朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル國民健康保險法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十三年三月三十一日
內閣總理大臣 公爵 近衞文麿
大藏大臣 賀屋興宣
厚生大臣 侯爵 木戶幸一
法律第六十號
國民健康保險法
第一章 總則
第一條 國民健康保險ハ相扶共濟ノ精神ニ則リ疾病、負傷、分娩又ハ死亡ニ關シ保險給付ヲ爲スヲ目的トスルモノトス
第二條 國民健康保險ハ國民健康保險組合(以下組合ト稱ス)之ヲ行フ
第三條 保險料其ノ他本法ノ規定ニ依ル徵收金ヲ徵收シ又ハ其ノ還付ヲ受クル權利及保險給付ヲ受クル權利ハ一年ヲ經過シタルトキハ時效ニ因リテ消滅ス
前項ノ時效ノ中斷、停止其ノ他ノ事項ニ關シテハ民法ノ時效ニ關スル規定ヲ準用ス
組合ガ規約ノ定ムル所ニ依リテ爲ス保險料其ノ他本法ノ規定ニ依ル徵收金ノ徵收ノ吿知ハ民法第百五十三條ノ規定ニ拘ラズ時效中斷ノ效力ヲ有ス
第四條 國民健康保險ニ關スル書類ニハ印紙稅ヲ課セズ
第五條 保險給付トシテ支給ヲ受ケタル金品ヲ標準トシテ租稅其ノ他ノ公課ヲ課セズ
第六條 保險給付ヲ受クル權利ハ之ヲ讓渡シ又ハ差押フルコトヲ得ズ
第七條 組合若ハ組合ノ事業ヲ行フ法人又ハ保險給付ヲ受クベキ者ハ被保險者又ハ被保險者タリシ者ノ戶籍ニ關シ戶籍事務ヲ管掌スル者又ハ其ノ代理者ニ對シ無償ニテ證明ヲ求ムルコトヲ得
第八條 保險料其ノ他本法ノ規定ニ依ル徵收金ヲ滯納スル者アル場合ニ於テ組合ノ請求アルトキハ市町村ハ市町村稅ノ例ニ依リ之ヲ處分ス此ノ場合ニ於テハ組合ハ徵收金額ノ百分ノ四ヲ市町村ニ交付スベシ
市町村ガ前項ノ請求ヲ受ケタル日ヨリ三十日以內ニ其ノ處分ニ着手セズ又ハ九十日以內ニ之ヲ結了セザルトキハ組合ハ地方長官ノ認可ヲ受ケ之ヲ處分スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ町村制第百十一條第一項及第四項ノ規定ヲ準用ス
第一項ニ規定スル徵收金ノ先取特權ノ順位ハ市町村其ノ他之ニ準ズベキモノノ徵收金ニ次ギ他ノ公課ニ先ツモノトス
第二章 國民健康保險組合
第一節 總則
第九條 組合ハ左ノ二種トス
一 普通國民健康保險組合
二 特別國民健康保險組合
組合ハ法人トス
第十條 普通國民健康保險組合ハ其ノ地區內ノ世帶主ヲ組合員トシ、特別國民健康保險組合ハ同一ノ事業又ハ同種ノ業務ニ從事スル者ヲ組合員トシ之ヲ組織ス
第十四條第一項但書ノ規定ニ依リ被保險者タル資格ナキ者ハ組合員タルコトヲ得ズ但シ其ノ世帶ニ被保險者タル資格アル者アルトキハ此ノ限ニ在ラズ
普通國民健康保險組合ノ地區ハ市町村ノ區域ニ依ル但シ特別ノ事由アルトキハ此ノ區域ニ依ラザルコトヲ得
第十一條 組合ヲ設立セントスルトキハ發起人ハ規約ヲ作リ組合員タラントスル者ノ同意ヲ得テ地方長官ノ認可ヲ受クベシ
組合ハ設立ノ認可ヲ受ケタル時ニ成立ス
第十二條 組合ノ規約ニハ左ノ事項ヲ記載スベシ
一 組合ノ名稱
二 事務所ノ所在地
三 組合ノ地區(特別國民健康保險組合ニ在リテハ組合員ノ範圍)
四 組合員ノ加入及脫退ニ關スル事項
五 被保險者ノ資格ノ得喪ニ關スル事項
六 其ノ他重要ナル事項
第十三條 普通國民健康保險組合ニ付其ノ組合員タル資格ヲ有スル者ノ三分ノ二以上組合員タル場合ニ於テ地方長官必要アリト認メ其ノ組合ヲ指定シタルトキハ組合員タル資格ヲ有スル者(特別ノ事由アル者ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノヲ除ク)ハ總テ組合員ト爲ルモノトス
