第一條 當分ノ內本法ニ依リ所得稅、法人資本稅、砂糖消費稅及取引所稅ヲ增徵シ利益配當稅、公債及社債利子稅、通行稅、入場稅、特別入場稅及物品稅ヲ課ス
第二條 所得稅中法人ノ普通所得及淸算所得ニ對スル所得稅ニ付テハ臨時租稅增徵法第二條ノ規定ニ拘ラズ所得稅法第二十一條ニ規定スル稅率百分ノ五ヲ百分ノ十二・二五、百分ノ十ヲ百分ノ二十二・五トシタル場合ノ差增額ニ相當スル稅額ヲ增徵ス
所得稅中法人ノ超過所得ニ對スル所得稅ニ付テハ同法第二十一條ニ規定スル稅率ヲ以テ算出シタル稅額ノ百分ノ十ニ相當スル稅額ヲ增徵ス
前二項ノ規定ニ依ル普通所得及超過所得ニ對スル所得稅ノ增徵稅額ハ普通所得ノ百分ノ五十ニ相當スル金額ヨリ普通所得及超過所得ニ對スル所得稅額(所得稅法第二十一條ノ二ノ規定ニ依リ普通所得ニ對スル所得稅ニ加算スル稅額ヲ含マズ)ト臨時利得稅額トノ合計金額ヲ控除シタル殘額ヲ超ユルコトヲ得ズ
第三條 所得稅中同族會社ノ普通所得ニ對スル所得稅ニ加算スル稅額ニ付テハ臨時租稅增徵法第四條ノ規定ニ拘ラズ所得稅法第二十一條ノ二ノ規定ニ依リ算出シタル稅額ノ百分ノ八十三・七五ニ相當スル稅額ヲ增徵ス
同族會社ノ普通所得ニ對スル所得稅ニ加算スル稅額ハ普通所得ノ百分ノ六十ニ相當スル金額ヨリ普通所得及超過所得ニ對スル所得稅額(所得稅法第二十一條ノ二ノ規定ニ依リ普通所得ニ對スル所得稅ニ加算スル稅額ヲ含マズ)、臨時利得稅額及前條ノ規定ニ依ル增徵稅額ノ合計金額ヲ控除シタル殘額ヲ超ユルコトヲ得ズ殘額ヲ超エザル場合ニ於テ前項ノ規定ニ依ル增徵ニ因リ之ヲ超ユルニ至ルトキハ其ノ增徵稅額ニ付亦同ジ
第四條 所得稅中第二種甲及乙ノ所得ニ對スル所得稅ニ付テハ所得稅法第二十二條第一項及臨時租稅增徵法第五條ノ規定ニ拘ラズ左ノ稅率ニ依リ之ヲ賦課ス
第五條 所得稅中第三種ノ所得ニ對スル所得稅ニ付テハ所得稅額ノ百分ノ二十二・五ニ相當スル稅額ヲ增徵ス
前項ノ規定ニ依ル增徵稅額ハ第三種所得ノ百分ノ五十五ニ相當スル金額ヨリ第三種ノ所得ニ對スル所得稅額ヲ控除シタル殘額ヲ超ユルコトヲ得ズ
第六條 所得稅法第二十條ノ規定ニ拘ラズ第三種ノ所得千圓以上ナルトキハ所得稅ヲ課ス
前項ノ所得ハ所得稅法第十五條、第十六條及第十六條ノ三ノ規定ニ依ル控除ヲ爲シタル殘額ニ依リ、戶主及其ノ同居家族ノ所得又ハ戶主ト別居スル二人以上ノ同居家族ノ所得ハ其ノ合算總額ニ依ル
前條ノ規定ハ第一項ノ規定ニ依リ課セラルル所得稅ニ付テハ之ヲ適用セズ
第七條 第三種ノ所得ニ付所得金額決定後翌年所得金額決定前ニ於テ營業ヲ法人ニ繼續セシメタル者ノ當該營業ノ實際所得額ガ決定所得額ヲ超過スルトキハ其ノ超過額ハ之ヲ所得金額ノ決定ニ付脫漏アリタルモノト看做シ翌年ニ於ケル所得調査委員會ノ調査ニ依リ政府ニ於テ其ノ所得金額ヲ決定スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ當該營業ノ實際所得額ハ其ノ年ニ於ケル收入金額ヨリ必要ノ經費ヲ控除シタル金額ニ依ル
