自動車交通事業法施行令
法令番号: 勅令第七十七號
公布年月日: 昭和16年1月22日
法令の形式: 勅令
朕自動車交通事業法施行令改正ノ件ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十六年一月二十一日
內閣總理大臣 公爵 近衞文麿
內務大臣 男爵 平沼騏一郞
大藏大臣 河田烈
鐵道大臣 小川鄕太郞
勅令第七十七號
自動車交通事業法施行令
第一條 自動車交通事業法中主務大臣トアルハ自動車道事業ニ關シテハ內務大臣及鐵道大臣、其ノ他ニ關シテハ同法ニ別段ノ定アル場合ヲ除クノ外鐵道大臣トス
第二條 左ニ揭グル場合ニ於テハ鐵道大臣ハ內務大臣ニ協議スベシ
一 自動車交通事業法第四條又ハ第十六條ノ三ノ規定ニ依リ免許ヲ爲サントスルトキ
二 公共團體ニ對シ自動車交通事業法第十條、第十一條第三項、第十三條第一項、第十三條ノ二第一項、第十四條、第十六條ノ六又ハ第十六條ノ八ニ於テ準用スル第十一條第三項、第十三條第一項、第十三條ノ二第一項若ハ第十四條ノ規定ニ依リ處分ヲ爲サントスルトキ
三 自動車交通事業法第三十七條第二項ノ規定ニ依リ爲サレタル旅客自動車運輸事業又ハ事業區間ヲ定ムル貨物自動車運送事業ノ經營ノ協議ニ應ゼントスルトキ
第三條 鐵道大臣自動車運送事業組合又ハ自動車運送事業組合聯合會ニ付自動車交通事業法ニ定ムル職務ヲ行フ場合ニ於テ其ノ職務ガ同法第十六條ノ十一第二項(同法第十六條ノ三十四ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ノ規定ニ依リ自動車運送事業組合又ハ自動車運送事業組合聯合會ノ行フ資金ノ貸付又ハ貯金ノ受入ノ事業ニ關スルモノナルトキハ大藏大臣ニ協議スベシ
第四條 左ニ揭グル場合ニ於テハ地方長官(東京府ニ在リテハ警視總監トス)ハ旅客自動車運送事業經營ノ免許ノ全部若ハ一部ヲ取消シ又ハ事業ノ全部若ハ一部ヲ停止セシムルコトヲ得
一 法令又ハ免許、許可若ハ認可ニ附シタル條件ニ違反シタルトキ
二 法令ニ基キテ爲シタル處分又ハ免許、許可若ハ認可ニ附シタル條件ニ基キテ爲シタル處分ニ違反シタルトキ
三 事業ノ經營不確實又ハ資產狀態ノ著シキ不良其ノ他ノ爲事業ヲ繼續スルニ適セズト認メタルトキ
四 公益ヲ害スル行爲ヲ爲シタルトキ
第五條 左ニ揭グル場合ニ於テハ旅客自動車運送事業經營ノ免許ハ其ノ效力ヲ失フ
一 免許ヲ受ケタル後四月以內ニ事業ヲ開始セザルトキ
二 事業ノ廢止ノ許可ヲ受ケタルトキ
第六條 前二條ニ規定スルモノノ外旅客自動車運送事業ニ關シ必要ナル事項ハ鐵道大臣之ヲ定ム
第七條 鐵道大臣自動車交通事業ノ統制其ノ他公益上必要アリト認ムルトキハ左ニ揭グル事業ノ經營ヲ禁止シ又ハ制限スルコトヲ得
一 旅客自動車運輸事業又ハ旅客自動車運送事業ニ非ズシテ自動車ニ依リ旅客ヲ運送スル事業
二 貨物自動車運送事業ニ非ズシテ自動車ニ依リ物品ヲ運送スル事業
三 自動車ニ依ル物品運送ノ運送取扱業又ハ運送代辨業
前項各號ニ揭グル事業ニ關シ必要ナル事項ハ鐵道大臣之ヲ定ム
第八條 自動車交通事業法第十六條ノ七ノ規定ニ依リ補助ヲ爲ス貨物自動車運送事業者ハ鐵道若ハ軌道ト連絡スル事業又ハ產業上特ニ有用ナル事業ヲ營ム者ニ限ル