第十四條 組合ハ組合員及組合員ノ世帶ニ屬スル者ヲ以テ其ノ被保險者トス但シ左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ此ノ限ニ在ラズ
一 健康保險ノ被保險者
二 他ノ組合又ハ組合ノ事業ヲ行フ法人ノ被保險者
三 特別ノ事由アル者ニシテ規約ヲ以テ定ムルモノ
前項ノ規定ニ拘ラズ組合ハ規約ノ定ムル所ニ依リ組合員ノ世帶ニ屬スル者ヲ包括シテ被保險者ト爲サザルコトヲ得
第十五條 組合ハ規約ノ定ムル所ニ依リ規約違反者ヨリ過怠金ヲ徵收スルコトヲ得
第十六條 組合ハ事業ニ支障ナキ場合ニ限リ被保險者ニ非ザル者ヲシテ組合ノ施設ヲ利用セシムルコトヲ得
組合ハ前項ノ規定ニ依リ組合ノ施設ヲ利用スル者ニ對シ規約ノ定ムル所ニ依リ利用料ヲ請求スルコトヲ得
第十七條 本法ニ規定スルモノノ外組合ノ管理、財產ノ保管及利用方法其ノ他組合ニ關シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第二節 事業
第十八條 組合ハ被保險者ノ疾病又ハ負傷ニ關シテハ療養ノ給付、分娩ニ關シテハ助產ノ給付、死亡ニ關シテハ葬祭ノ給付ヲ爲ス但シ特別ノ事由アル組合ハ助產ノ給付又ハ葬祭ノ給付ヲ爲サザルコトヲ得
組合ハ命令ノ定ムル所ニ依リ前項ノ給付ニ併セテ其ノ他ノ保險給付ヲ爲スコトヲ得
特別ノ事由アル組合ハ規約ノ定ムル所ニ依リ第一項ノ給付ニ代ヘテ療養費、助產費又ハ葬祭費ヲ支給スルコトト爲スコトヲ得
第十九條 療養ノ給付、助產ノ給付又ハ葬祭ノ給付ヲ爲ス組合其ノ給付ヲ爲スコト困難ナル場合其ノ他必要アル場合ニ於テハ其ノ都度之ニ代ヘテ療養費、助產費又ハ葬祭費ヲ支給スルコトヲ得
第二十條 組合ハ療養ノ給付ニ要スル費用ノ一部ヲ其ノ給付ヲ受クル者(給付ヲ受クル者組合員ニ非ザル場合ニ於テハ其ノ屬スル世帶ノ組合員)ヨリ徵收スルコトヲ得
第二十一條 組合ハ被保險者ノ健康ヲ保持增進スル爲左ノ施設ヲ爲スコトヲ得
一 疾病又ハ負傷ノ豫防ニ關スル施設
二 健康診斷ニ關スル施設
三 保養ニ關スル施設
四 其ノ他健康ノ保持增進ニ關スル施設
第二十二條 組合ハ其ノ事業ニ要スル費用ニ充ツル爲組合員ヨリ保險料ヲ徵收ス
組合ハ特別ノ事由アル者ニ對シ保險料ヲ減免シ又ハ其ノ徵收ヲ猶豫スルコトヲ得
第二十三條 組合ハ命令ノ定ムル所ニ依リ一定期間保險給付ヲ受クル者ナカリシ世帶ノ組合員(組合員ノミヲ被保險者トスル組合ニ在リテハ保險給付ヲ受ケザリシ組合員)ニ對シ其ノ期間ノ保險料ノ一部ヲ拂戾スコトヲ得
第二十四條 保險給付ノ種類範圍支給期間及支給額、保險料ノ額徵收方法及減免其ノ他保險給付及保險料ニ關シ必要ナル事項ハ規約ヲ以テ之ヲ定ムベシ
第三節 管理
第二十五條 組合ニ組合會ヲ置ク
組合會ハ組合會議長及組合會議員ヲ以テ之ヲ組織ス
組合會議長ハ理事長ヲ以テ之ニ充ツ理事長故障アルトキハ其ノ代理者議長ノ職務ヲ行フ
組合會議員ハ組合員ニ於テ之ヲ互選ス
第二十六條 組合會ノ議決スベキ事項左ノ如シ
一 收入支出ノ豫算
二 事業報吿及決算
三 收入支出ノ豫算ヲ以テ定ムルモノノ外新ナル義務ノ負擔又ハ權利ノ抛棄
四 準備金其ノ他重要ナル財產ノ處分
五 組合債
六 規約ノ變更
七 其ノ他重要ナル事項
前項第一號及第四號乃至第六號ニ揭グル事項ノ決議ハ地方長官ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ效力ヲ生ゼズ
第二十七條 組合會ハ組合ノ事務ニ關スル書類ヲ檢閱シ、理事ノ報吿ヲ請求シ又ハ事務ノ管理、議決ノ執行及出納ヲ檢査スルコトヲ得
