陸軍工科学校令
法令番号: 勅令第二百三十一號
公布年月日: 昭和11年7月29日
法令の形式: 勅令
朕陸軍工科學校令改正ノ件ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十一年七月二十八日
內閣總理大臣 廣田弘毅
陸軍大臣 伯爵 寺內壽一
勅令第二百三十一號
陸軍工科學校令
第一條 陸軍工科學校ハ技術ニ從事スル砲、工兵科士官ト爲スベキ學生及砲、工兵工長ト爲スベキ生徒ヲ敎育シ竝ニ砲、工兵工長タル學生ニ技術ニ關スル學術ヲ修得セシメ且兵器業務ニ關スル調査及硏究ヲ行フ所トス
第二條 學生ヲ分チテ左ノ二種トス
甲種學生 少尉候補者タル砲、工兵上等工長又ハ砲、工兵一等工長ヲ以テ之ニ充テ技術ニ從事スル砲、工兵科士官ニ必要ナル學術ヲ修習セシム通常每年一囘入校セシメ其ノ修學期間ハ槪ネ一年トス
乙種學生 砲、工兵工長ヲ以テ之ニ充テ主トシテ技術能力向上ニ必要ナル學術ヲ修習セシム通常每年二囘入校セシメ其ノ修學期間ハ槪ネ四月トス
第三條 生徒ハ砲、工兵工長タルコトヲ志願シ召募試驗ニ合格シタル者ヲ以テ之ニ充テ砲、工兵工長ニ必要ナル學術ヲ修習セシム通常每年一囘入校セシメ其ノ修學期間ハ槪ネ二年トス
第四條 生徒ノ採用ニ關スル事項及入校期日ニ付テハ陸軍大臣之ヲ定ム
第五條 學生及生徒ノ敎育ヲ分チテ訓育及學術敎育トシ其ノ敎育綱領ハ陸軍大臣ノ認可ヲ受ケ陸軍技術本部長之ヲ定ム
第六條 學生及生徒ノ敎育ノ實施ハ敎則ニ依ル其ノ敎則ハ前條ノ敎育綱領ニ基キ陸軍技術本部長ノ認可ヲ受ケ校長之ヲ定ム
第七條 學生及生徒ノ敎育ニ任ジ且兵器業務ニ關スル調查及硏究ヲ行ハシムル爲陸軍工科學校ニ敎育部ヲ置ク
第八條 生徒ノ訓育ヲ行フ爲陸軍工科學校ニ生徒隊ヲ置ク
第九條 兵器ノ整備及硏究竝ニ學生及生徒ノ實習ニ供スル爲陸軍工科學校ニ材料廠ヲ置ク
第十條 陸軍工科學校ニ左ノ職員ヲ置ク
校長
幹事
副官
學校附
敎官
生徒隊長
生徒隊副官
生徒隊中隊長
生徒隊附
材料廠長
材料廠附
准士官、下士官及判任文官
第十一條 校長ハ陸軍技術本部長ニ隸シ校務ヲ總理ス
第十二條 幹事ハ校長ヲ輔佐シ校務ヲ整理シ敎育、調査及硏究ノ統一ヲ圖ル
第十三條 副官ハ校長ノ命ヲ承ケ庶務ヲ掌ル
第十四條 學校附ハ校長ノ命ヲ承ケ各其ノ擔任ノ業務ヲ掌ル
第十五條 敎官ハ校長ノ命ヲ承ケ敎育竝ニ諸般ノ調査及硏究ヲ分擔ス
第十六條 生徒隊長ハ生徒隊ヲ統ベ校長ノ命ヲ承ケ訓育ヲ掌理ス
第十七條 生徒隊副官ハ生徒隊長ノ命ヲ承ケ生徒隊ノ庶務ヲ掌ル
第十八條 生徒隊中隊長ハ生徒隊長ノ命ヲ承ケ訓育ヲ擔任ス
第十九條 生徒隊附ハ上官ノ命ヲ承ケ各擔任ノ業務ヲ掌ル
第二十條 材料廠長ハ校長ノ命ヲ承ケ廠務ヲ掌ル
第二十一條 材料廠附ハ材料廠長ノ命ヲ承ケ廠務ヲ分擔ス
第二十二條 准士官及下士官ハ上官ノ命ヲ承ケ學術敎育ヲ補助シ又ハ技術若ハ事務ニ從事ス
判任文官ハ上官ノ命ヲ承ケ技術又ハ事務ニ從事ス