第九條 貨物自動車運送事業者ガ貨物自動車ノ興業費ヲ償却シタルトキハ其ノ償却額ノ三分ノ一以內ニ於テ鐵道大臣ノ定ムル補助金ヲ交付スルコトヲ得
前項ノ貨物自動車ノ範圍竝ニ興業費及償却額ノ計算ニ付必要ナル事項ハ鐵道大臣之ヲ定ム
第十條 補助金ハ貨物自動車ノ取得又ハ改良ノ爲之ヲ使用スベシ但シ特別ノ事由アルトキハ鐵道大臣ノ許可ヲ受ケ貨物自動車ノ整備ニ必要ナル設備ノ新設又ハ改良ニ之ヲ使用スルコトヲ得
第十一條 貨物自動車運送事業ノ管理者ガ法令若ハ法令ニ基キテ發スル命令、免許若ハ補助ニ附シタル條件ニ違反シ又ハ公益ヲ害スベキ行爲ヲ爲シタルトキハ鐵道大臣ハ其ノ補助ヲ停止シ若ハ廢止シ又ハ補助金ヲ償還セシムルコトヲ得
第十二條 詐欺ノ行爲ヲ以テ補助金ヲ受ケタルトキハ法定ノ利息ヲ附シテ之ヲ償還セシム
第十三條 國ニ於テ旅客自動車運輸事業(以下運輸事業ト稱ス)又ハ事業區間ヲ定ムル貨物自動車運送事業(以下運送事業ト稱ス)ヲ經營シタル爲之ト路線又ハ事業區間ヲ共通ニスル旅客自動車運輸事業者又ハ貨物自動車運送事業者(以下事業者ト總稱ス)ガ其ノ部分ニ付事業ヲ繼續スルコト能ハザルニ至リ廢止シタル場合ニ於ケル補償金額ハ事業者ノ該部分ニ於ケル利益ノ年額ヲ基礎トシ其ノ七年分以內ニ於テ鐵道大臣ノ定ムル所ニ依リ計算シ一時ニ之ヲ交付ス但シ事業者ノ同意アリタル場合ハ分割シテ三年以內ニ之ヲ交付スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ事業者ノ決算ニ基キ鐵道大臣ノ査定シタル該部分ノ興業費ヨリ殘存物件ノ價額ヲ控除シ殘額アルトキハ該殘額ノ範圍內ニ於テ鐵道大臣ノ決定シタル額ヲ前項ノ規定ニ依ル交付金額ニ加算スルコトヲ得
前二項ノ規定ハ殘存路線又ハ殘存事業區間ノミニ付事業ヲ繼續スルコト能ハザルニ至リ廢止シタル場合ニ於ケル補償金ノ交付ニ之ヲ準用ス
前各項ノ規定ニ依ル補償金ノ交付ヲ受ケントスル者ハ國ノ經營スル運輸事業又ハ運送事業ノ運輸開始ノ日ヨリ一年以內ニ其ノ事業廢止ノ許可ヲ申請スルコトヲ要ス
第十四條 國ニ於テ運輸事業又ハ運送事業ヲ經營シタル爲之ト路線又ハ事業區間ヲ共通ニスル事業者ガ其ノ部分ニ付著シク運輸收入ヲ減少スルニ至リタル場合ニ於ケル補償金額ハ國ノ經營スル運輸事業又ハ運送事業ニ轉嫁シタリト認メラルル運輸數量ニ對應スル事業者ノ利益ノ減少額ノ範圍內ニ於テ鐵道大臣ノ定ムル所ニ依リ計算シ之ヲ交付ス
前項ノ規定ニ依ル補償ノ期間ハ國ノ經營スル運輸事業又ハ運送事業ノ運輸開始ノ日ヨリ三年以內トス
第一項ノ規定ニ依ル補償金ハ前條ノ規定ニ依ル補償金ヲ交付スル場合ニハ之ヲ交付セズ
第十五條 前二條ノ利益ハ運輸收入ヨリ營業費ヲ控除シタル殘額ヲ謂フ但シ第十三條ノ場合ニ於テ殘額ガ運輸收入ノ百分ノ五ニ達セザルトキハ該收入ノ百分ノ五ニ相當スル額トス
第十三條ノ興業費及殘存物件ノ價額ハ事業廢止ノ日ニ於ケル額ニ依ル
第十六條 前三條ノ興業費、殘存物件ノ價額、運輸收入及營業費ノ計算ニ付必要ナル事項ハ鐵道大臣之ヲ定ム
附 則
本令ハ昭和十五年法律第百六號施行ノ日ヨリ之ヲ施行ス
昭和八年勅令第二百二十號及昭和十三年勅令第五百二號ハ之ヲ廢止ス