第八條 法人資本稅ニ付テハ法人資本稅法第八條第一項ニ規定スル稅率千分ノ一ヲ千分ノ一・二トシタル場合ノ差增額ニ相當スル稅額ヲ增徵ス
第九條 砂糖消費稅ハ砂糖消費稅法第三條及臨時租稅增徵法第十七條ノ規定ニ拘ラズ左ノ稅率ニ依ル
一 砂糖
第一種 砂糖色相和蘭標本第十一號未滿ノ砂糖
甲 樽入黑糖及樽入白下糖但シ分蜜シタルモノ、黑糖及白下糖以外ノ砂糖ニ加工シテ製造シタルモノ竝ニ全部又ハ一部ノ新式機械ニ依リ製造シタルモノヲ除ク 百斤ニ付 一圓二十錢
第二種 砂糖色相和蘭標本第二十二號未滿ノ砂糖 百斤ニ付 七圓十錢
第三種 砂糖色相和蘭標本第二十二號以上ノ砂糖 百斤ニ付 八圓六十錢
第四種 氷砂糖、角砂糖、棒砂糖其ノ他類似ノモノ 百斤ニ付 十一圓
二 糖蜜
第一種 氷砂糖ヲ製造スルトキニ生ズル糖蜜
甲 糖分ヲ蔗糖トシテ計算シタル重量全重量ノ百分ノ七十ヲ超エザルモノ 百斤ニ付 三圓九十錢
乙 其ノ他ノモノ 糖分ヲ蔗糖トシテ計算シタル重量百斤ニ付 八圓六十錢
第二種 其ノ他ノ糖蜜
甲 糖分ヲ蔗糖トシテ計算シタル重量全重量ノ百分ノ六十ヲ超エザルモノ 百斤ニ付 一圓二十錢
第十條 砂糖消費稅ニ付徵收ヲ猶豫シ得ル期間ハ砂糖消費稅法第四條第一項但書ノ規定ニ拘ラズ之ヲ三月內トス
第十一條 取引所稅中第二種有價證券ノ賣買取引ニ對スル取引稅ニ付テハ臨時租稅增徵法第十八條第二號ノ規定ニ拘ラズ取引所稅法第五條ニ規定スル稅率萬分ノ一・五ヲ萬分ノ四、萬分ノ二・五ヲ萬分ノ六トシタル場合ノ差增額ニ相當スル稅額ヲ增徵ス
第十二條 利益配當稅ハ本法施行地ニ本店ヲ有スル法人ヨリ利益ノ配當ヲ受クル者ニ之ヲ課ス
所得稅法其ノ他ノ法律ニ依リ第二種所得稅ヲ課セラレザル者ニハ利益配當稅ヲ課セズ
第十三條 利益配當稅ハ前條ノ法人ヨリ支拂ヲ受クル利益ノ配當ニ付之ヲ賦課シ配當金中配當率年七分ノ割合ヲ以テ算出シタル金額ヲ超ユル金額ノ百分ノ十ニ相當スル金額ヲ以テ其ノ稅額トス
第十四條 利益配當稅ハ配當金支拂ノ際支拂者ニ於テ徵收シ翌月十日迄ニ之ヲ政府ニ納ムベシ
第十五條 公債及社債利子稅ハ本法施行地ニ於テ公債又ハ社債ノ利子ノ支拂ヲ受クル者ニ之ヲ課ス
所得稅法其ノ他ノ法律ニ依リ第二種所得稅ヲ課セラレザル者ニハ公債及社債利子稅ヲ課セズ
第十六條 公債及社債利子稅ハ本法施行地ニ於テ支拂ヲ受クル公債又ハ社債(外貨債特別稅法第一條第二項ニ規定スル外貨債ヲ除ク)ノ利子ニ付之ヲ賦課シ利子金額中國債ニ在リテハ利率年四分、國債以外ノ公債及社債ニ在リテハ利率年四分五厘ノ割合ヲ以テ算出シタル金額ヲ超ユル金額ノ百分ノ十ニ相當スル金額ヲ以テ其ノ稅額トス
第十七條 公債及社債利子稅ハ利子金額支拂ノ際支拂者ニ於テ徵收シ翌月十日迄ニ之ヲ政府ニ納ムベシ
第十八條 利益配當稅ヲ課セラルル利益ノ配當又ハ公債及社債利子稅ヲ課セラルル公債又ハ社債ノ利子ニ付所得稅(第一種所得稅ヲ除ク)又ハ資本利子稅ヲ課スル場合ニ於テハ其ノ利益配當金額又ハ利子金額ヨリ利益配當稅又ハ公債及社債利子稅相當額ヲ控除シタル殘額ヲ以テ其ノ配當金額又ハ利子金額ト看做ス