第二十三條 乙種學生ノ人員及入校期日ハ陸軍大臣之ヲ吿達ス
第二十四條 前條ノ吿達アリタルトキハ所管長官ハ修學ニ適當ナル者ヲ選定シ入校期日前ニ其ノ所屬部隊、等級及氏名ヲ陸軍大臣ニ報吿シ且陸軍技術本部長ニ通報スベシ
第二十五條 營外居住者タル學生ハ校外ニ、營內居住者タル學生及生徒ハ校內ニ居住セシメ其ノ修學ニ要スル兵器、被服、圖書、器具、消耗品等ハ之ヲ貸付シ又ハ支給スルコトヲ得
第二十六條 學生ノ願屆其ノ他業務ニ關スル諸件ハ校長ノ管理ニ屬ス
生徒ハ總テ校長ノ管理ニ屬ス
第二十七條 甲種學生及生徒ハ情願ヲ以テ退校スルコトヲ得ズ
第二十八條 甲種學生及生徒左ノ各號ノ一ニ該當スルトキハ之ヲ退校セシム
一 軍紀ヲ紊リ又ハ屢法則ヲ犯ス者
二 品行不正ニシテ改悛ノ目途ナキ者
三 學術ノ成績不良ニシテ卒業ノ目途ナキ者
四 傷痍疾病ニ因リ修學ニ堪ヘザル者
五 前各號ノ外士官又ハ工長タルニ適セズト認ムル者
第二十九條 甲種學生及生徒中傷痍疾病其ノ他ノ事故ニ因リ修學期間內ニ所定ノ學術ヲ修メ得ザル者ニシテ尙望アリト認ムルモノハ之ヲ所要ノ期間滯學セシメ又ハ次期ノ學生若ハ生徒ト爲スコトヲ得
第三十條 前二條ノ規定ニ該當スル者アルトキハ校長其ノ事由ヲ具シ陸軍技術本部長ヲ經テ陸軍大臣ノ認可ヲ受ケ之ヲ處理ス
第三十一條 校長ハ學生ノ修學期末ニ於テ其ノ修業成績書ヲ調製シ之ヲ陸軍技術本部長ニ提出シ其ノ認可ヲ受ケ甲種學生ニハ卒業證書ヲ、乙種學生ニハ修業證書ヲ付與スルモノトス
前項ノ場合ニ於テ陸軍技術本部長ハ甲種學生ノ修業成績書ヲ陸軍大臣ニ提出シ校長ハ各學生ノ修業成績書ヲ本人ノ所管長官ヲ經テ所屬部隊長ニ送付スルモノトス
滯學セシメラレタル甲種學生修學ヲ終リタルトキハ前二項ノ規定ニ準ジ之ヲ取扱フモノトス
第三十二條 甲種學生中員外學生タルニ適當ナル者ハ少尉任官後陸軍大臣ニ於テ之ヲ陸軍工科學校員外學生ト爲シ必要ノ學術ヲ硏究セシムルコトヲ得其ノ修學ニ關スル事項ハ陸軍大臣之ヲ定ム
第三十三條 校長ハ生徒卒業ノ期ニ至リタルトキハ其ノ修業成績書ヲ調製シ之ヲ陸軍技術本部長ニ提出シ其ノ認可ヲ受ケ卒業者ニ卒業證書ヲ付與シ著隊時日ヲ指定シ所屬部隊ニ之ヲ入隊セシム
前項ノ場合ニ於テ校長ハ各生徒ノ修業成績書ヲ本人ノ所管長官ヲ經テ所屬部隊長ニ送付スルモノトス
滯學セシメラレタル生徒修學ヲ終リタルトキハ前二項ノ規定ニ準ジ之ヲ取扱フモノトス
第三十四條 陸軍大臣ハ臨時ニ各兵科(憲兵科ヲ除ク)將校以下ヲ陸軍工科學校ニ召集シ所要ノ期間之ニ必要ナル修學ヲ爲サシムルコトヲ得
第三十五條 校長ハ甲種學生及生徒ニ每年二十日以內ノ休暇ヲ與フルコトヲ得
第三十六條 校長ハ校務上便宜ノ時期ニ於テ武官タル職員ニ他ノ部隊附勤務ヲ爲サシムルコトヲ得
第三十七條 校長ハ學生及生徒ノ敎育上必要アルトキハ所管長官ニ禀議シ陸軍造兵廠長官及陸軍兵器本廠長所管ノ工場ノ一部ヲ使用シ又ハ學生及生徒ヲ他ノ部隊ニ派遣シ實習ヲ爲サシムルコトヲ得