陸上交通事業調整法施行令中「自動車運輸事業」ヲ「旅客自動車運輸事業」ニ改ム
朕自動車交通事業法施行令改正ノ件ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
昭和十六年一月二十一日
内閣総理大臣 公爵 近衛文麿
内務大臣 男爵 平沼騏一郎
大蔵大臣 河田烈
鉄道大臣 小川郷太郎
勅令第七十七号
自動車交通事業法施行令
第一条 自動車交通事業法中主務大臣トアルハ自動車道事業ニ関シテハ内務大臣及鉄道大臣、其ノ他ニ関シテハ同法ニ別段ノ定アル場合ヲ除クノ外鉄道大臣トス
第二条 左ニ掲グル場合ニ於テハ鉄道大臣ハ内務大臣ニ協議スベシ
一 自動車交通事業法第四条又ハ第十六条ノ三ノ規定ニ依リ免許ヲ為サントスルトキ
二 公共団体ニ対シ自動車交通事業法第十条、第十一条第三項、第十三条第一項、第十三条ノ二第一項、第十四条、第十六条ノ六又ハ第十六条ノ八ニ於テ準用スル第十一条第三項、第十三条第一項、第十三条ノ二第一項若ハ第十四条ノ規定ニ依リ処分ヲ為サントスルトキ
三 自動車交通事業法第三十七条第二項ノ規定ニ依リ為サレタル旅客自動車運輸事業又ハ事業区間ヲ定ムル貨物自動車運送事業ノ経営ノ協議ニ応ゼントスルトキ
第三条 鉄道大臣自動車運送事業組合又ハ自動車運送事業組合連合会ニ付自動車交通事業法ニ定ムル職務ヲ行フ場合ニ於テ其ノ職務ガ同法第十六条ノ十一第二項(同法第十六条ノ三十四ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ノ規定ニ依リ自動車運送事業組合又ハ自動車運送事業組合連合会ノ行フ資金ノ貸付又ハ貯金ノ受入ノ事業ニ関スルモノナルトキハ大蔵大臣ニ協議スベシ
第四条 左ニ掲グル場合ニ於テハ地方長官(東京府ニ在リテハ警視総監トス)ハ旅客自動車運送事業経営ノ免許ノ全部若ハ一部ヲ取消シ又ハ事業ノ全部若ハ一部ヲ停止セシムルコトヲ得
一 法令又ハ免許、許可若ハ認可ニ附シタル条件ニ違反シタルトキ
二 法令ニ基キテ為シタル処分又ハ免許、許可若ハ認可ニ附シタル条件ニ基キテ為シタル処分ニ違反シタルトキ
三 事業ノ経営不確実又ハ資産状態ノ著シキ不良其ノ他ノ為事業ヲ継続スルニ適セズト認メタルトキ
四 公益ヲ害スル行為ヲ為シタルトキ
第五条 左ニ掲グル場合ニ於テハ旅客自動車運送事業経営ノ免許ハ其ノ効力ヲ失フ
一 免許ヲ受ケタル後四月以内ニ事業ヲ開始セザルトキ
二 事業ノ廃止ノ許可ヲ受ケタルトキ
第六条 前二条ニ規定スルモノノ外旅客自動車運送事業ニ関シ必要ナル事項ハ鉄道大臣之ヲ定ム
第七条 鉄道大臣自動車交通事業ノ統制其ノ他公益上必要アリト認ムルトキハ左ニ掲グル事業ノ経営ヲ禁止シ又ハ制限スルコトヲ得
一 旅客自動車運輸事業又ハ旅客自動車運送事業ニ非ズシテ自動車ニ依リ旅客ヲ運送スル事業
二 貨物自動車運送事業ニ非ズシテ自動車ニ依リ物品ヲ運送スル事業
三 自動車ニ依ル物品運送ノ運送取扱業又ハ運送代弁業
前項各号ニ掲グル事業ニ関シ必要ナル事項ハ鉄道大臣之ヲ定ム
第八条 自動車交通事業法第十六条ノ七ノ規定ニ依リ補助ヲ為ス貨物自動車運送事業者ハ鉄道若ハ軌道ト連絡スル事業又ハ産業上特ニ有用ナル事業ヲ営ム者ニ限ル
