(船員最低年齢法)
法令番号: 法律第三十五號
公布年月日: 大正12年3月30日
法令の形式: 法律
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル船員ノ最低年齡及健康證明書ニ關スル法律ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
攝政名
大正十二年三月二十九日
內閣總理大臣 男爵 加藤友三郞
內務大臣 水野鍊太郞
遞信大臣 子爵 前田利定
法律第三十五號
第一條 本法ハ勅令ノ定ムル場合ヲ除クノ外沿海航路以上ノ航路ヲ航行スル船舶ノ船員ニ之ヲ適用ス
第二條 十四歲未滿ノ者ハ船員トシテ之ヲ使用スルコトヲ得ス
前項ノ規定ハ同一ノ家庭ニ屬スル者ノミヲ使用スル船舶又ハ行政官廳ノ認可ヲ受ケ敎習船ニ於テ兒童ニ爲サシムル作業ニ之ヲ適用セス
第三條 十八歲未滿ノ者ハ主務大臣ノ定ムル所ニ依リ船舶內勞働ニ適スルコトヲ證明シ且醫師ノ署名シタル健康證明書ヲ有スルニ非サレハ船員トシテ之ヲ使用スルコトヲ得ス但シ緊急已ムヲ得サル事由アルトキハ此ノ限ニ在ラス
前項但書ノ規定ニ依リ健康證明書ヲ有セサル者ヲ使用シタルトキハ船長ハ最初ニ到著シタル港ニ於テ前項ノ健康證明書ヲ得シムルノ手續ヲ爲スコトヲ要ス此ノ場合ニ於テ健康證明書ヲ受クルコト能ハサル者ハ之ヲ引續キ使用スルコトヲ得ス
第一項ノ健康證明書ノ有效期間ハ之ヲ一年トス航海中其ノ期間滿了スルトキハ該航海ノ終了迄其ノ效力ヲ有スルモノト看做ス
前三項ノ規定ハ同一ノ家庭ニ屬スル者ノミヲ使用スル場合ニ之ヲ適用セス
第四條 十八歲未滿ノ者ヲ船員トシテ使用スル場合ニ於テハ船長ハ其ノ本籍、氏名及生年月日ヲ記載シタル名簿ヲ調製シ船舶內ニ備附クルコトヲ要ス但シ十六歲以上ノ者ニ付テハ勅令ノ定ムル所ニ依リ右名簿ヲ調製セサルコトヲ得
第五條 當該官吏ハ船舶ニ臨檢スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ其ノ證票ヲ携帶スヘシ
第六條 船員、船員タラムトスル者、船舶所有者又ハ船長ハ船員又ハ船員タラムトスル者ノ戶籍ニ關シ戶籍事務ヲ管掌スル者又ハ其ノ代理者ニ對シ無償ニテ證明ヲ求ムルコトヲ得
第七條 第二條又ハ第三條ノ規定ニ違反シタル船舶所有者又ハ船長ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
前項ノ規定ニ該當スル者未成年者若ハ禁治產者ナル場合又ハ法人ナル場合ニ於テ其ノ者ニ適用スヘキ罰則ハ其ノ法定代理人又ハ法令ノ規定ニ依リ法人ヲ代表スル者ニ之ヲ適用ス
第一項ノ規定ニ該當スル者ハ其ノ代理人、戶主、家族、同居者、雇人其ノ他ノ從業者ニシテ第二條又ハ第三條ノ規定ニ違反スル所爲ヲ爲シタルトキハ自己ノ指揮ニ出テサルノ故ヲ以テ其ノ處罰ヲ免ルルコトヲ得ス
第八條 第四條ノ規定ニ違反シタル者又ハ正當ノ理由ナクシテ當該官吏ノ臨檢ヲ拒ミ、妨ケ若ハ忌避シ又ハ其ノ尋問ニ對シ答辯ヲ爲サス若ハ虛僞ノ陳述ヲ爲シタル者ハ五百圓以下ノ罰金ニ處ス
第九條 本法ニ於テ船舶所有者ニ關スル規定ハ船舶共有ノ場合ニ於テハ船舶管理人ニ、船舶賃貸借ノ場合ニ於テハ船舶賃借人ニ之ヲ適用ス
第十條 本法ハ罰則ヲ除クノ外國、府縣、市町村其ノ他之ニ準スヘキ者ノ使用者タル場合ニ之ヲ適用ス
附 則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法施行ノ際十四歲未滿ノ者ヲ引續キ使用スル場合ニ於テハ其ノ者ニ付第二條ノ規定ハ之ヲ適用セス