組合會ハ議員中ヨリ委員ヲ選擧シ前項ノ組合會ノ權限ニ屬スル事項ヲ行ハシムルコトヲ得
第二十八條 組合ニ理事數人ヲ置ク
理事ハ組合會ニ於テ組合員中ヨリ之ヲ選任ス但シ特別ノ事由アルトキハ組合員ニ非ザル者ノ中ヨリ之ヲ選任スルコトヲ妨ゲズ此ノ場合ニ於テハ其ノ選任ニ付地方長官ノ認可ヲ受クベシ
普通國民健康保險組合ニ在リテハ特別ノ事由ナキ限リ前項ノ規定ニ拘ラズ理事中ニ關係市町村長又ハ其ノ委任ヲ受ケタル吏員ヲ加フルモノトス
第二十九條 理事ノ中一人ヲ理事長トス
理事長ハ理事ニ於テ之ヲ互選ス但シ前條第三項ノ規定ニ依ル理事アルトキハ特別ノ事由ナキ限リ之ニ付選任ス
理事長ハ組合ヲ代表ス
理事長故障アルトキハ規約ノ定ムル所ニ依リ他ノ理事其ノ職務ヲ代理ス
第三十條 組合會成立セズ又ハ其ノ議決スベキ事項ヲ議決セザルトキハ理事ハ地方長官ノ指揮ヲ請ヒ其ノ議決スベキ事項ヲ處置スルコトヲ得
第三十一條 組合會ニ於テ議決スベキ事項ニ關シ臨時急施ヲ要スル場合ニ於テ組合會成立セザルトキ又ハ之ヲ招集スルノ暇ナキトキハ理事之ヲ專決スルコトヲ得
第三十二條 前二條ノ規定ニ依リ處置ヲ爲シタルトキハ理事ハ次囘ノ會議ニ於テ之ヲ組合會ニ報吿スベシ
第三十三條 組合ハ規約ノ定ムル所ニ依リ理事長及理事以外ノ役員ヲ置クコトヲ得
第四節 分合及解散
第三十四條 組合分割、合併又ハ解散ヲ爲サントスルトキハ組合會ニ於テ之ヲ議決シ地方長官ノ認可ヲ受クベシ
第三十五條 合併後存續スル組合又ハ合併ニ因リテ成立シタル組合ハ合併ニ因リテ消滅シタル組合ノ權利義務ヲ承繼ス
分割ニ因リテ成立シタル組合ハ分割ニ因リテ消滅シタル組合又ハ分割後存續スル組合ノ權利義務ノ一部ヲ承繼ス
前項ノ規定ニ依リ承繼スル權利義務ノ限度ハ分割ノ議決ト共ニ之ヲ議決シ地方長官ノ認可ヲ受クベシ
第三十六條 組合ハ解散ノ後ト雖モ淸算ノ目的ノ範圍內ニ於テハ仍存續スルモノト看做ス
第三十七條 組合解散シタルトキハ理事淸算人ト爲ル
前項ノ規定ニ依リテ淸算人タル者ナキトキハ地方長官淸算人ヲ選任ス淸算人缺ケタルトキ亦同ジ
淸算人ハ組合ヲ代表シ淸算ヲ爲スニ必要ナル一切ノ行爲ヲ爲ス權限ヲ有ス
淸算方法及財產處分ニ付テハ地方長官ノ認可ヲ受クベシ
地方長官必要アリト認ムルトキハ淸算方法及財產處分ノ變更ヲ命ジ又ハ淸算人ヲ解任スルコトヲ得
第三章 國民健康保險組合聯合會
第三十八條 組合及組合ノ事業ヲ行フ法人ハ共同シテ其ノ目的ヲ達スル爲國民健康保險組合聯合會(以下組合聯合會ト稱ス)ヲ設立スルコトヲ得
組合聯合會ハ法人トス
第三十九條 組合聯合會ヲ設立セントスルトキハ規約ヲ作リ地方長官ノ認可ヲ受クベシ
組合聯合會ハ設立ノ認可ヲ受ケタル時ニ成立ス
第四十條 組合聯合會ノ規約ニハ左ノ事項ヲ記載スベシ
一 組合聯合會ノ目的及事業
二 組合聯合會ノ名稱
三 事務所ノ所在地
四 加入及脫退ニ關スル事項
五 經費ノ分賦ニ關スル事項
六 其ノ他重要ナル事項
第四十一條 組合聯合會ニ總會、理事長及理事ヲ置ク
總會ノ組織竝ニ理事長及理事ノ選任ニ關スル事項ハ規約ヲ以テ之ヲ定ムベシ
第四十二條 第十五條乃至第十七條、第二十六條、第二十七條、第二十九條第三項第四項及第三十條乃至第三十七條ノ規定ハ組合聯合會ニ之ヲ準用ス
第四章 監督及補助
第四十三條 主務大臣及地方長官ハ組合若ハ組合ノ事業ヲ行フ法人又ハ組合聯合會ニ對シ其ノ事業及財產ニ關シ報吿ヲ爲サシメ、其ノ狀況ヲ檢査シ、規約ノ變更ヲ命ジ其ノ他監督上必要ナル命令又ハ處分ヲ爲スコトヲ得