第九条 貨物自動車運送事業者ガ貨物自動車ノ興業費ヲ償却シタルトキハ其ノ償却額ノ三分ノ一以内ニ於テ鉄道大臣ノ定ムル補助金ヲ交付スルコトヲ得
前項ノ貨物自動車ノ範囲並ニ興業費及償却額ノ計算ニ付必要ナル事項ハ鉄道大臣之ヲ定ム
第十条 補助金ハ貨物自動車ノ取得又ハ改良ノ為之ヲ使用スベシ但シ特別ノ事由アルトキハ鉄道大臣ノ許可ヲ受ケ貨物自動車ノ整備ニ必要ナル設備ノ新設又ハ改良ニ之ヲ使用スルコトヲ得
第十一条 貨物自動車運送事業ノ管理者ガ法令若ハ法令ニ基キテ発スル命令、免許若ハ補助ニ附シタル条件ニ違反シ又ハ公益ヲ害スベキ行為ヲ為シタルトキハ鉄道大臣ハ其ノ補助ヲ停止シ若ハ廃止シ又ハ補助金ヲ償還セシムルコトヲ得
第十二条 詐欺ノ行為ヲ以テ補助金ヲ受ケタルトキハ法定ノ利息ヲ附シテ之ヲ償還セシム
第十三条 国ニ於テ旅客自動車運輸事業(以下運輸事業ト称ス)又ハ事業区間ヲ定ムル貨物自動車運送事業(以下運送事業ト称ス)ヲ経営シタル為之ト路線又ハ事業区間ヲ共通ニスル旅客自動車運輸事業者又ハ貨物自動車運送事業者(以下事業者ト総称ス)ガ其ノ部分ニ付事業ヲ継続スルコト能ハザルニ至リ廃止シタル場合ニ於ケル補償金額ハ事業者ノ該部分ニ於ケル利益ノ年額ヲ基礎トシ其ノ七年分以内ニ於テ鉄道大臣ノ定ムル所ニ依リ計算シ一時ニ之ヲ交付ス但シ事業者ノ同意アリタル場合ハ分割シテ三年以内ニ之ヲ交付スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ事業者ノ決算ニ基キ鉄道大臣ノ査定シタル該部分ノ興業費ヨリ残存物件ノ価額ヲ控除シ残額アルトキハ該残額ノ範囲内ニ於テ鉄道大臣ノ決定シタル額ヲ前項ノ規定ニ依ル交付金額ニ加算スルコトヲ得
前二項ノ規定ハ残存路線又ハ残存事業区間ノミニ付事業ヲ継続スルコト能ハザルニ至リ廃止シタル場合ニ於ケル補償金ノ交付ニ之ヲ準用ス
前各項ノ規定ニ依ル補償金ノ交付ヲ受ケントスル者ハ国ノ経営スル運輸事業又ハ運送事業ノ運輸開始ノ日ヨリ一年以内ニ其ノ事業廃止ノ許可ヲ申請スルコトヲ要ス
第十四条 国ニ於テ運輸事業又ハ運送事業ヲ経営シタル為之ト路線又ハ事業区間ヲ共通ニスル事業者ガ其ノ部分ニ付著シク運輸収入ヲ減少スルニ至リタル場合ニ於ケル補償金額ハ国ノ経営スル運輸事業又ハ運送事業ニ転嫁シタリト認メラルル運輸数量ニ対応スル事業者ノ利益ノ減少額ノ範囲内ニ於テ鉄道大臣ノ定ムル所ニ依リ計算シ之ヲ交付ス
前項ノ規定ニ依ル補償ノ期間ハ国ノ経営スル運輸事業又ハ運送事業ノ運輸開始ノ日ヨリ三年以内トス
第一項ノ規定ニ依ル補償金ハ前条ノ規定ニ依ル補償金ヲ交付スル場合ニハ之ヲ交付セズ
第十五条 前二条ノ利益ハ運輸収入ヨリ営業費ヲ控除シタル残額ヲ謂フ但シ第十三条ノ場合ニ於テ残額ガ運輸収入ノ百分ノ五ニ達セザルトキハ該収入ノ百分ノ五ニ相当スル額トス
第十三条ノ興業費及残存物件ノ価額ハ事業廃止ノ日ニ於ケル額ニ依ル
第十六条 前三条ノ興業費、残存物件ノ価額、運輸収入及営業費ノ計算ニ付必要ナル事項ハ鉄道大臣之ヲ定ム
附 則
本令ハ昭和十五年法律第百六号施行ノ日ヨリ之ヲ施行ス
昭和八年勅令第二百二十号及昭和十三年勅令第五百二号ハ之ヲ廃止ス
陸上交通事業調整法施行令中「自動車運輸事業」ヲ「旅客自動車運輸事業」ニ改ム