附 則
本令ハ昭和十一年八月一日ヨリ之ヲ施行ス
朕陸軍工科学校令改正ノ件ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十一年七月二十八日
内閣総理大臣 広田弘毅
陸軍大臣 伯爵 寺内寿一
勅令第二百三十一号
陸軍工科学校令
第一条 陸軍工科学校ハ技術ニ従事スル砲、工兵科士官ト為スベキ学生及砲、工兵工長ト為スベキ生徒ヲ教育シ並ニ砲、工兵工長タル学生ニ技術ニ関スル学術ヲ修得セシメ且兵器業務ニ関スル調査及研究ヲ行フ所トス
第二条 学生ヲ分チテ左ノ二種トス
甲種学生 少尉候補者タル砲、工兵上等工長又ハ砲、工兵一等工長ヲ以テ之ニ充テ技術ニ従事スル砲、工兵科士官ニ必要ナル学術ヲ修習セシム通常毎年一回入校セシメ其ノ修学期間ハ概ネ一年トス
乙種学生 砲、工兵工長ヲ以テ之ニ充テ主トシテ技術能力向上ニ必要ナル学術ヲ修習セシム通常毎年二回入校セシメ其ノ修学期間ハ概ネ四月トス
第三条 生徒ハ砲、工兵工長タルコトヲ志願シ召募試験ニ合格シタル者ヲ以テ之ニ充テ砲、工兵工長ニ必要ナル学術ヲ修習セシム通常毎年一回入校セシメ其ノ修学期間ハ概ネ二年トス
第四条 生徒ノ採用ニ関スル事項及入校期日ニ付テハ陸軍大臣之ヲ定ム
第五条 学生及生徒ノ教育ヲ分チテ訓育及学術教育トシ其ノ教育綱領ハ陸軍大臣ノ認可ヲ受ケ陸軍技術本部長之ヲ定ム
第六条 学生及生徒ノ教育ノ実施ハ教則ニ依ル其ノ教則ハ前条ノ教育綱領ニ基キ陸軍技術本部長ノ認可ヲ受ケ校長之ヲ定ム
第七条 学生及生徒ノ教育ニ任ジ且兵器業務ニ関スル調査及研究ヲ行ハシムル為陸軍工科学校ニ教育部ヲ置ク
第八条 生徒ノ訓育ヲ行フ為陸軍工科学校ニ生徒隊ヲ置ク
第九条 兵器ノ整備及研究並ニ学生及生徒ノ実習ニ供スル為陸軍工科学校ニ材料廠ヲ置ク
第十条 陸軍工科学校ニ左ノ職員ヲ置ク
校長
幹事
副官
学校附
教官
生徒隊長
生徒隊副官
生徒隊中隊長
生徒隊附
材料廠長
材料廠附
准士官、下士官及判任文官
第十一条 校長ハ陸軍技術本部長ニ隷シ校務ヲ総理ス
第十二条 幹事ハ校長ヲ輔佐シ校務ヲ整理シ教育、調査及研究ノ統一ヲ図ル
第十三条 副官ハ校長ノ命ヲ承ケ庶務ヲ掌ル
第十四条 学校附ハ校長ノ命ヲ承ケ各其ノ担任ノ業務ヲ掌ル
第十五条 教官ハ校長ノ命ヲ承ケ教育並ニ諸般ノ調査及研究ヲ分担ス
第十六条 生徒隊長ハ生徒隊ヲ統ベ校長ノ命ヲ承ケ訓育ヲ掌理ス
第十七条 生徒隊副官ハ生徒隊長ノ命ヲ承ケ生徒隊ノ庶務ヲ掌ル
第十八条 生徒隊中隊長ハ生徒隊長ノ命ヲ承ケ訓育ヲ担任ス
第十九条 生徒隊附ハ上官ノ命ヲ承ケ各担任ノ業務ヲ掌ル
第二十条 材料廠長ハ校長ノ命ヲ承ケ廠務ヲ掌ル
第二十一条 材料廠附ハ材料廠長ノ命ヲ承ケ廠務ヲ分担ス
第二十二条 准士官及下士官ハ上官ノ命ヲ承ケ学術教育ヲ補助シ又ハ技術若ハ事務ニ従事ス
判任文官ハ上官ノ命ヲ承ケ技術又ハ事務ニ従事ス
第二十三条 乙種学生ノ人員及入校期日ハ陸軍大臣之ヲ告達ス