第四十四條 組合若ハ組合ノ事業ヲ行フ法人又ハ組合聯合會ノ役員ニ欠缺若ハ故障アルトキ又ハ其ノ役員其ノ執行スベキ職務ヲ執行セザルトキハ地方長官ハ官吏又ハ其ノ他ノ者ヲ指定シテ其ノ職務ヲ執行セシムルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ其ノ職務ノ執行ニ要スル費用ハ組合若ハ組合ノ事業ヲ行フ法人又ハ組合聯合會ノ負擔トス
第四十五條 地方長官ハ組合若ハ組合ノ事業ヲ行フ法人又ハ組合聯合會ノ決議又ハ役員ノ行爲ガ法令、規約、主務大臣若ハ地方長官ノ命令若ハ處分ニ違反シ又ハ公益ヲ害シ若ハ害スルノ虞アリト認ムルトキ又ハ其ノ事業若ハ財產ノ狀況ニ依リ事業ノ繼續ヲ困難ナリト認ムルトキハ決議ヲ取消シ、役員ヲ解職シ又ハ組合若ハ組合聯合會ノ解散ヲ命ジ若ハ組合ノ事業ヲ行フ法人ニ對シ第五十四條ノ許可ヲ取消スコトヲ得
第四十六條 組合又ハ組合ノ事業ヲ行フ法人ノ被保險者ニ對シ診療又ハ藥劑ノ支給ヲ爲ス醫師、齒科醫師又ハ藥劑師ノ範圍ハ地方長官ノ認可ヲ受クベシ
第四十七條 國庫ハ豫算ノ範圍內ニ於テ組合及組合ノ事業ヲ行フ法人ニ對シ補助金ヲ交付スルコトヲ得
道府縣及市町村ハ組合及組合ノ事業ヲ行フ法人ニ對シ補助金ヲ交付スルコトヲ得
第五章 國民健康保險委員會、訴願及訴訟
第四十八條 保險給付ニ關スル決定ニ不服アル者ハ國民健康保險委員會ニ審査ヲ請求シ其ノ決定ニ不服アルトキ民事訴訟ヲ提起スルモノトス
前項ノ審査ノ請求ハ時效ノ中斷ニ關シテハ裁判上ノ請求ト看做ス
第四十九條 第四十六條ノ規定ニ依ル認可ノ申請アリタルトキハ地方長官ハ國民健康保險委員會ノ意見ヲ徵シ之ガ處分ヲ爲スベシ
第五十條 組合若ハ組合ノ事業ヲ行フ法人又ハ組合聯合會ト醫師、齒科醫師、藥劑師其ノ他ノ者又ハ其ノ團體トノ間ニ於ケル保險給付ニ關スル契約ニ關シ紛爭ヲ生ジタルトキハ國民健康保險委員會ハ當事者ノ請求ニ依リ其ノ解決ニ付斡旋ヲ爲スコトヲ得
第五十一條 本法ニ規定スルモノノ外國民健康保險委員會ニ關シ必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第五十二條 組合ノ爲シタル保險料其ノ他本法ノ規定ニ依ル徵收金ノ賦課若ハ徵收ノ處分又ハ第八條ノ規定ニ依ル滯納處分ニ不服アル者ハ地方長官ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服アル者ハ主務大臣ニ訴願シ又ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得但シ二以上ノ道府縣ニ跨ル組合ニ關スルモノニ在リテハ主務大臣ニ訴願シ又ハ行政裁判所ニ出訴スルモノトス
前項ノ規定ニ依ル訴願ニ關シテハ組合ヲ訴願法ノ規定ニ依ル行政廳ト看做ス
第五十三條 本章ニ規定スル審査ノ請求、訴ノ提起又ハ訴願若ハ行政訴訟ノ提起ハ處分又ハ決定ノ通知ヲ受ケタル日ヨリ三十日以內ニ之ヲ爲スベシ此ノ場合ニ於テ審査ノ請求ニ付テハ訴願法第八條第三項ノ規定ヲ、訴ノ提起ニ付テハ民事訴訟法第百五十八條第二項及第百五十九條ノ規定ヲ準用ス
第六章 雜則
第五十四條 營利ヲ目的トセザル社團法人ニシテ其ノ社員ノ爲ニ醫療ニ關スル施設ヲ爲スモノハ命令ノ定ムル所ニ依リ地方長官ノ許可ヲ受ケ組合ノ事業ヲ行フコトヲ得
第五十五條 本法中地方長官トアルハ二以上ノ道府縣ニ跨ル組合若ハ組合ノ事業ヲ行フ法人又ハ組合聯合會ニ付テハ之ヲ主務大臣トス
第五十六條 本法中町村又ハ町村長トアルハ町村制ヲ施行セザル地ニ在リテハ之ニ準ズベキモノトス
第五十七條 組合若ハ組合ノ事業ヲ行フ法人又ハ組合聯合會第三十七條第五項又ハ第四十三條ノ規定ニ依ル命令ニ違反シ又ハ處分ヲ拒ミ若ハ妨ゲタルトキハ其ノ役員又ハ淸算人ヲ百圓以下ノ過料ニ處ス
北訟事件手續法第二百六條乃至第二百八條ノ規定ハ前項ノ過料ニ之ヲ準用ス