第十九條 通行稅ハ汽車、電車、乘合自動車及汽船ノ乘客ニ左ノ區別ニ依リ之ヲ課ス
囘數乘車船ノ契約ヲ爲シタル場合ニ於テハ通行稅ハ左ノ區別ニ依リ之ヲ課ス
定期乘車船ノ契約ヲ爲シタル場合ニ於テハ通行稅ハ左ノ區別ニ依リ之ヲ課ス
團體乘車船ノ契約ヲ爲シタル場合ニ於テハ通行稅ハ左ノ區別ニ依リ之ヲ課ス
貸切乘車船ノ契約ヲ爲シタル場合ニ於テハ通行稅ハ左ノ區別ニ依リ之ヲ課ス
前項ノ規定ニ依ル稅額ハ第一項稅額ニ乘客定員數ヲ乘ジタル金額ヲ超ユルコトヲ得ズ
第一項乃至第三項ニ規定スル通行稅ハ十二歲未滿ノ乘客ニ付テハ其ノ半額トス
第二十一條 左ノ各號ノ一ニ該當スルトキハ第十九條第一項及前條第一號ノ乘車船區間ノ粁程ノ計算ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第二十二條 汽車、電車、乘合自動車又ハ汽船ニシテ其ノ等級ヲ一等、二等及三等ニ分タザルモノニ付テハ第十九條第一項、第五項及第二十條第一號ノ等級ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム乘客定員數ノ定ナキ車船ニ付貸切乘車船ノ契約ヲ爲シタル場合ニ於ケル第十九條第六項ノ乘客定員數ニ付亦同ジ
第二十三條 通行稅ハ汽車、電車、乘合自動車又ハ汽船ニ依ル運輸業ヲ營ム者(以下運輸業者ト稱ス)運賃領收ノ際之ヲ徵收シ翌月十日迄ニ政府ニ納ムベシ
特別ノ事情アル運輸業者ニ付テハ前項ノ納期限ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第二十四條 汽車、電車、乘合自動車又ハ汽船ニ依ル運輸業ヲ營マントスル者及運輸業者ニ代リテ乘車船券ヲ販賣セントスル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ旨ヲ豫メ政府ニ申吿スベシ之ヲ廢止セントスルトキ亦同ジ
第二十五條 運輸業者又ハ運輸業者ニ代リテ乘車船券ヲ販賣スル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ業務ニ關スル事項ヲ帳簿ニ記載スベシ
運輸業者又ハ運輸業者ニ代リテ乘車船券ヲ販賣スル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ業務ニ關シ必要ナル事項ヲ政府ニ申吿スベシ
第二十六條 入場稅ハ左ニ揭グル第一種ノ場所ニ入場スル者又ハ第二種ノ場所ノ設備ヲ利用スル者ニ之ヲ課ス
第一種
一 演劇、活動寫眞、演藝又ハ觀物(相撲、野球、拳鬪其ノ他ノ競技ニシテ公衆ノ觀覽ニ供スルコトヲ目的トスルモノヲ含ム)ヲ催ス場所
三 前二號ニ揭グルモノヲ除クノ外一定ノ催物又ハ設備ヲ爲シ公衆ノ觀覽又ハ遊戲ニ供スル場所ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノ
本法ニ於テ入場料トハ名義ノ何タルヲ問ハズ第一種ノ場所ニ入場シ又ハ第二種ノ場所ノ設備ヲ利用スル爲ニ支拂フベキ金額ヲ謂フ
第二十八條 第一種ノ場所ノ入場料ガ一人一囘二十三錢ニ滿タザル場合ニハ入場稅ヲ課セズ
前項ノ規定ハ囘數、定期又ハ貸切ニテ入場ノ契約ヲ爲シタル場合ニハ之ヲ適用セズ
第二十九條 第一種ノ催物(第一種ノ場所ニ於ケル演劇、活動寫眞、演藝、觀物、競馬其ノ他ノ催物ヲ謂フ以下同ジ)若ハ設備ノ主催者若ハ經營者又ハ第二種ノ場所ノ經營者ガ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ入場料又ハ收益ノ總額ヲ慈善事業其ノ他命令ヲ以テ定ムル目的ニ充ツル場合ニ於テハ入場稅ヲ免除ス
第三十條 入場稅ハ第一種ノ催物若ハ設備ノ主催者若ハ經營者又ハ第二種ノ場所ノ經營者入場料領收ノ際之ヲ徵收シ翌月十日迄ニ政府ニ納ムベシ但シ常時開設ニ非ザルモノニ付テハ命令ヲ以テ定ムル場合ヲ除クノ外終了後直ニ政府ニ納ムベシ
第三十一條 第一種ノ催物若ハ設備ヲ開催若ハ經營シ又ハ第二種ノ場所ヲ經營セントスル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ旨ヲ豫メ政府ニ申吿スベシ之ヲ廢止セントスルトキ亦同ジ
第三十二條 第一種ノ催物若ハ設備ノ主催者若ハ經營者又ハ第二種ノ場所ノ經營者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ業務ニ關スル事項ヲ帳簿ニ記載スベシ
第一種ノ催物若ハ設備ノ主催者若ハ經營者又ハ第二種ノ場所ノ經營者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ業務ニ關シ必要ナル事項ヲ政府ニ申吿スベシ
第三十三條 特別入場稅ハ運動競技ニシテ學生生徒又ハ該競技ヲ爲スコトヲ業トセザル者ノ行フモノニ付觀覽ノ爲競技場ニ入場スル者ヨリ料金ヲ徵スル場合ニ於テ其ノ入場者ニ之ヲ課ス
本法ニ於テ特別入場料トハ名義ノ何タルヲ問ハズ前條ノ競技場ニ入場スル爲ニ支拂フベキ金額ヲ謂フ
第三十五條 特別入場料ガ一人一囘二十三錢ニ滿タザル場合ニハ特別入場稅ヲ課セズ
第三十六條 特別入場稅ハ運動競技ノ主催者特別入場料領收ノ際之ヲ徵收シ競技終了後直ニ政府ニ納ムベシ但シ命令ヲ以テ定ムル場合ニ於テハ翌月十日迄ニ之ヲ政府ニ納ムベシ
第三十七條 第二十九條、第三十一條及第三十二條ノ規定ハ特別入場稅ニ付之ヲ準用ス
第三十八條 物品稅ハ左ニ揭グル物品ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノニ之ヲ課ス
第一種
乙類
十九 漆器、陶磁器及硝子製器具ニシテ別號ニ揭ゲザルモノ
二十 貴金屬ヲ鍍シ又ハ張リタル製品ニシテ別號ニ揭ゲザルモノ
第三種
二 酒類但シ濁酒及果實酒(酒精及酒精含有飮料稅法第三條ノ三ニ規定スルモノ)ヲ除ク
同一物品ニシテ第一種及第二種ニ該當スルモノハ之ヲ第二種トシ、甲類及乙類ニ該當スルモノハ之ヲ甲類トス