第二十四条 前条ノ告達アリタルトキハ所管長官ハ修学ニ適当ナル者ヲ選定シ入校期日前ニ其ノ所属部隊、等級及氏名ヲ陸軍大臣ニ報告シ且陸軍技術本部長ニ通報スベシ
第二十五条 営外居住者タル学生ハ校外ニ、営内居住者タル学生及生徒ハ校内ニ居住セシメ其ノ修学ニ要スル兵器、被服、図書、器具、消耗品等ハ之ヲ貸付シ又ハ支給スルコトヲ得
第二十六条 学生ノ願届其ノ他業務ニ関スル諸件ハ校長ノ管理ニ属ス
生徒ハ総テ校長ノ管理ニ属ス
第二十七条 甲種学生及生徒ハ情願ヲ以テ退校スルコトヲ得ズ
第二十八条 甲種学生及生徒左ノ各号ノ一ニ該当スルトキハ之ヲ退校セシム
一 軍紀ヲ紊リ又ハ屡法則ヲ犯ス者
二 品行不正ニシテ改悛ノ目途ナキ者
三 学術ノ成績不良ニシテ卒業ノ目途ナキ者
四 傷痍疾病ニ因リ修学ニ堪ヘザル者
五 前各号ノ外士官又ハ工長タルニ適セズト認ムル者
第二十九条 甲種学生及生徒中傷痍疾病其ノ他ノ事故ニ因リ修学期間内ニ所定ノ学術ヲ修メ得ザル者ニシテ尚望アリト認ムルモノハ之ヲ所要ノ期間滞学セシメ又ハ次期ノ学生若ハ生徒ト為スコトヲ得
第三十条 前二条ノ規定ニ該当スル者アルトキハ校長其ノ事由ヲ具シ陸軍技術本部長ヲ経テ陸軍大臣ノ認可ヲ受ケ之ヲ処理ス
第三十一条 校長ハ学生ノ修学期末ニ於テ其ノ修業成績書ヲ調製シ之ヲ陸軍技術本部長ニ提出シ其ノ認可ヲ受ケ甲種学生ニハ卒業証書ヲ、乙種学生ニハ修業証書ヲ付与スルモノトス
前項ノ場合ニ於テ陸軍技術本部長ハ甲種学生ノ修業成績書ヲ陸軍大臣ニ提出シ校長ハ各学生ノ修業成績書ヲ本人ノ所管長官ヲ経テ所属部隊長ニ送付スルモノトス
滞学セシメラレタル甲種学生修学ヲ終リタルトキハ前二項ノ規定ニ準ジ之ヲ取扱フモノトス
第三十二条 甲種学生中員外学生タルニ適当ナル者ハ少尉任官後陸軍大臣ニ於テ之ヲ陸軍工科学校員外学生ト為シ必要ノ学術ヲ研究セシムルコトヲ得其ノ修学ニ関スル事項ハ陸軍大臣之ヲ定ム
第三十三条 校長ハ生徒卒業ノ期ニ至リタルトキハ其ノ修業成績書ヲ調製シ之ヲ陸軍技術本部長ニ提出シ其ノ認可ヲ受ケ卒業者ニ卒業証書ヲ付与シ著隊時日ヲ指定シ所属部隊ニ之ヲ入隊セシム
前項ノ場合ニ於テ校長ハ各生徒ノ修業成績書ヲ本人ノ所管長官ヲ経テ所属部隊長ニ送付スルモノトス
滞学セシメラレタル生徒修学ヲ終リタルトキハ前二項ノ規定ニ準ジ之ヲ取扱フモノトス
第三十四条 陸軍大臣ハ臨時ニ各兵科(憲兵科ヲ除ク)将校以下ヲ陸軍工科学校ニ召集シ所要ノ期間之ニ必要ナル修学ヲ為サシムルコトヲ得
第三十五条 校長ハ甲種学生及生徒ニ毎年二十日以内ノ休暇ヲ与フルコトヲ得
第三十六条 校長ハ校務上便宜ノ時期ニ於テ武官タル職員ニ他ノ部隊附勤務ヲ為サシムルコトヲ得
第三十七条 校長ハ学生及生徒ノ教育上必要アルトキハ所管長官ニ禀議シ陸軍造兵廠長官及陸軍兵器本廠長所管ノ工場ノ一部ヲ使用シ又ハ学生及生徒ヲ他ノ部隊ニ派遣シ実習ヲ為サシムルコトヲ得
附 則
本令ハ昭和十一年八月一日ヨリ之ヲ施行ス