附 則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル国民健康保険法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十三年三月三十一日
内閣総理大臣 公爵 近衛文麿
大蔵大臣 賀屋興宣
厚生大臣 侯爵 木戸幸一
法律第六十号
国民健康保険法
第一章 総則
第一条 国民健康保険ハ相扶共済ノ精神ニ則リ疾病、負傷、分娩又ハ死亡ニ関シ保険給付ヲ為スヲ目的トスルモノトス
第二条 国民健康保険ハ国民健康保険組合(以下組合ト称ス)之ヲ行フ
第三条 保険料其ノ他本法ノ規定ニ依ル徴収金ヲ徴収シ又ハ其ノ還付ヲ受クル権利及保険給付ヲ受クル権利ハ一年ヲ経過シタルトキハ時効ニ因リテ消滅ス
前項ノ時効ノ中断、停止其ノ他ノ事項ニ関シテハ民法ノ時効ニ関スル規定ヲ準用ス
組合ガ規約ノ定ムル所ニ依リテ為ス保険料其ノ他本法ノ規定ニ依ル徴収金ノ徴収ノ告知ハ民法第百五十三条ノ規定ニ拘ラズ時効中断ノ効力ヲ有ス
第四条 国民健康保険ニ関スル書類ニハ印紙税ヲ課セズ
第五条 保険給付トシテ支給ヲ受ケタル金品ヲ標準トシテ租税其ノ他ノ公課ヲ課セズ
第六条 保険給付ヲ受クル権利ハ之ヲ譲渡シ又ハ差押フルコトヲ得ズ
第七条 組合若ハ組合ノ事業ヲ行フ法人又ハ保険給付ヲ受クベキ者ハ被保険者又ハ被保険者タリシ者ノ戸籍ニ関シ戸籍事務ヲ管掌スル者又ハ其ノ代理者ニ対シ無償ニテ証明ヲ求ムルコトヲ得
第八条 保険料其ノ他本法ノ規定ニ依ル徴収金ヲ滞納スル者アル場合ニ於テ組合ノ請求アルトキハ市町村ハ市町村税ノ例ニ依リ之ヲ処分ス此ノ場合ニ於テハ組合ハ徴収金額ノ百分ノ四ヲ市町村ニ交付スベシ
市町村ガ前項ノ請求ヲ受ケタル日ヨリ三十日以内ニ其ノ処分ニ着手セズ又ハ九十日以内ニ之ヲ結了セザルトキハ組合ハ地方長官ノ認可ヲ受ケ之ヲ処分スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ町村制第百十一条第一項及第四項ノ規定ヲ準用ス
第一項ニ規定スル徴収金ノ先取特権ノ順位ハ市町村其ノ他之ニ準ズベキモノノ徴収金ニ次ギ他ノ公課ニ先ツモノトス
第二章 国民健康保険組合
第一節 総則
第九条 組合ハ左ノ二種トス
一 普通国民健康保険組合
二 特別国民健康保険組合
組合ハ法人トス
第十条 普通国民健康保険組合ハ其ノ地区内ノ世帯主ヲ組合員トシ、特別国民健康保険組合ハ同一ノ事業又ハ同種ノ業務ニ従事スル者ヲ組合員トシ之ヲ組織ス
第十四条第一項但書ノ規定ニ依リ被保険者タル資格ナキ者ハ組合員タルコトヲ得ズ但シ其ノ世帯ニ被保険者タル資格アル者アルトキハ此ノ限ニ在ラズ
普通国民健康保険組合ノ地区ハ市町村ノ区域ニ依ル但シ特別ノ事由アルトキハ此ノ区域ニ依ラザルコトヲ得
第十一条 組合ヲ設立セントスルトキハ発起人ハ規約ヲ作リ組合員タラントスル者ノ同意ヲ得テ地方長官ノ認可ヲ受クベシ
組合ハ設立ノ認可ヲ受ケタル時ニ成立ス
第十二条 組合ノ規約ニハ左ノ事項ヲ記載スベシ
一 組合ノ名称
二 事務所ノ所在地
三 組合ノ地区(特別国民健康保険組合ニ在リテハ組合員ノ範囲)
四 組合員ノ加入及脱退ニ関スル事項
五 被保険者ノ資格ノ得喪ニ関スル事項
六 其ノ他重要ナル事項
第十三条 普通国民健康保険組合ニ付其ノ組合員タル資格ヲ有スル者ノ三分ノ二以上組合員タル場合ニ於テ地方長官必要アリト認メ其ノ組合ヲ指定シタルトキハ組合員タル資格ヲ有スル者(特別ノ事由アル者ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノヲ除ク)ハ総テ組合員ト為ルモノトス