第四十條 前條ノ價格ハ第一種ノ物品ニ付テハ小賣業者ノ販賣價格、第二種ノ物品ニ付テハ製造場ヨリ移出スル時ノ價格トス但シ保稅地域ヨリ引取ラルル第一種又ハ第二種ノ物品ニシテ引取人ヨリ稅金ヲ徵收スルモノニ付テハ引取ノ際ニ於ケル價格トス
前項ノ價格及燐寸ノ本數ノ計算ニ關シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第四十一條 物品稅ハ第一種ノ物品ニ付テハ販賣セラレタル物品ノ價格ニ應ジ小賣業者ヨリ、第二種又ハ第三種ノ物品ニ付テハ製造場ヨリ移出セラレタル物品ノ價格又ハ數量ニ應ジ製造者ヨリ之ヲ徵收ス但シ保稅地域ヨリ引取ラルル物品ニ付テハ命令ヲ以テ定ムル場合ヲ除クノ外引取ラレタル物品ノ價格又ハ數量ニ應ジ引取人ヨリ之ヲ徵收ス
第四十二條 物品稅ハ第一種第十四號ニ揭グル物品ニ付テハ其ノ物品ガ入札其ノ他競爭ノ方法ニ依リ賣買セラルル場合ニシテ命令ヲ以テ定ムル場合ニ限リ之ヲ課ス
前項ノ場合ニ於テハ其ノ札元又ハ之ニ準ズベキ者ガ小賣業者トシテ當該物品ヲ販賣スルモノト看做ス
第四十三條 製造場以外ノ場所ニ於テ販賣ノ爲化粧品ヲ容器ニ充塡シ又ハ改裝スルトキハ之ヲ化粧品ノ製造ト看做ス
第四十四條 酒類ヲ製造場內ニ於テ飮用シタルトキハ之ヲ製造場ヨリ移出シタルモノト看做ス
第四十五條 第一種ノ物品ノ小賣業者ハ每月其ノ販賣シタル物品ニ付其ノ品名每ニ數量及價格ヲ記載シタル申吿書ヲ、第二種ノ物品ノ製造者ハ每月其ノ製造場ヨリ移出シタル物品ニ付其ノ品名每ニ數量及價格ヲ記載シタル申吿書ヲ、第三種ノ物品ノ製造者ハ每月其ノ製造場ヨリ移出シタル物品ニ付其ノ品名每ニ數量ヲ記載シタル申吿書ヲ翌月十日迄ニ政府ニ提出スベシ
第一種、第二種又ハ第三種ノ物品ヲ保稅地域ヨリ引取ル者ハ命令ヲ以テ定ムル場合ヲ除クノ外引取ノ際其ノ物品ニ付前項ニ準ズル申吿書ヲ政府ニ提出スベシ
申吿書ノ提出ナキトキ又ハ政府ニ於テ申吿ヲ不相當ト認メタルトキハ政府ハ其ノ課稅標準額ヲ決定ス
第四十六條 小賣業者ガ其ノ販賣シタル第一種ノ物品ノ返還ヲ受ケタル場合ニ於テハ命令ノ定ムル所ニ依リ返還ヲ受ケタル月分以降ノ課稅標準額ヨリ其ノ物品ノ價格ヲ控除ス製造場ヨリ移出シタル第二種ノ物品ヲ同一製造場內ニ戾入シタル場合亦同ジ
製造場ヨリ移出シタル第三種ノ物品ヲ同一製造場內ニ戾入シ又ハ酒類ヲ製造場外ヨリ移入シタル場合ニ於テハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ物品ヲ製造場ヨリ移出スルモ更ニ物品稅ノ徵收ヲ爲サズ
第四十七條 物品稅ハ每月分ヲ翌月末日迄ニ納付スベシ但シ第四十一條但書ノ場合ニ於テハ引取ノ際之ヲ納付スベシ
命令ノ定ムル所ニ依リ第二種又ハ第三種ノ物品ニ付物品稅額ニ相當スル擔保ヲ提供シタルトキハ一月內物品稅ノ徵收ヲ猶豫スルコトヲ得
第四十八條 命令ノ定ムル所ニ依リ政府ノ承認ヲ受ケ他ノ製造場又ハ藏置場ニ移入スル目的ヲ以テ製造場ヨリ移出シ又ハ保稅地域ヨリ引取ル第二種ノ物品又ハ燐寸ニ付テハ第四十一條ノ規定ヲ適用セズ
前項ノ場合ニ於テハ移出先又ハ引取先ヲ以テ製造場ト看做シ移出先又ハ引取先ノ營業者ヲ以テ製造者ト看做ス
第一項ノ物品ニシテ政府ノ指定シタル期間內ニ移出先又ハ引取先ニ移入セラレタルコトノ證明ナキモノニ付テハ製造者又ハ引取人ヨリ直ニ其ノ物品稅ヲ徵收ス但シ災害其ノ他已ムコトヲ得ザル事由ニ因リ滅失シタルモノニ付政府ノ承認ヲ受ケタルトキハ物品稅ヲ免除ス
第四十九條 命令ノ定ムル所ニ依リ政府ノ承認ヲ受ケ製造場ヨリ移出シ又ハ保稅地域ヨリ引取ル物品ニシテ左ノ各號ノ一ニ該當スルモノニ付テハ物品稅ヲ免除ス
前條第三項ノ規定ハ前項ノ物品ニシテ政府ノ指定シタル期間內ニ移出先若ハ引取先ニ移入セラレタルコトノ證明ナキモノ又ハ其ノ用途ヲ變更セラレタルモノニ付之ヲ準用ス
第五十條 左ニ揭グル物品ニ付テハ命令ノ定ムル所ニ依リ物品稅ヲ免除ス
第四十八條第三項ノ規定ハ前項ノ物品ニシテ政府ノ指定シタル期間內ニ輸出シ又ハ其ノ用途ニ供セラレタルコトノ證明ナキモノニ付之ヲ準用ス
第五十一條 第一種ノ物品ノ小賣業ヲ營マントスル者又ハ第二種ノ物品若ハ燐寸ヲ製造セントスル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ政府ニ申吿スベシ其ノ小賣業又ハ製造ヲ廢止セントスルトキ亦同ジ
第五十二條 第一種、第二種又ハ第三種ノ物品ノ製造者又ハ販賣者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ製造、貯藏又ハ販賣ニ關スル事實ヲ帳簿ニ記載スベシ
第一種ノ物品ノ小賣業者又ハ第二種若ハ第三種ノ物品ノ製造者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ製造又ハ販賣ニ關シ必要ナル事項ヲ政府ニ申吿スベシ
第五十三條 第十四條、第十七條、第二十三條、第三十條又ハ第三十六條ノ規定ニ依リ徵收スベキ稅金ヲ徵收セザルトキ又ハ其ノ徵收シタル稅金ヲ納付セザルトキハ國稅徵收ノ例ニ依リ之ヲ各其ノ徵收義務者ヨリ徵收ス
第五十四條 收稅官吏ハ通行稅ニ付運輸業者又ハ運輸業者ニ代リテ乘車船券ヲ販賣スル者ニ對シ質問ヲ爲シ又ハ其ノ業務ニ關スル帳簿書類ヲ檢査スルコトヲ得
收稅官吏ハ入場稅ニ付第一種ノ催物若ハ設備ノ主催者若ハ經營者又ハ第二種ノ場所ノ經營者ニ對シ質問ヲ爲シ又ハ其ノ業務ニ關スル帳簿書類其ノ他ノ物件ヲ檢査スルコトヲ得
收稅官吏ハ物品稅ニ付第一種、第二種又ハ第三種ノ物品ノ製造者又ハ販賣者ニ對シ質問ヲ爲シ又ハ左ニ揭グル物件ニ付檢査ヲ爲シ若ハ監督上必要ノ處分ヲ爲スコトヲ得
一 第一種、第二種又ハ第三種ノ物品ニシテ製造者又ハ販賣者ノ所持スルモノ
二 第一種、第二種又ハ第三種ノ物品ノ製造、貯藏又ハ販賣ニ關スル一切ノ帳簿書類
三 第一種、第二種又ハ第三種ノ物品ノ製造、貯藏又ハ販賣上必要ナル建築物、機械、器具、材料其ノ他ノ物件
第五十五條 詐僞其ノ他不正ノ行爲ニ依リ利益配當稅又ハ公債及社債利子稅ヲ逋脫シタル者ハ其ノ逋脫シタル稅金ノ三倍ニ相當スル罰金又ハ科料ニ處シ直ニ其ノ稅金ヲ徵收ス但シ自首シタル者又ハ稅務署長ニ申出デタル者ハ其ノ罪ヲ問ハズ
第五十六條 詐僞其ノ他不正ノ行爲ニ依リ物品稅ヲ逋脫シ又ハ逋脫セントシタル者ハ其ノ逋脫シ又ハ逋脫セントシタル稅金ノ五倍ニ相當スル罰金ニ處シ直ニ其ノ稅金ヲ徵收ス但シ罰金額ガ二十圓ニ滿タザルトキハ之ヲ二十圓トス
第五十七條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ三百圓以下ノ罰金又ハ科料ニ處ス
一 政府ニ申吿セズシテ第一種ノ催物若ハ設備ヲ開催若ハ經營シ又ハ第二種ノ場所ヲ經營シタル者
二 第四十五條ノ規定ニ依ル申吿ヲ怠リ又ハ詐リタル者
三 政府ニ申吿セズシテ第一種ノ物品ノ小賣業ヲ營ミ又ハ第二種ノ物品若ハ燐寸ヲ製造シタル者
第五十八條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ百圓以下ノ罰金又ハ科料ニ處ス
一 第二十五條第一項、第三十二條第一項又ハ第五十二條第一項ノ規定ニ依ル帳簿ノ記載ヲ怠リ若ハ詐リ又ハ帳簿ヲ隱匿シタル者
二 第二十五條第二項、第三十二條第二項又ハ第五十二條第二項ノ規定ニ依ル申吿ヲ怠リ又ハ詐リタル者
三 第五十四條第一項、第二項又ハ第四項ノ規定ニ依ル收稅官吏ノ質問ニ對シ答辯ヲ爲サズ若ハ虛僞ノ陳述ヲ爲シ又ハ其ノ職務ノ執行ヲ拒ミ、妨ゲ若ハ忌避シタル者
第五十九條 第五十五條及第五十六條ノ罪ヲ犯シタル者ニハ刑法第三十八條第三項但書、第三十九條第二項、第四十條、第四十一條、第四十八條第二項、第六十三條及第六十六條ノ規定ヲ適用セズ
第六十條 第一種、第二種又ハ第三種ノ物品ノ製造者又ハ販賣者ノ代理人、戶主、家族、同居者、雇人其ノ他ノ從業者ガ其ノ業務ニ關シ本法中物品稅ニ關スル規定ニ違反シタルトキハ其ノ製造者又ハ販賣者ヲ處罰ス
第六十一條 北海道、府縣、市町村其ノ他ノ公共團體ハ本法ニ依リ增徵スル稅額(第七條ノ規定ニ依リ增額ト爲ル部分ヲ含マズ)又ハ本法ニ依リ課スル利益配當稅、公債及社債利子稅、通行稅、入場稅、特別入場稅及物品稅ニ付附加稅ヲ課スルコトヲ得ズ但シ特別ノ事情アル市町村ニ限リ內務大臣及大藏大臣ノ許可ヲ受ケタルトキハ第六條ノ規定ニ依リ課スル所得稅ノ附加稅ヲ課スルコトヲ得
北海道、府縣、市町村其ノ他ノ公共團體ハ第一種ノ場所ノ入場者又ハ第二種ノ場所ノ設備利用者ニ對シ入場稅ノ課稅標準タル入場料ヲ標準トシテ地方稅ヲ課スルコトヲ得ズ
第六十二條 政府ハ當分ノ內酒造組合法ニ依リ設立シタル酒造組合中央會ニ對シ徵稅上必要ナル設備ヲ爲シ又ハ徵收事務ノ補助ヲ爲スベキコトヲ命ズルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テハ酒造組合中央會ニ對シ命令ノ定ムル所ニ依リ交付金ヲ交付スルコトヲ得
第六十三條 本法ニ於テ保稅地域ト稱スルハ關稅法ノ定ムル所ニ依ル