場税ハ第一種ノ催物若ハ設備ノ主催者若ハ経営者又ハ第二種ノ場所ノ経営者入場料領収ノ際之ヲ徴収シ翌月十日迄ニ政府ニ納ムベシ但シ常時開設ニ非ザルモノニ付テハ命令ヲ以テ定ムル場合ヲ除クノ外終了後直ニ政府ニ納ムベシ
第七条 第一種ノ催物若ハ設備ヲ開催若ハ経営シ又ハ第二種ノ場所ヲ経営セントスル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ旨ヲ予メ政府ニ申告スベシ之ヲ廃止セントスルトキ亦同ジ
第八条 第一種ノ催物若ハ設備ノ主催者若ハ経営者又ハ第二種ノ場所ノ経営者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ業務ニ関スル事項ヲ帳簿ニ記載スベシ
第一種ノ催物若ハ設備ノ主催者若ハ経営者又ハ第二種ノ場所ノ経営者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ業務ニ関シ必要ナル事項ヲ政府ニ申告スベシ
第九条 特別入場税ハ運動競技ニシテ学生生徒又ハ該競技ヲ為スコトヲ業トセザル者ノ行フモノニ付観覧ノ為競技場ニ入場スル者ヨリ料金ヲ徴スル場合ニ於テ其ノ入場者ニ之ヲ課ス
第十条 特別入場税ノ税率ハ特別入場料ノ百分ノ十トス
本法ニ於テ特別入場料トハ名義ノ何タルヲ問ハズ前条ノ競技場ニ入場スル為ニ支払フベキ金額ヲ謂フ
第三条第三項ノ規定ハ特別入場税ニ付之ヲ準用ス
第十一条 特別入場料ガ一人一回十九銭ニ満タザル場合ニハ特別入場税ヲ課セズ
第四条第二項ノ規定ハ前項ノ場合ニ付之ヲ準用ス
第十二条 特別入場税ハ運動競技ノ主催者特別入場料領収ノ際之ヲ徴収シ競技終了後直ニ政府ニ納ムベシ但シ命令ヲ以テ定ムル場合ニ於テハ翌月十日迄ニ之ヲ政府ニ納ムベシ
第十三条 第五条、第七条及第八条ノ規定ハ特別入場税ニ付之ヲ準用ス
第十四条 第六条又ハ第十二条ノ規定ニ依リ徴収スベキ税金ヲ徴収セザルトキ又ハ其ノ徴収シタル税金ヲ納付セザルトキハ国税徴収ノ例ニ依リ之ヲ各其ノ徴収義務者ヨリ徴収ス
第十五条 収税官吏ハ第一種ノ催物若ハ設備ノ主催者若ハ経営者又ハ第二種ノ場所ノ経営者ニ対シ質問ヲ為シ又ハ其ノ業務ニ関スル帳簿書類其ノ他ノ物件ヲ検査スルコトヲ得
前項ノ規定ハ特別入場税ニ付之ヲ準用ス
第十六条 政府ニ申告セズシテ第一種ノ催物若ハ設備ヲ開催若ハ経営シ又ハ第二種ノ場所ヲ経営シタル者ハ三百円以下ノ罰金又ハ科料ニ処ス
第十七条 左ノ各号ノ一ニ該当スル者ハ百円以下ノ罰金又ハ科料ニ処ス
一 第八条第一項ノ規定ニ依ル帳簿ノ記載ヲ怠リ若ハ詐リ又ハ帳簿ヲ隠匿シタル者
二 第八条第二項ノ規定ニ依ル申告ヲ怠リ又ハ詐リタル者
三 第十五条第一項ノ規定ニ依ル収税官吏ノ質問ニ対シ答弁ヲ為サズ若ハ虚偽ノ陳述ヲ為シ又ハ其ノ職務ノ執行ヲ拒ミ、妨ゲ若ハ忌避シタル者
第十八条 北海道、府県、市町村其ノ他ノ公共団体ハ第一種ノ場所ノ入場者又ハ第二種ノ場所ノ設備利用者ニ対シ入場税ノ課税標準タル入場料ヲ標準トシテ地方税ヲ課スルコトヲ得ズ
前項ノ規定ハ特別入場税ニ付之ヲ準用ス
附 則
本法ハ昭和十五年四月一日ヨリ之ヲ施行ス
支那事変特別税法第二十六条ニ規定スル第一種ノ催物若ハ設備ヲ開催若ハ経営スル者又ハ同第二種ノ場所ヲ経営スル者ニシテ同法ニ依リ其ノ旨ヲ申告シタルモノハ本法施行ノ日ニ於テ本法ニ依リ申告シタルモノト看做ス
前項ノ規定ハ支那事変特別税法第三十三条ニ規定スル運動競技ヲ開催スル者ニシテ同法ニ依リ其ノ旨ヲ申告シタルモノニ付之ヲ準用ス