第十四条 組合ハ組合員及組合員ノ世帯ニ属スル者ヲ以テ其ノ被保険者トス但シ左ノ各号ノ一ニ該当スル者ハ此ノ限ニ在ラズ
一 健康保険ノ被保険者
二 他ノ組合又ハ組合ノ事業ヲ行フ法人ノ被保険者
三 特別ノ事由アル者ニシテ規約ヲ以テ定ムルモノ
前項ノ規定ニ拘ラズ組合ハ規約ノ定ムル所ニ依リ組合員ノ世帯ニ属スル者ヲ包括シテ被保険者ト為サザルコトヲ得
第十五条 組合ハ規約ノ定ムル所ニ依リ規約違反者ヨリ過怠金ヲ徴収スルコトヲ得
第十六条 組合ハ事業ニ支障ナキ場合ニ限リ被保険者ニ非ザル者ヲシテ組合ノ施設ヲ利用セシムルコトヲ得
組合ハ前項ノ規定ニ依リ組合ノ施設ヲ利用スル者ニ対シ規約ノ定ムル所ニ依リ利用料ヲ請求スルコトヲ得
第十七条 本法ニ規定スルモノノ外組合ノ管理、財産ノ保管及利用方法其ノ他組合ニ関シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第二節 事業
第十八条 組合ハ被保険者ノ疾病又ハ負傷ニ関シテハ療養ノ給付、分娩ニ関シテハ助産ノ給付、死亡ニ関シテハ葬祭ノ給付ヲ為ス但シ特別ノ事由アル組合ハ助産ノ給付又ハ葬祭ノ給付ヲ為サザルコトヲ得
組合ハ命令ノ定ムル所ニ依リ前項ノ給付ニ併セテ其ノ他ノ保険給付ヲ為スコトヲ得
特別ノ事由アル組合ハ規約ノ定ムル所ニ依リ第一項ノ給付ニ代ヘテ療養費、助産費又ハ葬祭費ヲ支給スルコトト為スコトヲ得
第十九条 療養ノ給付、助産ノ給付又ハ葬祭ノ給付ヲ為ス組合其ノ給付ヲ為スコト困難ナル場合其ノ他必要アル場合ニ於テハ其ノ都度之ニ代ヘテ療養費、助産費又ハ葬祭費ヲ支給スルコトヲ得
第二十条 組合ハ療養ノ給付ニ要スル費用ノ一部ヲ其ノ給付ヲ受クル者(給付ヲ受クル者組合員ニ非ザル場合ニ於テハ其ノ属スル世帯ノ組合員)ヨリ徴収スルコトヲ得
第二十一条 組合ハ被保険者ノ健康ヲ保持増進スル為左ノ施設ヲ為スコトヲ得
一 疾病又ハ負傷ノ予防ニ関スル施設
二 健康診断ニ関スル施設
三 保養ニ関スル施設
四 其ノ他健康ノ保持増進ニ関スル施設
第二十二条 組合ハ其ノ事業ニ要スル費用ニ充ツル為組合員ヨリ保険料ヲ徴収ス
組合ハ特別ノ事由アル者ニ対シ保険料ヲ減免シ又ハ其ノ徴収ヲ猶予スルコトヲ得
第二十三条 組合ハ命令ノ定ムル所ニ依リ一定期間保険給付ヲ受クル者ナカリシ世帯ノ組合員(組合員ノミヲ被保険者トスル組合ニ在リテハ保険給付ヲ受ケザリシ組合員)ニ対シ其ノ期間ノ保険料ノ一部ヲ払戻スコトヲ得
第二十四条 保険給付ノ種類範囲支給期間及支給額、保険料ノ額徴収方法及減免其ノ他保険給付及保険料ニ関シ必要ナル事項ハ規約ヲ以テ之ヲ定ムベシ
第三節 管理
第二十五条 組合ニ組合会ヲ置ク
組合会ハ組合会議長及組合会議員ヲ以テ之ヲ組織ス
組合会議長ハ理事長ヲ以テ之ニ充ツ理事長故障アルトキハ其ノ代理者議長ノ職務ヲ行フ
組合会議員ハ組合員ニ於テ之ヲ互選ス
第二十六条 組合会ノ議決スベキ事項左ノ如シ
一 収入支出ノ予算
二 事業報告及決算
三 収入支出ノ予算ヲ以テ定ムルモノノ外新ナル義務ノ負担又ハ権利ノ抛棄
四 準備金其ノ他重要ナル財産ノ処分
五 組合債
六 規約ノ変更
七 其ノ他重要ナル事項
前項第一号及第四号乃至第六号ニ掲グル事項ノ決議ハ地方長官ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ効力ヲ生ゼズ
第二十七条 組合会ハ組合ノ事務ニ関スル書類ヲ検閲シ、理事ノ報告ヲ請求シ又ハ事務ノ管理、議決ノ執行及出納ヲ検査スルコトヲ得
組合会ハ議員中ヨリ委員ヲ選挙シ前項ノ組合会ノ権限ニ属スル事項ヲ行ハシムルコトヲ得