本法施行ノ際十八歲未滿ノ者ヲ引續キ使用スル場合ニ於テハ其ノ者ニ付雇入期間ノ滿了迄第三條ノ規定ハ之ヲ適用セス雇入期間滿了ノ際航海中ノ者ニ付テハ該航海ノ終了迄之ヲ適用セス
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル船員ノ最低年齢及健康証明書ニ関スル法律ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
摂政名
大正十二年三月二十九日
内閣総理大臣 男爵 加藤友三郎
内務大臣 水野錬太郎
逓信大臣 子爵 前田利定
法律第三十五号
第一条 本法ハ勅令ノ定ムル場合ヲ除クノ外沿海航路以上ノ航路ヲ航行スル船舶ノ船員ニ之ヲ適用ス
第二条 十四歳未満ノ者ハ船員トシテ之ヲ使用スルコトヲ得ス
前項ノ規定ハ同一ノ家庭ニ属スル者ノミヲ使用スル船舶又ハ行政官庁ノ認可ヲ受ケ教習船ニ於テ児童ニ為サシムル作業ニ之ヲ適用セス
第三条 十八歳未満ノ者ハ主務大臣ノ定ムル所ニ依リ船舶内労働ニ適スルコトヲ証明シ且医師ノ署名シタル健康証明書ヲ有スルニ非サレハ船員トシテ之ヲ使用スルコトヲ得ス但シ緊急已ムヲ得サル事由アルトキハ此ノ限ニ在ラス
前項但書ノ規定ニ依リ健康証明書ヲ有セサル者ヲ使用シタルトキハ船長ハ最初ニ到著シタル港ニ於テ前項ノ健康証明書ヲ得シムルノ手続ヲ為スコトヲ要ス此ノ場合ニ於テ健康証明書ヲ受クルコト能ハサル者ハ之ヲ引続キ使用スルコトヲ得ス
第一項ノ健康証明書ノ有効期間ハ之ヲ一年トス航海中其ノ期間満了スルトキハ該航海ノ終了迄其ノ効力ヲ有スルモノト看做ス
前三項ノ規定ハ同一ノ家庭ニ属スル者ノミヲ使用スル場合ニ之ヲ適用セス
第四条 十八歳未満ノ者ヲ船員トシテ使用スル場合ニ於テハ船長ハ其ノ本籍、氏名及生年月日ヲ記載シタル名簿ヲ調製シ船舶内ニ備附クルコトヲ要ス但シ十六歳以上ノ者ニ付テハ勅令ノ定ムル所ニ依リ右名簿ヲ調製セサルコトヲ得
第五条 当該官吏ハ船舶ニ臨検スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ其ノ証票ヲ携帯スヘシ
第六条 船員、船員タラムトスル者、船舶所有者又ハ船長ハ船員又ハ船員タラムトスル者ノ戸籍ニ関シ戸籍事務ヲ管掌スル者又ハ其ノ代理者ニ対シ無償ニテ証明ヲ求ムルコトヲ得
第七条 第二条又ハ第三条ノ規定ニ違反シタル船舶所有者又ハ船長ハ千円以下ノ罰金ニ処ス
前項ノ規定ニ該当スル者未成年者若ハ禁治産者ナル場合又ハ法人ナル場合ニ於テ其ノ者ニ適用スヘキ罰則ハ其ノ法定代理人又ハ法令ノ規定ニ依リ法人ヲ代表スル者ニ之ヲ適用ス
第一項ノ規定ニ該当スル者ハ其ノ代理人、戸主、家族、同居者、雇人其ノ他ノ従業者ニシテ第二条又ハ第三条ノ規定ニ違反スル所為ヲ為シタルトキハ自己ノ指揮ニ出テサルノ故ヲ以テ其ノ処罰ヲ免ルルコトヲ得ス
第八条 第四条ノ規定ニ違反シタル者又ハ正当ノ理由ナクシテ当該官吏ノ臨検ヲ拒ミ、妨ケ若ハ忌避シ又ハ其ノ尋問ニ対シ答弁ヲ為サス若ハ虚偽ノ陳述ヲ為シタル者ハ五百円以下ノ罰金ニ処ス
第九条 本法ニ於テ船舶所有者ニ関スル規定ハ船舶共有ノ場合ニ於テハ船舶管理人ニ、船舶賃貸借ノ場合ニ於テハ船舶賃借人ニ之ヲ適用ス
第十条 本法ハ罰則ヲ除クノ外国、府県、市町村其ノ他之ニ準スヘキ者ノ使用者タル場合ニ之ヲ適用ス
附 則
本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
本法施行ノ際十四歳未満ノ者ヲ引続キ使用スル場合ニ於テハ其ノ者ニ付第二条ノ規定ハ之ヲ適用セス
本法施行ノ際十八歳未満ノ者ヲ引続キ使用スル場合ニ於テハ其ノ者ニ付雇入期間ノ満了迄第三条ノ規定ハ之ヲ適用セス雇入期間満了ノ際航海中ノ者ニ付テハ該航海ノ終了迄之ヲ適用セス