第一條 本法ハ勅令ノ定ムル場合ヲ除クノ外沿海航路以上ノ航路ヲ航行スル船舶ノ船員ニ之ヲ適用ス
第二條 十四歲未滿ノ者ハ船員トシテ之ヲ使用スルコトヲ得ス
前項ノ規定ハ同一ノ家庭ニ屬スル者ノミヲ使用スル船舶又ハ行政官廳ノ認可ヲ受ケ敎習船ニ於テ兒童ニ爲サシムル作業ニ之ヲ適用セス
第三條 十八歲未滿ノ者ハ主務大臣ノ定ムル所ニ依リ船舶內勞働ニ適スルコトヲ證明シ且醫師ノ署名シタル健康證明書ヲ有スルニ非サレハ船員トシテ之ヲ使用スルコトヲ得ス但シ緊急已ムヲ得サル事由アルトキハ此ノ限ニ在ラス
前項但書ノ規定ニ依リ健康證明書ヲ有セサル者ヲ使用シタルトキハ船長ハ最初ニ到著シタル港ニ於テ前項ノ健康證明書ヲ得シムルノ手續ヲ爲スコトヲ要ス此ノ場合ニ於テ健康證明書ヲ受クルコト能ハサル者ハ之ヲ引續キ使用スルコトヲ得ス
第一項ノ健康證明書ノ有效期間ハ之ヲ一年トス航海中其ノ期間滿了スルトキハ該航海ノ終了迄其ノ效力ヲ有スルモノト看做ス
前三項ノ規定ハ同一ノ家庭ニ屬スル者ノミヲ使用スル場合ニ之ヲ適用セス
第四條 十八歲未滿ノ者ヲ船員トシテ使用スル場合ニ於テハ船長ハ其ノ本籍、氏名及生年月日ヲ記載シタル名簿ヲ調製シ船舶內ニ備附クルコトヲ要ス但シ十六歲以上ノ者ニ付テハ勅令ノ定ムル所ニ依リ右名簿ヲ調製セサルコトヲ得
第五條 當該官吏ハ船舶ニ臨檢スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ其ノ證票ヲ携帶スヘシ
第六條 船員、船員タラムトスル者、船舶所有者又ハ船長ハ船員又ハ船員タラムトスル者ノ戶籍ニ關シ戶籍事務ヲ管掌スル者又ハ其ノ代理者ニ對シ無償ニテ證明ヲ求ムルコトヲ得
第七條 第二條又ハ第三條ノ規定ニ違反シタル船舶所有者又ハ船長ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
前項ノ規定ニ該當スル者未成年者若ハ禁治產者ナル場合又ハ法人ナル場合ニ於テ其ノ者ニ適用スヘキ罰則ハ其ノ法定代理人又ハ法令ノ規定ニ依リ法人ヲ代表スル者ニ之ヲ適用ス
第一項ノ規定ニ該當スル者ハ其ノ代理人、戶主、家族、同居者、雇人其ノ他ノ從業者ニシテ第二條又ハ第三條ノ規定ニ違反スル所爲ヲ爲シタルトキハ自己ノ指揮ニ出テサルノ故ヲ以テ其ノ處罰ヲ免ルルコトヲ得ス
第八條 第四條ノ規定ニ違反シタル者又ハ正當ノ理由ナクシテ當該官吏ノ臨檢ヲ拒ミ、妨ケ若ハ忌避シ又ハ其ノ尋問ニ對シ答辯ヲ爲サス若ハ虛僞ノ陳述ヲ爲シタル者ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
第九條 本法ニ於テ船舶所有者ニ關スル規定ハ船舶共有ノ場合ニ於テハ船舶管理人ニ、船舶賃貸借ノ場合ニ於テハ船舶賃借人ニ之ヲ適用ス
第十條 本法ハ罰則ヲ除クノ外國、府縣、市町村其ノ他之ニ準スヘキ者ノ使用者タル場合ニ之ヲ適用ス