第二十八条 組合ニ理事数人ヲ置ク
理事ハ組合会ニ於テ組合員中ヨリ之ヲ選任ス但シ特別ノ事由アルトキハ組合員ニ非ザル者ノ中ヨリ之ヲ選任スルコトヲ妨ゲズ此ノ場合ニ於テハ其ノ選任ニ付地方長官ノ認可ヲ受クベシ
普通国民健康保険組合ニ在リテハ特別ノ事由ナキ限リ前項ノ規定ニ拘ラズ理事中ニ関係市町村長又ハ其ノ委任ヲ受ケタル吏員ヲ加フルモノトス
第二十九条 理事ノ中一人ヲ理事長トス
理事長ハ理事ニ於テ之ヲ互選ス但シ前条第三項ノ規定ニ依ル理事アルトキハ特別ノ事由ナキ限リ之ニ付選任ス
理事長ハ組合ヲ代表ス
理事長故障アルトキハ規約ノ定ムル所ニ依リ他ノ理事其ノ職務ヲ代理ス
第三十条 組合会成立セズ又ハ其ノ議決スベキ事項ヲ議決セザルトキハ理事ハ地方長官ノ指揮ヲ請ヒ其ノ議決スベキ事項ヲ処置スルコトヲ得
第三十一条 組合会ニ於テ議決スベキ事項ニ関シ臨時急施ヲ要スル場合ニ於テ組合会成立セザルトキ又ハ之ヲ招集スルノ暇ナキトキハ理事之ヲ専決スルコトヲ得
第三十二条 前二条ノ規定ニ依リ処置ヲ為シタルトキハ理事ハ次回ノ会議ニ於テ之ヲ組合会ニ報告スベシ
第三十三条 組合ハ規約ノ定ムル所ニ依リ理事長及理事以外ノ役員ヲ置クコトヲ得
第四節 分合及解散
第三十四条 組合分割、合併又ハ解散ヲ為サントスルトキハ組合会ニ於テ之ヲ議決シ地方長官ノ認可ヲ受クベシ
第三十五条 合併後存続スル組合又ハ合併ニ因リテ成立シタル組合ハ合併ニ因リテ消滅シタル組合ノ権利義務ヲ承継ス
分割ニ因リテ成立シタル組合ハ分割ニ因リテ消滅シタル組合又ハ分割後存続スル組合ノ権利義務ノ一部ヲ承継ス
前項ノ規定ニ依リ承継スル権利義務ノ限度ハ分割ノ議決ト共ニ之ヲ議決シ地方長官ノ認可ヲ受クベシ
第三十六条 組合ハ解散ノ後ト雖モ清算ノ目的ノ範囲内ニ於テハ仍存続スルモノト看做ス
第三十七条 組合解散シタルトキハ理事清算人ト為ル
前項ノ規定ニ依リテ清算人タル者ナキトキハ地方長官清算人ヲ選任ス清算人欠ケタルトキ亦同ジ
清算人ハ組合ヲ代表シ清算ヲ為スニ必要ナル一切ノ行為ヲ為ス権限ヲ有ス
清算方法及財産処分ニ付テハ地方長官ノ認可ヲ受クベシ
地方長官必要アリト認ムルトキハ清算方法及財産処分ノ変更ヲ命ジ又ハ清算人ヲ解任スルコトヲ得
第三章 国民健康保険組合連合会
第三十八条 組合及組合ノ事業ヲ行フ法人ハ共同シテ其ノ目的ヲ達スル為国民健康保険組合連合会(以下組合連合会ト称ス)ヲ設立スルコトヲ得
組合連合会ハ法人トス
第三十九条 組合連合会ヲ設立セントスルトキハ規約ヲ作リ地方長官ノ認可ヲ受クベシ
組合連合会ハ設立ノ認可ヲ受ケタル時ニ成立ス
第四十条 組合連合会ノ規約ニハ左ノ事項ヲ記載スベシ
一 組合連合会ノ目的及事業
二 組合連合会ノ名称
三 事務所ノ所在地
四 加入及脱退ニ関スル事項
五 経費ノ分賦ニ関スル事項
六 其ノ他重要ナル事項
第四十一条 組合連合会ニ総会、理事長及理事ヲ置ク
総会ノ組織並ニ理事長及理事ノ選任ニ関スル事項ハ規約ヲ以テ之ヲ定ムベシ
第四十二条 第十五条乃至第十七条、第二十六条、第二十七条、第二十九条第三項第四項及第三十条乃至第三十七条ノ規定ハ組合連合会ニ之ヲ準用ス
第四章 監督及補助
第四十三条 主務大臣及地方長官ハ組合若ハ組合ノ事業ヲ行フ法人又ハ組合連合会ニ対シ其ノ事業及財産ニ関シ報告ヲ為サシメ、其ノ状況ヲ検査シ、規約ノ変更ヲ命ジ其ノ他監督上必要ナル命令又ハ処分ヲ為スコトヲ得
第四十四条 組合若ハ組合ノ事業ヲ行フ法人又ハ組合連合会ノ役員ニ欠欠若ハ故障アルトキ又ハ其ノ役員其ノ執行スベキ職務ヲ執行セザルトキハ地方長官ハ官吏又ハ其ノ他ノ者ヲ指定シテ其ノ職務ヲ執行セシムルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ其ノ職務ノ執行ニ要スル費用ハ組合若ハ組合ノ事業ヲ行フ法人又ハ組合連合会ノ負担トス
