第十八條 海員ノ雇入契約ノ成立、終了、更新又ハ變更アリタルトキハ船長及海員ハ遲滯ナク管海官廳ニ出頭シテ其ノ公認ヲ受クルコトヲ要ス
前項ノ場合ニ於テ船長ガ公認ヲ受クルコト能ハザルトキハ船舶所有者之ヲ受クルコトヲ得
前二項ノ場合ニ於テ正當ノ事由アルトキハ代理人ヲシテ公認ヲ受ケシムルコトヲ得
第十九條 海員ハ疾病ニ罹リ又ハ傷痍ヲ受ケタル爲職務ニ從事セザル期間ニ付テモ給料ノ請求ヲ爲スコトヲ得但シ疾病又ハ傷痍ニ付海員ニ過失アルトキハ此ノ限ニ在ラズ
海員ハ其ノ職務ヲ行フニ因リテ疾病ニ罹リ又ハ傷痍ヲ受ケタル場合ニ於テハ前項但書ノ規定ニ拘ラズ疾病又ハ傷痍ニ付海員ニ故意又ハ重大ナル過失ナキ限リ同項ニ規定スル給料ノ請求ヲ爲スコトヲ得
第二十條 海員ノ給料及手當ノ支拂方法ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第二十一條 船舶所有者ハ海員ノ乘船中勅令ノ定ムル所ニ依リ之ニ食料ヲ支給スルコトヲ要ス
第二十二條 船舶所有者ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ船舶ニ醫師ヲ乘組マシメ又ハ醫療設備ヲ爲スコトヲ要ス
第二十三條 船舶ガ左ノ各號ノ一ニ該當スル場合ニ於テハ海員ノ雇入契約ハ終了ス
船舶ノ存否ガ一月間分明ナラザルトキハ船舶ハ滅失シタルモノト推定ス
第一項ノ規定ニ依リ雇入契約終了シタル場合ト雖モ海員ハ人命、船舶又ハ積荷ノ應急救助ノ爲必要ナル勞務ニ服スルコトヲ要ス此ノ場合ニ於テハ雇入契約ハ仍存續スルモノト看做ス
第二十四條 海員ガ左ノ各號ノ一ニ該當スル場合其ノ他已ムコトヲ得ザル事由アル場合ニ於テハ船長ハ海員ヲ雇止ムルコトヲ得
二 著シク職務ヲ怠リ又ハ職務ニ關シ重大ナル過失アリタルトキ
第二十五條 左ノ各號ノ一ニ該當スル場合ニ於テハ海員ハ雇止ヲ請求スルコトヲ得
二 海員ガ疾病ニ罹リ又ハ傷痍ヲ受ケ職務ニ堪ヘザルトキ
前項ニ揭グル場合ノ外海員ハ船長ノ適當ト認ムル後任者ヲ提供シテ雇止ヲ請求スルコトヲ得
第二十六條 期間ノ定ナキ海員ノ雇入契約ハ船長又ハ海員ヨリ書面ヲ以テ二十四時間ヲ下ラザル期間ヲ定メ豫吿ヲ爲ストキハ該期間ガ滿了シタル時ニ於テ終了ス
前項ノ期間ガ滿了シタル時ニ於テ船舶ガ積荷ノ陸揚ヲ爲シ又ハ旅客ガ上陸スベキ港ニ碇泊中ニシテ其ノ港ニ於ケル積荷ノ陸揚及旅客ノ上陸ガ終ラザルトキハ前項ノ規定ニ拘ラズ其ノ終リタル時ニ於テ雇入契約ハ終了ス
第一項ノ期間ガ滿了シタル時ニ於テ船舶ガ航行中ナルトキ又ハ前項ノ港以外ノ港ニ碇泊中ナルトキハ第一項ノ規定ニ拘ラズ船舶ガ積荷ノ陸揚ヲ爲シ又ハ旅客ガ上陸スベキ次ノ港ニ到著シテ其ノ港ニ於ケル積荷ノ陸揚及旅客ノ上陸ガ終リタル時ニ於テ雇入契約ハ終了ス
前二項ノ規定ハ期間ノ定アル海員ノ雇入契約ガ期間ノ滿了ニ因リ終了スル場合ニ之ヲ準用ス
第三項ノ規定ハ第二十四條及前條第一項ノ規定ニ依リ海員ノ雇入契約ガ終了スル場合ニ之ヲ準用ス
第二十七條 前條第一項乃至第四項ノ規定ニ依リ海員ノ雇入契約ガ適當ナル海員ヲ補充シ得ル港以外ノ港ニ於テ終了スルトキハ船長ハ船舶ガ適當ナル海員ヲ補充シ得ル港ニ到著シ積荷ノ陸揚及旅客ノ上陸ガ終ル時迄雇入契約ヲ存續セシムルコトヲ得
第二十八條 相續其ノ他ノ包括承繼ノ場合ヲ除クノ外船舶所有者ノ變更アリタルトキハ海員ノ雇入契約ハ終了ス
前項ノ場合ニ於テハ雇入契約終了ノ時ヨリ海員ト新所有者トノ間ニ從前ノ雇入契約ト同一條件ノ雇入契約存スルモノト看做ス此ノ場合ニ於テハ海員ハ第二十六條第一項乃至第三項ノ規定ニ從ヒ雇入契約ヲ終了セシムルコトヲ得
前條ノ規定ハ前項ノ規定ニ依ル雇入契約終了ノ場合ニ之ヲ準用ス
第二十九條 船舶所有者ハ海員ガ疾病ニ罹リ若ハ傷痍ヲ受ケタルトキ、雇入契約終了シタルトキ又ハ死亡シタルトキハ勅令ノ定ムル所ニ依リ之ヲ扶助シ、之ニ手當ヲ支給シ又ハ之ガ葬祭ノ費用ヲ負擔スルコトヲ要ス
第三十條 船舶所有者ハ雇入契約終了シタル海員ヲ勅令ノ定ムル所ニ依リ雇入港又ハ其ノ希望スル地迄送還スルコトヲ要ス
前項ノ場合ニ於テ海員ハ送還ニ代ヘテ其ノ費用ヲ請求スルコトヲ得
第三十一條 海員ハ船長ニ對シ其ノ勤務ノ成績ニ關スル證明書ノ交付ヲ請求スルコトヲ得
第三十二條 海員ノ船舶所有者ニ對スル債權ハ二年ヲ經過シタルトキハ時效ニ因リテ消滅ス船舶所有者ニ對スル葬祭ニ關スル債權亦同ジ
第三十三條 第二十九條ノ規定ニ依リ海員ガ扶助又ハ手當ヲ受クルノ權利ハ之ヲ讓渡シ又ハ差押フルコトヲ得ズ葬祭ノ費用ヲ受クルノ權利亦同ジ