第四十五条 地方長官ハ組合若ハ組合ノ事業ヲ行フ法人又ハ組合連合会ノ決議又ハ役員ノ行為ガ法令、規約、主務大臣若ハ地方長官ノ命令若ハ処分ニ違反シ又ハ公益ヲ害シ若ハ害スルノ虞アリト認ムルトキ又ハ其ノ事業若ハ財産ノ状況ニ依リ事業ノ継続ヲ困難ナリト認ムルトキハ決議ヲ取消シ、役員ヲ解職シ又ハ組合若ハ組合連合会ノ解散ヲ命ジ若ハ組合ノ事業ヲ行フ法人ニ対シ第五十四条ノ許可ヲ取消スコトヲ得
第四十六条 組合又ハ組合ノ事業ヲ行フ法人ノ被保険者ニ対シ診療又ハ薬剤ノ支給ヲ為ス医師、歯科医師又ハ薬剤師ノ範囲ハ地方長官ノ認可ヲ受クベシ
第四十七条 国庫ハ予算ノ範囲内ニ於テ組合及組合ノ事業ヲ行フ法人ニ対シ補助金ヲ交付スルコトヲ得
道府県及市町村ハ組合及組合ノ事業ヲ行フ法人ニ対シ補助金ヲ交付スルコトヲ得
第五章 国民健康保険委員会、訴願及訴訟
第四十八条 保険給付ニ関スル決定ニ不服アル者ハ国民健康保険委員会ニ審査ヲ請求シ其ノ決定ニ不服アルトキ民事訴訟ヲ提起スルモノトス
前項ノ審査ノ請求ハ時効ノ中断ニ関シテハ裁判上ノ請求ト看做ス
第四十九条 第四十六条ノ規定ニ依ル認可ノ申請アリタルトキハ地方長官ハ国民健康保険委員会ノ意見ヲ徴シ之ガ処分ヲ為スベシ
第五十条 組合若ハ組合ノ事業ヲ行フ法人又ハ組合連合会ト医師、歯科医師、薬剤師其ノ他ノ者又ハ其ノ団体トノ間ニ於ケル保険給付ニ関スル契約ニ関シ紛争ヲ生ジタルトキハ国民健康保険委員会ハ当事者ノ請求ニ依リ其ノ解決ニ付斡旋ヲ為スコトヲ得
第五十一条 本法ニ規定スルモノノ外国民健康保険委員会ニ関シ必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第五十二条 組合ノ為シタル保険料其ノ他本法ノ規定ニ依ル徴収金ノ賦課若ハ徴収ノ処分又ハ第八条ノ規定ニ依ル滞納処分ニ不服アル者ハ地方長官ニ訴願シ其ノ裁決ニ不服アル者ハ主務大臣ニ訴願シ又ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得但シ二以上ノ道府県ニ跨ル組合ニ関スルモノニ在リテハ主務大臣ニ訴願シ又ハ行政裁判所ニ出訴スルモノトス
前項ノ規定ニ依ル訴願ニ関シテハ組合ヲ訴願法ノ規定ニ依ル行政庁ト看做ス
第五十三条 本章ニ規定スル審査ノ請求、訴ノ提起又ハ訴願若ハ行政訴訟ノ提起ハ処分又ハ決定ノ通知ヲ受ケタル日ヨリ三十日以内ニ之ヲ為スベシ此ノ場合ニ於テ審査ノ請求ニ付テハ訴願法第八条第三項ノ規定ヲ、訴ノ提起ニ付テハ民事訴訟法第百五十八条第二項及第百五十九条ノ規定ヲ準用ス
第六章 雑則
第五十四条 営利ヲ目的トセザル社団法人ニシテ其ノ社員ノ為ニ医療ニ関スル施設ヲ為スモノハ命令ノ定ムル所ニ依リ地方長官ノ許可ヲ受ケ組合ノ事業ヲ行フコトヲ得
第五十五条 本法中地方長官トアルハ二以上ノ道府県ニ跨ル組合若ハ組合ノ事業ヲ行フ法人又ハ組合連合会ニ付テハ之ヲ主務大臣トス
第五十六条 本法中町村又ハ町村長トアルハ町村制ヲ施行セザル地ニ在リテハ之ニ準ズベキモノトス
第五十七条 組合若ハ組合ノ事業ヲ行フ法人又ハ組合連合会第三十七条第五項又ハ第四十三条ノ規定ニ依ル命令ニ違反シ又ハ処分ヲ拒ミ若ハ妨ゲタルトキハ其ノ役員又ハ清算人ヲ百円以下ノ過料ニ処ス
北訟事件手続法第二百六条乃至第二百八条ノ規定ハ前項ノ過料ニ之ヲ準用ス
附 則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム